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ざっしゅ。
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1:
T
『手に入らんねやったら、壊れてしまえばいいのに』
2008-09-14 09:58:00 -
2:
T
午後7時。
重たい体を引きずりながらベッドから下りて、煙草に火をつける。
『今エサやるからちょっと待っとけよ。ポポ。』
…隣で尻尾を振るのは、雑種のポポ。
一応男。2008-09-14 10:01:00 -
3:
T
俺は美容室とホストを経営してるしがないオーナー。
『…アキ…』
ふいに口をついて出たその名前に、ハッとする。
名前を呼んでも、もう応える人は居ないのに。2008-09-14 10:05:00 -
4:
T
…―数年前―…
『あー疲れたー。はよ帰ろ。』
『オーナー何もしてないじゃないっすか笑!てか一時間前に来たばっかりやのに…』その頃俺はまだ雇われで、オーナーとは名ばかりの、営業の終わる頃にふらっと現れるただのつまらない男だった。
現役時代の色恋の仕方なんてとっくに忘れたし。2008-09-14 10:09:00 -
5:
T
『じゃーお疲れー!』
いつもは店の前からタクシーに乗るのに、何故かその日は歩いてみたくなった。目的も無くただひたすら堺筋をプラプラと歩く。
…―ドンッ!!―…
“は…?誰やねん…”2008-09-14 10:13:00 -
6:
T
ぶつかって来たのは、見たところ十代の…女の子。
その子が大事そうに抱えているのは、足から血を流したボサボサの子犬。
『それ…拾ったん?』
思わず、声をかけた。2008-09-14 10:16:00 -
7:
T
『うん。コンビニ行こと思って歩いてたらそこの細い道からフラフラしながら出て来てん。やから病院連れてったろと思って。』
…顔を上げたその子は、くりくりのでっかい目を少し潤ませて、今にも泣き出しそうな顔をしてた。
『タクで行くん?』
『うん。でもあたし千円しか持って出てないしスウェットやし一回家帰ろ思って。』
『…一緒に着いてくわ。金俺出すし。』2008-09-14 10:22:00 -
8:
T
今でも、何故この時こんな事を言ったのかわからない。
特別犬が好きな訳でもないし、ナンパをする程女に困ってもなかった。
一歩間違えたらただのきもい男やし…2008-09-14 10:24:00 -
9:
T
『へ?嫌やわ。気持ち悪い。』
『ちょっ…そんなんゆわんといてや(笑)これ俺の名刺。変な奴ちゃうから。』
とりあえず名刺を出してみた。
『…こんなん信用出来ひんわ。顔のいい男と靴の先が尖ってる男には気つけろて言うやろ?』
『そんなん聞いた事ないわ笑。てかこいつもはよ治療してほしいやろなぁ〜。家帰ってる間も痛いやろなぁ〜。』2008-09-14 10:30:00 -
10:
T
『………何かしたらぶっ殺すから。』
そんな感じで…ってどんな感じかわからんけど、二人でタクシーに乗り近くの動物病院に向かう事になった。
『あんたほんま変な奴ちゃうやんな?今さらゆうんもおかしいけど…』
『真面目な男やで笑。』2008-09-14 10:34:00 -
11:
T
『ホストって時点でうさんくさいわ。あたしも何でこんな奴と一緒におるんやろ…本気でわからんくなってきた…』
『犬の為やろ(笑)』
これだけボロクソに言われても、何故か腹は立たなかった。
そんな事より、目の潤んだこの子を放っておけなかった。2008-09-14 10:37:00 -
12:
T
『この子な、多分捨て犬やねん。近くに毛布敷いてある段ボールあったし…捨てるとか本気意味わからんわ!しかもあんな道路近いとこに…』
『こいつ結構痩せてるもんな。まぁ診てもらおや。』そんな話をしているうちに病院に着いた。
院内はまぁまぁ込んでいてスーツ姿の俺とスウェットにすっぴんの女の子の二人組はかなり浮いていたと思う。2008-09-14 10:43:00 -
13:
T
『やから変ちゃうて(笑)ペット禁止なんやったらこいつも可哀想やろ?』
『うん…じゃあな、元気なるまであたし飼うからその間に信用させて!そしたら飼わせたげてもいいで。』『えらい上からやな…(笑)』
『あんたが悪い人には見えへんし、飼ってくれるんやったら嬉しいけど…一生の命預かるわけやしやっぱり…ちゃんとした人選んであげたいから。あっ!お金は返すから!』
『金はいいから。じゃあ代わりに番号だけ教えてや?』
…そうして、俺らは番号を交換した。2008-09-14 10:55:00 -
14:
T
タクシー代を渡し、その子を見送る。
赤外線で送られて来た電話帳を見ると、ハートに囲まれて“アキ”と入っていた。
久しぶりに店関係以外で女の子に出会えた事にちょっとテンションが上がりつつ自分の家に帰る。
“可愛かったなぁ…あの子…”
そんな事を考えながら眠りについた。2008-09-14 11:01:00 -
15:
T
目が覚めると辺りは真っ暗で、目を細めながら携帯の画面を見る。
すると、アキからの着信。俺は何故か嬉しくなってすぐにかけ直した。
『もし?ごめん寝てたわ』『おー。てかあんた○○のオーナーやってんなぁ。友達が行ってる店やぁ。』
『今気づいたんかい!これでちょっとは信用出来た?(笑)』2008-09-14 11:07:00 -
16:
T
『あたしホスト嫌いやから。身元ははっきりしたけど後はあんたの人間性やな。飛ばれたら意味無いし。』『飛ばんわ!(笑)じゃあ俺と一日遊んでや。』
ほんまに、この時は軽い気持ちやった。
今思えば…もっと一日一日を大事にしとけば良かったなぁ。2008-09-14 11:12:00 -
17:
T
『今は無理。仕事もあるしポポも一人に出来ひんし』『仕事って何してるん?』『キャバ。』
『てかポポって…(笑)それ名前?(笑)』
『うん。可愛いやろ?』
後から聞いた話、実家の犬の名前もツナと言うらしくアキはちょっと変わったセンスを持っている(笑)
『じゃあ俺家の近くまで行くし、毎日一時間だけしゃべろや?なっ?』2008-09-14 11:20:00 -
18:
T
『…家は教えへんで。一時間だけな。』
『はい(笑)』
こうして、俺とアキとの不思議な関係は始まった。
ほんまにお互い連絡を取り合う様になったのが不思議で仕方がないと、よく話してたよな。2008-09-14 11:27:00 -
19:
T
『時間ぴったりやん(笑)』『あたしより遅いって事』『あっ…なる程ね…』
俺は現役の時もずっとオラ営で、客もそれが良い様な子ばっかりやったし、アキみたいなタイプは新鮮やった。
『なぁ…何でダンベル持ってるん…』
アキの右手には、小さいダンベルが握られている。2008-09-14 11:40:00 -
20:
T
『何かされそうになったら投げつけたろと思って。』ダンベルて…あんま意味無いやん…
大真面目に話すアキを見ていると思わず笑ってしまった。
『ちょっ!あんた何笑ってんのよ?』
『お前おもろすぎやろ(笑)』2008-09-14 11:43:00 -
21:
T
それからもそんなしょうもない話をしていて、聞き出せたのはアキが19歳だと言う事ぐらいだった。
どうやらまだ警戒しているらしい。
…まぁ無理もないけど。
『あっ!もう一時間や。じゃあね。』
そう言うと、8時ぴったりにアキは帰って行った。2008-09-14 11:49:00 -
22:
T
『こんな家もう二度と帰らんわ!!』
2008-09-14 11:50:00 -
23:
T
『勝手にしろ!お前なんか息子でも何でもないわ!』
2008-09-14 11:51:00 -
24:
T
『……オーナー!オーナー!!どうしたんですか?ぼーっとして。』
『あっ…悪い。旅立ってたわ(笑)』
…思い出したくも無い事を思い出した。
昔の事をよく思い出す様になったのは…アキと出逢った頃からだろうか。2008-09-14 11:55:00 -
25:
T
アキと出逢ってから、一ヶ月が経とうとしていた頃。午前7時からの、たった一時間の他愛もない会話が俺の唯一の楽しみになっていた。
この頃にはアキの警戒心もだいぶ解けたのか、自分の事をよく話してくれるようになった。
アキは四人家族で、家族仲はかなりいい事や、夢の為に親に内緒でキャバで働いている事、好きな飲み物はミルクティーと苺ミルクとナタデココ等色んな事を嬉しそうに話すアキは、いつも幸せそうに見えた。2008-09-14 12:03:00 -
26:
T
あの日もいつもの様に待ち合わせ場所に行くと、ポポを抱いたアキが座っていた。
『おーえらい元気なったやん!』
『やろ?頑張ったもんなぁポポ。あっ!まだ地面下ろしたらあかんで!』
『はいはい。』2008-09-14 12:06:00 -
27:
T
『がっしりしたやろ?栄養ぶりぶりやからな(笑)』
『ほんまやなぁ!あとは俺がアキの審査に通るだけやな(笑)』
ポポは俺の事を覚えてるのか覚えていないのかわからんけど…顔中を絶えず舐め回してくる。
もしかしたら俺…かなり犬好きやったんかも。って気づいたんもこいつのお陰。2008-09-14 12:21:00 -
28:
T
『あんたがいい人なんは分かったから…あともうちょっとやな。』
『頑張らせていただきます(笑)』
最近は、男のくせに手がめっちゃ冷たい俺の為にアキがあったかいコーヒーを買って待っててくれる様になって、お返しに俺はこれまたあったかいミルクティーをあげるのが習慣になってた。
そんな些細な事ですら、今までお客さんが店で卸してくれてた何百本ってシャンパンよりも嬉しかった。…ごめんお客さんたち。2008-09-14 12:27:00 -
29:
T
『オーナー、最近楽しそうっすね。』
こいつは徹。一応ナンバーワンで、いつも俺にからんでくる。
『そうか?俺久しぶりに恋したわ(笑)』
『きもいっすよ(笑)オーナーが惚れた子とか見てみたいっすけどね。』
『見せたらんけどな(笑)』『やっぱり(笑)』2008-09-14 12:32:00 -
30:
T
俺は自分でも、独占欲は強いと思う。
現役の時は彼女なんか作らんかったし、客とも一定の距離を保って好きにならんようにしてた。
そうしてる内に好きって感情すらもいつの間にか思い出せんくなって、かれこれ数年彼女と呼べるような子はおらんかった。
やのに…2008-09-14 12:39:00 -
31:
名無しさん
あげ?
2008-09-14 22:49:00 -
32:
T
33さん読んでくれてありがとうございますm(__)m
2008-09-14 23:40:00 -
33:
T
『オーナー久しぶりに飯でも連れてって下さいよ。』『ナンバーワン連れて行くんやったら下の食えてない奴ら連れてったるわ(笑)』『じゃあみんなで今日終わったら飯行きましょ。』
うちの店は、比較的もめ事も少なくて従業員同士の仲はいい方やと思う。
徹がいつも、俺や従業員の子らとの親交の場を用意してくれるんが大きい。
アキとしゃべってから店に顔を出すのが習慣になってた俺は、機嫌が良かった事もあり従業員の子らを飯に連れて行く事になった。2008-09-14 23:47:00 -
34:
T
『肉やぁ!うぉー!!』
『獣か(笑)一枚喰うごとに一回俺に感謝しながら喰えよ(笑)』
みんなの希望もあり、焼肉屋に行く事になった。
繁華街から少し離れた場所にあるこの焼肉屋は、俺のお気に入り。
旨い…けど真っ昼間から肉はきつい。適当につまみつつも煙草をふかしながら嬉しそうに肉を食べるみんなを見ていた。2008-09-14 23:54:00 -
35:
T
“俺も昔はこんなんやったなぁ…”
ホストを始めたのは16の時で、今みたいに風営法は厳しくなくてミテコなんかいっぱい居た。
でっかい鞄に詰めれるだけ詰めた服を持ち、寮に転がりこんだのはちょうど今みたいな寒い寒い夜の事。
3LDKに四人で住んでいた頃が懐かしい。2008-09-14 23:59:00 -
36:
T
『オーナーって謎ですよね。』
シャンパンをたらふく呑んだ赤い顔をした徹がメンソールの煙草の煙を吐き出しながら呟く。
『謎って何が?』
『いや…あんま自分の事話さないじゃないっすか。』『別に…話さんのじゃなくて話す事が無いだけやで』これは本心だった。
何かに一生懸命になる事も隠し事も…何もなかったから。…ただ一部分だけ、触れられたくない場所はあったけど…そんなん誰にだってあるはずやし。2008-09-15 00:13:00 -
37:
T
『オーナー、携帯鳴ってますよ。』
『おっほんまや。誰やろ』画面を見ると、赤外線で交換した時のままのハートに囲まれた“アキ”の文字。『もし?』
『…今すぐいつもんとこ来て。じゃあ。』
それだけ言うと電話は切れた。
“なんかあったんかな…”女に振り回されるなんて、と思いつつも徹に金を預け待ち合わせ場所まで急いだ。2008-09-15 00:19:00 -
38:
T
いつもの場所に行くと、手に缶コーヒーを持ったアキが座っていた。
『どしたん?』
『…大家に犬飼ってるんばれた。』
『嘘やん!?』
『何でそんなしょおもない嘘つかなあかんねん。多分隣の人が鳴き声聞いたっぽくて大家が確かめに来てん。』2008-09-15 00:23:00 -
39:
T
『ほんまか…じゃあ俺ん家連れといでや。』
『うん…ポポを捨てるか出て行くかどっちかにしろってゆわれたからなぁ…。』『まぁ飼ったらあかんとこやからな。』
『犬嫌いな人もおるやろしな…てかあんた家にちゃんと毎日帰るん?』
『あー…一日に一回は絶対帰るけど…』
当時俺は、上の人がやっている風俗店も見たりしていたから家に居ない時間も多かった。2008-09-15 00:29:00 -
40:
T
『それは…よろしくないな。ポポを必要以上に一人にしたくない。』
アキは、誰かを一人にする事を異常なまでに嫌がった。
…そんなお前に、もっと早く気づいてやれば良かった。ごめんな、アキ。2008-09-15 00:33:00 -
41:
T
『じゃあさ、俺がおらん間ポポ見に来たらいいやん!それやったらお前もポポも寂しく無いやろ?』
『…あんたよぉそんな事あんまり知らん女にゆえるな。あたしが何かしたらどうするん?』
ほんまにアキの言う通りやけど、俺にはとてもじゃないけどアキが信用出来ひん女には思われへんかった。『俺ん家なんも無いし大丈夫や(笑)てか早くポポ連れて行こや。なっ?』
『…うん…』2008-09-15 00:39:00 -
42:
T
『お邪魔しまー!!』
初めて入るアキの家は綺麗に整理されていて、いかにも女の子って感じの部屋やった。
『お前…買いすぎやろ…』ポポはゲージに入れられていたけど、その中には苺型の犬用のベッドやぬいぐるみが置かれていて、ゲージの周りには犬グッズがいっぱい並べられていた。
『ポポちゃんと寝る時は苺ん中入って寝んねんで!』嬉しそうに話すアキは、やっぱり可愛い。
…俺きもっ2008-09-15 00:46:00 -
43:
T
『てかこんだけあったらタク乗せられへんなぁ…』
と言う事で、一旦家に車を取りに帰って車で運ぶ事にした。
『あんたほんっまにポポに何かしたら許さんからな』どうやらアキはまだ俺を疑っているらしい。
『大丈夫やって(笑)俺そこまで酷い男ちゃうわ(笑)』そんな会話を聞いているのかいないのか、元気になったポポは尻尾を振りながら外を眺めていた。2008-09-15 00:55:00 -
44:
T
『お邪魔しまぁす!…てか広っ!あんたここに一人で住んでるん!?』
『おぉ。何も無いけどな』『良かったなぁポポ、広い家住めて。』
『そいつゲージ入れんでも放しといてええで。』
『でも…この子まだおしっこ完璧には出来ひんからどっかにするかもしれんで?』
『まぁそん時はそん時や(笑)』2008-09-15 01:00:00 -
45:
T
ポポとじゃれるアキを見ながら、棚の奥にしまいっぱなしのスペアキーを探す。今まで、本当に仲がいいツレ以外誰も入れた事の無い部屋にアキが居るのは不思議な感覚だ。
『あ゙ー!!』
突然のアキの叫び声にびくっとする。
『どっ…どしてん…?』
『ポポがおしっこした(笑)』2008-09-15 01:09:00 -
46:
T
フローリングの床には、地図が描かれている。
『あかんやろーポポ!!』軽くポポを叩きながらしつけをしているアキは、もう居ない…母親を思い出させる。2008-09-15 01:16:00 -
47:
T
『こらっ拓也!あかんやろー?ごめんなさいは?』
2008-09-15 01:17:00 -
48:
T
『ごめんなさい…お母さん…』
2008-09-15 01:20:00 -
49:
T
『ちゃんと謝れる拓也はいい子やなぁ。やから悪い事したら謝るんやで?お母さんとの約束な。』
2008-09-15 01:26:00 -
50:
T
『たっちゃん!!』
ハッとしてアキの方を見る『あぁ…ごめん。どしたん?』
『ゴミ箱どこ?掃除したから。』
『あ…そこ。んでこれ鍵な。いつでも来いよ。』2008-09-15 01:30:00 -
51:
T
『…やっぱ人ん家に勝手に入るん気引けるわ…』
『俺は気にしやんけどなぁ。あっ!じゃあ来る前に連絡入れてや?それでいいやろ?』
『うん…今日はもう寝るだけ?』
『とりあえずな。』
『じゃあ餌の作り方だけ教えてあたし帰るわ。』2008-09-15 01:34:00 -
52:
T
『一緒に寝て行かんの?』『…黙れ。』
『笑』
言葉通り、餌の作り方を教えるとアキは帰って行った。2008-09-15 01:39:00 -
53:
T
『たっちゃんお帰り!!』…アキと出逢って三ヶ月。この時にはもう俺が家に帰るとアキが居る事が当たり前になっていた。
『お前毎日来てて寝んでいけるんか?』
『ポポの為やしなぁ。』
アキは、仕事がある日は9時に出勤して仕事が終わると俺が帰る昼前ぐらいまで家に居て、それから自分の家に帰ると言う生活を送っていた。2008-09-15 02:46:00 -
54:
T
『てかさ、あんた休み無いん?』
『お前が俺の事聞いてくるとか珍しいやん(笑)俺はいつでも時間空けれんで。』『じゃあ車出してや。ポポどっか広いとこ連れてったりたいねん。』
『おー!そうしよか!』
アキからの初めての誘いを断る訳もなく、次の休みに大阪城公園に行く事になった。2008-09-15 02:50:00 -
55:
T
『『さっっっぶー!!』』…季節は真冬。
『誰!?こんな寒いのに大阪城行ことか言い出したん!?』
『お前や!(笑)』
凍えてる俺らとは正反対に、マフラーを巻いたポポは外の世界が珍しいのかはしゃぎまわっている。
『…まぁポポが嬉しそうで良かったわ…』2008-09-15 02:55:00 -
56:
T
鼻を真っ赤にしながらアキは満足そうに笑っている。『あたしな!色々持って来てんで!ビニールシートにボールに…あったかいお茶とお弁当!!』
『弁当あるん!?マジで!?』
『感謝してな(笑)車出して貰ったお礼。』
今思えば、アキは良い意味で男心を掴むのが上手かった。2008-09-15 03:00:00 -
57:
T
『たっちゃん卵焼きは甘い派?』
『俺はしょっぱい派やな』『良かったー!うちな、卵焼きは醤油入れんねん。』…遠い、遠い、まだ俺が小学生だった頃の記憶。
母親が作った卵焼きはいつもしょっぱかった。
小さい頃の俺はほんまにお母さんっ子で、運動会とか弁当の日はいつもそのしょっぱい卵焼きを楽しみにしてた。
…もう二度と食べられへんけど…2008-09-15 03:06:00 -
58:
T
アキの作ってくれた弁当はほんまに旨くて、寒い事なんか忘れてがっつく俺を、アキは嬉しそうに見てた。それからポポと遊んだりしてると辺りはもう真っ暗で帰る事になった。
『家まで送ってくわ。』
『んー家帰っても暇やしポポと遊んで帰ってもいい?』
…あかん訳がない。アキはきっと俺を男としてなんか見てないやろうけど、一緒におれる事がただ純粋に嬉しかった俺は、意気揚々と車を家に向けて走らせた。2008-09-15 03:16:00 -
59:
T
たっちゃん、たっちゃんって呼んでくれる犬みたいなお前が、ほんまに好きやった。
アキ
お前は今笑えてるか?
幸せに…なったか?
俺は…2008-09-15 03:19:00 -
60:
T
『なぁたっちゃん、お腹減らん?』
『減った!何か作ってくれんの?(笑)』
『…しゃあなしでな。』
家に帰った俺らは、夕食の買い物をする為にスーパーに向かった。
ちょっと恋人同士みたいやん、と浮かれてる気持ち悪い俺をしり目に、アキはテキパキとカゴに食材を放り込んでる。2008-09-15 03:24:00 -
61:
T
『何作ってくれんの??』『ハンバーグ。あたしハンバーグ好きやねん!!……たっちゃんは?』
上目遣いでそう聞いてくるアキに少し照れながら、俺も好きやで、と答えた。
背が180ある俺からしたら決して小さくはない160ぐらいのアキでも、プラプラと歩く姿はチマチマしててほんまに犬みたいやった。2008-09-15 03:29:00 -
62:
T
ハンバーグは予想通り旨くて、食い終わった俺らはDVDを観ながらビールで乾杯。
『お前酒強いん?』
『余裕で。』
…―二時間後―…
『ふへへへへへ…』2008-09-15 03:36:00 -
63:
T
『お前…気持ち悪い笑い方すんなよ…(笑)』
余裕。とか言ってたアキが奇妙な笑い方をしだした。どうやら酔っぱらってるらしい。
ソファーでぐでっとなってるアキをベッドに運び、煙草に火をつけた。
『お前襲うでー?(笑)』
そう言っても反応は無い。2008-09-15 03:41:00 -
64:
T
真っ暗な部屋に浮かぶのは真っ赤な真っ赤な煙草の火
俺は、夜が嫌いやった。2008-09-15 03:44:00 -
65:
T
小さい頃、夜になると聞こえてくる、ある“音”が大嫌いやったから。
夜は 疾るしかない。
人の形を保ったまま朝を迎えたいのなら、一時でも活動を止めてはならない。2008-09-15 03:47:00 -
66:
T
ベッドの温かさは
指先からゆっくりと人の体をほどいていくし
思考の停止は体と脳の溶解を意味するから
2008-09-15 03:49:00 -
67:
T
『…たっちゃん…』
ベッドの淵に下ろしていた腰を持ち上げようとするとアキが名前を呼んだ。
顔を見ても、寝息をたてて穏やかな表情をしてたからきっと寝言やろう。
そっと頭を撫でてリビングに戻った。2008-09-15 03:53:00 -
68:
T
『ごめん!めっちゃ寝てたわ!!』
朝方、アキが目を覚ました。
『よだれ垂らしてたで笑』『嘘やん!?てかあたし帰るな。今日実家帰らなあかんねん!』
送る、と言った俺にポポとおったげて、とアキは一人で帰って行った。2008-09-15 03:58:00 -
69:
T
その日は少し寝て、オープンから店に行く事にした。俺はたまに接客もするし、呑めと言われた酒は他の従業員と同じ様に呑む。
仮にもオーナーの俺が一晩中店に居るとなれば、従業員も必死で客呼びをして店も盛り上がるから、大体月に数回そんな事をしてた。2008-09-15 04:06:00 -
70:
T
夜のこの街は安心だ。
誰も他人に感心がない。
上澄みだけをなぞる様な優しさは自分を傷つけへんし空を覆う暗闇はネオンに照らされて明るいし
人で溢れるこの中に紛れてしまえば自分が独りやなんて気付けない。2008-09-15 04:09:00 -
71:
T
取り残されるのを嫌って
疾走し続ける人々で溢れるこの街は
俺に優しい。
…―それやのに、俺は温もりを知ってしまった―…2008-09-15 04:11:00 -
72:
T
『オーナーってさ、よく意識飛んでるよね(笑)』
徹のエース。東京出身の可奈ちゃんが笑う。
『ほんまに?笑。最近よく昔の事思い出すねんなぁ』『年じゃない?(笑)』
『まだまだ若造や(笑)』
『あっそっか。あたしと同い年だったっけ(笑)』2008-09-15 06:58:00 -
73:
T
可奈ちゃんは二十歳の時にこっちに出て来て、徹にはまり今はソープで働いている。
まぁ…楽なお客さんで、俺が店にいる時はよくしゃべったりしてた。
『せっかくオーナーについて貰ってるから、シャンパンでも卸すよ。』
『ごちっ(笑)』
『ちょっとは遠慮してよね(笑)』2008-09-15 07:01:00 -
74:
T
それからコールが始まり、可奈ちゃんは次から次へとシャンパンを卸していった。
『オーナー!あたし酔っちゃったぁ!』
コールが終わる頃には可奈ちゃんはもうフラフラで、ビップ席で寝転がりだした。
『ごちそうさま!茶飲んどき。』
『ありがと。…ねぇ…オーナーは口座に出来ないの?』2008-09-15 07:05:00 -
75:
T
『…俺は基本無理やなぁ。現役ん時から知ってるお客さんが来る時はたまに顔出すけど。…徹じゃ嫌なん?』
『嫌ってゆうかさ、たまに虚しくなるんだよね。こんなにお金使ってんのに手に入らないのがもどかしい』徹はバリバリの色オラ営。でも枕はあまりしない。
『何やかんやゆうて好きなんやろ?』
『…まぁね(笑)でもあたし最近オーナーの方が好きなんだけど。』
…いきなり何を言い出すねん…面倒くさ…2008-09-15 07:12:00 -
76:
T
正直、俺は客に対しては最低だと思う。
『可奈ちゃん酔いすぎやで(笑)徹にチクったろかな笑』『もーあたし本気なのに!オーナー格好いいし若いし…あたしだったら満足させてあげられると思うけどなぁ…』
可奈ちゃんは自慢の胸をプルプルさせて上目遣いでこっちを見てくる。
…気持ち悪い…どうせ“ホスト”が好きで“オーナー”って地位が良いだけなくせに…2008-09-15 07:18:00 -
77:
T
たまに、自分の給料があるのはお客さん達のお陰だと言う事も忘れて暴言を吐きそうな時もある。
…この時の俺は、まだまだ子供やったように思う。
『そんな色っぽい顔は徹にしたり!(笑)そろそろあいつ呼んで来たるわ。ちょい待っててな。』
そう言い残し席を離れた。2008-09-15 07:23:00 -
78:
T
2008-09-15 10:10:00 -
79:
T
俺にもっと
真冬の凍えるような寒さの中でも
春を想う強さが
力があったなら
2008-09-15 10:12:00 -
80:
T
2008-09-15 10:13:00 -
81:
名無しさん
うちもわんチャン飼ってます?更新楽しみにしてます?
2008-09-16 03:41:00 -
83:
T
『徹〜可奈ちゃんパス!』『オーナーもうギブっすか?(笑)』
『うん(笑)もう俺には現役の時のパワーはないわ(笑)』とりあえず徹に任せ、事務所に戻った。
…ポポ一人やしはよ帰りたいな…
この時もう既にポポ一筋(笑)2008-09-16 04:50:00 -
84:
T
俺の家庭は少々複雑だ。
あのしょっぱい卵焼きを作ってくれた母親と俺は、血が繋がっていない。
親父の前の嫁との子供が俺。
血も繋がっていないのに、本当の息子の様に可愛がってくれたから余計に母親が好きだったのかもしれない。2008-09-16 04:57:00 -
85:
T
ふと、アキの事が気になったので電話をかけてみる。……出ない。
聞こえてくるのは、呼び出し音に設定されている切ないラブソングだけ。
チッと舌を鳴らし、再び接客に戻った。
俺は自分でゆうのも何やけど…我が儘。自分が構って欲しい時に相手に構って貰えんかったら拗ねる。2008-09-16 05:06:00 -
86:
T
『オーナーって女嫌いっぽいですよね。』
よく、徹以外の従業員にそう言われる。
女が嫌いやったらホストなんかやる訳ない。
やのにそう言われるぐらいやから、周りにはよっぽど酷い男に見えてたんやろな。
女嫌いか…ある意味では当たってるけど。2008-09-16 05:11:00 -
87:
T
『ただいまー!ポポ、ええ子にしとったか?』
早めに仕事を切り上げて家に帰ると、アキの姿は無かった。
俺もある意味雑種。ポポも雑種。こいつはまるで兄弟みたいだ。
ポポに餌をあげながら俺もコンビニで買ってきた飯を食う。2008-09-16 05:17:00 -
88:
T
餌にがっついていたポポが耳をピンと立て、玄関の方へ走って行った。
『ポポー!帰ってきまちたよー!!』
…アキだ。口調からも、酔っている事が伺える。
『うわっ!何であんたおるん!?』
『失礼な奴やな(笑)今日は早めに帰って来た。てかお前電話したのに出ろよ。』『あーごめん!太客来ててめっちゃ呑まされて、しかもアフターでホストまで行かされたわ…』2008-09-16 05:22:00 -
89:
T
『…ふーん。』
自分だって、キャバクラに呑みに行く事はあるのに何か嫌な気持ちになった。
『あ゙ー疲れた!ビール!』『は?お前まだ呑むん?』『うん。今日休み取ったから大丈夫。…なんか呑みたい気分やし。』
仕方なく、冷蔵庫からビールを取りだし渡すと、アキはグビグビと音をたてながら飲み不味い!と言って笑っていた。2008-09-16 05:27:00 -
90:
T
『不味いんやったら呑むなよ(笑)』
煙草をくゆらせながら笑う俺を、じっと見つめるアキ。
『なぁ…』
『ん?』2008-09-16 05:30:00 -
91:
T
『あんま…そんな風に笑わん方がいいで。せっかくの別嬪さんがもったいない』
2008-09-16 05:32:00 -
92:
T
2008-09-16 05:33:00 -
93:
T
『…ってゆうねん。俺の笑う顔っておかしい?』
俺は刺身をつまみながら、ロックで焼酎を飲んでいる“涼子”に問いかけた。
涼子は俺が新人の頃から連絡をとっている唯一の客。嘘を嘘。遊びは遊びとわかって飲み込んでくれる人やった。今でもたまにこうして飯に行っては愚痴や悩みを聞いてくれる。
『ははっ!!』2008-09-16 05:38:00 -
94:
T
『…何で笑うねん!?』
『いやぁ…いい傾向やなと思って。でも…ちょっと寂しい…かな。』
涼子は、時々何でも解ってるみたいに笑う。
この時の俺は、涼子の言っている意味が理解出来なかった。2008-09-16 05:41:00 -
95:
T
『んで、あんたは何て答えたん?』
『…何も答えれんかった。てか…何て答えたらいいんかわからんかった。』
結局あの日アキは、それだけ言い残し帰って行った。次の日からはまた何事も無かったかの様な顔してたし、俺もそれをどうゆう意味でゆったんかは聞かんかった。2008-09-16 05:47:00 -
96:
T
『拓也もまだまだやな(笑)』
『うるさい(笑)』
…結局この日は、知り合いの店がイベントだと言うので涼子と朝方まで呑みに行っていた。2008-09-16 05:50:00 -
97:
T
『ゔっ……やば…』
シャンパンやブランデー等、色んな物を呑まされた俺は久しぶりに潰れかけていた。
必死の思いで家に帰ると、いつもの様にアキの姿が。『お帰り!…って酒くさっ!めっちゃ酔ってるやん』『おー…』
…思考停止、一歩手前。2008-09-16 05:56:00 -
98:
T
『大丈夫?今日仕事休みや。』
『…今日は休み。』
『じゃあゆっくり寝とき』『・・・いや。』
『何で!?アホゆうてんとゆっくりしときや。』
『夜…長いから嫌…』2008-09-16 05:59:00 -
99:
T
『あんた、寂しいん…?』
2008-09-16 06:01:00 -
100:
T
まっすぐ、俺を見つめる真っ黒なアキの瞳。
『…寂しい?何それ。誰が?おもろい事ゆうなぁお前。全然平気やで。』
…いきなり中枢部分に触れられたみたいで、苛々する。
『嘘やん!笑えてないやんあんた!!』
『…だから何?』2008-09-16 06:06:00 -
101:
T
『お前が、側にでもおってくれんの?』
2008-09-16 06:07:00 -
102:
T
…何で俺はこんな苛々してるんやろ。
こんな八つ当たりみたいな事…ゆうつもりじゃなかったのに。
アキの事は確かに好きやったけど、“愛してる”とはちょっと違う…
ハズ。2008-09-16 06:10:00 -
103:
T
『いいよ。』
2008-09-16 06:11:00 -
104:
T
『…へっ?』
『側ぐらいなんぼでもおったる。あんた一人にしたら泣いてまいそうやし。』
…アキは、どう言うつもりでゆってるんやろう…。
『その代わり!』
唇が触れそうな距離まで、アキの顔が近づく。2008-09-16 06:14:00 -
105:
T
『あたしがいいんか、あたしでもいいんかはっきりさしてな。その他大勢の中の一人にはなりたくないから。』
2008-09-16 06:16:00 -
106:
T
…調子が狂う。
アキが帰った後、ソファーで煙草を吸いながらさっきの出来事を考えていた。
俺は、アキを好きなんやろか。
アキは、俺を好きなんやろか。
確かに他の女とは違う何かを感じる。…でも…2008-09-16 06:18:00 -
107:
T
2008-09-16 06:21:00 -
108:
T
『なぁ、あの綺麗な人って彼女なん?』
次の日。アキは何事も無かったかの様にやってきた。『綺麗な人って…誰?』
『髪の毛長くてゆるーく巻いてる…なんか優しそうな人。あんたが潰れて帰って来た日、一緒に歩いてんの見た。』
『ああ…涼子か。別に…』『そうなん?でもなんか違うふうに見えた。てっきりあの人と恋人なんかと思った。』2008-09-16 06:29:00 -
109:
T
『無いわ、そんなん(笑)』
涼子とは、何となしに出会って恋には発展しないまま避難する様に自分の居場所を彼女に求めた。
『熱砂から一時的に逃れてオアシスで休憩するみたいなもん。アキが言ってる様な事には発展しやんで。』2008-09-16 06:34:00 -
110:
T
…それは、彼女も同じように。
アキにしてみれば、傷の舐め合いか、とか言われるんやろうけど。
きっと実際似たような物やけど2008-09-16 06:36:00 -
111:
T
『…それで、幸せなつもり?』
『…幸せやで。つもりじゃない。』
『そっか…けどな、それだっていつか終わんねんで。…最後は一人や。』2008-09-16 06:39:00 -
112:
T
『…ご忠告ありがとう。』『真面目に聞いてや!!』アキは、いつになく突っかかってくる。
『やけに絡んでくるな。何?俺お前になんかした?』…また、冷たい言い方をしてしまった。2008-09-16 06:44:00 -
113:
T
『好きな奴の心配して何があかんの!?自分の惚れてる奴が寂しいのまぎらわす為に他の女とおんねんで?それでも結局寂しそうやねん!!…誰だって嫌やろ…そんなん…』
2008-09-16 06:46:00 -
114:
T
『…えーと…ちょっと待ってな。アキ…俺の事好きなん?』
突然の告白に、頭が回らない。
アキは俯きながら小さく頷いた。
『だって…お前いっつも冷たいし別に俺の事聞いて来たりもしやんかったやん…』2008-09-16 06:49:00 -
115:
T
『だってほんまにどーしようも無いねんもん!!あんた思ってる事の半分もゆわんし、女たらしなんはほんまやし、人の話あんま聞いてないし適当やし相当あかん大人やけど…』
『ちょっ!お前言い過ぎやろ(笑)俺にも傷つく心はあるんやで(笑)』
…確かに、アキの言う通りやった。
仕事の合間に、適当な女と会ったりもしてたし…2008-09-16 06:54:00 -
116:
T
『でもっ…放っとかれへんねんもん…。あんたのそーゆうどうしようも無い所とか、全部愛しいねん!!…ぐしゃぐしゃに抱き潰してやりたい…可愛い、あんた』
2008-09-16 06:56:00 -
117:
T
…そりゃ、俺もアキを愛しいと思うけど…本気で好きなんかもわからんし…
こんな面と向かってゆわれたらどうしていいかわからんくなる。
今までの俺やったら、こんなん軽くあしらって終わりにしてた。
やのに…
心臓が痛い。2008-09-16 07:00:00 -
118:
T
2008-09-16 07:04:00 -
119:
T
『オーナー!オーナー!』『おっ…悪い…ぼーっとしてたわ。』
結局、俺は仕事があると逃げる様に家を出た。
アキはまだ家におるんやろか…
『今日オーナーぼぉっとしすぎですよ(笑)話全然聞いてないでしょ(笑)どうします?次のイベント。』2008-09-16 07:07:00 -
120:
T
仕事中は、何やかんや言っても楽しい。
何かに没頭していれば、嫌な事なんか忘れられるし、何もせんくても俺は笑っていられる。
…やのに…ちらつく影が消えへん…
これが俺にとって最善で、今この瞬間、俺は幸せな筈やのに2008-09-16 07:10:00 -
121:
T
触れて欲しくないトコロに簡単に入り込んでくる様なあの無神経さが忌々しい。俺はアキを気にしていると言えば気にしてるけど、そんなんアキは知らん筈やし告白したのに逃げられたと思ってるかもしれん。
俺だってそれを知って欲しい訳じゃない。
知らんなら知らんで、むしろそのままでいい。2008-09-16 07:15:00 -
122:
T
だって俺は、特定の一人を作りたくない。
2008-09-16 07:16:00 -
123:
T
結局その日家に帰るとアキはおらんくて、ほっとした様な…寂しい様な気持ちで眠りについた。
2008-09-16 07:17:00 -
124:
T
2008-09-16 07:18:00 -
125:
T
『その子の事が好きやねんな。もっと言うならそれは恋やわ(笑)』
また、俺は涼子と居た。
『そーゆー話じゃなくなかった?』
『そう?でもあたしにはそう言ってる様に聞こえたけど。』
『…耳おかしなったんちゃうか…』2008-09-16 07:21:00 -
126:
T
『酷い顔やな(笑)拓也もそんな顔するんや(笑)』
『…まさかそんな事言われるなんか思ってもなかっただけ。』
…酷い顔、か。してるやろな、そりゃ。客観的に見たいぐらいや。2008-09-16 07:25:00 -
127:
T
俺自身、そんな考えはなかった。これっぽっちも。
『恋なぁ…それは結構。』笑う口元が震える。
組んだ足が緊張する。
…涼子は聡いから気づかれたかもしれない。
『俺には関係ないもんや』…嘘つきで、良かった。2008-09-16 07:29:00 -
128:
T
でも、嘘つきやから伝えられない。
2008-09-16 07:30:00 -
129:
T
『お帰り!…勝手にキッチン借りてごめんな。ご飯作ってんけど…食べる?』
仕事を終え家に帰ると、アキが迎えてくれた。
『なんか…この前きつい事ゆうてもうたやん?あんたえらい動揺してたし気にしててん。あの…気悪くしとったらごめん…』
『あー…気にしてないで』なんか…今日は随分しおらしいな。
いつもみたいにしてればいいのに。2008-09-16 07:37:00 -
130:
T
『なぁ、もういいで。あん時は俺も大人気なかったし、気にしてないから気にするんやめて(笑)』
『ほんま!?怒ってない?』
『ほんまほんま(笑)怒ってないで。』
『…良かったぁ。あっご飯の用意するな!!』
…その不意討ちの笑顔に、思わずどきっとする。2008-09-16 07:41:00 -
131:
T
別に、人恋しいだけや。
いつもと同じ。
この子でもいいだけで
この子がいい訳じゃない
2008-09-16 07:42:00 -
132:
T
これ以上、近づかないでおこう。
2008-09-16 07:45:00 -
133:
T
『…なぁ、仲直りしたばっかりであれやけど…話もせんとメールばっかりってどうなん?』
飯の最中も、食い終わってからも携帯を見つめる俺に、アキはかなり苛々としてた。
『やっぱ怒ってるんちゃうん?』
『…怒ってないで。気にすんなってゆったやん。話なら聞いてるから。』2008-09-16 07:48:00 -
134:
T
…―バシッッ!!―…
『人とおんのにカコカコカコカコ失礼やであんた!!』
携帯が…飛んだ。
『何なん!?ほんっま感じ悪いわ!言いたい事あるんやったらはっきり言いや!!何の為にその口ついてるん!?』
2008-09-16 07:52:00 -
135:
T
『嘘つくため。』
2008-09-16 07:52:00 -
136:
T
力無く笑う俺を哀しそうに見て、アキは背を向けた。『じゃあ…もう好きにし』それは、酷く冷たい声。
『怒ったん?何を今さら』別に挑発する気はないけど、こんな言葉しか出てこなかった。
『…黙れ嘘つき。なんぼでも嘘ばっか吐いてたらいいやん。』2008-09-16 07:57:00 -
137:
T
2008-09-16 07:58:00 -
138:
T
『おばちゃん、お母さんは?お母さんどこ言ったん?』
2008-09-16 07:58:00 -
139:
T
『たくちゃん、お母さんはもう還ってけぇへんねん』
2008-09-16 08:15:00 -
140:
T
2008-09-16 08:16:00 -
141:
T
ポポの頭を撫でて、帰ろうとするアキの腕を咄嗟に掴んだ。
『嘘やで…』
2008-09-16 23:27:00 -
142:
T
何が嘘で何が本当か、わからないと言った顔をしているアキに続けた。
『もうちょっとおってや…ちょっとでいいから。…また好きってゆって。嘘でいいから。』
…格好悪い。
何をゆってんやろ、俺は。2008-09-16 23:30:00 -
143:
T
『あほっ!!』
…―バチンッッ!!―…2008-09-16 23:31:00 -
144:
T
『…痛ったぁ…』
アキに叩かれた左頬が、熱い。
『良く聞いてな。あたしはあんたと違って大事な人に嘘なんかよう言わん。やから全部ほんまの事やねん。ほんまの気持ちやねん。…わからんねやったら教えたる。信じられへんってゆうんなら何回でもゆうたるから。あんたが、絶対一人にならん様に側におったる。誰かとおったら寂しくないんやったらあたしにしぃ!』
…そしてアキは深呼吸をして、真っ直ぐに俺を見てこう言った。2008-09-16 23:39:00 -
145:
T
『他の誰があんたから離れたってな、あたしがずっとあんたの側におったる。』
2008-09-16 23:40:00 -
146:
T
アキ
強く、固く握ったその手を話したんは
どっちからやったんやろな?
それは間違いなく…2008-09-16 23:43:00 -
147:
T
その日、俺達は初めて同じベッドで眠った。
冷たい指先とは正反対の温かいアキの身体は、俺をひどく安心させる。
…女と、何もせんと寝るのなんかどれくらいぶりやろ?
でも…心地いい。2008-09-16 23:47:00 -
148:
T
その日は、アキが哀しそうな顔の夢を見た
2008-09-16 23:49:00 -
149:
T
捨てようとしてた。
夢の中で、俺は、アキを。
2008-09-16 23:51:00 -
150:
T
ああ、そうか。
ずっと認めようとせんかった。
その他に紛れてしまえば、俺はそれで良かったのに。見つけてしまった。
これはもう
その他大勢なんかには成り得ない。2008-09-16 23:54:00 -
151:
T
2008-09-16 23:56:00 -
152:
T
『…そっか。寂しくなるなぁ…』
『…ごめん。』
『いいよ。仕方ないから。…じゃあ…さよなら。拓也、元気でね。』
俺は、涼子と別れた。
…別れたってのは変か。元々、始まりも終わりも無かったんやから。2008-09-17 00:00:00 -
153:
T
『…終わったん?』
外で待っていたアキの手はひどく冷たくなっていた。『うん。もう一人もおらん。…携帯変えて必要な人にだけ教える。』
『…そこまでせんでもいいで?』
『俺がしたいから。』2008-09-17 00:05:00 -
154:
T
『なぁアキ。俺は…俺は、ろくでもない人間やで。嘘吐きやし、卑屈やし…我儘で、省みればみる程どうしようもない生き物やねん。…それでも…俺でいいんか?』2008-09-17 00:11:00 -
155:
T
『欲しいで。あんたしかいらん。』
2008-09-17 00:13:00 -
156:
T
アキは、はっきりとそう言い切った。
『…そっか。じゃあ好きにして(笑)』
『言われんでもするわ(笑)』
『アキ…好きやで。』
『何を今さら。』2008-09-17 00:20:00 -
157:
名無しさん
切ない?
2008-09-17 01:35:00 -
159:
T
それから、俺たちは“デート”をした。
『たっちゃん、何か忘れて無い?』
どこに行こうかと、ブラブラ歩いている時、アキがそう呟いた。
『へ?まだなんかあったっけ?』
必死に考える俺を見て、アキは少し笑っている。2008-09-17 05:53:00 -
160:
T
『もー!手!手繋ぐの!』『あっ…そっか…。ごめんごめん(笑)』
女と手を繋ぐんなんか、ほんまに久しぶり。
恥ずかしかったけど、アキの小さい右手をぎゅっと握りしめた。
『なぁ…あたしは彼女?』『さぁ?(笑)』2008-09-17 05:59:00 -
161:
T
『もー!天の邪鬼やな…』ぷくっと頬っぺたを膨らますアキが、可愛くて仕方なかった。
『お前は俺の女、彼女やで。やから浮気すんなよ。』『あんたこそなぁ(笑)』
俺は、今まで何に拘ってたんやろ?何に意地張ってたんやろ?
…ちょっと見方を、考え方を変えれば…こんなにも幸せな気持ちになれるのに。2008-09-17 06:04:00 -
162:
名無しさん
アキちゃん可愛い?!!!
2008-09-17 07:40:00 -
164:
T
アキがプリクラを撮りたいと言うのでゲームセンターに向かう。プリクラなんか、数回しか撮った事ないのに…
『たっちゃん笑ってよ!』『無理!!』
『笑え!!こら!!』
プロレスラー並みにじゃれあってるアキと俺のプリクラは、そりゃ酷い物だった。
それでも、一番写りの良い物を二人で携帯の電池パックのカバーの裏に貼り付けた。2008-09-17 15:32:00 -
165:
T
『どこ行きたい?』
『もぉ夕方やしポポ可哀想やから帰ろか。』
『もう?どっか行かんでいいんか?』
『うん、ポポに会いたいし。また違う日にデートしよ』この日は朝から出かけてたから、ポポも可哀想やしスーパーで買い物をして一緒に俺の家に帰る事にした。2008-09-17 15:39:00 -
166:
T
飯を作っているアキにちょっかいをかけて怒られたりしながら、穏やかに時間は過ぎて行った。
なんかわからんけど、アキとおると優しい気持ちになれる。
きっとこれが“恋”ってやつの力なんやろう。
『風呂一緒に入ろや?』
『は?何ゆうてるん。無理やし。はよ入っといで。』こいつは気強いんか弱いんかわからん…2008-09-17 15:44:00 -
167:
T
2008-09-17 15:46:00 -
168:
T
『たっちゃん、大好き。』
2008-09-17 15:46:00 -
169:
T
凍える様な寒さのあの日、俺らは初めて結ばれた。
結ばれたって言い方はなんか照れ臭いけど。
月明かりに照らされる事すら恥ずかしいなんて初めて味わう感情やった。
今まで体を重ねて来たんは何やったんやろうと思うぐらいに、アキとの“それ”は違ってて、何もかもが初めての様な気がして…“一つになる”とかゆう臭い言葉の意味がわかった気がした。2008-09-17 15:51:00 -
170:
名無しさん
なんかいいなぁ
ちなみにフィクションですか?主さんは男?2008-09-17 17:40:00 -
171:
名無しさん
がんばれ?めちゃ読みやすい
2008-09-17 21:39:00 -
172:
名無しさん
たっちゃン?早く書いて?笑
2008-09-18 02:51:00 -
174:
T
『たっちゃんって誕生日いつ?』
『さぁ?忘れた(笑)』
『…また嘘ついた。』
『…ごめん。来週の月曜』『そうなん?じゃああたし仕事休むしお祝いしよな』『別に…そんなんただの平日やし。祝わんでいいで』哀しそうに見つめるアキ。でも俺は、誕生日がめでたいなんか思った事無かった。2008-09-18 05:51:00 -
175:
T
2008-09-18 05:52:00 -
176:
T
『お前なんか、生まれてこんかったら良かったのに』
2008-09-18 05:52:00 -
177:
T
2008-09-18 05:53:00 -
178:
T
“あいつら”が吐き捨てた言葉を思い出す。
俺はまだ“あいつら”の呪縛から逃れられない。
…それでも、誕生日が待ち遠しかった頃も確かにあった。でも、成長していくにつれて、自分が誰かに必要とされているのか、生まれて来た事がそんなにめでたい事なのかすらもわからなくなっていった。
それに気づいた頃から、その日はいつもと何ら変わらないただの平凡な一日になった。2008-09-18 05:59:00 -
179:
T
『…じゃあさ、来週の月曜はあたしがたっちゃんに生まれて来てくれてありがとうって感謝する日にしよ?』
『何やそれ(笑)』
『それやったらいいやろ?もしかしたら…いつかその日に感謝出来る日が来るかもしれんやん。やから今は予行演習とゆう事で(笑)』アキは、俺の表情から何かを悟ったんかもしれん。
それ以上は何も聞いて来ずお気に入りのピアニッシモに火をつけた。2008-09-18 06:07:00 -
180:
T
アキに救われたのは確か。でも、“あの日”から十数年かけて蓄積されていった心ん中のでっかい塊は、そう簡単に消す事は出来ひんかったから。
『ごめんな…』
何に対して謝ってるのか、自分でもわからなかったけど、ふいに口をついて出たその言葉を包みこむ様に、アキは犬みたいな黒々としたでっかい目を少し潤ませて抱き締めてくれた。
『安心して、ゆっくり寝ぇ』2008-09-18 06:13:00 -
181:
T
…気がつくと、遮光カーテンの隙間からもれた光が眩しい…朝だった。
ふと横を見ると、俺に腕枕をしている男らしいアキは小さな鼾をかきながら寝ていて、自然と笑みが零れる。
こんなにぐっすり眠れたんは、いつぶりやろ。
人の体温って、こんなに暖かかったんや。2008-09-18 06:21:00 -
182:
T
『ん…たっちゃんおはよ』『起きたか?』
『うん。夜寝てしまうと生活リズム狂うな(笑)』
『俺は元から不規則やから平気やけど…お前は今日仕事しんどいやろな。』
『まぁ何とかなるっしょ』そう言えば、俺はアキがどこの店で働いてるのかすらも知らんかった。2008-09-18 06:27:00 -
183:
T
『お前どこで働いてるん?』
『○○ってとこ。』
そこは、あんまり大きい店では無かったけど名前は知っていた。
『今度行くわ(笑)』
『来んでいいから。絶対こんといてよ。』2008-09-18 06:29:00 -
184:
T
『てかさ、俺養ったるから辞めや。』
なんか、アキが他の男と話してる所を想像しただけで嫌になった。
昼職の子をソープにまで落としてた頃の俺には考えられへん事やけど。
『やきもち?(笑)』
にんまりと笑うアキ。2008-09-18 06:34:00 -
185:
T
『ちゃうわ(笑)…なんとなく…なんとなくや(笑)』
『嫌なくせに(笑)でもお金貯めたいし、辞めるんは嫌やなぁ。』
『じゃあ…うち住みや。家賃かからんやろ?んで出勤日数減らして。』
何の束縛やねん、と自分でも思った。やっぱり…最近の俺はちょっと変や。これが、涼子がゆってた“いい傾向”ってやつなんかもしれんけど。
結局アキは家を引き払い、一緒に住む事になった。2008-09-18 06:40:00 -
186:
T
2008-09-18 06:48:00 -
187:
T
『あれ?オーナー帰らないんっすか?』
店を閉めても帰らない俺に、徹が問いかける。
『ちょっと待ち合わせ。』この日俺は、アキとポポの餌を買いに行く約束をしてて、店でアキが来るのを待っていた。
『オーナー…女出来たでしょ?(笑)』
さすが…ナンバーワンなだけあって鋭い。いや、俺がわかりやすすぎるんか…2008-09-18 06:56:00 -
188:
T
俺は腐ってもオーナー。彼女出来てん!とか馬鹿みたいにはしゃげないから、誰にも言ってなかった。
『オーナーの彼女とか見てみたいっす(笑)』
『別に普通の子やで。』
ほんまは、めっちゃ可愛いねん、とかきもい事をゆってやりたかったけど、恥ずかしいしこう言っといた(笑)2008-09-18 07:01:00 -
189:
T
『そろそろ行くわ。』
アキから着いたと連絡があったので、店を出ようとした時。
『あっ俺ももう出ます!』『徹…そんなに見たいんか?(笑)』
『何の事っすか?(笑)ただ帰るタイミングが一緒やっただけです(笑)』
仕方なしに、徹と店を出た。2008-09-18 07:05:00 -
190:
T
『たっちゃん!!』
俺を見つけて、嬉しそうに手をブンブン振るアキの表情が一瞬強ばり、目を細めてこっちを見ている。
『えっ…オーナーの彼女って…』
何やら、徹の様子もおかしい。
『徹…?徹やぁん!!』2008-09-18 07:08:00 -
191:
T
『へ?お前ら知り合い?』いきなりの状況に混乱する。
『オーナーの彼女ってお前やったん!?(笑)めっちゃおもろいねんけど(笑)』
『あんたこそここの店やってんなぁ(笑)びっくりしすぎて鼻汁出そうなったわ(笑)』
何やら二人で盛り上がっている。2008-09-18 07:11:00 -
192:
T
『ちょい待って。お前ら何繋がり?』
『徹なぁ地元の先輩やねん!(笑)』
『マジで…』
『俺もびっくりしましたよ(笑)まさかアキと思わんかった(笑)』
…世間は狭い。狭すぎる。2008-09-18 07:16:00 -
193:
T
なんか…店の従業員のツレとかちょっと気まずい。
でも二人は盛り上がってるし、とりあえず三人で餌を買いに行く事になった。
『オーナー、あいついい奴っすよ。』
アキが玩具を選んでる間、徹がそう呟いた。
『昔っからなん?』2008-09-18 07:19:00 -
194:
名無しさん
めちゃ面白い?
リアルで見てるんで頑張って下さい?2008-09-18 07:19:00 -
195:
T
『昔っから。あいつん家おっちゃんもおばちゃんもいい人らやし、あいつ自身もそうゆう家庭で育ったからかめっちゃええ奴で…俺らの地元であいつ嫌いな奴はおらんぐらいでしたよ。』優しい表情で話す徹に、何かちょっとムッとした。
俺が知らんアキを知ってるから…やと思う。
ほんま俺…大人毛ない。2008-09-18 07:24:00 -
197:
T
時間出来たから更新します?
読み直したらほんま“大人毛”に落ち込む?2008-09-18 09:54:00 -
198:
T
『たっちゃん!徹!お待たせ〜。これ買う!!』
アキが持って来たのは…カゴいっぱいのおもちゃ。
『お前…買いすぎやろ…』すかさず、徹が突っ込む。『すぐボロボロなるしいいやん!!』
『お前そんだけあったらポポ埋もれてどこ行ったんかわからんくなんぞ…』
アキはぶぅっと膨れて、二、三個を棚に戻して“これでどうや”と言う得意気な顔をして戻って来た。2008-09-18 10:03:00 -
199:
T
『まぁ…まだ多いけどいいわ…(笑)』
会計を済ませ、三人で飯に行く事になった。
『たっちゃん誕生日プレゼント何がいい?』
大好きなオムライスを頬張りながらアキが聞いて来た。
『オーナー誕生日なんすか?ゆって下さいよ〜水くさい(笑)』2008-09-18 10:20:00 -
200:
T
『ん〜…サボテン。』
そう言った俺の顔を、二人はマジマジと覗きこんでくる。
『なっ…何でサボテンなん!?』
…俺は、サボテンが好きやった。一滴の水すらも逃さん、その強さが。2008-09-18 10:24:00 -
201:
T
『…なんとなく(笑)』
そう答えたけど。
『変なもん欲しがるな…』『ほっとけ(笑)』
それから徹と別れ、でっかい荷物を抱えて家に帰った。
『着替えるからこっち見んといて!!』2008-09-18 10:28:00 -
202:
T
アキは変なとこ恥ずかしがる。
仕方なく俺は買って来たばっかのおもちゃでポポと遊んでた。
…一気に人と犬が増えた家は暖かい。
俺が帰ってくると電気がついてて、飯が作ってあって“なぁ”ってゆったら返事が返って来て…そんな事が嬉しかった。2008-09-18 10:34:00 -
203:
T
2008-09-18 10:34:00 -
204:
T
『たっちゃん、ありがとう!!』
今日は俺の誕生日。
“おめでとう”じゃなくて“ありがとう”なんは、アキなりの気遣い。
アキが作ってくれた飯は二人じゃ食べきれん程で、でも俺は残さずに平らげた。『じゃじゃあん!プレゼントです〜!!』
そう言ってアキはサボテンとグッチのブレスレットをくれた。2008-09-18 10:38:00 -
205:
T
『このサボサボめっちゃ可愛いやろ!?あんま可愛いの無くて色々回って一番可愛いやつ見つけて来てん!』『サボサボて何やねん(笑)』照れ隠しでわざと笑ってみせたけど、きっと俺の顔は真っ赤やったと思う。
サボテンを見つける為に、この寒い中何軒店を回ったんやろ?
最近帰りが遅かったのは、この為やったんや。
『アキ…ありがとうな。』ありきたりの言葉しか出てけぇへんかったけど、俺なりの精一杯の感謝の気持ちやった。2008-09-18 10:44:00 -
206:
T
『んでな…きもいと思うやろけど…そのブレスレット自分のも買ってん…』
ふとアキの左手首を見ると、俺とお揃いのブレスレットがはめられてた。
『俺買ったったのに。そんなにお揃いにしたかったん?(笑)』
『うん…』
恥ずかしそうに俯きながら頷くアキを、ただ純粋に愛しいと思った。2008-09-18 10:48:00 -
207:
T
『お前これ片方つけとき』俺は、耳につけてたピアスを片方アキに渡した。
俺は左耳に。アキは右耳に。それだけで、二人が繋がってる様な気さえもした。当時ナンバーワンやったアキは、プレゼントを貰う事もよくあったけど、客からどんなにいいピアスを貰ったとしても俺があげたそれを決して外そうとはせんかった。2008-09-18 14:26:00 -
208:
T
『たっちゃん、生まれて来てくれてありがとう。あたしと出逢ってくれてありがとう。あたしは…今日のこの日に感謝してる。たっちゃんが大好きやから。』
2008-09-18 14:29:00 -
209:
T
アキ
心の中で愛されたいと叫んでた、俺の心をわかってくれたのはお前だけやった。人間としての感情はまるで未発達やった俺は、お前のお陰で変われるかもしれんって、本気で思えた。
いつかまた、誕生日を待ち遠しく思えたら
その時は…2008-09-18 14:44:00 -
210:
名無しさん
たっちゃン?あげとく?
2008-09-18 18:36:00 -
211:
名無しさん
めちゃいい?頑張って?
2008-09-18 19:09:00 -
213:
T
『このブレスレットめっちゃえぇなぁ。』
アキがくれたのは、シンプルな落ち着いたデザインの物やった。
『やろやろ!?あたしグッチ好きやねんけど、あんまいいの無くてカタログ見てたらこれ載っててんけど店頭に並んで無くて入荷待ちやったから、色んなとこ行って2つ揃えた!根性やろ(笑)』
『お前欲しいと思ったら絶対手に入れるタイプやろ笑』『狩人やから(笑)』2008-09-19 03:36:00 -
214:
T
俺は、あまり物に対して執着心がなかった。
欲しいと思って無理なら、似たような、けど全く異なるもので済まして満足していた。
それは人に対しても言える事で…
でも、こうやって一つ一つに意味を見いだせたら良い意味で大事に出来るようになるんかもしれん。2008-09-19 03:44:00 -
215:
T
2008-09-19 03:46:00 -
216:
T
『…どこのんにしよ…』
アキと付き合って1ヶ月。そろそろ春の兆しが見え始めた頃。
俺は徹と二人でミナミをうろついてた。
ペアリングを買いに行くと言った俺に何故か徹が付いて行くと言い出したから、こうして夜の匂いをプンプンさせながら昼の商店街を歩いていた。
『アキ可愛いの好きっすよ。あいつ変に乙女ちっくやから(笑)』2008-09-19 03:54:00 -
217:
T
正直、今までペアリングなんか腐る程買った。
現役の時は色カノ達に渡す為に同じブランドで何個も買ったりもしてたし…思い返せば返す程自分の最低さに呆れる。
結局、あるブランドでオーダーメイドで作って貰う事にした。2008-09-19 04:02:00 -
218:
T
俺は今でも、この指輪を捨てれずにいる
2008-09-19 04:03:00 -
219:
T
『仲良さそうっすね。』
指輪をオーダーした帰り、腹が減った俺らはアキが飯を作ってくれると言うので一緒に家に向かっていた。
『まぁまだ付き合い始めたばっかやからなぁ。お前はどうなん?』
最近どこか元気が無い徹。俺らは一応立場上の関係もあり、あんまり自分の話とかもせぇへんから、付き合いが長くてもお互いに知らん事も多かった。
『俺は何も無いっすよ。女もおらんし。…彼女もどきは一杯っすけどね(笑)』2008-09-19 04:34:00 -
220:
T
徹は、昔の俺に似てる。
俺がまだ代表で、店にも出てた頃にいきなり店に乗り込んで来たんが徹やった。『ここで働かせて下さい!!』
大声でそう言いながら履歴書を差し出された時は爆笑もんで、オープン前の静かな店内は一気に笑いの渦に巻き込まれた。
見た感じ…ただのヤンキー。眉毛はあるんか無いんかわからんし、ピアスは訳わからんぐらい開いてるし腕には龍の刺青。2008-09-19 04:49:00 -
221:
T
『お前俺と同じとこに同じ刺青入ってるやん(笑)』
『嬉しいっす!!(笑)』
確か、それが徹と交わした最初の会話。
元々話も上手いし、綺麗な顔をしてた徹はみるみる内に売り上げを伸ばしていった。
まぁ…喧嘩っぱやい性格は中々直らんくてモメ事を起こすんも人一倍多かったけど素直な徹を俺は気に入ってて、何かと面倒をみていた。2008-09-19 04:58:00 -
222:
T
そんな徹も今では立派なナンバーワンで、従業員にも一目置かれる様な存在にまで成長した。
下の子を飯に連れてったったり、みんなが嫌がる様な客の相手を進んで引き受けたり…ほんまに、他の店のホストと喧嘩して何度も話し合いに行ってた頃が懐かしい。2008-09-19 05:06:00 -
223:
T
『お帰り〜たっちゃん!』玄関のドアを開けると、アキが抱きついて来た。
『ただいま。でも徹おるし恥ずかしいから止めてな(笑)』
『あっ…徹おったん?』
『お前…知ってるくせに随分な挨拶やな…(笑)』
みんなで笑い合い、リビングのソファーに腰かけた。2008-09-19 05:12:00 -
225:
名無しさん
おもろい
がんばって(@^∇^@)2008-09-19 21:17:00 -
226:
名無しさん
今日もよみました?
頑張りまくるにうけました?
マイペース更新に期待です?2008-09-19 22:12:00 -
228:
T
『たっちゃんも徹も唐揚げ好きやろ?やから今日は唐揚げと和食にした!!』
目の前には、様々な料理が並ぶ。俺らにとったらこれが晩飯。アキは料理が好きで、本を買ったりして栄養が偏らんようにいつも色々と工夫してくれてた。
『めっちゃ旨い!手料理とか久しぶりやわぁ。』
『色カノん家行った時に食べてるくせに…』
すごい勢いで食べる徹に、アキが突っ込んだ。2008-09-20 10:43:00 -
229:
T
『まぁな…色々知ってる奴がおるとやりにくいわ笑』『てか何で家とか行くん?面倒臭くないん?』
『面倒臭いで(笑)でも未収とか飛ばれん様に家の場所知っときたいし。』
この時アキは、何か哀しそうな顔をしてた。
徹は飯を食ってポポと遊んだ後、色カノん家に行くと言って帰って行った。2008-09-20 10:53:00 -
230:
T
『なんか…徹変わった。』徹が帰った後、備え付けの食洗機に食器を入れながらアキが呟いた。
『変わったってどうゆう風に?』
『昔はさ、彼女一筋って感じで…あいつヤンキー街道まっしぐらやったから変に熱い男でな、女は男が守ったらなあかんってのが口癖やったのに…』
『まぁ…良い意味でも悪い意味でも人は変わるからな。どれが良い事なんかもわからんし…』
『やんな…徹も頑張ってるんやし応援したげなな。』アキは、昔と今の徹とのギャップに戸惑ってるみたいやった。2008-09-20 11:00:00 -
231:
T
『あたしも…誰かから見たら変わってもうたんかな?』
この時の俺は…アキが抱えこんでるものに気づいてやれんかった。
ほんま俺、最低や。2008-09-20 11:03:00 -
232:
T
『俺は昔のお前を知らんけど、今のお前が好きやで』そう言って頭を撫でた。
『ありがとう…さっきもな、面倒臭くないん?って聞いたんは、徹ほんまに面倒臭いって思ってたら別にどうでもいいって答えんねん。昔っから。でも認めてたって事は面倒臭いとか思ってないって事やから、多少なりとも感謝してるからお客さんの為に一緒におるんやと思うけど…』
『なんかややこしいな…。あいつも根は昔のままなんちゃうか?叩かれまくってるけど何やかんやゆうて人気あるし、人間として好きってゆって通ってくれてる人もおるらしいし。』2008-09-20 11:18:00 -
233:
T
『うん…じゃああたしは母のような瞳で見守っとくわ(笑)』
『…浮気や…』
わざと拗ねて見せる気持ち悪い俺。
『あっでも好きなんはたっちゃんやで!!』
慌てて抱き締めて来たアキは、俺と同じ香りがする。“たっちゃんと同じ匂いになった(笑)”って嬉しそうに俺の香水をつけてたから。2008-09-20 11:28:00 -
234:
T
2008-09-20 11:30:00 -
235:
T
『お前が誇れるんは金だけか。しょうもない男やな』
2008-09-20 11:31:00 -
236:
T
俺は今日も、“あいつ”の言葉を思いだしながらもある口座に金を振り込んだ。
2008-09-20 11:33:00 -
237:
名無しさん
ひょえー???おもろいやんけぇ
2008-09-20 14:29:00 -
238:
T
242さんありがとうございます?
俺は“ひょえー”に笑わせてもらいました(笑)2008-09-20 16:16:00 -
239:
T
今日はオーダーしてた指輪を取りに行く日。
アキには仕事があると言い家を出た。
どんな顔するやろな…
俺は左耳につけられたお揃いのピアスを触りながら、アキの笑顔を思い浮かべた。『こちら保証書になります。ありがとうございました。』
『ああ…ありがとう。』2008-09-20 16:20:00 -
240:
T
指輪を受け取りその足で仕事に向かい、早めに終わらして家でアキの帰りを待っていた。
…電話が鳴る。アキが無理矢理設定した指定着信音はゴテゴテのラブソングで、仕事場で鳴った時には顔から火が出る程恥ずかしい。
『もし?』
『たっちゃぁん!!迎えにきなしゃあ〜い!ぐふっ』“…ぐふっ?”2008-09-20 16:28:00 -
241:
名無しさん
リアルや?がんばれ?
2008-09-20 16:31:00 -
242:
T
『お前…酔ってんのか?てかぐふって笑ったやろ…』『笑ってませんよぉ〜!』…完璧に酔っているアキに今すぐ行くと伝え、急いで用意をし店に向かった。
アキは出勤日数を減らしてから、ナンバーワンと言う地位を守る為によく呑み、ふらふらで帰ってくる事も多かった。
そうさせているのは俺。
でもやっぱり…アキが働く事に賛成は出来なかった。2008-09-20 16:32:00 -
244:
T
『あの…すみません…』
…気まずい。アキの店に行くのが初めての俺は、店の前でアキに電話をしたけど出なかったので仕方なく店のドアを開けた。
『あっアキの彼氏さんですね。奥のボックス席で寝てますよ(笑)』
入り口近くのキャッシャーで締めをしていたボーイが笑いながら奥に案内してくれた。
そこにはドレスのまま眠るアキの姿が。2008-09-20 16:41:00 -
245:
T
『アキ!アキ起きろ!!』何度そう言っても起きる気配は無い。
『こいつ…そんな呑んだんですか?』
『結構呑んでましたねぇ。アキ体調によって呑める量が全然違うんですけど、今日は調子良かったみたいでシャンパンを七本程…悪い時はビール二杯ぐらいで酔うんですけどね…』
極端すぎるやろ…こいつの肝臓はどうなってるんや…2008-09-20 16:46:00 -
246:
T
『あの…これ冷たいお絞りと水です…』
背後から声が聞こえたので振り返ると、同僚らしき女の子が心配そうにアキを見つめていた。
『あっ…すんません。ありがとう。』
それを受け取り、アキの額に当ててやると少しだけ反応があった。
『アキよく頑張ってくれてますよ。優しい彼氏さんみたいで俺らも安心です笑』そう言って笑うボーイと女の子。2008-09-20 16:49:00 -
247:
T
『アキ!起きひんかったらほって帰るで。』
『んん〜…たっちゃん…嫌です…』
俺の言葉に焦ったのか、アキが目を覚ます。
『何が嫌ですやねん(笑)着替えれるか?』
『無理…このまま帰る…』『ドレス姿のままでいいんすかね?』2008-09-20 16:56:00 -
248:
T
『はい、水飲んどき。』
『ありがと…』
アキはポポを抱きながらコップに入った水を一気に飲み干した。
『お前の店の人らいい人やな。ちょっと安心したわ』『やろ!?みんなめっちゃ良い人らでなぁ…ほんま今まで行った中で一番良かったから入店してん!』
…なんか、そう言われたら出勤日数を減らせとか言った自分がちょっと嫌になった。2008-09-20 17:14:00 -
249:
T
『もし?…うん、店で寝てて今帰って来たわぁ(笑)今日はほんまありがとう。』アキは少し落ち着いたのか今日来てくれた客にお礼の電話をしている。
どんなにしんどくても、毎日昼に一度起きてメールや電話を絶対するし、そうゆう所尊敬する。
店の人らにも愛されてるんやなって、今日ボーイや女の子としゃべって思った。
2008-09-20 17:31:00 -
250:
T
『ごめんなたっちゃん。』電話を終え、風呂に入りに行ったアキを見届けると俺は鞄に入れていた指輪を取り出した。
“何てゆって渡そ…”
なんか、緊張する。2008-09-20 17:35:00 -
251:
T
『ふあ〜さっぱりした!浴槽浸かりすぎて倒れそうなったけど(笑)』
『はい、これ。』
風呂からあがって来たアキに、ぶっきらぼうに袋を渡す。くっさい言葉なんか恥ずかしすぎて言われへん…『へ?何これ?』
アキは目を大きく見開いて訳もわからないと言った様子でそれを受け取った。2008-09-20 17:41:00 -
252:
T
『いいから開けてみ。』
俺は落ち着けへんかったから、ひたすら煙草を吸いながらアキの反応を待った。『…………。』
アキは指輪を両手に持ち俯き、黙ったまま。
『おまっ…なんかゆえよ(笑)』
『………ぇ………』2008-09-20 17:48:00 -
253:
T
『えっ?何て?』
『ふぇ〜…だっ…だっぢゃん…あでぃがどぉ〜…』
…顔をあげたアキは鼻水垂れ流しで泣きじゃくってて思わず笑ってしまった。
『お前すごい顔してんぞ(笑)雰囲気丸潰れやんけ(笑)』
『だっ…だっぢゃんこそ…もっとロマンチックに渡してよね…』2008-09-20 17:51:00 -
254:
T
『恥ずかしいやろ(笑)』
『…そうゆうとこが可愛いねんけどな(笑)やばい…めっちゃ嬉しいわ…』
『お前とりあえず鼻水拭け(笑)』
俺はティッシュで鼻水と涙を拭いてやった。
『こんな…記念日でも何でもない日に…』2008-09-20 17:55:00 -
255:
T
『あっ悪い!記念日に渡せば良かったな?』
『ちゃうやん!逆!!この不意討ちさが良いねん!』『そうか(笑)ほら、貸してみ。つけたるから。』
『うん…』2008-09-20 17:57:00 -
256:
T
俺はアキに、アキは俺に、お互いの薬指に指輪をはめ合った。
2008-09-20 17:59:00 -
257:
T
『たっちゃん、中指曲げて両手の掌合わせてみて?』『うん…こうか?』
『そうそう…親指離してみて?…離れるやろ?』
『おう。』
『次は人差し指…次は小指…離れるやろ?んで最後に薬指!』
『うぉっ!離れへん!!』『やろ!?やから薬指に指輪つけたからには離れんようにしななぁ(笑)』2008-09-20 18:07:00 -
258:
T
『まぁ何で中指曲げるんかがわからんけどな(笑)』
『もぉ〜…ロマンがないなぁたっちゃんは。』
アキはまた、ぷくっと頬っぺたを膨らました。
『拗ねんなって(笑)…離さんから、離れんなよ。』
『たっちゃんこそ。…ほんまに嬉しい。ありがとう…たっちゃん大好き。』2008-09-20 18:10:00 -
259:
T
アキは、何度も何度も薬指にはめられた指輪を見ては一人でにやにやしてて、気持ち悪いと笑う俺を横目で見てはまたすぐにその視線を指輪に向けた。
『仕事中は右手につけとくな。ごめんな、たっちゃん。』
『まぁしゃあないしな。…それより無くすなよ。世界にそれしか無いねんから』『へ?どうゆう事?』
この驚いた時の“へ?”ってゆうのはアキの口癖で、今ではすっかり俺もうつってしまった。2008-09-20 18:28:00 -
260:
T
それすらも幸せな事やったんやって、何でこの頃の俺は気付かれへんかったんやろう
2008-09-20 18:29:00 -
261:
T
オーダーメイドやって事を伝えると、アキはまた泣き出した。
『もーお前泣きすぎ(笑)』『だっで…ごんなんじで貰っだ事無いんやもん…』
『何ゆってんかわからんわ(笑)哀しい時に泣いて嬉しい時は笑っとけ。なっ?』『あ゙い…』
アキは涙をぬぐい、また笑顔を見せた。2008-09-20 18:34:00 -
262:
T
『…たっちゃん最近笑う様になったな。』
『…ほんま?』
『うん…ちゃんと笑えてる。』
自分では気づかんかったけど、俺も段々変わってこれたんかもしれん。
それは…大事なものに気づけたから。2008-09-20 19:13:00 -
263:
T
2008-09-20 19:17:00 -
264:
T
アキと付き合って数ヶ月。俺らは時々喧嘩をしながらも仲良くやっていた。
最近、店には新人が増えて来てそれと共に揉め事も増えて行った。
ほとんどは代表や徹が片付けてくれてたけど、俺も小まめに様子を見に行くと同時に風俗店の方にも顔を出してたから、家に居る時間は以前とは比べられ無い程に減っていた。
アキはそれに何も言わず、帰ると必ずあったかい飯を作って待ってくれてた。2008-09-20 19:25:00 -
265:
T
そんなある日、店に他店のホストが乗り込んで来たと代表から連絡が入った。
話を聞くと、そこに通っていた客がうちの店のホストにはまったせいで自分の店に来ん様になったから客を取られたと言って金を要求してるらしい。
“…うっとおしいな…”
自分の力不足を人のせいにする奴なんか一発殴って終わりにしてやりたいけど、相手の店が結構大きい店でオーナー同士の話し合いになった。2008-09-20 19:31:00 -
266:
T
でもその店のオーナーは結構話の分かる人で、自分の店のホストが悪いから、と逆に謝って来たから、案外話し合いは早く終わった。
それから何故か呑みに行く事になって、俺が帰路についたんはもう夕方やった。アキから何度か電話があったけど、大丈夫やろと俺は電話に出なかった。
まぁ…“慣れ”やったんやろな。アキやったら分かってくれるってゆう一種の。2008-09-20 19:37:00 -
267:
T
『ただいまー!!』
酔いがまわりフラフラしながら家のドアを開けると、リビングからアキが走って出て来た。
『…どこ行ってたん?』
『他の店のオーナーと呑んでた。お前寝て無かったんか?』
『…寝れる訳無いやん。どこで呑んでたん?』2008-09-20 19:40:00 -
268:
T
『ホストとか色々。』
『何で電話でぇへんかったん!?』
『あーごめんな。』
俺は、苛々してた。睡眠不足と最近よく起こる鬱陶しい問題や…酒のせいで。
『心配なるやん!!別にどこで呑んでてもいいけど、たっちゃんはいっつも終わった後にあたしに報告するやん!そうじゃなくて今から何するかってゆう連絡が欲しいねん!!』2008-09-20 19:44:00 -
269:
T
…アキの張り上げられた声が、余計苛々を誘う。
『…お前最近うるさい。何で一々報告せなあかんねん。面倒くさい。』
『面倒臭いって何なん!?あたしは彼女やろ?彼氏の行動知りたいってゆって…心配して…何が悪いんよ!?』
『信用してないから心配なるんやろ。とりあえず鬱陶しいわ、お前。』
俺は自分のしてる事を棚にあげて、アキに酷い言葉を浴びせた。自分でも止めれんくて、日頃の鬱憤を全てアキに吐き出した。2008-09-20 19:50:00 -
270:
T
アキの目からはもう涙も消え失せて、ただ呆然と俺の口から吐き出される汚い言葉を聞いていた。
…ふと、テーブルの上の飯の用意が目に入った。
それを見てアキが今日も飯を作って俺の帰りを待ってくれていた事を思いだし、少し冷静になった俺は水を飲もうと冷蔵庫を開けた。そこには…顔に似合わず俺が大好きなチョコレートケーキが…2008-09-20 19:58:00 -
271:
T
そうや…今日は記念日やったんや…
2008-09-20 20:00:00 -
272:
T
自分の最低さにようやく気づいた俺は、慌ててアキの元に駆け寄った。
ソファーに座り、俯きながらポポの頭を撫でているアキ。
『アキ…俺…ほんまごめん…』
『…………。』
『最近…色んな事あってむしゃくしゃしとって…。ごめん。こんなん言い訳やな…』2008-09-20 20:04:00 -
273:
T
『どうせ…たっちゃんも離れて行くんやろ?』
2008-09-20 20:06:00 -
274:
T
俺は…初めて聞いた。アキのそんな冷たい声を。
『えっ…?』
『やから…たっちゃんもどうせあたしから離れて行くんやろ!?もう…あたし嫌や!!今誰とおるんやろとか、今日は帰ってくるんかなとかずっと心配して…せっかくご飯作っても食べんと寝る時もあるし…もう耐えられへん!!』
確かに俺は、家に帰らんと店でちょっと寝て仕事に行ったり、飯を食わんと起きたら食うとか言って結局は食わんまま出かけたりしていた日もあった。上手く行ってるって勝手に思ってたんは…俺だけやったんや。2008-09-20 20:15:00 -
275:
T
『アキ…ごめん。これからは俺も気つけるから。ごめんな…』
泣きじゃくるアキを、必死になだめた。
家で独り、誰かを待つ寂しさは俺も嫌って程分かってたはずやのに…
数十分後、ようやく落ち着いたのかアキはポツリポツリと話だした。2008-09-20 20:19:00 -
276:
T
『死んでん。寒空の下…独りっきりで。』
2008-09-20 20:38:00 -
277:
T
『ずっと…暴走なんか止めやってゆっててんけど、今日だけ、今日だけってゆう彼氏をあたしも段々許すようになってた。その日も行ってらっしゃいって…普通に送り出して寝てたんやんか。でも、朝になっても帰ってこんくて…一緒に走りに行ってた人らに聞いても知らんってゆうねん。それで…必死に捜してた時に彼氏のお母さんから電話あってな、死んだって聞かされてん。』
2008-09-20 20:50:00 -
278:
T
『その日な、いつものメンバーが揃わんかったらしくてあんまり知らん人らと行っててん。
それで二ケツする事なって、彼氏が前に乗って運転してたらしいねんけど…
途中でみんなと別れて裏道に入った時に…そいつが俺にも運転させろって無理矢理後ろから手出したらしいねん。それでバランス崩してガードレールに突っ込んで…
彼氏はそいつとバイクの間に挟まれた後に吹っ飛んで…ガードレールの脇にあった下に続く階段の所に落ちてん。』2008-09-20 21:04:00 -
279:
T
『それでな、そいつどうしたと思う?』
『…わからん…』
『逃げてん。恐くなって。そいつは彼氏がクッションになってかすり傷だけやったから。
…朝になって近所の人が見つけた時にはもう…。
でも、警察が言うにはしばらく息はあってんて。彼氏が…必死に這った跡もあったらしいし…』2008-09-20 21:11:00 -
280:
T
『自業自得やって…笑ってる奴もおった。確かにそうやし…ほんまに…アホやけど…
あたしには大事な大事な彼氏やってん。
でも…だからこそ…何であの時止めへんかったんやろって…何でもっと色んな事してあげられへんかったんやろって…あたし…』
2008-09-20 21:17:00 -
281:
T
…アキは、今でもその日の事を後悔してた。
だからこその行動やったんや。
アキのする事には全て意味がある。
やっとそれに気づけた瞬間やった。2008-09-20 21:41:00 -
282:
T
『もーそっからは…ほんまボロボロやったなぁ。
それでも…忘れた訳じゃないけど、やっと立ち直れた時に付き合った男も最悪でさ。
…ホストやってんけど、店辞めた瞬間にあたしの前からも消えた(笑)多分趣味ってやつやったんちゃうかな。ほんまあたしアホやわ。』無理に笑うアキを、俺は力いっぱい抱き締めた。2008-09-20 21:48:00 -
283:
T
『俺は、ムカついたら好き勝手怒鳴ったし、殴られたら殴り返した。でも…自分が嫌な事からは逃げ出した。今まで考えた事もなくて。お前みたいに…ずっと我慢して傷つきっぱなしの奴がおるって事。
正直…何てゆったらいいんかわからん。でも…壊れたらまた作って行けばいいねん。別にそいつを忘れる必要は無いし、むしろそうゆう事があったからこそ、今のお前がおるんやから。…お前が俺を救ってくれたみたいに、次は俺がお前を救うから。
これからはちゃんと連絡もする。お前を独りになんかさせへん。』
2008-09-20 21:59:00 -
284:
T
『たっちゃん…ありがとう…』
『…ごめんな。アキ!飯食おや。俺腹減った(笑)』
『…そやな。すぐ用意するわ(笑)』
アキは涙を拭いて、飯の支度をしてくれた。
手作りのチョコレートケーキを食べて、すっかり仲直りした俺らは手を繋ぎながら眠りについた。2008-09-20 22:09:00 -
285:
T
2008-09-20 22:12:00 -
286:
T
覇王樹ってな、水をあげすぎても枯れてしまうねん。それはまるで…
2008-09-20 22:19:00 -
287:
T
俺らみたいに
2008-09-20 22:21:00 -
288:
T
2008-09-20 23:47:00 -
289:
T
九月一日。
今日はアキの誕生日。
水商売は、誕生日こそ稼ぎ時であると同時に自分の実力を試すのにうってつけの日でもある。
一ヶ月も前からコツコツと準備を始めてたアキは、この日の為にと客に買って貰った真っ白なドレスを着て鏡の前でああでも無いこうでも無いと一人でブツブツ何かを言っていた。
『お前うるさいわ(笑)何悩んでるん?』2008-09-20 23:55:00 -
290:
T
『頭につける飾りなぁ…どれにしよかと思って。花好きやねんけどちょっとアホっぽいし…』
『ええやん、アホの花咲かせてたら(笑)』
『黙って。やっぱこっちにしよかなぁ…』
アキは散々迷ったあげく、いくつか花が連なった髪飾りに決めた様で、セットの時間に間に合わないと慌てて着替えて準備を終えた。
『じゃあ行って来ます!』『明日休みやろ?明日思う存分祝ったるからなぁ。』2008-09-21 00:02:00 -
291:
T
↑すみません、この時点では八月三十一日で、12時を越したら誕生日です?
2008-09-21 00:04:00 -
292:
T
アキはポポの頭を撫で、ご機嫌で出て行った。
ポポと二人取り残された俺は、数日仕事の休みを取っていた事もありあまりに暇すぎて、飯でも行こうと徹に電話した。
『…もしもし…』
『あっ寝てた?すまん。でも起きて(笑)』
『オーナーほんま最近明るなりましたね(笑)んで…どうしたんですか?』2008-09-21 00:11:00 -
293:
T
『今日同伴ちゃうやろ?飯行くぞ。』
『それは…命令っすね(笑)わかりました、一時間ぐらいで用意してそっち行きます。』
徹が来る間にポポの散歩に行って、新しく出来たドッグカフェを見つけた俺は今度アキと来ようと計画を立ててた。
…この時にはもう、夜もぐっすり寝れるし、アキがおらん生活なんか考えれんぐらいにまでなれていた。…奥の、奥にある、あの“しこり”は消されへんかったけど。2008-09-21 00:20:00 -
294:
T
徹と待ち合わせして、適当に海鮮居酒屋に入った。
『オーナーそういや休み取ってますよね?』
『ああ…まあな。』
『アキ明日誕生日っすもんね。店行かないんすか?』『一応スタンドは贈っといたけど…店はさすがにな。』『アキ喜ぶと思いますよ。12時越す瞬間に一瞬だけ行って帰ったらどうっすか?』2008-09-21 00:29:00 -
295:
名無しさん
毎日読んでマスーッ?
更新頑張って??2008-09-21 00:33:00 -
296:
T
『んー…』
正直俺はどうしたらいいんかわからんかった。客がいっぱいおんのに行ったら迷惑やろうし、アキもやりにくいやろう…
でもやっぱ誕生日を迎えた瞬間は祝ってやりたい。
『アキも違う日が誕生日って設定にしといたらいいのに。』
『あーあいつ頭悪いから何でもバカ正直にしゃべってボロ出てまうらしいで笑』『アキらしいっすね(笑)』2008-09-21 00:34:00 -
298:
T
『でもな、客としゃべってんの聞いとったらベラベラ嘘並べてる時もあるしほんま女って恐いわ(笑)』
『あいつ変なとこだけ頭回りますからね…』
『信用してる客には正直に話してるらしいけどな。』…そんな話をしながら、気づいたら二時間も経っていた。
アキや仕事の話でやけに盛り上がり、俺らはあり得んぐらいビールを呑んでて、店を出る頃には結構良い気分。2008-09-21 00:44:00 -
299:
T
俺が徹に電話したんも結構遅かったから、幸か不幸か時間はもう11時を過ぎていた。
『お前もう店行けよ。てか今気づいたけど出勤前にそんな呑むな。』
『遅っ!(笑)大丈夫っすよ、俺酒強いから。』
『まぁな…何にせよ店行き。』
『オーナー!アキの店行きましょ!!』2008-09-21 00:50:00 -
300:
T
『は?いや…お前仕事…』『他の奴が何時間もかけて作る売り上げを一時間で作ればいい話でしょ(笑)オーナーよく言ってたじゃないっすか(笑)それに俺元から出勤時間遅いしまだ大丈夫っす。』
徹は、言った限りはほんまに売り上げを叩き出すからすごい。
『…ほな…行こか!(笑)』もうこうなったら行くしかない。満席やったりアキが迷惑そうやったら帰ろう…2008-09-21 00:56:00 -
301:
T
アキの店に行くと、ドアの前は花のスタンドで埋め尽くされてた。
…内心ドキドキのきもい俺。外に立ってるボーイに話しかける。
『席空いてる?アキ指名と…お前フリー?』
『俺もアキ指名でいいっすよ。ちょっとは足しになるっしょ(笑)』
『すみません…ただいま満席で…あっ!ちょっと待って下さいね。』2008-09-21 01:01:00 -
302:
名無しさん
たっちゃん?ちょっと待つわ笑
2008-09-21 01:06:00 -
303:
T
何やらインカムでボソボソと話してる。
…その時…
『いっちゃんありがとー』『おー。すまんな、誕生日迎える瞬間祝われへんくて。なんせ嫁が恐いからな(笑)』
そんな話をしながらアキと客であろうサラリーマンが出て来た。
アキは一瞬俺らを見て固まってたけど、すぐに笑顔に戻り客を送り出した。2008-09-21 01:06:00 -
305:
T
『ななな何でおるん!?』客が見えなくなった瞬間、アキはすごい勢いで近づいて来た。
『祝いに(笑)…迷惑やったら帰るで?』
『なんか…彼氏が店来んのは複雑やけど…やっぱ一緒に迎えたかったから正直嬉しい…』
『ほらオーナーアキ絶対喜ぶってゆったでしょ?笑』徹が得意気に話す。
『今お席空きましたんで、どうぞ。』2008-09-21 01:18:00 -
306:
T
店内は満席で、かなり賑わっている。
『日付け変わる瞬間は太客んとこおらなあかんから席にはつかれへんけど…。』『ええで。気にせんと頑張っといで。なっ?』
アキは顔をクシャクシャにして笑うと、席に戻って行った。ほとんどの席でシャンパンがおりていて、中にはマグナムもあった。
“あいつ…中々すごいな”客と楽しそうに笑うアキを見るんはちょっと複雑やったけど、こんだけ祝ってくれる人がおる事がまるで自分の事の様に嬉しかった。2008-09-21 01:25:00 -
308:
T
『3、2、1…HAPPYBirthday!!アキさん!!』
ボーイの声を合図に各席からクラッカーが鳴り響いて、アキの方を見るとこれまた顔をクシャクシャにして泣いている。『ごめんなぁ〜やっと着けたわぁ〜』
結局アキが俺らの席についたのは、誕生日を20分程過ぎた頃だった。
『おめでとう、アキ。』
『おめーとう!!』2008-09-21 01:33:00 -
309:
T
『たっちゃんも…徹も…ありがと〜ほんま…嬉しい…』
『もーまた泣く(笑)潰れたら電話してこいよ。迎えに来たるから。』
『ウコンと牛乳飲みまくった!!』
『それ…そんな一杯飲んで逆にいけるん(笑)』
…それから俺らはシャンパンを何本かおろして、ほとんど全部俺が呑み帰る事にした。2008-09-21 01:37:00 -
310:
T
店を出ると客が何人か席が空くのを待っていて、アキは軽く会釈するとすぐに俺らの方に戻って来た。
『ほんまありがとう!!』『おー。ほなまた電話しといで。』
『アキ思う存分潰れろよー(笑)』
…徹と別れ、家でアキの帰りをポポと待つ。2008-09-21 01:42:00 -
311:
T
朝の7時を回った頃。
『たっちゃん迎えに来てー!!』
『おー。大丈夫か?』
『吐いたからちょっと元気ぃ…』
明らかに疲れきってたけど、普段どんだけ呑んでも、指を突っ込んでも吐かれへんアキが吐いたんやからかなりの量を呑んだんやろう。2008-09-21 01:45:00 -
312:
T
『でな、車で来て欲しい』『何でなん?』
『お客さんからプレゼントとか花束貰ったから…スタンドの花も持てるだけ持って帰りたいねん!しかも折り畳みのチャリくれた人おるから大変や(笑)』
『了解(笑)すぐ行くから待っとけよ。』
アキは、人から貰った物が例えすぐに枯れてしまう花やったとしても決して無駄にせん…そんな女やった。2008-09-21 01:49:00 -
313:
名無しさん
リアルタイムやぁ-?
更新ゆっくりでいいんで
親指腱鞘炎なるまで
頑張って下さい?
2008-09-21 03:37:00 -
314:
名無しさん
オーモロー
2008-09-21 10:42:00 -
316:
名無しさん
面白い???
2008-09-21 14:47:00 -
317:
名無しさん
たっちゃン?私が待ってるって意味やで笑 訳わからン書き方してゴメン?笑 あげとく?
2008-09-22 01:30:00 -
318:
名無しさん
更新楽しみにしてます?
がんばってくださぃ?2008-09-22 06:22:00 -
319:
名無しさん
最初にわんチャン飼ってるッて?した子です?仕事終わりに読むんが日課です?更新がホンマ楽しみです??
2008-09-23 02:31:00 -
320:
名無しさん
たっちゃン?忙しンかあ?あげとく?
2008-09-23 21:00:00 -
321:
T
みなさんほんっまありがとうございます?
忙しいんと風邪とで?
出来る限り更新します?2008-09-23 22:28:00 -
322:
T
店の前に着くとアキやボーイ、女の子達が両手に花束や紙袋を抱えて待っていた。『それ全部持って帰るん!?』
『根性やろ(笑)トランク空にして来たよな?』
『当たり前(笑)』
俺はいちびってゴルフとか始めたばっかりやったから、トランクにはゴルフバッグや着替えとかを積んでたけど、汗かきながらも下ろしておいた。
『俺手伝うしみんな帰って貰い。』2008-09-23 22:37:00 -
323:
T
禁止ワードになるんでまた時間ある時に更新します?
2008-09-23 23:52:00 -
324:
名無しさん
読んでます?
主さんのペースで頑張ッて下さい?2008-09-24 00:07:00 -
325:
T
ありがとうございます?
どれが禁止ワードかわからん?2008-09-24 10:22:00 -
326:
T
みんな“手伝います”と言ってくれて、すぐに荷物を運び終えた。
…家に着き荷物を下ろすとリビングは花だらけに。
『めっちゃ匂いすんなぁ。てか花瓶無いで。』
『あっ…。たっちゃん、湯槽に花入れていい?(笑)』『いいけど…それもう飾るとかじゃなくて栽培やな(笑)』2008-09-24 10:31:00 -
327:
T
湯槽は花だらけになって、アキは笑いながらも嬉しそうやった。
『ほなちょっと寝ぇ。起きたら出かけんで。』
『へ?どこに?』
『いいとこ。』
…実は、誕生日を祝おうとペットもいける宿を取っておいた。ポポも一緒やったら絶対喜ぶやろうし。2008-09-24 10:34:00 -
328:
T
『どこ行くんよ〜?』
『お楽しみや(笑)とりあえず適当に着替え用意して』『わかった!プールやろ?』なんか素敵な勘違いをしてるアキを放っといて、俺も自分の着替えを鞄に詰め込んだ。
アキは鼻歌まじりで用意してたけどいきなりパタっと聞こえんくなったから見てみると、パンツを握りしめたまま寝ていた。
笑いながらもベッドに寝かせる俺の袖を離そうとせんから、結局アキが目を覚ますまで一緒に寝る事にした。2008-09-24 10:43:00 -
329:
T
2008-09-24 10:44:00 -
330:
名無しさん
気になるo(^-^)o
2008-09-24 18:00:00 -
331:
名無しさん
色々あって見れンかって久しぶりに見たら全然進んでへんやンッ?たっちゃんどないしたン?
2008-09-30 21:30:00 -
332:
名無しさん
お〜いたっちゃン??
2008-10-01 22:06:00 -
333:
名無しさん
ぎっしゅ。
2008-10-01 22:39:00 -
334:
名無しさん
続き気になるのに?
2008-10-02 04:12:00 -
335:
名無しさん
今一気に読みました?
読みやすいしリアルやしむっちゃ好きかも??
更新待ってます?2008-10-02 06:36:00 -
336:
名無しさん
話がありきたりのようで、読んでいくうちに、幸せな気持ちなれる
2008-10-05 06:27:00 -
337:
名無しさん
更新まってまーす!
2008-10-05 12:11:00 -
338:
名無しさん
めちゃオモロイ?はよみたい?
2008-10-06 07:31:00 -
339:
T
みんなほんっまにごめんなさい?ありがとうございます?最近かなり忙しくて?更新遅くなりますが、時間ある時にちょいちょい書いて行くんでまた見たって下さい?
ほんまにこの小説は、ありえへんって所とか、ありきたりな所ばっかりやと思います?
でもありのままを書いて行きたいんでまた暇な時にでも覗いて貰えたら嬉しいです?2008-10-06 08:08:00 -
340:
T
『アキ〜!そろそろ起きて。』
昼時をかなり過ぎた頃、アキを無理矢理起こす。
『…あと五分…』
『車ん中で寝てていいからとりあえず起きてや(笑)』アキは酒で浮腫んだ目を一生懸命開けて、ヨロヨロと準備を終わらした。
『ほな行こか。』2008-10-06 08:12:00 -
341:
T
俺は二人分の荷物を抱え、アキにポポを抱くように促した。
『ポポも連れてくん?…プール入られへんで?』
なんか知らんけどアキの中ではもうプールに行くと決まってるらしき、不思議そうにこっちを見た。
『大丈夫やから(笑)プールもあるしな。』
『…まぁ着いてからのお楽しみか!良かったなぁポポ?』2008-10-06 08:16:00 -
342:
T
らしき→らしく
です?
寝不足で頭回らんし目が霞む?2008-10-06 08:17:00 -
343:
T
日が暮れかけた頃に旅館に着き、チェックインを済ませると女将に案内され部屋に向かった。
正直色んな獣の匂いはちょっとするけど、部屋は綺麗で部屋に露天風呂も付いてる。
『…何でさっきからしゃべらんの?』
女将が部屋を出て行った後、旅館に着いた時から一言もしゃべらんアキに尋ねる『いや…まさかこんな処やと思わんかったからびっくりして…』
『そりゃプールやと思ってたんやから当たり前やわな(笑)気に入ったか?』2008-10-06 08:35:00 -
344:
T
『めぇっちゃ気に入った!ありがとう、たっちゃん』アキは丸い顔をクシャクシャにして笑いながら、初めての場所に少し戸惑ってるポポを抱き締める。
『それは良かった。飯まで時間あるし風呂入ろか。』『そやなぁ!せっかく温泉来たし。てかスプレーで頭痒い(笑)』
『汚い奴やな(笑)』
露天風呂の方に向かうと、“ペットは湯船に入れないで下さい”と書かれている。ペット専用の風呂は別の場所にあるらしい。
仕方なくポポを部屋に残し二人で風呂に入る事にした。2008-10-06 08:43:00 -
345:
名無しさん
朝はやくから更新ありがと?仕事いまおわり??んで、更新されてたから、幸せな展開にいやされました?Tさん仕事頑張ってね?ささやかな癒しありがと?
2008-10-06 08:51:00 -
346:
名無しさん
主さんのペースで頑張ってね♪
2008-10-08 05:13:00 -
347:
名無しさん
?
2008-10-10 10:42:00 -
348:
名無しさん
放置かなぴす
2008-10-13 04:26:00 -
349:
名無しさん
この小説のファンなんで、続き書いてくださーい
2008-10-17 23:35:00 -
350:
名無しさん
面白いあげ
2008-11-03 13:40:00 -
351:
名無しさん
書いて
2008-11-19 20:47:00 -
352:
T2
続き
『ぽぽ?あき?
いないんか? 荷物もない、、 ん?おれもしかして...
鏡をのぞきこんだ瞬間、俺は、我に帰った...
そうか フッ、、アッハッハッハ...(俺は笑いながら泣いていた)なぜなら...』
鏡には、何も写っていない...
(三日前の出来事)俺は、あきと ポポのまつ 俺の居場所に 車を走らせていた、
2008-12-01 06:21:00 -
353:
名無しさん
?
2008-12-04 06:19:00 -
354:
名無しさん
ポポは?
2008-12-12 07:18:00 -
355:
名無しさん
面白いけど 最後悲しい
2009-02-14 19:09:00 -
356:
名無しさん
途中迄しかまだ読ンでませンガ
最後迄読みます?2010-10-31 21:43:00 -
357:
名無しさん
シオリ?
2010-11-01 10:12:00 -
358:
名無しさん
書いてほしー
2012-04-26 02:28:00