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『CROWN』

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  • 1:

    岬◆0VqeGnmcCY



    TURN1〜目覚め〜

    2007-10-16 00:47:00
  • 2:

    名無しさん

    「・・・ヲ記入、新規データ入力、登録完了シマシタ。D‐カードハ『ジャック・ハート』デス。」

    「・・・。・・・。・・・?何処だ、ここは?」

    2007-10-16 00:50:00
  • 3:

    岬◆0VqeGnmcCY

    真っ白な部屋の中、その中心に備え付けられたベッドの上にその青年ザックはいた。ザックはしばらく天井を見つめ途方に暮れた。サッパリ意味がわからないからだ。短髪で黒髪、漆黒の瞳を持つ、17、8歳くらいであろうその青年はこの異常事態に混乱する気持ちを抑え、落ち着いて自分の記憶を辿った。

    2007-10-16 00:53:00
  • 4:

    岬◆0VqeGnmcCY

    「オレは昨日の夜普通に自分の部屋で寝たはずだぞ。なのに何故こんな場所に?そもそもどうやって?オレはいつ・・・」

    突然部屋の隅に設置してあるテレビの画面がついた。ザックは驚きながらその画面に視線を送る。画面には一枚のトランプが写っていた。

    2007-10-16 00:57:00
  • 5:

    岬◆0VqeGnmcCY

    (・・・ハートのジャック?)
    画面はそのままで男性の声が聞こえる。

    「おはよう、諸君。突然の出来事に動揺しているとは思うが、今から私の話すことはよく聞いておいたほうが良い。君達が生き残るための大切な情報だ。」

    2007-10-16 01:00:00
  • 6:

    岬◆0VqeGnmcCY

    (生き残る?何を言ってるんだこいつは?それに諸君ということは他にもオレと同じ連中がいるのか?)
    男は淡々と話を続ける。
    「まず、君達は元の生活に戻ることはできない。解放される方法は今から説明するこのゲームをクリアすることだけ。ここに来てしまった時点で君達はこのゲーム『CROWN』に参加しなくてはならなくなったのだから。君達は選ばれたのだ。運が良かったと感じるか悪かったと感じるかはこれからの君達次第だ。」

    2007-10-16 01:03:00
  • 7:

    岬◆0VqeGnmcCY

    「さて、ではルールを説明しよう。クリア条件は簡単なことだ。ただ殺し合いで勝ち残ること。与えられる武器は先程から画面に映っているこのカードのみ。君達のベッドの枕の下にあるから見てみるといい。このカードこそこのゲームの鍵を握るものだ。カードはそれぞれ武器に変化し、能力を持つ。カードは一人に一枚支給される。つまりこのゲームでその一枚だけが命綱ということだ。もちろん他人からカードを奪うのも自由だ。命綱はあるに越したことはない。それから、もう気付いているとは思うが、ゲームの中には同じようにカードを使うものが大勢いる。だが敵はそれだけじゃない。注意することだ。私が君達に与える情報はここまでだ。後は自分達で考え、情報を集めろ。さあ、準備ができ次第部屋を出るが良い。それと一つ言い忘れたが、『カードは生き物だ』。健闘を祈る。」

    2007-10-16 01:14:00
  • 8:

    岬◆0VqeGnmcCY

    テレビの電源が切れた。どれだけの時間が経っただろうか。非現実的な状況を押しつけられ、頭の中を整理するためにしばらく俯いて考え込んでいたザックは顔を上げた。そして一つの答えを導きだした。
    「殺し合いを見て楽しむ異常者か・・・。冗談じゃない!オレはここを抜け出してみせる。なるべく多くの人を助けられる別の方法を探して!」

    2007-10-16 01:18:00
  • 9:

    岬◆0VqeGnmcCY

    ザックは先程の男が言ったことを思い出し、一枚のカード『ハートのジャック』と一枚の紙切れを取り出した。ザックは紙切れに書いてある言葉をつぶやいた。
    「JACK OF HEART」
    次の瞬間、手からはカードが消え〈ギィン!〉という音と同時に床に落ちた物は
    「・・・ナイフ?」

    2007-10-16 01:21:00
  • 10:

    岬◆0VqeGnmcCY

    よく映画等で見かけるミリタリーナイフがそこにはあった。
    「馬鹿な・・・これから命懸けの戦いになるというのに!自分を守るたった一つの命綱がこのナイフ?」
    他人に支給されたであろう強力な武器を想像するとザックは絶望した。頭のなかに元のカードをイメージするとナイフは元のカードに戻った。
    行くしかない。ナイフに備わった未だ未知の能力を信じて。ザックは深呼吸をして部屋のドアノブに手をかけた。ふとザックの頭に男が言った一言が浮かんだ。

    2007-10-16 01:24:00
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