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  • 1:

    ◆LgKoLZRjhQ

    忘れた事なんて、なかったのかも知れない。

    2008-02-04 17:58:00
  • 2:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <なーなーお姉さん、夜の仕事に興味ない?>

    無視をしてるのに、しつこく付きまとうスカウト。

    2008-02-04 18:09:00
  • 3:

    ◆LgKoLZRjhQ

    繁華街を歩けば当たり前のこの光景。私は顔色を変えず、無視をしたまま、梅田の通りを歩いていた。

    2008-02-04 18:13:00
  • 4:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <なあなあ一分でいいから、話、なあ、あれ…っ?>

    しつこいスカウトの、声色が変わる。

    2008-02-04 18:13:00
  • 5:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <お姉さんどっかで、見た事あるよねえ、あの…

    香織?>

    名前を呼ばれた瞬間、思わず顔を上げて、その男の顔を確認する。

    2008-02-04 18:14:00
  • 6:

    ◆LgKoLZRjhQ

    ハタチになったと言うのに変わらない、派手な髪型に服装のたくま。

    ホストと対して区別がつかないような、セットでバリバリの明るい茶髪に、黒いシャツ、黒いパンツ、先の尖った黒いショートブーツ。いかにもと言ったシルバーアクセをごちゃごちゃ身にまとったたくまは、誰が見てもすぐ分かる、夜の人間特有のオーラを放っていた。

    2008-02-04 18:15:00
  • 7:

    ◆LgKoLZRjhQ

    どうしようもない男だった。

    それなのに、当時は悪ぶったたくまに魅力を感じ、付き合っていた私。

    2008-02-04 18:17:00
  • 8:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまの浮気に何度も振り回されて、喧嘩して泣いて、ボロボロに傷ついて別れた今、冷静に振り返ると、<汚点や>と思えるくらい、チャラいたくまと付き合ったという事実は、私の中で、消したい過去だった。

    <何で引くねん!まじめに働いてんねんぞ俺はあ>

    2008-02-04 18:17:00
  • 9:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまはそう言い、襟足を指でいじりながら、歯を見せてクシャッと笑った。

    笑顔が相手の母性本能をくすぐるたくまは、自分でそのツボを心得ているのかと思うくらい、絶妙なタイミングで、クシャッと笑う。

    2008-02-04 18:18:00
  • 10:

    ◆LgKoLZRjhQ

    その久しぶりの笑顔を見て、不覚にも懐かしさがよぎった。

    <あんたそんな事して、女の子ナンパして、昔と変わってへんなあ>

    2008-02-04 18:18:00
  • 11:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私が呆れたように言うと、たくまはまた笑い、

    <ナンパちゃうわー!これやから素人は困る。いいか?俺はな、仕事を探してる女の子や、こいつはいけると思ったべっぴんさんに、声をかけて、金になる仕事を紹介したってんねや。

    2008-02-04 18:19:00
  • 12:

    ◆LgKoLZRjhQ

    普通の古着っぽいナチュラルメイクの女が、クラブに入店したら、ごっついセクシーに化けたりすんねんから、すごいでえ。

    こないだもな、マクド前で声かけた女が、新地に連れてったら、二週間で太客掴まえて、がっぽり稼ぐようになってなあ…>

    2008-02-04 18:19:00
  • 13:

    ◆LgKoLZRjhQ

    しばし、たくまの自慢げな武勇伝を聞かされる。

    夜の世界をまったく知らない私には、太客の意味とか、セクシーに化けるとか、よく分からなかったけど、女を水商売に斡旋していると言う、たくまの仕事内容は、何となく理解できた。

    2008-02-04 18:20:00
  • 14:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <ふーん。すごいねー>

    大して興味のない元彼の仕事に、私はいかにも興味がありませんと言った感じで、相槌を打った。

    2008-02-04 18:21:00
  • 15:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <お前、全然興味なさそーやんけ…。今日休み?>

    <ううん、仕事帰り>

    2008-02-04 18:21:00
  • 16:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <何してんの?>

    <アパレル>

    2008-02-04 18:21:00
  • 17:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <うわ〜似合う似合う!お前めっちゃしてそーやもん、ショップ店員!どこでしてんの?今度遊びに行くわ>

    <嫌やわ!レディースやし、あんた来たら、目立つし>

    2008-02-04 18:22:00
  • 18:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <何やねん、冷たいな〜お前。今夜は何してんの、予定あり?お茶でもしようや>

    <お茶ってあんた、仕事やろ?>

    2008-02-04 18:22:00
  • 19:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <いいねんいいねん、俺パフェ食いたいし>

    どんな理由やねん…。

    2008-02-04 18:23:00
  • 20:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまと同じようなジャンルに属しそうな、派手な髪型にメイクの女の子なんかは、たくまを見ると<かっこいい>などとつぶやき、目をハートにして視線を送っていた。

    私も昔は、こんなたくまの顔やルックスに、惚れていたんよなあ…。

    2008-02-04 18:23:00
  • 21:

    ◆LgKoLZRjhQ

    思い出すほど、顔から火が出る。

    周りの友達に何度も止められながら、それでも好き!と、何度も浮気を許して、付き合っていたあの頃。

    さんざん泣いて別れ、もう二度と顔も見たくない!と思っていた相手なのに、時の流れは不思議なもので、久しぶりに会ったたくまに、私はいたって冷静に接することが出来ていた。

    2008-02-04 18:24:00
  • 22:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまが変わり、真面目な風貌で、真面目に会社員なんてしていたら、きっと動揺していたに違いない。

    でも、今こうして二年ぶりに再会したたくまは、あの頃と変わらず、チャラチャラとした風貌で、仕事と言えるか微妙な仕事に就いていた。

    変わっていないことに、どこか安堵感のあった私。

    2008-02-04 18:25:00
  • 23:

    ◆LgKoLZRjhQ

    カフェに入ってからも、たくまのマシンガントークは続いた。

    独特のテンポでガチャガチャと喋り倒すたくまのキャラクターは、男女問わず、何か惹きつける魅力があったし、一緒にいる間、何度も携帯が鳴ったので、相変わらず友達付き合いは多そうだった。

    2008-02-04 18:25:00
  • 24:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <ほとんど仕事の電話やで>

    なんて言っていたけど、電話の最後に<また呑みに行こ!>などと誘っていたので、仕事仲間とも、フランクな付き合いが出来ているように思えた。

    2008-02-04 18:26:00
  • 25:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <何やかんやゆって、あんた楽しそうやなあ>

    私は素直に思い、言った。

    <まーなあ!めっきり夜型になってしもたけど、楽しくやってんで!>

    2008-02-04 18:27:00
  • 26:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまの飾らない性格。

    そこが好きだったから、浮気をしても、許せてしまっていたのだろう。

    たくまのパフェに付き合いながら、私もうっかり紅茶をお代わりしてしまい、二人でダラダラと盛り上がった。

    2008-02-04 18:27:00
  • 27:

    ◆LgKoLZRjhQ

    ふと、何度も鳴っていたたくまの携帯から、あゆの着信音<Dearest>。

    全部がプルルルの着信音だったのに、急にあゆだから、私はつい気になった。

    2008-02-04 18:28:00
  • 28:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <おう、おう、分かった今夜は大丈夫やから、おう、じゃあな>

    さっきまでの明るいトーンとは打って変わり、素に近いテンション。

    2008-02-04 18:28:00
  • 29:

    ◆LgKoLZRjhQ

    彼女やろうな。

    直感で分かったが、あえては突っ込まなかった。

    たくまも気にする様子は無くて、電話を切ると、そのまま私と会話を続けた。

    2008-02-04 18:28:00
  • 30:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <今の、彼女さん?>

    突っ込むつもりは無かったのに、つい口から出てしまった。

    <えっ?あーそうやで>

    2008-02-04 18:29:00
  • 31:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまも、何を今更と言った感じで、私を見つめた。

    二年も前に別れた相手なのに、今の彼女の存在が気になるなんて、どうかしている。

    私は自分のした質問に恥ずかしくなって、

    2008-02-04 18:29:00
  • 32:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <ま、どーでもいーけどさ>

    なんてはぐらかしてしまった。

    <何やねんお前!お前も居てんねんやろ、俺と違って、真面目な彼氏が>

    2008-02-04 18:30:00
  • 33:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまが嫌味たっぷりに言う。

    <おらんよ別に!悪い!?>

    つい無意識に、皮肉を込めた言い方で受け答えしてしまう、可愛くない私。

    2008-02-04 18:31:00
  • 34:

    ◆LgKoLZRjhQ

    昔から、こんな自分の性格が嫌で仕方なかった。

    <あれっ、おらんのかい。指輪してるし、てっきりおると思ってたのに>

    その時していた左手の指輪は、勤めているショップに入荷した新作の指輪で、私がひとめ惚れして社販で購入したものだったが、サイズが薬指にしか合わなかったので、特に意味もなく、その指にはめていただけだった。

    2008-02-04 18:31:00
  • 35:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <なーんやおらんのかい!じゃー俺と付き合う?とかゆっちゃって〜>

    あんた、それ私によー言えたセリフやなあ…。

    呆れながらも、半分どこかで、またたくまと付き合う自分を想像してしまった。

    2008-02-04 18:32:00
  • 36:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <うーわ、彼女さんかわいそ〜。また私と同じような目に遭わはるんやわ。あーかわいそ!>

    <うっさいボケ!やかましいわ!>

    またあのクシャッとした笑顔を見せて、私の頭をこづいた。

    2008-02-04 18:33:00
  • 37:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <いったあ!!>

    ふてくされながらも、私のテンションは限りなく上がっていた。

    どうしよう。

    2008-02-04 18:33:00
  • 38:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私、この期に及んで、またたくまを好きになったかも知れない…。

    どうかこの気持ちが間違っていますように。

    まさかまたこいつを好きになるなんて、ありえない。

    2008-02-04 18:33:00
  • 39:

    ◆LgKoLZRjhQ

    本当に、どうかしている。

    でも、確実に鼓動が早まっている私の心臓。

    <そろそろ行こか!お前終電何時?>

    2008-02-04 18:34:00
  • 40:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまが伝票を持って立ち上がる。

    <えっと…十一時半やから…うーわ!ちょっと待って〜そろそろやばい!>

    駅から離れたカフェに居た私は、走って向かわないと、ギリギリ終電に乗り遅れそうだった。

    2008-02-04 18:34:00
  • 41:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <えっお前無理ちゃうん!おい、タクシーにしたら?>

    <そんな無駄遣いしてられへんもん、走るわ!>

    <いいって送るって!>

    2008-02-04 18:35:00
  • 42:

    ◆LgKoLZRjhQ

    そう腕を引っ張り、たくまはタクシー前まで連れて行ってくれた。

    <出世払いじゃ>

    そう言いたくまは、私に一万円を渡した。

    2008-02-04 18:35:00
  • 43:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <えっいいよこんなに!タク代あるし、いいってほんま>

    <いーからいーから!おっちゃん、この子家の目の前まで、ちゃんと連れてったってな!よろしく!>

    たくまはドアから離れ、笑顔で手を振って来た。

    2008-02-04 18:36:00
  • 44:

    ◆LgKoLZRjhQ

    通りで声を掛けられてから、今まで、ほんの二時間ちょっとの出来事。

    でも私には、かなり濃密に、気持ちを揺らがす時間だった。

    2008-02-04 18:36:00
  • 45:

    ◆LgKoLZRjhQ

    次の日も、朝から支度して仕事に向かった。

    タイムカードを押して、店内で流すCDを選び、流して、掃除を始める。

    アパレルは女同士の人間関係で揉めることが多く、大概の人間は、そのストレスやしがらみが原因で辞めていくと聞いたけど、私のショップは派閥など無くて、むしろ毎回出勤が楽しみなくらい、みんな和気あいあいとしていた。仕事後みんなでご飯へ行くことも、しょっちゅうあった。

    2008-02-04 19:46:00
  • 46:

    ◆LgKoLZRjhQ

    特に仲良くしていたりさとは、入社時期が近かったから、新人の頃、品番を一緒に覚えあったり、クレーム処理に泣いたり、苦労を共にした分、余計に絆が強かった。

    仕事に慣れた今は、世間話が大半で、毎日エステに行きたいだとか、次のネイルはどんなんにする〜とか、ショップに置いてる雑誌を眺めながら、女同士特有の、ガールズトークを繰り広げていた。

    2008-02-04 19:47:00
  • 47:

    ◆LgKoLZRjhQ

    そのりさに、急に遅刻が目立つようになった。

    最初はバタバタと走って駆け込んで、ぎりぎりセーフと言った日が続く程度だったが、徐々に遅刻の度合いがひどくなり、そのうち当日欠勤をするようになった。

    普段温和な店長も、さすがにりさの出勤態度には怒った。

    2008-02-04 19:47:00
  • 48:

    ◆LgKoLZRjhQ

    りさはその次の月から、最低出勤日数ぎりぎりのシフトを提出して、それでも遅刻が目立った。

    <あんたどうしたんいきなり!ちゃんと寝てる!?>

    普段はばっちりメイクのりさに、目の下のクマが目立つようになった。

    2008-02-04 19:48:00
  • 49:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <うん大丈夫〜いけるよ〜ごめんごめん>

    最初はそう言っていたりさだが、明らかに何か隠している。

    そう感じた私は、ある日りさを呼んで問い詰めた。

    2008-02-04 19:48:00
  • 50:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <何があったん?あんた夜、何してんの!寝てへんの?>

    <寝てる寝てる、ごめんてまじで、店長にも言われたし、気をつけるし>

    話を打ち消そうとするので、私は腹が立って続けた。

    2008-02-04 19:49:00
  • 51:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <あんた何か隠してるやろ。何なんよ、何してんの最近!>

    <……。>

    ついに黙った。

    2008-02-04 19:49:00
  • 52:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <あんた、店の子に言わんといてや。実は、先月から掛け持ちで働いてんねん>

    <えっ何してんの?>

    <新地で派遣。>

    2008-02-04 19:50:00
  • 53:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <新地…?>

    <言わんといてや!!>

    驚いた。

    2008-02-04 19:50:00
  • 54:

    ◆LgKoLZRjhQ

    確かにりさは、毎月金遣いが荒くて、社販の支払いもスタッフ一多かったし、それ以外にもネイルサロン、エステ、美容院、ダイエット…。自己投資にかける費用が、桁外れだった。

    でも、お水をしてまで、その生活水準を保とうとしていたなんて…。

    周りに水商売をしている友達が居なかった私は、正直引いてしまった。

    2008-02-04 19:50:00
  • 55:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <あんた、贅沢したいからお水してんの?ちょっと…何考えてんの…>

    昔から真面目だった私は、親のような目線で、りさを叱ってしまった。

    りさはめんどくさそうな顔で、やっぱり言うんじゃなかったと小さく呟いた。

    2008-02-04 19:51:00
  • 56:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <しゃーないやん、お金必要やねんもん>

    りさの言う事も一理あるが、毎日のように遅刻して、スタッフに迷惑をかけて、気まずくなってまでお水を続けて、エステだのネイルだの、したいのか?

    私には理解が出来なかった。

    2008-02-04 19:51:00
  • 57:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <あんた、掛け持ちなんかして、体ボロボロやん。やめえよそんなん>

    <……。>

    りさはふてくされたまま、休憩室を出て行った。

    2008-02-04 19:52:00
  • 58:

    ◆LgKoLZRjhQ

    言いすぎたかな。とも思ったが、りさは明らかに無理をしていた。

    お水の経験が無い私が、頭ごなしに注意するべきことではなかったのかも知れない。でも、遅刻の原因を知ってしまったまま、ボロボロになっていくりさを放っておけない…。

    二つの意見が、頭で混乱した。

    2008-02-04 19:52:00
  • 59:

    ◆LgKoLZRjhQ

    その日早番だったりさは、私と会話をすることもなく、お店が込み合っている隙に、そそくさと帰ってしまった。

    私は、胸に引っ掛かるモヤモヤを感じながら、レジ閉めを終えて、夜九時、店を後にした。

    金曜の夜だったので、帰り道は、飲み途中の団体でごった返していた。

    2008-02-04 19:53:00
  • 60:

    ◆LgKoLZRjhQ

    その中に、グラサン姿でうちのショップの袋を抱え、足早に歩く、りさの姿を発見した。

    <りさ…!!>

    そう声をかけようとした瞬間、りさは前を見て手を振り出したので、ふと見ると、前からやって来たのは、たくまだった。

    2008-02-04 19:53:00
  • 61:

    ◆LgKoLZRjhQ

    《えっりさ、たくまと…?》

    一瞬訳が分からなかったが、たくまと足早に歩いて行くりさが気になって、私は後を追いかけてしまった。

    二人とも、携帯片手に早歩き。

    2008-02-04 19:54:00
  • 62:

    ◆LgKoLZRjhQ

    向かった先は、新地の本通りだった。

    夜で外が暗かったのと、私がその日、帽子をかぶっていたこともあって、少し後ろから追っていた私は、二人に気づかれることなく新地へ到着してしまった。

    《りさは、たくまにスカウトされたんや…。》

    2008-02-04 19:54:00
  • 63:

    ◆LgKoLZRjhQ

    何となくだが、事情が掴めた。

    奇妙な偶然に、なぜか言い知れぬ嫉妬を感じた。

    私は、りさとたくまが別れたのを見計らって、すぐさまたくまに声をかけた。

    2008-02-04 19:55:00
  • 64:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <うわ!?香織、何で新地に居てんの!?>

    たくまはメールをいじっていた手を止めて、目を丸くして、私を眺めた。

    私が、りさと同じショップの袋を抱えた状態で、<りさをスカウトしたん?>と聞いたので、<お前、あの子の同僚か…>と、勝手に納得しだした。

    2008-02-04 19:55:00
  • 65:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <聞いてんのこっちは!りさ、最近毎日店に遅刻してるし、クマだらけやし、心配やねん!あんた、あの子お水に落とすなんて、サイッテーやな!>

    私は、どうにもならない怒りの矛先を、たくまにぶつけてしまった。

    <ちょ、お前、何やねんいきなり!落ちたなんてゆーたんなや。愛ちゃんはめっちゃ頑張ってくれてるねんで?>

    2008-02-04 19:55:00
  • 66:

    ◆LgKoLZRjhQ

    りさを当たり前のように愛ちゃんと呼ぶたくまに、また腹が立った。

    <ゆうたやろ〜?こないだ話した、マクド前で声かけた子!その子が愛ちゃんやねん、見事に化けたわ。あんまり売り上げがいいから、ママからじきじきにボーナスもらってん、俺>

    <は〜?!ボーナス??>

    2008-02-04 19:56:00
  • 67:

    ◆LgKoLZRjhQ

    何でりさが頑張ると、たくまにボーナスが与えられるねん。

    いきなり辿り着いた新地で聞かされた内容は、どれも意味が分からなかった。

    <愛ちゃん新地で売れ出してから、昼の仕事を辞めたいて悩んではんねん。お前がとやかくゆーとこちゃうやろ。愛ちゃんの人生やんか、好きにさせたりいや>

    2008-02-04 19:56:00
  • 68:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <なっ、何であんたは、そんなにりさの味方やねん…>

    <だってお前、間違ってんもん!!>

    <何でよ!!>

    2008-02-04 19:57:00
  • 69:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私は、りさをかばうたくまに腹が立ち始めて、怒りの内容も理由も、変わっていた。ギャーギャー話していると、たくまの携帯がまた鳴り、たくまはすぐさま電話に出てしまった。

    たくまが電話で話している間、モヤモヤしながら、私は周りを見渡した。

    鮮やかな原色のドレスを着た綺麗なお姉さんが、恰幅のいいおじさまと腕を組みながら歩いている光景を、何組も見つけた。

    2008-02-04 19:57:00
  • 70:

    ◆LgKoLZRjhQ

    合間に黒服の人間が何人も立ち並び、大きな花束を運ぶ業者さんや、お酒屋さんも並んでいた。

    ミナミや梅田の繁華街とはまた違う、異様な雰囲気に、私は呆然と見とれた。

    <なあお前、どうすんのこれから。俺店行かなあかんねん>

    2008-02-04 19:57:00
  • 71:

    ◆LgKoLZRjhQ

    電話を切ったたくまが、困ったような顔をして言った。

    <えっ…。>

    勢いでここまで追いかけて来てしまったが、先の事など考えていなかった。

    2008-02-04 19:58:00
  • 72:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <か、帰るわ>

    私は、何とも不発な感じで返事をし、視線をグラグラと泳がせた。

    <お前、愛ちゃん責めたんなや!じゃあな!>

    2008-02-04 19:58:00
  • 73:

    ◆LgKoLZRjhQ

    最後にイラッとするような爆弾を落としたたくまだが、私は、りさがショップをやめたいと思うまでお水にはまっていたなんて知らなかったから、その事がショックだった。

    《明日また、りさと話したい。》

    そう思い、眠りについた。

    2008-02-04 19:59:00
  • 74:

    ◆LgKoLZRjhQ

    次の日も、りさは前日の疲れを持ち越したような、むくんだ顔で出勤して来た。

    私は、カッとならないように、責め立てないようにと意識しながら、<りさいける?昨日、だいぶと呑んだん?>と、顔を覗いた。

    りさも反省したのか、私の声に耳を傾けてくれて、<うん、ちょっとね…。大丈夫>と、コンビニの袋からウコンの力を取り出して飲んだ。

    2008-02-04 22:20:00
  • 75:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <ちょ、りさ、オッサンじゃないんやから>

    私は、当たり前のようにウコンを飲むりさがおかしくて、噴き出してしまった。

    <笑わんといてよ〜!これ、めっちゃ効くねんから>と、りさも笑って、私の背中を叩いた。

    2008-02-04 22:20:00
  • 76:

    ◆LgKoLZRjhQ

    昨日までのとげとげとした感情がほぐれ、お互いごめんと謝った。

    <りさ、あんたたくまと知り合いやってんなあ>

    <えっ香織、たくま君知ってんの!?>

    2008-02-04 22:21:00
  • 77:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまが共通の知人になっていたことで、更に二人は盛り上がった。

    <あはは〜たくまにりさのこと聞いたよ。あんた、お店でめっちゃ頑張ってるらしいやん!売り上げすごいって、たくま褒めてたもん。ショップ、辞めたいて言うことも聞いてしまったわ。>

    <……。>

    2008-02-04 22:21:00
  • 78:

    ◆LgKoLZRjhQ

    りさはしばらくうつむいた後、<今までなんにも言わんかってごめんね。あたし、ほんまにショップ辞めようと思うねん。来月で辞めますって、店長に言うつもり。遅刻ばっかしてるから、向こうもいらんて感じやろうけど…。新地の仕事に、やり甲斐感じちゃってさあ>

    昨日は頭ごなしに怒ってしまった私だったけど、りさの口から、正直な気持ちが聞けたことで、安心した。

    たくまに言われたように、誰が決めるでもない、りさ自身の人生。

    2008-02-04 22:22:00
  • 79:

    ◆LgKoLZRjhQ

    友達なら、純粋に応援してあげるべきだと思ったから、<そっか!店長と、ちゃんと話できるといいね!でも、あんま体無理しんときや!>と、笑顔で返した。

    それから一ヶ月後、りさはショップを辞めた。

    毎日のように、シフトをかぶせて一緒に働いていたりさが居ない。

    2008-02-04 22:22:00
  • 80:

    ◆LgKoLZRjhQ

    同志みたいな存在だったから、最初はものすごく淋しくて、しょっちゅう電話をしていたけど、新地一本になったりさは、派遣から正式にレギュラー勤務へと変わり、昼夜間逆の生活になっていた。

    夕方前なら起きているかな?と思って連絡をしても、<今から同伴やねん>とか、<ママと用事があんねん>とか、何かと忙しそうで、徐々にすれ違っていった。

    そんなやりとりが三ヶ月も続いた頃には、もう、まったくりさとは連絡を取らなくなっていた。

    2008-02-04 22:23:00
  • 81:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまとも、新地で口論をして以来、会っていなかった。

    というか厳密には、何度か梅田で見かけた。

    でも、いつも女の子に声をかけている真っ最中で、とても割り込んで入れる雰囲気じゃなかったし、何よりたくまには、彼女が居る。

    2008-02-04 22:24:00
  • 82:

    ◆LgKoLZRjhQ

    それを考えると、自分の気持ちが溢れ出す前に、彼女の存在を気にして、連絡できない自分が居た。

    たくまとカフェに行った帰り、タク代と渡された一万円と一緒に、名刺ももらっていた。

    ○○と書かれたスカウト会社の名前の下に、ローマ字で書かれたたくまの名前と、携帯番号とアドレス。

    2008-02-04 22:24:00
  • 83:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私が二年前に登録していたものと、変わっていなかったことに驚いたが、連絡をする勇気が無かった。

    そんなある日、また梅田でたくまを見かけた。

    ちょうど私が仕事の合間に、お店に飾る花を選びに、財布片手に、花屋さんへ出向いた時の出来事だった。

    2008-02-04 22:25:00
  • 84:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <おー久しぶり!何してんの!>

    相も変わらず、軽いノリ。

    こっちはこうして会話がまた出来ることに、底知れぬ喜びを感じているのに、向こうは連れに会ったような、ゆるーいテンションなので、淋しかった。

    2008-02-04 22:26:00
  • 85:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <久しぶり!お店に飾るお花、買おうと思って>

    <へーお花!お花ですか〜香織さん>

    チャカすように、顔を覗き込んでくるたくま。

    2008-02-04 22:27:00
  • 86:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <何やねん、悪い!?>

    またつい癖で、突っぱねてしまった。

    <ちょ、もーお前すぐ怒るから、嫌や、怖い!>

    2008-02-04 22:27:00
  • 87:

    ◆LgKoLZRjhQ

    冗談か本気か分からないような顔で、<嫌>とか言うので、私はまた間に受けてしまう。

    <何やねん、いつも口悪いねん、あんた!>

    そんなやりとりを続けていたら、花を選んでいる時間が無くなってしまう。

    2008-02-04 22:28:00
  • 88:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私はたくまに付き添われながら、花屋で適当にオレンジの薔薇とカスミソウを混ぜてもらい、受け取った。

    <りさ元気?>

    <おー元気!レギュラーなってから、ずっとナンバー入ってはるわ。めっちゃ綺麗になったしなあ>

    2008-02-04 22:28:00
  • 89:

    ◆LgKoLZRjhQ

    チクチクチク。

    淡々とりさを褒めてしまうたくまに、またやきもちを妬いた。

    <ちょっとあんた、りさにちょっかい出さんときや>

    2008-02-04 22:29:00
  • 90:

    ◆LgKoLZRjhQ

    かなり本心から出た言葉だった。

    <何でやねん!俺は店の子に手をつけるような、悪い男とちゃいますよ!>

    きっぱり言い切ってくれたけど、たくまには彼女が居るのだ。

    2008-02-04 22:30:00
  • 91:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <てゆうかあんた、彼女居てるやん!ほんま、スカウトマンの彼女なんて、気が気じゃないよなあ>

    試すように私が言うと、たくまは一瞬ムッとした表情を浮かべて、<あいつもどっこいどっこいや>と言った。

    <えっ、どういう意味?>

    2008-02-04 22:31:00
  • 92:

    ◆LgKoLZRjhQ

    気になった。

    たくまの彼女はいくつで、どんな風貌で、何をしている人なんやろう。

    どっこいどっこいって、どういう意味なん…?

    2008-02-04 22:31:00
  • 93:

    ◆LgKoLZRjhQ

    聞きたかった。

    <知りたい?今晩カラオケに付き合ってくれな、教えたらへーん>

    コロコロ変わる、たくまの顔。

    2008-02-04 22:32:00
  • 94:

    ◆LgKoLZRjhQ

    そんなたくまに、二年ぶりに惑わされている私。

    結局私も、あの頃と変わっていなかった。

    歌の上手いたくまと、二年ぶりのカラオケデートが出来るという楽しみをゲットした私は、彼女の存在に後ろめたさを感じつつも、幸せな気持ちが勝り、その後の仕事時間も、胸が躍った。

    2008-02-04 22:32:00
  • 95:

    ◆LgKoLZRjhQ

    店が終わってレジ閉めを終え、急いで走って、ジョイサウンド前へ。

    待っていると、すぐにたくまはやって来て、<腹減った〜>と、しんどそうな顔をして来た。

    <あっ先なんか食べる?>

    2008-02-04 22:33:00
  • 96:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私が聞くと、<いいねいいねえ!>と、焼き肉が食べたいと言うので、近所の焼き肉屋へ入った。

    カルビをつまむ、たくまの嬉しそうな顔。

    まるで子供だ。

    2008-02-04 22:33:00
  • 97:

    ◆LgKoLZRjhQ

    一口食べるたびに、うめー!うめー!とテンションを上げて、白ご飯を、三杯もお代わりしていた。

    その細い体の、どこにカルビが溜まっていくのか謎だったけど、たくまの嬉しそうな顔は、見ていてとても和んだ。

    《今の彼女は、たくまのこんな顔、毎日眺めているのかなあ。同棲とか、してんのかなあ。》

    2008-02-04 22:34:00
  • 98:

    ◆LgKoLZRjhQ

    妄想を始めると止まらなかったが、今日はそのことを忘れていたい。

    気まぐれなたくまと、こうして居れる時間は、なかなか貴重だったし、今は目の前にある時間を楽しみたい。

    そう思い、私も焼き肉を堪能した。

    2008-02-04 22:34:00
  • 99:

    ◆LgKoLZRjhQ

    こないだのタク代のお礼にと、焼き肉代は私が払おうとしたが、<いーっていーって>とお財布を出す私をなだめて、たくまが奢ってくれた。

    <お前そんなバリバリ稼いでへんやろ!気にすんな!>

    りさから給料のことを聞いたのか知らないが、確かにアパレルの給料なんて、たかが知れている。

    2008-02-04 22:35:00
  • 100:

    ◆LgKoLZRjhQ

    正直、一回の食事で一万を越す支払いがきつかった私には、たくまの気遣いがありがたかった。

    2008-02-04 22:42:00
  • 101:

    ◆LgKoLZRjhQ

    おなか一杯になり、ガムを噛みながら、カラオケへ移動。私の大好きな歌手を知り尽くしているたくまは、得意げにデンモクをいじり、ぽんぽん選んで送信していく。合間に、私が昔よく歌っていた曲も送信してくれていて、何だか気が利くなあと笑えた。

    あの頃歌い合った曲ばかり流れるので、懐メロ大会みたいで、はしゃいだ。

    2008-02-04 22:43:00
  • 102:

    ◆LgKoLZRjhQ

    結局、二時間コースで入ったのに止まらず、五時間も歌いまくった。というか、私はすぐにバテたのに、たくまがはしゃいで、後半の二時間は、ほとんどたくまの選曲オンパレードだった。

    エグザイル、エグザイル、エグザイル。

    たまにギャグでアニメソング。

    2008-02-04 22:45:00
  • 103:

    ◆LgKoLZRjhQ

    ご丁寧に、自作の振り付けまで添えて完璧。

    めちゃくちゃ楽しかった。

    おなかが痛くなる程笑ったの、いつぶりだろう?

    2008-02-04 22:45:00
  • 104:

    ◆LgKoLZRjhQ

    ドキドキもした。

    この歌知ってる?と、私が歌本の曲名を指差して聞くたび、たくまがマイクを離して、どれ?と、歌本に顔を近づけてくる瞬間とか、香水がふわっと香るので、顔が真っ赤になった。

    完全な片想い。

    2008-02-04 22:45:00
  • 105:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまには彼女が居るのに、私の気持ちは、爆走してしまいそうだった。

    彼女が居るのに、何で私を誘ったりするん…。

    中途半端に期待が持てそうで、イライラした。

    2008-02-04 22:46:00
  • 106:

    ◆LgKoLZRjhQ

    カラオケを出ると、たくまはスッキリと言った感じで、鼻歌を歌いながら歩き出した。

    今日も終電に間に合わない。

    たくまはまた一万円を渡して来たけど、<今日はいいから>と断り、私はそそくさとタクシーに乗り込んだ。

    2008-02-04 22:46:00
  • 107:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <また遊ぼな〜!>

    クシャッと笑うので、私は泣きそうになった。

    <あんた、彼女…>

    2008-02-04 22:47:00
  • 108:

    ◆LgKoLZRjhQ

    そう言いかけて、泣いてしまった。

    たくまは驚き、ええーっ!?と言いながら、タクシーから私を引っ張り出して、どうしたどうしたと、私の両肩を掴んで、顔を覗いた。

    いつもそうやったよね。

    2008-02-04 22:48:00
  • 109:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私が、あんたの浮気に怒って泣いた時も、気持ちが爆発して泣いた時も、いつもあんたは、テンパって、慌てて、私の顔を覗き込んだよね。

    ええーって言いながら、目を泳がせて、頭を掻いて、泣き止むまで、しどろもどろやったよね。

    <あんた、彼女居てんのに、こういうこと、されると、中途半端…>

    2008-02-04 22:48:00
  • 110:

    ◆LgKoLZRjhQ

    ヒックヒックとしゃっくりをしながら、泣き声で話す言葉は、まとまらなかった。

    <えっ、あっ、ごめんな俺…。何かお前、昔と変わってへんし、落ち着くってゆーか>

    その気持ちは、私も同じだった。

    2008-02-04 22:49:00
  • 111:

    ◆LgKoLZRjhQ

    むしろ、懐かしさも混じった今は、余計に強く、たくまに気持ちが向けられていた。

    連絡をする、勇気も出せずいた三ヶ月。

    どんな思いでたくまを考えていたか。

    2008-02-04 22:50:00
  • 112:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまはその間、彼女との時間を築いていたのかと思うと、胸が張り裂けそうだった。

    <私やって、たくまが……>

    そう言いかけても、最後まで言い切れない。

    2008-02-04 22:53:00
  • 113:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <お前、今そんなん言わんといてくれよ、俺…>

    拒絶された瞬間、とてつもない悲しみの底に突き落とされた。

    同時に、《じゃあ何でこんな期待させるようなことしてくるねん》と、怒りの感情も沸きあがって来た。

    2008-02-04 22:55:00
  • 114:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <バイバイ>

    私はピシャリと言い放ち、真っ直ぐ歩き出した。

    2008-02-04 22:57:00
  • 115:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまは追いかけて来なかった。

    涙が止まらなかった。

    2008-02-04 22:58:00
  • 116:

    名無しさん

    age

    2008-02-06 13:10:00
  • 117:

    名無しさん

    めっちゃこの小説好き

    2008-02-06 15:34:00
  • 118:

    名無しさん

    うちもスキ??
    主さん頑張ってなぁ?

    2008-02-06 15:44:00
  • 119:

    ◆LgKoLZRjhQ

    >>120>>121>>122
    ビックリしました!ありがとうございます☆ 

    2008-02-06 22:48:00
  • 120:

    ◆LgKoLZRjhQ

    一度別れた男に、また失恋をした情けない私。

    次の日もその次の日も、いつまでも気持ちを引きずったままだった。

    ふとした瞬間に、思い出しては浮かぶたくまの笑顔。困った表情。

    2008-02-06 22:48:00
  • 121:

    ◆LgKoLZRjhQ

    最後まで伝え切れなかったもどかしさも加わって、胸が苦しかった。

    たくまから連絡は無い。

    今は、顔を合わせても辛いだけだから、仕事の帰り道、裏を回ったり地下を通ったりして、たくまを見かけず済むように、コソコソと帰っていた。

    2008-02-06 22:53:00
  • 122:

    ◆LgKoLZRjhQ

    ちょうどその頃、りさと連絡が取れたので、久しぶりに会う約束をした。

    三時にミナミ。

    待ち合わせ時間に十分ほど遅れてやって来たりさは、誰もが振り向くくらいに、綺麗になっていた。

    2008-02-06 22:54:00
  • 123:

    ◆LgKoLZRjhQ

    手入れが行き届いてつやつやの黒髪ロングに、昔と変わらずシンプルなファッション。メイクも昔より控え目になったのに、ものすごく綺麗で、垢抜けていた。

    <ごめんな遅れて!!>

    走って来たりさは、少し息切れをしていた。

    2008-02-06 22:55:00
  • 124:

    ◆LgKoLZRjhQ

    喋ると昔と変わらない、陽気なりさだったけど、腕に光るカルティエに敷き詰められたダイヤと、黒くて存在感のあるバーキンには、少し驚いた。

    <りさ、めっちゃ綺麗になったなあ…>

    私は、心の底から見惚れてしまった。

    2008-02-06 22:57:00
  • 125:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <何ゆうてんのー!あはは!>

    りさは気づいていないのだろうか?でもこの数ヶ月の間に、確実に、りさは垢抜けていた。女として、それはものすごく羨ましかったし、失恋をしたばかりで自信のない私には、うっすら嫉妬心を抱くほどの、変貌っぷりだった。

    二人でショップに勤めていた頃、休みを合わせてよく行った、カフェに向かった。

    2008-02-06 22:58:00
  • 126:

    ◆LgKoLZRjhQ

    あまりにしょっちゅう行くので、店員さんとも顔見知りだったけど、久しぶりに二人で行くと、知らない店員が増えていた。でも、店長は変わっていなくて、私たちを見るなり、<あー久しぶり!>と、懐かしそうに声をかけてくれた。そして店長も、りさの垢抜けた風貌に驚き、何度も褒めた。

    <えー!りさちゃん、めっちゃきれなってるやん!どないしたん!いい人でも出来たん!?>

    りさは笑って否定をしていたが、数ヶ月でここまで綺麗になれたりさに、私も思わず質問攻めだった。

    2008-02-06 22:58:00
  • 127:

    ◆LgKoLZRjhQ

    細くて長いメンソールを吸う華奢なりさの手にまで、私は見惚れて、仕草のひとつひとつに、釘付けだ。

    それに比べて私は、何も変わらず販売を続け、同じ相手に二度失恋をして、全然前に進めずにいる。

    虚しくなって、とてもりさには、こんな近況を打ち明けられないと思った。

    2008-02-06 23:00:00
  • 128:

    ◆LgKoLZRjhQ

    でも、二人の共通の知人でもあるたくまは、嫌でも話題に上がった。

    <あんた、たくま君と最近会ってる!?>

    何も知らないりさが、無邪気にそう聞く中、必死で冷静を保つ私。

    2008-02-06 23:01:00
  • 129:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <うーん会ってない。彼女いるしねあいつ>

    <あーまきさんね。何か、きつそうな人やろ?>

    <えっりさ、知ってんの?>

    2008-02-06 23:02:00
  • 130:

    ◆LgKoLZRjhQ

    りさの言い方からすると、男ウケはいいような気がした。

    だいたい、男の可愛いと女の可愛いは違うて言うし、時給を一万も貰える人やねんから、女ウケが悪いと言えど、一般的には、かなりのレベルで綺麗な人なんやろう。

    何でよりによって、たくまの相手がそんな人やねん…。

    2008-02-06 23:04:00
  • 131:

    ◆LgKoLZRjhQ

    見ず知らずのまきと言う女に、勝手に敗北感を感じて凹んだ。

    <香織はどうなん!恋の方は〜>

    開いたままの傷口に、そのままストレートに突っ込んで来るりさ。

    2008-02-06 23:05:00
  • 132:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私は迷ったが、さんざん誤魔化した後、正直に事のいきさつを話した。りさは、聞くなり<えっごめん!>と謝って来たが、全部を聞いてしまった今は、どうしようもなかった。

    <あたし、なんも知らんかったから、ほんまにごめんな!でも、あたしは断然香織派やからね!応援してるよ!>

    <んーでもあたし、拒否られちゃったし…>

    2008-02-06 23:06:00
  • 133:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <何ゆうてんの!彼女居るから、動揺しただけやって!大丈夫やよ!>

    終始明るく励ましてくれるりさが、救いだった。

    これからは、もっと頻繁に会おうな!と約束して別れたけど、やっぱりりさとは、生活リズムがなかなか合わず、会えずじまいだった。

    2008-02-06 23:07:00
  • 134:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまの彼女のまきさんだって、ホステスだったら昼夜間逆の生活なはず。たくまとどんな付き合い方をしているのかが、また気になった。

    2008-02-06 23:08:00
  • 135:

    ◆LgKoLZRjhQ

    レディースの販売をしている中で、それなりに出会いはあった。

    スタッフ同士の紹介だとか、同じ階のメンズの店員だとか、チラホラ、かっこいいなと言う人は居たし、何となくときめいたりもしたけど、それ以上に舞い上がることは無く、いつだって、私の心の中には、たくまへの想いがさまよっていた。

    2008-02-06 23:13:00
  • 136:

    ◆LgKoLZRjhQ

    こんなに沢山男が居るのに、何で私はまたたくまなんやろうと、自分の気持ちの矛先までもがムカついた。

    でも、どうしてもたくま以外に考えられなくて、恋愛系の切ない曲がお店で流れるたびに、たくまを想った。

    自虐的に、どろどろの恋愛ドラマを家で観ていたある日、携帯が鳴った。

    2008-02-06 23:14:00
  • 137:

    ◆LgKoLZRjhQ

    スタッフの茜ちゃんに紹介された、ゆう君からメールだった。

    まだ会ったことは無くて、写メを見せてもらっただけだったけど、爽やかな好青年、といった感じで、悪い印象は無かった。

    茜ちゃん含め、他のスタッフも大絶賛で、ゆう君のルックスを褒めていた。

    2008-02-06 23:16:00
  • 138:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私はなかなか新しい人へ気持ちを向けれずいたけど、ゆう君に映画を誘われて、OKをした。

    その週たまたま週末に休みが取れたので、土曜日お昼に待ち合わせして、映画を観ることにした。

    梅田で待ち合わせていたので、自然とたくまのことが頭に浮かんだ。

    2008-02-06 23:17:00
  • 139:

    ◆LgKoLZRjhQ

    待ち合わせ場所に向かっている時、たくまに付き添ってもらった花屋が目に入って、またたくまを思い出した。

    会えないかな、居ないかな…。

    今から会うのはゆう君なのに、視線の先では、たくまを探していた。

    2008-02-06 23:19:00
  • 140:

    ◆LgKoLZRjhQ

    するとゆう君から電話が鳴った。

    <もしもし!今どこ?>

    <えっと、もう着くよ〜ごめん!走ります!>

    2008-02-06 23:21:00
  • 141:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <あはは!えーよ走らんで。待ってるわあ>

    待ち合わせ場所に居たゆう君は、実物の方がかっこよかった。

    黒髪で、服装もいたってシンプルだけど、似合っていて、身長がある分、サラリとそれを着こなしていた。

    2008-02-06 23:22:00
  • 142:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <初めまして〜森永です>

    笑いながら、なぜか苗字で自己紹介して来たので、私も釣られて<あどうも〜木下です>なんて、おじぎしてしまった。

    ゆう君は飾らない感じで、とっても好感が持てたし、紹介なんてされなくたって、いくらでも相手は見つけられるやろうにと、何度も思った。

    2008-02-06 23:23:00
  • 143:

    ◆LgKoLZRjhQ

    映画を観た後、二人であーだこーだと感想を言い合いながら、近場のバーで食事をした。

    <ゆう君モテるやろ?>

    運ばれて来た野菜スティックをつまみながら、私は何となしに聞いた。

    2008-02-06 23:24:00
  • 144:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <えーモテへんよ!なんもない>

    ゆう君は、頼んだビールを飲みながら、あっけらかんと否定した。

    《この人と付き合えば、彼女の存在とか、心配せんでいいんよなあ…。》

    2008-02-06 23:26:00
  • 145:

    ◆LgKoLZRjhQ

    ぼんやりとまた、たくまと比べる自分が居た。

    <香織ちゃんこそモテるやろお!>

    <えーないない!あたしもなんもないよ〜>

    2008-02-06 23:28:00
  • 146:

    ◆LgKoLZRjhQ

    お互いを持ち上げるようなトークが、何度か繰り返された。

    ゆう君は保険屋さんで営業をしていて、実家もかなりのお金持ちみたいで、余裕というか、おおらかな雰囲気が漂っていた。

    ギャンブルしないし派手な遊びも知らない、いたって真面目な好青年で、彼氏にするには最適みたいな、とことん安心できるタイプだった。

    2008-02-06 23:29:00
  • 147:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <香織ちゃんさえ良ければ、またこうして会いたいねんけど、あかん?>

    ゆう君は、ビールを一杯飲み切る前に、次のデートへ誘ってくれた。

    2008-02-06 23:30:00
  • 148:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私は素直に嬉しかったし、OKをした。

    2008-02-06 23:35:00
  • 149:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <なーんやいまいちやったんかあ。でもまっ、これからの展開に期待やねー!>

    皆はとにかく、この話題で盛り上がりたかったみたいだ。もとい、茜ちゃんは、失恋してから落ち込む私を、本当に気遣ってくれた。

    <ゆうのこと、嫌やったら全然断っていいからね!?>とまで言ってくれたので、さすがに申し訳なかった。

    2008-02-06 23:39:00
  • 150:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私はどうしたいのかなあ、これから。

    こんな状態でも、まだ諦められずにいるなら、ずっとたくまを想っていようかなあ…。

    それは、無謀にも思えたし、果てしなく遠い道のりにも思えた。

    2008-02-06 23:41:00
  • 151:

    ◆LgKoLZRjhQ

    でも、中途半端な状態で会えなくなったたくまに、会いたい気持ちばかり募った。

    2008-02-06 23:43:00
  • 152:

    ◆LgKoLZRjhQ

    りさとは、一ヶ月ぶりに再会をした。

    その頃、りさはママのお客様関係のしがらみで、かなりストレスを抱え、お酒を飲む量も増えたと言っては、愚痴っていた。

    私にはよく分からない世界だったけど、新地では、しょっちゅうノルマを煽られるイベントが設けられていて、イベント中に、個人に対してそれぞれのノルマが課せられると言う。そのノルマを達成できないと、その月の給料からノルマ分が差し引かれ、中にはマイナスになってしまうホステスも居ると言っていた。

    2008-02-06 23:46:00
  • 153:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <えっじゃあ給料が無い月もあるってことなん?!>

    <そうやねん。うちの店も、それで先月飛んだ子が二人おって、ママが必死で探してはるわあ>

    タバコの煙を口から滑らせながら、りさはしんどそうに眉間にシワを寄せ、言う。

    2008-02-06 23:47:00
  • 154:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまは私に、得意げにそう言っていたけど、実際は、たくまに新地へ連れて行かれてから借金が出来た子も、多いのかなあ。

    ふとそんな想像を巡らせた。

    <最近、たくま君とはどうなん?>

    2008-02-06 23:48:00
  • 155:

    ◆LgKoLZRjhQ

    りさが聞くので、最近は何も音沙汰が無いことと、ゆう君と言う男の子を紹介してもらったことなどを話した。

    <へえ〜!茜ちゃんの知り合いなんやあ>

    りさは、笑顔で相槌を続け、私の話に耳を傾けてくれた。

    2008-02-06 23:49:00
  • 156:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私は、ゆう君がいい人なのは実感してるけど、いまいち踏み出せないこと。それと、まだどうしても、気持ちがたくまに傾いているという本音を、りさにだけ打ち明けた。

    りさは、全部を聞き終えてから、タバコを灰皿にこすりつけて火を消し、私の顔を覗いて、ニコッと笑った。

    <じゃーねー揺れ動く乙女の香織ちゃんに、朗報!たくま、まきさんと別れたみたいやで!>

    2008-02-06 23:50:00
  • 157:

    ◆LgKoLZRjhQ

    私は、ゆう君がいい人なのは実感してるけど、いまいち踏み出せないこと。それと、まだどうしても、気持ちがたくまに傾いているという本音を、りさにだけ打ち明けた。

    りさは、全部を聞き終えてから、タバコを灰皿にこすりつけて火を消し、私の顔を覗いて、ニコッと笑った。

    <じゃーねー揺れ動く乙女の香織ちゃんに、朗報!たくま、まきさんと別れたみたいやで!>

    2008-02-06 23:51:00
  • 158:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <えっ…>

    思いがけないたくまの近況報告に、私は思わず声が出た。と同時に、嬉しくなってしまった。

    ああ、やっぱり心のどこかで、こんな展開を望んでいたのだろう。

    2008-02-06 23:53:00
  • 159:

    ◆LgKoLZRjhQ

    今すぐ電話したら、りさから聞いたことバレちゃうかなあ?とか、別れた直後に近づくなんて、やらしすぎるかなあ。とか、迷っている時点で十分打算的なのに、どうにかたくまにいい印象を与えたくって、試行錯誤した。

    りさは、そんな私を<パニックルーム〜>なんて言ってからかったけど、<いい方向に向くといいね>と、笑ってくれた。

    その日は勝手に一人で興奮してしまい、芽生えたチャンスに、どぎまぎしていた。

    2008-02-06 23:55:00
  • 160:

    ◆LgKoLZRjhQ

    今すぐ電話したら、りさから聞いたことバレちゃうかなあ?とか、別れた直後に近づくなんて、やらしすぎるかなあ。とか、迷っている時点で十分打算的なのに、どうにかたくまにいい印象を与えたくって、試行錯誤した。

    りさは、そんな私を<パニックルーム〜>なんて言ってからかったけど、<いい方向に向くといいね>と、笑ってくれた。

    その日は勝手に一人で興奮してしまい、芽生えたチャンスに、どぎまぎしていた。

    2008-02-06 23:56:00
  • 161:

    ◆LgKoLZRjhQ

    どうしよう、連絡してもいいかな、いいよね、別れたんやし…。

    夜家に帰り、たくまへの連絡を、メールにしようか電話にしようか迷っていると、持ってた携帯が鳴った。

    ゆう君からの着信だ。

    2008-02-07 00:00:00
  • 162:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <も、もしもし…>

    <あっごめん今電話、いける!?>

    <えっうん、大丈夫やけど…>

    2008-02-07 00:01:00
  • 163:

    ◆LgKoLZRjhQ

    なぜだかゆう君に対して動揺している私に、ゆう君は、気まずそうに、会話を続けた。

    今何してたん?から始まって、たわいもない話をした後に、二度目のデートに誘われた。

    <香織ちゃんアパレルやし、俺の服見るの、ついて来てほしいな〜って思ってんけど>

    2008-02-07 00:53:00
  • 164:

    ◆LgKoLZRjhQ

    そんなデートは、彼氏としかしたことが無かった。

    ゆう君が、私を気に入ってくれていたのは最初の段階で分かったし、これからもっと先を期待してくれていることも、うすうす気づいていた。

    なのに私は見えないフリをして、つかず離れず、連絡を取っていた。

    2008-02-07 00:58:00
  • 165:

    ◆LgKoLZRjhQ

    どうしよう。

    迷った私は、<あのな〜ちょっと今月セールで、シフト厳しいから、来月でもいいかな?ごめんね!>と、誘いを断ってしまった。

    ゆう君は茜ちゃんと友達だし、セールの状況を確認されれば、私のシフトなんて、すぐに把握されるかも知れない。

    2008-02-07 01:07:00
  • 166:

    ◆LgKoLZRjhQ

    気まずい、うまくない嘘だったのは承知だけど、何となく、今はこんな気持ちで、ゆう君に会いたくなかった。

    私は電話を切った後、勇気を出して、たくまに電話した。

    2008-02-07 01:08:00
  • 167:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <♪はじめてえの、ちゅう〜きみとちゅう〜♪>

    妙に可愛いメロディーコールが鳴るので、呆れてしまった。

    しばらく鳴ってから、たくまが出た。

    2008-02-07 01:09:00
  • 168:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <はい!もしもし!>

    <もしもし、誰か分かる?あたし、香織やねんけど…>

    <おー香織!はいはい!久しぶり!>

    2008-02-07 01:09:00
  • 169:

    ◆LgKoLZRjhQ

    声の様子からして、私の番号は登録していなかったみたいだ。

    元気な声に、ひとまず安心をして、会話を続けた。

    <久しぶりやね、元気?>

    2008-02-07 01:10:00
  • 170:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <んーまー元気やねえ!普通かな?ボチボチ!>

    <どっちやねん…。>

    思わず突っ込んでしまった。

    2008-02-07 01:10:00
  • 171:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <あはは!元気や元気!お前こそどないしてたん!元気なん!?>

    <元気っていうか、あんたとこないだカラオケ行って…>

    <あっ。>

    2008-02-07 01:10:00
  • 172:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまは、カラオケの日の気まずい状況をやっと思い出し、黙った。

    <そっか、あれ以来やなあ俺たち。何か、気まずくさせてしまってごめんな!えっと俺、別れてんなー彼女と>

    <えっそうなん?>

    2008-02-07 01:11:00
  • 173:

    ◆LgKoLZRjhQ

    演技派じゃない私。精一杯の、驚きを込めて答えた。

    <ほんまー。先月の頭に別れた。家も出た!ロンリネスやわ>

    同棲してたんや。

    2008-02-07 01:11:00
  • 174:

    ◆LgKoLZRjhQ

    ほんとに、たくまはいつも、話が唐突だ。

    しばらく話した後、また遊ぼうねなんて言って、結構平和に電話を切った。

    久しぶりに声が聞けた嬉しさと、たくま本人の口から彼女との終わりを聞けた安堵感で、心が満たされた。

    2008-02-07 01:12:00
  • 175:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <はあああ>

    2008-02-07 01:17:00
  • 176:

    ◆LgKoLZRjhQ

    と幸せなため息をつきながら、ベッドに飛び込んだ瞬間、もう一度携帯が鳴った。

    2008-02-07 01:17:00
  • 177:

    ◆LgKoLZRjhQ

    たくまだ。

    慌てて出ると、<早っ!お前、早いねん!>と笑われた。

    2008-02-07 01:17:00
  • 178:

    ◆LgKoLZRjhQ

    <あのさあ明日、遊ばへん?>

    明日は仕事だと言うと、一番近い休みを聞かれ、金曜と答えた。

    <じゃあ金曜空けといて、よろしく!>とだけ言われて、すぐに電話を切られた。

    2008-02-07 01:18:00
  • 179:

    ◆LgKoLZRjhQ

    どこで遊ぶん?何時に集合?まーまたそれは、近くなってから決めればいいかあ。にしても、ほんまあいつ自己中やなあ。

    私は一人でボソボソ言いながら、顔はだいぶとにやけていた。

    2008-02-07 01:18:00
  • 180:

    ◆LgKoLZRjhQ

    デートの日にちをハートで囲み、明日の早番の帰り、美容院の予約を入れることを決めた。

    完全に浮かれていた。

    2008-02-07 01:19:00
  • 181:

    名無しさん

    ???

    2008-02-09 07:11:00
  • 182:

    ?◆Gp.Xz3l79g

    前も小説書いてはりました?

    2008-02-09 11:13:00
  • 183:

    名無しさん

    あげ

    2008-06-03 18:19:00
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