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闇の中の心臓

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  • 1:

    夢魔

    鼓動が脈打つ。 激しい嘔吐。 フラッシュバック。 もうあれから3年。 後遺症はいまだ続く。 真っ白な壁が血で染まる。 血だらけの拳。

    2008-08-01 09:55:00
  • 2:

    夢魔

    愛里が横にいる。 瞳孔を開きながらひたすらしゃべる。 愛里は風俗嬢。 硝子のパイプを片手にひたすらしゃべる。 頭が痛い。 また吐き気がこみあげる。

    2008-08-01 09:59:00
  • 3:

    夢魔

    夢魔はとある会社の経営をしている。 もう昔みたいなことはできない。 また幻覚が見えた。 体の傷がまた一つ増えた。 明日の仕事はかなりでかい山だ。 睡眠薬とアルコールで幻覚を打ち消す。 愛里が体を求めてくる。 吐き気がする。 睡眠薬をさらに1錠。

    2008-08-01 10:07:00
  • 4:

    夢魔

    夢魔には捨てられない夢がある。 昼間の会社を立ち上げること。 もう今年で26になる。 20代で億。 これが夢魔の使命。

    2008-08-01 10:13:00
  • 5:

    夢魔

    人に言えないこともたくさんしてきた。 いままで捕まっていないのが不思議なくらいだ。 あれから3年。 寒いことはもうしたくない。

    2008-08-01 10:18:00
  • 6:

    夢魔

    夜は欲望と裏切りが渦巻く世界。 瞳孔の開いた人間が集まる世界。 何かが違う。 22のときのとある事件から夢魔の中で何かが変わった。 あの時に立てた誓い。 すべてから足を洗って一日一日を大切に生きること。

    2008-08-01 10:24:00
  • 7:

    夢魔

    初めは軽い気持ちだった。 気付けば依存していた。 周りの人間はいまだに依存している。 夢魔はあの日から普通の人間になりたいとずっと思い続けてきた。 だから薬もやめた。 3年経ったいまもフラッシュバックは止まることがない。

    2008-08-01 10:30:00
  • 8:

    夢魔

    夢。 野望。 一度たりとも忘れたことはない。 周りは廃人になっていく。 当時の親友が冷たい檻の中に入っていく。 悪い誘いに乗ったことはあれから一度もない。

    2008-08-01 10:35:00
  • 9:

    夢魔

    友達は大切だ。 でも薬はもういらない。 夢魔も自分のことだけで精一杯。 人にかまっている余裕はない。

    2008-08-01 10:42:00
  • 10:

    夢魔

    裏切り者扱いもされた。 殴られたことも刺されたこともある。 昔はみんな仲良しだった。 一緒に薬を辞めようと何度も説得した。 誰もが「そうやな」と言ったが結局何も変わりはしなかった。

    2008-08-01 10:46:00
  • 11:

    夢魔

    慣れ親しんだ大阪を離れ東京へ移った。 孤独との戦いだった。 そして結局大阪に戻った。 金しか信じるものはなかった。 だから必死に働いた。 でかい家、いい車、いい女。 すべてを手に入れた。 それでも心が満たされることは一度もなかった。

    2008-08-01 10:51:00
  • 12:

    夢魔

    人を信じること。 心の安らぎ。 欲しかった。 でも仕方ない。 夢のためには犠牲にしなければならないものもある。 人に胸はって言える仕事をしたい。 でも平凡なサラリーマンになる気などさらさらない。 人間は欲張りな生き物だ。

    2008-08-01 10:57:00
  • 13:

    夢魔

    夜の代表は後輩にゆずった。 流行りのニートになった。 これで心の安らぎが得られる。 そう思った。

    2008-08-01 11:00:00
  • 14:

    夢魔

    だがそこに待っていたのは空虚だった。 髪を黒く染めた。 あれほど嫌がっていたサラリーマンになった。 あまりにつまらない仕事。 結局夢魔は夜にしか生きられない生き物なのかもしれない。

    2008-08-01 11:04:00
  • 15:

    夢魔

    だが得るものはあった。 金では絶対に買えないもの。 人脈という財産。 昼間の世界で夢魔は株式投資というものを学んだ。

    2008-08-01 11:07:00
  • 16:

    夢魔

    結果失敗した。 小金持ちから一気にひどい貧乏になった。 すると周りの人間は離れていった。 また一つ学んだ。

    2008-08-01 11:09:00
  • 17:

    夢魔

    その頃夜を引き渡した後輩は幹部会議の結果全員一致で会社を飛ばされていた。 夢魔は再び夜に戻ることになった。

    2008-08-01 11:12:00
  • 18:

    夢魔

    状況は最悪だった。 だがいいこともあった。 薬漬けだった奴らが足を洗っていた。 海、クラブ、スノボ。 毎日が楽しかった。

    2008-08-01 11:17:00
  • 19:

    夢魔

    薬を禁止にした。 手を出す奴らは容赦なく首を切った。 これがまずかった。 結局夢魔が会社を飛ばされることになった。 幹部全員一致だった。

    2008-08-01 11:21:00
  • 20:

    夢魔

    人の生き方に干渉するべきではない。 また一つ夢魔は学んだ。 その頃優奈という女に出会った。 夢魔はすぐにとりこになった。

    2008-08-01 11:25:00
  • 21:

    名無しさん

    書いて

    2008-08-04 22:22:00
  • 22:

    名無しさん

    続ききになります☆

    2008-08-05 17:34:00
  • 23:

    名無しさん

    あげ

    2008-08-07 16:43:00
  • 24:

    夢魔

    読んでくれてありがとうございます☆

    2008-08-08 06:50:00
  • 25:

    夢魔

    優奈はとあるキャバクラのNo.1だった。 特別キレイな訳ではなかったが、一度口を開けば誰もが虜になる、そんな女だった。 話し方、声のトーン、雰囲気、オーラ。 すべてが一流だった。

    2008-08-08 06:56:00
  • 26:

    夢魔

    夢魔はその頃金に見放されていた時期だった。 いままでペコペコしてきた人間達が次々と手の平を返す。 夢魔は金だけをひたすら求め続けていた。 悔しさ、恨み、憎しみ。 それだけが夢魔の原動力だった。 手の平を返した奴らに目にもの言わせてやる。 いつもそれだけを考えて生きてきた。

    2008-08-08 07:03:00
  • 27:

    夢魔

    心が日に日に荒んでいった。 人相が日に日に悪くなった。 誰のことも信用していない。 優奈と知り合ったのはそんな頃だ。

    2008-08-08 07:06:00
  • 28:

    夢魔

    とあるクラブのVIPで組関係の人に紹介された女が優奈だった。 昔から夢魔のことをかわいがってくれた恩人。 真さんの紹介。 優奈は夢魔には興味を示さなかった。 優奈も金だけをひたすら求める女だった。

    2008-08-08 07:13:00
  • 29:

    夢魔

    それから3ヶ月。 夢魔にもそれなりに金が寄り付いてきた。 以前とは比べものにならないほどのはした金だったが少しずつ夢魔に着いてくる人間が増え始めた。 世の中は金だ。 金のない奴はクズ。 金を握った奴だけがすべてを手に入れる。

    2008-08-08 07:17:00
  • 30:

    夢魔

    歯車が少しずつうまく回るようになってきた。 先のビジョンも見え始めた。 もうあんな惨めな思いはしたくない。 人相はさらに悪くなったが金は少しずつ増えてくるようになった。 そんな時、街で偶然優奈と再会した。

    2008-08-08 07:22:00
  • 31:

    夢魔

    夢魔は優奈を飲みに誘った。 壁にはシャンデリア、天井にもシャンデリア、大理石のテーブルに赤の革張りのソファー。 夢魔のお気に入りの店だ。 優奈は相変わらず一流の女だった。 お互いのことを話しあった。 優奈はあどけない笑顔が魅力的な女だったが瞳の奥に暗い光があった。 どんなに笑顔を作っても明るく振る舞っても常に瞳の奥に暗い影があった。 夢魔にはそれがすぐにわかった。 人に絶望しているのがすぐにわかった。 昔の自分を見ているみたいで胸が痛くなった。

    2008-08-08 07:32:00
  • 32:

    夢魔

    夢魔は心が歪みきっていた。 親に捨てられ親友に裏切られた。 優奈は一流の女だ。 きっと夢魔の心の荒みも完全に見破られていただろう。 その日は2時間ほど飲んですぐに別れた。 いまから同伴出勤だと言っていた。 周りから見たら完全に勝ち組だった。 その日は久しぶりにすべてを忘れることができた。 毎日7錠以上の眠剤が必要だった夢魔も不思議とその日は眠剤なしで眠ることができた。

    2008-08-08 07:40:00
  • 33:

    夢魔

    その日は眠剤なしできた眠ることができた。 優奈は当時の夢魔の何倍もの金を持っていた。 夢魔は次はどこに飲みに行きたいか優奈に聞いた。 優奈は鳥貴族に行きたいと言った。 意外だった。 優奈の人脈ならもっといい店に行くことは簡単だったはずた。 そんな素朴な店に行く必要なんでコレッポチもなかったはずだ。 優魔は当時の当時の夢魔よりも格上の人間だった。 当時シャンパンを奢っていた人間よりも格上の人間だった。 尊敬出来る人間だった。

    2008-08-08 07:58:00
  • 34:

    夢魔

    劣等感が頭から離れなかった。 だが優華は金にはあまり興味がないように見えた。 夜も辞めて昼間の仕事に誠意を出していたようだった。 心なしか心はキレイになっていた。

    2008-08-08 08:10:00
  • 35:

    夢魔

    優奈は店から必要とされている人間だった。 だから時々夜には行っていた。 昼間に行ったからと言っていままでの客をすべて切るという発想は優奈にはなかった。 優奈の根本にあるのは優しさだった。

    2008-08-08 15:52:00
  • 36:

    夢魔

    それから1ヶ月。 優奈はついに完全に夜を辞めた。

    2008-08-08 15:58:00
  • 37:

    夢魔

    光が分散していく。 闇の中をフラッシュがチカチカと点滅する。 フロアには人があふれている。 夢魔と優奈はソファーに座りながらその様子を見ていた。 優奈はクラブがあまり好きではなかったみたいだが夢魔は来るたびに心が安らいだ。 ここにはルールなんてない。

    2008-08-09 06:57:00
  • 38:

    夢魔

    次の瞬間だった。 突然周囲が暗闇に支配された。 夢魔の足に幾数の手の平が絡みつく。 水浸しの灰皿の中に片足が離れない。 スカイブルーの瓶が粉々に割れる。 優奈が笑っている。 右手にはナイフが鋭く光っている。 壁が血に染まっていく。 割れたスカイブルーの破片で夢魔は首の動脈を切り刻む。 優奈は鋭いナイフで夢魔の眼球を切り刻む。 夢魔は優奈の髪をわし掴みにして首を締める。 殺したい。 殺したい。 みんな死ぬばいい。 優魔はカフェパリの瓶をフロアに投げつけた。 血だらけの男がうずくまっている。 それがあまりに楽しかった。 夢魔はジッポのオイルをそいつに振りかけてジッポを投げつけた。 もがき苦しむそいつを見て夢魔は幸せを感じた。

    2008-08-09 07:13:00
  • 39:

    夢魔

    声が聞こえる。 鼓膜が破れそうだ。 夢魔はひたすら笑っていた。 優奈の声が聞こえる。 夢魔は優奈のナイフを取り上げた。 心臓をひらすら刺し続けた。 優奈の体が冷たくなっていく。 夢魔は優奈の首を強く強く締め続けた。 優奈はもうすぐこの世からいなくなる。 快感。

    2008-08-09 07:27:00
  • 40:

    夢魔

    声が聞こえる。 優しい声。 温もり。 気がつけば夢魔は優奈の胸の中に抱かれていた。 フロアは相変わらず楽しそうに踊っている人達。 優奈には傷口はなかった。 夢魔にも傷口はなかった。 いつものフラッシュバック。 幻覚。

    2008-08-09 07:33:00
  • 41:

    夢魔

    夢魔はドSだった。 自分の言いなりになる女しか必要なかった。 気が付けば優奈に抱きしめられていた。 夢魔には初めての経験だった。 幻覚が少しずつ薄れていく。 そこからの記憶はない。 気が付けば夢魔の家にいた。 優奈は夢魔の胸で丸くなって眠っていた。 夢魔はハルシオンを飲んで眠りついた。 昨日の記憶はすべて幻覚だと気付いた。 記憶はないが優奈の優しさだけはわかった。 またフラッシュバックだったみたいだ。 現実ではなかった。

    2008-08-09 07:45:00
  • 42:

    名無しさん

    読んでまぷ頑張れ♪(´・ω・`)

    2008-08-09 07:58:00
  • 43:

    夢魔

    ありがとうございます☆

    2008-08-10 07:14:00
  • 44:

    夢魔

    当時の夢魔は最低の人間だった。 男は利用価値のあるなしで判断していた。 女は穴か金。 どちらにも属さない女は産業廃棄物と呼んでいた。 毎日のように違う女が家に来た。 薬中の女。 リストカットの女。 神経のイカレタ女ばかりが集まってきた。 人間似たもの同士が集まるものだ。

    2008-08-10 07:20:00
  • 45:

    夢魔

    優奈も出会った頃は同じだった。 金、金、金。 それだけをひたすら求める女だった。 心に大きな傷跡が見えた。 本当は寂しかったのだろう。 夢魔と同じように。

    2008-08-10 07:23:00
  • 46:

    夢魔

    だが3ヶ月後に再会した優奈は別人だった。 人への思いやりに溢れていた。 目を見ただけでそれがわかった。 当時の夢魔のどこに惹かれたのかはわからないが優奈は夢魔へ好意を示していた。 演技でもない。 営業でもない。 真実の思いやりだった。 夢魔にはそれがすぐにわかった。

    2008-08-10 07:28:00
  • 47:

    夢魔

    夢魔も初めは優奈のことをどうすれば金に変えられるか。 それだけをひたすら考えていた。 だが少しずつ考えは変わってきた。 気が付けば夢魔は優奈に夢中になっていた。 3ヶ月後の再会以来夢魔は優奈のことを本当に幸せになってほしいと思うようになった。 夢魔と優奈は毎日のように会うようになっていった。

    2008-08-10 07:44:00
  • 48:

    夢魔

    夢魔は優奈なしでは生きられなくなった。 その日も優奈と街を歩きながらいろいろな話をしていた。 その時偶然夢魔は後輩のケンタに会った。 ケンタは夢魔のことを無視して通り過ぎていった。 それから数日後、再びケンタに出会った。 ケンタは夢魔には気づいていなかった。 友人と一緒だったため夢魔は声はかけなかった。 話し声が聞こえる。 夢魔の話をしていた。 「あの人はいまは金も大して持ってないし早く自分にとって何のメリットもない。 早く死んでくれたらいいのに。」 そんな内容だった。 夢魔はケンタの肩を叩いて久しぶり!と声をかけた。 ケンタは満面の笑みで「お疲れさまです!」と頭を下げた。 悲しかった。 涙が溢れ落ちそうだった。 夢魔は何も聞いていないかのように振る舞った。 やはり世の中は金だ。 夢魔は改めてそれを再確認することができた。

    2008-08-10 08:03:00
  • 49:

    夢魔

    夢魔は夜を上がることを決意した。 優奈が側にいてくれるのなら他には何もいはなかった。

    2008-08-10 08:11:00
  • 50:

    名無しさん

    読んでます☆
    スゴク共感できます!
    頑張ってください♪

    2008-08-10 11:47:00
  • 51:

    夢魔

    みなさんのコメント少ないので書くの終わります。 ありがとうございました。

    2008-08-10 13:38:00
  • 52:

    夢魔

    52さん潰しやめてもらえます?

    2008-08-10 16:03:00
  • 53:

    名無しさん

    頑張ってください☆
    書いてー

    2008-08-11 00:43:00
  • 54:

    名無しさん

    あげ

    2008-08-12 19:50:00
  • 55:

    名無しさん




    2008-08-18 09:04:00
  • 56:

    夢魔

    それからの夢魔はできる限り短期間で大きな利益を生むかを常に考えるようになった。 人の命なんて砂時計のようなもの。 砂がすべて下に落ちれば命も尽きてしまう。 限られた時間。 限られた命。 もう時間がない。

    2008-10-24 05:15:00
  • 57:

    夢魔

    今日はいつもよりもネオンが眩しい。 どことなく懐かしい景色。 もうじきこの景色も見ることはなくなるだろう。

    2008-10-24 05:17:00
  • 58:

    夢魔

    優奈と歩く2人3脚の毎日。 満たされた毎日。 このまますべてがうまく進むだろう。 不安なんて少しもなかった。

    2008-10-24 05:20:00
  • 59:

    夢魔

    夜のネオンの中を歩く。 いままでと変わらない暮らし。 だが未来の映像は夢魔の脳裏に鮮明に刻まれていた。 夢魔は部屋の窓からネオン街を見下ろしながら未来の映像が日に日に鮮明になっていくのを感じていた。

    2008-10-24 05:27:00
  • 60:

    夢魔

    ある日の午後。 ふと父の姿を見かけた。 夢魔が気づくと父も夢魔に気付いた。 目が合った瞬間、夢魔は凍りつくような視線を感じた。 父は目をそらすと早足で歩き去っていった。 夢魔はその冷たい後ろ姿をただ見つめていた。

    2008-10-24 05:37:00
  • 61:

    夢魔

    家に帰ると優奈が食事の支度をしていた。 夢魔はガラステーブルの上のスケッチブックをパラパラとめくっていた。 そこには繊細なタッチで描かれた無数のデザイン画が詰まっていた。 優奈の夢は身に付けた人に幸せ、夢を感じられる温かみのあるジュエリーを作ること。 世界的なジュエリーデザイナーになることが優奈の夢だった。

    2008-10-24 05:53:00
  • 62:

    夢魔

    夢魔はいままで社会のクズと言われて育った。 寂しくて壊れそうで眠れない夜が続いた。 夢魔の夢は同じような気持ちを抱える人達に夢を実現するノウハウ、自分は価値のある人間だということを教える、そんな学校を作ること。 誰もがバカにした。 現実を見ろと何度も言われ続けてきた。 だからこそ結果をだしたかった。 結果をだせば誰もが黙るだろう。 人は目に見えるものしか信じないものだ。

    2008-10-24 06:02:00
  • 63:

    夢魔

    その日は優奈と激しく求め合った。 なぜか悲しい性交だった。 夢魔はその日優奈の胸で丸くなって眠った。 いままでの夢魔なら考えられない行動だった。 夢魔はこれまで自分の弱いところを見せることは決してなかった。 心から人を信じることなど決してなかった。

    2008-10-24 06:07:00
  • 64:

    夢魔

    そんなある日の朝方。 優奈が知らない男の胸に抱かれながらすべてを委ねている姿を目撃した。 夢魔は軽く舌打ちをすると低い声でビッチとつぶやいた。

    2008-10-24 06:11:00
  • 65:

    夢魔

    次の瞬間、優奈は男の首に腕を絡ませながら深い口づけをした。 気が付けば夢魔は走り出していた。 男の胸ぐらを掴むと、次の瞬間には男をただただ殴り続けた。 血だらけの男を夢魔はひたすら殴り続けた。 血しぶきの中、気が付けば夢魔は笑っていた。 男はナイフを取り出すと夢魔の脇腹をめがけて襲いかかった。 夢魔はナイフを取り上げると男の脇腹をえぐっていた。 血しぶきが夢魔の顔を赤く染めていく。

    2008-10-24 06:21:00
  • 66:

    夢魔

    その2日後。 夢魔は留置場に入ることになった。 退屈な毎日。 気が狂いそうな日々。 どれだけ待っても面会に来る人間はいなかった。 結局優奈は最後まで面会に来ることはなかった。

    2008-10-24 06:26:00
  • 67:

    名無しさん

    続ききになります。
    頑張ってください。

    2008-10-25 04:09:00
  • 68:

    夢魔

    ありがとうございます☆

    2008-10-25 08:07:00
  • 69:

    夢魔

    留置場の中は時間の概念のない空間だった。 イメージしていたような鬼のような教官はほとんどいなかったが、ただただ空虚な日々だけが続く。

    2008-10-25 08:10:00
  • 70:

    夢魔

    夢魔は優奈に手紙を書いた。 返事はなかったが有り余る時間の中ただひたすら心をこめた。 両親への手紙も書き続けた。 それから2ヶ月。 返事はない。

    2008-10-25 08:13:00
  • 71:

    夢魔

    後輩のケンタにも手紙を書いた。 精神安定剤、睡眠薬の差し入れ依頼だ。 もちろん返事はない。 2ヶ月が過ぎた。 空白の時の中で変化が訪れた。 裁判。

    2008-10-25 08:18:00
  • 72:

    夢魔

    夢魔は拘置所へと移った。 それから2週間。 夢魔はシャバへと出ることができた。

    2008-10-25 08:20:00
  • 73:

    夢魔

    結局誰も夢魔に会いにくる人間はいなかった。 いままでの報い。 夢魔は出所の連絡を誰にも入れず、再び夢を追いかけ始めた。 前科あり。 執行猶予の中、人への憎しみだけが膨れ上がっていった。 また新たな心のガソリンが補充されていった。

    2008-10-25 08:25:00
  • 74:

    夢魔

    また振りだしに戻った。 だがもう負ける気はしない。 失うものなどもう何もなかった。 金、金、金。 もういまの夢魔にはそれ以外の思考はなかった。

    2008-10-25 08:29:00
  • 75:

    夢魔

    携帯が鳴る。 昔から夢魔をかわいがってくれた真さんだった。 内容は上納金の催促。 苛立ちがこみあげる。 誰でも何でも殺してやる。

    2008-10-25 08:33:00
  • 76:

    夢魔

    空から光が漏れる。 十字架に架けられたキリストがニヤリと笑う。 夢魔は神を信じない。 ただただ殺しのメロディ―が脳裏に流れつづける。 夢魔はナイフを取り出すと自分の体を切り刻んだ。 罪と罰。 最近の夢魔の好きな言葉。

    2008-10-25 08:38:00
  • 77:

    夢魔

    愛なんてもういらない。 金の切れ目は死を意味していた。 血の匂いが欲しくて夢魔は自らの額を切り刻んだ。

    2008-10-25 08:40:00
  • 78:

    夢魔

    ガラスが割れる。 壁には血しぶきが飛ぶ。 毎日が絶望の繰り返し。 夢魔はテキーラを流しこむと赤玉を9発ほど流しこんだ。 このまま二度と目が覚めなくても構わない。

    2008-10-25 08:48:00
  • 79:

    夢魔

    いつの間にかあれだけ求め続けた夢を忘れていった。 映像が徐々に薄れていく。 電話が鳴る。 夜の後輩の涼からだ。 この着信が後の夢魔を変えることになるとはこの時の夢魔には想像もつかなかった。

    2008-10-25 08:53:00
  • 80:

    名無しさん

    続き読みたいです^^

    2008-10-27 07:11:00
  • 81:

    夢魔

    涼はホストクラブのオーナーをしていた。 1年前の立ち上げのときは小さな小さな店だったが、いまでは月に400万以上の売上を上げていた。 店も広く、綺麗になっていた。 「いまはまだまだ通過店にすぎないっすよ。 これからうちの店はどんどん大きくなりますよ。」 涼の目は輝きに満ちていた。 2年前、ケンカ、ナンパ、薬ばかりしていた涼はそこにはいなかった。

    2008-10-28 08:41:00
  • 82:

    夢魔

    夢魔はじぶんの夢を改めて再確認した。 薄れかけていた夢が再びリアルな色彩を帯びていった。 その頃から夢魔には新たな人格ができた。 いまの自分を再確認するもう一人の自分の存在。

    2008-10-29 07:58:00
  • 83:

    夢魔

    また怖いものはなくなった。 描き続けた夢。 過信は徐々に確信へと変わっていった。 その時ふいにフラッシュバックが起こった。 再び殺しのメロディーが流れ始める。 クラクションが鳴る。 黒のハイエース。 夢魔は神経が切れた。 執行猶予中だったが関係なかった。 そのとき後ろのハイエースが夢魔にクラクションを鳴らした。 夢はハイエースの扉をこじあけると気が付けばまた殴り続けていた。 夢魔は精神障害なのかもしれない。 ハイエースの座席が血に染まる。 夢魔はまた笑っていた。 笑いが止まらない。

    2008-10-29 08:10:00
  • 84:

    名無しさん

    2008-10-29 08:40:00
  • 85:

    夢魔

    知り合いの女がいた。 名前は愛華。 愛華は酒を飲み始めると止まらない性格だった。 その日は愛華の親友のまりなと夢魔、涼の4人でひたすら飲んだ。 愛華は酒に呑まれて立てなくなった。 夢魔と愛華は1年以上の付き合いだった。 倒れて動けない愛華を夢魔は必死に介抱した。 転んだ傷なのか愛華の口元には血がにじんでいた。 夢魔はまりなを探した。 だがそこにはもうまりなの姿はなかった。 明日は朝から仕事らしくすでにタクシーに乗り込んで帰っていた。 何度も電話を鳴らしたがまりなは一向に電話をとらなかった。 夢魔は愛華を抱き上げると夢魔の家までなんとか連れて帰った。 肌寒い季節。 放っておけば確実に死んでしまう。

    2008-10-30 06:22:00
  • 86:

    夢魔

    愛華には特に恋愛感情もなかったが放っておくわけにはいかない。 完全に気を失った人間を運ぶのは至難の技だったがなんとか家まで運ぶことができた。 愛華の親友のまりなは全くの無関心だったのだろうか? 夢魔はなぜか涙が止まらなかった。

    2008-10-30 06:26:00
  • 87:

    夢魔

    親友が死にかけているときに平気で見捨てる女。 夢魔は苛立ちがとまらなかった。 なにが親友だ。 親友が死にかけているときに簡単に見捨てる。 なにが親友だ。 夢魔は気が狂いそうだった。 世の中信じられるものはやはり金だけだ。 悲しい。 悔しい。 痛い。 怖い。 でもそれが現実なのだろう。 本当は愛を信じたかった。 友情を信じたかった。 その日は涙が止まることはなかった。 世の中金だ。 悲しいけれどそれが現実。

    2008-10-30 06:33:00
  • 88:

    夢魔

    涼は夢魔の肩を軽くたたくと、「人間なんてそんなもんっすよ。」と優しい声で言った。 夢魔は夜には向いていないのかもしれない。

    2008-10-30 06:37:00
  • 89:

    名無しさん

    あげ^^

    2008-11-01 00:58:00
  • 90:

    夢魔

    そんなある日、夢魔は涼から啓さんという人を紹介された。 涼の師匠とゆう啓さんは3ヶ月前に昼間の仕事を立ち上げて以来、ものすごいスピードで会社を拡大していった人だ。 25歳で年中は億。 啓さんの周りにはそんな人達であふれ返っていた。 涼がホストクラブのオーナーになることを決意するきっかけになった人だった。 昼間への事業展開をずっと脳裏に焼き付けていた夢魔にとってこの出会いは重要な意味を持っていた。 夢魔の夢は一気に現実味をおびることになった。

    2008-11-04 07:34:00
  • 91:

    夢魔

    45までに10億の資産を築くこと。 夢魔にはもう迷いなどなかった。 啓さんは人を裏切らない。 水商売に関する偏見も全くなかった。 この日から夢魔にとって啓さんは夢魔の師匠的な存在になった。 45までに10億以上の資本を作ること。 周りは相変わらず否定したが、夢魔にとっては過信が徐々に確信へと変わっていった。

    2008-11-04 07:40:00
  • 92:

    夢魔

    そんなある日、夢魔の夢は日に日に強くなっていった。 45までに10億以上の資産を作ること。 過信は徐々に確信へと変わっていった。

    2008-11-04 07:46:00
  • 93:

    夢魔

    耳元に殺しのメロディーが流れ始める。 もう夢魔には強い信念があった。 どこにいても何をしていても決して不安は感じなかった。 夢魔は啓さんの瞳の奥を目を反らすことなく強く見続けた。 金、権力をひたすら求め続ける毎日が続いた。

    2008-11-04 07:53:00
  • 94:

    夢魔

    その日の夢魔は結局10錠以上の眠剤を体へと流しこんだ。 薄れていく記憶の中未来の映像は忘れることはなかった。

    2008-11-04 07:56:00
  • 95:

    夢魔

    自殺する人間はいまでも増え続けている。 夢魔は殺される前に相手を殺す。 それが何よりも強い快楽。 夢魔は人を殴るとき、血の匂いが大好きだった。 啓さんに出会ったのはそんな時だった。

    2008-11-04 08:10:00
  • 96:

    夢魔

    その翌日、夢魔に絡んでくる3人組がいた。 明らかにチンピラ集団だった。 突然のリンチ。 夢魔はその翌日、たまたまその3人組を街で見かけた。 夢魔は車のアクセルを強く踏み込んだ。 夢魔は血だらけの3人の首を強く強く締め続けた。 警察にかけこまれてもかまわない。 その時は3人の家族ごと殺す覚悟はできていた。 夢魔は3人の身分証をコピーした。 もし裏切ったら全員殺す覚悟はできていた。 血の匂いが夢魔は大好きだった。 夢魔は憎しみ、裏切りが大好きだった。 夢魔は3人の身分証を取り上げると、血だらけの3人の首筋にナイフを付きつけた。 警察に駆け込むなら命の保証はしない。 夢魔は3人の瞳の奥を強く見つめながら気が付けばまた殴り続けていた。 笑いが止まらない。 結局3人はその後警察に駆け込むことはなかった。 その頃の夢魔は人を殺すことに何も抵抗もなかった。 死ぬ人間が悪いのだ。

    2008-11-04 08:30:00
  • 97:

    夢魔

    今日もミナミのネオンの中を夢魔は歩き続けた。 ここはどこよりも心が安らぐ夢魔の第2の家だった。 電話が鳴る。 涼からだ。 夢魔はもう人を信じない。 お互いのメリットがあって初めて人間関係は成立するものだ。 それが正しいか間違いかは関係ない。 それが夢魔の価値観だから。

    2008-11-06 07:54:00
  • 98:

    夢魔

    夢魔は涼の腹をさぐった。 涼は夢魔に近づくことでどんなメリットがあるのだろうか? だが涼のことを知れば知るほど涼の温かさが伝わってきた。 涼もいままで裏切り、痛みに耐え抜いて生きてきた奴だ。 だが涼の目は限りなく透明だった。 陰りのない優しい目。 その奥には力強さが感じられた。 夢魔は次第に心を開くようになった。

    2008-11-07 07:17:00
  • 99:

    夢魔

    フラッシュバックがへってきた。 幻覚のときにか2、3日耐えれば大丈夫?
    その2、3日は地獄だった。
    壁を殴り、ガラスの破片で自分の体を切り刻む日々。 毎日がファンキーだゼ?

    2008-11-09 10:02:00
  • 100:

    名無しさん

    ↑主さんやないよね?

    主さん更新して欲しいです☆

    2008-11-20 00:39:00
  • 101:

    夢魔

    涼との毎日は楽しかった。 涼は5台の金融車を所有していた。 今日は黒の30後期型セルシオ。 夢魔は久しぶりに助手席に座った。 涼はテキーラを片手に荒々しい運転をしていた。 検問なんて関係なしだ。 昔から涼は必ず警察から逃げ切った。 こうゆうめちゃくちゃなノリはあの頃と何も変わっていない。 喧嘩、ナンパ、薬ばかりしていたあの頃の2人に戻ったようで夢魔は懐かしさを感じた。

    2009-01-28 07:34:00
  • 102:

    夢魔

    「女でも呼びません?」 涼が電話をかける。 女と合流すると4人は新世界へと向かった。

    2009-01-28 07:38:00
  • 103:

    夢魔

    4人は串カツ屋を出るとそのまま804へと向かった。 久しぶりにはしゃいだ。 酔い潰れて何度も吐いた。 夢魔は愛華と、涼は夢乃と一夜を過ごした。 朦朧とする意識の中ガンジャの匂いの立ち込める部屋で夢魔は眠りについた。

    2009-01-28 07:54:00
  • 104:

    夢魔

    ボロボロの体で夢魔と涼はそれぞれの仕事に行く。 荒れ果てた毎日の中でそれぞれの夢を追いかける日々が続く。 そんなある日啓さんからの着信が鳴る。 夕食の誘いだ。

    2009-01-28 07:59:00
  • 105:

    名無しさん

    頑張って下さいね?

    2009-01-29 00:00:00
  • 106:

    名無しさん

    続き待ってます☆

    2009-01-29 06:12:00
  • 107:

    名無しさん

    111?ァゲ

    2009-01-29 06:52:00
  • 108:

    夢魔

    コメントありがとうございます☆
    本当マイペースでごめんなさいm(__)m

    2009-03-09 06:00:00
  • 109:

    夢魔

    啓さんは夜の業界には無縁の人だった。 夢魔とは全く違う世界の人間だった。 30までサラリーマンとしてがんばってきた。 そして起業。 瞬間瞬間を走り抜ける生活。 啓さんは優しい目をしていた。

    2009-03-09 06:06:00
  • 110:

    夢魔

    夢魔との夕食の間、啓さんはすべての着信を見送った。 啓さんにとって夢魔と会う時間にどれだけの価値があったのだろう? 啓さんにとって夢魔は利用価値のない人間。 荒みきった夢魔の心には啓さんが夢魔と会う理由がわからなかった。 啓さんはよく「幸せを分かちあえる仲間がいてこその金だ」と言っていた。 憎しみの感情と金が結びついたとき、金は悲劇しかもたらさない。 これが啓さんの信念だった。

    2009-03-09 06:12:00
  • 111:

    夢魔

    この頃啓さんにはすでに何億もの資産があった。 年間に何億ものキャッシュフロー(純利益)があった。 夢魔はまだそこまでの資産は持ち合わせていない。 啓さんは人への思いやりの大切さを話し続けた。 だが夢魔にはキレイ事にしか聞こえない。 所詮金があるからこそ言えることなのだ。

    2009-03-09 06:18:00
  • 112:

    夢魔

    憎しみの力は過少評価される。 だが憎しみの感情はずっと夢魔の原動力だった。 いまさら生き方を変えるつもりはない。 キレイ事なんて吐き気がする。 所詮人間の性は悪。 啓さんとはこの日以来疎遠になっていった。 所詮夢魔とはベクトルが違うのだ。

    2009-03-09 06:24:00
  • 113:

    夢魔

    夢魔が興味があるのは啓さんの金だけだった。 夢魔にとっては啓さんは利用価値があった。 夢魔は啓さんの利用方法に日々頭を巡らせた。 金のためには手段は選ばない。

    2009-03-09 06:28:00
  • 114:

    夢魔

    担保は土地や物件だった。 周りの人間は利息の回収にやっきになっていたが、夢魔にとっては利息を回収できないほうが都合がよかった。 抵当流れ(借金のカタに押さえられた)の物件をかなりの安値で買い付けることができるからだ。

    2009-03-09 06:37:00
  • 115:

    夢魔

    夢魔はまたたく間に多額の資産を築きあげていった。 まるで何かに操れているかのように日々を走り抜けた。 信じられるものは金だけだった。 プルルルル。 プルルルル。 涼から着信が鳴った。

    2009-03-09 06:50:00
  • 116:

    夢魔

    夢魔と涼は久しぶりの再会を果たした。 涼の目は相変わらず澄み渡っていた。 2人はお互いのことを話し合った。 いまでは涼は3件のホストクラブを束ねるオーナーだった。 従業員への感謝の気持ち。 周りの人間の支え。 優しさ。 つらいときもそれがあったから乗り越えてこられた。 涼は優しい目でそう言った。

    2009-03-09 06:55:00
  • 117:

    夢魔

    夢魔は吐き気が止まらなかった。 夢魔の知っている涼はもうそこにはいなかった。 暴力、略奪、恨み、憎しみ。 それが夢魔と涼の共通点だった。 気の合う仲間と幸せを分かち合いたい。 涼は目を輝かせながら夢中に話した。 夢魔は裏切りを感じた。

    2009-03-09 07:01:00
  • 118:

    夢魔

    ちょっとしたことから2人は公論になった。 涼は「夢魔はかわいそうな奴やな」と言った。 夢魔の中に何かが切れた。 空白の脳に亀裂が入る。 血液が逆流していく。 止まらない喉の乾き。 気が付けば夢魔は涼を殴りつけていた。 懐かしい血の匂い。 なぜか笑いが止まらない。

    2009-03-09 07:08:00
  • 119:

    夢魔

    涼には夢魔を障害で訴えることも警察に売ることもできた。 だが涼は何もしなかった。 夢魔は空虚な時間の中で眠れない日々が続いた。 どうして涼を殴ってしまったのだろう? 夢魔は何日も寝ずに食わずに塞ぎこんだ。 やめていた薬に手を伸ばした。 金なら腐るほどあった。 毎日のように夢魔の周りには女が群がってきた。 何不自由ない生活。 夢魔は朦朧とする意識の中で部屋の窓からネオン街の光を見下ろしていた。

    2009-03-09 07:19:00
  • 120:

    夢魔

    気が付けば夢魔はベランダの柵に片足をかけていた。 生きることは苦痛を伴う。 死は苦痛から解放してくれる。

    2009-03-09 07:21:00
  • 121:

    夢魔

    なぜか夢魔は最期に優奈の声を聞きたいと思った。 夢魔は優奈に電話をかけた。 意外にも優奈はすぐに電話に出た。 昔の優しい優奈の声だった。

    2009-03-09 07:24:00
  • 122:

    夢魔

    優奈は夢魔を裏切った女だった。 夢魔を憎しみのエネルギーで満たしてくれた女だった。 殺したいくらい憎い女。 それなのに。 夢魔の目からは涙が溢れ続けていた。 優奈の声を聞いた瞬間、なぜか死ぬのが怖くなった。 電話を切ると、夢魔は20分ほどベランダの柵に座っていた。 ピンポーン。 呼び出し音が鳴る。 ドアを開けるとそこには優奈が立っていた。

    2009-03-09 07:33:00
  • 123:

    夢魔

    「やつれたね・・・。」と優奈。 夢魔は黙っていた。 優奈の目には涙が滲んでいた。 夢魔は感情もなくただただその姿を見つめた。 長い沈黙が続く。 「ごめんね・・・。」 優奈が静寂を破った。 夢魔は黙っていた。 再び長い沈黙が続く。 話したいことは山ほどあった。 なのに言葉が出てこない。 優奈がその場にしゃがみこむ。 夢魔はただただその場に立ち尽くした。 本当は優奈を強く抱き寄せたかった。 混乱。 不安。 懐疑心。 様々な感情が飛び交う。 胸が裂けるように痛い。

    2009-03-27 07:04:00
  • 124:

    夢魔

    一人が怖かった。 気が狂いそうだった。 優奈に側にいて欲しかった。 それだけだった。 それなのになぜか体が動かない。 夢魔は死んだ魚のような目で優奈を見下ろしていた。

    2009-03-27 07:08:00
  • 125:

    夢魔

    「寂しかった・・・。」 優奈はポツリとそう呟いた。 夢魔はふいに強い苛立ちを覚えた。 「ふざけんなよ!」 気が付けば夢魔は叫んでいた。 悲しみ、苦しみ、絶望、孤独。 夢魔の精神は崩壊寸前だった。 「ごめん。やっぱり今日は帰るね。」 優奈はそう呟くと静かにドアを開けた。 涙で化粧はボロボロになっていた。 目は真っ赤に腫れ上がっていた。 優奈は「ごめんね。」と呟くと部屋を出ていった。

    2009-03-27 07:20:00
  • 126:

    夢魔

    夢魔はただただ立ち尽くしていた。 その時ふいに感情が波打ち始めた。 感情なんてなくしていたはずだった。 心臓はすでに凍りついていたはずだった。 こんなに心が動いたのはどれぐらいぶりだろうか。 気が付けば夢魔は走り出していた。 「今日だけは。今日だけは側にいて欲しい。」 夢魔はそう言うと優奈を強く抱き寄せていた。

    2009-03-27 07:28:00
  • 127:

    夢魔

    夢だけをひたすら追いかけ続けていた。 周りの人間は駒としか思ってなかった。 感情はすべて殺してきた。 優奈の気持ちなんて考えたこともなかった。 裏切られたと叫び続けていた自分。 愛情を求め続けていた自分。 与えることもせずに与えられることだけを求め続けていた自分。 自分勝手だった自分。 人の痛みの分からない人間に与えられる資格なんてない。 周りは自分の裏返しだ。 どうしていままでこんな簡単なことに気がつかなかったのだろう。 「ごめんな・・・。」 夢魔は静かにそう呟いた。

    2009-03-27 07:43:00
  • 128:

    名無しさん

    いつも楽しみに読んでます☆
    マイペースで頑張ってください、応援してます☆

    2009-03-30 20:02:00
  • 129:

    名無しさん

    優奈、涼、啓さん。 優奈を紹介してくれた真さん。 夢魔には自分を支えてくれるたくさんの味方がいた。 夢魔はその優しさを裏切り続けてきた。 本当は気づいてた。 でも夢魔はそこから目を反らし続けてきた。 感謝や愛情が持つエネルギーは憎しみのエネルギーよりもはるかに弱い。 夢魔は憎しみの力を利用して登りつめる道を選んだ。 だがそこには悲しみしかなかった。 啓さんの言葉。 「愛情のない金は悲劇しかもたらさない。」 その意味が夢魔にもやっと理解できた。

    2009-04-30 08:49:00
  • 130:

    夢魔

    人にはそれぞれ夢がある。 後輩口々に「夢なんてまだわからないっすよ」と言う人間が多かった。 でも彼らには大きな夢があった。 自らのすべてを賭けることのできる夢を見つけるこ。

    2009-05-18 07:34:00
  • 131:

    名無しさん

    あげ

    2009-08-14 15:22:00
  • 132:

    夢魔

    アゲてくれる人、応援してくれる人。
    本当にありがとうございます☆

    2009-08-19 01:50:00
  • 133:

    夢魔

    心を許しあえる仲間に囲まれて毎日笑っていられる毎日。 それが夢魔の理想だった。 心はだんだんキレイになっていた。 これからは理想に向かって人を思いやる気持ちを大切にしていこう。 柄にもなく夢魔はそう思い始めていた。

    2009-08-19 01:55:00
  • 134:

    夢魔

    ミナミの夜景を見下ろしながら夢魔はこれからの自分、そしてそれを支えてくれる仲間。 徐々に満たされていく心。 人への感謝の気持ちを強く噛み締めながら金では得られない大切なものに夢魔は少しずつ気づいていった。

    2009-08-19 01:58:00
  • 135:

    名無しさん

    主サンが始め書き始めた頃からずっと楽しみに読み続けてます☆
    応援してるのんで完結までどおか頑張てくだつあい♪♪

    2009-08-19 20:04:00
  • 136:

    名無しさん

    これ転落死の書き方もろパクりやん

    2009-08-19 21:23:00
  • 137:

    sage

    パクりちゃうで(笑)

    2009-08-20 00:59:00
  • 138:

    名無しさん

    パクりやん笑

    2009-08-20 02:02:00
  • 139:

    夢魔

    141サン
    読んでもらってありがとうございます(v_v)

    142、143、144サン
    転落死。 懐かしいですね。 あれは僕が初めて完結させた小説ですφ(.. ) でも読んでくれて覚えててくれた人がいるんだなって思うとちょっとうれしいです。

    2009-08-31 05:25:00
  • 140:

    夢魔

    居場所がない。 親の愛が欲しい。 寂しい。 悔しい。 苦しい。 痛い。 見返してやる。 おまえらがいなくてもおれは強く生き抜いていってやる。 それが原点? 金、女、権力すべてを手に入れる。 それが原点? 恨み、憎しみ、猜疑心。 殺してやる、殺してやる、殺してやる。 それが原点? 夢魔は気づかぬうちに自分の原点に蓋をしてしまっていた。

    2009-08-31 06:12:00
  • 141:

    夢魔

    自分の原点。 自分の求めていたもの。 仲間に囲まれて毎日笑っていたい。 心を許せる相手がほしい。 自分の・・家が・・欲しい・・・。

    2009-09-03 07:31:00
  • 142:

    夢魔

    夢魔は涼の店に行った。 涼は別件で店にはいなかった。 夢魔はドンベリを10本下ろして涼を待った。

    2009-09-03 07:34:00
  • 143:

    夢魔

    1時間ほどして涼が来た。 「何しに来たんや?」 涼は夢魔を見つけた瞬間言った。 「なんやそのドンベリは? そんなもんいらんのじゃいっ! 何の機嫌取りやねんコラッ! あぁ!?」 そう言うと涼は柳(店長)に「おい7番テーブルタダにしとけ!」と言って店を出て行った。

    2009-09-03 07:44:00
  • 144:

    夢魔

    夢魔はすぐに店を出て涼を追いかけた。 涼に手が届く距離まできたとき、不意に夢魔は脳の揺らぐ音を聞いた。 涼の拳が夢魔のこめかみをとらえていた。 「立てやっ!」 涼が叫ぶ。 夢魔は突然の衝撃で頭がグラグラしている。 涼は夢魔が立ち上がるまでただただ待っていた。 「次ボディーな!」 涼はそう言うと夢魔の溝おちをえぐる。 夢魔は膝をつかずにこらえた。 「歯食いしばれ!」 次の瞬間には夢魔の意識はなくなっていた。 気がつけば空を見ていた。 「そういえば涼は昔から喧嘩強かったよな。」 夢魔は涼と一緒に単車を盗んだり車を飛ばしたりした日々を思い出していた。

    2009-09-03 08:03:00
  • 145:

    夢魔

    「ドンペリなんか何本下ろしてもらってもうれしないんや! それやったらうまいラーメンでも奢ってくれや。」 涼はそう言うと優しい笑顔を浮かべた。 「涼・・おれいつから間違ってたんかな。」 夢魔は空を見ながら言った。 「そんなめんどくさい話はまた今度にしよーぜ。 とにかく最初はおまえが手出してきたんやからきっちりラーメンも奢ってもらうで! あっ先言うとくけど大盛りやからな! それでチャラな!」 涼は昔と何も変わっていなかった。 むしろ変わったのは夢魔だった。 金、金、金。 それだけが目的になっていた。 他に何も信じるものなどなかった。

    2009-09-03 08:17:00
  • 146:

    夢魔

    金は手段であって目的ではない。 夢魔の夢はいつの間にか金だけになっていた。 感謝、感動、笑顔、喜び、優しさ、信頼、友情。 夢魔が金のために葬り去ってきた感情。 憎しみの力はエネルギーが強い。 だからその感情を利用することには価値がある。 だが夢魔が葬り去ってきた感情はなくしてはいけないもので溢れていた。

    2009-09-03 08:28:00
  • 147:

    名無しさん

    読んでます☆

    2009-09-25 17:31:00
  • 148:

    夢魔

    こんなマイペース更新に付き合ってくれて本当ありがとうございます☆

    2009-09-27 09:39:00
  • 149:

    夢魔

    「怪我治ったかぁ?」 涼からのメール。 「あぁおかげさまでな!」 ちょっと皮肉をこめた返事。 夢魔はあまのじゃくだ。 心の中では土下座していた。 その数秒後、着信。 涼からだ。 「飲みに行こうぜ!」 涼は何事もなかったかのようにあっけらかんとしていた。

    2009-09-27 09:45:00
  • 150:

    夢魔

    その日は涼の行きつけの串かつ屋で飲みあかした。ここではまるで自分の家のようにくつろぐことができた。 涼、啓さん、柳(涼の店の店長)と4人で久しぶりに飲んだ。 「ごちっ!これでチャラな!」 涼はそう言うと店を出た。 4人で2万程度の普通の串かつ屋だ。 それから朝まで4人で飲み歩いた。 キャバクラ、ショーパブ、ボーイズバー。 すべてが楽しかった。

    2009-09-27 09:53:00
  • 151:

    夢魔

    足取りがふらつく。 涼は夢魔を家まで送ってくれた。 家に帰った瞬間に夢魔は気絶するように眠りについた。 昼過ぎに目覚めると涼と啓さんからメールが入っていた。 「昨日はほんま楽しかったなぁ! また飲みに行こうな!」と涼。 「昨日は無事家に帰れたかぁ? 夢魔酒強いやないけ! 次はスピリタスで飲み比べしような!」と啓さん。 夢魔は「嘘ついたら針1万本呑ませるからなぁ!」と送るとウコンを飲んで仕事の準備を始めた。

    2009-09-27 10:15:00
  • 152:

    夢魔

    その数日後、夢魔は優奈を誘って涼の店に飲みにいった。 優奈は自分のネイルサロンを経営しながらもジュエリーのデザインを続けていた。 前に会ったときよりも強く、そして優しい目をしていた。

    2009-09-27 10:21:00
  • 153:

    夢魔

    夢魔の家に着く。 優奈は昔のように夢魔の胸で丸くなっていた。 いつの間にかフラッシュバックはなくなっていた。 こんな日々がずっと続けばいい。 夢魔はそう思いながら眠りについた。

    2009-09-27 10:28:00
  • 154:

    夢魔

    いつものように昼過ぎに目が覚めた。 そしていつものようにPCで株価のチェックをしていた。 その時ふいに恐ろしいニュースが目に飛び込んできた。 米の株価の大暴落。

    2009-09-27 10:32:00
  • 155:

    夢魔

    きっと翌日には日経の株価が暴落する。 夢魔は株式を一気に売り払った。 だが不動産はそう簡単に買い手は見つからない。 夢魔は一気に多額の負債を背負うことになった。

    2009-09-27 10:35:00
  • 156:

    夢魔

    まだ勝算はあった。 だが金がなくなったいま、夢魔に着いてくる人間はいなくなるだろう。 夢魔は頭がおかしくなりそうだった。 またあの日々が蘇る。 憎しみに支配された日々。 金と権力だけを求める日々。 仕方がない。 いままでの報いだ。 罪と罰。 夢魔は裁かれるべき人間。 いくら縋り付こうがきっと神は夢魔を見捨てるだろう。 夢魔の憎しみの感情が再び増大していく。 「誰でも何でも殺してやる!」

    2009-09-27 10:48:00
  • 157:

    夢魔

    それから夢魔はまた一人になった。 着信はすべて見送った。 金だけが夢魔の存在価値。 それを取り戻すまでは誰にも会いたくなかった。 人相がまた日に日に悪くなっていく。

    2009-09-27 10:53:00
  • 158:

    夢魔

    睡眠薬の量がどんどん増えていく。 酒の量がどんどん増えていく。 フラッシュバックが戻る。 夢魔は生きることに疲れ始めた。 自分が死ぬか、誰かを殺すか。 選択肢は2つしかなかった。 人の一生を終わらせる。 人の一生を追い詰める。 夢魔はそれしか金の作り方を知らなかった。 以前の夢魔なら迷わず誰かを殺していただろう。 だがいまはなぜかいまは自分が死ぬことを選ぼうと思った。 自分さえいなくなればそれですべてはうまくいく。

    2009-09-27 11:01:00
  • 159:

    夢魔

    ピンポーン。 家のチャイムが鳴る。 夢魔は朦朧とする意識の中で気がつけば鍵を開けていた。 最期に裁きを受けて死ぬ。 夢魔にピッタリの死に様だ。 人間の性は悪。 それをこの目に焼き付けよう。 それで最期だ。 夢魔は卑屈な笑みを浮かべながら審判の時を待った。

    2009-09-27 11:07:00
  • 160:

    夢魔

    玄関の扉が開くと涼、啓さん、優奈の心配そうな顔が目に飛び込んできた。 「おいなんでいきなり連絡ブッチやねんっ!」 涼が入ってくるなりそう言った。 夢魔は「わるいっ!仕事がめっちゃ忙しくて。」と返した。 その時優奈が初めて夢魔を殴った。 「なんで私に何も言うてくれへんの!? なんで全部一人で抱えこもうとするん!?」 優奈は目に涙をためながら叫んだ。 夢魔の状況は優奈にはすべてお見通しだった。

    2009-09-27 11:16:00
  • 161:

    夢魔

    優奈はやつれた夢魔の目をそらすことなく見つめた。 「なんでおれらに何も言うてくれへんねん! おまえ一人で生きてるんちゃうねんぞ! 何が仕事が忙しくてやねんっ! ツレにまで見栄はってどうすんねんっ!」 涼も目に涙を浮かべていた。 「おれら仲間やろ? 仲間がつらい思いしてるときに見捨てるわけないやろ? 頭冷やせよ。 それが仲間やろ?」 啓さんがゆっくりとした口調で言った。 「今日は空気読んでおれら帰るわ。 頭冷やしたらまた明日飲みに行こや。 まぁ優奈にしっかり説教してもらえや。 おまえがいっぱい裏切られてきたことおれは知ってるわ。 友達やからな。 そんな奴らと一緒にすんなや。 金なんかどうでもええねん! いい加減分かれよ! じゃあ明日待ってるからな。 強制やからな!」 涼はそう言うと啓さんと外へ出て行った。

    2009-09-27 11:38:00
  • 162:

    夢魔

    静まりかえった部屋の中、優奈が口を開く。 「バカッ!あほっ!優奈を金に着いてくるようなアホな女と一緒にせんとって!何がどうなっても私は夢魔の味方やで?なんでも一人で抱えこんで・・・夢魔はいつもそうや!自分には味方は誰もおらんとでも思ってるん!? どんだけ心配してたと思ってるん!?」 優奈はそう言うと夢魔の頭をポンと叩いて抱き着いた。 「今日は夢魔がいらんこと考えへんようにずっと一緒におるからっ! 嫌って言うても勝手にずっとおったるからな! わかったかこのやろぉぉ・・。」 夢魔は初めて自分の間違いに気づいた。

    2009-09-27 11:49:00
  • 163:

    夢魔

    夢魔の夢。 誰もが自分の夢を実現させるための学校を作ること。 支えてくれる人間がいて初めて夢は実現できる。 組む人間さえ間違えなければ夢は必ず叶えられる。 それを教えられた瞬間だった。 夢魔が作りたかった学校。 そこではそれを教えていけたらいいなと思う。

    2009-09-27 11:56:00
  • 164:

    夢魔

    「ありがとう。」 子供の頃から教えられてきた言葉。 その言葉の深さを夢魔は初めて知った。 いつも夢魔の胸で丸くなって眠っていた優奈が今日は夢魔を優しく包みこむように眠っていた。 夢魔は優奈の胸で丸くなって眠った。 「明日はみんなで飲みに行こうな。」 夢魔はそうつぶやくとそっと目を閉じた。

    2009-09-27 12:30:00
  • 165:

    夢魔

    夢魔はいままでの出来事を思い出していた。 裏切り、痛み、優しさ、温もり。 夢魔の夢はきっと叶うだろう。 「仲間と一緒にいつも笑っていたい。」 夢魔がその気持ちをずっと忘れない限りは。

    2009-09-27 12:44:00
  • 166:

    夢魔

    -完結-

    2009-09-27 12:45:00
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