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リストラでトランス

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  • 1:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「絶望だ! 生きていてもしょうがない」         
    20年間勤めていた証券会社は、<ビッグバン>とやらで廃業。
    さらには、その間家庭を犠牲にしていたつけが同時に起きた。
    15年間連れ添った妻とは離縁。
    わずかな退職金の大部分はその慰謝料に消えた。
    いまだ再就職先も決まっていない。

    2006-05-08 19:03:00
  • 21:

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    削除されますた

    あぼ~ん
  • 22:

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    あぼ~ん
  • 23:

    岬 ◆rYagzMs.go

    翌日から、感情を女性化するレッスンが始まった。
    女の子が好むような、映画にドラマ・・・、そして流行の音楽。
    はっきり言って、俺には苦痛だった。
    数日間それに馴染めず、俺は憂鬱になっていた。
    「絵里花、一緒にお風呂入ろうか?」
    そんな俺を見て、摩希が誘った。
    「ええ〜、ほんとに、いいの?」
    (摩希の裸が見られる。)
    俺はニヤリとして答えた。
    「今、いやらしいこと想像したでしょ。
    何、オヤジしてんのよ、女同士でしょ。」
    「えっ、そんな・・・。」
    さすがに、摩希にはお見通しだ。
    脱衣所で制服を脱いで裸になる。
    俺の形のいいバスト、乳首は興奮で隆起している。
    女になって裸を見られるのは初めてだ。
    (ちょっと恥ずかしい、摩希はもう脱いだかな?)
    けれども、そんな想いは一瞬にして消え去った。
    服を脱いだ摩希の体・・・。
    均整のとれた大人の女の体。
    しかし、その太股には艶やかなが彫られていた。
    「そ、それ・・・。」
    思わず口に出た。

    2006-05-08 19:42:00
  • 24:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「驚いた? そう、これ・・・。
    私に比べたら絵里花が今、落ち込んでること、大したことではないわ。
    実は、私も絵里花と同じトランス人間よ。」
    (ママだけじゃなくこの人も・・・。)
    予期せぬ展開に俺は戸惑っていた。
    「私がこの身体をもらったとき・・・、
    この娘は、その身体を自ら傷つけ、その上ドラッグで身体はボロボロになっていた。
    だから私の場合、精神面はともかく、まずはこの身体を健康体に戻すことから始めた。
    それは、言葉では言い表せない、とても辛いものだった。
    社会復帰するまで、半年かかった。
    そんなこんなを乗り越えて、現在の私がいる。
    そうした経験を生かそうと、このセンターの<インストラクター>の職務に就いたの。
    絵里花、弱音を吐いてる場合じゃないよ。」
    「ごめんなさい、何も知らないで・・・。」
    俺は、いつの間にか涙で頬を濡らしていた

    2006-05-08 19:43:00
  • 25:

    岬 ◆rYagzMs.go

    そんなことがあってか、または脳が女性化してきたのか、翌日から徐々にレッスンに溶け込めるようになってきた。
    部屋の雑誌もいつしか惹きつけられるように読んでいた。
    俺自身、「自分は女なんだ」ということを実感し始めていた。
    その日の午後のレッスンが終わり、
    「絵里花、随分と進歩したわね。
    今晩は男性と二人きりの時間を過ごしてもらうわ。」
    摩希に告げられた。
    「ええ〜、そ、そんな、ワタシまだ男の人とは・・・。」
    俺は、とっさに反論しようとしたが、
    「男性を意識すると言うことは、女の子にとって一番大切な感情なの、分かるわね。」
    話の途中で、摩希に諭された。

    2006-05-08 19:45:00
  • 26:

    岬 ◆rYagzMs.go

    部屋で彼を待つ。
    俺は、どうにもならない動揺を感じていた。
    「こんばんは、俺<光一>よろしく。」
    やって来たのはジャニーズ系のキリッとした顔立ちの青年。
    少し前までならば(何だ、ジャリタレかよ。)と思っていたところだが、今は何故か胸がときめいている。
    (絵里花になって、初めて男性にあったせい?
    それとも、この身体が・・・女性化した俺の脳が、そう感じているの?)
    俺は、頭の中が混乱し始めていた。
    彼と話をしていると、何だかいつもと違う自分が分かる。
    「絵里花って可愛いよ。」
    彼に言われて、顔が紅潮して熱くなる。
    (俺、いやワタシ、彼と一緒にもっと時間を過ごしていたい。)
    すっかり<女の子モード>に入っている俺。
    彼に肩を抱き寄せられる。
    心臓が、今にも飛び出しそうに脈を打つ。
    (俺は女として、彼を感じている。)
    そう実感した。
    見つめ合い、そして唇が重なる。
    頭がボーとしてきて、何も考えられない。。
    彼の手がブラウスのボタンにかかる。

    2006-05-08 19:46:00
  • 27:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「あっ、駄目・・・。」
    無意味だと分かりながら、言葉を漏らした。
    そんなことは承知とばかり彼の行為は続き、ブラウスが脱がされた。
    スカートの中に彼の手が伸びる。
    「いやん、恥ずかしい。」
    言葉とは裏腹に、抵抗などする気もない。
    「絵里花は嘘つきだね、だって身体はそう言っていないよ。」
    彼の言葉に一層、体が熱くなっていった。
    俺は彼に身をまかせ、そして彼を受け入れた。
    それは意識したものではなく、ごく自然なものだった。
    この日、俺は女としての<快感>と<歓び>体験した。

    2006-05-08 19:47:00
  • 28:

    岬 ◆rYagzMs.go

    翌日からの俺は、明らかに変わっていた。
    摩希もそんな俺を見て、昨晩のことを聴くなんて野暮なことはしなかった。
    「絵里花、本当に女らしくなったわね、もう大丈夫。
    女になるためのレッスンは卒業よ、よく頑張ったわね。」
    「ありがとうございます。ワタシ・・・、」
    感激のあまりその後の言葉が続かなかった。
    「残りの3日間は、絵里花の記憶を覚えましょう。」
    と、言われてもすべてを覚えるなんて到底不可能なこと。
    俺は、絵里花の家族のこと、学校のこと、その他要所を映像を交えて頭に入れていった。
    長いようで短かった2週間のレッスンが終わった。
    俺は、すっかり<立花絵里花>になっていた。

    2006-05-08 19:48:00
  • 29:

    岬 ◆rYagzMs.go

    出所の日、絵里花の母親が迎えにやってきた。
    あまりにも変わった娘の姿を見て、
    「絵里花、あなた本当に絵里花なの?」
    「そうよママ、絵里花よ。
    今までわがまましてごめんなさい。
    ワタシ、ここで生まれ変わったの。」
    「絵里花、本当に・・・、良かった・・・。」
    母親に抱き締められた俺は、どこかに罪の呵責を感じていた。
    (ワタシ、あなたの娘に成り代わり親孝行します。)
    それが俺の精一杯の気持ちだった。

    2006-05-08 19:49:00
  • 30:

    岬 ◆rYagzMs.go

    母と初めてショッピングに行った。
    女の子って、ショッピングがこんなにも楽しいものだなんて・・・。
    女性が夢中になるのも分かる気がした。
    気分は完全<少女モード>だ。
    自然と可愛らしい服に目が行く。
    タータンチェックのプリーツミニスカートが気になる。
    「試着してみたら、サイズは?」
    店員に促され、試着室へ入った。
    (わあっ、可愛い〜、この身体ミニスカートが本当に似合う。)
    鏡に映る姿を見て、自己満足。
    「どうかしら?」
    カーテンを開けてポーズ。
    「絵里花たら洋服の趣味まで変わって、でもそれ本当に似合っているわよ。」
    母は、目を細めてそれを買ってくれた。

    2006-05-08 19:50:00
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