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‡茜空‡

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  • 1:

    僕は今でも夕暮れ時の茜空を見ると君を思い出します            『ありがとう』     君に贈った最後の言葉

    2008-02-21 22:06:00
  • 2:

    『幸?まだ?』     『ゴメンなさいッ!もう少しだけ待って下さいッ!』            僕と君のいつもの買い物。僕は荷物持ち。     今日はどうしてもスタイリングがきまらなくて…。             『待たせちゃいましたね』潤さんは腕を組みながら玄関に座り込んでいる。  『怒りました?』    『ばぁーか』      『ハハッ…すいません?』 潤さんは怒ってる顔から優しいいつもの顔に戻って僕の腕を引っ張る。                『いきましょうか』   『うん!』       その笑顔が愛しくてたまらない。唯一の宝物。

    2008-02-21 22:14:00
  • 3:

    黒い革手袋を着けて助手席の扉を開く。      潤さんはまだこない。  『………』       庭で草むしりをしている。『まぁたお母さんサボってるなぁー…』      僕の目線に気がつく。  『待ってるんですが?ワラ』苦笑いをする僕の所に歩いてくる潤さん。                 僕の胸に拳を当てて一言。『さっきのお返し』   それだけ言って車の中に乗り込んだ。       (やられたな…)    彼女の行動一つ一つに僕は顔が赤くなる。                 助手席の扉を閉めながら僕は1人考えた。

    2008-02-21 23:25:00
  • 4:

    手袋を着けなおして車に乗り込む。        『草なんか触るから…手が汚れてるじゃないですか』ハンカチを潤さんに渡す。            『ありがと』      それだけ言って僕からハンカチを受け取る。    『今日はドコに行きましょうか…』        『普通の店』      『…………怒ってます?』            何だか今日は機嫌が悪いな            『別に…』       『機嫌なおして下さいよ』『じゃあキスしてよ…』 本当に機嫌が悪そうだ…。            『無理です』      それだけは出来ない。  大事すぎて手をつなぐ事すら出来ない。      第一付き合っているわけじゃないのだから…。

    2008-02-21 23:38:00
  • 5:

    とりあえず普通の店という事なので普通にデパートに向かう。        潤さんは無言で編み物をしている。        不器用なくせに。    僕にマフラーを編むんだと張り切っていた。    『出来上がるのは春くらいになるなぁ…』とブツブツと独り言を言っているのを聞いた事がある。                大丈夫。来年の冬もある。潤さんが言うのならば春でも夏でもマフラーを巻いて外に出ます。      心の中で呟く事しか出来ないけれど。

    2008-02-21 23:52:00
  • 6:

    僕も無言で車を運転した。デパートに着いて車から降りる。         助手席に回って扉を開ける            潤さんは編みかけのマフラーを椅子に置いて車から降りた。         『肩こっちゃった』   両腕を上に向けてのびをする潤さん。                   『マッサージでもいきますか?』         『いらない。時間がもったいないから…』     潤さんは先に歩く。   僕は軽く後ろを歩いた。

    2008-02-22 00:05:00
  • 7:

    『幸?何食べたい?』  あぁ…お腹が空いたのか。何でも良いと答えれば潤さんは悩んでしまうだろう。            『昼ですし…さっぱりしたものは?』       『いいね!喫茶店いこ!』            とりあえず喫茶店に向かう

    2008-02-22 00:09:00
  • 8:

    突然潤さんの足が止まった『潤さん?』      潤さんの目はプリクラ機を見ていた。       『ねぇ!幸!プリクラ撮ろうッ!あたし撮りたい!』            絶対に嫌だった。    昔から写真とかそういう自分が写るものは嫌いだった            本当の自分が写ってしまうような気がして…。               『ごめんなさい…嫌です』先に歩く。       『幸お願いッ!』    首を横にした僕を見て潤さんは走ってきた。    そのまま僕は腕を捕まれて撮るはめになった。

    2008-02-22 00:18:00
  • 9:

    入ったものの写りたくなかった僕はカメラの横に立った。          『幸?真剣に撮ろうよ』 『嫌です』       ついに座り込んだ僕を見て潤さんはキレた。                パシンッ……      僕の顔を叩いた音と同時に潤さんは出ていってしまった。

    2008-02-22 00:23:00
  • 10:

    本当に頭が真っ白になった            潤さんに何かあったら…?考えるよりも先に動いていた。          綺麗に整えた髪の毛も乱れてしまうくらいのスピードで走った。                   長い間運動していないからだろうか…息がきれる。 1分もたたない内に追いかけたはずなのにドコにも潤さんの姿はない。    (最悪…ッ)      男のクセに涙が出そうになる。それくらい潤さんは大切なんだ。       少し姿が見えないだけでも落ち着けない。                 どれだけ探してもみつからない。         ベンチに座り込んで頭を抱える。         誰かに連れていかれたらどうしよう…ッ!     また立ち上がった瞬間、目の前に潤さんが立っていた

    2008-02-22 00:52:00
  • 11:

    『潤さん…ッ………痛ッ』 立ち上がった瞬間胸に激痛が走った。       そのまま床に座り込む。 『幸ッ?!発作!?』  僕は昔から体が弱い。  何かと病気になる事が多かった。         『ッ……大丈夫…です』 本当に痛い。      歯を食い縛ってベンチに座る。                      『救急車よぼうッ』   目の前には公衆電話。  潤さんの腕を掴んだ。  救急車なんか呼んだら潤さんのお父さん。     愁さんに迷惑がかかる。             首を横にすれば潤さんは怒るだろう…。      だけど僕は首を横に振った

    2008-02-22 13:06:00
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