小説掲示板短編「良い妻」のスレッド詳細｜夜遊びweb関西版

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短編「良い妻」

• 1:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  「旦那の不始末はあたしの不始末。ほら？あたし良い奥さんじゃない。」
  秋子はいつものように、ﾆｺﾘと笑ってみせた。
  

  2007-08-12 04:49:00
• 2:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  小山和明、38歳。
  妻の秋子、35歳。
  お見合いで知り合って一ヶ月もたたないうちに、私達は籍をいれた。
  政略結婚。
  僕はマスオさん、つまり婿養子だった。

  2007-08-12 04:59:00
• 3:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  僕の実家はとても小さな印刷工場をしていて、妻の秋子の実家は大手の広告会社を営んでいた。
  不景気のせいで経営難に陥った僕の親が泣き付いた相手、それが秋子の両親だった。
  秋子はたったひとりの箱入り娘。
  大事に育てられ過ぎていたせいで男性との交流もなく、心配した秋子の両親がこの結婚を条件に出してきた。

  2007-08-12 05:06:00
• 4:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  初めて秋子と逢った時の第一印象は、「真面目な女」だった。
  良く言えば古風な女、悪く言えばつまらない女。
  物静かで口数も少ない。
  僕も人の事を言えないが、本当に世間を知らなさそうというイメージだった。
  

  2007-08-12 05:10:00
• 5:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  お見合いでの秋子との会話は無いに等しいものだったのだが、何を気に入ったのか彼女は僕の事を気に入ってくれたらしい。
  それを聞いた両親は大喜びだった。
  そしてトントン拍子に結婚まで話が進み、今に至る。
  小山和明・秋子。
  結婚1年目。

  2007-08-12 05:14:00
• 6:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  新婚生活が三ヶ月を過ぎた頃。
  古い友人からの久しぶりの誘いがあって、僕は街に飲みに出かけた。
  募る話も盛り上がり、ついつい帰りが深夜２時と遅くなってしまった。
  そっと玄関のドアを開けると、リビングに灯りがついたまま。
  秋子は起きて待っていた。

  2007-08-12 05:20:00
• 7:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  和明「起きてたのか？すまない、遅くなって。」
  秋子「ご飯、食べてきちゃった？一応あるけど..。」
  テーブルにはラップがかかったハンバーグの皿がひとつ。
  和明「あぁ。加藤と飲んできちゃったから、今日はご飯はいいや。すまない。」
  秋子は僕を責める事もなく、「明日も仕事だから、ゆっくり休んで？」と言った。

  2007-08-12 05:25:00
• 8:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  それから何度か接待や付き合いで帰りが遅くなっても、秋子は起きて待っていた。
  さすがに「先に寝てていいよ？」と言ったが、朝帰りになっても秋子が僕を責める事はなかった。
  それよりか僕の体を気遣い、労る言葉をかけてくれていた。

  2007-08-12 05:29:00
• 9:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  誰かが言っていた。
  「毎日同じご飯じゃ飽きるだろ？たまには違うものを食べたくなるのが人間。浮気する男の心理もそれと同じ。」
  僕は段々秋子が何も言わないのを良い事に、夜遅くまで飲み歩くようになった。
  どうせ遅くなっても、秋子は何も言わない。

  2007-08-12 05:33:00
• 10:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  そんな時出会ったのが、由香という女。
  ×１子持ちで、スナックを経営している。
  歳も３６と僕と近いのもあって、由香と僕が深い関係になるのに時間はかからなかった。
  

  2007-08-12 05:36:00
• 11:

  名無しさん

  もここちゃん頑張ってね?

  2007-08-13 03:07:00
• 12:

  名無しさん

  あ

  2007-08-13 06:36:00
• 13:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  由香は妻の秋子と違い、華やかな女だ。
  明るくはきはきしていて、それからは感じられない女らしい一面もある。
  まったくといって正反対の由香と秋子。
  僕はいつしか、由香に惹かれて入れ込んでいった。

  2007-08-13 07:10:00
• 14:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  和明「由香！ほら、これ欲しいって言ってただろ？プレゼント。」
  由香「え〜嬉しい！ありがとう和明さん！」
  前から由香が欲しがっていたブランドのバッグ。
  ボーナス時期だという事もあって、僕は由香にプレゼントした。

  2007-08-13 07:15:00
• 15:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  由香の喜ぶ顔が見たいが為に、僕は由香の元に足を運ぶ。
  秋子はブランド物にも旅行にも興味は無く、まったく欲が無いと言ってもいい程だった。
  だからボーナスも家族サービスには使わず、こうやって由香に使える。

  2007-08-13 07:19:00
• 16:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  しかし男という生き物はどこか臆病で、罪悪感からその帰り道にケーキ屋に寄った。
  和明「ただいま！」
  秋子「おかえりなさい。今日は早いのね？」
  和明「たまにはね。ほら、これ駅前で買ってきたんだ。一緒に食べよう。」

  2007-08-13 07:22:00
• 17:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  秋子「あら。ケーキじゃない。嬉しい！」
  和明「日頃の感謝。こんなものでごめんな？お前は良い妻だよ。」
  こんな事を口では言いながら、由香ならもっと大袈裟なくらい喜んでくれるのにな〜と、秋子と由香を頭の中の天秤で比べていた。

  2007-08-13 07:26:00
• 18:

  けぃ

  面白い(^-^)!!頑張って下さいｯｯ!!!

  2007-08-13 08:55:00
• 19:

  名無しさん

  マスオさんて婿養子ちゃうで！サザエの名字とカツオの名字が違うの、知らんやろ？サザエの家でにサザエの親、兄弟と一緒に住んでるだけやし
  よう確かめてから書いたら？

  2007-08-13 10:17:00
• 20:

  名無しさん

  サザエの名字って何やっけ？
  
  でも世間ではマスオ＝婿養子なんやしいーんちゃう

  2007-08-13 11:00:00
• 21:

  名無しさん

  ↑フグタだよ

  2007-08-13 14:17:00
• 22:

  名無しさん

  期待あげ?

  2007-08-13 14:27:00
• 23:

  名無しさん

  サザエはフグタ
  親兄弟は磯野
  
  マスオは婿養子ではない

  2007-08-13 15:27:00
• 24:

  名無しさん

  そーいやフグタさんかぁ
  
  まー細かいことは気にせんとこや?
  続き気になるし?

  2007-08-13 18:28:00
• 25:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  そういえばマスオさんは婿養子じゃないですね?
  一般的に、マスオさん＝婿養子みたいな感じで使うんで勘違いしてました?
  いまから続き書きます?

  2007-08-15 01:47:00
• 26:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  そんな僕の気持ちも知らない秋子は、やっぱりボーナスの使い道を聞く事も僕におねだりをする事も無かった。
  本当に「良い妻」だ。
  本当に‥「都合の」良い‥

  2007-08-15 01:51:00
• 27:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  秋子は毎朝５時に起きる。
  朝御飯を作って、僕のカッターにアイロンをかける。
  会社に持って行くお弁当の中身は全て手作りで、冷凍食品も無く栄養バランスも完璧だ。
  毎日掃除もしてくれているし、とにかく文句のつけようがない。

  2007-08-15 01:56:00
• 28:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  それとは正反対の由香は、毎日昼の３時に起きる。
  それから買い出しをして、店の開店準備をする。
  洗濯も週に２回だし、掃除もあまりしていないようでお世辞にも綺麗好きとはほど遠い。
  だけど、その生活感の無さが魅力のひとつなんだろうか。

  2007-08-15 02:01:00
• 29:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  今日も僕は手土産をぶらさげ、鼻の下をだらしなくのばし由香に逢いに行く。
  由香「和明さん..。由香ね、和明さんの事本気で好きなの。」
  和明「僕もだよ？僕も由香の事がすごく好きだ。お前が妻だったらどんなに良かったか..」
  

  2007-08-15 02:11:00
• 30:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  安っぽい台詞も、この関係の場合必要だと思う。
  少なからず、僕はそう思っていた。
  適当な愛の言葉を並べつつ、由香と体を重ねた。
  家に帰れば僕は「良い夫」になる。
  秋子にかける言葉も嘘臭くて、どれが本物の愛なのか分からなくなっていた。

  2007-08-15 02:17:00
• 31:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  和明「妻と別れたら、由香を僕の妻にしたいなぁ。きっと素敵な家庭になるよ。思わない？」
  由香「本当？！嬉しい！和明さん..そう言ってくれるだけで私幸せよ。」
  もちろん秋子と別れる訳にはいかない。
  そんな気もさらさら無いし、僕の実家と秋子の実家との契約。
  僕がこの約束を破れる訳が無かった。

  2007-08-15 02:25:00
• 32:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  あれは結婚が決まった時。
  
  お義父さん「和明君。分かってはいると思うけど、くれぐれも秋子を幸せに..泣かす様な事が無いように。もしそんな事があった時、その時は..」
  和明「もちろんです。秋子さんとお義父さんには感謝の気持ち以外無いですから！秋子さんは僕が幸せにします！」

  2007-08-15 02:30:00
• 33:

  もここ◆XBnCSHhjY2

  僕の実家の会社を助けてくれた恩人でもあるお義父さん。
  恩を仇でかえすなんて事はできないのは分かっていた。
  同様に遊び慣れている風な由香が、こういう台詞は上べだけだと分かっていてくれてると思っていた。
  

  2007-08-15 02:35:00