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うさぎ

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  • 1:

    りん◆dfbARLnCjs

    あたしはウサギ。

    一人が怖い。夜が怖い。人が怖い。
    誰かあたしを抱きしめて。あたしを必要として。あたしを一人にしないで。

    2007-12-23 01:23:00
  • 2:

    りん◆dfbARLnCjs

    『お前しっかりりんの事考えてるのか?』父の罵声と母のすすり泣く声が聞こえる。「りんはあなたの子でしょ?あなたからもりんに言ってやってよ。」『子育てはお前の役割だろうが?』「あなたが家にも帰ってこないからりんが不良になるんじゃない?」『人のせいにするな?』

    2007-12-23 01:33:00
  • 3:

    りん◆dfbARLnCjs

    父が母の頬をうつ音。母の悲鳴。ガラスが割れる音。あたしは耳をふさいだ。父が階段を上がってくる音が聞こえる。『このくそガキが?』息を荒立てあたしの元へ来る気配を感じる。

    2007-12-23 01:38:00
  • 4:

    りん◆dfbARLnCjs

    部屋の鍵をかける。体を震わせながら今から起こる恐怖を待つ。『こるらぁ?ここ開けんか?』父の殺気立った声を聞き体が動かなくなり声もでなくなる。【ガシャーン】あたしの小さなガードはいとも簡単に破られた。

    2007-12-23 01:44:00
  • 5:

    りん◆dfbARLnCjs

    『このくそガキがぁ?頭カチ割ったろか?』ゴルフクラブを持った父が割れたドアガラスの枠越しにあたしを睨みつける。
    (逃げなきゃ。逃げなきゃ。)体を動かそうとするが体が動かない。『聞いてるんか?今からお前殺したるからな?』ドアをこじ開けあたしの元へクラブを振り上げながら近づいてくる。

    2007-12-23 01:53:00
  • 6:

    りん◆dfbARLnCjs

    殺気立った父の後ろには泣きながら立つ母。
    (お母さん助けてよ。怖いよ。怖いよ。)祈るような思いで見るが視線を外す母。
    『この恥曝しが?』クラブがあたしの肩に振り下ろされた。鈍い痛みが体をはしる。『お前みたいな出来損ない死んで俺に孝行しろ?』クラブは休むことなく背中をうつ。「っ痛…。」今が終わることを思いながら痛みに耐えるあたし。

    2007-12-23 02:02:00
  • 7:

    りん◆dfbARLnCjs

    クラブが変形するほど殴り続けた父は、痛みで動けなくなったあたしの髪をつかんで床に頭を打ち付けだした。【ごつっ、ごつっ、ごつっ】(1、2、3…)数を数えながらあたしは意識が薄れていくのを感じた。
    (もう終わる…明日になったら死んでるかな?)そんなことを思いながら。

    2007-12-23 02:09:00
  • 8:

    りん◆dfbARLnCjs

    目が覚めたのは次の日の昼だった。部屋には割れたガラスの破片が散乱し床には所々に血が付いていた。体を起こそうとするが自分の体ではないようなほど重たく全身が痛い。
    (まだ死んでない。)
    体の痛みが絶望的な生の現実を実感させた。

    2007-12-23 02:15:00
  • 9:

    りん◆dfbARLnCjs

    何とか動く手を伸ばし携帯を取る。電話をかけた相手は近くに住むおばあチャンだった。
    『はいはい?』のんきな声で電話にでるおばあチャン。「もしもしりんだけどおばあチャン今から家に来てくれない?」精一杯明るい声を絞り出した。『りんチャンどーしたの?学校も行かないで〜。』「ちょっと怪我しちゃってさ。病院つれて行って欲しいんだ★」『あらまぁ〜りんチャンはおてんばだもんねぇ。待っときな。』そう言い電話を切った。

    2007-12-23 02:25:00
  • 10:

    りん◆dfbARLnCjs

    (助かった。)
    電話を置き床に倒れる。(今日は何て言おうかなぁ…。階段から落ちたって言っても前も使ったしなぁ…。)体中にできたアザを撫でながらおばあチャンを待った。おばあチャンは父のお母サンでいつもあたしを気にかけてくれていた。あたしはおばあチャンが大好きだった。だから父から受けている暴力についてもはなすことができなかった。

    2007-12-23 02:32:00
  • 11:

    りん◆dfbARLnCjs

    【ピンポーン】何分間かして家のチャイムがなった。
    『はーい…。』今にも消えそうな声で応える。「りんちゃーん!?おばあチャンだけどいないの?入るわよー。」玄関が開く音がきこえた。「りんチャン!?どこー?」『おばあチャン…ここだよ?』痛む体を起こしスリッパ床を叩いた。

    2007-12-24 00:06:00
  • 12:

    りん◆dfbARLnCjs

    【パンパンッパンパンッ】
    (おばあチャン、ここだよ?りんはここにいるよ!)
    祈るようにスリッパを打ち続けた。
    「りんチャン二階のお部屋なの?あがるわよー?」おばあチャンの声が聞こえる。部屋の前まで来たおばあチャンは愕然とし「りん…っっ!どうしたの!?」と取り乱し駆け寄ってきた。

    2007-12-24 00:15:00
  • 13:

    名無しさん

    うさぎって寂しがりちゃうねんで

    2007-12-24 00:21:00
  • 14:

    りん◆dfbARLnCjs

    『ちょっと寝ぼけて階段から落ちちゃったんだ。パパもママも居なくてさ。』精一杯の作り笑顔で笑ってみせた。おばあチャンは息をのみ「すぐに病院に行きましょ!救急車呼ぶわよ!?」と言って電話をかけ始めた。
    安心と開放感からかまた意識が遠のいていった。「りんチャン!?りんチャン!?」おばあチャンの声が小さくなっていき気がついたのは病院のベッドの上だった。

    2007-12-24 00:22:00
  • 15:

    りん◆dfbARLnCjs

    心配そうにのぞき込むおばあチャンの顔があった。「りんチャン?気づいたのね?よかったー!」と顔をクシャクシャにして泣いていた。『おばあチャンびっくりさせてごめんね。大丈夫だよ。』痛む体を起こして応えた。「今、茂と由美子サンがこっちに来てくれてるから何にも心配しなくていいからね。」

    2007-12-24 00:27:00
  • 16:

    りん◆dfbARLnCjs

    その言葉を聞きまた体が震えだした。「一人で心細かっただろ?大丈夫だからね。」何も知らないおばあチャンは看護婦サン達にお礼を言いながら窓から外をぼんやり見ていた。
    「いったい何があったの?話してごらん?」
    『…。』「階段から寝ぼけて落ちたような怪我じゃないって先生言ってたよ?」『…。』「ひょっとして…」
    【バンッ】勢いよく病室の戸が開いた。そこには大事な娘の重傷を聞き、かけつけた父親の『ふり』をした父がいた。

    2007-12-24 00:36:00
  • 17:

    りん◆dfbARLnCjs

    「りん…。どうしたんだその怪我は!?俺と由美子が昨日二人で出てたせいで…。」
    『…。』「どうしてお父さんの携帯に電話してこないんだ?病院から電話もらってどれだけ心配したか…。」むせび泣くように父は私の手を強く握った。『ごめんなさい。心配かけて…。』私は父の一人劇の登場人物に成り下がった。それから看護婦サンや医者に礼を言い完璧な父親を演じきった。母もすぐにかけつけ、私の姿を見るなり泣き崩れてしまった。

    2007-12-24 00:47:00
  • 18:

    りん◆dfbARLnCjs

    ようやく序幕が降り父と母の二人芝居が落ち着いた。「おふくろ、心配かけて悪かったなぁ…、おやじも待ってるしそろそろ帰ってやれよ。」父が気遣うように帰宅を促した。
    「そうねぇ…お前と由美子サンが居るんだったら私は帰ろうかしら」「お母さん…今日は本当にご心配おかけして申し訳ありませんでした…。」母が深々と頭をさげとどめを刺す。

    2007-12-24 00:57:00
  • 19:

    名無しさん

    あげ?続き書いて下さい?

    2007-12-27 03:27:00
  • 20:

    名無しさん

    2007-12-27 12:47:00
  • 21:

    りん◆dfbARLnCjs

    おばあチャンが申し訳なさそうに出て行った病室は、今まで以上に殺伐と感じた。父と母の顔を見ないようにうつむく。
    「お前身内の恥をさらす気か?」父が静かに口を開いた。
    『えっ?』あまりに唐突な質問に私は聞き返してしまった。

    2007-12-28 01:32:00
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