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‡茜空‡

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  • 1:

    僕は今でも夕暮れ時の茜空を見ると君を思い出します            『ありがとう』     君に贈った最後の言葉

    2008-02-21 22:06:00
  • 22:

    『何でも良いです…』  その頃の僕の口癖。   今では何でも良いなんて言葉は言わないけれど。              愁さんの顔をみる事もなく答えた僕の頭を手のひらでワシャワシャと撫でる。             馴々しいと思う反面   少し落ち着ける感覚があった。

    2008-02-24 16:05:00
  • 23:

    愁さんは僕の顎を掴んで自分の方へと向かせると嬉しそうな顔をした。    『幸。お前は本当に綺麗な顔してるな?私の妻も喜ぶが娘の方が喜ぶかもな』             娘がいるなんて初めてきいた。別にどうでも良かったけど。

    2008-02-24 16:13:00
  • 24:

    結構長い間車で走っていた。段々と木の生い茂っている山道の様な所に入っていく。          愁さんが口を開いた。              『ちょっとした自慢をしてやろうか…。この山は私のものなんだ』      さすがに少し驚いた。  『驚いたか?』     僕の顔を覗く愁さん。  『はい』        それだけ答えた。                『何も喋らないんだな?』笑顔で僕を見てる。   『………』       それでも答える事はしなかった。

    2008-02-24 16:19:00
  • 25:

    『幸さん?着きますよ』 運転してくれているスーツの男の人が初めて口を開いた。          (喋るんだ…)     少し笑えた。                  目の前にでかい家が出てきた。壁がガラス張りになっていてリビングの様な物がみえる。

    2008-02-24 16:24:00
  • 26:

    (デカ…)       初めてみる。      こんなでかい家。                車からおろされて空気をすう。          とても清々しくて、草の匂いとかが気持ち良かった。『入ろうか』      愁さんが家へと歩いていく。僕は愁さんの後ろを、スーツの男の人と歩いた。

    2008-02-24 17:00:00
  • 27:

    『愁さんは良い人だよ』 スーツの人が話かけてきた            『…………』      どう答えればいいのかわからない。        『私は愛嘩。よろしく』 『………女の人ですか?』『あぁ。一応』                 かなりビックリした。  見た目は男の人。    髪型も短めで茶髪。   少しパーマがかかってる。            『愁さんが呼んでる。  いっといで?』     愛嘩さんはネクタイを絞めなおしながら顎で合図をした。          僕は頷いて愁さんの所まで走っていった。

    2008-02-24 17:11:00
  • 28:

    家の玄関の前に小さい女の子とその母親らしき人が立っていた。       後ろを歩いていた愛嘩さんはいつの間にか僕の横にいて、彼女達に軽く頭を下げた。                      愛嘩さんが頭を下げたのを見て、一応下げないといけない人達なんだろうと頭を下げた。

    2008-02-25 02:22:00
  • 29:

    すると女の子がちょこちょこと走ってきた。    『大丈夫?手ぇ怪我してるよー?』        僕の腕を見て口を尖らせている。         (あ…腕切った跡…)  すぐに袖で傷痕を隠した。            ストレスからくるリストカット。         馬鹿みたいに同じ所を切っていた。        痛みはやっぱりあった。 だけど何故だか辞めれなかったんだ。

    2008-02-26 00:52:00
  • 30:

    女の子のお母さんが歩いてきた。         僕の腕を掴んで僕の顔を見る。          『寂しかったでしょ…』 とても優しい顔で僕を見る            それは余りにも綺麗でたまらず目をそらした。               愁さんが僕の肩を掴んだ。『さ!中に入ろう!』  女の子は愁さんの腕にくっついて家に入っていった。

    2008-02-26 00:57:00
  • 31:

    『私は美麗。あなたは?』『幸助…です』     美麗さんは少し驚いた顔をしている。       『幸じゃなかったの?』 『幸はあだ名みたいなもんなんで……』      『そーなのね』     美麗さんもゆっくりと歩いて家に向かった。                僕は本当に此処にくるべきだったのだろうか…。  美麗さんの弱々しい背中を見ながらおもった。               『美麗さん綺麗だろ?』

    2008-02-26 01:03:00
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