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ピエロ

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  • 1:

    ◆NedEI85Yxg


    『ピエロみたいに笑ってたくない?ずーーっと!』


    ――――今でも、いつかのアイツの言葉を思い出す。

    2008-05-29 05:42:00
  • 101:

    あの時の思いに名前を付けるなら、まさに"絶望"だと今になって思う。

    子供だった自分。自分達を取りまく全てが大きく感じて、押しつぶされそで。目の前の事に必死で、せいいっぱいで。それを見て嘲笑う憎かった大人達も、きっとアタシ達が思うほど大人じゃなく、彼等が思うほど自分達も子供じゃなかった。

    その証拠にほら。未だに"答え"なんて見つからない――。

    2008-06-18 05:48:00
  • 102:

    左胸の上を六針、縫った。それが終わり、病院のベッドに横たわるアタシの血まみれの顔を、実好は濡れタオルで丁寧に拭いていた。
    『…泣くな、ルイ。俺がお前の事守るから。今度こそずっとお前のそばおるから。…しばらく片瀬とは距離置いて、俺んとこ来い。…それで元気なって、また迎えに行ったらいいやん?な?』

    実好のその言葉に、アタシは頭が空っぽのまま、力無く頷いた。いつかの、アヤみたいに―――…。

    2008-06-18 06:00:00
  • 103:


    本当に、本当に…あれが最後だなんて思ってもみなかった―――。

    もしも、もしも、こうなる事がわかっていたなら、あの時。迷わずアタシは――――――――――――………………。。

    2008-06-18 06:05:00
  • 104:



    とにかく、"あの日"がアヤと過ごした最後の日になった―――。

    2008-06-19 04:14:00
  • 105:




    *******

    2008-06-19 04:15:00
  • 106:

    『はあ…と。』

    立ち上がり伸びをした。あれから月日が流れ、アヤの居ない日々を過ごしてきた。そして今。少しは成長したのか、器用になったのか…一人でも、淡々と生活出来る様になってる。良く笑うし良く食べる。不安や不満もコレと言ってないが、逆にコレと言ったものが何も無い。

    でも、コレでいいのかな。

    2008-06-19 04:21:00
  • 107:

    携帯を開くと、愛理からメールが入っていた。
    「ルイちゃあん(>_

    2008-06-19 04:33:00
  • 108:

    『はよーざいまッッす。』店に着くと中はガラガラで、適当に女の子達と会話を楽しんでいた、矢先。『いらっしゃいませー!!』店の扉が開いた。

    『ルイちゃんで♪』

    〈ぅげッッ―…!〉一人堂々とボーイにそう告げたのは、愛理の"彼氏"、拓真クン。まじかよ、なんか面倒くさそやなあ…。『てかなんでアタシ?』ぶつぶつ言いながらも渋々、いつも通り笑顔で席に着いた。

    2008-06-19 04:40:00
  • 109:

    『ハニーは休みやぞぉッッ!残ね〜ん♪』無駄にハイテンション。あんまり好ましくないから、人の"客"は。『知ってるよ♪今日はルイちゃんと飲みたいなと思って。笑』…とゆうかこの人が。拓馬クン…。なんかややこしそな人やなあ。。『お〜相談なら乗るよおー♪笑 そんかしなんか頂きまーす♪笑』こうなったらノリに持ってっちゃえ!的なアタシに、彼の第一攻撃。『何飲みたい?名前にちなんでルイいっとく?笑』『いいのお〜?笑 ありやっすう♪』と笑うアタシの太ももに伸びてくる手。近づいてくる唇。そして耳元で囁く。
    『…ほんまにいいよ?雪辞めて俺にしてくれたら。』

    2008-06-19 04:52:00
  • 110:

    『……。』しばしの沈黙。『…それは…迷うなぁ〜♪笑』ニッコリ笑う。太ももにある拓馬クンの手をソッとのけながら。『…ま、今すぐにとはいわんよ♪笑 とりあえず今日はシャンパンでものもか?俺、ルイちゃん気になるから。』怖いモン無しかの様に言ってのける彼は笑顔。おいおい待て待て。営業前になに営業しに来てるカナ…はぁ。これやからホストは困る。『愛理にチクろ〜っと♪笑』言いながら席を立ち、リストに向かった。
    『なんかちょっとイラッてしたしな!笑』『え?降りたの?』そばにいたボーイさんに生ぬるいピンドンを渡し席に戻る。面倒くさい事する罰じゃヽ(*`Д´)ノ

    2008-06-19 05:05:00
  • 111:

    『頂きまあす♪笑』
    『…さすがやね。笑』

    飲む、飲む。あぁ!…厄介。店内がガラガラなせいもあって女の子達がこっちを見て何やらヒソヒソ言ってるやんか。はあーあ…『気になる?周り。笑』『別に。拓馬クンがかっこいいからみんな見るんやわ♪笑』………あほ。やたらニヤニヤしながらアタシの顔見てくる拓馬クンを見て思う。"何企んでる?"絶対わざと。昨日"愛理の男"と言わんばかりに店に来て周りに解らせておいて、昨日の今日、今。アタシを指名して。ボトルを卸し…女の子にそうゆう事で反感を買う事。わかっててやって。
    ――――アタシを客にしたいのか?自分しか居ない状況に――…アカン、ストップ。考える事は辞めよう。ただでさえない頭のに。

    2008-06-19 05:17:00
  • 112:

    『店に行く前やのに飲んでいいのお?』『大丈夫、ルイちゃんと二人で飲みたかったし♪』二人共笑ってるけど、お互いが何か別の事を考えすぎている。けどきっと"エセ"なのは拓馬クンの方だ。
    『今ここ来てる事、愛理は知ってる?』拓馬クンはグラスに口をつけたまま言う。『知ってるハズないやろ?わかってる癖に。笑』…うぁあ。苦手。ほんまに苦手かも!!『ゆっちゃおかな、ホンマに♪笑』でもアタシも負けじと笑う。なのに拓馬クンは更に笑う。『いいよ?ルイちゃんに任せる♪』
    ふと思ったから。拓馬クンとは、先に笑顔を絶やした方が"負け"だと。

    2008-06-19 05:28:00
  • 113:

    シャンパンがなくなりかけた頃、拓馬クンが言う。
    『次は何にする?』
    『暴露大会♪笑』先手必勝だ。『ははッッ、何それ?笑』『アタシより愛理のがいいと思うよ♪』攻める、アタシ。少し顔を近づけ小さな声で。『どうゆう意味で?』『色んな意味で♪笑』動じない、拓馬クンは更にアタシの目を見据えて、話す。
    『やっぱおもしろいな、ルイちゃん♪…思った通り。ただ…ハッキリゆうとくけど俺は客としてルイちゃんが欲しいんじゃないで?』…おもしろい。
    『じゃあ〜♪笑 アタシの体かあッッ??笑』

    2008-06-19 05:39:00
  • 114:

    『まあそれも含め…』言いながら近づいてくる顔、重なる手。香水の香り。…待って。背筋がゾクッとした、彼の台詞。
    『すべてやな。』その一言に、アタシは先に絶やした、笑顔を。何かがフラッシュバックした様な、そんな現象。目と鼻の先にある顔。少し…ほんの少しだけど、目を、そらしてしまったのはアタシ――。
    『すべてって…』
    『失礼します!』
    ――その時、ちょうどボーイさんがチェック前伝票を持ってやってきた。……。

    2008-06-19 05:48:00
  • 115:

    『どうしよっかな?笑』彼はアタシの顔を覗き込み、迷う素振りを見せる。『愛理怒るで♪笑』……"帰れ"。笑いながら思った、心から。『んな今日は帰るわ♪』"は"って何。『ありがとう♪仕事頑張ってやあ♪』ボーイのスーツの裾を引っ張り送り出しに連れて行き、拓馬クンを見送った。

    『どしたんルイ?なんかされたんか?』『うう〜ん♪営業されん様に♪』おさわりカモンのアタシが送り出しに連れてきた事で、ボーイさんは少し心配してたみたいだった。

    自分でもよくわからない。でもあの人は、なんか"怖い"――。いつもみたく、"アタシらしく"いれない気がする……。

    2008-06-19 05:59:00
  • 116:

    『なあルイ、あの人昨日来てた人やろ?愛理の…』さっそく待機場で女の子に聞かれたけど、『ウン、愛理の相談〜』と軽く答えておいた。

    "何もない毎日"で、"何もない1日"に過ぎない。アタシにとっては。例え新しく人と出会っても、何か感じても、何の意味もない、色もつかない日だと、思った。そう、思っていた――。

    ただ、"ちょっと面倒くさい事になるな"って、その程度の感覚。

    2008-06-19 06:06:00
  • 117:

    思えばいつでも唐突。前触れなどなく、道行きは変わり、出会い別れ、ぶっつけ本番で試行錯誤し、日々を越えた。
    忘れてたのか。そんな訳ない。でも初めて"絶望"を知ったあの日、初めてその裏に、先にあったいくつかの絶望に気づいた。
    "何故気づけなかったのか"と悔やむばかりで、"次は絶対に気づきたい"と思う事も諦めていた。

    アタシは全てが終わったと思っていたから―――。

    2008-06-19 06:16:00
  • 118:





    *****

    2008-06-19 06:23:00
  • 119:


    『ルイちゃん、ちょっといい?』

    次の日、接客が終わったアタシを待ち構えてた様に愛理に呼び出された。案の定昨日の事。『拓馬クン、愛理との事相談したかったみたい。』あぁ面倒くさ。適当に嘘をつくと、愛理は案外アッサリ信じてくれて、『ルイちゃんに限ってないよな♪』といつもの愛らしい顔で笑っていた。まぁ一つ言わせてもらうと、この場合、『拓馬に限ってないよな♪』の方が正しいと思うんですがぁ…笑 まあ、良しとしようか。

    2008-06-19 06:38:00
  • 120:

    それからも愛理は相変わらずアタシを慕ってきて、指名も徐々に増え、拓馬クンともうまい事行ってるみたいで、平和な日々が続いた。変わった事と言えば、アタシのお客様、THEアキバのシュン君が最近姿を現さない事位。どうしたかな?お金尽きた?シュン君の職業はしがないゲーム会社の社員で、アタシと出会ってからは、"もっと会いたいから"と、掛け持ちでレンタルビデオ屋さんでバイトしていた。でもおそらく、シュン君の給料と来るペースを考えると、貯金をおろしてたんだろう。そしてそれが尽きてきたと考えられる。『まあまた電話してみるか〜。』

    2008-06-19 06:52:00
  • 121:

    そう思いながらあまり気にも止めてなかったある日の事。

    『えッッ!?ルイちゃんッッ?ほんまに来てくれたんやッッ。』『ひはは〜♪久しぶり♪笑』

    約1ヶ月振りの【lush】仕事が早く終わったアタシは、雪クンに会いに彼の店に足を運んでいた。

    2008-06-19 06:58:00
  • 122:

    名無しさん

    あげ

    2008-06-26 09:22:00
  • 123:

    『えッッ、ちょっと待って!ほんまに俺嬉しいんやけど!どうしよッッ!笑』

    あたふた照れる雪クンを見て微笑んだ。"振り"だとしても、本当に可愛くて、柔らかい。
    『ちょっと!ちょっとだけ待っててねッッ!』そう言って雪クンは他の客席へと消えて行った。『ふふ。笑』いっぱいお客様きてるんかな?大変やなあ…一人ニヤつくあたしの前に、大きい影が。―――うげ。
    『いらっしゃいませ♪何飲むの?笑』

    2008-06-26 14:39:00
  • 124:

    『てゆか、失礼します♪』と、勝手に向かい側に腰掛けた無礼者。拓馬クン。。あの日以来だ。わかってたけど、出来るだけ会いたくなかったなあ…『で何飲むの?』
    『ウーロンハイくださあい。』『ちょ、お前、ゲストでウーロンハイ。』『あッッはい!』近くにいたホストを顎で使う拓馬クン。お前が動かんかいッッヽ(*`Д´)ノ!!オーナーでもアタシにとっちゃアンタはどヘルプじゃ!!と、心では叫びつつも、『あ♪拓馬クンも何かどうぞ♪』と社交辞令をかましてみせる。すると、あろう事か、『ありがとう♪じゃあピンドン♪笑』とはにかんだ笑顔で言いやがる。あの時の仕返しかあ?

    2008-06-26 14:49:00
  • 125:

    『いいよお♪笑』とこっちもニカーッと笑うと、少し笑顔を崩し、『雪の売上やから?』とアタシの目を見た。アタシはそらさずニ〜っと笑う。『…はぁ。やっぱルイちゃんは時間がかかりそやな。笑 まあそれがおもろそやねんけど。』ため息を漏らし、拓馬クンは『あと俺ビール』と立ってたホストに付け足した。彼がドリンクを作りに行ってすぐ、拓馬クンはテーブルに肘をつき、身を乗り出してくる。
    『あの後、愛理になんかゆわれた?』『わかってる癖に♪笑』背もたれにもたれたまま言うアタシ。

    雪クン、late return!!

    2008-06-26 15:00:00
  • 126:

    『もしなんか愛理にうっとしい事されたら俺にゆうてな?』ほんまにトコトン胡散臭い台詞。『他にも…何でも頼ってや?』頼るハズがない事、絶対拓馬クンならわかってるよね?ニコリ笑ってるアタシに、『絶対やで?』と肩に手を伸ばそうとした時。
    ――パンッッ!
    『ちょっとストップ!拓馬くん!笑 駄目やからルイちゃんは!』戻ってきた雪クンがその手が触れる前に振り払ってくれた。ドッキーン!!笑 あかん、雪クン、嬉しい。笑
    『へいへーい♪お邪魔しました〜笑』するとアッサリ拓馬クンはビールを飲み干し、カンッとグラスをあて席を立った。

    2008-06-27 04:24:00
  • 127:

    真っ先に雪クンは
    『大丈夫?なんもされてない?』と確認した後、隣に座った。『ごめんね…あの人気に入った女の子にはすごいから。笑』いつもこうゆう事平気でする人なんやろうな。でも何言おうとこの店では拓馬クンが天下って訳か。まあ、あたり前かあ…
    『てゆうかほんまに来てくれて嬉しい。ありがとう。』改めて言う雪クンが嬉しくて、アタシは終始笑顔。調整したんかな?雪クンはその後もずっとアタシの席に居てくれた。

    2008-06-27 04:46:00
  • 128:

    色んな話をした。と、言っても普通の会話なんだけど、この雪クンの独特の"白い"雰囲気が、アタシの心を和ませる。反面、歯がゆくなる…気もした。『…ね、初めて会った時から気になってたんやけど。』『ん?』
    指差した胸元。今日は少し開いた服を着てたから。『ごめん。笑 そんなとこ見て。』『はは♪もっと見る?笑』『こら!笑 男の子にそんなん軽々しくゆうたらアカンよ!笑』見えるもんな…。自然を落とし自分の胸元を見下ろした。
    『これねえ…切り傷!』赤青い跡。消えない傷跡。

    2008-06-27 04:56:00
  • 129:

    ふとよぎったアヤの顔に苦笑いになる。『怪我したん?』『うん。』こうやって人に触れられる度、アタシはアヤを、あの頃をいちいち、一生思い出すんだろうって。
    『これね、ハサミで出来た傷やねん。しかもキッチンバサミ。笑 だから結構深くいっちゃってさ。跡は消えへんねんてさ。』
    『…誰かにやられたん?』こんな事人に話すのは初めてカモ。でも気づいたら言っていた。『"友達"。笑』笑いながら。
    時効?いや、違う。一つの"思い出話"――。

    2008-06-27 05:08:00
  • 130:

    『あ、嘘ついた。笑 やっぱり友達いてんねやん♪笑』前に雪クンがアタシの店にきた時に、"休みは友達と遊ぶんだり?"とゆう質問に、"いてないも〜ん。"と答えたアタシの言葉を思い出したのか、指摘した雪クンの悪戯っぽい笑顔に、その先を話す事を辞め、ふと笑った。我に返る様に。

    後々になって思えば、アタシが"辞めた"んじゃなく、雪クンが"辞めさせた"んやろうけど――。

    2008-06-27 05:18:00
  • 131:

    ――♪〜♪♪
    『ちょっとごめんね。』携帯が鳴り、開くと【シュンくん】のデイスプレイ。メール派のシュン君が珍しいなと思い、トイレに行き掛け直した。
    『あ…ルイちゃん?ごめん急やねんけど…』もごもご話すシュン君の声は、爆音の有線と混ざり、聞き取りにくく、『うんうん〜』とアタシはいつも通り適当に頷いてると、『ありがとう!!んな15分後に花屋の前でね!』それだけ耳に残り電話は切れた。――ツーツー…
    『まぢッ?!』シュン君が…外系!?自分の立場をわきまえ店外など口にした事ない"良い客"のシュン君が営業後にお誘い!?ありえんッ!!

    2008-06-27 05:31:00
  • 132:

    何か"おかしい…!"その事には気づいてたのに、逆にまんまと自ら罠にハマりに行く事になるなんて。
    『ごめん雪クン、チェックしてもらっていい?』『え?うん、どっか行くの?』『うん、ちょっと呼ばれて…』言いながら鞄から財布をあさる。雪クンがその手を取り言った台詞。『お金はいいから。…大丈夫?』…――?『大丈夫よッ♪』雪クンは、お見送りするから少し待っててと言うと、手をスッと離し奥に歩いて行った。
    ―――…?この時感じた若干の冷たさに、まだ違和感など持てるハズもなく。

    2008-06-27 05:40:00
  • 133:

    アタシはいつだって浅はかで甘い。

    『あの、ピンク入れてもらえます?今お金払います。』『あ!はいッッ!』さっきドリンクを頼んだ彼にお金を払い、席を立った。『えっ…あのっ!!』入り口近くのリストで伝票をいじる雪クンを横目に、店を出てシュン君が言ってた花屋に向かった。

    "ほんま何なんやろお?"――さっきの雪クンの態度なんかより、シュン君の異変に頭がいっぱいで。

    2008-06-28 07:46:00
  • 134:

    『ルイちゃんっ!』
    シュン君は先についてて、チェックのシャツに、黒の七三分け、背にはリュックといつものスタイル。きもす。笑『どしたん〜?ビックリしたしい〜!笑』笑顔で駆け寄るアタシにシュン君は胸の内を語り出す。
    『ルイちゃんごめん。俺…もうルイちゃんには会われへんねん。だから俺の最後の我が儘聞いて欲しいねん……』
    はい?金つきた?我が儘!?黙って続きを聞いて唖然。
    『…俺とカラオケ行ってくれへん…!?』

    2008-06-28 07:55:00
  • 135:

    お気にのキャバ嬢と初店外でカラオケ…絶対チョイスミスやろ!と思いつつ、まぁ…シュン君は危険はないし、ここまで来てもうたしなあ〜。『わかったよん♪』『ホンマッッ!?ありがとう!!』行ってあげる事にしてカラオケまで二人で繁華街を歩いた。まだ夜明け前。アフター感覚。まさかだ。まさかあんな事になるとは――。。この時すでに、幕は上がっていて、役者は揃っていたなんて。そしてまず悲劇に合うのは、このアタシ――。

    2008-06-29 09:33:00
  • 136:



    キミには美味しいモノを食べて欲しいし、キレーな空を見て欲しいし、ムゴイ景色や瞬間は、キミの瞳をこの手で覆いたくなる。しょうもない事や人に、真っ向勝負しなくていーよ。キミは汚れない変わりに、たくさん傷つくでショウ?

    変わりに傷つけてみるから。"あの子"を。

    2008-06-29 09:44:00
  • 137:


    『ルイちゃん何飲むッッ?』『アイスティー♪』

    カラオケの部屋で、嬉しそうに、でも恥ずかしそうに飲み物を聞いて、ドリンクバーにくみにいくシュン君。楽しそやなあ〜笑。狭い四角い密室、薄暗い証明。『お待たせ!!』シュン君はこんなチャンスでも、横に座る勇気もない、【PIERO】で一番最初に掴んだお客様。情?違う。信用?違う。何の感情も無かった。だから何も気づく事が出来ずに。いつも以上に彼がソワソワしてても、気にも止めずに。。
    ―――カラオケの音楽と、シュン君の意外に綺麗な歌声は、だんだんと、遠のいていく。

    2008-06-30 08:16:00
  • 138:



    もうこれ以上、体に水分はないんじゃないかと思う位、泣き濡れた日々。干からびて、錆び付いて心身共に、無痛。麻痺してただけ。あんたが麻酔を打った、あの日から。アタシは間違ってた?

    まだまだ生きれる。そしてまだまだ泣ける。絶望も、限界も、まだまだ超えていく。それで強くなれるのか?諦めていくのか…その後の一瞬の幸せなんて、快楽なんて、言うならば錯覚だし、そんなものに騙される事出来ないし要らない。受容の心ではなく、妥協しざるを得ないだけ……だんだんと気づかされる。

    2008-06-30 08:36:00
  • 139:

    名無しさん

    あげ?

    2008-07-04 04:01:00
  • 140:



    『……――――っ。』
    瞼を開く。入ってくる青い光に目を細めながら。
    ――――――どこ、ここ?

    2008-07-04 09:10:00
  • 141:

    『!?』――バサッ…
    体を起こそうとした時、気だるさと、腕の拘束に気づく。う…そ……やろ。
    『ルイちゃん…起きた?』『――!』―ビクッ―!暗い部屋に、天井から差す青い光、ベッドの上…。そして今の声………まぢかよ。。意外に早くに、状況が飲み込めてしまう。…頭、クラクラする。

    ―――さぁ、どうしたらいい?アタシ――……

    2008-07-04 09:19:00
  • 142:

    『…シュン君、どゆつもり?』起き上がる事も困難な程、重い体。おそらく眠剤――…『ルイちゃん…ごめん、怒ってる?』すっと半裸姿のシュン君が視界に入る。―ギシッ―……やめて、近寄んなよ。
    『今なら許すよ?…これ、解いて?ね?』
    『………。』
    沈黙が流れる二人。…ラブホテルか。アタシの手の自由を奪ってる…ガチャッ…おそらく玩具の手錠を、シュン君は外そうとしない。

    2008-07-04 09:30:00
  • 143:

    『シュン君…。』横にあるシュン君の顔を見て、悪寒がしたのと同時に、生まれた感情は、"諦め"――――。
    『ごめん!ルイちゃん…ッ…――!』そう言って覆い被さってきたシュン君を無視するかの様に、アタシは目を閉じた――。
    『ルイちゃんッ…はぁッ!ルイちゃんっ……!』

    ――――悪い夢だ、コレは。

    2008-07-04 09:38:00
  • 144:

    『はぁッ…チュッ…あぁルイちゃんっ…!』

    痛い位にまさぐる手も、耳に当たる荒々しい吐息も、絡ませてくる粘っこい舌も―――、
    ――グッ――!
    『…ッッ。』『あぁッッ…ルイちゃん中熱いっ…気持ちいい!』

    2008-07-04 09:45:00
  • 145:

    侵入してきたこのヒト自身も、それを許すアタシの中も、全部。全部が、悪い夢に違いない―――。


    ―パシャッ、カシャッ―!
    『ハァッッ…はぁ…良かったよっ!可愛いよルイちゃんっ…』

    2008-07-04 09:49:00
  • 146:

    事が終わると、荒い吐息のまま、デジカメのシャッターを狂った様に押すシュン君。その眩しさに、目を細めるアタシ。デジカメ…手錠、眠剤。用意周到か。『………は。』笑けてくる。何枚でも撮れば?好きなようにすれば?……今更、怖いものなど、何もないアタシに―――。
    『笑って、ルイちゃん…』『…ふ。』そう言われると自然に笑みがこぼれた。

    ―――アタシはピエロだ。
    いくらでも、どんな時でも、誰にでも笑ってみせる。そうやって自分を守ってあげれる―――。

    2008-07-04 10:00:00
  • 147:




    **********

    2008-07-04 10:02:00
  • 148:


    失ったものを、"完璧"に取り戻すのは無理だ。今のこの白黒の世界に、"希望"を持つ事も無理だし、過去にすがりつき生きて行くのも、悲しくて、前にも、後ろにも、"残酷"はつきものだから、神様なんて居ないし、居たとしたら大嫌い。
    けど、ふと考えてしまう――。

    もしも今、どこかアンタにもう一度会えるなら、アタシは何もかもを信じる事が出来るかもしれない―――…

    2008-07-04 10:15:00
  • 149:





    ―――アヤに会いたい―――。

    2008-07-04 10:17:00
  • 150:

    名無しさん

    書き直し?

    2008-07-04 23:11:00
  • 151:





    ―――『ルイ、ちょっと。』

    2008-07-05 06:24:00
  • 152:

    あの"悪夢"から数日が経ち、アタシは怖い位いつも通りに仕事に来ていた。店長に手でヒラヒラされるまま、外の非常階段までついていく。
    『なにい?』
    『お前さ…アキバ枕で引っ張ってんか?』
    真面目な顔で言う店長に、心臓鷲掴みにされた気分だった。でもすぐに笑顔を作って答えてみせる。
    『何をゆ〜てんの?笑 てか誰情報よッッ!!笑』

    2008-07-05 06:31:00
  • 153:

    『いや…、愛理とナオがお前がアキバとホテルから出てくるん見たゆうててな。』
    ――…ドクン……何じゃこれは…。…ドクン…
    『店長はアタシがそんなんすると思ってんの?笑』『いや…違うと思うからこそ聞くねん。お前には枕は向いてないし。』
    笑顔。笑顔…。――ドクン…。どうなってんの?愛理は何でなんもゆわんの?
    ――――…はめられてる?

    2008-07-05 06:37:00
  • 154:

    "気づいた時には遅い"とよく言ったもんだ。

    『心配無用です〜♪てかルイ今日早上がりやし上がってもいいよな?笑』店長の肩を叩き、すり抜ける。
    ―――愛理か?誰かに…わからない。けどおかしい。大体、シュン君が自分の意志だけであんなん出来ると思われへん。
    『ルイ!上がるん待って!お客さん入ったわ。』『……ん。』

    2008-07-05 06:45:00
  • 155:

    怖がる必要ないのに、今更。写真バラまかれても、脅されても構わない。そんな気でいたのに。こんなにもビビってるのは、何か、他にもっと大きい嫌な予感が全身を支配するから。
    『ルイごめんやで、とりあえず接客いこか?』
    店長に背を叩かれ店に戻り、目にしたのは――。『……。』スーツ姿で席に座る優クンと雪クン。そしてその席でヒソヒソ話をする、愛理――…。

    "嫌だ"。つきたくない。彼らを見て、真っ先に思ってしまった。今は一人になりたい―――…

    2008-07-05 06:55:00
  • 156:

    『失礼しまっす♪』

    それでも逃げれない。仕事、現実、この空間に、笑って飛び込む。ただ"感情"って奴が邪魔だ。いらない。なくなればいい。怖くなんかない。ただ、今この瞬間を"嫌"だと思う自分が嫌だ。

    2008-07-07 04:12:00
  • 157:

    『おはよお♪』雪クンはいつも通りに微笑んだ。みんな、そうなのか?愛理に全部聞いたであろう、こんなにも綺麗に笑う雪クンも、心の中とは違った表情でいるのかな。
    『おはよ♪雪クン、拓馬クン。何の話〜?』
    ――馬鹿らしい。アタシと同じ様にそう思うのかな。
    ニコニコ笑ういつも通りのアタシに、愛理が拓馬クンの腕を組みながら、楽しそうに言った。
    『ルイちゃんの噂話♪でも内緒〜ッッ♪』

    2008-07-07 04:21:00
  • 158:

    "どうでもいい。"向かってきたい奴は向かって来たらいい。
    『何ッッ?気になんねんけどッッ♪笑』『心当たりないの?笑』胡散臭く笑う拓馬クン。笑いたきゃ笑えばいい。好きなだけ。
    『何よ〜?笑 みんなして〜?笑』雪クンを見る。穏やかに笑いながら口を開く。
    『それより、今日のドレス可愛いね。』アタシが今日着てた白地にピンクの薔薇が描かれたロングドレス。それを上からサッと見下ろし、話題を変えた雪クン。

    2008-07-07 04:33:00
  • 159:

    『ほんまッッ?やったあ♪これお気に入りやねん♪』『うん。華やかやし、女の子らしいしすごい可愛いよ。』
    その雪クンの笑顔がさっきよりも穏やかで、ギスギスしてた自分に気づかされたのと同時に、自然とその胸の淀みが流れた気がした。
    『あ!てかこないだはごめんね雪クン。急に帰っちゃって。』『ほんまそれやで!笑 てゆうか…ちゃうちゃう、こっちがごめんやで。笑 ありがとうね?うちの店にお金なんかおとさんでいいのに。笑』
    ごくごく自然に、二人で会話をしていた。おもしろくなさそうな顔でこっちを見る、愛理と拓馬クンを尻目に。

    2008-07-07 04:55:00
  • 160:

    『愛理お手洗い行ってくる〜!』しばらくして愛理が席を離れ、3人になった瞬間。
    『つまらんなあ〜!雪、お前核心に迫れよ!笑』急にアタシらの会話に割り込む拓馬クン。『だぁかぁらぁ〜!さっきから何の話してんのッッ?!笑』負けじと割り込むアタシに、悪びれた様子もなく言う。『自分が一番わかってるやろ?笑 とぼけたら雪が可哀想やん。なぁ、雪?笑』この男は、何がそんなにも可笑しいのだろう。
    『拓馬クン、今俺ら二人の世界です。笑』雪クンは呆れた様に、でも冗談ぽく足組みをして答える。
    そやそや!入ってくんな馬鹿!

    2008-07-07 05:08:00
  • 161:

    『そやもん!邪魔しんといてッッ!笑』便乗して、雪クンに抱きついてみたりする。『…ルイちゃん、色接客はやめて下さい。笑 照れるから!笑』頭をポンッッと叩かれながらにっこり笑う。あぁ、これがアタシだ。惑わされてどうする…しょーもない奴らに。。

    『ふーん…。怖いね、雪も。笑』ボソッと言った拓馬クンが口をつけたグラスもふいてにっこり笑った。

    誰も信用しちゃいないけど、どっちかと聞かれたら即答でアタシは雪クンじゃ!!(´_ゝ`)

    2008-07-07 05:16:00
  • 162:

    名無しさん

    きになる

    2008-07-07 10:48:00
  • 163:

    名無しさん

    質問は無視かい

    2008-07-07 12:13:00
  • 164:

    名無しさん

    コピペって書いてあったで?

    2008-07-07 17:56:00
  • 165:

    名無しさん

    やばい?続き読みたい?

    2008-07-07 18:50:00
  • 166:

    『ただいまあ〜♪拓馬、このまま行けるって♪着替えるからちょっと待っててえ〜♪』
    愛理は戻ってくるなり、猫なで声で拓馬クンにそう告げると再び席を立った。どうやら、このまま上がって拓馬クンと一緒にlashに行くみたいだ。
    『俺もそろそろ行きます。』『おう。客きたんか?』そうこうしてる内に、雪クンも立ち上がり、チェックしだし、アタシも慌ただしく送り出しをする。

    2008-07-08 07:55:00
  • 167:

    『ありがとう雪クンッッ!仕事、頑張ってねっ。』
    エレベーターに乗った雪クンは、開いたまま、少し戸惑った仕草を見せた後、アタシに言う。
    『ルイちゃん。仕事で、てか…それ以外でもなんかあったら俺にゆってきて?俺助けれるし。』『――…ありがとう♪』
    アタシは少し間を置いてお礼を言い微笑んだ。エレベーターが閉まる。
    "助けれるし。"何気ない、その雪クンの言葉の語尾の力強さが何だか印象的で、頭の中で復唱される――。

    2008-07-12 09:33:00
  • 168:

    "アタシにとって"だけかもしれないけど、真っ直ぐに響かす事の出来る雪クンの音色に、うっとりして、どれ位か、エレベーターの方を向いたまま、立ち尽くしていた。その時―――。
    ――グイッ!『―わッッ!!』――ガチャッ!カツッ…バンッ―!『〜ったい…!』

    凄い力に腕を引かれ、非常階段への扉を開け、その扉ごと背を押し付けられた。ジンとした痛みに強張る肩に、細める目。そのまま視線を上げ、無意識に、その前を見上げる様、睨みつける――。

    2008-07-12 09:46:00
  • 169:

    『――…何?拓真クン…びっくりするやん。』

    一気にさっきまでの暖かい雰囲気は消え、何か、"ドス黒い"ものに覆われる様な感覚。真正面に立つ、拓真クンの威圧感は、長身のせいだけじゃない。
    『あ♪今の顔初見やわ♪イラッとした?笑』相変わらずの胡散臭い笑顔に、心を見透かされ、更にイラッとしてしまうのを、理性と意地で抑える。
    『してないよッッ。てか、ほんまびっくりしたあ!何よお〜?』

    2008-07-12 09:56:00
  • 170:

    言った瞬間、目の前で見せつけられた携帯の画面に背筋が凍りついた。
    『―――…何で…?』
    『びっくりしてる?笑 その顔も初めてやな♪どん位びっくりした?』

    ――――……初めて、ピエロの仮面を外された瞬間だった。しかも、これは ほんの始まりにしか過ぎない。……一人目がこの人。生理的に、受け付けないこの人。

    2008-07-12 10:05:00
  • 171:

    黙ったままのアタシの目の前で、画面を次々にスクロールさせる。その度に直にエグられる様に晒される羞態。一枚、一枚。めくられる秘密と、残ってた自尊心に、唾を飲んだ。
    『……拓真クンが仕組んだん?』『まさか?』憎い位の微笑みに、更に冷たくなる背中。
    『…愛理?』『違う。』

    ――何されても"平気"だと思った。でも、それは間違い。

    2008-07-12 10:16:00
  • 172:

    『じゃあシュン君の…』『へぇ。シュン君ってゆうんや?このアキバ。笑 お前笑ってるけど、"コレ"同意の上?』

    ――……。差し出されつきつけられる画像は、シュン君のデジカメの中にあるはずの裸体の自分。縛られ、精液をかけられても笑ってる自分。それを真っ直ぐに見て、拓真クンに初めて"お前"って呼び方をされて、羞恥心も弾け飛んだ。

    ――もう、いい。どうでもいい。

    2008-07-12 10:24:00
  • 173:

    『――…ハァ。何が目的?』
    アタシは腕を組み、扉に自ら体重をかけ、もたれかかりそんな言葉を吐いていた。『やっぱルイちゃんは賢いな?話早いわ♪』
    アタシは相当の面倒臭がりで、自分が思ってる以上に、拓真クンが嫌いだったんだろうな。髪を撫でてくる拓真クンの手を掴み、自分の胸に押し当てる。

    『とりあえずセックス?後は何?お金?いくら渡せば満足?』

    2008-07-12 10:35:00
  • 174:

    『ははっ!んまルイちゃんおもしろいわ♪』
    拓馬クンの大きい手は胸から首もとに伸び、顎の下辺りで、ピタリと止まる。『俺さ、知っての通り女にも金にも困ってないよ?笑』その手にぐっと力が入る。苦しい――。
    そしてゾッとする程、キチガイな台詞。
    『俺はな、傷えぐりたいねん。それがセックスより気持ちいいの。わかる?笑 ルイちゃんは楽しめそやねん、俺。』その手の力が緩み、アタシは息を吸う。――傷をえぐる?馬鹿か。ならいっそ、本気でやってみろよ。

    2008-07-12 10:46:00
  • 175:

    ――お前なんかに傷つけられるハズがない。
    『…好きにすればあ?』『これ、バラまいてもいいって事?』視線は反らさず、答える。
    『…任せる。』そう言ってすり抜け様とかがんだ時、――ぐっ、ドサッ。『…んッ。』唇を押し付けられ、その場にお尻をついた。唇がそっと離れる。

    『…ますます気に入ったし。好きにさせてもらうわ♪』

    2008-07-12 10:57:00
  • 176:

    ………―。『拓馬〜?どこお〜?』ちょうど聞こえてきた扉越しの愛理の声に、拓馬クンは立ち上がり座ったままのアタシの横をすり抜けた。

    『明日、仕事終わったらここにきて。すぐな。』

    そう小声で囁き、名刺をヒラリと、アタシの膝に落として――。

    2008-07-12 11:05:00
  • 177:

    名無しさん

    めぇーッちャ
    おもろい?

    頑張って???

    2008-07-13 14:37:00
  • 178:

    名無しさん

    楽しみにしてます?
    頑張って下さい?

    2008-07-13 17:32:00
  • 179:

    ペット書いてる人ですか?

    2008-07-13 23:45:00
  • 180:




    『お疲れ様でーす』
    『お疲れ様あー』

    2008-07-22 17:18:00
  • 181:

    次の日の営業終了の瞬間、アタシは店を飛び出した。愛理の視線には気付いていたけど。迷ってた。――アタシは何がしたいんだ?考えながらタクシー乗り場まで歩く。―カツカツカツ―答えが出るのはあまりにも早く、やってきたタクシーに躊躇なく乗り込んだ。
    『この住所までお願い。』アタシは別に何もしたくない。ただ、周りがしがらみがしがらみを生み、騒ぎ立てるから、自然にその流れに身を任せる。それだけ。それでいい。

    2008-07-22 17:25:00
  • 182:

    『はーい、ついたよ。多分このビルの事やよ。』タクシーを降りた瞬間、携帯が鳴る。……シュン君。無視して階段を登る。やたら足音が響く綺麗な外装。

    『いらっしゃい〜♪逃げずにきたな。笑』

    インターホンを鳴らす前に出てきた拓馬クンは、『ま・逃がさんけど。どうぞ?』と付け足し扉を大きく開け、中に入る様促した。

    2008-07-22 17:35:00
  • 183:

    ―バタンッ、ガチャ…―
    扉が閉まると同時に鍵が閉まる。ここまできて、逃げも隠れもしないのに。
    『ここ事務所?』
    見渡せる位の広さの綺麗な黒を基調とした部屋。ガラステーブルにソファ、パソコンデスクに、冷蔵庫、一応シャワーやトイレはついてるみたいだけど、なんてゆうか、無機質に並べられてて、生活感がまるでない。
    『てか俺の隠れ家?ま、適当座って。コーヒーでいい?』

    2008-07-22 17:47:00
  • 184:

    ガラステーブルに並んだコーヒーカップ。それに手をつけずに、来ていたシャツのボタンに自ら手をかけた。
    ―プツ―…『待てよ。そんな急がんでも。笑』その手を阻止する拓馬クンのいつもの白々しい笑顔。
    『無駄話はいらんやろ?』逆に拓馬クンのシャツに手を伸ばすと、『何も聞きたい事ないの?』とその手を捕まえられる。
    『別に、ない。』こんなエセピエロに何を聞いても、真実を語る訳がない。

    2008-07-23 05:10:00
  • 185:

    『可愛くないなあ。笑 まあいっか。とりあえずずじゃあ遠慮なく。』
    ―ドサッ―…ソファーに押し倒された瞬間、また携帯が鳴る。『出たい?』『…いいよ、ほっといて。』そう言いながら自分から拓馬クンの首に手を回した。『…んッ。』
    これは中途半端なアタシのささやかな抵抗だ。おそらく、今の電話はシュン君からで、出たら脅迫。でも無意味だ。拓馬クンが"あの"画像を持ってこうなってる今、シュン君に楯突く事も、請う事も無駄で。とにかくアタシは今、"この男に抱かれる"それだけが事実で自分の選択肢。

    2008-07-23 05:29:00
  • 186:

    『…ん。…アッ…』無遠慮に侵入してくるこの大きな手に、体は奪われようと、心の中まで奪われる事はない。"どうでもいい"なんて虚勢を張ってみても、それだけは、アタシの本能が、全部が嫌がるのだ。
    でも…"傷をえぐる。"その言葉は、本気で。
    『な、ルイちゃん?演技すんなよ?そんなんじゃ萌えへんし。笑』
    アタシを半裸の状態にした時の拓馬クンの笑みにゾクっとしたのも束の間、彼が本性を見せ出す。
    人は、セックスの時にこそ、本来の姿を表すと、この時身に染みて感じた。

    2008-07-23 05:41:00
  • 187:

    『あの写メと同じ様にやろっか?笑』

    そう笑って立ち上がった拓馬クンを見て、ただ一度だけ会った事がある、[雄志]の姿が頭に蘇った。
    『……ッ。』『ほらほら。痛い?苦しい?むかつく?笑 なんか喋りいや?なぁ?』
    何と呼べばいいだろう。この感情は。雄志を思い出した事で、また頭に浮かぶのはアヤの顔――。―――呪縛…。もうそれが正しいのかもしれない。

    2008-07-23 05:50:00
  • 188:



    ――――――――――――『なあ、これもう痛くないん?』

    事が終わり、拓馬クンは煙草を吹かしながら、ソファーに寝そべったままのアタシの胸の上の傷を指した。『…別に。てゆうか、これほどいてよ。』『ふてこいし無理♪笑』手荒に手首を拘束したネクタイを掴み上げ、アタシの体を無理矢理起き上がらせる拓馬クン。

    2008-07-23 05:58:00
  • 189:

    『てか!ふってこいんやな!笑 ほんまのルイちゃんは。笑』『……。』そう笑われしまったと思った。バレてる。拓馬クンには。
    『その姿、雪にも見せたいな。笑』拓馬クンは言う。
    『一回したら一個、秘密教えてあげよっか?』
    『教えていらんし。』
    『ふうん?笑 まあいいやん。一個教えたるわ。そうやな…この件、仕組まれてるで♪お前の事知ってる奴に。』

    2008-07-23 06:06:00
  • 190:

    …そんな事はわかってる。『愛理やろ?』『違う。』カマをかけたつもりだったが、その返事の仕方に何となく本当に違う気がした。
    『…誰か言ってくれな意味ない。』睨むアタシに、『な?知りたくなるやろ?笑 もっかいする?』また、エセピエロが笑う。

    ――翻弄される。しょうもない奴らに。巧みな人間が世の中には沢山いる。でも、守ってくれる人はいない。いつだって。

    2008-07-23 06:16:00
  • 191:

    『なあルイちゃん。"助けて"ってこの口で言えば、いつだって俺は助けたるで?笑』
    『………するんやろ、もう一回。』
    ――身を乗り出して唇を重ねる。こんな事が"愛"の行為だなんて思わない。もしそこに愛を込めたとしても、本当の意味で人を救う事なんて出来ない。人は所詮孤独だから。

    すべてを諦め、そこが真っ暗な闇だったとしても、まだそこに"意味"や"真実"を見いだそうとしてしまう。人はとても弱いから。微かな光を。

    2008-07-23 06:25:00
  • 192:





    ************

    2008-07-23 06:29:00
  • 193:

    『…どうゆう意味?』
    『言ったままの意味〜。教えて?お願い。』

    翌日、店が終わった後。愛理を近くのバーに誘い出した。飲み物を適当に頼んだあと、すぐ様本題に入る。
    一口も口をつけてないカシスウーロンの水滴を指でなぞる愛理はふいに落ちない顔でアタシの顔を見ようとしない。決定だ。

    2008-07-23 06:50:00
  • 194:

    昨夜の拓馬クンとの"二回分"の秘密、わかった事は、[シュン君にああする様仕向けたのは、愛理ではなく、愛理の良く知る女性]という事。そしてその女から愛理に、次に拓馬クンに画像が回ったという事。
    『誰なん?その女の子って。店の子?』『……。』もちろん、愛理に問い詰めるなと拓馬クンから釘を刺されたけど、無視。二人がどうなろうと元から知ったこっちゃない。

    2008-07-23 06:59:00
  • 195:

    今はこの"嫌な予感"の、正体がただ知りたいだけ。
    『…拓馬に聞いたんや?』『ん。』やっと口を開いた愛理を横目に、アタシはグラスの中身を一気に飲み干す。早く言え。面倒臭いなあ。
    『拓馬とヤったん?』
    『愛理が答えてくれたら答えるよ。』
    そして少しの沈黙の後。――バシャンッ――!!

    2008-07-23 07:06:00
  • 196:

    『――――。』アタシはカバンからハンカチを取り出し顔に当てた。みっともない。他の客の視線が集まる。ぶっかけられたカシスウーロンが床にも零れるから、立ち上がり『すいません、おしぼり…』と店員に告げると愛理は顔を真っ赤にして怒鳴る。店では見せた事のない、すごい形相。"女"が全面に出る瞬間。
    『…人の男取るんが趣味なん!?どうせ客も全部枕やろが!!……いい気味じゃお前なんかッ……!!拓馬が本気で相手する訳ないやろが!!』

    2008-07-23 07:31:00
  • 197:

    シーンとなる店内でアタシは少し黙ったあと愛理の方を見、口を開く。あまりしたくないが、やってみる価値はある…か。
    『大体わかるよ、誰か。てかしたよ?拓馬クンと昨日、二回だけね。』みるみるうちに変わる愛理の顔色。人の事どうこう前に…アタシも大概性格悪いな。今、少しだけ楽しい――。
    『てゆか、取ろうと思えばいつでも取れるし、愛理よりは、好かれてる自信あるよお?笑』
    "傷をえぐる"――拓馬クンの言葉が頭をぐるぐる巡る。

    2008-07-23 08:07:00
  • 198:



    アタシも相当
    おかしくなってる?
    いや、おかしい――?

    2008-07-23 08:12:00
  • 199:

    そしてそのままトドメを刺す。ごめんね愛理。仲良しごっこはもうおしまい。
    『"あの子"も"あの時"の事がまだムカツクんかもしらんけど…男がルイを選ぶねんもん。笑 ルイは悪くなくない?』
    …さあ、言うか――?

    『…最ッッ低やな!!!…そりゃ友達ひとりもおらん訳やわ…!』興奮がピークの愛理はそうしてまんまとピエロの餌食。確信の名を出す――。

    2008-07-23 08:21:00
  • 200:

    『麗香の言ってた事は正解やったわ…!!!…この事忘れんなよ!!!絶対後悔さしたるわ!』

    ………――やっぱり。。

    【麗香】――愛理が口にしたその名と、さっき一気に飲んだ焼酎のせいか頭がグラグラする…。麗香…まだアタシを貶める気?―――バン!!愛理は千円札をびしょびしょのテーブルに叩きつけ店から出て行った。

    2008-07-23 08:29:00
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