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1:
結愛
これは、私の現在に至るまでの実話です。
どこにでも溢れている、だけどかけがえのない、たった一つの自分だけのストーリー。2006-05-30 14:07:00 -
91:
結愛
慣れない化粧を済ませ、携帯ショップに向う。
委任状を受け取り向かった先は…実家。
この時間なら義父はまだ仕事に行っていて家にはいないだろう。母と顔を合わせるのは一週間ぶりぐらいだったと思う。
勇気を振り絞りドアを開けリビングの扉を開けた。2006-06-01 13:21:00 -
92:
結愛
私を見た母の第一声は…
「あんたか。勝手に入ってこんといてくれる?」
この言葉に怒りが込み上げてきたが、携帯を買うためだ、とぐっと我慢した。
『…ごめん。携帯買うからこの書類書いて欲しい。』「え?誰か他に借りてくれる人おらんの?まぁいいわ。絶対お金はちゃんと払ってお母さんに迷惑かけんといてよ。」2006-06-01 13:27:00 -
93:
結愛
『…はい。』
「仕事見つかったん?どうせ水商売やろ?」
母の勘はかなり鋭い。まぁいきなり派手になった私を見れば一目瞭然だったのかもしれないけど。
この日の母との会話はこれだけだった。ありがとう、と吐き捨てるように言うと家を飛び出した。2006-06-01 13:32:00 -
94:
結愛
本当は、少し期待してた。お帰り、元気にしてた?そんな言葉をかけてくれる事を。
まだ子供だった私にも悪い所はたくさんあったのかもしれない。でも母を憎む事しか知らなかった。そんな気持ちとは裏腹に、やっぱり私にとってはたった一人の母で…心のどこかではいつも母の愛情を求めていた。2006-06-01 13:43:00 -
95:
結愛
………――何とか携帯を手に入れた私は、ミナミに向かう電車の中で早速大樹にメールを送ってみた。
するとすぐに返事が返って来て、ひっかけ橋で逢う事になった。
その頃はまだ橋は石で出来ていて、もたれかかりながらぼぉっと道頓堀川を見つめていた。2006-06-01 13:48:00 -
96:
結愛
「なーにしてんのっ?」
びっくりして振り返ると、昨日と全く同じように大樹が立っていた。
まだ一人ではセットサロンに行けないと言うと、大樹は嫌な顔一つせず付いてきてくれた。2006-06-01 13:51:00 -
97:
結愛
セットも終え、二人でご飯を食べるともう出勤の時間だ。大樹に店の前まで送ってもらうと深呼吸をして扉を開けた。
『おはようございます!』中には数人のボーイと美和さんしかおらず、開店準備を忙しそうにしている。
ちょっと早すぎたかな?と思いながらロッカールームに行くと、美和さんが声をかけてきた。2006-06-01 13:55:00 -
98:
結愛
「結愛ちゃんわざわざ外でセットしてきたん?」
『えっみんなするもんじゃないんですか?』
「ん〜好き好きやけど、店に専門の美容師さんおるから安くでやってくれるよ」『そうなんですか!?知らんかった…』2006-06-01 13:58:00 -
99:
結愛
「祐樹アホやから説明し忘れてたんちゃうかな?メイク直しもやってくれるから行っといで?美和も横でセットしてもらうし。」
『はい!!』
美和さんは、新人の私にも優しくしてくれた。後で大樹にセットの事を言うと専属の美容師さんが居た事を忘れていたそうだ。2006-06-01 14:02:00 -
100:
結愛
「結愛ちゃんなぁ美和の入ったばっかりの時とめっちゃ似てんねんかぁ。だから何か気になんねんな。」
『私なんか美和さんみたいに綺麗くないし全然似てないですよ!!』
それは本心から言った言葉だった。お客さんもいっぱいいるし、綺麗で優しい美和さんと私は似ても似つかない。2006-06-01 14:05:00