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ピエロ
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1:
◆NedEI85Yxg
『ピエロみたいに笑ってたくない?ずーーっと!』
――――今でも、いつかのアイツの言葉を思い出す。2008-05-29 05:42:00 -
2:
楽しくなくても笑ってたい。生きてる時間、全部、全部。もう、"嘘"とか"真実"とか――
"正しい"とか"間違ってる"とか、そんな事は関係なく、どうでも良くって―――。
―――アンタは今でも、そう思ってる?2008-05-29 05:45:00 -
3:
――4月下旬。雨の匂い。蒸し暑い。
――ピピピピピピ………『ん……ぅ。』しょぼい音を鳴らす目覚まし時計を止めて、起き上がった。…部屋が暗い。雨は続いている。こないだわざわざ遮光カーテンを取り外したというのに。
『〜ぁあ…!だる…。』あぐらをかいたまま煙草に火をつける。煙と同時に吐き出すため息。
―――また嫌な夢を見た…。2008-05-29 05:55:00 -
4:
〜♪♪♪〜
『…もっし〜!今起きたあー。』その"夢"に浸る暇もなく電波通信。〈何で電波って大概どこでもあるんやろぉ。〉そんな事を考えながら携帯を耳に当てたまま立ち上がり伸びをした。『桜もう終わりやね〜…』今日の雨で、きっと全部散る。ベランダから眺める桜の木、ちょっとキレかってんけどな。2008-05-29 06:03:00 -
5:
『うん、うん。おっけ〜ありがと〜♪んなら9時前に店下で。じゃね♪』
電話を切りシャワー、化粧、着替えを済ませセット屋→そして店。いつもの過程を淡々と済ませるけど、雨がちょっとだるい。店へ向かうタクシーの中、おっちゃんが言った。
『桜もこの雨で散っちゃうやろ〜ね〜。』2008-05-29 06:10:00 -
6:
『あ〜ルイもそれ思ってた。』『ね〜寂しいね〜』おっちゃんは少し黙った後、呟く様にいう。『まあでも春は何かが終わって、また新しい何かが始まる季節やからね〜』
―キィーッッ―!アタシが答える前に店の前に到着し、お金を払うと、車のドアが開いた。
『ありがとうね〜♪』あたしは少し微笑み車を降りる。2008-05-29 06:17:00 -
7:
『いらっしゃいませー!!』
案内のボーイさんをすり抜けリストへ。『おはよ〜ルイ!てかいい加減やめて、堂々と遅刻!笑』『いい加減諦めろ♪笑』『おい!笑』小うるさい店長とのやり取り。それを済ませ更衣室へ。
『あっ♪ルイちゃんおはよ〜ッッ♪』『おぱよん。』『今日も可愛い〜!!』『知ってますとも。笑』最近くっついてくる新人の愛理は、どこかアイツの面影があって、アタシを変な気分にさせる。2008-05-29 06:37:00 -
8:
『ルイ行けるー?』『はあいよ〜ん!』
ボーイに呼ばれ席に着く。二時間セットはだるいなあ〜…『噂の新人さんは来てんの?来てたら後で呼んであげよっかあ?』
『んまにい?♪シュン君優しッッ♪』テキトーに答えてテキトーに抱きつく。これがアタシの接客スタイル。色営バンザ〜イ。笑 基本指名客は店彼で、客層はアキバ系多し。萌えキャラじゃないよ〜笑 普通のお客様もいてるよ〜笑2008-05-29 06:52:00 -
9:
在籍はちょうど一年位。箱は中でレベルも中。成績は先月No2になっちゃったけど、基本3〜4をうろうろしてる感じ。至って普通。やる気があるとかないとかよりに"とりあえず仕事やし"的なね。
『呼んでくれてありがとう〜ッッ♪』タイミングを見て常連のTHE・アキバのシュン君の席に愛理をつけて、出前平らげて違う席にちょこちょこ移動。そんなんであっとゆうまに深夜2時半。2008-05-29 06:59:00 -
10:
『ありがとうねシュン君〜ッッ♪チュッ(^з^)/チュッ♪笑』お見送りの際、投げキッスをしてあげた♪笑
エレベーターがしまる。『…ふぅ〜!ごめんなぁ愛理ぃ、長い事ッッ!』『ううん♪楽しかったしたこやきも食べれたし♪笑 他ん席にヘルプに行くよりだいぶいーしっ♪ありがとーやわ♪笑』………あ。また。アイツを思い出させた愛理の笑顔に少し目を反らしてしまった。…………そんなハズないのになぁ〜。2008-05-29 07:07:00 -
11:
でも多分気のせい。あまり気にも止めず、ちゃっちゃと帰る用意をするアタシの服の裾を掴む愛理。
『んう?』『なぁなぁルイちゃん、…この後暇あ?』お?初めて誘われたぞ愛理に。笑 『別に用事ないけど何で〜?』『あんなあ〜…』
ふむ。ズバリ、"ホストについてきて欲しい"と言う事。その店に"彼氏"がいて、"店の友達でも連れておいでや♪"と言われたとの事。
……2008-05-29 07:15:00 -
12:
『別にいいよ〜♪』『んまにっ!?やったぁ♪ありがとー!!ルイちゃんホストとか嫌がるおもてたー!』愛理は嬉しそうに化粧直しをしていた。
基本、そゆのに興味ないけど、何となく。まあいいやって感じで行く事になった。
『ルイちゃんのあのお客さん熱いやんなあッッ!ルイちゃんの色にやられたんやろな〜♪笑』『ん〜、大して何もしてへんのやけど。笑』店に向かう途中、そんな会話を交わしながら歩いていた。〈雨上がっててる。〉散ったかな、桜は――。2008-05-29 07:23:00 -
13:
『いらっしゃいませー!!!』
入った瞬間の爆音と威勢の良い声に少しむさくるしさを感じつつも…笑
案内された席につく。『何飲まれます?』『あ、ウーロンハイでお願いしまあす♪』『はい。愛理はオレンジジュースな!』拓馬くんはポンと愛理の頭を叩いて見せる。『愛理も飲みたい〜!』『アカン!お前すぐ酔うから』『え〜…』
ふむふむ。笑 なかなかラブラブなやり取りだ。2008-05-29 07:44:00 -
14:
『ちょっと待ってて下さいね。』席を立った拓馬くんを指差しながら愛理がニヤける。『どう?かっこ良くない?笑』『うん。いいと思う〜♪てかお似合いやあん♪』更にニヤける愛理。幸せそう。
入ってる間に拓馬くんは一人のホストさんを連れて戻ってくる。
『ルイちゃん、コイツ俺が一番仲良い奴やねんけど、最初つけてもいいかな?』『あ、はい、よろしくお願いしまあす♪』
―――顔を上げた瞬間、目が釘付けになったのを今でも覚えてる。2008-05-29 07:52:00 -
16:
『ルイさん…ですよね?』
少し微笑む彼。『失礼します。』アタシの前に腰掛け、アタシの顔を覗き込む。『どうしたんですか?』その言葉でやっと口が開く。『…ごっめ〜ん!笑 見とれてもたあ〜!笑』アタシの発言に一同笑いが漏れる。『えぇっ!ルイちゃん雪タイプー!?笑』そう言う拓馬くんの隣からは、『雪くんでも気をつけてっ!ルイちゃんの色は怖いで〜♪笑』と愛理。
彼の、声を聞いてみたい。アタシは彼を見て待ってみる。2008-05-29 08:01:00 -
17:
『ルイさん…ですよね?』
少し微笑む彼。『失礼します。』アタシの前に腰掛け、アタシの顔を覗き込む。『どうしたんですか?』その言葉でやっと口が開く。『…ごっめ〜ん!笑 見とれてもたあ〜!笑』アタシの発言に一同笑いが漏れる。『えぇっ!ルイちゃん雪タイプー!?笑』そう言う拓馬くんの隣からは、『雪くんでも気をつけてっ!ルイちゃんの色は怖いで〜♪笑』と愛理。
彼の、声を聞いてみたい。アタシは彼を見て待ってみる。2008-05-29 08:04:00 -
18:
『…やめて下さいよそうゆうのっ!笑』
"雪くん"のその一言で、またドッと笑いが湧く。細い指で顔を覆い、照れている。…ドキドキする。こんなんは初めてだ。
『雪、気をつけろよ〜!笑 ルイちゃんかなりやり手っぽいで!笑』拓馬くんはそう言うと空気を読んで愛理と二人で話し始める。『いくつですか?』『20歳です。』『マジッすか…俺の3つ下ですね。見えないっすよ。笑』――23歳なんやぁ…2008-05-29 08:15:00 -
19:
『ちょっとショック〜!笑 ルイ老けてる?笑』『いや!すっごい色気やな…と思いまして。笑』『またまた〜♪笑』すごい!すごい雰囲気だ。白い肌に少し華奢な体。綺麗な髪が少し目にかかってる。―――天使みたいや。『雪くんって本名?』……って。『あぁ!笑 ごめえん!キャバクラのお客さんみたいな事聞いちゃった!笑』『いや、全然いいですよ!本名ですよ。ルイさんは?』『本名やでえ。ユキって雪国の雪?』『はい。』『やっぱり〜!』正味の話、わからんけどそんな事はよくって、ほんまに"雪"って感じや――。
2008-05-29 08:23:00 -
20:
『っぽいですか?』『っぽい〜!笑』『まじすか。笑 ルイさんはどんな字書くんですか?』『ルイはカタカナやで〜笑 なんかキショイやろ〜笑』
そのまま少し話し、雪くんが席を立つ時間がきた。『おってや〜♪ルイ雪くんがいいっ♪』『いいんですか?ありがとう。笑』少しテレながら言う雪くんが、仕事なのはわかってるが、"綺麗"だと思った。2008-05-29 08:29:00 -
21:
愛理は拓馬くんと楽しみつつ、『ルイちゃんが雪くんで嬉しい〜!』と嬉しそうだった。
その後雪くんはほとんどアタシの席についてくれていた。他愛のない話。なのに楽しい、何より落ち着く。時間がこんなに早く感じたのは、久しぶり――。素晴らしいホストがこんなところに…笑
この日2時間位いて、番号交換をして、愛理と店を出て、別れて家に帰った。2008-05-29 08:36:00 -
23:
―――"運命"は、信じない。いくつかの出会いがあって、同時にその後いくつかの別れがあるのなら、きっとアタシはあれからその流れに逆らおうとしていた気がする。
―――"夢"は見たくない。瞳を開けてる時も、閉じてる時も。傷つくのが怖いからじゃない。"放棄している"だけ。2008-05-29 08:42:00 -
24:
削除削除されますた
あぼ~ん -
25:
―――バサッッ…!
『……―――ッ、また…か。』
――喉の乾きで目が覚めた。カーテンから日差し。雨は上がって快晴。『……はぁ…』水を手に取り頭を抱える。ひつこい夢。ため息が出るのは、それが嫌だからか、はたまた"夢"だからなのか、未だに良くワカラナイ。2008-05-29 08:49:00 -
28:
――あれから数日経った。何の変哲もない仕事場での待機中。ベランダから見える桜の木はもう花びら一枚さえなかった。
『そっか〜♪なんか嬉しいな♪雪くんマネージャーさんやねんでっ!』『らしいね。拓馬くんが代表なんやろ?ビックリしたし〜笑 うまい事行ってんのお?』携帯をいじりながら楽しそうな愛理の隣。『うん♪いい感じ♪』正直、拓馬くんが愛理の事本気な可能性は低いが…笑 本人が幸せならそれでいんじゃないだろか、多分。アタシはと言えば雪くんと"客"と"従業員"らしいメールを当たり障りなくこなしてる。2008-05-29 09:04:00 -
29:
『ルイちゃんは雪くんの事好きなあん?』『うん?うん♪笑』『まぢでっ!?♪笑 雪くん拓馬に"ルイちゃん彼氏いてるんかな"って聞いてたらしいでっ♪』お〜っとぉ!笑 『そういえばそゆ話してなあいなあ。笑』
流しておこう。笑 ホストはキャバ嬢以上に怖いからね。笑 『ルイちゃんが雪くんとくっつけばダブルデート出来るな〜♪♪』本気か冗談かわからない口振りで、ゴテゴテのスカルプをいじいじする愛理がちょっと怖くなった瞬間。笑 ま…いっか。笑2008-05-29 09:10:00 -
30:
『ルイ!アキバさんきはったでっ♪笑』『まぢ〜?連絡なかったし〜!』
ボーイに言われ客席に向かう。『シュンく〜ん♪急やからビックリした〜♪』『やろ!ビックリさせたかってん…♪』なんやそれ!笑 『この〜!ヽ(´ー`)ノ笑』…とりあえず抱きついとけ!笑 1に密着、2に密着。これで他のキャストに反感を買われた事もあるけど、もう慣れっこ。だって客層アキバやねんもんッッ!笑
『今日も愛理ちゃんつける?』『なんなん気にいった〜ん?』ちょっとすねて言ってみると、『ルイちゃん以上はおらんって!!』と必死。『かわゆ〜い♪』ヨシヨシしてあげよう。2008-05-29 09:21:00 -
31:
一回アタシの接客方法で女の子達とモメた?時、「あんなキモイんとよく引っ付けるな」とか、「あんなベタベタしてまで必死でキモイ」とか、「話術ないからって」とか言われたけど、違うねんな。店長が言ってた。アタシはお客様に対して全く「無関心・無興味」やねんな。お金とか以前に。"その癖ニコニコ笑えるお前はまさにピエロや!"って。普通女の子は、"生理的"なモノが働くんだと。そしてそれが原因で水商売は病むのだと。"お前には天職やな"って店長は言ってたけど、それも違くて、これしか知らなくてこれが楽だから、ただそれだけ。別にキャバクラじゃなくても何でもいい。アタシには"こだわり"がない。
2008-05-29 09:35:00 -
32:
こだわりも無ければプライドもないから、あまり人の事気にしないし、気にならないし。時々、"こんなにもカラッポな自分"にびっくりするけど、笑えてるから、ずっと笑っていれてるから、安心する。それが唯一の"夢"だったのカモ。
―――アタシらの。2008-05-29 09:42:00 -
33:
『りっくうん♪シャンパン飲みたあい♪』
――ある日の【PIERO】今日は忙しい。"締め日近い"と言う事で色んな卓でシャンパンをおねだりしていた時。『ん〜?何飲みたいん〜?』『わ〜い♪笑』いつも通り抱きつきまくってたら入口のドアが開く。『いらっしゃいませー!!!』そこに集中する視線。待機場で女の子がざわめき出す。2008-05-29 17:50:00 -
34:
『こちらへどうぞー!』ボーイさんがその人達を案内する時、目が合ってしまった。〈うわ〜…笑〉雪くんや。雪くんと拓馬くん。二人は仕事中だろう、スーツ姿のまま。綺麗にセットされた髪、特に雪くんにはオーラがあって2人共に目立っていた。
『拓馬〜♪』周りなど気にも止めずイチャつく愛理が見える。〈おいお〜い、大丈夫かあい。笑〉
ちょうどアタシのついてた席でシャンパンがおりて乾杯が終わった頃。『ルイさんお願いします。』2008-05-29 17:58:00 -
35:
名無しさん
おもしろい
続き待ってます2008-05-29 22:25:00 -
36:
お酒の力も働いて、少しドキドキしながら雪くんの隣に行く。『呼んでくれてありがと〜♪』あ、イイ香り。『急にごめんね。拓馬と時間空いてきちゃいました。笑』前髪を指でイジりながら少し笑う。雪くんは本当に綺麗だ。『ルイちゃん人気者やな〜やっぱり!』と拓馬くんがアタシを見た。ただ何となくなんだけど、雪くんと対照的な拓馬くんが、アタシはどうやら好かないみたいだ。
2008-05-29 23:05:00 -
37:
夜独特の派手な席に、女の子はもちろんお客様の注目も集まっていた。『やっぱり目立つね。笑』アタシが言うと、『忙しい時にごめんね。ルイちゃんのお客さんもいっぱいきてはる時に。』と雪が申し訳なさそうに言った。雪くんはきっと頭が良い人だろーな。普段のメールのやり取りや、気遣い。ここに入ってきた瞬間に、店内状況は大体読み取ってるんだろうな。
『でもちょっと見てみたくて。ルイちゃんが仕事してるとこ。』売れてるんやろうな。まさに雪くんは"ホストらしいホスト"。2008-05-29 23:15:00 -
38:
名無しさん
前ピエロって題名でにたような小説ありましたよね??
書き直してるんですか?
そりともぱ…ぱくり?2008-05-29 23:32:00 -
39:
『ほんま怖いっすね。笑俺通ってまいそう…笑』少し俯き、仕草、優しそうな品の良い笑顔。そして、『ルイもやしっ♪笑 てか雪くん手冷たあい。』『あぁ、俺冷え症なんですよ。』『うん、ぽいぽいっ。』さり気なく手を触ってみる。うん、冷たくて、白い。『それ、肌の色で言ってるでしょ?笑』『当たり!笑』雪くんは女の子みたいに白い。とゆうか、"透き通る"みたいに綺麗な肌、手も。こんなに綺麗な人間がいるなんて――。
『ルイちゃんは休みの日とか何してるんですか?』雪くんはまだ気を遣ってる様な、様子を伺う様な敬語で聞いてくる。タメ口でいーのにな。まぁどっちでもいーからいいけど。2008-05-29 23:44:00 -
40:
『休み…ですかあ〜ん〜。』『あ〜ごめんない!僕おっさんみたいっすよね、ごめん!笑』手で口元を覆って自分に突っ込むから、可愛くて笑ってしまった。『可愛い〜♪笑』『もう!おちょくらんとって下さい!笑』『ヒャはは〜!笑』なんか、新しい一面だ。
『雪、何年下におちょくられてんねん!笑』またそこで拓馬くんが入る。だからほっといてってば!ヽ(*`Д´)ノ笑
そうしてみんなで楽しく話してる内に、アタシは呼ばれ席を立った。
『待っててねえ。』2008-05-30 00:00:00 -
41:
アキバ代表シュン君の席へ。最近来るペース増えてきたけど大丈夫なんかな?『今ついてたとこ…ホスト?』『うん。』『ルイちゃんもやっぱホストとか行くん?』『あ〜♪焼き餅や〜♪笑』アキバ代表、ホストはやぱ好かんみたい。笑 愛用のリュックサックを抱きしめウジウジ。
『ルイ、そのリュックになりた〜い♪笑』言いながらシュン君の顔を見つめると、顔を赤くしてキョドっていた。
そのやり取りを、目を光らせて見てたのは、アイツ以外にもいてたみたい――。2008-05-30 00:12:00 -
42:
『お帰り。』アタシが雪くん達の席に戻る頃には、何本かのシャンパンがおりていて、チェックの用意をしてる感じだった。『帰るのお〜?』『うん、ごめんね。ちょっと電話あって戻らないとあかんから。これ、乾杯♪』雪くんは笑ってアタシの頭をポンッと叩いてリストまで行って会計を済ませる。真っ直ぐな背筋、長い足。その後ろ姿に、アタシはグラスに口をつけたまま見とれていた。『ルイちゃん、雪と仲良うしたってな♪』どこか胡散臭い笑顔を振りまく拓馬くんを、[エセピエロ]だと、アタシは思った。2008-05-30 00:28:00 -
43:
お見送りした後、雪くんにありがとうメールを入れておいた。またお礼に店に行かないとなぁ。本来、そうゆう"義理"でお互いの店に行くとゆうのが煩わしいんだけど、雪くんにはそう思わなかった。純粋に、行かなきゃと思った。
"好き"っちゃ好き。ドキドキもする。でもこれは"恋"ではなく、でもきっと一目見た時から、始まっていた。不思議な人。アタシに"何か"を感じさせてくれる人。
それだけは間違いじゃなかった。2008-05-30 04:10:00 -
44:
削除削除されますた
あぼ~ん -
45:
――光は、闇でこそ輝くコトが出来る。なら闇は、永遠に輝くコトは出来ないのだろうか――。"今更"記憶を辿っても、未来を描こうとしても、どうしようもないよ。目の前は真っ暗でもないから、"見る"コトは出来るけど、薄暗い。これがきっと闇だ――。いっその事真っ暗なら良かったのに。2008-05-30 04:24:00 -
46:
―ピピピピピピ…………聞き慣れた目覚ましの音。どんな時でも、アタシはこのしょぼい音で目を覚ます。
『………は…ッ。またかよぉ〜…』
――覚めてしまうのだ。2008-05-30 04:28:00 -
48:
―――妹川 ルイ(マイカワ)
【―13歳の春―】
母が再婚した。再婚相手の男には娘がいた。名前は[麗香-レイカ-]。アタシと同い年。キツそうな顔立ちでアタシとは正反対で背も小さかった。奇妙な同居生活の始まり。この日からアタシと母の名字と、"これから"が変わった――。2008-05-30 04:43:00 -
49:
麗香とは、初対面からウマが合わず、お互いがお互いを鬱陶しく感じていた――。家でも学校でも顔を合わす。それが堪らなく嫌で嫌でしょうがなく、ロクに家に帰らなくなるアタシ。それとは対照的に、ファザコンの麗香は毎日家に帰り、その父を溺愛していた母は麗香をも可愛がった。これは卑屈でも何でもないが、そこに愛なんてなかった。母はそういう人だった。
日が経つに連れて麗香の父は本性を出す。"暴力"。と言っても、手を出されるのはアタシだけだったけど。2008-05-30 04:57:00 -
50:
もちろん母は助けてくれるハズもなく、それどころか父に加勢してくる日さえあった。麗香はと言えば、それを見て勝ち誇った様に笑っていた。
傷だらけで学校に行く。土地柄のせいか、髪を染めてるだの、制服のスカートが短いだの、生意気だので先輩に呼び出され囲まれやりたい様にやられる。もういちいちどの傷が誰かなんてわからないし、どうでもいい。気に入らないならいっそ殺してくれたらいーのに。
――そんな時に出会ったのが、[アヤ]。アタシの初めてで、そして最後の"友達"――。後にも先にもこれほどの出会いはもうないと今でも思っている。2008-05-30 05:11:00