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一年と、三ヶ月。
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1:
瑛太
『瑛ちゃん、あき瑛ちゃんの事大好きやで。』
『俺もやで。…ずっと一緒におろな。』
2008-08-08 16:34:00 -
3:
瑛太
寒い寒い冬の夜。足早に目の前を通り過ぎて行く白いコートの女の子を呼び止めた。可愛くても可愛く無くても、もしかしたら客になるかもしれないし。
『お姉さん!!落とし物!!』『えっ…?』
振り向いたのは、目がくりっとした丸顔の可愛らしい大人しそうな子。目を見張る様な美人ではないけど、確かに可愛い顔をしていた。2008-08-08 16:48:00 -
4:
瑛太
『あっごめんただの石やったわ〜。』
『………。』
その子は何も言わず、俺をキっと睨み付けるとスタスタと夜の街に消えて行った。
『瑛太さん何で追っかけないんですか〜!?可愛かったのに〜!!』
『まぁ可愛いけど…ホスト嫌いそうやったしなぁ…。』俺は普段は結構ぼぉっとしている。2008-08-08 16:54:00 -
5:
瑛太
それから店に戻って、のんびり仕事をしているといつの間にか閉店の時間。
適当にミーティングを終わらせタクシーで家の近くのコンビニに向かう。
俺は何故かコンビニが好きだ。雑誌コーナーで立ち読みをしていると、コンビニの前をフラフラと俯きながら歩いて行く女の子が見えた。
“あっ…あの子…”
孝が可愛いと行った、あの女の子だった。2008-08-08 17:04:00 -
6:
瑛太
普段ならキャッチした子なんか覚えて無いし、覚えていたとしてもこんな状況で声なんかかけない。
でも…あの日は何故か違っていた。
読んでいた雑誌を棚に戻し、慌ててその子の後を追いかけた。
『ちょっ…ちょっと!!』2008-08-08 17:11:00 -
7:
瑛太
…泣いてる…
振り向いたその子は、必死に口をくいしばり泣かない様にしているみたいだったけど、目から涙が溢れ出ている。
『…どしたん?』
『…あんたに関係ないやん…ほっといて。』
顔に似合わず、結構性格はきついみたいだ。2008-08-08 17:18:00 -
8:
瑛太
『確かに関係ないけど…そんな顔で歩いてたら変な子やで。』
『…喧嘩売ってるん?』
『喧嘩は売ってないけどとりあえずそこの喫茶店でも入ろや♪』
…本当に、ただ何となく放っておけなかった。ただそれだけ。
嫌がるその子を半ば無理矢理近くの喫茶店に連れ込んだ。2008-08-08 17:24:00 -
9:
瑛太
『何飲む?』
『…ミックスジュース…』
『ここコーヒー旨いねんで♪』『…コーヒー飲めん…』
どうやら性格以外は見た目通りらしい。
コーヒーとミックスジュースを頼んで、煙草に火をつけるとその子もガサガサと鞄の中から取り出したピアニッシモに火をつけた。2008-08-08 17:31:00 -
10:
瑛太
『名前は?』
『…あき。…あんたは?』『瑛太やで。』
初めて向こうから話しかけて来た事が嬉しくて、思わず本名を教えてしまった。『別に何でもいーけど。』『じゃあ聞くなよ笑。腹減ってないか?』
『減った。』
『なんか頼むか?それかちゃうとこ行くか。』2008-08-08 17:40:00 -
11:
瑛太
結局、24時間開いている居酒屋に行く事になった。
後にこの日の事をあきに聞くと、ヤケになっていてどうでも良かったらしい…
一方俺は子犬を拾った気分だった。
『…てかあんた何者?』
『やーかーらー夜会ったホストやって笑。何回ゆわすねん笑』2008-08-08 17:48:00 -
12:
瑛太
居酒屋に入ってビールをひたすら飲み続けていたあきは一時間が過ぎる頃にはさっきとは別人の様に話しだした。
『あたしさー、安キャバで働いててんやん!そこの代表と付き合っててんけど色やってん。そいつ結婚するんがわかって店辞めて来たったわ!!』
『その話もう三回目やで笑。まぁ何でも話し。』
あきは時おり悲しそうな顔をしながらも、無理矢理面白おかしく話そうとしているのが丸分かりだった。2008-08-08 17:55:00