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ユリの花
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1:
『好きだよ』
『愛してる』
『離れたくない』
愛を表す言葉は様々だけど、私にとってそれはただのチープな言葉でしかなくて本当に愛する人でなくても簡単に言える言葉だと思ってた。2007-11-19 20:39:00 -
21:
主
私がいつものように仕事をしていると、ドアのすずの音と共に『予約してないんだけどカットできますか?』と声がした。その声はすごく優しくて私が忘れもしない声だった。
『カットだけですか?』と店長の声がする。半分虚ろに私はそのやりとりに耳を傾ける。途中からあの時のことがフラッシュバックしていて、私が気づいた時には彼は鏡の前に座っていた。
彼は前髪を触りながら『全体的に形を変えずに少し短くしてください』と店長に伝え、『妹に長すぎるって怒られたんですよ』と笑った。
それからお客さんが増えてきたので私が彼と話すことはなかったが、彼の少し控えめな屈託ない笑いは最後のありがとうございましたまで途切れることがなかった。2008-01-02 05:18:00 -
23:
主
その日の営業終了後、私は店長のもとに行き彼のことを聞いた。店長は『君がお客様とはいえ他人を気にするなんて珍しいね』と余計な一言を言ってから彼のことを話してくれた。すごく物腰が柔らかだったとかよく笑う子だとかここの近所に住んでるとか大学生の妹がいるだとかブラックコーヒーが好きだとか…そこまでの個人情報が知りたい訳じゃなかったけど自分が知りたいこともいまいちわからなかったので適当に相槌を打ちながら聞いていると店長はこう言った。『彼はたぶん今精神的につらいんだろうね』
2008-01-06 09:42:00 -
24:
主
『え?』
これまでの店長の話の中にはひとつもそんな負のイメージは出てこなかったから私が驚くのも当然だ。
『彼はよく笑うしそんな話なんてひとつも話さなかったけどほんの一瞬だったけど少し辛そうな顔をしたんだよ。疲れがたまっているとかそういう顔じゃなくて今にも泣きそうな。』
『彼は辛いことは自分の中に溜め込むタイプっぽいから相当きついことでもあったんじゃないかな。』そう言って少し黙った。私が困惑した顔をしたのを悟ったのか店長は『…まぁ僕がそう感じただけだから一概にはあってるとは言えないけどね。』と付け足した。2008-01-06 10:02:00 -
25:
主
店長は人の本質を見る人だった。最後に付け足した言葉は私を安心させるための淡い嘘。店長が確信を持っているのは確かで共に仕事をしている人間ならだれでもわかるその場かぎりの優しさ。そんな店長を嫌いではないが好きにもなれない。私がそうなんだと納得しないことを知っているはずなのにあえて付け足す意図がわからなかった。
2008-01-10 14:25:00 -
26:
名無しさん
?
2008-01-12 13:37:00 -
27:
名無しさん
楠根
2008-01-19 02:29:00 -
28:
――――――…
それからというもの、私はちょくちょく彼を見かけるようになった。それは居酒屋だったり駅のホームだったりと様々で、いつしか口こそ利かないまでも逢ったら会釈するくらいの関係になっていた。
そんな私たちが初めて話したのは、彼と逢って半年が過ぎたころだった。2008-04-18 02:13:00 -
29:
初めて、というのは語弊があるかもしれない。あの日のことを入れるのなら実質二回目だから。
『今日も雨ですね』
彼は空を見ながらそう言った。梅雨の時季というのもあり、最近は雨続きだ。
『そうですね。でも梅雨ですから』私がそう言うと彼はクスッと笑った。その顔はすごく人間的で、私があの時見たのは別人ではないかと思う。2008-04-19 02:28:00 -
30:
主
『あなたらしい答えですね。私はあなたをよく知らないけれど、私の頭の中のあなた像とさっきのあなたの言葉がすごく自然だったんです。』
そして、今度飲みに行きませんか?と柔らかな顔で私を見た。2008-04-28 02:49:00