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自称・本カノ【2】

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  • 1:

    自称・本カノ
    http://bbs.yoasobiweb.com/read_i.php?tb=chat_shosetu&id=6631
    869の続きから始まります。

    2008-01-17 21:03:00
  • 31:

    翼は毎日泣き叫び、眠れず精神的に落ち着かない生活だった。
    ずっとソファーに座り、編みかけの赤ちゃん用靴下を握り、空を見つめ泣いていた。

    2008-01-18 01:58:00
  • 32:

    数ヶ月後。
    翼は普通に生活出来、立ち直った様に見えていた。
    歩が仕事復帰しても心配して仕事に行かない事が多く、翼は歩の前では元気なフリをするようになっていた。歩が仕事でいない夜中は自己嫌悪と罪悪感、赤ちゃんを失った悲しさに襲われ毎晩泣いていた。

    2008-01-18 02:00:00
  • 33:

    事情を知った友達は心配して連絡をくれ、話していると癒された。しかし歩は携帯チェックをして友達と連絡を取ると不機嫌になり友達と会うことを許さなかった。
    出戻り禁止な店だったが気分転換に翼が入れる日だけ働いてみないかというもやしのメールを見ると歩は激怒してもやしの登録を消した。
    買い物でさえ1人で行く事は許されず、歩が行ったり、たまに歩と一緒に行ったりする程度で全く家から出ることはなかった。歩しか話し相手はいなくて、歩も家に帰るとすぐ寝てしまい常に孤独感でいっぱいだった。
    歩は子供を作ろうと言っていたが翼は死なせてしまった赤ちゃんの思いを断ち切れず、そして「また流産したら…」と妊娠することに恐怖を感じて拒んでいた。少しずつ歩との距離が出来始め結婚は延期していた。

    2008-01-18 02:02:00
  • 34:

    母「仕事復帰したら?今のまま家にこもってたら前には進まれへんよ。私も仕事して人と話したりしてやっと心に余裕が出来て立ち直れた気がする。あんたが今のままならきっと天国の赤ちゃんが悲しむよ…」
    唯一会うことを許される母は週に一度は翼の家を訪れていた。母も翼が産まれる前、子供の体が弱くて流産していた。母は仕事復帰してから子供が欲しいと思えるようになり翼を産んだ。

    仕事復帰など考えてもみなかったが同じ気持ちを味わい、いつまでも癒えることのない傷を持った母の言葉…翼は心が揺らいだ。
    しばらく悩んだが歩に話してみた。

    2008-01-18 02:06:00
  • 35:

    歩「仕事より結婚やろ?赤ちゃん作って主婦なりぃや…」
    歩はそれだけ言うと足早に仕事へ出掛けた。
    いつものように面白くもなく興味もないテレビを時間潰しに見続けていた。
    【若菜・着信】
    若菜「今から家行っていい?」

    2008-01-18 02:08:00
  • 36:

    若菜はすぐに家まで来た。若菜「落ち着いた?」
    翼「大丈夫!でもやっぱり1人でいると…色々思ってまう…」
    若菜「そっか…でも会うこと歩許してくれて良かったな!許さんままやったらキレる所やったわ!」
    翼「まだ許してくれてないねん…理沙の話したくて…」
    若菜は急に暗い顔をした。翼「…店も辞めたし…実家に電話しても家出してるみたいやしお母さんも心配してた…理沙大丈夫なんかな…」

    2008-01-18 02:09:00
  • 37:

    若菜「…今日は理沙の話しに来てん。クミから連絡あってな…クラブに理沙に来たらしくて…薬してるって噂の子らと居ったらしい。クミが話し掛けたら逃げたって…まさか理沙…」
    翼「何言うてんねん!理沙は絶対するはずない!」

    2008-01-18 02:12:00
  • 38:

    大学1回生の頃、クラブにハマっていた私たちはよく行き、クラブで知り合った男と若菜は付き合うようになった。彼氏は薬にハマっていった…止める若菜に暴力を振るい、若菜は彼氏に別れを告げた。若菜を失った悲しさから彼氏は薬を辞めれず、より薬を手放せなくなっていると人から聞いた。そしてある日、彼氏は逮捕された。若菜は彼氏が大好きだった…薬さえなかったら優しい彼氏だった…。そして指切りをして、どんな事があっても薬はしないことを誓った…他の子は手を出しても理沙と若菜と翼は1度も手を出さず絶対にしないと誓った。だから理沙が薬に手を出すなんて考えられない。
    翼「クラブ行ったら理沙に会えるかな?」
    若菜「それから一度も見ないって言うてたから会えんやろ…」
    クミに電話をして、もし理沙を見かけたらすぐに連絡欲しいと言い、不安がっている若菜を落ち着かせ、若菜は帰っていった。

    2008-01-18 02:32:00
  • 39:

    「現在使われておりません…」
    あの日から理沙に電話を掛け続けている。最初は電話に出なかった。それが着信拒否になり、とうとう連絡が取れなくなってしまっていた。
    「理沙…もうウチはいらんの?」
    翼は涙が止まらなかった。理沙との思い出が浮かんでくる。

    2008-01-18 02:33:00
  • 40:

    【私は捨てられてなんかいなかった。私は変わらなきゃいけない…きっとその内誰かを殺してしまう。】

    それから翼は毎日学校に通い、真っ直ぐ家に帰ってきた。今まで「おじさん」と呼んでいた義父を「お父さん」と呼んだ。そして一切暴力を振るうことはなくなった。喧嘩を売られてもやり返さずボコボコにされていた。
    親と一緒だと変われないと思い、大学入学をきっかけに同じ大阪だが、わざわざ1人暮らしをした。大学に入っても友達の作り方を知らない翼は一人ぼっちだった。1人で食べる昼食。そんな時話し掛けてくれたのは理紗だった。理紗は無理やり昼食を誘い、学校帰りに毎日翼の家に上がり込んできた。初めはウザイとしか思わなかったが裏表のない理紗に心を開き、すぐに仲良くなった。それからはいつも一緒で理沙をきっかけに友達も増えていき、理沙がいなくても翼は友達が出来るようになった。
    翼は理沙がいないと友達みんながいないように感じた。

    2008-01-18 02:41:00
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