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売れない女優
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1:
夕夏
あたし、夕夏。
職業…女優。って言ってもちょい役でドラマに出たりする売れないってか売れてない女優。
そんなあたしの物語。2008-06-27 14:20:00 -
561:
夕夏
行くべきじゃない事は分かっていた。もし誰かにばれたら今までの事が全て無駄になってしまう。
でも…初めて頭より体が先に動くと言う感覚を知った。
気がつくとあたしは化粧もせずに、サングラスと帽子をかぶりタクシーに乗り込んでいた。
『運転手さん!!急いで行って下さい!!』2008-09-08 18:18:00 -
562:
夕夏
マンションの入り口に着き、慌てて鍵を探す。
そうだ…あの日返したんだったっけ…
そんな事にも寂しさを覚えながらインターホンを鳴らすと、無言のままドアが開いたので、信也の部屋の階まで上がる。
…恐る恐る部屋のドアを開けると、仁王立ちで待ち構える信也。2008-09-08 18:22:00 -
563:
夕夏
『夕夏ー!!』
顔をくしゃくしゃにして、あの頃と何ら変わらないまま笑う信也に抱き締められる。
『ちょっ…ちょっと待って…!!…何で呼んだん?ふざけてんねやったら帰るで』抱き締めそうになる両手にぐっと力を入れ、冷静を装い問いかけた。
その瞬間、信也の体は離れ何も言わずに腕を引っ張られて中に連れて行かれる。2008-09-08 18:28:00 -
564:
夕夏
『…良かった…来てくれて…』
静まりかえったリビングに響く、信也の声。
『何の用事なん?なんかあるんやったら早くゆってくれへん?』
『…お前さぁ…何でそんな一人で抱え込むん?』
『えっ…』2008-09-08 18:31:00 -
565:
夕夏
『…ごめん…俺のせいやな…』
『べっ…別に信也は何も関係無いし!なんか勘違いしてない?』
『じゃあ…何でそんな慌てて来てくれたん…?どうでも良いんやったら放っといたらいいやん。』
『それは…何かあったんかなと思って…』
…しばらく、探り合いのような会話が続く。2008-09-08 18:43:00 -
566:
夕夏
『俺さ…前のライブで地元帰った時な、優子と別れてん。』
『………えっ……?』
…突然の告白。思わず顔を上げて信也を見つめた。
『最低やろ。今まで支えてくれてた女捨てるって。…何でやと思う?』
色んな事が頭を巡って、あたしは何も答える事が出来ない。2008-09-08 18:48:00 -
567:
夕夏
『お前の事好きやから。』
2008-09-08 18:49:00 -
568:
夕夏
信也が…優子さんと別れた…
オマエノコトスキヤカラ
…嬉しいはずのその台詞。ずっとあたしが望んでいた言葉。
でも…2008-09-08 18:52:00 -
569:
夕夏
『お前が責任とか感じんでいいねんで?俺が決めた事やし。…女も全部切った。今まで浮気してた奴は直らんってゆうけど…俺は絶対お前を失いたくないから裏切らん。それだけは信じて…』
『そんな…事いきなりゆわれても…』
『ゆっくり考えてくれたらいいねん。でも…だからこそ今お前が抱えこんでる事を俺も知りたい。』2008-09-08 18:56:00 -
570:
夕夏
…言えない。言える訳がない。
『信也の気持ちは嬉しいけど…今は…無理…』
そう答えるのが精一杯だった。
信也もそれ以上何も聞いてこず、久しぶりに同じベッドに潜り込んだ。
罪悪感、葛藤、決意…色んな事が溢れ出て来て中々眠る事が出来ない。2008-09-08 19:10:00