小説掲示板月のチョコレートのスレッド詳細|夜遊びweb関西版

夜遊びweb掲示板 関西夜遊びweb掲示板 関西
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

月のチョコレート

スレッド内検索:
  • 1:

    ◆Azk4YMvgOg

    月子さんはいつも月子さんだ。


    いつでも何も変わらず、ただ甘酸っぱい視線を落とす。

    2008-08-16 14:02:00
  • 2:

    ◆Azk4YMvgOg

    平日の昼下がり。

    『おはよう〜』

    掠れた声とともにリビングに現れる月子さん。

    2008-08-16 14:05:00
  • 3:

    ◆Azk4YMvgOg

    月子さんは毎日寝坊だ。

    『…ごはん。』

    椅子に腰掛けながら、コーヒーを作ろうとする僕を遮る、昨日と変わらぬ月子さん。

    2008-08-16 14:10:00
  • 4:

    ◆Azk4YMvgOg

    「電ちゃんが作った湯豆腐があるよ?」

    もう何度繰り返したかも分からぬこのシーンですら、僕は心臓がバクバクして止まない。

    『あんたは?あんこは食べたの?』

    2008-08-16 14:12:00
  • 5:

    ◆Azk4YMvgOg

    僕達は奇妙な3人暮らしをしている。

    僕と電ちゃんは、元々巨大掲示板で趣味を通じて知り合った仲だ。

    知り合ってしばらくして、共同生活を始めた。

    2008-08-16 14:18:00
  • 6:

    ◆Azk4YMvgOg

    電気なんとか(よく覚えていない)っていうアニメだとかで、それはもうすごいハマりようだ。

    だから、電ちゃん。

    月子さんが命名した。

    2008-08-16 14:29:00
  • 7:

    ◆Azk4YMvgOg

    ちなみに電ちゃんの作る和食はとても美味しい。

    『あたしは和食が作れないのよ。』

    和食好きな月子さんがそう言った日から、電ちゃんは我が家のコックさんになった。

    2008-08-16 14:32:00
  • 8:

    ◆Azk4YMvgOg

    僕は…僕はあんこ。

    これでも一応、バーの店長をしている。

    (世間では《しがない》と言うのかもしれない。)

    2008-08-16 14:35:00
  • 9:

    ◆Azk4YMvgOg

    バーといっても小さな、だけど月子さんは『パワフルなところが好き』なのだそうだ。


    店長といっても雇われだけど、それなりに楽しみながら働いている。

    2008-08-16 14:37:00
  • 10:

    ◆Azk4YMvgOg

    月子さんは、お店のお客さんだった。


    いつも一人でフラリと現れては、大好きな《チョコレート》をお供に楽しそうにお酒を飲んでいた。

    2008-08-16 14:39:00
  • 11:

    ◆Azk4YMvgOg

    月子さんは変わっている。

    夕食はチョコレートとコーヒーと決まっている。

    これは一緒に暮らしてから知った事だ。

    2008-08-16 14:41:00
  • 12:

    ◆Azk4YMvgOg

    いつもにこにこ笑顔で飲んでいた月子さんがある日の晩、お酒を飲みながら泣き出した。

    『もう耐えられないの。』

    泣き泣き月子さんは訴えた。

    2008-08-16 14:43:00
  • 13:

    ◆Azk4YMvgOg

    月子さんの事をあまり知らない…知ってるけどよく知らなかった僕は、だけど泣いている月子さんを見るのは辛くて、

    「いつでも僕を頼ってください。」

    なんて頼りない言葉を口にした。

    2008-08-16 14:46:00
  • 14:

    ◆Azk4YMvgOg

    月子さんは濡れた瞳でそっと『ありがとう』と微笑み、『取り乱してごめんなさい』とそのまま帰ってしまった。


    僕はもう一生会えなくなってしまうんじゃないかと、すごく不安に思ったのを覚えている。

    2008-08-16 14:50:00
  • 15:

    ◆Azk4YMvgOg

    だけど次の日、月子さんはお店にやってきた。

    大きな鞄二つを手にして。

    『家が失くなったの。あんこちゃん、あんたを頼るわよ。』

    2008-08-16 14:52:00
  • 16:

    ◆Azk4YMvgOg

    とても素敵な笑顔で。

    そうして月子さんが、僕と電ちゃんのお城に仲間入りした。

    以前から僕が電ちゃんの話(当時は本名で呼んでいた)をお店でしていたので、不安はなかったらしい。

    2008-08-16 14:55:00
  • 17:

    ◆Azk4YMvgOg

    『男なんてダメよ。』

    月子さんはふっと口にする。
    僕と電ちゃんは男だ。

    2008-08-16 14:57:00
  • 18:

    ◆Azk4YMvgOg

    電ちゃんはバーチャルな女の子に夢中で、リアルな女性には見向きもせず月子さんを女性として見ないから安心らしい。


    僕は、オナベだ。
    体は女だから僕を安心しだと月子さんは言う。

    2008-08-16 15:00:00
  • 19:

    ◆Azk4YMvgOg

    月子さんは、性の対象として男の人に見られるのがとても嫌いで、『男なんてダメよ。』と言う。

    僕は、男であって男じゃない。

    だけど、女であって女でもないんだ。

    2008-08-16 15:02:00
  • 20:

    ◆Azk4YMvgOg

    月子さん、僕は今でもいつになっても貴女に恋するのは許されないのだろうか。

    『あたし、あんこの甘さって苦手なの。でもあんたは嫌いじゃないわ。』

    その言葉がどれだけ僕の胸を締め付けるか。

    2008-08-16 15:05:00
  • 21:

    ◆Azk4YMvgOg


    貴女は知らない。

    きっと、僕の本名を知らないよりももっと、知らない。
    .

    2008-08-16 15:07:00
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
月のチョコレートを見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。