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一般ピープル

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  • 1:

    あき

    実話を元にして書きますが、詳しく書けないところは少し変えたいと思います?なのでフィクションとして読んでいただければ幸いです?

    2008-07-31 09:25:00
  • 2:

    あき

    『ちょーほんま彼氏欲しいわぁ。』
    『あき…今日それ聞くん5回目やねんけど。』
    仕事終わりにたまたまキャッチされたバーで同じ店の親友加奈と恋愛話で盛り上がっていた。
    『幸せな恋したいわぁ…』

    2008-07-31 09:36:00
  • 3:

    あき

    『あんたほんま変な男ばっかやもんな笑』
    『加奈はいいよなぁ…彼氏ともう三年やっけ?羨ましいわ。』
    『あたしは見る目あるからな笑』
    『もー絶対いい男見つけて加奈より幸せなったるからな!!笑』
    そう言うと目の前にあったビールを一気に飲み干す。

    2008-07-31 09:41:00
  • 4:

    あき

    『いらっしゃいませー!!お待ちしてました!!』
    店員のでっかい声に思わずビクつく。
    『…びっくりしたぁ…』
    お待ちしてましたって…こんな繁華街からちょっと離れたバーにわざわざ予約入れて来る人ってどんなんなんやろ…
    ただの興味本意で、入り口の方を見る。

    2008-07-31 09:46:00
  • 5:

    あき

    そこには若い兄ちゃんが二人と、おじさんが一人。
    大して興味も湧かず、奥の席へ案内されるその一軍を背後に感じながらつがれたばかりのビールに口をつけた。
    ふと横を見ると、加奈が口を開けたまま呆然としている。
    『加奈?どしたん?もぉ酔ったん笑』
    『あっ…あれっ…』

    2008-07-31 09:53:00
  • 6:

    あき

    『あれって今入って来た人ら?』
    『あれっ…歌手の○○やん!!』
    『○○って…名前は知ってるわぁ。でもまさかこんなとこにおらんやろ笑。そっくりさんちゃうん笑。』
    『あんたの目は節穴か!?マジでそうやって!!ななな何でこんなとこにおんねやろ…』
    『そりゃ歌手も人間やからなぁ。たまにはフラフラしたいんちゃう笑』

    2008-07-31 09:58:00
  • 7:

    あき

    ○○って歌手…ってゆうかグループは知ってたけど、そんな興味無いジャンルやしほんまにあんまり興味は無かった。
    たまに店に来る芸能人は偉そうやったりすぐホテルに誘って来たりで、あまりいいイメージは無かったから。
    そんな事より今は目の前のビール。
    一人でアワアワしてる加奈を放っといてひたすら飲んでいた。

    2008-07-31 10:03:00
  • 8:

    あき

    『すいませーん…』
    いきなり背後から声が聞こえて振り向くと、さっきの兄ちゃん。
    もしかしてあたしにしゃべりかけてる?いやそんな事無いよな…でも他に客おらんし…
    酔った頭で必死に考えた。『あの…向こうで一緒に呑みません?』
    『は?』

    2008-07-31 10:07:00
  • 9:

    あき

    バシッッ…!!
    いきなり加奈に殴られた。『あんた何失礼な事ゆぅてるん!!あっごめんなさいねこの子ふてこくて!!』
    どうやら加奈は一緒に呑みたいらしい…
    けっこう酔ってるし眠かったから帰りたかったけど、なんやかんや言いつつあたしも普通の女の子。
    野次馬根性で一緒に呑む事にした。

    2008-07-31 10:12:00
  • 10:

    あき

    『お邪魔しまーす…』
    恐る恐る近寄ると、何故か声をかけて来た兄ちゃんにもう一人の兄ちゃんの横に座るように言われる。
    『あの…あきです。初めまして…』
    『あ…どうも。』
    …チーン…

    2008-07-31 10:15:00
  • 11:

    あき

    …何こいつ…誘って来たくせにふてこいわ…これやから芸能人は…
    あたしがイラっとしたのを察したのか、声をかけてきた兄ちゃんが自己紹介を始めた。
    『俺ケンです!!んでこいつはシン。で、このオジサンが小林さん。よろしくー!!とりあえず乾杯!!』
    みんなで乾杯をして、とりあえず飲み会?は始まった。

    2008-07-31 10:19:00
  • 12:

    あき

    『あの…○○の方ですよね?』
    いきなり加奈が口を開いた。
    『あっ知ってくれてたんだ!!嬉しい!!そうですよー!!さっき紹介したのは本名だけどね。小林さんはプロデューサー。』
    どうやらそっくりさんじゃ無かったらしい。

    2008-07-31 10:22:00
  • 13:

    あき

    標準語打ちにくいので関西弁にします?
    ごめんなさい?

    2008-07-31 10:22:00
  • 14:

    あき

    『今日こっちでやってて呑みに行こかぁってなってさ。ここのオーナー知り合いやから来てん!』
    『あーそうなんですか!!最初見た時びっくりしましたよ〜笑』
    『加奈ちゃんケンにお持ち帰りされんように気つけや笑』
    …加奈はケンと小林さんと仲良くしゃべっている。
    チラっとシンの方を見た。

    2008-07-31 10:26:00
  • 15:

    あき

    黙々とビールを呑んでる…
    めっちゃしゃべりにくいやん…
    でも良く見ると芸能人らしく男前は男前。
    『あきちゃん…』
    『えっ!?』

    2008-07-31 10:28:00
  • 16:

    あき

    いきなりシンに名前を呼ばれたからびっくりした。
    『何歳なん?』
    『あっ…18ですよ。今年19。』
    『わっかいな〜。俺犯罪犯してる気分やわ笑』
    『おいくつなんですか?』

    2008-07-31 10:30:00
  • 17:

    あき

    『…今年29やで。オッサンやろ笑』
    『ギリ大丈夫っす!!』
    『はははっ!!普通そんな事無いとかフォロー入れるやろ笑。おもろいなぁ。』
    『すんません、デリカシー無くて笑』
    意外とよくしゃべる。シンは人見知りやけどお酒が入るとしゃべる事が判明した。

    2008-07-31 10:33:00
  • 18:

    あき

    それからはみんなでゲームをして一気したりカラオケしたりと、楽しく過ごした。
    『あき愛が生まれた日一緒に歌おや。』
    『よっしゃ!!』
    『って知ってんねや笑。ほんまお前おもろいわ笑。』『名曲やもん笑。歌手の前で歌うん恥ずかしいけどどうせシンとケンやしな。』
    『『おいっ!!笑』』

    2008-07-31 10:37:00
  • 19:

    あき

    お酒も手伝って、お互い名前で呼び合ったり冗談も言える仲になっていた。
    シンと二人で愛が生まれた日を熱唱し終わった時、シンに腕を掴まれて店の外に連れ出された。
    後ろでケンと加奈が何か叫んでいたけど、小林さんの熱唱で聞こえなかった。

    2008-07-31 10:41:00
  • 20:

    あき

    『いきなり何なん笑』
    『別に…』
    シンが煙草に火をつけたので、あたしも一本貰って煙を深く肺に吸い込んだ。
    『歌手やのに煙草吸っていいん?』
    『まぁそれなりにな笑』

    2008-07-31 10:43:00
  • 21:

    あき

    『てかお前さ、彼氏おるん?』
    『…別れた。』
    『そっか…』
    長い沈黙。
    その間あたしは元彼の事を考えていた。

    2008-07-31 10:44:00
  • 22:

    あき

    『お前俺の女になってや』ぼぉっとしているあたしを現実の世界に引き戻したのは、シンの思いもよらないそんな言葉だった。
    『は?何ゆぅてるん!!酔いすぎやろ笑』
    …わざと、笑いに持って行こうとした。
    だって、ここで“うん”と言ってしまったら“遊びの女in大阪”が完成してしまう。
    そんなよくある話になってたまるか。

    2008-07-31 10:54:00
  • 23:

    あき

    『いや真剣に。』
    『だっ…だってさっき出逢ったばっかやん!!』
    『じゃあ俺の事嫌いなんか?』
    『嫌い…とかちゃうけど…』
    そう答えた瞬間、シンにキスをされた。

    2008-07-31 10:58:00
  • 24:

    あき

    『じゃあいいやん。俺もお前の事全然知らんし、お前も知らんやろけどこれからお互いもっと好きになっていったら。なっ?』
    …にこっと笑うシン。

    2008-07-31 10:59:00
  • 25:

    あき

    …やられた…
    『うん…』
    思わずそう答えたのが全ての始まり…
    “遊びの女in大阪”
    完成。

    2008-07-31 11:01:00
  • 26:

    あき

    それから番号交換をして、店に戻った。
    『も〜どこ行ってたん!?』酔った様子の加奈が駆け寄って来る。
    『後で話すわ。』
    コソっと耳打ちしたあたしをニヤニヤと見つめるケン。
    どうせこんなのいつもの事なんだろう、と思った。

    2008-07-31 11:06:00
  • 27:

    あき

    『ごちそうさまぁ〜!!』
    飲み会もお開きになって、タクシーを拾う。
    『これタク代。』
    そう言ってシンに一万を手渡された。
    『えっいらんって!!バーまでご馳走なったし悪いから!!』

    2008-07-31 11:09:00
  • 28:

    あき

    『いいから。運転手さん、よろしく。あき、また電話するわ。』
    無理矢理一万を渡され、お礼を言って別れた。
    『あきさっき何してたん!?』
    二人になるのを待ち望んでいたかの様に加奈が聞いて来た。
    『…俺の女になれってゆわれた…』

    2008-07-31 11:12:00
  • 29:

    あき

    『やっぱりなぁ…んで?』『うんってゆってしまった…』
    『あんた相手の思うツボやん…』
    『うん…でもなんか…断られへんかった…』
    『このミーハーめ笑。まぁ確かに格好いいし割りきっといたらいいんちゃう?』
    『そやなぁ…』

    2008-07-31 11:16:00
  • 30:

    あき

    そんな会話をしていると、携帯が鳴った。
    『シンや…』
    『嘘やん!?はよ出ぇ!!』
    加奈にせかされ、恐る恐る通話ボタンを押した。
    『もしもし…』

    2008-07-31 11:18:00
  • 31:

    あき

    『もう家ついた?』
    『まだやで。加奈先に送ってくとこ。』
    『そっか。じゃあ加奈ちゃん送ったらそのままホテルおいでや。』
    『…わかった。』
    ホテルの名前と部屋の番号を聞いて電話を切った。

    2008-07-31 11:25:00
  • 32:

    あき

    『ホテルおいでやって…』
    『マジかぁ…まぁ覚悟決めて行っておいで。何かあったらまた聞くし。あっ運転手さんここで一人降ります!!』
    『加奈ありがと〜ゆっくり寝ぇや。』
    『避妊はちゃんとしぃや笑じゃあなぁ〜!!』

    2008-07-31 11:28:00
  • 33:

    あき

    そんな卑猥な言葉を捨て台詞にして、加奈は彼氏と同棲しているマンションに入って行った。
    運転手さんとの気まずい空気に耐える事数十分。
    『着きましたよ。』
    …いよいよホテルに着いてしまった…

    2008-07-31 11:30:00
  • 34:

    あき

    ドキドキしながらエレベーターに乗って、部屋のインターホンを押した。
    ピンポーン…
    心臓が口から飛び出しそうだ。たった数時間前に出逢った、それも芸能人。
    自分の軽さに驚きながらも、シンに逢える事が少し嬉しかった。

    2008-07-31 11:33:00
  • 35:

    あき

    『入って〜!!』
    ドアを開けたシンは、別れた時のままの格好。
    …良かった。ドラマみたいにバスローブとかで出てこられたらどうしよかと思った。『お邪魔します。』
    『何緊張してんねん笑』
    『そりゃ緊張するわ!!笑』

    2008-07-31 11:37:00
  • 36:

    あき

    『腹減ってない?』
    『いや、十分です!!』
    『お前誰やねん笑』
    緊張しながらも、窓際にある椅子にちょこんと座る。『さっきまでのあきはどこ行ったんや〜笑』

    2008-07-31 12:13:00
  • 37:

    あき

    『ここに居ますが…』
    『本物か?笑。ごめんなスウィートルームとかじゃなくて笑』シンの部屋はそこまで広くもない普通の部屋だった。
    『でもこんなんって事務所が借りてくれんねやろ?』『まぁなぁ。でも俺らそっち系の音楽好きな奴は知ってるけど、一般の人らはグループの名前は知ってても顔まで知らんって感じやん?まぁいつか知名度100パーなったるけどな笑』
    『頑張りやぁ。』
    シンは笑ってたけど、目は確かに真剣やった。

    2008-07-31 12:19:00
  • 38:

    あき

    『てか一緒に風呂入ろや』『むむむ無理!!』
    『いいやん笑。そんな大した体してないくせに…笑』『何かゆった?』
    『何でも笑。湯ためるから一緒に入るで!!』
    『…電気は消してな…』

    2008-07-31 12:22:00
  • 39:

    あき

    …もう覚悟を決めよう。
    ここまで来といてやっぱりやめますとかゆわれへんし…
    きっと、この時にはもうあたしはシンに惚れてたんやと思う。
    正直芸能人ってゆうのが大きかったと思う。
    でも今は…

    2008-07-31 12:29:00
  • 40:

    あき

    『あつッッ…!!』
    『温いって。お前熱がり?』
    『あんたみたいな分厚い皮膚と違うからなぁ笑』
    『熱湯沈めんぞ笑。はよ入りって!!』
    腕を引っ張られて、シンの前に座らされた。

    2008-07-31 12:36:00
  • 41:

    あき

    『…なんか不思議やなぁ』『何が?』
    『いやさ、バー入った時にお前がチラって見えて…ケンに呼んで貰ってん。』
    『あ〜わかるわ〜。あたしが可愛すぎてやろ?笑』
    『うん。』
    てっきり突っ込まれると思っていたあたしは、度肝を抜かれた。これが関西と関東のノリの違いなのか…まぁ笑い話に持って行こうとしたあたしが悪いんやけど。

    2008-07-31 12:39:00
  • 42:

    あき

    『俺一目惚れとか信じひんかってんけどなぁ。』
    『…なんかそんなんゆわれたら照れるわ。』
    『ミュージシャンは臭い事も言わなあかんからな笑』
    後ろからぎゅっと抱きしめられて、顔に似合わずキュンとしてしまった。笑

    2008-07-31 12:44:00
  • 43:

    あき

    『…あがろか。』
    体を洗いっ子してお風呂から出ると、バスタオルだけを巻いてソファーに座った。
    『なんか飲むか?』
    『ビール!!』
    『酒かい笑。俺も呑もーっと』

    2008-07-31 12:47:00
  • 44:

    あき

    『『かんぱーい!!』』
    真っ昼間のホテルの一室でバスタオル一枚の奴らが乾杯。
    …キモ…
    『お前今日仕事無いんか?』
    『今日は休みやで。シンは?』

    2008-07-31 12:49:00
  • 45:

    あき

    『俺は夜中に打ち合わせして明日の朝一で東京帰るわ。てかお前部屋から出て行く時絶対人に見られんなよ?特にマネージャー笑』
    『そんな恐いん?』
    『恐いってかうるさい笑』『…気つけるわ笑』
    二人で色んな事を話して、気がつけば結構な量のビールが空いていた。

    2008-07-31 12:52:00
  • 46:

    あき

    『てかな〜あんら怪しさ満載やわぁ〜』
    『お前酔いすぎ笑。もう寝よか。ベッドおいで。』
    電気を消してシンと一緒にシーツに潜り込んだ。
    もう恥ずかしさなんかなくて、シンの顔をじぃっと見つめた。

    2008-07-31 12:55:00
  • 47:

    あき

    『何?』
    『いや〜男のくせに綺麗な顔してんな〜と思って〜』『まぁ俺やからな笑』
    『よぉゆぅわ〜笑』

    2008-07-31 12:56:00
  • 48:

    あき

    『あき、好きやで。』
    『ありがと…』
    それからキスをして、あたし達はお互いを求めた。
    体の魔力はすごい。
    シンに抱きしめられるたびにどんどん気持ちまでが大きくなっていくような気がした。

    2008-07-31 13:00:00
  • 49:

    あき

    『シン…大好き…』
    『俺も…』
    事が終わると、オデコにキスをして腕枕をしてくれた。
    あたしはもう乙女全開で、ただ何も疑わずに幸せを感じていた。
    『先の事ちゃんと考えるし待っといてな。』

    2008-07-31 17:53:00
  • 50:

    あき

    『うん…』
    あたしは惚れやすく冷めにくい。それに付き合ったら絶対にしんどいとわかっている人に惹かれる。
    『何時に起きる?』
    『7時ぐらいかな。』
    携帯のアラームをセットして眠りについた。

    2008-07-31 17:59:00
  • 51:

    あき

    ピピピピ…
    大音量で鳴り響く携帯。
    『シン…シン!!起きやぁ!!』
    『んん…』
    よっぽど疲れているのか、中々起きない。

    2008-07-31 18:01:00
  • 52:

    あき

    『し〜ん〜!!』
    『ん…おはよ…』
    十分ぐらい起こし続けて、ようやく目を覚ました。
    『風呂入ってくるわぁ…お前も入る?』
    『ううん、帰ってから入るわ。』

    2008-07-31 18:03:00
  • 53:

    あき

    シンがシャワーを浴びている間、化粧直しをして髪型を整えた。
    『あ〜さっぱりしたぁ!!』『目覚めた?』
    『ようやくな笑』
    『あたしもう帰るわ。』
    『…もうちょっといいやん。一緒に出よや。』

    2008-07-31 18:07:00
  • 54:

    あき

    『は?あんた朝と言ってる事ちゃうやん笑』
    『ん?マネージャーに紹介しよと思って。隠れて付き合うん嫌やしな。』
    『ふぅん…』
    そっけない振りをしたけど自分が隠される存在ではない事が、なんだか嬉しかった。
    『てかマネージャー今から呼ぶからなぁ。』

    2008-07-31 18:11:00
  • 55:

    あき

    『今から!?嫌や!!あたし化粧剥げまくりやし髪ぼっさぼさやし!!』
    『大丈夫やって笑』
    シンは軽く笑うとマネージャーに電話をかけた。
    『今から来るって。』
    芸能人のマネージャーとか得体が知れない。…向こうからしたらこんなキャバ嬢の方が誰って感じなんやろけど…数分後、部屋のインターホンが鳴った。

    2008-07-31 18:15:00
  • 56:

    あき

    現れたのは、30台後半ぐらいの普通のおじさん。
    『あっ…初めまして。』
    『初めまして。マネージャーの山本です。』
    …何をしゃべっていいかわからない。
    『山ちゃん、こいつと付き合う事にしたから。』

    2008-07-31 18:17:00
  • 57:

    あき

    『マジで!?』
    …今この人マジでってゆった!?そんな普通のサラリーマンっぽい顔してマジでって…
    最初と印象の違う山本さんに、少しびっくりした。
    『まぁ…お前らは事務所的にもかなり自由な方やから問題は無いけどなぁ。とりあえずおめでとう笑』
    そんなノリでいいのかと思うぐらい、初顔合わせ終了。シンが山ちゃんをうるさいと言っていたのは、寝ないで遊んでいた事に対してだったらしい。

    2008-07-31 18:22:00
  • 58:

    あき

    『ははは!!山本さん面白いですねぇ笑』
    数十分後、見た目からは想像出来ない山本さんのおもしろさにあたしは腹をかかえて笑い転げていた。
    『あきちゃん、山ちゃんて呼んでな。』
    『あっじゃあ…図々しく呼ばせていただきます。』
    『敬語も使わんでいいから』

    2008-07-31 18:26:00
  • 59:

    あき

    『それは…まぁ出来たら』何かあった時のために、山ちゃんとも番号を交換した。全てが順調すぎて、今の状況に少し戸惑う。
    『シン、そろそろ打ち合わせ行こか。』
    『そやな。ちょっと山ちゃん後ろ向いといて。』
    シンは山ちゃんを後ろに向かせると、ニッと笑ってキスをして来た。思わずあたしも笑顔になる。
    『もう終わったかぁ?笑』『はい、お待たせしました笑』

    2008-07-31 18:30:00
  • 60:

    あき

    『じゃあみんなで出よか』もうお別れなのかと思ったらなんだか悲しくなった。次いつ逢えるのかもわからないし…そもそも本当に二度目があるのかすらも確かではない。
    『今度またケン以外の他のメンバーにも紹介するわ。彼女とかにも。』
    シンのその言葉に少し安心した。…嘘か本当かなんかわからないけど。
    『タクまで送ってくわ。』

    2008-07-31 18:36:00
  • 61:

    あき

    山ちゃんも一緒に、ホテルの前に止まっているタクシーまで歩く。
    『家着いたらメールしてな』
    『うん。ありがと。』
    シンはまた無理矢理一万円札を渡すと、笑顔で手を振った。
    帰りのタクシーの中。あたしは加奈に電話をした。

    2008-07-31 18:43:00
  • 62:

    名無しさん

    気になる気になる?

    2008-07-31 18:45:00
  • 63:

    あき

    『もし?今帰りか?笑。』『そうやねん笑』
    『やっちゃった?笑』
    『…はい…』
    加奈の質問攻撃は電話越しではどうにもならないので加奈の家に行く事になった。彼氏は出張で居ないらしいし。
    『お邪魔しま〜す』

    2008-07-31 18:48:00
  • 64:

    あき

    64さん初レスありがとうございます?
    めっちゃ嬉しいですぅ?

    2008-07-31 18:51:00
  • 65:

    あき

    『いらっしゃ〜い!!』
    『お邪魔しま〜』
    今日あった事を全て加奈に話す。
    『あんたもついに芸能人の彼女かぁ〜。』
    『彼女なんかわからんけどなぁ。』

    2008-07-31 19:00:00
  • 66:

    あき

    『とか言いながら顔にやけてんで笑』
    『バレた?笑。ほんまは誰かにノロケたかってん笑』
    確かにシンと付き合えた事が嬉しかった。芸能人ってよりも、シン自身に惹き付けられていたから。
    『でもこれから大変そうやなぁ…』
    『芸能人やもんな。遊んでそうやし…』

    2008-07-31 19:04:00
  • 67:

    あき

    『シンは100遊んでると思うわ笑』
    『そんなんと付き合っていいん?笑』
    『惚れてもうたからな…』『早いなおい笑』
    『あっシンにメールしな。』
    加奈の家に居てるとメールをして、加奈とまたしゃべっていた。

    2008-07-31 19:14:00
  • 68:

    あき

    結局その日、シンから連絡が来る事は無かった。
    あたしは気にしつつも加奈の家を後にし、いつもと同じ様にお風呂に入り、いつもと同じ様に眠りについた。
    結局、そんなもの。
    わかっていたはずなのに、寝ている時も携帯を肌身離さず握り締めている自分がいた。

    2008-07-31 20:56:00
  • 69:

    あき

    うちの実家は、人の気配がしない。
    兄弟は居ないし両親も仕事仕事で、昔からあたしの授業参観にすら来た事は無かった。
    昔は寂しかったけど今は寝る家があるだけマシだと思ってる。給料は最低限の生活費に消えるだけだし、貯金は増えるし。

    2008-07-31 21:00:00
  • 70:

    あき

    プルルル…
    眠りについて一時間後、握り締めていた携帯が鳴った。
    慌てて飛び起きて画面を見ると、シンだった。
    嬉しい気持ちを抑え、待ち望んでいた事を悟られないように電話に出る。

    2008-07-31 21:07:00
  • 71:

    あき

    『もしもし?』
    『お〜昨日ごめんな。今から東京帰るわ。』
    『あっそぉなん。気つけてな。』
    そんな感じで昨日のあのラブラブな雰囲気はどこに行ったのかと思うぐらいあっさりと電話は終わった。
    でも連絡があった事が嬉しくて、幸せな気持ちで再び眠りについた。

    2008-07-31 21:31:00
  • 72:

    あき

    それからは二、三日に一度連絡が来るぐらいであの日の出来事が夢だったのかと思うぐらい実感が湧かない日々が続いた。
    一度しか逢った事の無い彼氏。
    寂しい日は、シンと出逢ってから買い集めたCDで、シンの声を聴きながら眠った。
    いっその事、もう二度と逢わない方がいいんじゃないかと思い出した頃…

    2008-07-31 21:42:00
  • 73:

    あき

    『あきさんお願いします』いつも通り仕事をしていたあたし。
    『指名?誰?』
    『ホストやわ。あき指名で来たから一応入れたんやけど…』
    …まさか…
    客席を見ると、徹の姿。

    2008-07-31 22:23:00
  • 74:

    あき

    『無理…帰らして。』
    『もう入れてもうたからなぁ…一回つくだけついて無理やったらもう一回ゆっといで。』
    今は仕事中。これだけ人が多ければ外面のいい徹は何もしてこないだろう。
    そうは思っても、速まる心臓の鼓動と冷や汗を止める事は出来なかった。

    2008-07-31 22:27:00
  • 75:

    あき

    『…失礼します…』
    恐る恐る隣に座る。
    『…久しぶりやな。』
    この目がわらっていない笑顔は、徹が怒っている証。『なんか飲みや。』
    そう言われビールを頼む。

    2008-07-31 22:30:00
  • 76:

    あき

    『いただきます…』
    軽くグラスを交わし、ビールを喉に流しこむ。
    『お前逃げたわりにパネルとか使って宣伝して堂々としてるやん。』
    徹はふっと鼻で笑う。
    『…なめてんな…』

    2008-07-31 22:34:00
  • 77:

    あき

    徹のその言葉に、びくっとする。
    『…何で今日来たん?』
    『連れ戻しに。』
    ハッと徹の顔を見ると、薄ら笑いを浮かべたまま真っ直ぐにこっちを見ている。『…もうあたし…彼氏出来たから。帰って。』
    『今日は帰るけど…お前は俺のもんやからな…』

    2008-07-31 22:40:00
  • 78:

    あき

    送り出しもせず、更衣室に飛び込んだ。
    …震えが止まらない。
    もう忘れたと思っていたのに殴られた痛みと恐怖をまだ体が覚えているらしい。『あきー!!指名のお客さん待ってるからはよ戻って』ボーイが呼びに来て、無理矢理笑顔を作って最後まで接客をした。

    2008-07-31 22:44:00
  • 79:

    あき

    『あき大丈夫かー?』
    閉店後、飲み過ぎてソファーに寝転んでいるあたしを心配して加奈が水を持って来てくれた。
    『ありがと…』
    『今日のってもしかして…徹くん?』
    加奈は一度だけ徹の写真を見た事がある。あたしの様子から徹だと気づいたんだろう。

    2008-07-31 22:52:00
  • 80:

    あき

    『もう嫌やわ…結構時間経ってるしあいつも忘れてると思ってた…顔だしなんかせんときゃ良かった…』
    『大丈夫、あたしが守ったるから。』
    『加奈…ありがと…』
    今にも泣き出しそうだったから、送りで帰る気にはならずタクシーで家に帰った。

    2008-07-31 22:57:00
  • 81:

    あき

    誰も居ない家。
    夕方あたしが出て行った時から何一つ物の位置も変わっていない。
    どこで眠っているのかすらもわからない両親。
    …急に、全てが嫌になって布団にくるまって泣き続けた。
    独りは嫌。独りは寂しい。誰か…誰か…

    2008-07-31 23:03:00
  • 82:

    あき

    『シン…』
    泣くだけ泣いたら、急にシンの顔が思い浮かんだ。
    涙でよく画面が見えない。手で涙を拭って、着信履歴からシンに電話をかけた。
    初めてのあたしからの電話。
    お願い…出て…

    2008-07-31 23:09:00
  • 83:

    あき

    『もし?』
    『シン…』
    『初やなぁお前から電話してくんの。』
    『シン…逢いたい…』
    『泣いてんのか?なんかあったん?』

    2008-07-31 23:19:00
  • 84:

    あき

    『何もない…今何してるん?』
    『あー今曲考えてる。』
    『シン…あたしの事好き?』『好きやで。』
    きっと、シンは普通に答えてるだけ。仕事を邪魔してるのはあたし。
    …でもシンの言葉が何故か冷たく感じてあたしは言ってはいけない言葉を言ってしまった。

    2008-07-31 23:23:00
  • 85:

    あき

    『遊びの女やったら他捜してな。いっぱいおるやろ』『は?何なんお前…』
    『だって連絡も全然無いし…いっつもメール終わらすんもそっちやん!!一回しか逢った事無くて…次いつ逢えるかもわからんくて…そんなん彼女ってゆえるん!?』『仕事やねんからしゃあないやろ。』
    『でも…遠すぎる…』
    『…今人とおるからまたかけるわ。』
    『もぉいい!!』

    2008-07-31 23:32:00
  • 86:

    あき

    とっさに電話を切った。
    あたしがワガママを言っているのはわかってる。
    でも…
    今ならわかる事が、当時はわからなかった。
    言い訳ばかりして、子供だったんだと思う。

    2008-07-31 23:38:00
  • 87:

    あき

    その日はそれっきりシンからの連絡もなくて、あたしもお客さんからの電話やメールが鬱陶しくなって携帯の電源を切ったままにしていた。
    徹が来るかもしれない店に行くのが恐くて連絡も入れずに休み、何も食べず、ただひたすら煙草を吸いながらシンのDVDを観ていた。
    …いつの間にこんなに好きになってたんだろう。
    連絡が来ているか気になったけど、来ていなかった時の事を考えると中々電源を入れれずにいた。

    2008-08-01 00:52:00
  • 88:

    あき

    ピンポーン…
    朝の4時。家のインターホンが鳴り響く。
    こんな時間に訪ねてくる人なんていないし、無視を決めこんだ。
    それでも何度も何度も鳴るので、ふとカメラを見ると…そこには加奈の姿。
    慌てて玄関のドアを開けた。

    2008-08-01 00:56:00
  • 89:

    あき

    『…良かったぁ…!!今日店も無欠したって聞いて…携帯も繋がらんし心配なって来てん!!』
    『…かなぁ!!』
    あまりに嬉しくて玄関で泣きじゃくるあたしを、加奈は手を引いてリビングまで連れて来てくれた。
    『苺ミルク。あんた好きやろ?大量に買って来たから好きなだけ飲みっ!!』
    大好きな苺ミルクを飲んで少し落ち着いたあたしは徹の事、シンの事、家族の事を全て話した。加奈は何も言わずに、時折相づちを打ち聞いてくれていた。

    2008-08-01 01:02:00
  • 90:

    あき

    『シンも色々大変なんやろけど…辛い時はやっぱ側におってほしいし、ワガママにもなるもんなぁ…』
    『うん…なんか…シンはいっつも余裕って感じで…付き合ってんのに好きなんはあたしばっかりで…』
    『シンて10個上やろ?そりゃあきがゆった事もひどいけど…もうちょっと何てゆうか…彼女が泣いてんねんから必死なって欲しかったって事やんな?』
    『うん…』
    『で?連絡は来てないん?』

    2008-08-01 01:08:00
  • 91:

    あき

    『わからん…』
    『はよ携帯見ぃ!!あき、これからどんだけ喧嘩してももういいとか、勝手に電源切るとか…そんなんはしたらあかんで?ちゃんと話しな。』
    加奈にそう言われて、恐る恐る携帯の電源を入れるとお客さんやボーイや友達に混じって、着信通知が二件とメールが一通入っていた。
    『シンからメールや…』
    『早く開き!!』

    2008-08-01 01:12:00
  • 92:

    あき

    “お前東京来い。一週間後にそっち行くから空けとけよ。”
    『えっ?これって…どうゆう意味なんやろ…』
    『同棲しよって事ちゃうん!?あっでも色んな意味にとれるな…』
    『良かったぁ連絡来てて』『一週間後に逢えるんやん!!良かったなぁ。』
    とりあえず“また連絡待ってる”とだけ返した。

    2008-08-01 01:17:00
  • 93:

    あき

    『何でこんな俺様男好きなんやろ…』
    『でも現実的に考えたら2人が出逢うんって何万分の一ぐらいの確率やん?すごくない?』
    『確かに…』
    『運命なんちゃう?惚れにくいあんたがここまで一瞬で好きになったんやから』『やといいなぁ笑』
    『おっ!ちょっと元気なってきたやん笑。良かった。ボーイにちゃんと連絡しときやぁ。』

    2008-08-01 01:21:00
  • 94:

    あき

    ボーイに連絡を入れると、初めての無欠と言う事で逆に心配してくれた。
    徹の事を話すと出入り禁止にしてくれると約束してくれたし、出勤の時も念のため近くまで迎えに来てくれるらしい。
    さっきまでは世界中に取り残されたような気がしてたけど、加奈のお陰でだいぶ元気になった。
    友達ってやっぱ大事だ。

    2008-08-01 01:25:00
  • 95:

    あき

    その日は加奈も泊まってくれて、夕方シンに逢う日の服選びに付いて来て貰ってから一緒に出勤した。
    あたしは一週間後が待ちどうしくて仕方なかった。
    なんやかんや切り替えが早いのは、あたしの唯一の長所だと思う。

    2008-08-01 01:29:00
  • 96:

    あき

    …そして、約束の日…
    この日は仕事で来るんじゃなくて、完全にプライベートだと聞いてあたしは余計に嬉しかった。
    『シン…!!』
    『久しぶりやな。いい子にしてたか?笑』
    シンが泊まるホテルのフロントで待ち合わせをして、喧嘩していた事なんて忘れて手を繋いで街を歩いた。

    2008-08-01 01:37:00
  • 97:

    あき

    『なぁ…こんな堂々と歩いていいん?』
    『売れない歌手ですから…笑』
    シンはそんな事を言ってたけど、時折気づく人や、すれ違ったのにわざわざ戻ってシンの顔を見て首をかしげる人もいた。
    プリクラを撮ったり、ショップ巡りをしたり…普通のデートが何よりも楽しかった。

    2008-08-01 01:42:00
  • 98:

    あき

    夜は、ちょっと雰囲気のいいイタ飯屋さんでご飯。
    気取ってワインを飲んでいたシンが、急に真剣な顔になった。
    『あき。メールでも言ったけど…一緒に暮らそ。東京に来て欲しい。』
    『えっ…ほんまに?』
    『うん。』

    2008-08-01 01:51:00
  • 99:

    あき

    『あの時は色々あってあんな事ゆってもうたけど…気つかわんでいいねんで?まだ付き合って1ヶ月やし…』
    『お前が大阪離れたくないって言うんやったらいいけど、俺もお前に逢いたいって思う時はあるんやで?』正直いきなりすぎて、戸惑った。あたしが“彼女”って自信がまだ持てずにいたから。
    それに…大好きな加奈や、友達が沢山いる大阪を離れるのが恐かった。

    2008-08-01 01:58:00
  • 100:

    あき

    『ちょっと考えていい?』そう言ったあたしを見て、シンは笑って頷いた。
    『はぁーお腹いっぱい!!』『お前食いすぎやろ笑。あんな食う女初めて見たわ』『だって美味しいねんもん!!』
    『見てて気持ちいいけどな笑』
    ホテルに向かうタクシーの中。手を繋いで笑いあって…幸せだった。

    2008-08-01 02:03:00
  • 101:

    あき

    ホテルに着いてからは、お決まりの晩酌タイム。
    『俺今日酔うん早いわ…』『疲れてんちゃん?もう寝る?』
    『いや…お前さ、あの時何あったん?』
    『あの時って…?』

    2008-08-01 02:09:00
  • 102:

    あき

    『前泣きながら電話して来た時…』
    ちょっと店で色々あっただけ、と軽く笑いながら誤魔化したあたしに、シンは優しく話してみろと言った。
    気にしてくれてた事が嬉しくて、でもその反面なんだか自分が惨めな気がして言うのをためらったけど、シンの顔を見てもう誤魔化すのは止めようと、全てを話した。

    2008-08-01 02:13:00
  • 103:

    あき

    『行く!!東京!!』
    『お前さっき考えさせてってゆってたやん!!』
    『…だって…ずっと一緒におりたいと思ったんやもん…』
    あたしは男に依存してしまう。
    やっぱり、離れていたら“彼女”って自信も生まれない気がした。後先考えずにすぐ意見を変えて決断してしまうのは、あたしの悪い癖だ。

    2008-08-01 02:20:00
  • 104:

    あき

    『後から止めたとか言うなよ?』
    『それは絶対大丈夫。』
    『親に挨拶しに行かななぁ…』
    『あの人らあたしに興味無いからメールでも送っといたら大丈夫やろ。』
    『そんな事無いって。お前未成年やし挨拶はちゃんとしとかなな。』

    2008-08-01 02:23:00
  • 105:

    あき

    とりあえず、両親に彼氏と同棲する事と東京に行くと言う内容のメールを送った。
    もちろん返って来た返事は二人とも“いってらっしゃい”ただそれだけだった。『ほらな…どうでもいいらしいわ笑』
    『…俺とあったかい家族作ろな。』
    …シンが居ればそれでいい。

    2008-08-01 02:27:00
  • 106:

    あき

    次の日はあたしの家に行く事にした。
    自転車に二人で乗って地元のスーパーに行ってご飯を作って…同棲したらこんな毎日が続くんだと、あたしは楽しい事しか考えて無かった。
    近くにいれば居る程…色んな事が見えてくるのにな

    2008-08-01 02:31:00
  • 107:

    あき

    夕方、シンを駅まで送って行ってその足で加奈の家に向かい、東京に行く事を話した。
    『そっか…寂しいけど遊びに行くからなぁ!!あたしの事忘れんといてよ?笑』
    『多分なぁ笑』
    『多分ってなんや!?笑。』店にも話をして、1ヶ月後東京に行く事になった。

    2008-08-01 02:35:00
  • 108:

    あき

    それからの1ヶ月は店に出勤したり、地元の友達と遊んだり荷造りをしたりと、忙しい日々を送っていた。そしてとうとう出発の日。荷物は先に送っていたからあたしは小さなカバン一つで新幹線のホームに立っていた。
    『いつでも帰っといでや』『頑張れよ!!』
    みんなに見送られて、泣きながら席に座る。これからどうなるかなんてわからないけど、寂しいのと楽しみなのと複雑な気持ちで東京に向かった。

    2008-08-01 02:41:00
  • 109:

    あき

    シンが仕事で来れなかったからケンが迎えに来てくれていた。
    『あき!!久しぶりやなぁ』『ほんまやなぁ!わざわざありがとぉ!!』
    『ええよ。じゃあ行こか』ケンの車で、都心から少し離れたシンの家に向かった。

    2008-08-01 02:43:00
  • 110:

    あき

    『これ鍵預かってるから自分で開けてみ笑』
    『ドキドキやなぁ…お邪魔します…』
    そこは1LDKの部屋。案外綺麗で、部屋の角にあたしが送った荷物が入ったダンボールが積み上げられていた。
    『芸能人ってもっとすごいとこに住んでるって思った?笑』
    ニヤリとケンが笑う。

    2008-08-01 02:48:00
  • 111:

    あき

    その時、玄関のドアが開いてイカツイ男の人と露出の激しい女の人がズカズカと部屋に入って来た。
    『えっ…泥棒!!』
    そう叫ぶあたし。
    『金だせゴラァ!!』
    そう叫ぶ男。

    2008-08-01 03:17:00
  • 112:

    あき

    …笑い転げるケンと女の人。『えっ…?誰…?』
    『あき、こいつ同じ○○のマサ笑。んで彼女の理沙。』…やってしまった…
    『ごっごめんなさい!!』
    『しゃあないよ、この人顔いかつすぎやもん笑』
    フォローしてくれる理沙さん。『初めまして、マサです。』『初めまして…あきです…ほんまにごめんなさい!!』『えぇよ笑。ちょっとショックやったけどなぁ笑』

    2008-08-01 03:22:00
  • 113:

    あき

    シンのマンションの玄関のオートロックは番号式で暗証番号さえ知って居れば誰でも入れるらしい。
    『シンももう帰ってくると思うで。みんなで飯行こうと思って。』
    話してみたらマサも理沙さんもいい人で、あたしはずっと笑っていた。
    『ただいまぁ…』

    2008-08-01 03:26:00
  • 114:

    あき

    『シン!!お帰り!!』
    『あき〜疲れた〜!!』
    駆け寄るあたしを抱き締めるシン。
    『お前らイチャつくんやったらラブホ行って。』
    『マサ…ここ俺んちやけど笑』

    2008-08-01 03:28:00
  • 115:

    あき

    それからみんなで近くの居酒屋に行った。
    適当に座り、もう一人のメンバーのカズと奥さんの夏実さんも加わって歓迎会を開いてくれた。
    『ケンは彼女おらんの?』
    『ん〜おるけど今喧嘩中』『また仲直りしたら会わせてなぁ。』
    『おう!!』

    2008-08-01 03:31:00
  • 116:

    あき

    さすがにメンバー全員が集まると目立つのか、一人の女の子がサインを求めて来た。
    みんなも嫌な顔一つしないでそれに応える。
    この時に、自分が芸能人の彼女なんだとようやく実感し始めた気がする。
    それと同時に、出逢いなんて腐る程あるだろうと少し心配になった。

    2008-08-01 03:34:00
  • 117:

    あき

    『じゃあそろそろ解散〜』『お前らちゃんとイチャつく時間作ったんねんから感謝しろよ〜笑』
    みんなを見送り、コンビニに寄ってジュースと煙草を買って家に帰った。
    『疲れた〜!!』
    『慣れるまで東京とかわからんやろけど慣れたらいいとこやで。俺ももう慣れた』

    2008-08-01 03:37:00
  • 118:

    あき

    『空気悪いらしいし鼻毛伸びるん早そうやな…』
    『俺の鼻毛カッター使い笑。』『いらんわッッ!!笑』
    シンが隣に居る。今日からここがあたしの家だ。
    『タンス半分空けといたからゆっくりでいいし服入れときや。』
    『うん、ありがとう。』

    2008-08-01 03:40:00
  • 119:

    あき

    一緒にお風呂に入って、セミダブルのベッドでくっついて寝て…もう一人じゃないんだと嬉しかったのを今でも覚えてる。
    『シン!!朝ご飯は?』
    『時間無いからいいわ!!』『気つけてね。』
    『誰か来てもドア開けたらあかんで。今日早めに終わるから一緒に買い出し行こな。行ってきまーす!!』
    『行ってらっしゃい!!』

    2008-08-01 03:45:00
  • 120:

    あき

    シンを見送った後、早速荷ほどきを始める。
    …気がついたらもうとっくにお昼を回っていて、朝から何も食べていない事に気づく。
    『お腹減ったなぁ…なんか買いに行こ。』
    一人でそう呟いて、昨日見かけたパン屋さんに向かった。

    2008-08-01 03:49:00
  • 121:

    あき

    パンを3つ買って、マンションに帰ろうとした。
    …道がわからない。
    あたしはかなりの方向音痴。幸い荷物を送る時に教えて貰った住所が携帯に入っていたので、道行くサラリーマンに声をかけた。
    『すみません…この住所わかります?』
    『いや、いいです。』

    2008-08-01 03:52:00
  • 122:

    あき

    それだけ言うとサラリーマンはさっさと歩いて行った。
    “えっ?いいって何が?”一瞬訳がわからなかったけど、それからも中々道を教えて貰えず仕方なくパン屋さんに戻ってなんとかマンションにたどり着いた。
    きっとみんな忙しかったんだと思うけど、東京の冷たさを体験した気がした。

    2008-08-01 03:56:00
  • 123:

    あき

    『あき…あき…』
    『ん〜?』
    『ただいま。』
    『シン!?今何時!?』
    パンをほうばって満腹になった後、いつの間にか寝てしまっていたらしい。

    2008-08-01 04:02:00
  • 124:

    あき

    時計を見ると、夕方の4時『爆睡しとったな〜笑。』『ほんまや…あっ買い出し行こか?シン疲れてない?』『余裕!!』
    『じゃあ出発〜!!』
    自転車に乗って近くのスーパーに行って、お米やら野菜やらを買い込んだ。
    シンの家は調理器具は揃っているのに、料理をしないから食材が全然無かった。
    自転車にパンパンになった袋を詰め込んで、シンが口ずさむでたらめな歌を聴きながら帰った。

    2008-08-01 04:09:00
  • 125:

    あき

    『いただきまーす!!』
    今日はベタにハンバーグ。
    『めっちゃ旨い!!』
    『ほんま?嬉しいわぁ!いっぱい食べてな。』
    『惚れ直したわ笑』

    2008-08-01 04:12:00
  • 126:

    あき

    シン、あたしはもちろん今幸せやけど
    たまに二人で乗ってたあの自転車とか
    何もない部屋を思い出す。それって
    何でやろな?

    2008-08-01 04:15:00
  • 127:

    あき

    『お前いい嫁さんなるわ』『ちゃんと貰ってよ?笑』『さぁなぁ…笑』
    『離婚や離婚!!笑』
    ベッドに入ってそんなくだらない話をしていると、シンはいつの間にか寝てしまっていた。
    シンにキスをして、あたしも眠りについた。

    2008-08-01 04:24:00
  • 128:

    名無しさん

    お前キモイな。あき気持ち悪い妄想キモオタやろ?

    2008-08-01 04:27:00
  • 129:

    あき

    …東京で暮らし始めて、2ヶ月が経とうとしていた頃もうすぐあたしの19歳の誕生日。
    シンの誕生日の頃は仕事が忙しくなるからと、あたしの誕生日に二人一緒にお祝いをする事になった。
    なんとか都心までの行き方を覚えたから、プレゼントを探しに向かう。
    “何しよかなぁ…”
    キャバ時代に貯めた貯金があったから、シンが大好きなクロムハーツのブレスレットを買う事に決めた。

    2008-08-01 04:31:00
  • 130:

    あき

    132さん、読んで下さってありがとうございます?
    最初に書いた通り、変えている所もあるのでフィクションとして読んでいただけたら嬉しいです?ある意味フィクションも妄想ですよね?

    2008-08-01 04:33:00
  • 131:

    あき

    二時間も悩んで、やっと一つのブレスレットを選んだ。
    綺麗にラッピングしてもらって、シンにバレないようにクローゼットの奥に隠した。
    それから誕生日の日の料理を考えて、一人でシンの喜ぶ顔を想像したりしてはにやけて気持ち悪い子になっていた。

    2008-08-01 04:37:00
  • 132:

    あき

    そして誕生日当日。
    シンが帰ってくるまでに料理の下ごしらえを全て終えてドキドキしながらシンの帰りを待っていた。
    『ただいまぁ!!』
    『お帰り!!ケーキ買って来てくれた?』
    『当たり前やん笑』

    2008-08-01 04:42:00
  • 133:

    あき

    『じゃあお誕生日おめでとー!!』
    二人でビールで乾杯をする。『ほんまに良かったんか?外で食わんで。』
    『うん!!こっちの方が二人っきりやし嬉しいもん!!』『そっか笑。てかこれ…プレゼント。開けてみ。』
    『ありがとぉ!!』

    2008-08-01 04:45:00
  • 134:

    あき

    中を開けると、指輪が入っていた。
    『お前のサイズわからんくてさ…もし合わんかったらサイズ直し出してくるし。』
    『つけて〜。』
    『なんか恥ずかしいな笑』シンは照れながらも、左手の薬指に指輪をはめてくれた『ぴったりやぁ!!ありがとぉ…めっちゃ嬉しい…』
    『ちなみにそれペアやから笑』

    2008-08-01 04:49:00
  • 135:

    あき

    『じゃあつけたげるわ!!』もう一つの箱を開けて、シンの左手の薬指にはめる。
    『テレビとか出る時は右手につけとくな。』
    『うん。あたしもプレゼント!!開けてみて〜!!』
    『クロムハーツやん!!めっちゃ嬉しいわ…あき、ほんまにありがとう!!』
    それから二人でご飯を食べて、ケーキのロウソクを一緒に消して、幸せすぎる程の誕生日を過ごした。

    2008-08-01 04:54:00
  • 136:

    あき

    誕生日の少し前に出した曲が段々と売れ始めた頃からシンの仕事は以前とは比べ物にならないぐらいに増えていった。
    地方での公演も増え、家に帰らない日が多くなっていって、たまに帰って来てもすぐに寝てしまう事も多かった。
    ブラウン管ごしに観るシンは、いつも隣で笑っているシンとは別人のように思えた。

    2008-08-01 05:00:00
  • 137:

    あき

    『あき、引っ越そか?』
    『いきなりどうしたん?』『いや…ある程度俺も稼げるようになったし、広いとこの方がいいやん。』
    『あたしは…このままでいい…』
    シンがほとんど居ないのに、これ以上広い家に引っ越しても寂しいだけだ。
    『何でなん?てかもう決めて来たし。引っ越し屋も頼んだから荷造りとかもそんなせんでいいで。』

    2008-08-01 05:08:00
  • 138:

    あき

    『…何で勝手に決めるん!?あたし何も聞いてないし』『今ゆったやん。広い家の何が嫌なんかがわからん』『だって…ずっとここで一緒におったのに…』
    『いや別れる訳ちゃうんやし新しい家にも俺おるやん。』
    『そうゆう事を言ってるんじゃないねん!!何で相談ぐらいしてくれへんかったん?あたしは…シンと初めて住んだこの家が大事やねん』『とにかく決めたから。』シンは最近なんだかイライラしていて、たまに帰って来ても口喧嘩になる事も多かった。

    2008-08-01 05:15:00
  • 139:

    名無しさん

    読んでへんから?気持ち悪い。臭いってお前?もう書き込みやめてや?

    2008-08-01 05:16:00
  • 140:

    あき

    シンがトイレから帰って来た途端、抱きついて来た。
    『あき〜ごめんな?怒ってる?』
    シンの体から、ある匂いがした。
    『…草やったやろ?』
    『…やってない…』

    2008-08-01 05:18:00
  • 141:

    あき

    『じゃあこの匂いなんなん?』
    『もーお前うるさい!俺出かけてくるわ。』
    『ちょっ!!待ってや!!』
    シンはあたしの制止を振り切り、出て行ってしまった。『…なんなんよ…』

    2008-08-01 05:21:00
  • 142:

    あき

    泣きながら、理沙さんに電話をした。理沙さんはマサともう何年も付き合っていていつもよく相談に乗ってくれていたから。
    『もし?どしたぁ?』
    『理沙さぁん…』
    『ちょっ…あき泣いてるん?なんかあったん?』
    あたしは理沙さんにさっきあった事を全部話した。

    2008-08-01 05:26:00
  • 143:

    あき

    『そっかぁ…なんかな、シンはあんまりこうゆうの彼女にゆったりしやん人やからあきちゃんも聞いてないと思うねんけど…今みんなモメてるらしいねん。』
    『モメてるって?仲間同士で?』
    『うん…マサとシン対カズとケンで…マサらの音楽って元は大衆向けちゃうやんか?でも売れる為には受け狙いの音楽も作らないとあかんし、元のジャンルも知って貰いたいからって一曲受け狙いの曲を作ったらしいねん。それはみんなも納得してんけど、ケンとカズはこれからも受けを狙った音楽を作っていきたいってゆったみたいで…マサ達はそれの逆やからモメてるみたい。よくある話らしいけどなぁ…』

    2008-08-01 05:33:00
  • 144:

    あき

    デビューしてから、音楽の方向性の違いでグループを脱退してソロになったり解散したりは、よくある話らしい。『あたし…最近シンが帰ってこんから…寂しいばっかりゆってた。何も知らんと…』
    『そりゃ知らんかってんからしゃあないよ。でも家におらんって事は仕事が増えた訳やん?テレビに出たりしたらあきも嬉しいやろ?』『嬉しいけど…離れて行きそうで不安なって嫌な事ばっかゆってまう。』
    『わかるわぁ。あたしらも最初はそうやったで。まぁあんま売れてなかったけど笑。でも歌手ってのを知ってて付き合ったんやし、支えたげないとな?』
    『うん…』

    2008-08-01 05:39:00
  • 145:

    あき

    理沙さんと電話を切った後シンに電話をした。
    『はい?』
    『シン…ごめんな。ご飯作っとくし帰って来て。』
    『うん…』

    2008-08-01 05:42:00
  • 146:

    あき

    シンはすぐに帰って来た。
    『お帰り!!』
    頑張って笑顔を作ってシンを迎えた。
    『あき…俺もごめんな。最近色々あって…』
    『理沙さんから聞いた。』『そっか…事務所からもヤイヤイゆわれるしイライラしててん…』

    2008-08-01 05:46:00
  • 147:

    あき

    『あたしは何も出来ひんけど…何があってもシンの味方やから。』
    『ありがとう。俺頑張るから…』
    『うん!!』
    結局新しい家にも引っ越す事になって、忙しいシンの代わりに引っ越しを済ませた。

    2008-08-01 05:52:00
  • 148:

    あき

    事務所からの圧力もあり、シン達はしばらくは受け狙いの楽曲を作り、同時にソロでの活動も始めていく事になった。
    『これ聴いてみて。』
    そう言ってシンが置いて行ったCD-ROM。
    誰も居ない部屋で一人、苺ミルクを飲みながら聴いてみる。

    2008-08-01 06:01:00
  • 149:

    あき

    それは…前の家で過ごした二人の事を書いた歌だった。
    思わず、涙が流れる。
    シンはとっくに忘れてると思ってた思い出を、覚えていてくれた。
    『最近よく眠れない』
    と言ったあたしに、安らぎをもたらすような歌だった

    2008-08-01 06:06:00
  • 150:

    あき

    『シン…ありがと…』
    『聴いた?』
    電話口で泣きじゃくるあたしに、シンは優しく問いかけた。
    『めっちゃいいやん…』
    『やろ?笑。今度のアルバムに入れるからな!』

    2008-08-01 06:08:00
  • 151:

    あき

    …実はこの頃、シンはよく浮気をしていた。
    地方での公演の時にファンだと近づいてくる女の子何人とも…
    それを知ったのは、あるサイト。シン達のスレが出来ていて、そこにはリアル過ぎる程の出来事が書いてあった。
    最初は信じて無かったあたしだけど、あまりにも書き込みが多かった時にケンに聞いてみた。

    2008-08-01 06:14:00
  • 152:

    あき

    『ケン…シンって浮気してる?』
    『なっなんで?』
    ケンは嘘をつくとすぐわかる。ケンの彼女の香里ちゃんに聞いた、嘘をつく時の癖は耳を触る事。
    『別にシン本人には言わんから…』
    『…してるなぁ…。』

    2008-08-01 06:18:00
  • 153:

    あき

    『やっぱり…ごめんな、シンに聞いても話そらすん上手いから…』
    『地方行った時かな…。クラブとか行って女の子と…』『そっか。』
    『でもほんま一晩限りやしあきが一番やと思うで!!東京帰って来たら絶対家帰ってるし。』
    『うん、ありがとう。』

    2008-08-01 06:23:00
  • 154:

    あき

    あたしは、シンを信じてた。音楽が誰よりも好きで、寝る暇も惜しんで曲を作って…
    今まで頑張って来たから、ようやく起動に乗って…息抜きをしたかったのかもしれない。
    浮気をするのは、あたしにも責任がある。
    シンを支えきれてない証拠だから。
    左手にはめられた少し傷のいった指輪が、熱く熱をおびた気がした。

    2008-08-01 06:32:00
  • 155:

    あき

    ケンと別れた後、シンと初めて行った前の家の近くの公園のベンチに座りこんだ。
    一緒にアイスを食べて、散歩して…その頃の事を思い出せば出す程、シンが有名になった事を喜べない自分が嫌になった。

    2008-08-01 06:40:00
  • 156:

    あき

    …その日から、あたしはあまり眠れなくなった。
    あたしが掃除したり、買い物に行ったり…一人で寝ている間も、シンは誰かと過ごしているのかもしれない。頭を優しく撫でてくれる手も、優しい笑い顔も、あったかい体温も、自分だけの物じゃないんだと思うと気が狂いそうだった。

    2008-08-01 06:48:00
  • 157:

    あき

    …シンの歌を聴くと安心したけど、やっぱりよく眠れない日々が続いた。
    『ただいま〜!!あき!!お土産買って来たで!寂しい想いさせてごめんな。』
    久しぶりに二日間休みを貰って帰って来たシンは、あたしを見るなり抱き締めた。『お前…痩せた?』
    『マジで?めっちゃ嬉しいわ!!』
    明るく振るまったけど、本当はここ最近あまり食べていなかった。

    2008-08-01 06:57:00
  • 158:

    あき

    『…ちゃんと飯食ってるか?』
    『食べまくりやし笑。今日はシンが好きな物ばっかり作ったから一緒に食べよな』『そやな…お前もいっぱい食えよ!!』
    『うん!!いただきまーす』無理に料理を口に運んだけど、二、三口食べただけでもう飲み込めなくなった。『…ごちそうさま。』
    『…もういいんか?全然食べて無いやん…』
    『ちょっと味見しすぎたみたいやわ笑。後でまた食べるし!!』

    2008-08-01 07:03:00
  • 159:

    あき

    その時、シンの携帯が鳴ったけどシンはチラっと見ただけで出ようとしなかった。
    それを見て、また胸が苦しくなる。
    シンは今大事な時期。せっかくの休みを台無しには出来ない。
    そう思い口から出そうになる汚い言葉を飲み込んだ。

    2008-08-01 07:09:00
  • 160:

    あき

    『あき…』
    ベッドの中であたしを求めてくるシン。
    でもそんな気分にはなれなくて、眠いからと言って寝たふりをした。
    そんな…色んな女を触った手で触れて欲しく無かった『あき…お前なんか無理してるやろ?』

    2008-08-01 07:12:00
  • 161:

    名無しさん

    切ない?

    2008-08-01 12:55:00
  • 162:

    あき

    165さんありがとうございます??
    本気で嬉しいです?

    2008-08-01 14:12:00
  • 163:

    あき

    『…無理って何が?』
    『やっぱ起きてたんか…なんかあったんか?ゆぅてみ?』
    言える訳が無い。
    本当は、もっと一緒に居て欲しい。彼女が居るって言って欲しい。指輪もずっと左手にはめて…一緒に手を繋いで歩いて…
    でもそれは“芸能人”のシンには言ってはいけない事。あたしは…彼女失格だ。

    2008-08-01 14:15:00
  • 164:

    あき

    『ほんまに何もないよ。』『嘘とかつかんでいいから…お前明らか痩せたやろ?ゆってみって。』
    『………。』
    さすがにシンも、さっき一緒にお風呂に入った時、服を着ている時にはわからなかった突き出た節々に心配になったんだろう。
    『なぁ…黙ってんと何かゆえよ。』
    ふいに、腕を掴まれた。

    2008-08-01 14:21:00
  • 165:

    あき

    『…触らんといてッッ!!』
    とっさにシンの手を振り払ってしまった。
    『もぉ…あたし嫌や…』
    泣きじゃくるあたしを、びっくりした様子のシンはただ見つめていた。
    『シン…別れよ…』

    2008-08-01 14:24:00
  • 166:

    あき

    『俺は…確かに有名になりたいってのはあったけど、お前にもっといい暮らしをさせてやりたくて頑張ってた。』
    『…他の女抱いてるくせに?』
    …言ってしまった。その瞬間、シンの表情が明らかに変わる。
    『お前…知ってたんか…』せめて、否定してほしかった。シンの性格上言い逃れなんてしないのはわかってたけど、まだどこかで現実を受け止めきれてない自分がいたから。

    2008-08-01 14:36:00
  • 167:

    あき

    『やからもう…そんな手であたしを触らんといて…』『…ごめん…何もゆえんわ…。もしかしてそのせいでそんな痩せたんか?』
    『…………。』
    『あき…ごめん…ごめんな。もう俺浮気はしやん。草も止める。やから…別れるとかゆわんといてくれや…お前がおらんと俺無理やわ。もう一回、もう一回だけチャンスちょうだい。』

    2008-08-01 14:42:00
  • 168:

    あき

    浮気をする男は治らない。でも…やっぱりあたしはシンが好きだ。
    『ほんまに約束してくれる?』
    『うん。絶対…絶対もうしやんから!!』
    『約束な…』
    結局、シンを許してしまった。あれだけ辛くても、また同じ事を繰り返すだけだとわかっていても…目の前に居るシンが愛しくて仕方無かった。

    2008-08-01 14:52:00
  • 169:

    あき

    その日はシンの腕枕で眠った。
    いつもはあんなに広かったベッドが、今日は狭く感じる。
    シンの温もりに安心したのか久しぶりにぐっすりと眠る事が出来た。

    2008-08-01 14:56:00
  • 170:

    あき

    次の日。朝兼昼ごはんを作っていると、シンが起きて来た。
    『おはよ、あき。』
    『おはよ。ご飯やで!!』
    昨日の出来事が嘘のように穏やかな時間が流れる。
    『よっしゃ出かけよかぁ』『…どこに?』

    2008-08-01 14:58:00
  • 171:

    あき

    『お前の誕生日プレゼント買いに。』
    気づけば早いもので、もう二十歳の誕生日。
    『忘れてたわぁ…』
    『何がいい?』
    いきなりプレゼントと言われても…

    2008-08-01 15:02:00
  • 172:

    あき

    『あっ…犬!!犬がいい!!』『おーええで。』
    『やったぁ!!』
    犬が居れば、寂しさも少し和らぐかもしれないし、あたしは根っからの犬好きだ。
    『犬やったら俺知り合いにブリーダーおるからちょっと待ってな。』
    そう言うとどこかに電話をかけ始めた。

    2008-08-01 17:05:00
  • 173:

    あき

    『あき!!ちょうど生まれたばっかりの犬何匹かおるって!!チワワとシーズーとポメラニアンと…』
    『チワワがいい!!』
    『チワワでいいんか?他の種類とかがいいんやったらペットショップ回ってもいいし…』
    『ううん、チワワがいいねん!!』

    2008-08-01 17:08:00
  • 174:

    あき

    早速出かける事になって、久しぶりの二人でのお出かけなのでお洒落して家を出た。
    シンはサングラスとキャップをかぶって微妙に変装している。『まだ時間も早いし買い物でも行こか。』
    『そやねぇ!プリクラ撮って買い物して…』
    『ブリーダーさんも夜の方がいいってゆってるから晩飯はどっかいいレストランでも行こか。』
    あたしを喜ばせようと色々考えてくれるシンが愛しくて、車のハンドルを握るシンの左手を強く握りしめた。

    2008-08-01 17:16:00
  • 175:

    名無しさん

    芸能人と付き合ってた、とか話の土台が妄想やろ、キモいわ。

    2008-08-02 14:53:00
  • 176:

    名無しさん

    ぅちも芸能人と付き合ってた事ぁるしそぉゆぅ事もぁるんちゃう?

    2008-08-02 15:22:00
  • 177:

    名無しさん

    主さん読んでるから頑張って完結して下さい!

    2008-08-10 01:40:00
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