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ピエロ

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  • 1:

    ◆NedEI85Yxg


    『ピエロみたいに笑ってたくない?ずーーっと!』


    ――――今でも、いつかのアイツの言葉を思い出す。

    2008-05-29 05:42:00
  • 201:

    『あの…大丈夫ですか?』店員サンの気遣いに、『ホントにすいません…』と謝り店を出ようとした、その時。――バサッ――…

    『…えッ。何で……雪く――…』
    『出よう。…風邪引く。』
    "何で?"……グラグラする頭のまま、目の前の雪クンにスーツをかけられ、腕を引かれるままに外へ出た。何でいてるの?何でよりよってこんなところ――…。

    2008-07-23 08:37:00
  • 202:

    『…ごめん。』
    外に出て、アタシの腕を掴んだままの雪クンの後ろ姿に、"悪いな"と感じた。きっと仕事の合間で、連れもいてたろうに。。
    『謝らんといてよッ!笑…なんか、嫌なとこ見られたね。笑』全部、聞いてたよね?あそこに居たって事は。

    この人にだけは、汚いアタシを、知られたくない。そんな考えが、雪クンの手を退けてスルリと離れる。

    2008-07-24 03:05:00
  • 203:

    『風邪ひくよ?』『…馬鹿やから大丈夫♪笑』『…ばか。笑』自然と笑みがこぼれる、二人。雪クンが肩にかけてくれたスーツがやけにあったかい。
    『俺ンちくる?』『えっ?』『近いし、シャワー貸すよ。』ポタポタと髪や服から垂れる滴、道行く人達。一瞬戸惑ったアタシの腕を再び掴み、雪クンは道路に出てタクシーを拾った。
    時間にしたら一瞬の出来事。アタシの中で少し驚いた雪クンの有無を言わさない言動に、また戸惑った。意外な一面だった。

    2008-07-24 03:15:00
  • 204:

    ―バン!『どうぞ。』ワンメーターの距離でタクシーは止まる。ほんまに近いんや。『…ありがとう。』差し出された雪クンの手を取り車を降りる。
    『ちょっと散らかってるけど、ごめんね。笑』
    11階立てのマンションの最上階の雪クンの部屋は、綺麗に整理されていて、"散らかってる"というものの、何枚かの服と、テーブルに飲みさしのカップや缶が少し散らばってる程度。

    2008-07-24 03:24:00
  • 205:

    『こっちお風呂やから、行っておいで。こんなんしかないけど…はい。』部屋に上がるなり、綺麗にたたまれたバスタオルとジャージとTシャツを渡され、風呂場に案内された。その雪クンのペースにまたびっくりしながらも言われるままにシャワーを借りた。男と女だ。今から何があるかはわかってるけど…―シャアー…―『麗香…』今はその名前を、忘れたいのかもしれない。その名前から連想する過去が蘇えるのが、今は嫌。絶対に嫌。。そしてまた始まる…未来。嫌。考えたくない…………流れて消えろ。さっきのお酒も、悪夢の予感も。

    2008-07-24 03:37:00
  • 206:


    ―――自分が嫌い。周りも嫌い。この世界が嫌い。ただ嫌がって嘆いた。でも、わかった事がある。
    必死で取り繕ってもNOな人間がいれば、ありのままの剥き出しでYESだと言ってくれる人もいる。また、YESだと言える自分もいた。そうゆう自分になれたのに。

    2008-07-24 03:48:00
  • 207:

    実好を麗香に奪われた瞬間が、いつまでも忘れられなくて。アヤが雄志を選んだ瞬間が、いまだに忘れられなくて。

    アヤとの家を出て実好とやり直したあの時も。実好の携帯が鳴る度、麗香の顔が頭にチラついた。

    頭の隅の方、ぐるぐる…ぐるぐる。

    2008-07-24 04:04:00
  • 208:

    『…っつ…!ヤバ…』
    ―キッ―
    お酒のせいかのぼせそうになり、シャワーを止め風呂場を出た。くらくらする頭で何とか雪クンの服を着て、歩く。雪クンの匂い…『ちょ。顔赤いよっ?大丈夫?』『…ん、ごめ。』『シャワー熱かった?』
    ソファに腰掛け携帯を見ていた雪クンはすぐに立ち上がり台所から冷たい水を注いで持ってきてくれた。『…ありがと…』
    この優しさが例え作られたものでも、いい。今は何でもいいよ、雪クン。

    2008-07-24 04:14:00
  • 209:

    『こっち、ちょっと寝転び?』寝室に連れられ、濡れた髪のままベッドに転がる。熱い…『…ごめ。ルイ酔ってる…頭、ぐるぐるする。』『…楽にして。あ、冷えピタ貼る?今持って…』
    ―ギュッ―…雪クンのシャツの裾を掴む。いいよね?家に呼んだって事はそうゆう事やろ?って、アタシ男かよ…。笑 でも無理。『ん?どしたん?』『雪クン…助けて?』…お酒、まわる。どうにかして。

    2008-07-24 04:27:00
  • 210:

    『…苦しい?』―ギシッ―わかってるのかいないのか、雪クンはベッドに腰掛けアタシのそばにきて、髪を撫でる。優しい手つき。『……ん。』…あぁもう限界!ってのはこの事かな。―ギシッ―…
    雪クンの体重がアタシの上に軽く、かかる。…早く。"はやくきて――。"思うよりも先に雪クンの首に伸びた手を、逆に取られ、気が焦る。『…雪クン。』はやく、焦らさず、忘れさせてよ――…。
    一秒でも、はやく。。

    2008-07-24 04:40:00
  • 211:

    『…ルイちゃん。そうゆうのズルいよ。』
    確かに酔いが回ってたけど、アタシの手を握ったままそう小さく言った雪クンに、少しだけ酔いが覚める感覚。でも完全には覚めてくれず――。
    もう片方の手を雪クンのズボンに伸ばす。エスカレート。男になった様な気分で、指を動かす。このまま一緒に楽しもう?一緒に忘れられたらいい――。
    セックスが好きな訳じゃない。でもアタシ、雪クンとなら――。

    2008-07-24 04:55:00
  • 212:

    理性の切れかけたアタシを止めさせた雪クンの一言。
    『何で拓馬とヤったん?』
    ――『…。』アタシの手が止まる。萎える…止めてよ。雪クンはもう片方の手も取り、両手を少し、強く握る。……
    『あれホンマなんや…?』『……』黙るしかない。『さっき愛理ちゃんと言い合ってた原因はそれ?』『…』『何で何もゆわんの?俺にはどう思われてもいいって事?』
    思わず目を伏せたくなる様な雪クンの言葉、少し強い口調にただ黙る。

    2008-07-24 05:14:00
  • 213:

    『……ごめん。』
    少し長めの沈黙の後、雪クンはアタシの上から体を降ろし、背を向けてベッドに座り直した。完全に熱が冷めたアタシは、まだ残る酔いと、また別に生まれた感情を抱いて動けずに。
    『…でも、何も聞かずに抱いてあげれるほど俺優しくない。』『…ルイじゃ無理かあ〜笑』
    『違う。…ホンマはすっごいしたいし俺もうやばい。でもやめとく。俺は拓馬とは違うよ。』
    気まずさにおどけて言ったアタシに返ってきたその言葉は、雪クンがアタシが思ってる以上に綺麗な人なんじゃないかという期待になる。

    2008-07-24 05:39:00
  • 214:

    『…雪クン、ごめんね。』正直、本音なんて、人の奥の方なんてわからない。アルコールが回る体の中で、頭ではなく、心で感じれた自分に少し嬉しくもあった――。
    『…ちょっとおいで。』
    起き上がり、連れて行かれた先はベランダの前。
    『ほんまに体熱いからね。ちょっと涼んどき。』網戸を開け、座らされる。ポツンと。風が気持ちいい――…

    2008-07-26 11:21:00
  • 215:

    そこから見渡す景色は、殺風景で、でも静かで。何か懐かしいこの風の感触も。
    『……死ぬよね。』
    『えッ?』いつのまにかグラスを片手に隣にいる雪クン。『飲める?紅茶。』『あ、ありがとう♪』
    受け取り口をつける。ああ…落ち着くかも、ココ。『で、死ぬって何が?』少し距離を置いて座る雪クンが、さっきとは違ったいつもの柔らかい表情でアタシに問いかける。
    ――もしも、その笑顔が。雪クン自身ピエロだとしても、アタシは、尊敬するよ。きっと。

    2008-07-26 11:34:00
  • 216:

    『いや、あのね。昔ルイも11階に住んでた事があってね。全然…こんな広い部屋じゃないんやけどね。笑』
    雪クンは相槌を打つ代わりに、優しい瞳でアタシを見る。こんな、アタシを。
    ――もう…いいよね。
    『…"友達"と住んでて。2人で。すごいニコイチ〜!みたいな感じの娘でぇ。笑 二人共ずっと一軒家やったから、マンションに住むのってすごい憧れてたから嬉しくてさ。笑』
    ――少しのアルコールと風の心地良さの魔法。そうゆう事にしておこう。

    2008-07-26 11:47:00
  • 217:

    "ウンウン"と言ってる様な、優しい顔。やっぱり…雪クンの魔法にかかってるのかも。なんて思って笑ってしまう。『何で笑うの!笑 続きは!?笑』
    『ごめんごめん♪笑 雪クン可愛くて♪笑』

    愛しかったり。同時に軽々しいさっきまでの自分を恥ずかしく思ったり。そして、どうしようもなく哀しくも なる。
    ――でも惹かれていく。"雪クン"って一人の人に。"アタシの世界"を変えられる。

    2008-07-26 12:24:00
  • 218:

    ――普段は誰にも踏み込まれたくない自分だけの領域を、君にだけは招待したくなる。土足で来て。どんなんでもいーから。ありのままで。

    憧れの君に、追いつける事なんか一生ないと言い切れるのは君が光の様な人だから。せめて。近くに居て、色んな方から君を見続けたかった。

    どうしようもなく傷つけたくなる時もあって。強い君を傷つける事の出来る人間…"君"を作り上げたすべての人やものに興味が湧いたよ。

    2008-07-26 12:44:00
  • 219:

    『でね。その友達がベランダに出てよく言ってたんやんかあ。"うちは飛べるねんッ!"みたいな事を。笑』キョトンとした雪クンの顔。びっくりしてる?
    『あ、もちろんシラフじゃないねんでえ?笑 若かりし頃やったから、まあ…あれやけど。笑』『あぁ…笑』本当…若かった頃。『でもルイ思うねんなあ、今になって。"アヤはホンマに飛びたかってんやろなあ"って。』『アヤちゃんってゆうんや。笑』『…うん♪笑』
    雪クンが、アヤを知らん雪クンが、アヤの名前を口にする。

    2008-07-26 12:57:00
  • 220:

    …不思議――。
    『その頃は…薬してるから、そんなんゆうんや、こんな事するんやって。ずっとそう思っててんけど――…。』『うん?』――…多分、あの時アヤはほんまにすべてから逃げたくて、すべて、捨てたくて――。雄志以外の、すべての人やしがらみ、過去。つまり――…
    『ルイが――『そのアヤちゃんが、その傷をつけた子?』

    ――――――――…。

    2008-07-26 13:05:00
  • 221:

    胸元を指す雪クンの白い華奢な手にハッとした。『あ…うん。』『そっかあ。今は会ってへんの?』
    『…うん。どこ居てるカモわかられへんしね。』『会いたくないの?』紅茶をゴクリと飲み込む。
    『……わからへん。かな。笑』『そっか…。』

    ――風が気持ちが良い。…このまま、もう少しだけ、このままでいさせて。

    2008-07-26 13:14:00
  • 222:


    どうせ瞬く間に星は消え、荒波に呑まれ、逃げれない記憶と現実と、過ごす日々に戻るのだから―――――。


    ――――。

    2008-07-26 14:49:00
  • 223:





    **********

    2008-07-27 03:12:00
  • 224:

    『ただいまあ♪ルイー♪』
    『…ん。おかえり。ご飯は?』

    [16歳-冬-]
    "あの"事件が起こって一週間。実好は持ち前の要領の良さと行動力で、二人で住む為の部屋を借りた。アタシと実好が、もう一度やり直す為の部屋。1DKの必要最低限のもの以外何もないまっさらな空間。―――実好が、アタシの為に…。

    2008-07-27 03:23:00
  • 225:

    『今日はどっか一緒に食い行こや♪』『ん。用意するからちょっとだけ待って。』
    だが、アタシはまっさらな気持ちになんてなれるハズもなく、引きこもり状態。こうして実好が連れ出してくれる以外、部屋にいた。
    『…片瀬と連絡取れた?』『…ううん。』
    あれから何度電話しても繋がらない。…アヤ、雄志といてるん?

    2008-07-27 11:01:00
  • 226:

    アヤに会いたい。仲直りしたい。そしてもう一度――…。そう想ってるのに。『お前、傷大丈夫か?』『……うん。』
    何故か、心から100%思えない自分。それがモヤモヤして苦しかった。アヤがつけた消えない傷。この胸の傷が、"全部終わり"と告げてる様で…怖かった。かと言って最後見たアヤの気が狂った様な泣き顔が、頭から離れなくて。距離を置いて、果たして意味はあるのか?日が経つほど、その距離が広がっていきそうな気がして…。

    2008-07-27 11:09:00
  • 227:

    そんなアタシを見かねてか、ある日実好が言った。『行ってみるか?片瀬んとこ。』ドキドキした。たった数週間離れてただけなのに、こんなにも怯えてる自分。アヤは…どんな顔するかな?仲直り…出来るやんな?

    期待と不安、極度の緊張感を押し殺して、実好が下で待つ中、一緒に住んでたマンションに向かった。
    ――ガチャ…… 『…ッ…。』

    2008-07-27 11:18:00
  • 228:

    『どやった!?』
    『……おらんかった。』部屋は"あの日"の状態のまま…血が乾き、壁紙にも切り刻まれた跡が無数にあった。嫌な予感は、あの日アタシがあの部屋から出た瞬間から、きっとあった。
    『多分、雄志んちにおると思う…。』『場所わかんの?』『…大体。』
    その足で、そのまま雄志の家へと向かった。実好は、嫌な顔ひとつせず、何回断っても"心配だから"とついてきてくれた。

    2008-07-27 11:27:00
  • 229:

    幼いアタシが、実好とアヤを比べた事も、天秤にかけた事も一度だってない。アタシは……自分の人生で、二人が居てくれたら、二人共居てくれたら…"シアワセ"だと。これ以上の喜びはないと無意識に思って、唯一、"願った事"なんだろう。



    ――アタシは欲張ったのかな?

    2008-07-28 21:48:00
  • 230:

    結局、雄志の家には誰も居なくて、出直す事になった。でも、何度出向いても、誰も居る気配はなく、そうこうしてるうちに……『あ。アヤちゃんの友達。』雄志と一度だけ対面した際に、一緒にいた奴の連れに出くわし、真実を知らされた。
    『雄志もアヤちゃん逃避行しちゃったよ。もう帰ってこやんのちゃう?』―――…。
    自らが薬を流していた雄志は、警察が家宅捜査に入る段階まできて、アヤと二人で、飛んでしまったらしい――。仲間も、仕事も"すべて"を捨てて…。

    2008-07-28 22:02:00
  • 231:

    しばらくして、アヤとアタシが二人で住んでいたマンションと携帯電話の名義人になってくれてた客から連絡があった。二人共住んでいない事がわかり、鍵を開けた大家から部屋の状態を聞かされたらしく、マンションも携帯も解約するとの事だった。携帯だけはと頼んだけど、当たり前に断られた。

    2008-07-28 22:15:00
  • 232:

    ――失くなった。全部。アタシとアヤの軌跡が。連絡も…取れない。せめて荷物だけでも取りに行かせてもらえば良かったのかもしれないけど、そんな気力も無くて。それにあの時は、二人の想い出を目にするのも、苦しかった…。
    ―――アヤは居ない。

    『…ルイ。』
    『……実好。アヤに会いたい……。』

    2008-07-28 22:19:00
  • 233:

    『…ルイ、泣かんといて。』『……ッ…。』
    ――そこからアタシの抜け殻生活が始まる。どれだけアヤと一緒にいて、自分の中で大きい存在だったかわかる。痛い位に。それと同時に、日に日に大きくなる【後悔】
    "あの時、実好のところへ行かなければ…。""もっともっと話を聞いてあげてれば…。"そもそも、"実好と再会しなければ…。""いや、キャバクラに移らなければ…。"

    膨らんでは、しぼんで、繰り返し、泣く。キリがないと、理解っていても。

    2008-07-28 22:34:00
  • 234:

    毎日、泣き続け引きこもるアタシに、実好が言ってくれた言葉。
    『泣くな。…絶対また会えるから。俺とお前がまた会えたみたいに。大事な縁はそんな簡単に切れるもんちゃうから。』


    ――嬉しかった。実好の言葉を、自分に言い聞かせる様に毎日…唱えた。

    2008-07-28 22:42:00
  • 235:

    でも、それも結局、痛みを抑える為の自己防衛だと、悟る。

    ――実好も居なくなった。あの日、あの瞬間に。

    二人暮らし始めて約一年経った頃。実好はまた、麗香の元へと戻った。でも、今回は前とは違って…アタシが実好を苦しませて、傷つけてしまったんだと思ったから。前みたく、嫌いにはならなかったし、嫌おうとも思わなかった。

    2008-07-28 22:52:00
  • 236:

    そのかわりに、アタシは変わっていった。アヤの事、実好の事、麗香の事…"どうせ苦しむのなら"

    いつかアヤが言ってたみたいに、"ピエロ"になりたいと思った。アヤと…実好と、笑ってた時が一番幸せだったから。

    例え問題を抱えても、笑って過ごして行くうちに、忘れられるんじゃないかって思ったから。

    2008-07-28 22:59:00
  • 237:

    アヤを失って、実好を突き放して、"ヒトリ"になったその時から、"求める"事を辞めた。物も人も、安らぎも。傷つくのが怖い。そんな単純な理由もある。けど、一番は。
    "シアワセ"になんてなれないと悟ったから。皮肉じゃない。アタシにもあったシアワセな一時は、もう取り戻せないから。何故なら、アタシがそれを誰よりも怖がり、拒んでいるからで――…。"変わり"なんていないのも、わかっていたから。だからと言ってアタシに、"もう一度"なんて言う権利、ない。

    2008-07-28 23:07:00
  • 238:

    言う前に、どこにいるかもわからないしね――。
    実好は、麗香と…。
    幸せになればいいと思う。強がりかもしれない。でもそれで実好が笑っていられるなら。

    アヤ。アヤは――――……。

    2008-07-28 23:23:00
  • 239:


    もう、二度と
    会われへんの―――…?

    2008-07-29 16:57:00
  • 240:

    あかね

    めっちゃ楽しみにしてます?頑張ってね?

    2008-07-30 00:16:00
  • 241:


    『…イちゃん、ルイちゃんッ!』『……ぇ。』
    『大丈夫?めっちゃうなされてた。』
    目を開けると、見慣れない天井と雪クンの綺麗な顔。雪クンちか…。昨日あのまま泊めてもらったんやった。
    『…ごめん〜。起こしちゃった?てかプッ!!笑 雪クン寝ぐせ…笑』『…もう(T_T)笑』寝起きに天使のまさかの寝ぐせを見れて、さっきまでの嫌な夢も吹き飛んで笑った。

    2008-07-30 07:14:00
  • 242:

    『店間に合う?』
    『…多分間に合わん…笑』
    "起こすのが遅くてごめんね。"と謝る雪クン。ほんまなんて可愛いんやろぉ…。『よし、俺が同伴してあげよ♪さ、シャワーしておいで。』『え!!!い〜よお!』断っても断っても折れない雪クンの強引さに負け、シャワーを浴び用意を始めると、雪クンも着替えていて、その華奢な体に見とれてしまう。

    …男の人を綺麗だと思うのは、生まれて初めてだ――。

    2008-07-30 07:27:00
  • 243:

    『雪クン。』『うん?』
    『…昨日は色々、ごめんね。』『あぁ。いいよ。それより用意できた?行くで!』
    手を引かれ家を出た――。
    入って来て欲しくないところには、絶対に入ってこようとせず、でも、大事な所は自己主張はしてくれる。受け身に見えて、実はそうじゃなくて。
    この人は、きっとフェミニストだ。そしてきっと、根っからのピエロだ。

    2008-07-30 07:43:00
  • 244:

    名無しさん

    めさオモロイ

    2008-07-30 10:56:00
  • 245:

    ペット

    2008-07-30 12:51:00
  • 246:

    軽くご飯を食べて店に入る。昨日と同じ服、髪はストレート、とどめに同伴相手はホスト。…我ながらあから様やなあ。笑 『…ルイ〜!』"頼むでえ"と言わんばかりの店長の苦笑いと、蔑むような女の子の視線。
    無視――。
    『…騒がれた?笑』
    『雪クンがあまりにも素敵やから、目立つンやわ♪笑』
    ――やっぱり雪クンもホストやな。急激に距離を、縮めてくる。

    2008-07-31 06:18:00
  • 247:

    その後、アタシの客が何組がきた際に、愛理が雪クンのヘルプについた。
    "どうせ全部バラすんやろうな。"そうは思っていたものの、雪クンはチェックの時も、いつもの笑顔で帰って行った。
    『また、連絡してね。』

    ――魔法は溶けた。さあ。たった今から。ハジマル、"現実"が。

    2008-07-31 06:25:00
  • 248:

    『ルイ。この画像見覚えある?』
    自分の客が全部帰ってすぐ、店長に非常階段に呼び出された。早速か。
    『ありませ〜ん。』
    『ルイ!真剣に答えろよ!こんなんでお前の全部狂わされんねんぞ!』
    ……人生なら、とっくに狂ってるよ、店長。

    2008-07-31 06:33:00
  • 249:

    『…その画像、誰からまわってきたん?』『それは…』『愛理やろ?なら愛理から聞いた方が詳しい事知れるよ。』
    最も…黒幕はその愛理の裏に隠れてるけど。
    『…ルイ。このアキバ出禁にするか?』『何でえ?ま、来る事ないと思うけどぉ。』『……いや。』

    ――?『ちょっときて。』と店長に店に戻され、唖然とした。

    2008-07-31 06:41:00
  • 250:

    『シュン君ありえへん〜!!ほんッま可愛い♪』
    ――――…マジ?

    接客席を見て寒気がした。シュン君…。。そしてシュン君の体にまとわりつく、愛理――。『嘘…』思わず、声が出た位。
    『実はアキバから店に連絡があってな。"指名変えしたい"って。』『……そう。』指名変え?あんな事、しといて?

    2008-07-31 06:49:00
  • 251:

    『ほんまの事言えよ、ルイ。…俺はお前が枕なんかすると思えへん。あのアキバ出禁にも出来るし、出るとこ出てもいいつもりや。』『……その画像さ…』『店の従業員全員にまわってる。…客にまわんのも、時間の問題や。』

    ――――麗香……。何がしたい?

    『迷惑かけてごめん。』ここから逃げても、どこまででも追いかけてくる。アイツは…。

    2008-07-31 06:57:00
  • 252:

    第一、あの画像をバラまかれてもいいと思ったのは、このアタシだ。
    『切れかけてたから…繋ごうと思ってさ、しちゃった♪…でも、失敗やったみたいやなッ。笑』
    笑え、笑え、アタシ――。『…ルイ。』『店長はあ、ルイの事買いかぶりすぎ!笑』

    ――アタシ、こうして笑ってるしか脳がない人間やのに。でも。

    2008-07-31 07:03:00
  • 253:

    湧き上がる、この怒りにも似た感情に、思い知らされる。

    "感情"を捨てるなんて、不可能だ。ここまで過去を引っ張って生きてきたアタシが…

    麗香に対して、無感情に、ピエロになるのなんて、無理なんだという事。

    2008-07-31 07:08:00
  • 254:


    人間の持つ、生理的感情や本能ってヤツは厄介だ。

    ――アヤ?
    アタシに、ピエロは降参やわ。だって、胸の奥が引っかかれて、苛立ってしょーがない。。

    2008-07-31 07:12:00
  • 255:




    『何?どしたん?ルイちゃんからまた呼ばれるとは思わんかったわ〜♪笑』

    2008-07-31 07:14:00
  • 256:

    『知りたい事、ある。』『わッ!ちょっと待てって!』―ドサッ―…

    苛々する。こんな感情はいつ振りだろうか。
    『拓馬クン、ちょっと黙って――。』こんな奴ばっかりだ。世の中、腐ってる。アタシを含めて、ミンナ――。汚い欲の塊。今まで、他人事の様に見てきたケド。
    『待てって。お前、雪とヤったやろ?』『…それが何?』

    2008-07-31 07:23:00
  • 257:

    仮面を張り、せいいっぱい笑っても、この汚い闇から、自分だけ逃げようなんて、無理なんだ。

    『…よくすぐに俺と出来るなあ?笑 ルイちゃん怖いわ。笑』―チュッ―…『…ンッ。』

    ――だってミンナ放っておいてくれない。人を傷つけ、巻き添えにする事で、自分の穴を埋めようとする。無償の優しさほど、怖いモノも、無い。

    2008-07-31 07:36:00
  • 258:

    そんな世の中、真っ直ぐに生きようとするなんて…馬鹿げてる。類は共を呼ぶから、きっとアタシもいつまでもこんな世界から抜け出せない。なら…

    『…麗香なぁ〜。うん、会った事あるで。キッツイ顔のベッピンやろ?』

    事を終え、即座に服を着て煙草を吹かす。余韻に浸りベッドに寝転んだままの拓馬クンには目を合わせずに。

    2008-07-31 07:44:00
  • 259:

    『てか、そんなスグに服着やんでも。笑 寂しなるやん?俺。笑』…いちいちうるさいな。早く質問に答えろよ。
    『無視かよ。笑 …ん〜と、確か一回連れてきた事あるわ。愛理が俺の店に。』起き上がり、後ろから抱き締めてくる拓馬クン。暑苦しい…。
    『連絡先教えて?』
    『無理。てか俺知らんもん。』『ハァ…』スルリとその手から抜け、立ち上がる。時間の無駄やったか…。

    2008-07-31 07:51:00
  • 260:

    『なぁ待てって。』手首を掴まれ、振り向く。
    『…何?』『その娘とどゆ関係なん?』『…。』『何の用で探してんの?…俺、すごい興味あるわ♪』そのまま引っ張られ、再度抱き締められる。『別に…。』『ふうん?てかさ、お前愛理にゆうなゆうたのに普通にゆうたよな?』耳元で話す拓馬クンの声に身震いした。
    『だって別に愛理と拓馬クンがどうなろおと、ルイ関係ないもん。』

    2008-07-31 11:34:00
  • 261:

    『やっと本性が出てきたな。笑』『ちょっと…やめて。』首もとを這う舌をのけようと動く。
    『もう聞きたい事ないよ。』―グッ―!力任せに頬を掴まれて、目の前に拓馬クンの顔。人を捕らえ離さない切れ長の目。

    『俺はお前の聞きたい事言うだけの道具じゃないで?』『…自分から言い出した事やろ?』
    どうも苦手。睨み返しても無意味に思える、その目が。

    2008-07-31 11:41:00
  • 262:

    『まあな。でも…。』
    ―ドサッ…そのままベッドに押し倒される。
    『約束破りは嫌いやねん、俺。』『…は。』――約束?こんな人間相手に、マトモにしてたら、こっちが疲れる――…。
    『雪ともうすんなよ。』『何で『いいから。"約束"破ったら、もっと酷い事すんで?』
    『ッ―…ッ!』首を絞めながら今さっき着た服を、凄い力で剥ぎ取って行く。本当にねじ曲がった人。

    2008-07-31 11:52:00
  • 263:


    この世の中に、この空の下で、何処かで、もしもアヤが生きて、元気に暮らしてるなら。
    どうか、こんな人間と関わらず、同じピエロでも、雪クンの様な人と出会って生きて欲しい。
    アヤは、ひとつ見つけると、突っ走る癖があるからね…。
    いつも現実と言う壁が目の前に立ちふさがるケド、アヤには。アヤにだけは夢を見せてあげたい。醒めない、夢を――。

    2008-07-31 12:06:00
  • 264:





    *********

    2008-07-31 12:07:00
  • 265:

    ――6月の始め。だんだんと蒸し暑くなり、雨の日が多い、今日この頃。たった数ヶ月で、店でのアタシの状況は変わり果てる。

    『あ。きたきた〜♪枕嬢〜♪笑』『今日もラブホ同伴ですかあ〜?笑』

    ――…ため息が出そうになる。出勤する度に吐かれる、毎度ひやかしの言葉と向けられる冷たい視線。本当に、暇人ばっかりだ。

    2008-07-31 12:20:00
  • 266:

    『ルイさん、4番テーブルの新規サン、ご指名です…』『はいはい。』もちろん女の子達だけではなく、あの"一件"以来、噂は広まり客からのひやかしも、多数。
    『こんばんはあ♪指名ありがとうございます〜♪』『自分が画像の子!?うっわ可愛い〜♪なんぼ積んだらヤラしてくれんのっ!?笑』
    ――どいつもこいつも、馬鹿ばっかり――。

    2008-07-31 12:26:00
  • 267:

    でも笑える。アタシはここではピエロを演じ切る。
    『え〜♪お客様みたいな方なら、ルイ逆に積んじゃうカモ〜♪笑』『は!?まじ!?自分ほんまうまいな!笑』金と欲の世界だ。弱みは逆手に取るし、マイナスだって、プラスに変える。得意分野だ。

    『一時はどおなる事かおもたけど…お前はほんまに凄いわ。プロやな。』
    すぐに出回った"あの"画像は、悪戯で店のホームページにも張られ、それを見た男の興味と欲を煽り、新規客となって返ってくる。店長いわく。ね。

    2008-07-31 12:37:00
  • 268:

    事実、新規は増えて、リピートだって絶やさない。色客やから、何とでも言えば、信じてくれる。
    『…よく平気な顔してられるなあ。』そんな皮肉は聞き飽きた。負け犬の遠吠え。シュン君を自分の客にして勝った気でいてた?愛理。……いや、麗香。
    どうやって探し出そう?毎日考えていたけど、わざわざ出向かずとも、奴と対面する機会はすぐに、きた――。

    2008-07-31 12:46:00
  • 269:

    『ルイさん、愛理サンの席。指名です…。』

    ある日の待機中の事。一人暇してたアタシに、まさかの魔の手が忍び寄る。シュン君の席…唾を飲み席についた。
    『失礼しま〜す♪久しぶり、シュン君♪』
    『あ……うん。久しぶりやな。』極上の笑顔のアタシと、モジモジ自分の指を触るシュン君。そしてその彼の腕を組む愛理。
    超気まずい3人。な、ハズ。でも気まずい顔をしてるのは、シュン君だけ。

    2008-07-31 12:53:00
  • 270:

    『ルイちゃんにも飲ませてあげてえ?シュン君♪』『あ…うん。』
    『ありがとうございまあす♪』聞いた事のある台詞。違うのは、アタシと愛理の座り位置。
    ――楽しいか?アタシは笑顔を絶やさずグラスに口をつける。『シュン君、ルイちゃんの事、励ましたってえ?最近あの画像の件で…ミンナに冷やかされてて可哀想やから。』
    『……。』気まずそうなシュン君。これはアタシとシュン君両方に対する、圧力?可哀想…か。確かに、可哀想だな、アタシ。

    2008-07-31 13:05:00
  • 271:

    名無しさん

    おもろい
    すきやわ

    2008-08-02 04:24:00
  • 272:

    名無しさん

    おもろすぎる!

    2008-08-03 02:18:00
  • 273:

    【休憩】
    感想ありがとうございます☆(^∀^)進めていきます☆

    2008-08-03 20:47:00
  • 274:

    …ン、ウウン。ちょっと悲しそうな顔を作ってみる。『うん…ルイもぶっちゃけその事でヘコんでるけど…ルイの事助けてくれる人もいてるから♪』
    ニコーリ。これでOK?
    『…ルイちゃん、あの…』
    シュン君が何か言いかけた時、ちょうどボーイさんに呼ばれ席を抜けた。
    ナイスタイミング。自分の客じゃなくなった変態アキバにもう用はない。それにシュン君はヘマをしすぎた。あの写メがこんなにも広まらなければ、アタシは君を切れない状況になってたかもしれんのに。

    2008-08-03 20:55:00
  • 275:

    爪が甘いのは、馬鹿な証拠。写メが出回った今、更に怖いモノはなくなってしまった。そのかわり――…
    〜♪♪♪〜雪クンからメール。
    「今行っても大丈夫?」暇なんかな?すぐに返信する。
    「今日はルイが行きたい(^-^)♪」雪クンにこないだのお礼、しないと。
    すぐにメール受信画面になり、「了解(>_

    2008-08-03 21:06:00
  • 276:

    すぐに上がって行くつもりだったのに、自分の客が来てしまい遅くなってしまう。
    あ〜゛今日は早く飲みたい気分やのに!!ダッシュで携帯片手に【lush】に向かう。
    『あ、も〜し♪雪クン?ごめん遅くなってえ〜』
    「お疲れ様。愛理チャンが来てるケド…大丈夫?」『ノープログレムだよう(・∀・)笑』
    言ってる間に、店に到着。

    2008-08-03 21:17:00
  • 277:

    『お疲れ様。会いたかったよ♪』サラッと言ってのける雪クンのふわふわした笑顔に、何となくホッとした様な気がした。
    『一応、愛理チャンと席離すね?』初めて着てるのを見た黒いシャツ、そのせいで引き立つシルバーのアクセサリーを身に纏った雪クンは、何となく、いつもより少しだけ、冷たい雰囲気も感じたケド。
    きっと気のせい。
    雪クンと、このアタシの"世界"を、一緒のものにしたくない。

    2008-08-03 21:42:00
  • 278:

    『いらっしゃいませー!!』

    何回来ても慣れないこの爆音に、苦笑いしながら案内された席へと歩く。何気なく視界を見渡すと、愛理と拓馬クンの背中が目に入る。向こうは多分気づいてない様子。まあアタシは今日は楽しませてもらうぞ。と。

    『失礼します♪』『失礼されます♪笑』隣に雪クンが座った、その時。

    2008-08-03 21:50:00
  • 279:

    名無しさん

    その時?

    2008-08-06 02:05:00
  • 280:

    名無しさん

    闇で見てます。
    続き楽しみです。
    頑張って下さい。

    2008-08-06 05:49:00
  • 281:

    名無しさん

    この小説好きです?頑張って下さい?

    2008-08-06 07:39:00
  • 282:

    『姫から拓馬クンに〜!!シンデレラ全色のプレゼントー♪か〜わいいッ♪』
    ――!少し離れた席から聞こえたそのマイク音に、愛理、派手にやってるなと反射的に目をやった。お〜お〜、愛理、超得意気な顔。笑 ん?でもアレ?今、マイクを向けられてるのは愛理じゃない…。

    ―――――…!!!!!

    2008-08-06 09:02:00
  • 283:

    『派手にコールしてよお〜?今日は愛理と拓馬クンにお祝いなんやから!金はなんぼでもあるぞー!!』『ヒュ〜〜!!♪』

    一瞬、目を疑った。でも、遠くから見てもわかるその姿と、独特の低音の声で、間違いじゃないとすぐに理解できる。

    ―――[麗香]だ。。あの女が、アタシが世界一憎いあの女が、同じ店の中に、居る――…。

    2008-08-06 09:09:00
  • 284:

    『愛理チャンの席、派手にやってるねえ。笑』『……うん。』
    ―ドクン、ドクン―…やばい。何だこれ?鼓動が、苦しい位に速い。どうする?どうしよう?マジで、麗香が――…
    『ルイちゃん?』顔を覗き込んでくる雪クンに、正直愛想笑いを見せる余裕もなかった位。……テンパってて。
    『雪クン、お手洗い行くね?』とりあえず落ち着こうと、トイレに向かう。
    そそくさと通路を歩いた、その時だった。

    2008-08-06 09:17:00
  • 285:

    20mは距離があいてただろう、そのテーブルにいた麗香と、目が合ったのがわかる。
    ―――……!咄嗟に反らしてしまったアタシ。その直後だ――。

    『ルイ!!ルイやろ?
    久しぶりやん!』――――――………どくん……ッ!

    2008-08-06 09:23:00
  • 286:

    店内の爆音に負けない位の、負け怖じしない大きな太い"あの"声に、他の客席からの視線が集まり、アタシもゆっくりと、麗香の方を向く――。
    『…麗香。』
    『会うかもとは思ってたけど、まさか今日会うとはな!笑 作戦失ぱーい♪笑』
    麗香はケラケラ手を叩きながら笑っている。遠くからでもわかる、この雰囲気、笑い方、アタシの嫌いな――…。

    2008-08-06 09:30:00
  • 287:

    雪クンも気づいたのか、こちらまで歩いて来た。
    『あの子知り合い?』『…あ、うん。』なんてタイミングが悪い。でも麗香はおかまいなしに声のトーンも抑えず、我が物顔で話し続ける。
    『アンタ雪クン口座?てかぁ!立ち話も何やし?笑 隣おいでえや!な!』

    『…ルイちゃん、戻ろ?』アタシの顔色で、何かを察する様に、雪クンが肩を組んでアタシの体を反転させた。だけど。

    2008-08-06 09:42:00
  • 288:

    『あんた私に何か話あるんちゃんー?』

    ―――…。その台詞に、ピタリと足が止まる。
    『バレてんねやろ?笑 私の計画。…それか。逃げんのお?笑 あんた"お得意"やもんなあ?笑』
    ――――………。アタシは馬鹿なんだろうか?見え見えの"挑発"だとわかってる。わかってるのに。

    2008-08-06 09:54:00
  • 289:

    『雪クン。ちょっとだけあっち座ろ?』


    "受けて立ってやろうじゃないか。"そんな気さえ起こる。――ソッと受け流す事さえ出来ないアタシは、もはやピエロでも何でもない。福笑いの仮面でも被っただけの、ただのガキ。麗香とさほど変わらない。でも構わない――。
    ――アヤ。無くなったと思ってたのに。まだ、残ってたみたい。アタシのショボい"プライド"って奴が。

    2008-08-06 10:07:00
  • 290:

    名無しさん

    気になりすぎてたまらん!!!

    2008-08-06 10:51:00
  • 291:

    名無しさん

    おもしろいです?

    2008-08-06 13:29:00
  • 292:

    名無しさん

    やばすやばすオモロスギやから???

    2008-08-07 22:22:00
  • 293:

    名無しさん

    がんばれ

    2008-08-11 02:05:00
  • 294:

    名無しさん

    久々におもしろい小説見た!!

    早く続き読みたい☆主さん頑張ってください(>_

    2008-08-11 08:54:00
  • 295:

    名無しさん

    オモロ?

    2008-08-11 13:23:00
  • 296:

    名無しさん

    主さん頑張って下さい?

    2008-08-11 16:28:00
  • 297:


    『英太とはどうなってんの?』

    ――拓馬クンと愛理、その向かいに麗香と、その隣には知らないホスト。その真横にアタシと雪クンってゆう、超おかしな席で、何年か振りのアタシに、麗香が口を開いた第一声は"それ"。
    麗香もまた、過去を、いや…実好を引きずる一人なのカモしれない。

    2008-08-12 02:33:00
  • 298:

    『しらへん。』
    『ふーん…ま、何でもいーけど。とりあえず飲んだら?』…気まずさ全開、って感じのみんなをよそに、麗香一人がみんなのお酒を注ぐ。
    愛理に負けない位のグリグリの巻き髪に、相変わらずキツそうな顔は、最後顔を合わした頃より少しケバくなった位で、あの頃とそう変わっていない。
    『なんか雰囲気変わったなあ?』……アタシだけが変わったのだろうか?

    2008-08-12 02:40:00
  • 299:

    『…そう?』――でも、すぐに気づく。雰囲気が変わらずとも麗香の変化は一目瞭然。…昔の自分を見てる様だ。
    ――覚醒剤だ。
    その開いた瞳孔も、痩せ細った体も、腕の跡も。…全部、見覚えがあるのも、何故か笑える。
    アタシ達は犬猿の仲。そして、同じ穴のムジナなんだろう。…いつまで経っても。。
    『麗香。』でも同情なんてしない。何年も経った今、こうして再会するのも、何か切っても切れない縁があるからだろう。大袈裟カモしれないけど。

    2008-08-12 02:53:00
  • 300:

    でも、それは因縁みたいなモノ。…もう、アタシには必要のないモノ。
    『アンタはどうしたら満足なん?』『…はあ?』
    デカイ態度で足組する麗香の目の色が変わる。
    『だから、愛理にルイの潰しさしたり…結局…『理由もないし〜目的もない!』アタシが喋り終えるまでに麗香が言った。
    『た〜だの暇つぶし。それだけ。』悪びれもせず。誰かさんみたく。その言葉で席の空気が一気に悪くなる。

    2008-08-12 03:06:00
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