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リストラでトランス

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  • 1:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「絶望だ! 生きていてもしょうがない」         
    20年間勤めていた証券会社は、<ビッグバン>とやらで廃業。
    さらには、その間家庭を犠牲にしていたつけが同時に起きた。
    15年間連れ添った妻とは離縁。
    わずかな退職金の大部分はその慰謝料に消えた。
    いまだ再就職先も決まっていない。

    2006-05-08 19:03:00
  • 3:

    岬 ◆rYagzMs.go

    そんなある日、俺は<ママ>に呼ばれた。
    「この前もかなり詳しくアンケートを書かされたし、いったい何があるんだろう?」
    ふと、そんなことを考えながら部屋へ入った。
    こういうところの<ママ>は、ニューハーフというのが相場だが、このクラブにおいては異なっていた。
    確かめたわけではないが、どう見ても本物の女性(本人もそう言っていた)、しかも若い。
    紺地に白を合わせたお水風のスーツ、派手目の化粧。
    (かえって、控え目な化粧を施したほうが似合う気もするのだが・・・。)
    そう思いながら、ついつい俺はママを熟視していた。
    「そんなにじろじろ見て、何か変?」
    と、ママ。
    「いや、そんなことないです。いつ見てもきれいだな、と思って・・・」
    「それは、どうもありがとう。」 
    そんな日常的な会話から話は始まった。
    この後、この話が俺の人生を全く変えてしまうという衝撃的な方向へ発展して行くなどとはとは思ってもみなかった。

    2006-05-08 19:06:00
  • 4:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「ねぇ、枝梨(このクラブでの俺の芸名)、あなた女性になって人生やり直してみる気ない?」
    とママが問いかけた。
    (えぇー、この俺に今更性転換しろとでも言うのか?)
    あまりにも唐突な質問に俺は言葉が出なかった。
    「それも10代の女の子からというのはどう?」
    俺にはママが何を言おうとしているのか理解できず、黙って聞いていた。
    「悪いとは思ったんだけど、あなたのこと調べさせて戴いたわ。
    最近不幸続きで、生きていくのがいやになって、自暴自棄になっているでしょう。」
    ママの言葉に一瞬ギクッとした。
    「あなたのことに興味を持って観察してたけど、女性としての才能はなかなかのもよ。
    枝梨は女に生まれていたら、きっと幸せになっていたと思うわ。」
    未だに、ことの真相が解らない俺を見て察したのか、
    「あら、ごめんなさい、あまりにも漠然とした話で・・・、具体的に話すわね。
    枝梨の脳をある女の子に転換するの。
    そうすると、その女の子の身体は・・・、枝梨、あなた自身のもの。
    あなたは、その女の子の身体で人生をやり直すことができる

    2006-05-08 19:23:00
  • 5:

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    あぼ~ん
  • 6:

    岬 ◆rYagzMs.go

    もはや、ママのペースにはまっている。
    「うちのクラブはある組織とつながっているの。
    その組織とは手の施しようのない、親や学校から見放された少年・少女たちを更生させる・・・、表向きはね。
    でも実際は、そういった犯罪予備軍を抹殺する組織なの。
    そこへ収納された子たちはその人格を消され新しい人格を植え付けられる、そうして社会復帰させる、そういうところなの。」
    「そ、そんなことが現実に行われているんですか?」
    確かにそういった施設があることは雑誌か何かで読んだことがあった。
    けれども、裏でそんなことが行われているとは・・・。
    俺はまだ半信半疑だった。
    「その第1号はこの私よ。」
    ママの口から思いもよらなかった言葉が発せられた。
    「ええっー」
    俺は言葉失った。
    「私の場合は、物心ついたときから女になりたくて中学生の時から隠れて女装を始めた。
    社会人になってもその気持ちは強まるばかりで、今から15年前・・・、35歳の時に脱サラしてこのクラブをオープンしたの。
    そして5年前、その組織と関わりを持つようになって、実

    2006-05-08 19:24:00
  • 7:

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    あぼ~ん
  • 8:

    岬 ◆rYagzMs.go

    もちろん、戸籍もちゃんとある、結婚もできるし子供だって生めるわ。
    あんまり若いと変に思われるからこういう化粧をしてるけど、実際の年齢は23歳よ。」
    「どうりで・・・、」
    と、俺は言いかけてやめた。
    ママに対して抱いていた疑問が解けた。
    「でもどうして、私が?」
    俺は改めて尋ねた。ここにいるときは女言葉で話す習性がついている。
    「まず、この転換は同性間ではできないの。
    本能的な<邪悪>の部分が残ってしまうらしいのよ。
    したがって、女としての本質を持っていて、しかも女になりたいと思っている男、またはこの反対のパターンの人間が求められる。
    このクラブのメンバーもそうだけどね。
    そのなかでも、本当に女として社会生活に順応できる・・・、特に問題児の身体に入るわけだから。
    そして、その人間が抹消されても問題のない家庭環境にあること。
    そういった条件をすべてクリアできる人間。
    それが枝梨、あなたなの。」
    「ということは、過去にもこのクラブから転換した人がいるのですね。」
    俺は、最近になって急にクラブへ顔を出さ

    2006-05-08 19:25:00
  • 9:

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    あぼ~ん
  • 10:

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    あぼ~ん
  • 11:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「身体の診断をするから診察着に着替えてきなさい。
    それから、ピアス、指輪、ネックレスもはずしなさい。」
    そう言われて絵里花は顔を強ばらせて、小声で呟いた。
    「何、偉そうに指図してんだよ。」
    命令口調で言われたことが気に触ったからだ。
    絵里花は、ふてくされ気味に所員の前に座った。
    やっと、検査が終わったと思った瞬間、注射器が目に映った。
    「おっ、おい、何で注射なんかするんだよ。」
    絵里花がそう言い終わらないうちに、その針は腕に刺されていた。
    すぐさま、意識が遠のき、起きていられなくなった。
    「一体、何をするつもり・・・」
    それが、彼女自身の身体で発した最期の言葉だった。
    絵里花は、深い眠りに落ちた。

    2006-05-08 19:29:00
  • 12:

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    あぼ~ん
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