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■本当はね。〜real..■

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  • 1:

    こずえ

    いつもあたしを放ったらかして。いつもあたしを一人にする。そんなあんた達が。憎い。憎くて憎くて。大嫌い。あたしの事のなんて。ど−だっていいんでしょ?だからあたし。出て行ってあげる。それで家族3人仲良く暮らせばいい。あたしは邪魔者だから。

    2008-07-05 01:26:00
  • 2:

    こずえ

    物心がつく頃には。妹がいて。父と母は。小さな妹を可愛がった。小学生のあたしだって。遊んで欲しくて。かまって欲しくて。だけど。あんた達は。あたしに見向きもしなかったね。だからあたし。頑張ったんだ。誉めて欲しくて。嫌いな妹を可愛がった。勉強だって。人並み以上に努力したよ。だけどそんなあたしを。あんた達は利用したんだ。まだ小さなあたしを。玩具にした。

    2008-07-05 01:32:00
  • 3:

    こずえ

    「こずえ〜勉強好きやろ?塾行くか〜??」そう言ってきたのは。満面の笑みを浮かべた母だった。「塾ってな〜に?」あたしが母に聞き返すと。母は、もう一つの学校よ。と説明した。その時あたしは小学2年で。勉強なんて好きな訳が無く。友達とも遊びたくて。だけどそんな事よりも母に優しくされたくて。その塾を受験した。その塾は、名門塾らしく。合格すれば、両親に誉めてもらえると。そんな事を考えていた。

    2008-07-05 01:41:00
  • 4:

    こずえ

    それから数日後。あたしは近所のおばちゃん達にやたら誉められた。何故か分からない。だけど、すれ違うたびに。こずえちゃんはお利口なんやってね〜。そう言われた。その原因が母だと知ったのは。母と近所のおばちゃんの会話を立ち聞きした時だった。 「こずえちゃん○○塾受かったんやて?すごいねぇ。うちの子なんか遊んでばっかり!笑」 「笑。そうなんです!あたしもまさかとは思ったんですけど!笑」 そんな会話を、きっとこの界隈で、自慢げに言いふらしていたんだろう。

    2008-07-05 01:58:00
  • 5:

    こずえ

    あたしはその時、自分が母の欲のネタになっていると。確信したんだ。父はそんな母が大好きなんだろう。母と一緒になって。なちを可愛がっていた。あたしは…部屋に隠って勉強。それ以外。とりえが無かったから。リビングから聞こえる3人の笑い声に。あたしは一人。声を押し殺して涙を流していた。

    2008-07-05 02:06:00
  • 6:

    こずえ

    あたしがグレるまで、そんなに時間はかからなかった。中学に入る頃には、煙草やシンナーを覚えていた。どんなに必死になっても、きっとあたしは一人ぼっちで、あたしがどうなろうと、家族は心配しない。それはきっと、その頃のあたしにとって、小さな反抗だったと思う。

    2008-07-10 15:07:00
  • 7:

    こずえ

    友達といるのは、一人じゃないという象徴。暴走や喧嘩をするのは、仲間意識や強いという象徴。薬をするのは、現実逃避。売りをするのは、お金のため。全ての行動に理由があった。ただ、いちびってたわけじゃない。あたしは必死で生きていた。後悔する瞬間だってあった。体を切り、血を見ては生を実感した。涙だって、そこらの人よりは遥かに流した。だけど、誰一人としてあたしを止めてはくれなかったんだ。

    2008-07-10 15:22:00
  • 8:

    こずえ

    そんなあたしを最初に拾ってくれたのは、剛だった。出会いはナンパだった。あたしをリカちゃん人形みたいだと、彼はよく言った。金髪のロングヘアーに、薬で痩せた体。遠くを見る目。放っておけないと、あたしを好きだと言ってくれた。あたしも愛に餓えていたから、簡単に彼を受け入れた。それからは彼と同棲を始めた。

    2008-07-10 15:29:00
  • 9:

    こずえ

    両親の元を離れて、毎日彼と生活した。あたしにとって剛は初めて好きになった人だった。だけど剛は半年後、あたしを苦に自殺した。遺書には「お前を愛している。だけど、抱えきれない。ごめんな。」そう書かれていた。彼の通夜や葬式には、来ないように彼の両親に言われた。お前のせいだと罵られ、二度と顔を出すなと言われた。

    2008-07-10 15:37:00
  • 10:

    こずえ

    そりゃそうだ。剛はいい奴で優しすぎるのが欠点な男だった。あたしがリスカすると、一緒に涙を流しながら「痛かったな」と言って、彼も手首を切っていた。寂しがりなあたしを、仕事の現場に連れて行ってくれた。あたしが一人にならないように、ずっとずっと、そばにいてくれた。あたしは、彼の死で愛を知った。大切なものは、失ってから気づく。だけどあたしにとって、剛がいなくなった以上、失うものなんて何一つ無かった。

    2008-07-10 15:42:00
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