小説掲示板どうか赦して。のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

夜遊びweb掲示板 関西夜遊びweb掲示板 関西
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

どうか赦して。

スレッド内検索:
  • 1:

    よかったら読んで下さい。

    2007-11-13 00:08:00
  • 2:

    『別れよぅ。      突然ごめんね、     ほんとにごめん。                嫌いになったんじゃない。あなたが悪い訳でもない。ただあたし自身の問題で、これから付き合ってはいけない。         ただそれだけなんよ。  もしあなたが赦してくれてもあたしは自分を赦す事が出来ない。                   あなたに会えて     一緒の時間過ごせて   好きだと言って貰えて  本当に幸せでした。   本当に心からあなたに会えてよかったと思います  大袈裟かもしれないけど あたしはあなたに救われたから。         あなたの存在に救われたよ。                       何にも返せなくて    何にもしてあげられなくて一度も好きとか愛してるとか言葉で言えなかったけど本当に大好きやったよ。             東京にはあたし抜きで行ってきて下さい。     あたしはもう此処には帰ってこんし、きっと二度と会う事もないけど                 幸せになって。                 メールでしか別れられんあたしをどうか赦して。  どぅか幸せに      今までありがとう』

    2007-11-13 00:09:00
  • 3:

    これが君から来た、最後の連絡だった。

    2007-11-13 00:11:00
  • 4:

    結局は優しさも、自己満足だと思う。       けれど自己満足でいいのよ。           相手を想う事に意味があるんだし。                                            いつか君が言っていた。             ようやくその意味が               わかった気がする。

    2007-11-13 00:16:00
  • 5:

    人を憎んだ事?                 …あるよ。殺したい程ね。けど、憎しみだって結局自己満足よ。       それなら、憎まないでいた方が楽でしょ。                             また君はそうも言った。             けれど俺はまだこの意味がわからない。                  自分自身を憎む場合だってあるじゃないか。                自己満足だからだなんて、片付けられない。                君の痛みに気がつかなかった自分を赦す事なんか出来ない。                     どうか                     赦して。

    2007-11-13 00:22:00
  • 6:

    俺が君と出会ったのは、2年前の冬だった。    何年ぶりかに降り積もる雪をきらびやかなネオンが照らしていた。                   『寒いなぁ。陸、もぅ店帰らへん?』                   『あぁ、帰ろ。ありえへんな。キャッチなんてやってられへんわ』                    街には人通りはまばら。皆急ぎ足で過ぎていく。  俺を陸と呼ぶそいつは、俺が働くホストクラブの同期だった。

    2007-11-13 00:31:00
  • 7:

    『コンビニ寄ろや-』    俺は彰に言う。     『はぁ?俺寒いから先戻るで。一刻も早く帰りたい』信じられないという顔で俺を見る。                    『ほな後で店でな』   彰と別れ、コンビニに入る。煙草とコーヒーを買う。               コンビニを出ると、ため息が出た。         白く白く
    白い蒸気が暗闇に消えた。

    2007-11-13 00:38:00
  • 8:

    あの頃いつも思ってた。             行きたい。                   此処ではない何処かに。             誰も俺を知らない何処かに。

    2007-11-13 00:41:00
  • 9:

    はらはらと舞落ちる白くはかない雪を見て、ぼんやりと雪国に行きたいなんて思った。                     白く染まった道を歩く。             今日は街が白い。                今日は指名客は1人しか来る予定がない。     この雪のせいで、今日は行けないと皆口を揃えた。

    2007-11-13 00:47:00
  • 10:

    …ドンッ                     『すみません!』    ぼんやりしていたせいで誰かにぶつかった。                白い雪の上に、白いコートの女が膝をついていた。              『大丈夫ですか?』   女の前に回って手を差し延べる。                     『大丈夫です…』    俺の手は取らず、立ち上がる。差し延べた手に雪が溶けた。

    2007-11-13 00:51:00
  • 11:

    女はパンパンと膝を払い、顔をあげた。       『すみませんでした』              明らかに水商売の女だった。
    可愛い顔をしているが、格別目を引く顔立ちではないのに、何故か目を奪われた。                       足早に俺の横を通り過ぎる。                       気付けば俺はその女の腕を掴んでいた。

    2007-11-13 00:59:00
  • 12:

    『よかったら、俺の店に来ーへん?!転ばせた詫びにただでえーし!』                何を口走ってんだ俺は。             女は訝し気に俺を見た後、にっこり笑って     『気にしないで下さい。』そう言って去っていった。

    2007-11-13 01:04:00
  • 13:

    あのにっこり笑う笑顔が、今でも忘れられない。              どんな時でも      彼女は笑っていた。               けれどあの笑顔が本物ではなかったと       どうして気がつけなかったのかと…                    俺は悔いている。

    2007-11-13 01:07:00
  • 14:

    なんで俺はあんな事を言ったんだ?        自問自答しながら店に戻ると、代表が傍に来た。  『どうやったー陸?人歩いてたか?』       答えはわかっているが、という顔で俺に尋ねる。              『さっぱりですね。』              『今日は暇やな。』   ため息をついて戻っていった。

    2007-11-13 01:28:00
  • 15:

    『陸!!』       名前を呼ばれる。    振り返ると、うちの店のNo.1の響がいた。     不動のNo.1。雑誌でも大きく取り上げられるうちの店で、これほど長い間No.1を保持したのは初めてらしい。           色恋枕、全てを駆使し、お水の客を風呂に落とす…風俗で働かせる事でも、この業界では有名な奴だった。

    2007-11-13 01:35:00
  • 16:

    『今日客呼べそうかぁ?』人なつっこい笑顔で言う。『全然ー』       指名客1人しか予定がない事を告げると、ゲラゲラと笑って駄目やんNo.3と罵られた。                      一応常にNo.3辺りに俺はいた。          ある程度色を使ったが、枕だけはしなかった。   代表に、No.1に上り詰めたければもっと貪欲になれ。そう言われたが、風呂に落としてまでNo.1になりたいとは思えなかった。

    2007-11-13 01:42:00
  • 17:

    ??ゆな??

    面白そお??又来ます?

    2007-11-13 01:48:00
  • 18:

    こんな日でも響指名の客は多かった。                   俺は来てくれた客の相手をしながら、さっきの白いコートの女の事を考えた。              『陸ー聞いてー。みか今月No.2やってんでえ!』  携帯で自分の働くキャバクラのサイトを俺に見せ、意気揚々と言う。        『すげえやん!よお頑張ったなあ』        みかの頭をなでながら、携帯サイトに目を向けた。              『ん?』

    2007-11-13 01:50:00
  • 19:

    一枚の写真に目が止まる。なんとなく、さっきの白いコートの女に似ていた。              『なあみか、このコって最近入ったん?』                 『んー多分。あんまし話した事ないけど…なんで?気になるん?』      嫉妬に埋まった目で俺を見る。          『ちゃうわ。知り合いに似ててん。みかんが可愛いし。』          みかの頬に手をあてて言った。                      嬉しそうにするみかを横目に、サイトに書いてあったありさという名前に気をとられていた。

    2007-11-13 02:02:00
  • 20:

    あの時、"ありさ"という名前のコを知り得なければ、きっと君と出会えなかった。                       もし出会わなければ、君が罪の呵責に苛まれる事はなかったんだろうか。               俺からすれば      君はなんの赦しも請う必要はないよ。                   赦してと願うのは                寧ろ俺のほうだ。

    2007-11-13 02:08:00
  • 21:

    ゆなさんありがとう?また更新します。よかったら来て下さい?

    2007-11-13 02:09:00
  • 22:

    ある日俺は響に連れられてみかのいるキャバクラに営業に行く事になった。                小さい箱ではあるが、客入りはよく、ここでNo.2を取るみかの金振る舞いの良さに納得した。                  店に入ってボーイに席に通され、俺はみかを指名した。            『ありさチャンて娘指名で』                        響がボーイに告げた。

    2007-11-13 16:00:00
  • 23:

    頷くボーイを視界に入れながら、頭の中でその娘の顔が浮かんだ。                   『ありさて響の客なん?』            『まだ来た事ないけど、そろそろ店に呼ぶつもりやで。いっぱい落としてって貰わんとな。』      無邪気な顔で笑いかける響は、目だけが笑っていなかった。                     同じ時期に入りNo.1を維持する響。        こいつが売れる理由は、俺でもわかる。      こいつは                    恐ろしい。

    2007-11-13 16:04:00
  • 24:

    『りーくー♪』     みかが俺に抱き着いてくる。猫撫で声で俺に話し掛ける。                      目の前に、ありさなる人物が立っていた。                 『こんばんは。』    響に話し掛けるその横顔は、あの女に似ていた。              けれど                     違う女だ。

    2007-11-13 16:07:00
  • 25:

    似ている。けれど違う顔。赤の他人だとは到底思えなかった。                    思わずありさに尋ねた。             『ありさチャンて、女姉妹いてる?』                    ありさは目を見開いて、にっこり笑った。     笑った顔はそっくりだが、ありさの笑顔には、無邪気さしかなかった。    『お姉チャンがいます。知ってるの?』                   直感で、あの女が姉だとわかった。

    2007-11-13 16:12:00
  • 26:

    『お姉チャンもキャバクラ?』             俺が尋ねると、ありさは目を臥せた。                   『陸、百合の事知ってんのん?』         響に言われて、響を見る。            『百合?』                   『せやで。一回店来た事あんで。俺の客と違うけど。百合は風嬢やでー。』

    2007-11-13 16:17:00
  • 27:

    君は、優しさは自己満足だと言っていたけど    彼女を想う君の気持ちは 自己満足だなんて    言い切れない。                 憎んではいないのか?              君を暗闇に落とした彼を。            憎んではいないのか?              君を落として迄、追い掛ける事をやめられなかった彼女を。

    2007-11-13 16:22:00
  • 28:

    ありさは誰の目から見ても明らかに、響に惚れていた。           関東から来たのか、標準弁で朗らかに話す。                そういえば、あの白いコートの女、百合も関西訛りがなかったように思う。               風俗嬢…そんな風には見えなかった。       どちらかといえばキャバ嬢に見えたが。                   『ありがとうございました』           会計を済ませて立ち上がる。           みかとありさに見送られて店を出た。

    2007-11-13 20:43:00
  • 29:

    店を出て響と並んで歩く。            『なあ響』       『なんや?』      『お前は百合の事なんで知ってんのん?お前口座ちゃうんやろ?』                  『あぁ…俺にあるお願いをしにきてん。』                 『お願い?』                  『せやで。てか百合は今風俗業界ではかなり売れっ子やで。
    …キャバ嬢んときも売れてたけどな』        そう言って響はにかっと笑った。                     『なんや陸、百合の事気になるん?てか知り合い?』            『いや…』                   『客として引っ張るんは無理やから諦めや』

    2007-11-13 20:52:00
  • 30:

    背筋がゾクっとした。  響が俺を見て笑っている。                        『諦めや。アレは俺のもん』

    2007-11-13 20:55:00
  • 31:

    守りたくて                   けれどその術を間違えてる事はわかっていたんだろう?           自分の気持ちを殺し続ける事なんか出来ないよ               きっと君が1番強く願っていた。                     此処ではない                  何処かに行きたい。

    2007-11-13 22:15:00
  • 32:

    ゆな

    深いね???

    2007-11-13 22:32:00
  • 33:

    ゆなさん何度もありがとう?また更新します

    2007-11-14 02:46:00
  • 34:

    さぁ

    あげ?

    2007-11-14 04:57:00
  • 35:

    さぁサンあげてくれてありがとう?

    2007-11-14 23:04:00
  • 36:

    響のその言葉を聞いた後、俺は響に付き合っているのかと尋ねた。                  すると響は                   『金のなる木』                 と答えたんだ。                             たかだか一回会っただけ。というよりただすれ違っただけなのに、百合の事が心配で堪らなかった。               会いたい                    彼女に。

    2007-11-15 00:57:00
  • 37:

    クリスマスを目前にしたある日曜日、仕事を終え、ヘロヘロになりながらコンビニに立ち寄った。         女の子がその白い身体を露出させた分厚い雑誌を手にとり、彼女の名前を探した。                       あるページで手が止まる。                        当店No.1人気嬢、百合              紛れも無く、あの白いコートの女だった。

    2007-11-15 01:08:00
  • 38:

    店の場所を確認し、俺は彼女に会いに向かう。               この衝動が何なのか自分でさえわからなかった。  恋だとか愛だとか、そんな甘い言葉では言い表せない            ただただ        早く会わなければ。   そんな焦燥感に駆られていた。

    2007-11-15 01:12:00
  • 39:

    百合の働くこの店は、本番有りな事で有名だった。 表向きはもちろん本番禁止。けれど、交渉でたやすく本番が出来る。                 店に入ると男が来た。  『いらっしゃいませ。初めての方でしょうか?』  微笑みながら、会釈をする。           『初めてです。百合さん指名したいんですが。』  『ありがとうございます。』           もう一度会釈をする。  『申し訳ありませんが、百合のほうは予約でいっぱいになっておりまして、完全電話での御予約になりますので…』        笑顔が張り付いた能面のような顔をしている。               『そうですか…ほなまた電話を…』        『…店長!あの、百合指名のお客様が…』     諦めて帰ろうとしていると、下っ端らしき男がさっきまで話をしていた男を引き止めた。

    2007-11-15 02:17:00
  • 40:

    『少しお待ち下さい。』 そう言って二人は奥へと引っ込んだ。                   なんなんだ?      手持ち無沙汰で携帯を開くと、客から何十件も着信が入っていた。                  日曜日だし折り返し電話はしない。        ため息をつき携帯を閉じると、店長が微笑みながらやってきた。                   『急にキャンセルが入りまして、90分迄でしたら承りますが』                   会わなくては。                 『90分でお願いします。』

    2007-11-15 02:24:00
  • 41:

    ゆな

    しぉり?

    2007-11-17 00:36:00
  • 42:

    ☆ぁん☆

    気になる??

    2007-11-18 18:57:00
  • 43:

    ゆなサン、ぁんサンありがとう?更新遅れてすみません

    2007-11-18 22:00:00
  • 44:

    すみません?
    何故か禁止ワードで何回書いても更新出来ないので、また明日にでも違うスレッド作ります。よかったら来て下さい!題名や内容はほとんど変えないので?

    2007-11-21 01:30:00
  • 45:

    ゆな

    禁止ワード増えたよね?
    出来たら教えてなあ???

    2007-11-21 02:17:00
  • 46:

    .

    age

    2007-11-30 09:14:00
  • 47:

    そんな細い腕で     そんな白い足で     君は何を背負っているんだ            辞めてくれ。      もうこれ以上傷つかないでくれよ。

    2007-12-09 21:16:00
  • 48:

    ボーイに着いて、立ち並ぶホテルのような部屋の前を歩く。綺麗な廊下の中に哀しい風が吹いているような気がした。                      『こちらです。ごゆっくりどうぞ。』                   部屋のドアノブに手をかける。横目にボーイが去っていくのが見えた。                  少し躊躇したが、会いたくて会いたくて堪らない衝動に駆られていた。                ガチャ                      薄いピンク色の照明が目に入ってきた。

    2007-12-09 21:27:00
  • 49:

    『ご指名ありがとうございます』         目の前に百合なる女が立っていた。        ピンクのレースの下着の上に、シースルーのキャミソール。     顔を見る事が出来なかった。                       『どぅしたの?気分悪いですか?』        百合は言う。                  『いや…』                   『部屋に入って?寒いでしょう?』        目を伏せたまま、部屋に入った。

    2007-12-09 21:32:00
  • 50:

    部屋に入ると、ほんのりと香水と消毒液の香りがした。           すらりの伸びる白く細い足が視界に入る。     胸が痛くなった。                『貴方、この間お会いしましたよね?』                  はっと顔を上げると、百合はあの時と同じように、にっこりと笑っていた。

    2007-12-09 21:36:00
  • 51:

    君はどうして俺を覚えていてくれたんだろう。   寒い日に変な奴がいたな、くらいだったのかもな。             俺達が出会ったのが   この世でいう『運命』ってやつなら        神様が俺に、あの子を救えと命を下したんだと思う。                        赦して下さい。     彼女を救えなかった俺を。            どうか                     もう一度チャンスを。

    2007-12-09 21:40:00
  • 52:

    栗色の髪に白い肌。   にっこり笑う百合の笑顔はやはり哀しみが見えた。             『覚えてくれててんな』             くすっと笑い彼女は言う。『なんでかはわからないけど覚えてるよ。ホストさん』                       あの時の自分を思い出して笑ってしまった。                『寒い日にこかしといて、何が店に来いやねんってかんじやった?』     『あははっ…そうね。』 『ごめんなー』     『いいよそんなの。皆必死だわ。』                    百合はソファに腰を下ろした。

    2007-12-09 21:48:00
  • 53:

    『だけど…こんなところでまた会うとは思わなかった。偶然って怖いわー』              『偶然ちゃうで』    百合の隣に座った。   偶然じゃない。何故かわからないけど会いたかったんだ。                      百合の方を向くと、不思議そうな顔をしていた。  『とりあえず、シャワー浴びる?』                      キャミソールを脱ぎ、谷間や腰をむきだしにしながら百合は言った。

    2007-12-09 21:54:00
  • 54:

    『いや…』       立ち上がり、バスルームからローブを取ってきて百合に着せた。                      『そーゆ事しに来たんと違うから。』       煙草に火をつけた。               そうやな。ここはそういうところだった。     毎日その身体を親父達が貪っていると思うとイライラした。                       不意に横から煙草を取られ、その手はそれを灰皿に押し付けた。

    2007-12-09 21:59:00
  • 55:

    『なんや…』      振り向くと、ローブを脱ぎ、下着を脱いでいた。               ふっと首を反転させる。 百合の冷たい手が、俺の首筋に触れた。                  『はよ服着ろ。ほんまにそんなんしにきたんと違うから。』         裸になった百合にイラついた。なんでそんなことすんだ。俺はそんなことしたいんじゃない。                   首筋にキスをしてくる。豊かな胸が俺の腕にあたる。細くしなやかな手が俺の身体を探っていた。                 『やめろ!』

    2007-12-09 22:06:00
  • 56:

    百合の身体が固まり、さっと身を引いた。     ローブを手に取り、窓際に歩いた。                     『ごめんなさいね。』              ローブを羽織り、背を向けながら言った。      少し声が震えていた。              思わず走りより、腕を引っ張る。         『ごめんね。』     泣いているのかと思ったが、哀しそうに微笑んだ。             抱きしめていた。

    2007-12-09 22:11:00
  • 57:

    どちらが傷ついていたかなんて誰にもわからない。 彼女か君か、どちらがより辛かったかなんてわからないよ。                     傷ついて欲しくなかったんだろう?        これ以上彼女が壊れるのを見たくなかったんだろう?            けれど君も壊れてしまう。君は何も悪くない。   自分自身をどうか赦してやってくれ。                   誰が悪いかなんて    わかりきった事なのに。

    2007-12-09 22:20:00
  • 58:

    強く強く抱きしめて、この子が壊れてしまえばいいと思った。                    『ごめんなさい。離して?』           百合は淡々と言う。               腕の力を緩めると、百合は俺の腕からするりと抜け出した。         またにっこりと笑う。  彼女の笑い方はいつも一緒。いつも哀しそうだ。              『ありさチャンて妹おるやろ?』          『……………どうしてありさを知っているの?』              『俺は響と同じ店で働いてるから。』

    2007-12-10 00:40:00
  • 59:

    響の名前を聞いた途端、百合の顔が強張った。               『……そうなの。』   『響となんで知り合いなん?頼み事ってなに?』              『貴方には関係のないことよ?』         にっこり微笑んだ。               『何をそんなに背負ってんねん?』        たかだか一回会ったくらいで真実を語ってくれる訳もないけれど、知りたかった。荷物を分かちあいたかったんだ。                    『何も背負っていないわ。あたしは身軽よ?』   百合は笑った。

    2007-12-10 00:50:00
  • 60:

    『嘘や。身軽な人間は、そんな顔して笑わへん。なんで風俗やってんねん。借金でもあるんか?』    不躾で失礼極まりない質問だとわかっていた。               『借金なんてないよ。好きでやってるのよ。』   『そんなわけない。』  そんな事あるはずがない。            『どうして?』     『お前心底楽しそうに笑ってへん。』       泣いてるみたいに笑うなよ            『あははっ面白い事ゆうのねー。楽しいから笑うのよ、人間って。』     にっこり笑っていた。

    2007-12-10 00:57:00
  • 61:

    『ところで…何にもしてないけど、そろそろ時間なんだよね…』       ごめんね、せっかく来てくれたのに。と申し訳なさそうに頭を下げた。                『謝らんといて。また来るから。話しに来るから。』百合の小さな頭を撫でた。                        『…どうして?』    『別に?なんとなく。』             俺の言葉を聞いて、あははっと彼女は笑った。               部屋を出るとき、ありがとうと彼女は呟いた。

    2007-12-10 01:04:00
  • 62:

    優しいな、なんて言ったらきっと君は否定するだろうけど          君程優しい人は他にいないんじゃないかと思う。              もう嫌だと泣き付いて              助けてくれと縋り付いて             全てから逃げてしまえばよかったのに。                  もし君がそう言うなら、俺は全てを捨てて君を連れ去るよ。                     此処ではない                              何処かに。

    2007-12-10 01:12:00
  • 63:

    それから俺は仕事が終わった後、週に2〜3回程百合の店に通った。                  始めに会った時以来、風俗の事や響の事、込み入った話は出さなかった。               たわいもない話をして、たわいもない話を聞いた。             百合はいつの間にか、俺を陸と呼んでくれるようになった。                     貴方から陸、に。

    2007-12-10 01:40:00
  • 64:

    相変わらずの毎日。   今年の冬は長いらしく、そろそろ3月に入るというのに外気は冷たかった。              響は相変わらずNo.1を保っている。        俺も相変わらずNo.3辺りを上がったり下がったりしていた。                     月曜日の出勤前、早くに家を出て、初めて朝方以外に百合に会いに行こうと思った。                      スーツを着込み髪をセットし、街に出た。

    2007-12-10 01:47:00
  • 65:

    百合と出会って一ヶ月半程経つなぁと考え事をしていると、ラブホテルから響が出て来るのが見えた。              また枕か。                   見てみぬフリをするのが1番。二人が見えなくなるまで待っていようと立ち止まった。                      『やだぁー響』     聞き覚えのある声が聞こえた。                      女を見ると、      ありさだった。

    2007-12-10 01:53:00
  • 66:

    『もうすぐ店呼ぶで。』 響の異様な笑顔を思い出した。          そうか…あの娘もそのうち風俗行きか…。                 百合の妹。       けれど俺にはどうする事も出来ない。       百合はどう思うんだろうか。                                   嫌に、決まってるよな。             百合には話して置こう。             二人が見えなくなったのを確認して、ネオン街を走った。

    2007-12-10 01:57:00
  • 67:

    『いつもありがとうございます。ご予約承っております。120分でよろしかったですか?どうぞごゆっくり。』          あの能面店長に頭を下げられながら、いつものように百合の部屋に入った。              『おはよぅ』      普通に服を着て百合が出迎えてくれる。      『今日こんな時間に陸が来てくれるって聞いてびっくりしたよ。珍しいね?』             『ん…なんとなくな。』             あははと百合は笑った。 少しだけ、楽しそうに笑ってくれるようになった気がする。

    2007-12-10 02:03:00
  • 68:

    『今日は今から出勤?あたしに会いに来てる暇があったら、同伴くらいしなさいよー』         『んー今日はゆっくりしていきたいねんー』    『そうかぁ。そんな日もあるわね。』                   にっこり笑う百合の頭をぽんって撫でた。                 『なあ、百合はさ、ホストの枕営業てあかんと思う?』            『そうねぇ…。仕事に、善いも悪いもないんじゃないかなあ。』       『でも、一般的に、身体売るんって…その…』   『悪い事って言われるわね。』          百合の仕事だって一緒なのに、嫌な想いをさせてしまった。                     『わりぃ…変な事聞いた』『変じゃないよ。多分、悪い事なんだと思う。けど、やっぱり善いも悪いもないわ。しなくちゃいけないか、しなくてもいいか、よ』            『ホストの枕はどっちやと思う?』                     『人それぞれね。』               そうかもしれない。

    2007-12-10 02:14:00
  • 69:

    『どうしてそんな事聞くの?』          『いや…』                   話すべきか話さぬべきか迷ったが、言う事にした。 『今日、響とありさチャンがホテルから出てきてん。』              『そう…』       一瞬間が空いた。                『響が枕し始めたって事は、風俗に行くよう話進めだすって事やねん。ほんで大概皆落ちる。妹がそんなんなるん、嫌やろ?』               『大丈夫よ。』                 『嫌やったら、俺がなんとかすんで?努力してみ…』『大丈夫よ。』                 百合はにっこり笑っていた。           『ありさは絶対に風俗には落とされないよ。大丈夫』

    2007-12-10 02:22:00
  • 70:

    君だって被害者だろう? 彼女も彼も被害者かもしれないけど        君だって被害者だ。               全ての罪を背負う必要なんかないんだ。                  憎めたら簡単だよな。              憎めたら楽だよな。               けど君はそれが出来ないんだよな。                    優しいよ。自己満足なんかじゃない。これが優しさだ

    2007-12-10 02:28:00
  • 71:

    まり☆

    また更新はじめたンゃぁ☆頑張ッてねぇ?

    2007-12-10 02:38:00
  • 72:

    まりサンありがとう?
    やっと更新出来るようになったんでまた読んで下さい?

    2007-12-11 00:51:00
  • 73:

    ??ゅな??

    話が見えへん?

    2007-12-11 07:24:00
  • 74:

    百合のこの笑顔の訳がわかるのは         ………まだずっと先の話。                        悲しい優しさなら    もたなければいい。               何かを犠牲にして人は生きているけれど      それが自分だなんて悲し過ぎるじゃないか

    2007-12-24 10:24:00
  • 75:

    百合とはこんな調子で週何回か会っていた。                彼女の宣言通り、ありさはキャバを続けていると、みかから聞いた。                  もう冬は終わりを迎え、春の匂いが街を満たし始めていた。
    相変わらず響はNo.1をキープしていた。

    2007-12-24 10:30:00
  • 76:

    cd

    2007-12-24 12:17:00
  • 77:

    『あたし桜って好き』  『ほんま?俺も好きや』 『ねっ。うんと小さい頃、お花見に一度だけ行った事があるの。満開の桜の中で母親の作ったお弁当食べたわ』                      いつものように百合の店に行って話をしていた。

    2007-12-24 14:34:00
  • 78:

    『ねっ。今度の日曜日、よかったらお花見行かない?』                       『ああ………えっ?』  驚きのあまり声が裏返ってしまった。       『あ…ごめんなさい。嫌ならいいの』       焦って付け加える百合。             違う!嫌なわけない。              『嫌ちゃうよ。行こうや』内心飛び上がりたいくらい嬉しいのに、平常心を装って答えた。

    2007-12-28 12:32:00
  • 79:

    思い返してみれば、俺はいつもそうだった。    ホストのくせに感情を表に出すのが下手くそだった。            仕事でなら甘い言葉がすぐ口をついて飛び出すし、ありがとうって頬にキスするくらいたやすいのに。              演技してない素の俺は、『何考えてるかわからない』『あたしの事本当に好きなの?』なんて言ってよく振られた。        女が離れて行こうが嫌われようが、なりふり構った。なりふり構わないくらい格好悪くなりたくなかった。そこまで夢中になれなかったんだ。

    2007-12-28 12:39:00
  • 80:

    『…本当に?』     申し訳なさそうに俺の顔色を伺う。                    違うよ。本当はめちゃめちゃ嬉しいんだ。                 『本当に。絶対行こう。約束な?』        『…うん!』      嬉しそうに笑う彼女を見て俺も嬉しくなった。   誰かの笑顔でこんなに幸せな気分になるのは初めてだった。

    2007-12-28 12:43:00
  • 81:

    名無しさん

    待ってます

    2008-01-25 15:38:00
  • 82:

    名無しさん

    続き気になる

    2008-06-03 18:15:00
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
どうか赦して。を見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。