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君の向うに
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1:
綾
いつも見ていたのは ―そのむこう― 届くはずのない。 存在しない。 そのむこう…
2008-04-23 13:05:00 -
2:
綾
『おはよ』 君の声で目が覚める。 こんな幸せな事なんて ないと思う。 「おはよーさん」 時計の針は四時をさしてた 酒焼けした私の声は 思いの他好評で 何より君が色っぽいって いつも言ってくれる
2008-04-23 13:11:00 -
3:
綾
『俺先行くから。綾は何時出勤?』 「10時ぐらいかな〜」 『じゃ飯食ってからいこか。俺今日6時やから』 そぉ言って智は台所にたった。 好きなところ1。 ご飯がおいしい
2008-04-23 13:15:00 -
4:
綾
おいしそうな匂いがしてきた。 「智君今日は何〜」 オムライスって分かってるけど聞いてみる私。 『今日はクモとゴキブリの炒飯』 好きなところ2。 おもしろくない冗談
2008-04-23 13:18:00 -
5:
綾
お皿を用意して私はソファーに座った。 智君はいつも自信ありげな顔をして私に 『どうぞ』 と言う。 好きなところ3。 お父さんみたい
2008-04-23 13:22:00 -
6:
綾
『なぁ綾、この前の奴。何なん?』 この前の奴とは私が席についた時のフリーの人。 異常に近かった。 よくある事だけどたぶん智が言いたいのは… 「何が?…仕事やん。」 『わかってるわ。何でお前の本名知ってんねん』 …やっぱり。 私は絶対本名なんか言わない。 けどその人は何故か私の事を知っていた
2008-04-23 13:28:00 -
7:
綾
「綾の事知ってるってゆってた。」 『関わるなよ。たいして金持ってないやろし』 そぉ言って智は、まだ食べおわってないオムライスを台所に置いて タバコに火をつけた。 「智君、やっぱり綾店変わる」
2008-04-23 13:34:00 -
8:
綾
智は私が働いてる店のボーイ 店内恋愛禁止。 そんな決まりはあって無いようなものだから。 『何で?無理。』 智はそぉ言って私に抱きついてきた。 仕事の時間が迫ってきているのに ソファーに押し倒してキスをして 『綾。いいかげん夜やめて。お願い』 「智君はそんな綾を選らんだ。今さら?」
2008-04-23 13:40:00 -
9:
綾
裸で出てきた智は コーヒーを飲みほして またタバコに火をつけた。 『綾。こっち来て』 …智は仕事前にいつも私を抱く。 『こうしな仕事中狂いそうなる。』 っていつも言って お腹や太ももにキスマークをつける。 智なりの愛情表現と 異常なまでの独占欲
2008-04-23 13:53:00 -
10:
綾
『じゃ行ってくるから。同伴ちゃうやんな?』 「うん。」 『じゃまた後で』 智が行った後が私の営業メール営業電話の時間で 智が居る前ではあまり 携帯を触らない。 とゆうか触らせてくれない
2008-04-23 13:58:00 -
11:
綾
家に着く頃には もぉ朝で小学生や サラリーマンたちが 歩いていた。 「ただいま〜」 …まだ帰ってない? 寝室をみても風呂場にも智はいなかった。 眠すぎてソファーに寝転がりながら智を待つ事にした。
2008-04-23 17:10:00 -
12:
綾
すごい物音で目が覚めて 飛び起きると 智が靴のまま家の中にいて 「何してるん」 『どこおったん?またホスト』 「違う。ゆりの相談聞いてて」 またホストとゆうのは、前に先輩ホステスが一回ぐらいと言って連れてかれた事。 『何で真っすぐ帰ってこられへんねん』 「たまにはいいやん」 このやりとりは日常茶飯事
2008-04-23 17:19:00 -
13:
綾
その後智がお風呂に二人で入ろうとゆうので 久々に入った。 いつもは断る私があっさり入ったので すぐ機嫌がなおり いろんな話をしながら 体を洗ってくれた。 たまにキスをしてくれる智が愛しく思った。 『なぁ綾。俺の髪洗って』 智はすごく甘え上手で すごく可愛い
2008-04-23 17:28:00 -
14:
綾
あがる頃には二人とも ふらふらで 智が水を持ってベットで待っていた。 『綾、髪乾かしたるわ。こっちおいで』 そして智は時々私に甘えさせてくれる。 モテる意味もわかる。 でも… どうして私は智を 心から愛して あげれないの
2008-04-23 17:33:00 -
15:
綾
それは今に始まった事じゃない。 智はすごく似てる。 智はすごく… 恋愛なんか知らなかった。 ずっと私は恋なんてしない 私が好きなのは あの人に似た 智
2008-04-23 17:38:00 -
16:
綾
初めて見た時息ができないくらい動揺した。 目 鼻 口 何より声が… 生き写しの様な。 一目で決めた。 この人だ。って
2008-04-23 17:42:00 -
17:
綾
『綾?聞こえてる?』 「あっごめん。次智の髪な」 智の髪はサラサラで 頻繁に髪を染めたり 毎日逆毛を立てて スプレーをかけてる 私の髪なんか 太刀打ちできない位 智が女の子でも モテるだろうなって うらやましい所が たくさんある。
2008-04-23 17:51:00 -
18:
綾
『なぁ綾明日買い物いこ』 「無理。また見られてサイトで叩かれるやん」 『みんな知ってるやろ』 「尚更無理や。」 『綾は何でそんな冷たいん?』 「綾は、って事は他の子は智に優しいん?」 『すぐあげ足とるなぁ〜お前は』 そぉ言いいながら首筋に キスをしてきた。
2008-04-23 23:02:00 -
19:
綾
智は私が感じるところを 全て知ってる。 教えた訳でもないのに 回数を重ねるごとに 見つけて。 触って 舐めて 刺激する。 でも一時の快楽で 行為が終われば 私は闇に落ちる。 一度も結ばれないまま 私の前から消えた あの人を想い出して
2008-04-23 23:07:00 -
20:
綾
『綾気持ちいい?』 『どこ?もっと可愛い声聞かして』 『顔見せて』 『チューして』 『綾大好きやで』 『愛してる』 智は低く甘い声で 私を刺激する。 でも私は智を直視できない …智と向き合ったら。 智の全てを受けとめたら 私は涙が出てしまう。 智には言えない。 智の向うに見える あの人を想って 心が満たされているなんか
2008-04-23 23:14:00 -
21:
綾
そして私は深い眠りについた。 夜中に目が覚めて 喉が乾いたからリビングに水をとりにいくと 智が起きていた。 別に立ち聞きする気はなかったけど… いやでも聞こえてくる。
2008-04-23 23:33:00 -
22:
綾
『もしー直?最近また綾が怪しいねん』 『うん。だからまた頼むわ』 『違う違うゆきと菜々恵に聞いて』 …なんとなくわかってた事だけど 少しは智の事を信じてた。 前から何度か智が知るはずのない事を知っていたり 意味のわからない事で キレたりしてきた。
2008-04-25 01:18:00 -
23:
綾
智は私の事で 店の女の子に探りをいれていた。 直とゆう人はボーイで 色管理で有名な人。 女の子に色でも使って どことなく私の事を 聞き出していたんだと思う だから智が知るはずのない事を知っていたり ガセを聞いて怒ったりしてきたんだ。
2008-04-25 01:22:00 -
24:
綾
絶対あの人は そんな事しなかった 卑怯な事。 どうして怪しいと思うなら直接私に聞かないの?? どうして人から聞いた話をすぐに信じて 私を怒ったりしたの? …智が悪いんじゃない。 私が信用できるようなしっかりした人じゃないから。智に心配なんかさせるから そんな風には思えないよ。私はそこまで できた人間じゃない
2008-04-25 01:29:00 -
25:
綾
その後私は智を問い詰めた でも智は白々しく 『冗談で話ただけ』 とか 『俺やって心配やねん』 とかで話を済まそうした。 最後はごめんなと言って 私を抱っこして 寝室に運んだ。 私の腕を無理やり引っ張って枕にして寝だしけど 胸に残ったモヤモヤは消えなくて。 でも智を責め立てれないのは、私にも後ろめたい事があるからで 怒った後はいつも 胸が苦しくなった。
2008-04-25 01:43:00 -
26:
名無しさん
なんかいいな
是非頑張って2008-04-25 04:40:00 -
27:
綾
ありがとうございます。 少し更新します。
2008-04-25 13:14:00 -
28:
綾
次の日は休みだったけど 夕方まで寝てた。 本当は起きていたけど 智との気まずい雰囲気で 体を起こす気になれなかった。 『綾?いつまで寝るん??せっかく休みやねんから』 「まだ寝る」 『…わかった』 智ごめんね。
2008-04-25 13:20:00 -
29:
綾
一時間ぐらいして智は部屋から出て行った。 どこかに出掛けるのか シャワーの音が聞こえる。 机の上でバイブに合わせて動く携帯が私のほうに落ちてきた。 ディスプレイには[代表] と表示されていて でようかと思った時 智が部屋に入ってきて 『誰から?』 と聞くので 『中川(代表)やで』 と答えた。 智は私がふざけて携帯を見たり勝手にでたりしても 一度も怒らなかった。
2008-04-25 13:28:00 -
30:
名無しさん
あげ
2008-04-30 09:50:00 -
31:
綾
あげてくれてありがとうございます。 少し更新します
2008-05-05 02:16:00 -
32:
名無しさん
頑張って
2008-05-10 05:44:00 -
33:
名無しさん
書いて欲しい
2008-05-14 18:27:00 -
34:
綾
更新遅くなってごめんなさい。今から更新していきます
2008-05-18 18:44:00 -
35:
綾
その日は知らない間に眠ってしまっていた。 智がどこかに出かけたのか知らないけど 私が起きる頃には智が朝ご飯を作って待ってた 『こんないい男おらんぞ。俺逃したら綾は終わりや』 って笑って。
2008-05-18 18:47:00 -
36:
綾
毎日変わらない生活の繰り返しに私は退屈しつつも その生活以外に興味もなくこんな夜の世界でしか 自分とゆう人間を好きになれない。 でもいつか結婚したい。 そしていつか自分の子供をこの腕に抱いて さんさんと太陽の光がふりそそぐお昼の公園や 朝早くから起きてお弁当を作ってピクニックに行ったり。 今の世界とかけ離れた生活が頭の中に浮かぶ でも現実は太陽の下に出ると目が痛くなって 貧血で倒れそうになって…二日酔いで朝早くになんか起きてお弁当どころじゃない。 いつまで続くのかな。 こんな生活
2008-05-18 18:58:00 -
37:
綾
なにより子供を抱いている私を想像して その隣で優しく微笑む男性は智じゃなくて。 どうしてあの人が隣にいるのだろう 二度と顔を合わせる事もないだろう。 二度と触れる事も 声を聞く事だって。
2008-05-18 19:03:00 -
38:
綾
その日私は同伴で智と一緒に家を出た。 車の中でも信号で止まるたびにキスをしたり 髪を触ったり 誰かに見られないかドキドキする。 普通の関係なら見られても誤魔化しが効く。 でもホステスとその店のボーイなんかお客さんが見ても 店の子が見ても 絶対にいい気なんかしないから。
2008-05-18 19:19:00 -
39:
名無しさん
今日は二ヵ月前ぐらいから頻繁に通ってくれている 尾崎さんと同伴で 約束していた時間に間に合わず店前同伴になった。 ひつこく謝るわたしに尾崎さんは、これぞ大人と言いたくなるぐらいの優しい言葉たちを並べて許してくれた。 でも、この優しさはすべて下心とセットなんだっていつも思う。 尾崎さんだけではなくて 私を指名してくれる 頑張って働いてます丸出しのオジサマや 成金丸出しの若い男の子 タイプは皆バラバラだけど 共通して言える事は 皆下心がある。
2008-06-03 02:23:00 -
40:
綾
店に入るとボーイの子が 尾崎さんを席まで案内した でもすごく違和感を感じる どうして? 周りを見回してやっと気づいた。 智が居ない。 尾崎さんに 「待っててなぁ」 と言うと私はキャッシャーやスタッフルームや厨房をのぞいた。 どこにも智の姿がなくて不思議に思ったけど マネージャーに急かされ ドレスに着替えた。
2008-06-03 02:28:00 -
41:
綾
ドレスに着替えると仕事モードに切り替わるのが自分でもわかる。 今からは偽りの姿で 好きじゃない人を 好きだよと言わんばかりの目で見つめて 良いと思っていない物でもかっこいいや素敵といった言葉が次から次へと出てくる。 いつから麻痺してしまったんだろう 私の感覚は。 嘘はつきとうせば嘘じゃなくなる。 もはや私は何が真実か嘘か区別もつかなくなってきていて 飲んで喋る キャバクラサイボーグって 智に昔言われた。
2008-06-03 02:36:00 -
42:
名無しさん
席に着いていつもどうりの接客。 半分色。でも完全色じゃない。 私を人として気にいってくれたんでしょ? と遠回しに問い掛けて 女の体をもった私が好きになった訳じゃないよね と遠回しに釘を刺して 一番汚いやり方だって皆に言われるけど 一番楽だから。 絶対無理と思われたら最後だからたまには色もかけておく。 よく考えれば一番汚いやり方かも知れない。
2008-06-03 02:44:00 -
43:
綾
ラストがきて私は挨拶も早々にタクシーに乗った。 送りの車もあるけど その空間がすごく苦手で いつもは智の車で帰る。 でも今日は智が居ない。 結局最後まで店には出勤してこなかった。 どうせ出勤までに時間があるからスロットでも行ってでたんだろう。 帰ったら待ってるに決まってる。 前にもこんな事が 二回ぐらいあったから。 私は勝手にそう思っていた
2008-06-03 02:49:00 -
44:
名無しさん
家の前でタクシーから下りて 自分の家に目をやった でも明かりがついていなくて人がいる気配もない。 先に寝たんだと思って エレベーターに乗って自分の部屋に迎う。 でもなぜか今日は胸騒ぎがしてエレベーターも長く感じる ドアに手をかけて 開けた瞬間私は自分の目を疑った。 心臓が飛び出そうなぐらい波打って 頭が真っ白になった。
2008-06-03 02:56:00 -
45:
綾
玄関からはリビングのソファーが直視できて そこに見える二人は 絵に書いた様だった。 白い肌に少し筋肉がついたあの体に長い髪 見間違えるはずがなくて それは智だった。 暗やみの中裸で絡み合う二人が私は不覚にも綺麗と思ってしまった。 智と愛しそうに触れ合うその相手は私の知らない人だけど。 男には間違いない
2008-06-03 03:02:00 -
46:
綾
白い肌に華奢な体 智より少し長い髪に この距離からみても よくわかる すごく綺麗な顔だった。 雰囲気は同業の人みたいだった。 声も出せなくて 私はただ二人のその、行為`を見つめることしかできなかった。 私の存在にも気づかない二人は二人の世界がそこにはあって でもその時閉まりきっていなかったドアが音をたてて閉まった。
2008-06-03 03:10:00 -
47:
綾
「あっ」 私は驚きで変な声をだしたと思う。 智はすごくびっくりした顔をしてその男の子から離れた。 どうしよう。どうしよう。私の頭にはどうしようの五文字しかなくて 自分が悪い事をした訳じゃないのに 焦って家を飛び出そうとした。 その時智が私の名前を呼んで走ってくるのがわかったけどとにかく逃げた。
2008-06-03 03:16:00 -
48:
綾
その後大きい通りに出て タクシーをひろった。 こぉゆう時に私はつくづく孤独だなと思う。 相談できる友達もいなければ帰る実家もない。 「ミナミまでお願いします」 無意識にミナミと言って その後は外の光を見ていた。 まだ暗い夜の街に 溶けてなくなってしまいたいと何度も願った ショックとか裏切られたとか気持ち悪いとか そんな事ひとつも思わなかった。 たださっき目で見た事は事実で頭の中に鮮明に焼き付いた。
2008-06-03 03:24:00 -
49:
綾
思ったより早く着いてしまって私は宛てもなくフラフラとミナミを歩いた。 やっぱりここが好きだ。こんな時間なのに こんなに人がいて こんなに私を溶け込ませてくれる。 キャッチしている子や お客さんとアフターであろう 若い女の子とおじさん。 酔い潰れたサラリーマンの集団や浮浪者の人まで たくさんの人が この夜のミナミに溶け込んで 私もその中の一人なんだって思ったら 気持ちが落ち着いた。
2008-06-03 03:33:00 -
50:
綾
『携帯鳴ってますよ』 そぉ言われて私は声のするほうを見た。 どこからどう見てもホスト。 「あっわかってます」 そぉ言って私は携帯の充電をおとした。 『えっ切っちゃうんですか?なんかあった?』 そのホストくんは私をみてそぉ言った。 今日は行く宛てもないし 帰るにはまだ早すぎる。 この優しそうな営業スマイル全開の子に着いて行くのも悪くない様な気がした
2008-06-03 03:39:00 -
51:
綾
「店行ってもいいよ」 そぉいきなりゆぅ私に彼は 『いやキャッチじゃないんですけど』 って言いながら笑ってた。 「どうでもいいから。店どこ?早く連れて行って。のみたい」 すごく早口だったと思う
2008-06-03 03:43:00 -
52:
綾
店に向かいながら改めて彼を見ると若いって思った。 「えっいくつ?」 『19歳』 …やっぱり。 でもオーラがあるって思った 道頓堀でキャッチしてる子たちとは少し違うオーラが。 『てか営業五時からやねん。まだ早いなぁ』 そぉ言って時計を見る 横顔をみて 「名前は?」 と聞いた 『涼太』 と言って笑う彼の顔を見て癒されるなと不覚にも思ってしまう自分がいた
2008-06-03 03:51:00 -
53:
綾
店に着いてからの記憶は 曖昧で 涼太がナンバー入りしてる子で見た目の割に気が強い って事しか覚えてない。 ただ嘘の番号を私は教えた 別に気にいらなかったんじゃない。 むしろ好意をもったくらいだった でも本当の番号を言わなかったのは… やっぱり智がいるから。 さっき見た光景を思いだしても 一応まだ智は私の彼氏で 別れていないのは確かだから。
2008-06-04 01:17:00 -
54:
綾
気がついたら驚くぐらい時間が経っていて 昼になっていた。 『ご飯いこ』とゆぅ涼太を適当な理由をつけて断った それも嫌だから断ったんじゃなくて 逃げ出してしまった自分が嫌になってきて 智と向き合って きちんと別れ話をしないといけないと思ったから。 「また見かけたら声かけるな」 そぉ言って私はタクシーに乗り込んだ
2008-06-04 01:21:00 -
55:
綾
気が重くて どんな顔をして帰ろう 第一声はどんな言葉がいいんだろうか そんな事ばかり考えて 私が悪い訳じゃないのに こんな事を言ったら 皆嘘だと思うかも知れない でも私は本当にタクシーに乗っている数分の間 智を傷つけずに どうやって別れようと 必死に考えた
2008-06-04 01:26:00 -
56:
綾
智の性格と 今までの言動を考えると 簡単には別れを認めない事ぐらいわかってる。 普通の考えの人だと 彼氏がホモでその現場を見たのに 彼女が別れてくれるかどうかを考えてる事自体おかしいと思うと思う 私は普通じゃないのかも知れない。 でも思うんだ。 自分で言うのはおかしいかも知れないけど智は少なからず私を愛していたと思う。そして私が見た事はホモ的行動。 じゃ智はバイなんだ。って
2008-06-04 01:34:00 -
57:
綾
気持ち悪い 普通じゃない そぅ思うのは当たり前な事で即効別れてもおかしくない。 でも智は智なりに悩んだと思う。 私が別れを切り出した時 智はどう思うだろ 軽蔑した訳じゃない。 嫌いになった訳でもない でもあの光景を見た私が このまま智と何もなかった様に付き合っていく事が 正解じゃない。
2008-06-04 01:41:00 -
58:
綾
自分の家に入るのを こんなに悩んだ事は 初めてで
気が重くてしょうがなかった。
鍵がなくてインターホンを押して智が出てくるまでの数秒が私には数分に感じた
『綾…おかえり』
そぉゆぅ智はすごく悲しそうな顔をしてるように見えて少し胸が痛かった。
「ただいま。」
中に入ってソファーが目に入った。
夜見た光景が鮮明に蘇る。
(だめだ…苦しい)2008-06-07 12:16:00 -
59:
綾
コーヒーをいれてる智の後ろ姿がすごく切なくて 今から別れ話をきりだす 私は言葉を選んだ。 『はい』 コーヒーを差出しながら智は真っ直ぐに私を見た 『なぁ綾。全部正直にゆぅわ。今さら言い訳とかないしな。ただ綾の事は本間に愛してるねん。それは事実やから』 私は黙って頷いた。
2008-06-07 12:23:00 -
60:
綾
『一緒に居てた奴は光ってゆぅねん。同業の奴や』 智の話はこうだった。 10代の頃智はホストクラブで働いていた。 その時働いていた店のNo.1が昨日私が見た光という人。智は尊敬していたし憧れの意味でもその人に懐っこくしていたらしい。 そして他の従業員よりも優しく接してくれる光と誰よりも懐っこくする智は周りからも噂されるくらい四六時中一緒にいた。 そしてまだ駆け出しの頃でお金が無かった智は光の家に転がりこんで 何から何まで世話をしてもらった。 ある日光は智に相談した。自分はバイセクシャル(両刀・男でも女でも)だと。そして智の事が好きだと。
2008-06-07 12:35:00 -
61:
綾
『正直びっくりしたし、そんな素振りみせた事なかったから引いたよ。でもな、何から何まで世話なってたしそこで「はいそうですか。さようなら」なんかゆわれへんかってん』 そしてあまりお酒を飲めない智は毎日の仕事が人一倍辛くて悩んでいたときに 光が今の店を紹介してくれてキャバクラのボーイを始めたらしい。 体の関係はない。キスや抱き合うまではできてもそれ以上はさすがにできず光もそれ以上は求めてこなかった。
2008-06-07 12:44:00 -
62:
綾
『信じてくれんでもいい。気持ち悪いって思ってもいい。ただ…嫌いにならんとって』 私は、初めて智の弱気なところを見た。 何も言い返せなくて… 下を向いたまま無言で 頷いた。 そして智は話続けた。 光は若くから売れっ子で 夜の人たちの中では有名だった。 経営者の知り合いも多く 光のコネで入った智は優遇で働きやすい今の店を気にいって決めたらしい。 ホストを辞めてからあまり光とは会わず平凡な日々をおくっていた時に私と出会った。 智が持っているブランド物のアクセサリーやスーツは全て光が買ったらしい。 「智はどうゆう気持ちやったん?どうゆう気持ちで光ってゆう人と接してたん」
2008-06-07 13:28:00 -
63:
綾
『正直俺もわからんかった。でもな、人してとか男としてとかじゃなくて仕事では何の妥協もせぇへんいつも完璧なところが好きやった。先輩としてな』 「うん」 『でもなそんな完璧な人でもな、弱いとこはあんねん。そぉゆう所全部俺に見せてきた。』 「うん」 『突き放されへんかって。あの人は本間に寂しい人やねん。金があっても地位があっても本間に信じれる人がおらん』 「なぁ智。同情でそんな関係続けてたんやったら余計にかわいそうやで。別に私は偏見ないよ。 でもな、気持ちもないのにその関係は良くないと思う」
2008-06-07 13:47:00 -
64:
綾
『なぁ綾、もぉ光さんとは会わん。今の店も辞めて自分で職場探す。 ほんまに綾が大切やねん。こんなん格好悪くて言われへんかったけど綾がおらん生活とか考えられんわ。』 智の真剣な顔と言葉に 気持ちが揺らいだ。 許しても良い。 そう思う反面 別れてしまった方が楽だとも思った。 「…ッ」 『待って!振られる準備さして(笑)』 そぉやって笑う智は無理して笑顔をつくってるのが よくわかる。 『ほんま俺格好悪いな。綾と会うまでこんな気持ちしらんかった。本間に惚れた女にはどんな事でもしてやれるって思った。好きすぎて乱暴な事してもぉた事も全部後悔してる。俺…』 智はすごくゆっくりと すごく優しく 自分の気持ちを伝えてくれた。
2008-06-07 14:05:00 -
65:
綾
「私智は、ほんまに優しい人なんやと思う。情深いとこあると思うねんな。 そぉゆう智が大好きやねんけど嫌いなとこでもあんねん。」 黙って私を見つめる智を見て思った。 私の最愛の人に似ているとゆぅ理由で智を選んだ。 でも私の最大の支えで心の拠り所だった。 利用していた様に聞こえるかもしれないけど 私の今大切と言える人は 家族でもなく友達でもなく彼氏の智だから。 「智、もぉ忘れよ」 『えっ?』 「私光ってゆう人の事なかった事にできる。それぐらい智を信じてるし大切やねん。忘れよ」 智はすごく驚いた顔をしたけどすぐ悲しそうな顔をして驚く事を言った。 『綾は俺の事好きじゃないよな。好きやから許すんじゃなくて好きじゃないから許すんやと思う。いつも思ってた。綾ほんまに大切なん誰やねん』 私の気持ちを悟っていたなんて思いもしなかった。 『俺そいつの代わりでも良いって思って綾と付き合ってきた。なぁ綾俺の事本気で好きなるんは無理なん』 胸に何か突き刺さったような痛みが走って 堪えてもあふれだす涙は私の頬をつたった。
2008-06-07 14:21:00 -
66:
綾
「と…智、私大切なんわ…」 智だけだと言おうと思った。でも喉まできている言葉がでてこない 『そんな悲しい顔せんとって。好きになってくれへんのやなくて好きにならされへん俺が悪いから』 「ちがっ…智が悪いんじゃ…」 『もぉいいから』 そぉ言った智は私を思い切り抱き締めた 『縛りつけすぎやな綾の事。重いやろ俺』 首を横に振ることしかできなかった 私の頬に自分の涙じゃない冷たい雫が落ちてきて 余計に胸が締め付けられた 『綾愛してる。ほんまにお前以外考えられへん』 「…うん」
2008-06-07 14:32:00 -
67:
綾
今日はここまでにします。読んでくれている方が居たらうれしいです? 辛くて書けない部分があるので話のつながりがおかしいかも知れないですが、頑張って完結させるので 暖かく見守ってください。
2008-06-07 14:58:00 -
70:
名無しさん
あたしはなんか好きやなぁ
きちんと続けて書いてくれてるから毎日チェックしてます2008-06-09 13:56:00