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≡≡ボクノハコ≡≡
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1:
パル◆aE2ZLYxSAE
『ライア〜!!何処にいるの!?ゴロロロッ!!』 押し入れドアが凄い勢いで開いた、と同時に『ユパンッ!』気持ちのいいぐらいの音が僕のほっぺからスゥーっと伝わってきた。
『今日はママの大事な人が遊びに来るんだから部屋を片付けておきなさいって言ったでしょ!パンッル!』 軽快な音が乾いた部屋に鳴り響く『サわかったらさっさと片付けなさいナよ!』ママのドンドンドンドインと勇ましい足踏みが一階に響いていく
不協和音が鳴り止まない僕の部屋で何か違う音が聞こえ始めていた。2007-12-13 18:01:00 -
9:
名無しさん
主必死www
2007-12-14 01:15:00 -
10:
パル◆aE2ZLYxSAE
老人がライアの肩を掴もうとしたが、一瞬早く少年は店を飛び出した。
『また子供のイタズラかの。』老人は少年が手に取った本を探そうとした。が、その本は一見したところ見当たらない。しかし異変にすぐ気付いた。そのコーナーに無いはずのドス黒い本が真っ白な本しかない本棚に雑に押し込められていた。『はて?こんな本あったかのぉ?』手に取りよく見てみると、真っ黒かと思っていたその本は赤茶色も混ざっていた。老人は気味が悪くなり本を手放した。本を離した指の先にも色が付いている気がした。2007-12-14 05:08:00 -
11:
パル◆aE2ZLYxSAE
老人は本からまた別の異変を嗅ぎ取った。エタノールとアンモニア、それに何らかの花の臭いが部屋に充満していた。
『何かおかしい………。』明らかにこの本が原因だと思った。マッチと本を持ち一目散に店を飛び出した。『シュッ!シュッ!』震える手で火が中々つかない。『クソッ!』
何故たかが本に焦っているのか、本人でもわかっていない。しかし本能が感じ取っている。これは命に関わる事件だと。やっとの思いで火をつけ、本に投げ付けた。瞬く間に火が黒い本に燃え移っていく。2007-12-14 22:03:00 -
12:
パル◆aE2ZLYxSAE
『ふぅー』 一息つくと老人は振り返り、火を消す水を用意しようと一歩踏み出した。すると…また違和感……。『パチ、パチッ!』目の前の本は燃えている。勢いを増して。しか………し…。あの焦げ付くような匂いが、まるでない……。むしろ花の匂いがきつくなっていく。
本が燃やされているんじゃない、本が火を放っているように見えた。
訳のわからない状況に老人の脚はガクガク震えだし、手の中には汗が滲む。よろけた拍子に老人は地べたに手をついた。『痛っ!』指に何かが刺さった感覚がした。『………パチン…』指先の痛みよりも耳を疑った。そして………背筋が凍りついた。2007-12-14 22:34:00 -
13:
パル◆aE2ZLYxSAE
しばらくして、本に付いていた火は消えさった。
ライアは渋っていた。行く宛がまるで無い。と言うより外出すら何ヶ月もしていなかった。擦れ違う人達はライアを避けて歩いていた。それもそのはず、彼の脚は一目で分かるくらい異様にもたついていたからだ。更にボロ臭いコート。街の人々は冷たい目でライアを見ていた。2007-12-14 23:12:00 -
14:
パル◆aE2ZLYxSAE
本屋の主人が追い掛けて来ないか気になり、後ろを振り向いたとたん『バタン!!』ライアは段差に躓き、派手に転げ回った。
『うぅぅうっ』胸を強く打ち付け呼吸がままならない。『ゴホッ!ゴホッ』口の中が切れていた。手に血が滲んでいく。虚しさと淋しさと憤りの無い怒りが心を満たしていった。2007-12-16 00:57:00 -
15:
パル◆aE2ZLYxSAE
『ボク、大丈夫?』
顔をあげると目鼻立ちの整った30才前後の婦人が手を差し延べてくれていた。僕は自然に手を延ばしていた。が、ふいに手に付いた血が目に入った。サッと自分の手を引っ込めた。僕はよろよろと立ち上がる間に考えていた。
他人に優しくされたのは何年ぶりだろうか?………昔々にお父さんに郊外の遊園地に連れていった事を思い出した。回転木馬に乗り、道化にうさぎの風船をもらった。不思議の国のアリスに出て来るような眼鏡をかけたウサギが描かれていた気がする。そして動物のショーを見、帰りにいっぱいお話をした。……。2007-12-16 01:16:00 -
16:
パル◆aE2ZLYxSAE
差し出した手を拒否された婦人は、ばつが悪そうに手の行き場所を捜していた。ふいに地面に落ちてしまったハコを婦人は拾ってくれた。『……アリガトウ』自然に、本当に自然に感謝の言葉が出て来た。『何のハコかしら?』婦人は3?四方の小さなハコを不思議そうに眺めていた。
2007-12-16 01:33:00