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【揺るがない愛】
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1:
桃 ◆rWUmofW5fA
あなたの存在だけが
私の中の【光】でした。
どんな時も何があっても
それは揺るがず変わる事のない唯一のものでした。2006-05-09 02:52:00 -
2:
桃 ◆rWUmofW5fA
あの日のあなたと
出会った事は運命だった。
それは、始めから綴られていた私達の物語だったんだと、今なら思うよ。2006-05-09 02:55:00 -
3:
『遅いってー』しかめっ面に腕組しながら明ら様に不機嫌そうな蘭。
『ごめん!舜が怪しんでて中々抜け出せなくてさ…』『あ〜、舜君大丈夫?バレたらヤバいよね?』
ヤバいに決まってる。舜はもうすぐ付き合って二年になる超束縛の激しい一個上の彼氏。『もう寝るって言ったから多分大丈夫』
そう笑顔で言いながらも、内心はひやひやしていた。2006-05-09 03:25:00 -
4:
こんなにひやひやする
思いをして一体どこに行くかと言うと。
『絢華初めてなんだよね?ホストクラブ☆』
そう、ホストクラブ。私にとっては未知の世界と言っても過言じゃなかった。2006-05-09 03:31:00 -
5:
『当たり前じゃん。
舜みたいな男がいてホストに行けるわけないし。蘭がしつこく誘うから、今日は仕方なしにだよ〜』
『まぁまぁ、たまには息抜きしなきゃと疲れるよ?』そう呟き私の肩にポンっと手を乗せ笑う蘭に思わずつられて笑う。『…そだね。よし、今日は楽しもっか』そんな私の手を取り蘭がタクシーを止める。
『歌舞伎町まで!』2006-05-09 03:36:00 -
6:
その時、私は内心バレやしないかとはらはらしながらも初めてのホストクラブに興味津々だった。
それに、毎日のように一緒に過ごす舜から離れ、
気の知れる友達との時間に少しホッとしていたのかもしれない。
そんな事を思う私を乗せ、タクシーは夜の街歌舞伎町に辿り着く。2006-05-09 03:40:00 -
7:
夜の繁華街を知り尽くしたかのように足早に歩く蘭の後を私は必死に付いて行った。『蘭詳しいの?』
『まね。最近毎日のように通ってるし』『毎日!?』蘭の言葉に思わず叫ぶ。
『あ、それと絢華。年は18って言いなよ』『えっ?』この頃私と蘭はまだ17才、いわゆる未成年だった。2006-05-09 03:52:00 -
8:
『未成年はホストクラブには入れないの』
実際のところ未成年と知っていてもほとんどの店は黙認していた。今より風営法も厳しくはなかったから。
そんな事もよく解らないまま私はうなづいた。『わかった!』『ほんとかよ☆笑
あ、着いたよ』そう言われ見上げると町中にたたずむ一つのビルが目に入った。2006-05-09 03:56:00 -
9:
『行くよ』そう意気込む蘭に強引に手を掴まれエレベーターに乗り込む。
『うわ〜超緊張してきた』『そう、緊張すんなって。すぐ慣れるから』蘭は余裕の表情。よほど通い詰めてるのが見て取れる。
エレベーターが開くと白く大きな扉が一枚。中からは大音量の音楽が耳に入る。2006-05-09 04:01:00 -
10:
蘭が慣れたように扉を一気に開けるとすかさず、
『いらっしゃいませ!』と大きな声に包まれた。
すると奥から長身に黒のスーツに身を包んだ男が現れた。その姿は、誰が見ても"ホスト"そのものだった。2006-05-09 04:04:00 -
11:
『蘭!待ってたよ』『今日は友達連れてきたから楽しませてあげてよね』
『あ、初めまして俺飛鳥』チャラチャラとした飛鳥と名乗る男が私に笑い掛ける。これが蘭のお気に入り君かぁ。『ども、絢華です』『絢華ちゃんね。とりあえず座ろっか』
そう言われ奥の
広い席に案内された。2006-05-09 04:10:00 -
12:
黒と鏡を基調とした暗くて広い大きな店内にはおばちゃんから若い子まで幅広い女の人で溢れていた。
するとボーイのような人に『どうぞ』とお絞りを渡され初回料金の説明を聞き、ふーっと肩を撫で落とす。『何かすっごいね。蘭いつもこんなとこ来てんだ〜』『もぅ慣れたけどね。絢華もすぐ慣れるよ』『てか、慣れちゃやばくない?笑』『舜君に殺されんね☆笑』
私は初めてのホストクラブと言う場に興奮していた。2006-05-09 04:17:00 -
13:
『誰が誰に殺されんの?』顔を上げるとさっきの飛鳥と言うホスト。
『飛鳥君』蘭の横に座り、たばこに火をつける飛鳥を横目に『飛鳥でいいよ、こんな奴』そう蘭が茶化す。『こんなってなんだよ!笑でもまじ飛鳥でいいし☆』
二人が私の緊張を解こうと和ませてくれてるのが分かった。2006-05-09 04:27:00 -
14:
『ありがと☆私も絢華でいいから』そんな二人の気遣いが嬉しかった。しばらくして段々と打ち解けてきた私に飛鳥が問い掛ける。
『絢華はこんな奴がタイプとかある?』『タイプ?』『これで探してタイプの奴いたら言ってよ』そう言われ渡された分厚い本には、この店のホストの写真が沢山飾ってあった。いわゆる男メニューというものだ。2006-05-09 04:31:00 -
15:
パラパラと見ていくけど、一言でタイプと言われても分からない。お気に入りを見付け"担当"を作るように蘭に言われた私は『よく分かんないし誰でもいいよ』『んじゃ、従業員ローテーションで席に回すから気に入ったのいたら言って』
飛鳥の言葉に頷く私自身、担当というのを作っても私には舜という束縛の激しい彼氏が居るから、もう店には来るつもりは無かった。
今日一日、楽しめたらと、そう思っていた。2006-05-09 04:37:00 -
17:
色んなホストが席に来ては立ち、来ては立ちの繰り返しだった。ホスクブ初心者の私に絡みにくいのか話しにくそうにする奴や、いきなり色恋満開の奴、三枚目キャラで笑わせてくれる奴や、色んなホストがいた。
けど誰もピンと来なくて何だかな〜そう思っていたそんな中『初めまして!』
白いシャツに黒ネクタイにエルメスのネックが輝る、気さくそうな一人のホストが私の横に座った。2006-05-09 04:50:00 -
18:
丸くたれた感じの目にすっとした鼻だちに薄い唇、可愛い感じ。切れ長のツリ目のようなキツい顔が好きな私の好みとは正反対のタイプだった。
『俺、はるか!よろぴく』ノリのいいはるかに名刺を渡される。『え?遼花?』『それで"はるか"って読むんだ。女みたいっしょ?』『綺麗な名前じゃん。私も名前に花って入ってんだ。漢字は違うけど』
―その言葉に一瞬、遼花が止まった気がした。2006-05-09 05:04:00 -
19:
『…は、遼花君?』『え?あはは、ごめんごめん!』『私は変なこと言った?』『全然!女みたいな名前で馬鹿にされるかと思ってたから嬉しくてフリーズしちゃって』
―あの時、そう言って笑う遼花が少し哀しげに見えたんだ。どんな思いで笑ったかも知らずに。
私の些細なあの言葉に
あんな意味があった事すら知らずに。2006-05-09 05:16:00 -
20:
遼花は人見知りしている私に丁寧に優しく、時には楽しく話してくれた。
『あ!つーか俺名前聞いてなかった〜。確か花が付くんだよね☆』『そうそう、花は難しい方の華。絢華』『あやか!可愛い名前〜』『嘘ばっかりー』
遼花との会話は素直に楽しかった。時間が過ぎるのが早くて全然タイプじゃないのに話せば話す程、遼花が格好良く見えていた。2006-05-09 05:25:00 -
21:
すると、いきなり照明が落ち大音量のトランスが流れだし色んな所からライトが回り私と蘭の席に従業員が集まりだす。
『へ?なになに?』動揺する私に蘭が耳打ちをする。『シャンパンコール☆絢華ホスクラ初なら、見て帰って損はないよ』
シャンパンコール。ドンペリなどが卸りた際、行われるマイクパフォーマンス。『蘭さんから、ドンペリブラック頂きました!』
初めて見るシャンパンコールに私は唖然としてた。笑2006-05-09 05:33:00 -
22:
『ちょっと蘭!あのシャンパン、いくらするんよ?』『分かんないけど10ちょいじゃない?』
開いた口が塞がらなかったのは言うまでもない。あんなのがそんなするなんて。しかも分かんないって。笑平気な顔でドンペリを口にする蘭にも私は驚いたけどいつも事と笑う蘭の言葉に更に口が塞がらなかった。
そんな蘭は飛鳥と楽しそうに笑っていた。2006-05-09 05:39:00 -
23:
店もラストになり会計が運ばれてくる。シャンパンコールも見れて初のホスクラ体験が出来て満足してると『気に入った奴いた?』と尋ねてくる蘭に『別にって感じかな』遼花は楽しかったけど、それだけで一番って感じじゃ無かった。
『そっかぁ〜』『でも、超楽しめたよ☆蘭ありがと』『マジ?よかったー!それより絢華、お腹大丈夫?』蘭が気弱そうに心配しながら呟く。
『…大丈夫だっつーの♪』2006-05-09 05:47:00 -
24:
―私は妊娠していた。お腹には、4ヵ月になる子供。生むか生まないか、結婚か別れるかと舜と毎日のように話し合い、喧嘩の嵐。
17という年令で、"妊娠"という二文字を叩きつけられた私は精神的にも、かなりしんどかった。そんな私を気晴らしにと蘭が誘ってくれたのが今日に至る。生むにしろこの先、こんな遊びは出来ないなと思って思い切った部分もあった。勿論酒は一滴も飲んでない―。2006-05-09 05:55:00 -
25:
舜とは中学生時代に知り合って付き合い、強引でやんちゃな所に惹かれてここまで来た。誰よりも何よりも大事で好き過ぎて、あんなにも私を愛してくれる人はこの先居ないと思った。子供ながら、幼いながらに、私は私なりの愛を知った。誰がなんと言おうとも。
だけど、きっと私はこの時見えてなかった現実が多かったんだと思う。今なら解る事をあの時は何も解っていなかったんだ。
愛だけじゃ生きてけない。所詮愛だの恋だの綺麗事でしか無い事もこ時知った。2006-05-09 06:05:00 -
26:
きっと私が見ていた愛は、恋に溺れていただけで。
その想いに必死で縋り付いてたんだろう。あの頃の私には舜が世界だったから。
それでも、自分が信じた恋を過ごした日々を否定した事なんて無い。子供ながらに私は精一杯、恋をして、愛したのだから。2006-05-09 06:09:00 -
27:
担当は誰も決めず、舜にバレてはいけないと番号も教えず初めてのホスクラを後にした。
この時ホストクラブの余韻を思い返す間も無かった。私には片付けないといけない問題が沢山ある。早く舜の所へ帰らなくちゃ―。2006-05-09 06:13:00 -
28:
『…か、絢華!』『え?』『どした?ボーっとして』『あ、ううん。何もない』『ほんとー?てか時間大丈夫?』時間は昼前を差していた。『夕方に起きれば、怪しまないから大丈夫☆』『ならいいんだけどさ…。そういや、遼花が絢華の事すごい気に入ってたよ〜』『はるか?』もう既に遼花の事すら頭になかった。
『一番楽しそうに話してた奴じゃんか!忘れたの?』『あ!あぁ、あの人ね。笑つかどうせ営業じゃん?』『絢華見て可愛い可愛いって言ってたよ♪』
ホストに言われてもな…、今はそれ所じゃない。そんな思いでいっぱいだった。2006-05-09 06:24:00 -
29:
桃 ◆rWUmofW5fA
今日はここまで☆
2006-05-09 06:26:00 -
30:
その頃舜とは当たり前かのように毎日会っていた。何をする訳でもなく、ただ一緒に居て過ごす日々。
〜♪♪♪『はい、舜?』
『絢華?明日、大丈夫?』『うん…、大丈夫』
明日は子供の事で私の親と舜の両親と私たちで話し合いする事になっている―。『舜、産んでほしい?』私はこの言葉を何度尋ねただろう。『ん…解んねーよ』舜はそれしか言わない。言ってほしかった。どちらにしろハッキリと舜自身の気持ちを伝えてほしかった。2006-05-10 22:31:00 -
31:
解ってた、本当は最初から全部解ってたよ。その場その場の勢いのまま自己満足でしかなかった私たちに、命を生み出し育てていける価値なんてない事。
舜自身、父親になる気なんて更々無かった事も。
私自身、生みたいと願ったのは単なるエゴでしかなかったのかもしれない。
だけど、例えそうであっても女なら好きな人の子供を生みたいと思うのは、当たり前だよね…。2006-05-10 23:52:00 -
32:
次の日、私と両親は舜の家に居た。舜の両親との六人で話し合いが始まった。
私の家は両親とも厳しい人ではなかったから、『生みたいなら生みなさい。そのかわり責任と自覚を持ちなさい』それだけだった。舜の両親も『絢華ちゃんなら、舜の事も解ってくれてるし子供の事も反対しません』そう言ってくれた。その言葉の数々にも私は安心しきれていなかった、そう舜の本当の気持ちを聞いてはいなかったから。
今まで何度もはぐらかされて来た答えを、今日だけは舜も答えてくれるだろうと思っていたから。2006-05-11 00:25:00 -
33:
『舜!お前はどう思ってるのか黙ってないで、何とか言え!』煮え切らない舜に舜のお父さんが叫ぶ。舜の言葉は驚く程唖然としたものだった。
『…自信が無い』この一言しか舜は言わなかった。解ってはいたけど、いざ言葉にされると思っていた以上に辛く、目の前が真っ白になった。産むにしろ産まないにしろ私は舜に、熱意と誠意を見せてほしかった。私と私の両親に、精一杯、伝えてほしかったんだ。2006-05-11 00:59:00 -
34:
その日は舜の一言で終わった。私は、覚悟を決めるしかなかったんだと思う。それから問題はいくつも出て来た。中絶費はどちらが出すかという事。
私の両親は『私の娘は、体と心を傷付けるんです。男には一生解らない消える事の無い痛みをこの先ずっと背負って行くんです。せめて形としてそちらの誠意を見せてもらいたい』
母は舜の両親に、そう強く言い放った。舜の両親は納得したが舜は一向に納得しなかった。私の両親に何も言えない舜は私に当たるようになり、この頃から手を上げる事が増えて行った。2006-05-11 01:06:00 -
35:
鼻血なんて何回出したか解らない。顔にあざにができ家に帰れない日も幾度とあった。だけど、仕方がない結末だと私は思っていた。今の状況を作ったのは、自分自身に甘すぎた私達―。
何度泣いても、叫んでも、事態が変わる事なんてなく己の無力さを痛い程噛み締めた。あんなにも心の痛む涙を流したのは、初めてだった。2006-05-11 01:10:00 -
36:
『ごめんね』と何度呟いたって、綺麗事にしか聞こえないだろう。涙を流した所でお腹に居る子には伝わらない。世の中には何も考えるセックスして、子供が出来、堕ろす子も沢山いるのが事実。
―だけど、【簡単に】そんな事してる人なんて、絶対いないに決まってる。2006-05-11 01:16:00 -
37:
"疲れた"。まさに心身共に病みきっていた。泣き疲れ、すがる人もなく、もうすぐ居なくなる命に途方も無い悲しみを感じていた時、携帯が鳴り響く。
〜♪♪♪着信・蘭、
『…はい?』『絢華?大丈夫?』『全然☆大丈夫だよ』意地っぱりの私はこんな風にしか言えない、心配してくれる蘭にも。『…そっか。ねぇ、久しぶりに遊び行かない?たまには外出なよ☆』蘭の言葉に、一瞬舜の顔が浮かぶ。だけどもうどうだってよかった。今、舜に縛られる理由なんて何もない。『…そうだよね、うん☆久々に遊ぼうか』2006-05-11 01:32:00 -
38:
久々に化粧して、お洒落して、街に出る。普通の女の子のようにはしゃぐ時間。気がまぎれて、本当に久しぶりに笑えた気がして、
笑い方事すら忘れていた自分に涙が出そうになった。
『はぁ、よく遊んだ〜。こんな楽しいの久々だよ』『絢華、やっと笑った。あんな悲しい顔ばっかしてたら赤ちゃんも、哀しむよ?』蘭のありふれた言葉にまた泣きそうになる。『はは、うん。私絶対涙腺弱くなってる〜』ありがとう、蘭。2006-05-11 01:42:00 -
39:
『よし、そんじゃ締めに飲みに行きますか』『え?』『飛鳥の店、行こーよ♪』『ホスト!?えぇ〜』
強引な蘭さんに引きつられ再びあのホスクラに行く事になる。初めて来た日から約一ヵ月経っていた。2006-05-11 01:45:00 -
40:
改めて行くホスクラに私は初めての時より緊張していた。案内され席につくと、飛鳥が現れる。
『あ!絢華じゃん!久しぶり〜』『覚えてた?☆笑』『当たり前!今日こそ担当決めて帰って貰うからな』『それはどうだろ〜』久しぶりに舜以外の男と接して純粋に楽しんでた私がいたっけ。2006-05-11 01:54:00 -
42:
すると『絢華!?久しぶりー!』大きな声で話しかけてくるノリのいいホスト。ぽかーんとしてると、更にノリ良く喋り出す。『ちょっと、忘れた?ひどすぎ〜俺、遼花☆』『あ!遼花。久ぶりだね』私の記憶の中で遼花は一番良く話しかけてくれたというイメージしかなかった。全然タイプでも、何でもなかったし。
その時までは―。
2006-05-19 12:45:00 -
43:
『まじ久しぶりだね。最近何してたの?』そう言いながら遼花は隣に座り、腕を回してくる。相当酔ってるみたいだった。『ちょちょちょ、近いんだけど!笑』『え〜いいじゃん。俺ずっと絢華に逢いた…』何かを言い掛けて、止まる遼花。
『?。遼花?』
『お前、ここどうした?』私の左目に手を当て呟く。2006-05-19 12:52:00 -
44:
私は思わず遼花の手を振り払ってしまった。『何でもない』『何でもない事ないだろ。何?お前手ぇ上げる男と付き合ってんのか?』
そう、舜に殴られた時のアザが少し残っていたのを、遼花は気付いた。何だかその瞬間、無償に苛立たしくてこんな、男に殴られる自分が恥ずかしくて、涙が出そうになった。
『なぁ、絢…』『遼花には関係ないでしょ?いちいち踏み込んでこないでよ!』そんな言葉で自分を押し込むことしか出来なかった。2006-05-19 12:59:00 -
45:
そう言い放ち、睨み付ける私を遼花はしばらく黙って見ていた。―《グイッ》
その瞬間腕を掴まれ『ちょっと来い』そのまま引っ張られて店の外に出された。『ちょっと!なによ!?』
遼花は黙ったまま、私の腕を引っ張ったまま屋上に向かった。2006-05-19 13:03:00 -
46:
屋上に着くと、遼花は私を壁に押しつけた。『意味分かんないよ、あんた。何がしたいわけ?』苛々が積もり、そう呟いた瞬間―。
遼花は私に無理矢理キスをした。状況が飲み込めず、頭が真っ白な私は、思わず遼花をひっぱたいていた。
『何すんのよ!信じらんない…』怒る私に引き替え、遼花は微笑んでいる。2006-05-19 13:11:00 -
47:
『いって〜。普通ビンタするか?』飄々とする遼花を横目に『もう知らない。帰る』店に戻ろうとする私の腕を掴み遼花は私を抱き寄せた。『ちょ…、離して』
『俺、絢華の事好きだよ』その言葉に私は黙り込んでしまった。『だから、関係ないとか言うな』そう言うと、強く抱き締めていた腕を離した。『なぁ、絢華。この空見てみろよ』上を見ると、大都会の夜空にも関わらず星が点々と光っている。『こんな大きな空の下で、こんな小さい世界にお前は閉じ込められたままでいいの?』『何が言いたいの』タバコに火を灯しながら遼花は続けた。2006-05-19 13:23:00 -
48:
『諦めんなよ。自分を押し込むな。今のお前は窮屈そうで見てられない』
『…だから何?俺が幸せにするとか言うわけ?』『そんなんじゃねーよ』『私の何を知ってるってゆうの?ホストの言葉なんて信じられる訳ないじゃん!馬鹿にしないでよ』
私は階段を掛け下りた。流れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら。
諦める―?私は今の自分を諦めているの?仕方ないんだと、この現実が総てだと無理に受け入れようとしてたのかな。一気に今まで見えなかった、見ないようにしてた事に気付かされた気分になった。
もう、考えたくない―。2006-05-19 13:30:00