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−代償−

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  • 1:

    らん

    らんの経験した実話です。

    2007-12-20 13:42:00
  • 2:

    らん

    −あれは大学2年、19歳の時だった。
    その日は朝から講義で、ウトウトしながら眠気に耐えていた時のこと。
    教室の扉が開き、職員が教授に何か耳打ちをした後に私の名前を読んだ。

    2007-12-20 13:50:00
  • 3:

    らん

    「……はぃ。」そう言って片手を挙げ立ち上がると、職員は扉の方に誘導した。
    (私何かしたっけ…?)理由もわからないまま、教室を出て扉をしめた。
    職員のおばさんは口に手を当てながら私を見つめていた。そして、軽く深呼吸をして口を開いた。

    2007-12-20 13:59:00
  • 4:

    らん

    「…松本さん、落ちついて聞いてちょうだい。火事でご両親がね……」

    (……え?今…何て?)

    頭が真っ白になるってこのことなんだ…。職員の声なんて聞こえない。覚えてない。気付けば近くの親戚の家の前についていた。

    2007-12-20 14:12:00
  • 5:

    らん

    中に通されると6つ歳の離れた兄がいた。「らん…」兄が私の肩を掴んだ瞬間、一気に足の力が抜けて私はその場にしゃがみこんだ。それと同時に大量の涙が溢れ出す。
    「お母さんは…?お父さんどこなん!?」兄の胸の中で相当泣きわめいていた気がする。

    2007-12-20 14:23:00
  • 6:

    らん

    私の実家は、家の上階部に司法事務所を開いていた。その日、寝室のエアコンから火が出て事務所にいた両親が巻き込まれたらしい。
    それからの日々は早かった。というより、私が正気ではなくて何も考えられなかったのかもしれない。警察や両親の知り合いが訪ねてくる日々…。
    逃げ出したかった。何度も泣かせないで…もう十分悲しんでるから。

    2007-12-20 14:33:00
  • 7:

    らん

    兄は仕事で離れた県に住んでいたため、落ちつくまで親戚の家にお世話になった。その頃から親戚達は遺産の話をし始めた。…はっきり言って、私はどうでも良かった。人間の嫌な面を見てうんざりだった。難しい話は兄に任せて、これからのことを考えていた。(大学はもう辞めよう…。ここも出よう。)

    2007-12-20 14:41:00
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