小説掲示板ピエロのスレッド詳細|夜遊びweb関西版

夜遊びweb掲示板 関西夜遊びweb掲示板 関西
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

ピエロ

スレッド内検索:
  • 1:

    ◆NedEI85Yxg


    『ピエロみたいに笑ってたくない?ずーーっと!』


    ――――今でも、いつかのアイツの言葉を思い出す。

    2008-05-29 05:42:00
  • 2:


    楽しくなくても笑ってたい。生きてる時間、全部、全部。もう、"嘘"とか"真実"とか――
    "正しい"とか"間違ってる"とか、そんな事は関係なく、どうでも良くって―――。

    ―――アンタは今でも、そう思ってる?

    2008-05-29 05:45:00
  • 3:


    ――4月下旬。雨の匂い。蒸し暑い。
    ――ピピピピピピ………『ん……ぅ。』しょぼい音を鳴らす目覚まし時計を止めて、起き上がった。…部屋が暗い。雨は続いている。こないだわざわざ遮光カーテンを取り外したというのに。
    『〜ぁあ…!だる…。』あぐらをかいたまま煙草に火をつける。煙と同時に吐き出すため息。
    ―――また嫌な夢を見た…。

    2008-05-29 05:55:00
  • 4:

    〜♪♪♪〜
    『…もっし〜!今起きたあー。』その"夢"に浸る暇もなく電波通信。〈何で電波って大概どこでもあるんやろぉ。〉そんな事を考えながら携帯を耳に当てたまま立ち上がり伸びをした。『桜もう終わりやね〜…』今日の雨で、きっと全部散る。ベランダから眺める桜の木、ちょっとキレかってんけどな。

    2008-05-29 06:03:00
  • 5:

    『うん、うん。おっけ〜ありがと〜♪んなら9時前に店下で。じゃね♪』

    電話を切りシャワー、化粧、着替えを済ませセット屋→そして店。いつもの過程を淡々と済ませるけど、雨がちょっとだるい。店へ向かうタクシーの中、おっちゃんが言った。
    『桜もこの雨で散っちゃうやろ〜ね〜。』

    2008-05-29 06:10:00
  • 6:

    『あ〜ルイもそれ思ってた。』『ね〜寂しいね〜』おっちゃんは少し黙った後、呟く様にいう。『まあでも春は何かが終わって、また新しい何かが始まる季節やからね〜』
    ―キィーッッ―!アタシが答える前に店の前に到着し、お金を払うと、車のドアが開いた。
    『ありがとうね〜♪』あたしは少し微笑み車を降りる。

    2008-05-29 06:17:00
  • 7:

    『いらっしゃいませー!!』
    案内のボーイさんをすり抜けリストへ。『おはよ〜ルイ!てかいい加減やめて、堂々と遅刻!笑』『いい加減諦めろ♪笑』『おい!笑』小うるさい店長とのやり取り。それを済ませ更衣室へ。
    『あっ♪ルイちゃんおはよ〜ッッ♪』『おぱよん。』『今日も可愛い〜!!』『知ってますとも。笑』最近くっついてくる新人の愛理は、どこかアイツの面影があって、アタシを変な気分にさせる。

    2008-05-29 06:37:00
  • 8:

    『ルイ行けるー?』『はあいよ〜ん!』

    ボーイに呼ばれ席に着く。二時間セットはだるいなあ〜…『噂の新人さんは来てんの?来てたら後で呼んであげよっかあ?』
    『んまにい?♪シュン君優しッッ♪』テキトーに答えてテキトーに抱きつく。これがアタシの接客スタイル。色営バンザ〜イ。笑 基本指名客は店彼で、客層はアキバ系多し。萌えキャラじゃないよ〜笑 普通のお客様もいてるよ〜笑

    2008-05-29 06:52:00
  • 9:

    在籍はちょうど一年位。箱は中でレベルも中。成績は先月No2になっちゃったけど、基本3〜4をうろうろしてる感じ。至って普通。やる気があるとかないとかよりに"とりあえず仕事やし"的なね。

    『呼んでくれてありがとう〜ッッ♪』タイミングを見て常連のTHE・アキバのシュン君の席に愛理をつけて、出前平らげて違う席にちょこちょこ移動。そんなんであっとゆうまに深夜2時半。

    2008-05-29 06:59:00
  • 10:

    『ありがとうねシュン君〜ッッ♪チュッ(^з^)/チュッ♪笑』お見送りの際、投げキッスをしてあげた♪笑

    エレベーターがしまる。『…ふぅ〜!ごめんなぁ愛理ぃ、長い事ッッ!』『ううん♪楽しかったしたこやきも食べれたし♪笑 他ん席にヘルプに行くよりだいぶいーしっ♪ありがとーやわ♪笑』………あ。また。アイツを思い出させた愛理の笑顔に少し目を反らしてしまった。…………そんなハズないのになぁ〜。

    2008-05-29 07:07:00
  • 11:

    でも多分気のせい。あまり気にも止めず、ちゃっちゃと帰る用意をするアタシの服の裾を掴む愛理。
    『んう?』『なぁなぁルイちゃん、…この後暇あ?』お?初めて誘われたぞ愛理に。笑 『別に用事ないけど何で〜?』『あんなあ〜…』

    ふむ。ズバリ、"ホストについてきて欲しい"と言う事。その店に"彼氏"がいて、"店の友達でも連れておいでや♪"と言われたとの事。
    ……

    2008-05-29 07:15:00
  • 12:

    『別にいいよ〜♪』『んまにっ!?やったぁ♪ありがとー!!ルイちゃんホストとか嫌がるおもてたー!』愛理は嬉しそうに化粧直しをしていた。

    基本、そゆのに興味ないけど、何となく。まあいいやって感じで行く事になった。

    『ルイちゃんのあのお客さん熱いやんなあッッ!ルイちゃんの色にやられたんやろな〜♪笑』『ん〜、大して何もしてへんのやけど。笑』店に向かう途中、そんな会話を交わしながら歩いていた。〈雨上がっててる。〉散ったかな、桜は――。

    2008-05-29 07:23:00
  • 13:


    『いらっしゃいませー!!!』
    入った瞬間の爆音と威勢の良い声に少しむさくるしさを感じつつも…笑
    案内された席につく。『何飲まれます?』『あ、ウーロンハイでお願いしまあす♪』『はい。愛理はオレンジジュースな!』拓馬くんはポンと愛理の頭を叩いて見せる。『愛理も飲みたい〜!』『アカン!お前すぐ酔うから』『え〜…』
    ふむふむ。笑 なかなかラブラブなやり取りだ。

    2008-05-29 07:44:00
  • 14:

    『ちょっと待ってて下さいね。』席を立った拓馬くんを指差しながら愛理がニヤける。『どう?かっこ良くない?笑』『うん。いいと思う〜♪てかお似合いやあん♪』更にニヤける愛理。幸せそう。
    入ってる間に拓馬くんは一人のホストさんを連れて戻ってくる。
    『ルイちゃん、コイツ俺が一番仲良い奴やねんけど、最初つけてもいいかな?』『あ、はい、よろしくお願いしまあす♪』

    ―――顔を上げた瞬間、目が釘付けになったのを今でも覚えてる。

    2008-05-29 07:52:00
  • 15:

    『はじめまして。雪です。』



    ―――――――…………

    2008-05-29 07:54:00
  • 16:

    『ルイさん…ですよね?』
    少し微笑む彼。『失礼します。』アタシの前に腰掛け、アタシの顔を覗き込む。『どうしたんですか?』その言葉でやっと口が開く。『…ごっめ〜ん!笑 見とれてもたあ〜!笑』アタシの発言に一同笑いが漏れる。『えぇっ!ルイちゃん雪タイプー!?笑』そう言う拓馬くんの隣からは、『雪くんでも気をつけてっ!ルイちゃんの色は怖いで〜♪笑』と愛理。
    彼の、声を聞いてみたい。アタシは彼を見て待ってみる。

    2008-05-29 08:01:00
  • 17:

    『ルイさん…ですよね?』
    少し微笑む彼。『失礼します。』アタシの前に腰掛け、アタシの顔を覗き込む。『どうしたんですか?』その言葉でやっと口が開く。『…ごっめ〜ん!笑 見とれてもたあ〜!笑』アタシの発言に一同笑いが漏れる。『えぇっ!ルイちゃん雪タイプー!?笑』そう言う拓馬くんの隣からは、『雪くんでも気をつけてっ!ルイちゃんの色は怖いで〜♪笑』と愛理。
    彼の、声を聞いてみたい。アタシは彼を見て待ってみる。

    2008-05-29 08:04:00
  • 18:

    『…やめて下さいよそうゆうのっ!笑』

    "雪くん"のその一言で、またドッと笑いが湧く。細い指で顔を覆い、照れている。…ドキドキする。こんなんは初めてだ。
    『雪、気をつけろよ〜!笑 ルイちゃんかなりやり手っぽいで!笑』拓馬くんはそう言うと空気を読んで愛理と二人で話し始める。『いくつですか?』『20歳です。』『マジッすか…俺の3つ下ですね。見えないっすよ。笑』――23歳なんやぁ…

    2008-05-29 08:15:00
  • 19:

    『ちょっとショック〜!笑 ルイ老けてる?笑』『いや!すっごい色気やな…と思いまして。笑』『またまた〜♪笑』すごい!すごい雰囲気だ。白い肌に少し華奢な体。綺麗な髪が少し目にかかってる。―――天使みたいや。『雪くんって本名?』……って。『あぁ!笑 ごめえん!キャバクラのお客さんみたいな事聞いちゃった!笑』『いや、全然いいですよ!本名ですよ。ルイさんは?』『本名やでえ。ユキって雪国の雪?』『はい。』『やっぱり〜!』正味の話、わからんけどそんな事はよくって、ほんまに"雪"って感じや――。

    2008-05-29 08:23:00
  • 20:

    『っぽいですか?』『っぽい〜!笑』『まじすか。笑 ルイさんはどんな字書くんですか?』『ルイはカタカナやで〜笑 なんかキショイやろ〜笑』

    そのまま少し話し、雪くんが席を立つ時間がきた。『おってや〜♪ルイ雪くんがいいっ♪』『いいんですか?ありがとう。笑』少しテレながら言う雪くんが、仕事なのはわかってるが、"綺麗"だと思った。

    2008-05-29 08:29:00
  • 21:

    愛理は拓馬くんと楽しみつつ、『ルイちゃんが雪くんで嬉しい〜!』と嬉しそうだった。

    その後雪くんはほとんどアタシの席についてくれていた。他愛のない話。なのに楽しい、何より落ち着く。時間がこんなに早く感じたのは、久しぶり――。素晴らしいホストがこんなところに…笑

    この日2時間位いて、番号交換をして、愛理と店を出て、別れて家に帰った。

    2008-05-29 08:36:00
  • 22:


    ―――まさか、今日がすべての始まりだったとは。

    2008-05-29 08:37:00
  • 23:


    ―――"運命"は、信じない。いくつかの出会いがあって、同時にその後いくつかの別れがあるのなら、きっとアタシはあれからその流れに逆らおうとしていた気がする。

    ―――"夢"は見たくない。瞳を開けてる時も、閉じてる時も。傷つくのが怖いからじゃない。"放棄している"だけ。

    2008-05-29 08:42:00
  • 24:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 25:


    ―――バサッッ…!
    『……―――ッ、また…か。』

    ――喉の乾きで目が覚めた。カーテンから日差し。雨は上がって快晴。『……はぁ…』水を手に取り頭を抱える。ひつこい夢。ため息が出るのは、それが嫌だからか、はたまた"夢"だからなのか、未だに良くワカラナイ。

    2008-05-29 08:49:00
  • 26:



    ――――アヤ。

    アンタも、アタシの夢を見る事あるかな?てゆうか…元気かな?てゆうか………生きてる?

    2008-05-29 08:52:00
  • 27:





    『ルイちゃん雪くんとメールしてるっ!?』―――――――『あ、うん、ちょこちょこね。』

    2008-05-29 08:56:00
  • 28:


    ――あれから数日経った。何の変哲もない仕事場での待機中。ベランダから見える桜の木はもう花びら一枚さえなかった。
    『そっか〜♪なんか嬉しいな♪雪くんマネージャーさんやねんでっ!』『らしいね。拓馬くんが代表なんやろ?ビックリしたし〜笑 うまい事行ってんのお?』携帯をいじりながら楽しそうな愛理の隣。『うん♪いい感じ♪』正直、拓馬くんが愛理の事本気な可能性は低いが…笑 本人が幸せならそれでいんじゃないだろか、多分。アタシはと言えば雪くんと"客"と"従業員"らしいメールを当たり障りなくこなしてる。

    2008-05-29 09:04:00
  • 29:

    『ルイちゃんは雪くんの事好きなあん?』『うん?うん♪笑』『まぢでっ!?♪笑 雪くん拓馬に"ルイちゃん彼氏いてるんかな"って聞いてたらしいでっ♪』お〜っとぉ!笑 『そういえばそゆ話してなあいなあ。笑』
    流しておこう。笑 ホストはキャバ嬢以上に怖いからね。笑 『ルイちゃんが雪くんとくっつけばダブルデート出来るな〜♪♪』本気か冗談かわからない口振りで、ゴテゴテのスカルプをいじいじする愛理がちょっと怖くなった瞬間。笑 ま…いっか。笑

    2008-05-29 09:10:00
  • 30:

    『ルイ!アキバさんきはったでっ♪笑』『まぢ〜?連絡なかったし〜!』

    ボーイに言われ客席に向かう。『シュンく〜ん♪急やからビックリした〜♪』『やろ!ビックリさせたかってん…♪』なんやそれ!笑 『この〜!ヽ(´ー`)ノ笑』…とりあえず抱きついとけ!笑 1に密着、2に密着。これで他のキャストに反感を買われた事もあるけど、もう慣れっこ。だって客層アキバやねんもんッッ!笑

    『今日も愛理ちゃんつける?』『なんなん気にいった〜ん?』ちょっとすねて言ってみると、『ルイちゃん以上はおらんって!!』と必死。『かわゆ〜い♪』ヨシヨシしてあげよう。

    2008-05-29 09:21:00
  • 31:

    一回アタシの接客方法で女の子達とモメた?時、「あんなキモイんとよく引っ付けるな」とか、「あんなベタベタしてまで必死でキモイ」とか、「話術ないからって」とか言われたけど、違うねんな。店長が言ってた。アタシはお客様に対して全く「無関心・無興味」やねんな。お金とか以前に。"その癖ニコニコ笑えるお前はまさにピエロや!"って。普通女の子は、"生理的"なモノが働くんだと。そしてそれが原因で水商売は病むのだと。"お前には天職やな"って店長は言ってたけど、それも違くて、これしか知らなくてこれが楽だから、ただそれだけ。別にキャバクラじゃなくても何でもいい。アタシには"こだわり"がない。

    2008-05-29 09:35:00
  • 32:

    こだわりも無ければプライドもないから、あまり人の事気にしないし、気にならないし。時々、"こんなにもカラッポな自分"にびっくりするけど、笑えてるから、ずっと笑っていれてるから、安心する。それが唯一の"夢"だったのカモ。

    ―――アタシらの。

    2008-05-29 09:42:00
  • 33:



    『りっくうん♪シャンパン飲みたあい♪』

    ――ある日の【PIERO】今日は忙しい。"締め日近い"と言う事で色んな卓でシャンパンをおねだりしていた時。『ん〜?何飲みたいん〜?』『わ〜い♪笑』いつも通り抱きつきまくってたら入口のドアが開く。『いらっしゃいませー!!!』そこに集中する視線。待機場で女の子がざわめき出す。

    2008-05-29 17:50:00
  • 34:

    『こちらへどうぞー!』ボーイさんがその人達を案内する時、目が合ってしまった。〈うわ〜…笑〉雪くんや。雪くんと拓馬くん。二人は仕事中だろう、スーツ姿のまま。綺麗にセットされた髪、特に雪くんにはオーラがあって2人共に目立っていた。

    『拓馬〜♪』周りなど気にも止めずイチャつく愛理が見える。〈おいお〜い、大丈夫かあい。笑〉
    ちょうどアタシのついてた席でシャンパンがおりて乾杯が終わった頃。『ルイさんお願いします。』

    2008-05-29 17:58:00
  • 35:

    名無しさん

    おもしろい
    続き待ってます

    2008-05-29 22:25:00
  • 36:

    お酒の力も働いて、少しドキドキしながら雪くんの隣に行く。『呼んでくれてありがと〜♪』あ、イイ香り。『急にごめんね。拓馬と時間空いてきちゃいました。笑』前髪を指でイジりながら少し笑う。雪くんは本当に綺麗だ。『ルイちゃん人気者やな〜やっぱり!』と拓馬くんがアタシを見た。ただ何となくなんだけど、雪くんと対照的な拓馬くんが、アタシはどうやら好かないみたいだ。

    2008-05-29 23:05:00
  • 37:

    夜独特の派手な席に、女の子はもちろんお客様の注目も集まっていた。『やっぱり目立つね。笑』アタシが言うと、『忙しい時にごめんね。ルイちゃんのお客さんもいっぱいきてはる時に。』と雪が申し訳なさそうに言った。雪くんはきっと頭が良い人だろーな。普段のメールのやり取りや、気遣い。ここに入ってきた瞬間に、店内状況は大体読み取ってるんだろうな。
    『でもちょっと見てみたくて。ルイちゃんが仕事してるとこ。』売れてるんやろうな。まさに雪くんは"ホストらしいホスト"。

    2008-05-29 23:15:00
  • 38:

    名無しさん

    前ピエロって題名でにたような小説ありましたよね??
    書き直してるんですか?
    そりともぱ…ぱくり?

    2008-05-29 23:32:00
  • 39:

    『ほんま怖いっすね。笑俺通ってまいそう…笑』少し俯き、仕草、優しそうな品の良い笑顔。そして、『ルイもやしっ♪笑 てか雪くん手冷たあい。』『あぁ、俺冷え症なんですよ。』『うん、ぽいぽいっ。』さり気なく手を触ってみる。うん、冷たくて、白い。『それ、肌の色で言ってるでしょ?笑』『当たり!笑』雪くんは女の子みたいに白い。とゆうか、"透き通る"みたいに綺麗な肌、手も。こんなに綺麗な人間がいるなんて――。
    『ルイちゃんは休みの日とか何してるんですか?』雪くんはまだ気を遣ってる様な、様子を伺う様な敬語で聞いてくる。タメ口でいーのにな。まぁどっちでもいーからいいけど。

    2008-05-29 23:44:00
  • 40:

    『休み…ですかあ〜ん〜。』『あ〜ごめんない!僕おっさんみたいっすよね、ごめん!笑』手で口元を覆って自分に突っ込むから、可愛くて笑ってしまった。『可愛い〜♪笑』『もう!おちょくらんとって下さい!笑』『ヒャはは〜!笑』なんか、新しい一面だ。
    『雪、何年下におちょくられてんねん!笑』またそこで拓馬くんが入る。だからほっといてってば!ヽ(*`Д´)ノ笑

    そうしてみんなで楽しく話してる内に、アタシは呼ばれ席を立った。
    『待っててねえ。』

    2008-05-30 00:00:00
  • 41:

    アキバ代表シュン君の席へ。最近来るペース増えてきたけど大丈夫なんかな?『今ついてたとこ…ホスト?』『うん。』『ルイちゃんもやっぱホストとか行くん?』『あ〜♪焼き餅や〜♪笑』アキバ代表、ホストはやぱ好かんみたい。笑 愛用のリュックサックを抱きしめウジウジ。
    『ルイ、そのリュックになりた〜い♪笑』言いながらシュン君の顔を見つめると、顔を赤くしてキョドっていた。

    そのやり取りを、目を光らせて見てたのは、アイツ以外にもいてたみたい――。

    2008-05-30 00:12:00
  • 42:


    『お帰り。』アタシが雪くん達の席に戻る頃には、何本かのシャンパンがおりていて、チェックの用意をしてる感じだった。『帰るのお〜?』『うん、ごめんね。ちょっと電話あって戻らないとあかんから。これ、乾杯♪』雪くんは笑ってアタシの頭をポンッと叩いてリストまで行って会計を済ませる。真っ直ぐな背筋、長い足。その後ろ姿に、アタシはグラスに口をつけたまま見とれていた。『ルイちゃん、雪と仲良うしたってな♪』どこか胡散臭い笑顔を振りまく拓馬くんを、[エセピエロ]だと、アタシは思った。

    2008-05-30 00:28:00
  • 43:

    お見送りした後、雪くんにありがとうメールを入れておいた。またお礼に店に行かないとなぁ。本来、そうゆう"義理"でお互いの店に行くとゆうのが煩わしいんだけど、雪くんにはそう思わなかった。純粋に、行かなきゃと思った。

    "好き"っちゃ好き。ドキドキもする。でもこれは"恋"ではなく、でもきっと一目見た時から、始まっていた。不思議な人。アタシに"何か"を感じさせてくれる人。

    それだけは間違いじゃなかった。

    2008-05-30 04:10:00
  • 44:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 45:




    ――光は、闇でこそ輝くコトが出来る。なら闇は、永遠に輝くコトは出来ないのだろうか――。"今更"記憶を辿っても、未来を描こうとしても、どうしようもないよ。目の前は真っ暗でもないから、"見る"コトは出来るけど、薄暗い。これがきっと闇だ――。いっその事真っ暗なら良かったのに。

    2008-05-30 04:24:00
  • 46:



    ―ピピピピピピ…………聞き慣れた目覚ましの音。どんな時でも、アタシはこのしょぼい音で目を覚ます。
    『………は…ッ。またかよぉ〜…』
    ――覚めてしまうのだ。

    2008-05-30 04:28:00
  • 47:





    _________________________________

    2008-05-30 04:32:00
  • 48:


    ―――妹川 ルイ(マイカワ)
    【―13歳の春―】

    母が再婚した。再婚相手の男には娘がいた。名前は[麗香-レイカ-]。アタシと同い年。キツそうな顔立ちでアタシとは正反対で背も小さかった。奇妙な同居生活の始まり。この日からアタシと母の名字と、"これから"が変わった――。

    2008-05-30 04:43:00
  • 49:

    麗香とは、初対面からウマが合わず、お互いがお互いを鬱陶しく感じていた――。家でも学校でも顔を合わす。それが堪らなく嫌で嫌でしょうがなく、ロクに家に帰らなくなるアタシ。それとは対照的に、ファザコンの麗香は毎日家に帰り、その父を溺愛していた母は麗香をも可愛がった。これは卑屈でも何でもないが、そこに愛なんてなかった。母はそういう人だった。
    日が経つに連れて麗香の父は本性を出す。"暴力"。と言っても、手を出されるのはアタシだけだったけど。

    2008-05-30 04:57:00
  • 50:

    もちろん母は助けてくれるハズもなく、それどころか父に加勢してくる日さえあった。麗香はと言えば、それを見て勝ち誇った様に笑っていた。
    傷だらけで学校に行く。土地柄のせいか、髪を染めてるだの、制服のスカートが短いだの、生意気だので先輩に呼び出され囲まれやりたい様にやられる。もういちいちどの傷が誰かなんてわからないし、どうでもいい。気に入らないならいっそ殺してくれたらいーのに。


    ――そんな時に出会ったのが、[アヤ]。アタシの初めてで、そして最後の"友達"――。後にも先にもこれほどの出会いはもうないと今でも思っている。

    2008-05-30 05:11:00
  • 51:

    『あんたの妹、やっちゃっていい?』
    ――アヤが初めてアタシに話しかけてきた言葉がこれ。先輩達に呼び出される時、唯一、二回以上顔を合わしてる子だったから顔は嫌でも覚えていた。大体みんな一回"アレ"をされたら懲りてたから。『別に…。名字が一緒なだけであんなん妹でも何でもないし。』『マジで!?どうりで全っ然似てへんわけや〜笑』アヤの第一印象は"馴れ馴れしい奴"。そん位。ただ、目鼻立ちがクッキリしてて綺麗な顔してるなと思った。

    2008-05-30 05:22:00
  • 52:

    その数日後、麗香が傷だらけで帰ってきて、パンパンに腫れた顔で父や母に泣きながら言ってるのを聞いた。「片瀬さんに殴られた!」……あいつ、ほんまにやってるし。麗香が言う"片瀬"はずばりアヤの事で、父と母は学校を通し、アヤとアヤの親に謝罪を求めたが、アヤも、アヤの親も家に来る事は無かった――。

    『あ!妹川姉!』
    ある日学校での事。トイレに入ると窓際で1人煙草を吸うアヤがいた。口元が切れて赤くなっていた。

    2008-05-30 05:37:00
  • 53:

    もちろん家にも煙たがられる訳だが、アヤがいる、それだけで何となく、楽になれた気がした。


    【13歳-夏-】
    生まれて初めての彼氏ができる。名前は[実好 英太-ミヨシ エイタ]名字で呼んでいた。それ位初々しい恋。隣のクラス。学校に行かず遊びぼおけてる時、アヤが連れてきて、出会った。これが"幸せ"かと、幼ながらに感じ、「卒業したら一緒に住もう」「結婚しよな!」そんな口約束も疑う事なく信じていた。何だかんだ、純粋だったのかも。

    2008-05-30 21:23:00
  • 54:

    でもその初めての"幸せ"は、簡単に崩れる。しかも原因は麗香――

    【14歳-春-】
    2年に上がると同時に、実好と別れた。いや、麗香に取られた。麗香が実好を本気で好きだったのか、アタシへの嫌がらせだったのか、そんなのはどっちでも良くて、ただ実好が麗香を選んだ事が、ショックで、恨むとか、取り返すとか、そんなんじゃなく、どこか遠くに逃げたくなった。どこか、誰も知らないところ――。

    2008-05-30 21:35:00
  • 55:


    『…なんか、どっか遠く行きたいわ。』
    『ふーん?んな行ってみる?』

    ――ほんまにノリ。この時のアヤの軽い台詞。"家出決行"。"もう二度とここには戻らんとこ!"その晩、それぞれ鞄に荷物を詰め込んで家を出た――。夜桜が綺麗だった。

    2008-05-30 21:41:00
  • 56:

    何も、考えてなかった。でも不安は無かった。"二人なら大丈夫!生きていける"何故かそう強く信じていた。アヤが一番だった。アヤの言葉だけは信じる事が出来た。

    まず、"金が必要"。そこで二人が初めてした仕事は[-セクキャバ-] 14歳の子供が服を脱ぎ、大金を稼ぐ。親父に触られるのは気持ち悪い。でも二人で生きていく為。"あそこ"におるより全然マシ。怖くなんかない。アヤといれば、本当に何も怖くなかった――。

    2008-05-30 21:51:00
  • 57:

    ある程度お金が溜まったら、家を借りた。と言っても客名義だけど―――嬉しかった。『うちら二人でもいけるやん!!』そう言って手を叩いて二人喜んだ事、アヤの笑顔。そこに偽りなどなかった事を、信じたい。

    【15歳-夏-】
    スカウトをきっかけに"キャバクラ"に移動した。楽しかった。触られずにすむ。お金もある。帰れる家がある。仕事でどんな嫌な事があっても、二人愚痴り合って笑う。"明日も頑張ろな"と。不満などなかった。寂しくもなかった。これっぽっちも。

    2008-05-30 22:01:00
  • 58:


    "幸せ"はどうして長く続かないんだろう。まるで何事もなかったかの様に、消えていく。闇に、連れ去れていく。

    【15歳-冬-】
    アヤが覚醒剤にハマった。当時付き合っていた男は、アヤを引きずり込んだ。ドラッグの世界に。始めは片腕、でも確実に吸い込まれていく、アヤを止める術が、あの頃のアタシには無かった――。

    2008-05-30 22:13:00
  • 59:

    思えばここから狂いだした。全てが。アヤが好きになった人。全身全霊で、いずれアタシを捨てて愛した人。[雄志-ユウシ-]
    "こいつさえいなければ"と、何度想っただろう―――。

    アヤの異変は一目瞭然だった。家に帰ってこなくなる。帰ってきたと思えば大声で歌い出し、踊り出し、物を投げ、11階の部屋から何度も飛ぼうとした。「アヤは飛べるねんッ!雄志んとこ行くねん!」そんな訳のわからない事を何度もアタシに言って。
    怖かったし、何よりショックだったし、寂しかった。"彼氏"が出来て、幸せになるハズのアヤ。違う。こんなん違うやろ。

    2008-05-30 22:28:00
  • 60:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 61:

    時々、帰ってはくるものの、その時は決まって酷くしんどそうで不機嫌で――。『…アヤ、ご飯食べてるん?』『うん。』『仕事こやんの?みんな心配してんで!』『うん』『…うんじゃなくて聞いてる!?』――バン!
    『うっさいねん!ほっとけや!』すぐに、物を投げた。多分切れ目で、イライラが止まらなかったのかもしれないけど、アタシはアタシらが頑張って一つ一つ揃えたこの家のものを、そうやって投げて壊すアヤが悲しかったのと同時に、怒りを覚えた。
    ――でもそれでも、アヤに元に戻って欲しいと必死だった。必死だったから。。

    2008-05-30 22:46:00
  • 62:

    アヤがわからなくなった。そんな自分も嫌だった。ある日、自分もクスリに手を出した。アヤの目の前で。アヤは驚いていた。"どんなもんやねん"って自暴自棄になってたのと、"アタシ何でもするしわかって!"って気持ち半々だった。正直、悪寒がする位気持ち良かった。アヤは嬉しそうな、でも悲しそうに言う。
    『やっぱりルイはわかってくれるやんな。』と。

    正直、どうでも良かった。"どうにでもなれ"の方が正しいが。アタシも覚醒剤をすれば、アヤはこの家に帰ってくる。アタシのそばにいる。雄志のところに行かれるよりはきっとマシだ――。

    2008-05-30 22:55:00
  • 63:

    案の定、アヤは帰ってくる様になった。でも、雄志と別れる事はなかった。
    『行ってくるわ。』アタシは毎日仕事に行き、2人分の生活費とクスリ代を稼ぐ。〈馬鹿らしい。〉全部が馬鹿らしかった。否定していた覚醒剤にまんまと手を出し、深みにハマる。きっとこんな事をしてもアヤが雄志と切る事はないのはわかってるし、でもこうするしかない。アタシはアヤが離れていくのが、失うのが何より怖かった。クスリに蝕まれる事よりも、怖かったんだろう――。

    薬漬けの毎日。アタシの場合、シラフの時の気怠さと極度の空虚感に耐えれず、常ドンギマリ。炙りから突きに変わるまでは一瞬。マニュアル通りに、ハマっていく。それがまた滑稽でどうしようもなく、虚しくて、笑える――。

    2008-05-30 23:09:00
  • 64:

    そんな状態で店に行くのだから、従業員にも客にもバレバレ。人それぞれに馬鹿にしたり蔑んだり、説得したり。"馬鹿らしい"――そうとしか思えない。ガリガリな体に、気分的にも上がり下がりが激しく、本当にハタから見れば「薬中」そのものだっだろう。

    ―――そんな悪夢の様な毎日。でも、"幸せ"だったのかもしれない。

    2008-05-30 23:23:00
  • 65:

    名無しさん

    続き読みたい

    2008-06-03 01:16:00
  • 66:

    [16歳-夏-]

    再会した。いや、してしまったのか――。クスリからアヤと共に抜け出せず、状況は変わらずいた、ある日。いつも通り仕事に行き、接客についてたアタシ。急に指名が入った。『何してんの、お前…。』『……。』

    ――――実好だった。

    2008-06-03 07:20:00
  • 67:

    『…あんたこそ何してんの。』――3年振りに見た奴は、あの頃よりもだいぶ大人っぽくなって、でも何も変わってなくて、再会した瞬間もアタシにとっては、"大好きだった人"で"大嫌いな人"だった。この時彼は仕事場の人達と飲みにきてたらしく、でもアタシを見つけて、一人残った。
    「今までどうしてた?」やら、「お母さん心配してたぞ。」とか、くだらない話ばかりしてくる、あの頃とは少し成長してる実好に腹が立ち、余計にイライラが増した。もう二度と、会いたくないと思っていたから。顔も見たくないと思って今日まで過ごしてきたのに。。

    2008-06-03 07:31:00
  • 68:

    『てか…話それだけ?あんたと喋りたくないんやけど。』きつくあたるアタシにも、実好は付き合ってた時と、3年前と変わらず優しく明るく言葉を返してきた。それがまたたまらない位アタシを嫌な気分にさせる…。
    『…てか、麗香は?あいつにアタシに会ったとか絶対ゆわんといてな。』
    『あ〜…てゆか、別れてるし。』〈―――…。〉

    ――"そんなもんか"と思った。それと同時に、アタシだけだった事に気付く。あの頃から、"止まっていた"のは――。

    2008-06-03 07:40:00
  • 69:

    名無しさん

    やっぱにてる??
    書いてる人同じなん??

    2008-06-03 10:21:00
  • 70:

    名無しさん

    おもろい????

    2008-06-03 12:44:00
  • 71:

    【休憩】

    おはよございます☆カキコしてくれてる方ありがとうございます。前書いてたのを書き直ししてます。読んでくれてる方いてたんですね(>_

    2008-06-04 05:59:00
  • 72:

    もちろん、クスリの事も指摘され、『そんなんしてもロクな事ない。やめ。見たらわかるし相当やろ?』と止められたけど、『あんたに関係ないやん。』とあしらった。実好にだけは言われたくなかった。いちいちイラつくから。

    その日、『携帯教えて』と実好はかなりひつこかったけど、教えず見送った。『俺また来るから!』最後にそう言い残した実好を、"馬鹿だな"と思った。"信用"なんて微塵もなかった。

    2008-06-04 06:11:00
  • 73:

    家に帰りアヤにその事を話すと、『そんなんゆうてどうせ戻んねやろ〜!?』と笑いながら言われた。もちろんシラフの状態じゃない。なんか悲しかったのと同時に、少し意地になって答えたの覚えてる。『絶対ないから!今更…。』
    ―――そう、本当に今更。なのに何故。自分やを他人を責めるのは簡単だ。行き先まで恨んで責めてしまったら、過去、そしてこの先の未来に、何が残ると言うのだろうか。

    2008-06-05 05:33:00
  • 74:


    実好は、本当に店に頻繁に会いにきては、無意味にお金を落として行くようになった。『…アホちゃう、あんた。暇なん?』『そうですう〜!悪い!?笑』どんなに冷たくあたっても笑って受け流す実好。何度も会いに来る実好。"アタシが好きだった彼"がそこにいたから。「時間」ってやつは本当に怖く、切なく、残酷だ。彼のせいで頑なに閉ざされた心が、時を経て、彼の手によって開かれていく。素敵な事?悲しい事?わからない――…。でも事実、アタシは救われていて、そのうち、実好が会いに来てくれる事が店に行く楽しみになって行った。

    2008-06-05 05:53:00
  • 75:

    "こんなんじゃ駄目"と頭ではわかりつつ、でも言う事をきかない心。コレを恋だというのなら、コレもドラッグに違いない。アヤはどっちにハマってるん?雄志?薬?それとも、両方?
    ――しばらくして、アヤはまた帰って来なくなった。どこで何をしてるのか…アヤの行動範囲や周りはこの時すでにわからなかったけど、"雄志といて、覚醒剤をしている"、当たり前にそれだけはわかっていた。

    墜ちていく一方。それならばいっそ…。そんな想いで過ごす毎日。アヤがいない毎日。実好。どう想う?アタシはどうしたらいい―――?

    2008-06-05 06:05:00
  • 76:

    "実好には頼りたくない"強く思えば思うほど、アタシの中での彼の存在は大きくなって。アヤがアタシから離れて行くほど、実好は近づいてきて。本当にタイミングなんて言葉で片付けたくないけど、本当に…どうしようもなかった。
    『片瀬はまだ帰ってこやんの?』『うん…。』
    実好は元はと言えばアヤの地元の友達で、アヤが帰ってこなくなるまでのいきさつを話すと、心配していた。彼は心の優しい奴だった。"優しさなど偽善の自己満"と思っていたアタシだけど、その"偽善"こそが、人間の本来持っているはずの"優しさ"なのかもと、実好を見てたら思えた。

    2008-06-06 04:39:00
  • 77:

    実好を見てると、彼と話してると、たくさん学ぶものがあって、今までにない、色々な事を感じさせられた。そうしてるうちに、アタシの中で新しい想いが、いや、希望が芽生えてきたのだ――。
    『…アタシ、クスリ辞めるわ。』『ほんまッッ?』『ん。で、アヤも…辞めさせたい。一緒なら辞めてくれるかもしらん。』
    淡い期待じゃなく、強い意志。思えばアタシは、"本気"でこの状況を抜け出そうとしたのか?……全然。してない。むしろ逆。流されるばかり。何でもかんでも一緒なら良いって訳じゃないのに。
    『ルイ、頑張れよ。』実好との再会は、アタシに希望をもたらした。でもこの後すぐに、アタシは"絶望"を知る――。

    2008-06-06 04:56:00
  • 78:

    [16歳-冬-]

    家にあるクスリ、道具をすべて捨てた。禁断症状?的なものは今のところない。アタシは約一ヶ月、クスリには手を出していなかった。何日か前に帰ってきたアヤは、酷く疲れていて、アタシが真剣に話すのを聞き終えると、『…わかったわ。アヤも頑張って辞める…』と力無い声で頷いた。嬉しかった。"頑張ろう""二人なら大丈夫"――いつもの様にそう思った。

    2008-06-06 05:08:00
  • 79:

    実好はしばらく店に来てない。おそらく、お金が尽きたんだろう。悪いなと思った。こんなアタシの為に、ない金はたいて店になんか落として。アタシは渡されていてずっと送ってなかった実好のアドレスに、メールを入れた。
    「もう店にこやんくていいよ。ごめんな。ありがとう。ルイ」最後に携帯番号を入れて。これが間違いだったかな?いや、もう今となってはわからない事。いちいち記憶を辿っては見直す意味などきっとない―――…。

    ―――そうやろ、アヤ?

    2008-06-06 05:17:00
  • 80:

    忘れもしない。あれは一月の寒い雪の日。世間は正月でほのぼのオーラが満開だった頃。あの日は、アタシがアヤと過ごした最後の日で、同時にアヤを見た最後の日――。

    二人で"クスリを辞めよう"と決めてから、僅か一週間後。事件は起こる。

    『ただいまあ。』正月など関係無しに働き通しだったアタシ。"店に戻りたいな"とぼやいてたアヤに、ちょっとしたプレゼントと、少しでも正月気分を味わいたいかなと、おせち料理もどきなのをスーパーで選び、買い物をしていつも通り家に帰った。深夜2時位だった。

    2008-06-06 05:35:00
  • 81:

    『アヤ?』灯りも消えてたから、寝てるのかと思いリビングに入って電気をつけた瞬間、唖然とした。アヤの震える背中、手には注射器とハサミ、床に散らばる白い粉とビニール。一瞬、"やばい!!"そう思いビニールごと蹴飛ばすと、白い粉が床一面に散らばった。『え…』それを見て固まってしまった。『アヤ…それ…。』寒気がした。その"白い粉"の正体は"覚醒剤"ではなく、ただの"砂糖"で、その証拠に、すぐそばのテーブルの上に砂糖入れにしてた透明の箱が横たわっていた。『…ルイ、アヤ無理やねんけど…』そう言ってこっちを向いたアヤを凝視するアタシ。
    …これは何かの間違いだ―――――――。

    2008-06-06 05:49:00
  • 82:

    アヤの顔。涙と鼻水でグッショグショの顔。その一面砂糖まみれで、腕には、注射器の跡が数十個――いや、無数にあって…ショックを隠し切れなかった。『なぁ…本物、どこに隠してるんよ?』『アヤ…ここにはないよ。辞めよゆうたやろ?』
    落ち着こうと目線を下にやると、アヤの細い足から血がダラダラと垂れていた。『…あんた!足ッッ……』駆け寄るアタシの肩を掴み、アヤは言う――。ぐちゃぐちゃの顔で。
    『…ルイがッッ!辞めよなんかゆうて隠すから…!アヤ…雄志んとこいかなおもてさ…でも…ハハッ!ルイ、アヤが雄志んとこ行ったら嫌がると…ッッ…思って。行ったらアカン思って――…ッッ!足が勝手にうごくんがうざいからさあッッ…!これ、こうしたんやけど……ぅッッ…グス―…』よく見ると、アヤの手にあるハサミに血がベットリついていた――。

    2008-06-06 06:05:00
  • 83:

    本当に何かの間違いだと思った。思いたかった。『――アヤッ、病院いこう…!』血の量で、傷が深いと思ってアヤを立たせよとする。―ドンッ―!!『――…ッ』悪い夢を見てるんだと思った――。『お願いルイ…!!アヤあれがないと無理やッ!!』一度アタシを突き飛ばし、近づいてきたと思ったらアタシの胸ぐらを掴んだ、アヤのカリカリの腕。
    『なぁ、あるんやろ!?出してやルイッ…!!捨てたなんか嘘や!!……――辞めれるはずないやんけ!』『――………ッ。』そう怒鳴ったアヤの瞳は涙を溜めながら血走っていて、真っ直ぐ見つめ返すだけで自分までおかしくなりそうだった――…。

    2008-06-07 05:45:00
  • 84:

    でも…!『…アヤ!ほんまにないし、もうしたらアカンねん!約束したやろ!?アヤだってこのままじゃアカンってわかってるからあの時"頑張る"って言ったんじゃないん!?』黙り下を向くアヤ。血で滲むカーペットに涙がポツポツと落ちる。アタシまで泣いていた。『なぁアヤ?一緒に頑張ろやあ?今までだって二人で…無謀な事やってきたやんッ!?一人やったら無理やった事…一緒なら出来たやんッ…!アタシが辞めれてるんやからアヤに出来ひんハズ――』―――ブスッ――…
    言葉が続かなかった。アヤが投げた注射器が、アタシの横を通ってすぐうしろの壁に刺さったから。。

    2008-06-07 05:57:00
  • 85:

    『お前に何がわかんねん!!…アヤとお前は違うねんッッ…!!ルイは英太がおるからやろ!?英太とまたいい感じになってるんか知らんけどッッ…!』『アヤ!それはちが―――』『何がやねん!!…辞めるなら一人で辞めろやッッ…アヤは…今更辞めれへん…!辞める気なんかないしな!アヤにはッッ……やっぱり雄志しかおらんねやわ…ッ』『―――……。』デッカイ石で胸ん中殴られた様な気分だった。逃げ出したかった過去。二人で作り上げた今。これからもそうだと信じていた"未来"。感情、快楽、忍耐、苦痛、愛情。
    すべて味わってきただろう、今。アヤが必要とし、一番だと思うモノは―――。

    2008-06-08 05:17:00
  • 86:

    つくづく、タイミングが悪かったんだと思う――。一瞬、二人の間に沈黙が流れたその時―――。
    〜♪♪♪♪〜アタシの携帯が鳴った。『…あッッ…』床の上。先にディスプレイを目にしたのはアヤで、すぐ様その携帯を掴んでアタシの方へ投げた。
    『………行ったら?英太ンとこ。』言葉の意味がよくわからなかったが、着信は実好からだった。『アヤ、アタシはな――…』『うっさいねん!!…行ったらいーやん!!』アヤの怒鳴り声に身じろぐ。『……うざいねんッッ…!!ルイも…英太も!!アヤの事なんかほっといたらいいやん!!』『……――』泣きながら怒鳴るアヤ。アタシに話す隙さえ与えずに。

    2008-06-10 05:10:00
  • 87:

    『出て行ってや…ッッ!!アヤはあれを辞めへんし…』『――待ってやアヤ!!ルイはあんたと一緒に…』アヤに気持ちを伝えようとした瞬間、『…本ッッ気でうざいのわからんのか!!!』二人共、血相が変わった。アヤの手に握ってるのは、さっき自分自身を傷つけ血のついたハサミ。『………ぇ。』壁際に立ちすくんだまま動けないアタシに近寄ってくるアヤの目は、アタシを見ながら、違う何かを見てる様に冷たく、アタシは初めてこの時アヤの事を"怖い"と思ってしまった――。

    2008-06-10 05:24:00
  • 88:

    名無しさん

    面白い☆

    頑張って下さい。
    続き待ってます。

    2008-06-12 02:34:00
  • 89:

    ☆彡

    楽しみにしてます

    2008-06-13 02:28:00
  • 90:

    名無しさん

    ペットの主さんかな?似てる気がする?

    2008-06-13 09:06:00
  • 91:

    そのまま向かってくるアヤと、刃先。先端の赤。アヤじゃない瞳。『アヤ、聞い―…』『黙れや!…何も信じひんッッ…!ルイの事なんか信じひん!!…はよ消えてアヤの前から!じゃないとッッ……まじで刺すで…。』"刺す"?アヤがアタシにそんな事するハズが出来るハズがない。『嫌や――…!!』信頼、友情。願い、期待。そして何よりも、ちっぽけなプライド――。

    ――ドンッッ!!シュッッ――…!

    ――全部が砕けて散っていった瞬間。闇。

    2008-06-16 01:22:00
  • 92:

    『――…まじ?…………アヤ…。』

    ――ゴトッ…アヤの手から垂直に落ちたハサミと、血。痛みはなかった。心臓の音と、頬に跳ねたしぶきが、ソレをすぐに理解らせた。"刺された"――。"本当に"アヤが、アタシを…。『……だから言うたやろ…!アヤとおったらこんなんなんねん!はよ出て行け!!……アヤの前から消えてや!!!早く――…!!!』―――バンッッ!投げつけられる荷物が胸元に当たる。イタイ…痛いって、アヤ――。『はよせえやあッッ…!!』壁にもたれたまま微動だにしないアタシに更に怒鳴り、裏返るアヤの声。これはもはや怒鳴り声じゃなく、奇声。

    2008-06-16 01:39:00
  • 93:

    『――…まじ?…………アヤ…。』

    ――ゴトッ…アヤの手から垂直に落ちたハサミと、血。痛みはなかった。心臓の音と、頬に跳ねたしぶきが、ソレをすぐに理解らせた。"刺された"――。"本当に"アヤが、アタシを…。『……だから言うたやろ…!アヤとおったらこんなんなんねん!はよ出て行け!!……アヤの前から消えてや!!!早く――…!!!』―――バンッッ!投げつけられる荷物が胸元に当たる。イタイ…痛いって、アヤ――。『はよせえやあッッ…!!』壁にもたれたまま微動だにしないアタシに更に怒鳴り、裏返るアヤの声。これはもはや怒鳴り声じゃなく、奇声。

    2008-06-16 01:41:00
  • 94:

    アヤはハサミを拾い、泣きながら再びアタシに向ける。『はよしろゆーてるやろ…!!!』―ガタッッ―…!腰が抜ける。"やめて、怖い―…"『わかった…!わかったから…ッ!』『う゛ッッ…!グスッ……〜ぅあぁあ〜!!!』―グスッッ!!グサッッ―!!!壁を何度も突き刺す、アヤの姿。ヤメテ。ヤメテ―…!『〜ッッ…!!!』アタシは立ち上がり玄関まで走った。イタイ、イタイ――……〈怖い!!〉――ガチャガチャッッ――…!急いで開けた玄関のドア。震える手で。震える足で、家のスリッパのまま走った。血がポトポト落ちる胸元を押さえながら、何度もコケそうになりながら、無我夢中で。

    2008-06-16 02:02:00
  • 95:

    名無しさん

    続き気になる〜☆

    2008-06-16 17:23:00
  • 96:

    名無しさん

    やっぱ同じ人なんですね?
    前のやつすきだったんで
    なんか言い方悪くてごめんなさい??
    楽しみにしてるんで頑張ってください?

    2008-06-17 12:24:00
  • 97:

    名無しさん

    ペットはもう書かんの?

    2008-06-17 19:54:00
  • 98:

    名無しさん

    ↑ペットの主と同じじゃなくて、前これを書いてた人と同じなのでは?

    2008-06-17 21:53:00
  • 99:

    近くの公園。寒さからか動揺からかガチガチに震える手で、ポケットをあさる。『…はぁっ、…んでッッ!!』…出てきたのは小銭数枚。携帯は家。財布もカバンごと置いてきてしまった。『ッッ…ど…しよ……』イタイ、イタイ――胸元が…胸らへんが痛い。今頃痛みがくる。どうしよ…どうする?どうしろってゆうん――…!?携帯もない、行く宛などない。頼る人なんていない。アタシどうしたらいいん……!?


    ――キキィッッ!
    『お姉ちゃんどしたんやその血!?病院か!?』『大丈夫……向かって早く――…』タクシーに乗り込んだアタシ。ろくに頭も働かずとりあえず向かった先は―――。。

    2008-06-18 05:04:00
  • 100:

    『お前ッッ…!どしてん!?大丈夫か!?』

    ――実好の家だった。。"もう二度と戻らない"とアヤと決めたハズの、あの街。
    運良く、実好は昔のままあの街に住んでいて、家も変わらず、インターホンを鳴らしてすぐに出てきた。『…み……よしッッ!アヤが――…ッッ…う゛ッッ!』実好を見た瞬間、アタシは泣き崩れた。イタイ。アタシの全部が痛い―――。。。
    『とりあえず病院行こ!』そのまま病院に連れて行かれて手術を受けた。その間、涙は止まらず、自分が何をしてるのか、わからなかった。

    2008-06-18 05:24:00
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
ピエロを見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。