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†cruelty love†

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  • 1:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    利用価値。          

    それを決めるのは  
    あなた。

    2008-09-24 04:33:00
  • 2:

    ◆ACiNmI6Dxs


    「お疲れ様でーす。」  「あっ、お疲れっす。今日のドレスもいっすね、新しいやつっすか?」 
    「うんそう、良く見てるね(笑)」
    仕事終わり、いつものように新人ボーイと雑談を交わしながら送りを待つ。ドレスを褒められてちょっとだけ気分が良くなったあたしは、自販機でコーヒーを買ってボーイ君に渡す。

    2008-09-24 04:43:00
  • 3:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「あ、すいません!ごちっす。お疲れっす。」   「あいよ(笑)」     まだ18歳になったばかりらしいボーイ君は、黄色い頭をツンツンと立てて、少し大きめのスーツが初々しい。この子はいつまで続くかなぁ…なんて考えながら、あたしもコーヒーを一口飲んだ。

    2008-09-24 04:47:00
  • 4:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「おーお疲れさん。ごめんな、帰ろか。」     聞き慣れた声に、一瞬ドキッとするー…。     「あっ、オーナーお疲れ様です!!!これ今日の伝票と封筒です!」      「おー、悠司お疲れさん。今日は…ふーん平日にしてはまぁまぁやな。」   「はい…!!新規客けっこう入ってたんで後半は良かったです!!」
    新人ボーイは緊張した様子で、返事をした。

    2008-09-24 04:55:00
  • 5:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「おー、悠司あと片付けだけ終わったら今日はもう上がっていいで。
    レイカ、帰ろか。」      
    彼が、あたしの名前を呼び車の鍵をカバンから出す。「うん…じゃあ悠司くんお疲れさま。」      「あっ、オーナー、レイカさんお疲れ様です!!!」

    2008-09-24 05:02:00
  • 6:

    ◆ACiNmI6Dxs


    「――待たせてごめんな、今日は疲れたか?」   店から数分かかる駐車場まで歩きながら、彼があたしに聞く。  
    「んー…けっこう飲んだかなぁ。後半バタバタやったしね。」
    あたしは、足の早い彼に置いていかれないように足早に後ろを歩きながら答えた。

    2008-09-24 05:06:00
  • 7:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ―隼人と出会ったのは、3年前。あたしがまだ昼の仕事をしている時だった。 あたしは当時、地元の歯医者で歯科助手の仕事をしていた。
    「アカンアカン……俺、歯痛って人間の痛みの中でいっちゃん過酷やと思うねんっ…。」  
    「…まぁ、確かにそう言いますよね(笑)」     初診で来た隼人の横にたまたまついていたあたし、台に寝転びものすごく不安そうな彼に、とりあえず笑って答えた。

    2008-09-24 05:27:00
  • 8:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「笑ってる場合ちゃうて…あーほんまにブルーなるわ……うわっ医者来た。」 真っ昼間から胡散臭いスーツを着てこんな時間に歯医者…
    「大丈夫、すぐ終わりますよ(笑)」
    見た目のいかつさからは、想像出来ないような発言にもちろんあたしは笑いをこらえるのに必死だった。

    2008-09-24 05:33:00
  • 9:

    ◆ACiNmI6Dxs

    そっからまだブツブツ言いながらも、なんとか初診が終わりその後隼人は1週間に一回うちの歯医者に来るようになった。

    「おはよーさん、今日も気合い入れるわ…。口だけやなく全身に麻酔打ってくれんやろか?(笑)」
    「いやいや、歯医者ごときで大袈裟やから(笑)」    
    そんな会話を普通にするくらい仲良くなり、あたしはいつの間にか隼人が来院の日が楽しみになっていた。

    2008-09-24 05:38:00
  • 10:

    ◆ACiNmI6Dxs

    下の名前… 隼人っていうんや。いっつもスーツやけど、何してる人なんやろ…いろんな事が気になり、いろんな話を聞きたかった。そしてついに、隼人が最終治療の日がやってきた。    
    もう会われんくなるんかなぁ……。好きという感情まではいかないものの、なんとなく隼人の事が気になっていたあたしは、ちょっとだけ寂しい気持ちだった。

    2008-09-24 05:43:00
  • 11:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「やっと終わったわぁー。あー苦しい闘病生活やったわ・・・(笑)」
    「お疲れさまでした…相変わらず大袈裟(笑)」   「俺にとったらそれくらい過酷やねんよ(笑)長い間お世話になりました!」    
    これでお別れかぁー…‥。    
    「…でさっ、もし良かったら今度飯でも行かへん?歯治してくれたお礼。」

    2008-09-24 05:48:00
  • 12:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    隼人に手渡した診察券の代わりに、あたしの手元には一枚の名刺ーー…。   clua DEAR 代表   
    【橘 隼人】

    何かが始まる予感がした。あたしの中で、淡く甘い 期待が膨らんでゆく感覚…

    2008-09-24 05:54:00
  • 13:

    ◆ACiNmI6Dxs

    最後の検診以来、隼人と会ったのはー…、それから約1週間後だった。連絡を取り合うようになり、ようやく時間が合ったのが日曜日。
    隼人は、夜の仕事をしているらしい…。あたしも18の頃に、少しだけ知り合いがやっていたスナックを手伝った事があった。まぁ月に4、5回しか入っていなかったし、手伝うと言う程の仕事が出来ていたかは分からないけれど。。
    だから、夜の仕事と言われてもそこまで驚きや抵抗は感じなかったのが正直なところだった。

    2008-09-24 07:28:00
  • 14:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「え、マジ!?レイカちゃんてstyleにおったん?」初めて見る隼人の私服姿は…、想像以上にオシャレでびっくりした。ブランドの洋服やアクセサリーを、嫌味なく着こなしていて、総体的に品がある。

    「んー…おったっていう程でもないんやけどね。たった3ヶ月くらいやし…。」あたしはと言えば、どんな格好をして行けばいいか散々迷ったあげく。。
    結局、いつものデニムメインのカジュアルスタイルになった。

    2008-09-24 07:36:00
  • 15:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「あっこのママ知り合いやわー。ってか、俺の店知らん??DEARって…けっこう有名やねんけどなぁ(笑)」オシャレな創作居酒屋で、これまたオシャレなグラスに入ったビール片手に笑う隼人。
    「ごめん…あたしほんまに周りとか興味なかったから全く分からへん(笑)昼職メインやったし、ほとんどヘルプやったから…。」
      
    「そっかー…でも、意外やわ!レイカちゃんて、夜とは無縁っぽいし夜ぽくないしなぁ。」

    2008-09-24 07:43:00
  • 16:

    ◆ACiNmI6Dxs

    夜の仕事をする隼人に、そう言われるのはいい意味なんか悪い意味なんか・・?あたしは、ちょっと複雑な心境を笑顔でごまかしてとりあえず烏龍茶を一口飲んだ。

    2008-09-24 07:52:00
  • 17:

    ◆ACiNmI6Dxs

    "また会いたい" 
    そう思うのは必然的なことで、あたしはもうすでにこの時隼人に恋をしていたと思うー―…。


    彼が仕掛けた小さな小さな罠に、あたしは落ちていく

    2008-09-24 07:59:00
  • 18:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
    あたしは、まだ     無知で
    何も恐いものなんてなくてただ純粋に…   

    2008-09-24 08:04:00
  • 19:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    ――「最近、忙しそうやね…仕事。」
    「あー、ちょっとな。バタバタしてるわ。もーすぐ年末やしな。」
    運転席からあっさりと言われた隼人の言葉に、あたしは仕方なく俯く。    「ごめんな、最近あんま相手してやれんで。淋しないか?」           
    あたしの返事なんて分かってるくせに―ー…。

    2008-09-24 08:14:00
  • 20:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「こーやって時間作ってくれてるし大丈夫だよ。忙しい時やし、仕方ないやん。無理しんといてな…!?」  
    隼人は、子供っぽいワガママが嫌い―。だからあたしは、いつだって理解ある女を演じたかった。いつだって、本心は違ってたとしても…。
    「ごめんな、また落ち着いたらどっか行こな。」    
    二人きりのこの時間だけで、この笑顔だけで、確かにあたしは幸せだったから。

    2008-09-24 08:23:00
  • 21:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「そういやお前、今月もナンバーワンやったらしいなぁ?お疲れさん。」
    「あー…うん、まぁ先月よりは本数少ないけどね…」  
    「充分やろ。最近よう飲んでるみたいやし、あんま体無理すんなよ?」
    「ん……分かってる。」

    2008-09-24 08:35:00
  • 22:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ナンバーワン、それはあたしがこの三年間で必死にもがいて築き上げた証―。 水商売を真剣に頑張ろうと決めた日からがむしゃらに仕事をしてきた結果。

    そして、【橘 隼人】という男の隣で笑うには…どうしてもなくてはならない気がした―… 

    今のあたしを守ってくれるギリギリの鎧(ヨロイ)。

    2008-09-24 08:38:00
  • 23:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    ――あの初デート?以来、あたしと隼人はちょくちょく会うようになった。隼人は立場上、そんなに常には現場には出なくていいらしく…空いた時間にバーやご飯に連れて行ってくれたりした。
    隼人の話を聞くにつれて、彼の事をもっと知りたくなる。もっともっと近づきたくなる。。

    2008-09-24 08:41:00
  • 24:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「隼人の店…一回見てみたいなぁ。」
    切り出したのは、あたしの方だった。案の定隼人は快く、了解してくれた。    
       
    隼人の店で働く事になったのは、彼と出会って2ヶ月くらい経った頃だった。初めて見に行ったお店は、思ったよりも広く綺麗で…、お店の女の子達も若くて可愛い子ばかりだった。  こんな子達と、毎日一緒に働いてるんや。。。。  あたしは、初日からなんだか一気にブルーになってしまった…。

    2008-09-24 08:47:00
  • 25:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「あたしマリ。レイカちゃんよろしくね!気になる事があったら、何でも聞いてなぁ。」
    「あ…はい!ありがとうございます。」

    入店初日に初めて話し掛けてくれた人。くりんくりんに巻かれた巻き髪が、下品ではなく綺麗ですごく良く似合っていたマリさんは、この店のナンバーワンだそうだ。
    綺麗な人……  夜の世界でトップという地位を勝ち取っただけあり、マリさんは見た目の上品さだけでなく、お客様に対しての気遣い、女の子に対しての振る舞い、全てにおいて純粋にあたしは尊敬していた。

    2008-09-24 16:01:00
  • 26:

    ◆ACiNmI6Dxs

    マリさんのようなホステスになりたい――…。   あたしの目標は、入店初日に決まった。そこからはもう、本当に自分でも驚く程に必死だったと思う。

    あたしは、夜の世界の魅力にどんどんハマっていく。掛け持ちしていた昼の仕事を辞めて、店にはレギュラーで入るようになった。 そして、そのおかげか少しずつ少しずつ固定のお客さんが付くようになった…。

    2008-09-24 16:06:00
  • 27:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「レイカお前、よう頑張ってるなぁ。さすが俺の見込んだ女や(笑)」 
    夜に見るスーツ姿の隼人は、また昼間とは違う顔で、

    2008-09-24 16:16:00
  • 28:

    ◆ACiNmI6Dxs

    軽快なトークに更に拍車がかかっていたけど、仕事中の威厳ある表情…女の子やボーイたちからの信頼度。 
      
    それもまた魅力に感じるほど―… あたしはどんどん隼人を好きになっていた。

    2008-09-24 16:19:00
  • 29:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
      
    「――…なぁ、あたしらって付き合ってるん?」

    2008-09-25 21:31:00
  • 30:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ある日の送りの車の中で、あたしの唐突な質問に隼人は前を向いたまま 
    「俺は好きやけどな、お前のこと。俺の女になったら大変やで?」
    と、あっさりと答えた。    
    「……だって曖昧なん嫌やし。ハッキリさせたい。」 女なら誰だってそう思うと思う。 
    だって―ー…あたしと隼人はもうそういう関係。隼人に触れられるのは嫌じゃなかった。むしろ、あたしも同じ気持ちだった。

    2008-09-25 21:37:00
  • 31:

    ◆ACiNmI6Dxs


    「なら付き合う?いや、付き合ってや、俺と。」

    2008-09-25 21:40:00
  • 32:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ……言い直してくれて良かった。なんて安心しつつ 「…うん。」      あたしは、隼人がようやく言ってくれた言葉が素直に嬉しかった。

    「よし!んじゃ、今日からお前は俺の女やな(笑)」 「……浮気しやんでよ。」「はいよ、お前もな!」 隼人は、運転席から手を伸ばしあたしの手を握った。  
    なんだかドキドキして、一瞬で顔が赤くなるー…。 今日からあたしは、隼人の彼女なんや……。

    2008-09-25 21:46:00
  • 33:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
    ねぇ…あなたは
    あたしに        初めてをたくさんくれた。   

    2008-09-25 21:55:00
  • 34:

    ◆ACiNmI6Dxs

    初めての楽しさ     初めての優しさ     初めての切なさ  


    そして         初めての辛さ…――。

    2008-09-25 21:58:00
  • 35:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-09-25 22:01:00
  • 36:

    ◆ACiNmI6Dxs

    隼人と付き合って、1ヶ月が経った。相変わらず隼人は仕事が忙しくて…なかなか休みが合わない。
    オーナーってのは、店に出てなくても他での同業者の人達との付き合いや、新しく出す系列店なんかの打ち合わせで、毎日走り回っているらしい。        
    二人きりで会えるのは―、たまに帰る時間が合えば送ってくれる時くらい・・

    2008-09-25 22:07:00
  • 37:

    ◆ACiNmI6Dxs

    それでもあたしはその日があれば嬉しくて、僅かな時間でさえ幸せだった。  隼人に「頑張れ」と言われたら、その日の仕事だって頑張れた…。―だけど、現実はそう甘くなかった事を知る。

    あたしはやっぱりまだまだ子供で、満足したフリをしててもそれが態度に出てしまっていた。。

    2008-09-25 22:14:00
  • 38:

    ばなな?

    めっちゃ気持ち分かる(>_

    2008-09-25 22:53:00
  • 39:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ばなな?さん、ありがとうございますm(__)m嬉しい限りです?頑張ります?

    2008-09-25 23:28:00
  • 40:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「どないしたん?…なんか機嫌悪いん?」     「………別に。」    「ふーん、疲れてるん?」「……眠たいだけやって」あ、今の言い方めっちゃ感じ悪い風になったかも…。   
    「ほんまか〜…最近ハードやったしな。もう着くし今日はゆっくり休めよ!」 


    ―あたしは、子供。…ワガママで自分が可愛い可愛い子供。

    2008-09-25 23:34:00
  • 41:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「ってかさ…これって付き合ってるって言えるん??店でも付き合ってる事隠さなアカンし、店の女の子と仲いいし…付き合ってからプライベートで遊びにも行けてない……。一体何なん?隼人はあたしの事騙してるん!?」

    あたしは、自分の中の不満を全部隼人にぶつけた。

    2008-09-25 23:48:00
  • 42:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「………いやいやお前さ、俺の立場分かってるか?  
    俺、店のオーナーやで? 経営者の俺が店のホステスと付き合ってるなんて公表したら、完全にふざけた話になるの考えたら分からん?」 
    「……だって、そうじゃないと他の子がもし隼人の事好きになっー―…
    「いや、お前さ―、   俺の立場分かって俺と付き合ってるんなら、店の女の子に嫉妬やクソやって子供みたいな事いらんから。 確かに今ちょっと仕事がバタバタしてて時間作ってやれん事は悪いと思ってる…やけど、もっとお前大人になれよ―?」

    2008-09-25 23:51:00
  • 43:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    あぁ…         隼人の彼女になるっていうのはこういうこと。 
      
    “俺の女になったら大変やで?”

    2008-09-25 23:56:00
  • 44:

    ◆ACiNmI6Dxs

    あたしが我慢しなきゃ  傍にいれなくなってしまう  
    嫉妬も我慢しなきゃ…  会えなくても 
    会える日まで      あたしはただ待っていればいいんだ―…         
      
    そしたら隼人は     傍にいてくれるよね―・・?

    2008-09-25 23:59:00
  • 45:

    ◆ACiNmI6Dxs

    それからあたしは、ひたすら仕事だけを頑張る事にした。
    仕事中も隼人の事が頭から離れる事はなかったけど…一番になりたかった。  店のホステスとして、隼人の女として――…。      
    隼人に、あたしという存在を認めてもらいたかった。

    2008-09-26 00:03:00
  • 46:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「レイカ、最近よう頑張ってるなぁ〜!その気合いどないしたん?!彼氏でも出来た?(笑)」      「え…?いやいや、全然!そんなん違いますよ。。」更衣室に貼りだされたグラフを見ながら、マリさんが声をかけてくれた。
    今日の薄い瑠璃色のドレスも、やっぱり彼女は綺麗…。  
    「マリさんにはかないませんっ。不動のナンバーワンですもんね!!」

    あたしが笑顔で言うと、マリさんは一瞬雲った表情を見せたあと       「……いや、レイカ実は」

    2008-09-26 00:11:00
  • 47:

    ◆ACiNmI6Dxs

    マリさんの言葉に目が点になった―。
    「――ーえ?DEARを辞める…??ってマリさんが!?嘘でしょっ…!?」    
    店を辞めると言ったマリさんに、あたしは思わず大声を出してしまった。。  マリさんは、言いにくそうに言葉を続ける。    「いや…ほんまやねん。実はさ、あたし……結婚するねんやん(笑)」     え・・・        「け、結婚……っ?マジですか!?」         
    マリさんが結婚。。。  マリさんは、頬を少しだけ赤らめて
    「水商売もそろそろ潮時やし、本物のママになるわ(笑)」と、お腹をさすりー…照れたように笑った。

    2008-09-26 03:10:00
  • 48:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    この業界の終わりは、きっと人によって様々だと思うけど… 
    不動のナンバーワンの肩書きを捨て、たくさんの人に愛され支えられてきたマリさんが、これからは一人の男の人だけの為に、これから生まれてくる尊い命の為に―… 
    生きていくんだと思ったらなんだか彼女だけはやっぱり最後まで輝いていて、   
    きっとこの先もずっとあたしの憧れであり続けるような気がした……。

    2008-09-26 03:19:00
  • 49:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-09-26 03:21:00
  • 50:

    ◆ACiNmI6Dxs

    マリさんが居なくなった初めの月のclub DEARは、まぁ大変なもんだった…。 「あー゛!!ほんまにてんてこ舞いやわっ・・・!!次から次へとマリの消息問い合わせ攻撃・・(泣)」 リストで電話機を見つめながら泣き言を言うのは、 DEARの店長 りょう君。。   
    「店長、泣いててもしゃあないっすよ!!女の子達に穴埋め頑張ってもらって…俺らも新規キャッチ前向きにいきましょっ!!」    喝を入れてりょう君を励ます、新人ボーイ君達。    
    マリさんの存在の大きさをやっぱりいざ居なくなると皆が皆…尚更痛感しているみたいだった。

    2008-09-26 03:30:00
  • 51:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    「…なんとかなるやろ。代わりはいくらでもおるし。」 

    2008-09-26 03:32:00
  • 52:

    ◆ACiNmI6Dxs

    そんな中、隼人だけは相変わらず冷静だった。ナンバーワンとナンバーツーの指名本数の差がすごいうちの店で、…これだけ余裕を見せる隼人をあたしはすごいと思った。


    あたしも頑張らなきゃ―…  

    2008-09-26 03:36:00
  • 53:

    ◆ACiNmI6Dxs

    あたしがマリさんと同じ位置に立てたのは、それから約一年後――…。    
       
    がむしゃらに、一生懸命、お客様を大切にして思いやりを持つ心を忘れず、マリさんから教わった事を生かしながら、あたしはついになりたかったナンバーワンに上り詰めた。

    2008-09-26 03:41:00
  • 54:

    ◆ACiNmI6Dxs


      
    「ナンバーワンおめでとうレイカ。」

    2008-09-26 03:45:00
  • 55:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ――
    隼人が隣で笑っていた。 あたしの姿を見て、喜んでくれていた。あたしの手を握り、抱き締めキスをしてくれた…


    頑張って良かった―……。あたしは、これでようやく隼人に近付ける気がした。

    2008-09-26 03:47:00
  • 56:

    ◆ACiNmI6Dxs


      
    あなたはいつだって   近づけば近づく程…      
    遠くに感じてしまう     

    2008-09-26 03:54:00
  • 57:

    ◆ACiNmI6Dxs

    感じてきたこの心は   決して 
    無意味ではなかったと     
       
    ただ唯一の言葉を    もう一度伝えて――…    

    2008-09-26 03:59:00
  • 58:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-09-26 04:00:00
  • 59:

    ◆ACiNmI6Dxs

    隼人は、あれから少しだけ仕事が落ち着いたみたいで休みが重なる日はご飯を食べに連れていってくれたりした。今日は、久しぶりに仕事以外で会える日…  あたしは、とにかく嬉しくてめいいっぱいお洒落をして隼人の車に乗り込んだ。 
    「お前、何食べたい?」 「んー…なんでも!!隼人が食べたいもんでいい!」「…なんやそりゃ(笑)せっかくやねんから、お前が食べたいもん言いや。」  「じゃあ、…鍋かな!駅前の最近出来たとこ行ってみたいかも!!」        
    隼人は了解、と笑顔であたしが指定した鍋屋に連れていってくれた。

    2008-09-26 04:09:00
  • 60:

    うさ

    切なさや、がまん…満足してるって自分に言い聞かせる感覚。凄く懐かしい気持ちになりました。
    昔にした恋愛に少し似てる…って、思いながら読んでます☆是非、最後まで読ませて下さい。楽しみにしています(^_^)

    2008-09-26 06:45:00
  • 61:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「あ、わりとうまいで。どう?うまい?」
    「うん…おいしい!!」 鍋を二人でつっつきながら、あたしは顔がニヤけるのを必死で隠す。怪しいなぁあたし…。。         
    スーツもいいけど、たまに見る隼人の私服姿はやっぱり格好いい。私服を見れること、なんだか特別な気がして…そんな事でさえあたしは嬉しく思う。

    2008-09-26 07:55:00
  • 62:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「お前、もっと肉食えや肉。太りなさい(笑)」   「何がよー嫌やし(笑)」 鍋から出る煙に混じり、隼人の笑顔がぼやける。      
    あ、またや―…・・   あたしはこの、隼人の笑った顔が大好きだった。  笑うと少し目尻が下がる目元。口角のあがる口。     

    もっと見たい、触れたい、と思う―…。

    2008-09-26 08:08:00
  • 63:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ピリリリリ――ー 
    「…もしもしー?あっ、おはようございます!」  ご飯中でも鳴り止まない電話は、隼人の忙しさや立場を思い知らされる。

    ほんま大変なんやなぁ…      
    あたしは慌ただしく電話に出る隼人の顔を、ボーっと見つめていた。

    2008-09-26 08:13:00
  • 64:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
     
    一番近くで見ていた   あなたの大変さを    あたしは 
    分かっていたはずなのに

    2008-09-26 08:16:00
  • 65:

    ◆ACiNmI6Dxs

    "それだけで良かった"  そう思える事ばかりだったあの頃を  


    いつの間にか      自らの手で あたしは…

    2008-09-26 08:19:00
  • 66:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-09-26 08:20:00
  • 67:

    ◇らん◇

    メッチャおもろぃ?主さん完結まで頑張ってくださぃ??

    2008-09-26 08:26:00
  • 68:

    ◆ACiNmI6Dxs

    最近、あたしは行き詰まっていた―。
    続々と入ってくる可愛い新人ホステス達…。ナンバー1の地位だけは維持していたものの、いつ追い抜かされてもおかしくないくらい勢いのある子達が多い。    
    「なぁ、いい加減付き合ってや?無理ならもう店こーへんしな!」      こんな事を言われても、あたしには知ったこっちゃない……。色営業は、苦手だ。
    このままじゃ、落ちていってしまう・・。

    2008-09-26 08:26:00
  • 69:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……と、とりあえず飲もう!!あたし今日は飲みたい気分やねん!」    必死に笑顔を取り繕い、あたしは目の前のグラスを手に取った。
    「え…!?レイカ飲むん?珍しいなぁー!よっしゃ、飲んで酔って腹割って話しよかぁ(笑)」

    あたしの発言に太客の吉田さんは、嬉しそうに自分のグラスを一気に飲み干した。…あたしはお酒が好きじゃない。
    普段からほとんど飲まずに接客をしていたあたしの思わぬ発言は、意外にもお客様を喜ばすことが出来た。

    2008-09-26 08:33:00
  • 70:

    ◆ACiNmI6Dxs

    らんさん、コメントありがとうございます??頑張ります?

    2008-09-26 08:34:00
  • 71:

    ◆ACiNmI6Dxs

    あぁ……… 
    目の前がグルグル回ってる。あたしってお酒が苦手だけじゃなくて、弱かったんや・・…。          
    「んじゃっ、レイカ明日も来るわな!!今日は楽しかったわ!頑張れよ(笑)」 吉田さんは、そう言うとテンションが上がったまま…手を振り帰っていった。    

    あー……気分悪い。。

    2008-09-26 08:39:00
  • 72:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「もぉー!隼人ありえんからぁ(笑)マジむかつくぅ!返してよぉ!」     ガチャ――…      更衣室のドアを開けると、中には新人の女の子と隼人の姿が――・・。    ……店出てきてたんや。     
    「おー、レイカお疲れさん。…なんかお前顔赤いで?大丈夫か?」      あたしに気付き、隼人が声をかけてきた。     「レイカさん珍しいぃ〜!酔ってますぅ?(笑)」  隼人の隣からひょこっと顔を出し、笑いながら聞いてくる新人の子。

    2008-09-26 08:46:00
  • 73:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
     
    アカン……       めっちゃイライラする―…   

    2008-09-26 08:47:00
  • 74:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「おい、レイカお前聞いてるん―… 
    「―酔ってないですよ。ってか、今日もう上がっていいですか?」      隼人の言葉を遮り、あたしは自分のロッカーの鍵を開けて荷物を取り出す。     
    「え?上がりってちゃんと店長に確認取ったんか?」「取りましたよ。…じゃあ今日送りいらないんでお疲れさまでした。」    「…おい!ちょー待てって―― 

    …隼人の呼び掛けを無視して、あたしはそのまま更衣室を出ていった。

    2008-09-26 08:54:00
  • 75:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「レイカ!!おい…お前待てやっ!!!」     ガシッ――        ビルの下で走って追い掛けてきた隼人に腕を捕まれる。「…離して。」    「ちょ、お前いきなりどないしたん?…ほんま酔ってるんか?」

    「……だから酔ってないって!離してよ!!」 

    隼人に八つ当たりして、一体何になるんだろう。

    2008-09-26 09:01:00
  • 76:

    ◆ACiNmI6Dxs

    そんな事分かっていながらも、あたしはこの場で燃焼しきれないモヤモヤを…どうする事も出来なかった。   
    「………もう嫌や…。」 
       
    気付けばあたしの目からは、涙が零れていた。我慢するのは、もう限界や―……

    2008-09-26 09:06:00
  • 77:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    「隼人……別れよう…」    
       

    2008-09-26 09:07:00
  • 78:

    ◆ACiNmI6Dxs

    あたしの口から別れを告げるなんて、思ってもみなかった。だって、あたしは…こんなに好きなのに。  隼人には伝わらない。いくら頑張っても、いくら伝えても、伝わらないー     
      
    …隼人に認めて欲しかった。   
    ただ、自慢出来るあなたの"女"になりたかった。

    2008-09-26 09:13:00
  • 79:

    ◆ACiNmI6Dxs

    本当は、ナンバーワンなんてどうだっていい。お客さんなんて関係ない。    
    ただあなたの為に、隣に立っていても恥ずかしくない女でありたかった―     

    「…泣くなや、俺が好きなんはお前だけやから。」

    2008-09-26 09:25:00
  • 80:

    ◆ACiNmI6Dxs

    隼人は、あたしを抱き締めて呟く。        「……聞きたくない…もう疲れたねん…」     「―無理、好きやから。」   
    「お前は?…もう俺のこと好きやなくなったん?」    

    2008-09-26 09:28:00
  • 81:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       
    「レイカ…ずっと俺の側におってよ。」   
      

    2008-09-26 09:32:00
  • 82:

    名無しさん

    これ実話ですか??
    色も使ってなくてお酒も飲めないのにナンバー1ずっとキープってすごい人なんですね〜(゚o゚)w

    2008-09-26 09:34:00
  • 83:

    ◆ACiNmI6Dxs


      
    遠くに行こうとすれば  近づいてくる         
    そんなあなたに     振り回されてばかりだった   

    2008-09-26 09:35:00
  • 84:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
    あなたの目に映る    その色のなかに
       
    あたしは        少しは映っていましたか?…   

    2008-09-26 09:39:00
  • 85:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-09-26 09:40:00
  • 86:

    名無しさん

    実話とかありえん

    2008-09-26 11:52:00
  • 87:

    ◆ACiNmI6Dxs

    90さん、仕事の話の部分がでしょうか?小箱の店だったので、本当です?コメントありがとうございます?

    2008-09-27 08:47:00
  • 88:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「――あ、お前クリスマスどこ行きたいか考えとけよ。」 
    「え…?あっ、うん……」  
    季節は冬。―…隼人と出会ってもうすぐ二年が経とうとしていた。      去年のクリスマスは彼氏なんか彼女なんか曖昧な関係だったし、隼人の仕事が忙しくて会えなかった。    
    今年は、恋人同士として隼人と一緒にいれる…。クリスマスなんて興味ないと思っていた隼人からのその言葉に、あたしのテンションは一気に上がった。

    2008-09-27 08:54:00
  • 89:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……普通のデートしたい。」

    あたしが呟くと、隼人は 「了解、クリスマスは早起きして朝からお出かけやな。」と、笑って言った。   

    2008-09-27 09:02:00
  • 90:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ――…
    いつか普通に手を繋いで歩けること、ずっと夢見てた。
    あたし達は恋人同士のようで、いつもどこかすれ違っていた気がするから      
      
    隼人の見つめていた先に、あたしが映っていなくても…

    2008-09-27 09:10:00
  • 91:

    ◆ACiNmI6Dxs

      

       
    側にいたい。      あなたの側にいさせて…―    

    2008-09-27 09:12:00
  • 92:

    ◆ACiNmI6Dxs

    何事もなく、このまま毎日が過ぎていけばいいと思ってた。


    試練はすぐに待ち受けていたのに…        「―…レイカさん、ちょっといいですか?」

    2008-09-27 09:15:00
  • 93:

    ◆ACiNmI6Dxs

    更衣室で珍しく女の子に声をかけられた。声をかけてきたのは、この間ここで隼人と楽しそうに話をしていた…新人の葵(あおい)ちゃんだった。 
    「ん?どうかしたー??」あたしは当たり障りないように、笑顔で返事をする。  
    葵ちゃんは一瞬強ばった表情を見せたかと思うと、 あたしを睨み付けながらこう言った― 
    「レイカさんて…代表と付き合ってるんですか?」

    2008-09-27 09:21:00
  • 94:

    ◆ACiNmI6Dxs

    突然の問いかけにあたしは驚きを隠せなかった。隼人と付き合ってる事は、誰にも口外してない…―。  隼人の顔を潰さない為にも絶対に、バレてはいけなかった。

    「え…なんでいきなり!?ありえへんから(笑)」  あたしは冷静を装って答えたけど、葵ちゃんは続ける 
    「店の子が――…、レイカさんと代表が一緒に帰っていくとこ見たらしいんですけど?代表が送り出るとか普通ないですよね?――なんでなんですか?」

    2008-09-27 09:29:00
  • 95:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「あー…家が近くてリョウ君が送り出れんかったからたまたま送ってもらっただけだよ(笑)」      異様な雰囲気を笑いでごまかしながら、あたしは不思議に思う…。なんでこの子は、こんなに詰めてくるんやろ―・・。

    「……そうなんですか。 
      
    ってか、あたし代表のこと好きなんでレイカさん応援してくれますよね―?」

    2008-09-27 09:36:00
  • 96:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ――……え?         
       
      
    「ここだけの話、あたし…代表と今いい感じなんです。プラベでも連絡取ってるし…あたしは好きやから彼女になりたいんです」

    2008-09-27 09:45:00
  • 97:

    名無しさん

    新人が古株のNo1に対して睨みつけてそんな事ゆうとか?
    頭イッてるね

    2008-09-27 13:49:00
  • 98:

    名無しさん

    ヤバい気になる?

    2008-09-27 23:58:00
  • 99:

    名無しさん

    書いてね?

    2008-09-28 23:20:00
  • 100:

    ◆ACiNmI6Dxs

    コメント皆さんありがとうございます?頑張って書いていきます?

    2008-09-29 04:28:00
  • 101:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「そ…そうなんや!普段も会ったりしてるんー?代表もやり手やなぁ(笑)」  さり気なく探りをなんかを入れてしまう、あたし。 目の前のこの子が言ってる事に、揺れ動く心―…。 
       
    「……会ったりっていうか、あたしが早くに来た時に出勤前ご飯とかは行ってます。…隼人が誘ってくれるんで。」

    2008-09-29 04:33:00
  • 102:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       
      
    胸が・・・       張り裂けそうだった。

    2008-09-29 04:35:00
  • 103:

    ◆ACiNmI6Dxs

    笑ってごまかしながら、あたしは気が付いたら   「めっちゃ仲いいんやん!応援するわー(笑)」   なんて、思ってもない事を口にしていた。
      
      
    動揺を隠せない…      
    隼人、これは事実なん―…?

    2008-09-29 04:40:00
  • 104:

    ◆ACiNmI6Dxs

    その日の接客は、なんにも手に付かず上の空だった。営業が始まると、あたしはくるくるといろんな表情を見せながら走り回る葵ちゃんを…―自然に目で追ってしまっていた。


    「……おいレイカ、聞いてるかー!?」      「……え?あ、ごめん!」吉田さんの隣で、あたしは慌ててグラスに氷を足す。  
    「お前今日なんかおかしいな…なんかあったんか?」

    2008-09-29 04:47:00
  • 105:

    ◆ACiNmI6Dxs

    吉田さんの思わぬ指摘に、あたしは笑顔で 
    「なんもないよー(笑)ちょっとお酒回ってぼーっとしてただけ!ごめん、話の続きなんやったっけ?」と、答えた。
    今は、まだ接客中だから…出してはいけない。我慢しなきゃ。

    あたしは大丈夫。しっかりしなきゃ――…。

    2008-09-29 04:52:00
  • 106:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       

    「いらっしゃいませー!」

    2008-09-29 04:53:00
  • 107:

    ◆ACiNmI6Dxs

    店内の騒めきをかき消すようなボーイの大声に、皆がドアの方を見る。    こんな時間からまだお客さんが入ってくるなんて珍しいな… なんて思いながらあたしもドアの方を見た。  
       
    隼人………       あたしの視線の先には、今一番会いたくなかった  隼人と、知らない女の子の姿…――。

    2008-09-29 04:58:00
  • 108:

    ◆ACiNmI6Dxs

    見たことないその女の子は、いかにも夜の仕事といった感じで、綺麗に巻かれた明るい巻き髪に派手目な化粧。ブランド物のバック。 
     
    それに、とにかく細い人…。隼人の好きなタイプやなぁ。          なんて、呆然と目の前の光景を見つめていた。

    2008-09-29 05:03:00
  • 109:

    ◆ACiNmI6Dxs

    店内は騒がしくて、会話なんかは聞こえてこない。 うちはキャバクラだから、女の子だけで飲みに来る事は出来ない。―…だけど、面接なら店長達も席につくはず。


    ぐるぐると回る思考回路は、―――・・もうショート寸前だった。

    2008-09-29 05:19:00
  • 110:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    「え――?帰りたいって…何言うてんねん。指名三組もまだ被ってるやん(笑)」リストのリョウ君は、苦笑いしながらあたしを見る。   
    「無理。…体調めっちゃ悪いねん。上がらせて。」    
    あたしは無表情のままリョウ君に言い返す。

    2008-09-29 05:40:00
  • 111:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「…無理やって!まだ閉店までワンセット残ってるし、あと一時間は頑張ってや。な、レイカ!」
    リョウ君は笑顔の消えた顔で、あたしの肩を叩く。    
    「無理。お疲れ様。」  あたしは、そのまま無言で更衣室に入っていく―。    
    「お、…おいちょー待って!!レイカ!!」    リョウ君が追い掛けてきたけど、更衣室の鍵を締めてあたしは着替え始めた。

    2008-09-29 05:45:00
  • 112:

    ◆ACiNmI6Dxs

    コンコンッ―コンコンッ―     更衣室がノックされて、彼の声が聞こえる。      
    「おーい、…レイカ?聞こえるか?」


    もう誰とも話したくない。

    2008-09-29 05:48:00
  • 113:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「レイカー?体調悪いんやって?大丈夫かー??」    
    心配を装う隼人の声は、ひどく穏やかで… あたしは自分がしてる行動が惨めで虚しくて―…       
     
    もう何もかもが 
    嫌になってしまった――。

    2008-09-29 05:52:00
  • 114:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       
    「隼人…話したい事あるねん。」

    2008-09-29 05:54:00
  • 115:

    ◆ACiNmI6Dxs

    あの後、とりあえずあたしは接客に戻った。…失いかけたホステスとしての理性をなんとか保つ事が出来た。 

    だけど、もう自分の中で決心のついた部分があって こうやって久しぶりの隼人の送りを、
    あたしは今酷く醜い表情で待っている――…。

    2008-09-29 05:59:00
  • 116:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「…おーお待たせ、ごめんな!体調大丈夫か?マシになったかー?」     車に乗り込み、隼人は運転席でハンドルを握りながらあたしに聞いた。 
    「……うん、大丈夫。」 あたしは俯いたまま答えた。

    ピリリリリリ―       車内に鳴り響く電話。  「―あっ、ごめん。ちょっと静かにしとってな。」

    2008-09-29 06:04:00
  • 117:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「…もしもし?おー今終わって帰りようとこやで!お疲れさん〜。あっ、今日わざわざありがとうな。」 ――隼人の電話口から聞こえた声は、甘くて可愛らしい声だった。さっきの女の子・・あたしはすぐに分かった。  


    2008-09-29 06:08:00
  • 118:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    ねぇ隼人、       あなたはいつも     言い訳ばかりするのに 

    2008-09-29 06:10:00
  • 119:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    一度も「信じろ」とは  言ってくれない。      

    それが、        ずっと悲しかった。

    2008-09-29 06:13:00
  • 120:

    ◆ACiNmI6Dxs

      

      
    「……もうここでいいから車止めて。」         

    2008-09-29 06:14:00
  • 121:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「――え?ここって??…なんでやねん(笑)まだだいぶ歩かなあかんやん。」    
    「いいから。」
    「良くないって。ちゃんと送るわ。」

    「…もーいいから!!止めてって言ってるやん!!!」

    2008-09-29 06:18:00
  • 122:

    ◆ACiNmI6Dxs

    あたしの大声に、隼人は一瞬顔を強ばらしたあと  「…どないしたん?何かまた気にしてるんか?」  と、宥めるように言った。   
       
    「………もういいから、そんな心配いらんねん。いい加減にし…て…あたしは…隼人の人形やない……。」   

    2008-09-29 06:24:00
  • 123:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「人形…??何言うてるねん(笑)心配いらんて、自分の女が体調悪いのん心配して何が悪いん?普通やん。」 


    自分の女―……     あたしは、隼人の彼女。   
    これが、彼女――???

    2008-09-29 06:29:00
  • 124:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……女?隼人にはその自分の女がたくさんいるねんなぁ?」
    言ってはいけない事だと、もう側にいれなくなるかもしれないと―、頭の片隅ではちゃんと分かってた。 「…は?どういう意味?」 
       
    「………葵ちゃんと、連絡取ったりご飯行ったりしてるやろ?」 

    2008-09-29 06:33:00
  • 125:

    ◆ACiNmI6Dxs

    隼人の答えを、聞くのが恐かった。 
    「…あぁ、たまたまやん。仕事の前に時間あったから連れてっただけやで。」    
    「連れてったって…葵ちゃんは隼人の事好きやねんで?…気付いてるんやろ?なんで気持たすような事するん!?」

    「好き?あいつが俺を?」

    2008-09-29 06:37:00
  • 126:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……あーないない。お前の勘違いやろ?あいつ普通に男おるやん(笑)そん時もしょーもない相談受けたし。」

    「…そんなん知らんわ。嘘かもしれんやん。ってか…連絡取ったりご飯行ったりする事が問題じゃないん?隼人が誘ったんやろ…?」    
    「誘ったって…だから、たまたまや言うてるやん。」「たまたまで、店の子誘うんや?あたしと付き合ってるのに……。色でもかけるつもりやった?」

    2008-09-29 06:45:00
  • 127:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       
    「ってか、そもそもあたしが色なんちゃうん…?」

    2008-09-29 06:47:00
  • 128:

    ◆ACiNmI6Dxs

    真っ直ぐ、隼人だけを見ていたと思う。今日までは、ずっと。
    隼人を信じれないのは、あたしが自分に自信がないからで。隼人を責めたところでどうにもならないなんてこと、分かってた。
     
     
    「……お前、俺ってそんな信用ないか―?」

    2008-09-29 06:53:00
  • 129:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「気にしてそうやから言っとくけど…今日来とった女の子は、俺の同級生でミナミでママやっとう子やねん。久しぶりに近く寄ったから店見に来てくれただけやから、心配すんなよ?」     
    あたしの頭を、隼人がポンポンと叩く。それから、隼人の手があたしの冷たい手をゆっくりと握る。     
           
    「ってか、俺普通にお前の事好きやねんけど?   お前の事、ちゃんと考えてるから。 色とか…しょーもない事言うなや。」

    2008-09-29 07:07:00
  • 130:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
     
    「お前は、俺の事だけ好きでおったらえーねん。」

    2008-09-29 07:10:00
  • 131:

    ◆ACiNmI6Dxs

    隼人に抱き締められた腕の中で、あたしは涙が止まらなかった。悲しみからか、安心からか、なんだか良く分からない感情で…―     
    ただ、隼人の腕の中はあったかくて。その温もりだけで充分な気がした。   「好き」という言葉だけで  
      
    あたしがまだここにいる事が、許される気がした―。 

    2008-09-29 07:17:00
  • 132:

    ◆ACiNmI6Dxs


      
    あなたの目には     光なんて映っていなくて その闇に少しでも    灯りをともせるなら      
    あたしは 

    2008-09-29 07:20:00
  • 133:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
     
    あなたの為に        
    何だってなれる気がした …   

    2008-09-29 07:22:00
  • 134:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-09-29 07:23:00
  • 135:

    名無しさん

    朝から更新ありがとう?
    メッチャ嬉しい〜
    このまま頑張ってください毎日読み続けるよ〜〜

    2008-09-29 09:15:00
  • 136:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ありがとうございます?嬉しいです??頑張って書いていきます?

    2008-09-30 05:41:00
  • 137:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    ねぇ隼人        どうしてあたし達は   出会ってしまったんだろう 
       
    もう少し…       もう少しだけ      早くに出会っていたら

    2008-09-30 05:43:00
  • 138:

    ◆ACiNmI6Dxs

    あたし達の未来は    変わっていたんだろうか。    
      
      
    今でもあの頃のように  笑っていれたかな…―?

    2008-09-30 05:46:00
  • 139:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「おはよー、お待たせ。 今日はえらい気合い入ってんなぁ(笑)」      「…めちゃ早起きしてもたから暇やってんもん(笑)」あー……ちゃうやん。隼人に可愛いって思われたいから気合い入れてお洒落したのに・・
    あたしのアホ。もっと素直になれたらなぁ…。。 


    「えーやん(笑)早起きしたかいありやな。     今日、めっちゃ可愛い。」

    2008-09-30 07:17:00
  • 140:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「え―…?」

    「お前の私服姿好きやで。ちゃんと俺の好みにしてくれてるんやろ?(笑)」

    「……隼人の好みとか知らんし。…たまたまやん。」

    2008-09-30 07:22:00
  • 141:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       

    「あっそ。俺の好きな髪型までしてきて?ほんま… 可愛いな、お前(笑)」 

    2008-09-30 07:25:00
  • 142:

    ◆ACiNmI6Dxs

    隼人は、前髪がポンパドールになった巻き髪が好き。服装は、シンプルで女の子らしい格好が好き。化粧は薄めで、ラメの入ったグロスと長い爪が嫌い。


    隼人の好みなら何でも知ってる。……隼人の好みに近づく為なら、早起きの苦手なあたしでも―
    何時間だって早く起きれる

    2008-09-30 07:32:00
  • 143:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    「隼人……手繋いで?」

    2008-09-30 07:35:00
  • 144:

    ◆ACiNmI6Dxs

    運転席から、隼人があたしの手を握る―…。寒さでかじかんだ手を、隼人の体温が溶かしてくれる…。    
    「素直でよろしい。」     
      
    隼人…  大好きだよ。       
    あたしは、握られた手を強く強く握り返した。

    2008-09-30 07:40:00
  • 145:

    ◆ACiNmI6Dxs

    クリスマスイブはどこに行っても混んでいて、だけど人混みの嫌いな隼人も、文句一つ言わず…あたしの行きたいところに連れて行ってくれた。 

    その間、あたし達はずっと手を繋いでいた。誰の目も気にせずこうやって隼人とを街を歩けることが、  あたしは今―…心から幸せだと思った。

    2008-09-30 07:43:00
  • 146:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    この日あなたがくれた  一生の宝物は        
    今でもあたしの     薬指に…光っています

    2008-09-30 07:51:00
  • 147:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    あなたの名前が     掘られた
    あなたがあたしにくれた 最初で最後の       
    プレゼント…―  

    2008-09-30 07:53:00
  • 148:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-09-30 07:54:00
  • 149:

    名無しさん

    更新楽しみにしてたから
    嬉しい?今日も1日頑張れる気が沸いてきた?ワラ
    また書いてね?

    2008-09-30 09:09:00
  • 150:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ありがとうございます??めちゃ励まされます?頑張って書いていきます?

    2008-10-01 07:22:00
  • 151:

    ◆ACiNmI6Dxs

      

      
    「…レイカって、隼人くんと付き合ってるんやろ?」   

    2008-10-01 07:23:00
  • 152:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ――          年も明けて店も年末ラッシュからの落ち着きをようやく取り戻し、クリスマスから約1ヶ月が経った頃だった。
    送りの車の中で、たまたま二人きりになったリョウ君が…あたしを見て言う。    
    「……え?な、なんで?」誰にも知られてないはずやのに、どうしたらいいんやろ…

    「あー…、大丈夫やで。俺別に隼人君に言ったりしやんから。」

    2008-10-01 07:30:00
  • 153:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「あぁ……うん。」      
    最悪、リョウ君になら知られたところで女の子やお客さんに口外するなんてないだろうし…―、あたしはやむを得ず認めた。    
       
    「隼人君と、いつから付き合ってるん?」     「えと…一年半くらい前からかな?」         
    あたしが店に入ってすぐだから、隼人との関係はもうそれくらいになる…。

    2008-10-01 07:35:00
  • 154:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
    「……一年半、か。…―んで、今は?隼人君とうまくいってるん?」     「え…??うまくって別に普通やけど…。」       
    リョウ君が、なんでこんな質問をするのかは分からなかった。ただの興味本位なんだろうか、      あたしはどうにも複雑な気持ちだった。

    2008-10-01 07:41:00
  • 155:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「―レイカ、隼人君とな…付き合うんは別に何も言わへん。やけどな…仕事と一緒にしたらアカンで。感情や気分を出したら、ホステスとして失格や。もし何かあっても、店辞めるとか考えるようなら―…深入りしたもんの負けやねん。」     
    リョウ君は、あたしを見て真剣な顔つきで続ける。    
    「……夜の世界は、そういう場所や。お前はまだ始まったばっかりでこれからやねんから―…」       
    「…リョウ君?ってか、何か言いたげやんな。はっきり言わな分からんで?」

    2008-10-01 07:50:00
  • 156:

    ◆ACiNmI6Dxs

    何が言いたいのか全く分からなかった。リョウ君には関係のない話なのに―、似つかわない真剣な表情。 「……黙るんかい(笑)」 あたしは、リョウ君に突っ込みを入れ、暖房の温度を上げながら苦笑いする。     
       
    「レイカ、隼人君は…… やめとき。
    あの人は、誰の事も本気になんかならへんで…。」

    2008-10-01 07:57:00
  • 157:

    名無しさん

    更新ありがとうございます頑張って?

    2008-10-02 01:10:00
  • 158:

    名無しさん

    あげ?

    2008-10-02 21:37:00
  • 159:

    名無しさん

    楽しみに待ってます?

    2008-10-05 08:50:00
  • 160:

    ◆ACiNmI6Dxs

    コメントありがとうございます???

    2008-10-05 22:31:00
  • 161:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……だから、何が言いたいん?リョウくんには関係ないやん?あたし達の問題やのに(笑)」


    「隼人くん……昔から付き合ってる彼女おるで…。」

    2008-10-05 22:45:00
  • 162:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
      
    「…どーゆう意味?(笑)」

    2008-10-05 22:48:00
  • 163:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……俺が知り合った頃から、彼女おるねん。昔紹介してもらった事あるし…学生の時から付き合ってるらしいけど…―」     「――…、いや、そんなん昔の話やん?リョウ君が知り合ったのなんて3年以上前の話やろ?もう別れてるけど、リョウ君が知らんだけかもしれ―」

     
    「隼人くん…子供おんで?その彼女との。」

    2008-10-05 22:57:00
  • 164:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
      
      
    …子供? 

    2008-10-05 23:04:00
  • 165:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「…リョウ君、冗談度が過ぎてるって。隼人が結婚してるってこと??」     
    「結婚は…してないはず。未婚で子供いるって、昔聞いた気するし…。」     
       
    「………」

    2008-10-05 23:38:00
  • 166:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
    そこから家に着くまでの車内は、空気が凍ったみたいに二人とも無言だった。    
    リョウ君がどうしてあたしにそんな事を言ったのか、その理由は後々知ることになるんだけど。もう、そんな事どうだって良かった。

    2008-10-05 23:42:00
  • 167:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    あたしは、       今まであなたの何を見てきたんだろう―

    2008-10-05 23:44:00
  • 168:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-05 23:46:00
  • 169:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
       
    「もしもし?…おーいレイカー?大丈夫か?これ聞いたら電話してきてや。」

    2008-10-05 23:49:00
  • 170:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-05 23:49:00
  • 171:

    名無しさん

    リアルタイム頑張って?

    2008-10-06 00:00:00
  • 172:

    ◆ACiNmI6Dxs

    留守電に入ったたくさんのメッセージ、着信履歴。 あたしは、夜の仕事をし出して初めて―…無断欠勤をしてしまった。
    リョウ君の言葉だけが、頭の中をぐるぐる回っていて 
       
    聞きたくなかった。   隼人の言い訳や、真実を突き付けられるのも…   あたしには想像も出来なかった現実を知るのが   恐かった。

    2008-10-07 05:26:00
  • 173:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ――  
    「――レイカ……なんで、電話出てくれへんかったん?」 

    目の前には会いたくて会いたくて仕方なかった隼人。だけど今は、違う…   心配して家にまで来てくれた隼人に、あたしは笑顔一つ見せれる自信がない。    
    「なぁ、レイカ…体調悪かったんか?お前が珍しく無欠なんかするから俺めっちゃ心配やってんで?」

    2008-10-07 05:33:00
  • 174:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       
        
    違う…違う…      隼人……―    

    2008-10-07 05:36:00
  • 175:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    「………って」     「え…?なんて??」     
      助けて
      
    「…………帰って」

    2008-10-07 05:39:00
  • 176:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
     
       
    誰でもいい       あたしを助けて…――

    2008-10-07 05:40:00
  • 177:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    「帰ってって言ってるねん。…聞こえてる?隼人の顔なんて見たくもない。長年付き合ってる彼女と……子供までいるんやって?  あたしの事コケにして楽しかった?満足やった?満足したんなら今すぐ帰って… もう二度とあたしの前―」   

    2008-10-07 05:44:00
  • 178:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
       
    「…………ごめん。」

    2008-10-07 05:46:00
  • 179:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-07 05:47:00
  • 180:

    リナ◆GunmJ9lWSM

    リアルタイム?
    主さん頑張って(。゚∀゚)

    2008-10-07 05:47:00
  • 181:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
    違う            
    「……レイカ、ごめんな。今まで隠してて……ほんまごめん。」          
    違うよ…隼人

    2008-10-07 05:50:00
  • 182:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    お願い 嘘って言って    
    神様…お願いします   なんで隼人が謝るん?     

    2008-10-07 05:53:00
  • 183:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    「子供おるんは…ほんまの事やねん。……三年前、お前と知り合う一年前くらいに生まれた。その母親の女がおるんも… ほんま。」   

    2008-10-07 06:01:00
  • 184:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       
        
    「結婚―、してるん?」   

    2008-10-07 06:03:00
  • 185:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「結婚は…してない。籍は入れてないねん。一緒にも住んでない。子供は女の親が見てるねん。 レイカ、ごめんな。俺の言う事とか信じられへんかも知れんけど女は――」         
       
        
    「………隼……人…」     

    2008-10-07 06:10:00
  • 186:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    「……もういい。もういいから……。帰って―…? 何もかも嫌になった。何も聞きたくない。何も知りたくなんかない――…      
        
    ねぇ隼人……、 

    2008-10-07 06:12:00
  • 187:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    なんであたしの目の前に現れたん?…ご飯に誘ったん?なぁ…っ、なん―…で?   
       
    なん……で――…    好きって言った・・ん?」   

    2008-10-07 06:15:00
  • 188:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
       

    2008-10-07 06:16:00
  • 189:

    ◆ACiNmI6Dxs

    涙は、これでもかってくらい溢れ落ちてて。泣くもんかとか思ってても、結局あたしはその場に泣き崩れていた。


    現実なんか、こんなもんで。―あたしには、幸せな結末なんか似合わない…。

    2008-10-07 06:20:00
  • 190:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ぼやける視界で見上げると隼人はあたしを苦しそうな表情で見ていて、
     
     
     
    …なんだかそれがまた  すごく悲しかった。

    2008-10-07 06:23:00
  • 191:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    あたしはこの時まだ   あなたの心の闇に    気付くわけなんてなくて    
    悲しみに溺れてるのは  あたしだけなんだと… 

    2008-10-07 06:27:00
  • 192:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
       
    そう、―…思ってた。      

    2008-10-07 06:28:00
  • 193:

    ◆ACiNmI6Dxs




    2008-10-07 06:28:00
  • 194:

    名無しさん

    気になる。

    2008-10-08 01:15:00
  • 195:

    名無しさん

    200?
    気になる??

    2008-10-08 01:54:00
  • 196:

    名無しさん

    ↑200
    間違えた?

    2008-10-08 01:55:00
  • 197:

    名無しさん

    頑張って?

    2008-10-09 00:53:00
  • 198:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ありがとうございます??

    2008-10-09 06:49:00
  • 199:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-09 06:51:00
  • 200:

    ◆ACiNmI6Dxs

     

    いくらお互いが     想い合っていても       
    あたし達には      きっと       

    2008-10-09 06:52:00
  • 201:

    ◆ACiNmI6Dxs

    決められた運命が    あったんだと        

    ねぇ隼人…         
    あたしはあなたを    愛していました―      

    2008-10-09 06:55:00
  • 202:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-09 06:55:00
  • 203:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ―― 
    あれから、何日経っただろう。あたしは相変わらず…仕事には行っていない。 無欠罰金やばいやろなー   
    なんて、電源を切ったままの携帯を見つめながらふと思った。

    隼人とは、あの日以来もちろん会っていない。

    2008-10-09 07:01:00
  • 204:

    ◆ACiNmI6Dxs

    "レイカ、、――……今まで隠しててごめん…"     
    言い訳なんて、聞きたくなかった。
    まだ心のどこかで隼人の事を信じようとしていたあたしは、隼人の口から誤りの言葉なんて       ――耳を塞ぎたかった。   
        
    リョウ君の話が嘘ではなかった事。隼人には彼女と 子供がいるー―…。

    2008-10-09 07:07:00
  • 205:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    信じてたのに。       
    あたしはあなたを…ー。

    2008-10-09 07:08:00
  • 206:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
    「なら付き合う?いや、付き合ってよ、俺と。」     
    「俺ってそんなに信用ない?…」
    「俺が好きなんはお前だけやから。」          
    「俺の好きな髪型までして?(笑)可愛いな、―お前。」

    2008-10-09 07:14:00
  • 207:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    「なぁレイカ、ずっと俺の側におってよ―…。」     
        

    2008-10-09 07:16:00
  • 208:

    ◆ACiNmI6Dxs




    … 

    2008-10-09 07:16:00
  • 209:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
      
      
    「…おいっ!!レイカ!!お前しっかりしろって…!大丈夫か…!?レイカ…!」

    2008-10-09 07:18:00
  • 210:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      

    誰…?         隼人―…? 

    2008-10-09 07:19:00
  • 211:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「レイカ!!おい…!聞こえるかっ――!?大丈夫かっ!?」        
      
    「………リョ…ウ君?」 目の前には、血相変えてあたしを覗き込むー…リョウ君。なんで…?     「…なんでリョウ君がここに…?」
     
    「ごめん・・電話繋がらへんし心配で家来てみたんやけど…インターホンいくら押しても出てこーへんから……勝手に入ってもたんやけど、入ったらお前倒れてるから!!俺焦って・・」

    2008-10-09 07:28:00
  • 212:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    「ってか…お前すごい熱やんけ!!大丈夫か…!?俺コンビニ行ってなんか買ってくるから!!」      
    そう言うと慌ただしく部屋を出ていこうとするリョウ君の姿を、あたしは呆然と眺めていた。

    2008-10-09 07:33:00
  • 213:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    「…リョウ…君……」      
      

    2008-10-09 07:35:00
  • 214:

    ◆ACiNmI6Dxs

    あたしの声に、リョウ君が玄関から振り返る    「どないした?なんか欲しいもんあるか…!?」    
      
       
    ねぇ、なんで

    2008-10-09 07:36:00
  • 215:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       
    「………ぃたいよ。…あいたい。隼人に…逢いたいよ-………。」         
       

    2008-10-09 07:39:00
  • 216:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
    なんでここにいるのが     
    あなたじゃないの……―?    
        

    2008-10-09 07:41:00
  • 217:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    あたしの目からは、堰を切ったように涙が溢れていた。だって、悲しかった。 ―…寂しかったんだよ。 矛盾してても、やっぱり好きな気持ちは簡単には変われないから。        
    隼人、何してるん?   もうあたしは必要ないん?…‥

    2008-10-09 07:44:00
  • 218:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       
    「…レイカ、隼人君はやめとけ言うたやろ?隼人君と付き合ってても、お前が傷つくだけやねん・・。」    
       

    2008-10-09 07:49:00
  • 219:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……って。出てってよ…リョウ君にはッ…関係ないやろ……!!今すぐ出てって!!!一人にしてやぁぁぁ!!」
      
    あたしは、ベッドの上で泣き崩れた。熱で頭がおかしくなったんかもしれない。だって… リョウ君に当たったって仕方ないのに。    
       
    現実は何にも変わらない…。

    2008-10-09 07:53:00
  • 220:

    名無しさん

    ????

    2008-10-17 12:19:00
  • 221:

    名無しさん

    頑張って?続き楽しみに待ってます。

    2008-10-17 13:22:00
  • 222:

    名無しさん

    面白い??

    2008-10-17 17:05:00
  • 223:

    名無しさん

    ぅゎー続き気になる?
    早く読みたい?

    2008-10-18 02:49:00
  • 224:

    名無しさん

    最近更新ないけど忙しいねかな?頑張ってな?

    2008-10-18 08:20:00
  • 225:

    ◆ACiNmI6Dxs

    遅くなってごめんなさい?書き込みありがとうございました?頑張っていきます??

    2008-10-20 01:29:00
  • 226:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-20 01:29:00
  • 227:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    「レイカ……お前の気持ちは分かるで。お前は何も悪くない。だけど、どーしようもない事もあるねん……。…隼人くんは絶対彼女とは別れへん。」

    2008-10-20 01:33:00
  • 228:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
    何を根拠に――…      
    そう思ったけど、やっぱり叩きつけられた現実。いくら隼人を好きでも、この世のどこかに存在する隼人の彼女と子供の存在にはどうしても勝てない気がして     
    あたしはまた涙が出た…。

    2008-10-20 01:41:00
  • 229:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「なぁ、レイカ…。お前店はどーするん?…そんな状態でいけるんか?」        
    忘れていた。あたしは、今日で無断欠勤五日目だ。 …―とても仕事なんか行く気になれなかった。     
    「……店…辞めたい…」 
       
    隼人と別れたのに、あたしが店に行く意味はない。 全ては隼人の為だったから

    2008-10-20 01:47:00
  • 230:

    ◆ACiNmI6Dxs

    隼人の傍にはもう居れないんや――…。       
      
     
    「なぁ、レイカ―…お前俺についてこーへんか?」

    2008-10-20 01:49:00
  • 231:

    ◆ACiNmI6Dxs

    リョウくんの方を見上げると、いつにも増した真剣な目。
    ――どういう意味?     
    「……俺、今月でDEAR辞めようと思ってるねん。そろそろ自分で、店出そうと思ってる。そこに来て手伝ってくれへんか?レイカが必要やねん…。」       
     
    必要なのは、あたしじゃなくてあたしが引っ張ってるお客さん達。      リョウ君の考えなんかすぐに分かった―。

    2008-10-20 02:02:00
  • 232:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
    あぁ、そっか…     だからリョウ君は    あたしに事実を告げたんだ
       
    自分が隼人から離れるからあたしも―       あたしと隼人の関係も  なくしたかったんやね…―  

    2008-10-20 02:04:00
  • 233:

    ◆ACiNmI6Dxs

    でも、リョウ君の事を恨んだりなんかしない。むしろ、真実を教えてくれて感謝してる…。       だって、そうじゃなかったら― あたしはずっと隼人に嘘をつかれたままだったから。


    「……考えさせて。」  あたしがそれだけ言うと、リョウ君は優しい表情で「分かった。」と言って部屋を出ていった。

    2008-10-20 02:08:00
  • 234:

    ◆ACiNmI6Dxs

    夜の世界が嫌になったワケじゃない。       せっかくここまで頑張ってきたのに、今ここで投げ出すのが本当にいいのかも あたしには分からない…。   
       
    だけど、隼人が居ない世界で           あたしは今までどおり笑えるのかな。隼人が居なくなってしまったら、あたしは何を目標に頑張ればいいんだろう…― 

    2008-10-20 02:12:00
  • 235:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
    隼人…         もう何もかも分からないよ  
       

    2008-10-20 02:14:00
  • 236:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-20 02:15:00
  • 237:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「あ、あれ……!?レイカさんっ…!?」     店の看板前に立つボーイがあたしの顔を見るなり目を真ん丸とさせて言った。    
    「うん、おはよ。」     
      
    あたしは、一週間ぶりに店に出勤した。引きこもっていても仕方ない…―。  あたしはあたしで、ちゃんと答えを出さなきゃいけない。

    2008-10-20 02:19:00
  • 238:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「レイカ……?おはよーさん。風邪…大丈夫なんか?」   

    リストのリョウ君が、一瞬驚いた表情を見せたあと心配そうに聞く。     あえて"風邪"と付けてたけど、本当は違う意味だってすぐに分かった…。だからあたしはあえて笑顔で  「ありがとう!大丈夫。」と、答えた。     

    久しぶりにセットした髪の毛。煌びやかなドレスは、なんだか落ち着かない…。

    2008-10-20 02:24:00
  • 239:

    ◆ACiNmI6Dxs

    店内を見渡したけど、隼人の姿はなくてちょっと安心した。        

    大丈夫…―。きっと普通でいれる。もう二度と来るつもりがなかったこの店に、あたしは来れたんやから。     
      
    最後まで頑張らなきゃ―。

    2008-10-20 02:29:00
  • 240:

    ◆ACiNmI6Dxs

    営業中、指名で来てくれたお客さん達には風邪で寝込んでいた事にして…連絡出来なかった事を謝った。    
    「まぁー、無事で何よりやな。病んで逃げ出しだかと思ったけど(笑)」    
    出勤する事なんて誰にも言わずに店に来たのに、今日も吉田さんはあたしを指名で来店してくれていた。 リョウ君いわく、吉田さんはあたしを心配して毎日店に電話をかけてくれていたらしい…―          
    嫌味のようなセリフも、そうは聞こえない。長い付き合いのお客様だからこそ、あたしを甘やかせてくれる

    2008-10-20 09:40:00
  • 241:

    「ごめんなさい…風邪ひいてぶっ倒れてた!!(笑)今日は飲みたい気分やし飲んでいいー?」          
    「お前、病み上がりちゃうんか・・?(笑)」        
    「大丈夫大丈夫!もう完治しましたから(笑)」       
      
    「なんぼでも好きなん飲め」という吉田さんの言葉に甘えて、あたしは珍しくビールなんかを頼んでみた。実際本当に病み上がりだったせいもあって、炭酸が空っぽの胃に広がる…―" " "08/10/20 09:45

    2008-10-20 09:45:00
  • 242:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-20 09:46:00
  • 243:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
      
    「……それでねぇ〜、あたしが先に行ったのに友達がぁ……って!吉田さぁん〜聞いてますかぁー…ぁ?」

    2008-10-20 09:48:00
  • 244:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「聞いてるわ!(笑)お前…大丈夫かぁ?ちょっとペース早すぎたんちゃうか?」   
    二時間も経たないうちにすっかり酔いが回ったあたしは、いつの間にかビールを五本も空けていた。      
    「大丈夫大丈夫ぅ〜…!まだまだぁ・・こんなんでぇ潰れてたら…こんなとこで働けませぇん!!」      
    呂律の回らない口で、必死に吉田さんに笑いかける。普段こんなにもお酒を飲む事がなかったあたしは、ふわふわとしたこの感覚が…  
    なんだかすごく楽しかった。

    2008-10-20 09:55:00
  • 245:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……お前は、ほんまに不器用なやっちゃな。何でも簡単にこなせる冷めた女のようで、ほんまは…人一倍不器用な奴やわ。」  
    突然――、吉田さんの手があたしの頭に置かれる。 ポンポンと…まるで、子供をあやすように。        
       
    不器用……本当にその通りかも知れない。あたしは、まだ自分自身で自分の強さも弱さも知らない。 

    2008-10-20 10:08:00
  • 246:

    ◆ACiNmI6Dxs

    裏切りからの立ち直り方も見つからない……―。    
      
    「何があったか知らんけど泣きたきゃ泣け。お前のどんな姿見たって、今更引いたりしーひんわ(笑)お前が努力してきた事は、ちゃんと分かってんねやから。」

    2008-10-20 10:13:00
  • 247:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ………           
    「……うっうぅ…う…ッ。あたしがッ……何したって言うんーー……ッ…。」 堰を切ったように溢れだした涙。吉田さんは、ボーイや他の席の人達から見えないようあたしの盾になるよう座ってくれた。        
    「おーおー、泣け泣け。お前はそこまでまだ…出来た女やないねんから。」  吉田さんの優しさが、嬉しかった。刺のある言葉も、素直に受け取れるくらい 頭に置かれたままの手はすごく…―温かかった。

    2008-10-20 10:20:00
  • 248:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-20 10:22:00
  • 249:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    ねぇ、隼人       人のヌクモリって…   こんなにも温かいんだね    
      
    あなたがあたしに    ずっとずっと求めたもの―…   

    2008-10-20 10:25:00
  • 250:

    ◆ACiNmI6Dxs



    _

    2008-10-20 10:38:00
  • 251:

    ◆ACiNmI6Dxs

    営業終了後、送りの車を待っていたらようやくリョウ君が店から降りて来た。 ―結局、隼人は店には来なかった。

    「おーお疲れさん!…あれ?残ってるんレイカだけ?」リョウ君は不思議そうに、辺りを見渡す。    「あぁ…みんな送りいらないって先に帰ったよ。」 まだ、酔いが抜けきれていないあたしは置いていた荷物をフラフラと持ち上げながら答えた。

    2008-10-20 11:42:00
  • 252:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「ほんまかー、ほなら行こか!酔ってるみたいやけど大丈夫か…?まだ店の片付けとかあるし先に送るわ。」     
    リョウ君の後ろを歩きながら駐車場へと迎う――     
       

    2008-10-20 11:45:00
  • 253:

    ◆ACiNmI6Dxs

      

      
    「――――レイカ!」     

    2008-10-20 11:46:00
  • 254:

    ◆ACiNmI6Dxs

    … 
    聞き慣れた声。少し息の切れたその声の方向を振り替えると―            
    「…………隼人、」      

    一週間ぶりに見る隼人の姿があった…――。

    2008-10-20 11:49:00
  • 255:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……リョウ、こいつ俺が送るから。店戻ってて。」   
    「………分かりました。」   
     
    状況がイマイチ飲み込めていないあたしは、その場で立ち尽くしたままだった。目の前には、何も変わらないスーツ姿の隼人。なんで隼人がここに……?

    2008-10-20 11:54:00
  • 256:

    「――…レイカ、送るわ。駐車場行くで。」    あたしの荷物をひょいっと持ち上げると、隼人は前をスタスタと歩いていく。    
      
    ちょっと待って…    ちょっと待ってよ・・―" " "08/10/20 11:57

    2008-10-20 11:57:00
  • 257:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……して。」     「―ん?何か言ったか?」   
       
    「…荷物!!荷物返してよっ!あたしは…リョウ君に送ってもらうから!」      
    振り返った隼人は、あたしの大声に一瞬強ばった表情を見せた後、ゆっくりとあたしに近づいてきた。

    2008-10-20 12:01:00
  • 258:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ふわっ―        その瞬間、あたしの首元に腕を回すとギュッ…っと力強く抱き締めてきた――      
        
    「……会いたかった。」     
         
    隼人の口から漏れる言葉に、――・・…胸が張り裂けそうになる。

    2008-10-20 12:05:00
  • 259:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……なして、……離してよっ!」

    「――無理。」    

    「…隼人なんか・・もう信じられへんっ……都合いいわ…あたしはもうっ―…隼人なんかどうでもい――」

    2008-10-20 12:08:00
  • 260:

    ◆ACiNmI6Dxs

      

       
    「――レイカ……こっち向いてや?」

    2008-10-20 12:10:00
  • 261:

    ◆ACiNmI6Dxs

    泣くもんか、泣いてたまるもんかっ…。あたしのバカ。  
    なんで、こんなにあたしのココロは弱いんだろう――…・・。
      
    次から次へと零れ落ちる涙を、隼人が一つずつ温かい手で拭ってくれる。あたしの大好きなその手で… 

    2008-10-20 12:15:00
  • 262:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
    「やっぱ可愛いわ…お前」
      
    そう言って、隼人はあたしにキスをした。それから、―…寂しそうに笑った。

    2008-10-20 12:22:00
  • 263:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
       
    この日サヨナラを    告げようと思っていたのはきっとお互いだったね

    2008-10-20 12:23:00
  • 264:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    求め合えば合う程    傷つけ合うだけの関係    
      
    だけど         あたしにはあなたが   あなたにはあたしが   確かに必要だった…― 

    2008-10-20 12:27:00
  • 265:

    ◆ACiNmI6Dxs



    2008-10-20 12:27:00
  • 266:

    名無しさん

    アゲ

    2008-10-23 18:48:00
  • 267:

    名無しさん

    待ってます?

    2008-11-03 23:47:00
  • 268:

    名無しさん

    きになる??

    2008-11-04 01:26:00
  • 269:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ありがとうございます?

    2008-11-04 03:53:00
  • 270:

    ◆ACiNmI6Dxs





    「なぁ…隼人―…起きてる?」

    2008-11-04 03:54:00
  • 271:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「…ん―?どないしたん?」
    久しぶりに感じる、隼人のヌクモリ。ずっとずっと感じたかった心地よい体温…。隼人は、毛布の中にくるまるあたしを腕枕して、頭を撫でながらー…聞く。


    「なんで…―今まで連絡くれなかったん?」

    2008-11-04 03:58:00
  • 272:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ヌクモリを感じながら、あたしは疑問だった事を聞く。だって、この1週間隼人は何をしてたんだろう… あの日部屋に来てから、たった一度もなかった連絡。   
    それなのに・・隼人は今、こうしてあたしの隣にいる。

    2008-11-04 04:01:00
  • 273:

    ◆ACiNmI6Dxs


      
    「ん、んー…けじめ付けにいこかなぁ思って。」     

    2008-11-04 04:02:00
  • 274:

    ◆ACiNmI6Dxs

    え―…
    「どーゆう意味?」   あたしは、隼人の腕の上で顔だけ彼の方に向けた。         
    「子供の、こと。」      

    隼人の子供――・・・  逃避して忘れようとしていた“現実”を、また思い出してしまい、胸がズキン…とする。

    2008-11-04 04:05:00
  • 275:

    ◆ACiNmI6Dxs

    けじめって事は、やっぱり彼女と籍を入れるって事やんね―・・・      「……結婚…するん?」 あたしの声は、自分でも驚くくらいに震えていた。


    「いや―、だって俺が好きなんはお前やから。」 

    2008-11-04 04:09:00
  • 276:

    ◆ACiNmI6Dxs

    嘘でも、いい。一番聞きたかった言葉。例え嘘でも―…隼人があたしを繋ぎ止めてくれた事が、嬉しかった。
    「―…じゃあ、」      

    「……レイカ―、俺の話、真剣に聞けるか?ちゃんとまだ信じれるか?」   真剣な声色で、隼人が急に起き上がりあたしを見て言った。その目は力強くすごく真剣で、あたしは思わずー… 少し間を置いてから「…うん」と答えた。

    2008-11-04 04:15:00
  • 277:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
    あなたの過去      あなたの真実      あなたの想い         
    そして         あなたの《償い》――…    

    2008-11-04 04:18:00
  • 278:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
       
    「……―その子な、目が…見えへんねん…。」

    2008-11-04 04:22:00
  • 279:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      

    2008-11-04 04:24:00
  • 280:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    え・・・・       「……その子って、彼…女?」 


    「…うん、三年前に交通事故でな。――運転してたんは、・・俺。居眠り運転のトラックに、信号待ちで思いっきり突っ込まれた。 横から突っ込んできたんやけど…俺は打撲と軽いムチウチで済んだ。やけど、助手席側におった女は……衝撃で割れたフロントガラスが、顔に・・。その時に―…運悪く目に…・・それで、今でも見えへんまま。」

    2008-11-04 04:33:00
  • 281:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
      
    頭が、――…真っ白になっていくのを感じた。      

    2008-11-04 04:35:00
  • 282:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
      
      
      
    あたしは・・・

    2008-11-04 04:35:00
  • 283:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    ここにいて       いいんだろうか。        
       

    2008-11-04 04:37:00
  • 284:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
     
    ―ー…隼人が学生時代、クラスメイトだった“彼女、優葉(ゆうは)さん”と出会った。隼人は、根っからのヤンキー。クラスでも才女で品のある優葉さんに一目惚れをし、熱烈なアプローチをして3ヶ月後・・ようやく彼女と付き合える事になった。

    学年一不良だった隼人と、学年一美人な…優葉さん。不釣り合いなようで、本当はすごくお似合い。隼人も優葉さんも、お互いがお互いを想い合い―…尽くしていたそうだ。

    2008-11-04 04:55:00
  • 285:

    ◆ACiNmI6Dxs

    誰が見ても、絵に書いたような幸せそうな二人。  だけど、二人はまだ…若過ぎた。隼人は、もともとの遊び癖が治りきらず次第に浮気を繰り返すようになる。
    悲しむ優葉さんを置いて、週末は家を出て仲間と暴走を繰り返す・・。普段おとなしい優葉さんも、隼人の事故を心配して暴走だけは行く度に止めていたんだという。

    2008-11-04 04:59:00
  • 286:

    ◆ACiNmI6Dxs

    そんな隼人も、なんだかんだ言いながらも…結局は浮気をしても彼女のところへ戻っていたし、優葉さんもまた、傷つきながらも隼人を許し続けてきた―。    

    そんなある日―・・   迎えに行った彼女の手首に、真っ白な包帯が巻かれていた。「それ…何やねん?」不審に思った隼人が聞くと「料理してたら火傷した。」と、優葉さんは笑って言った。

    2008-11-04 05:05:00
  • 287:

    ◆ACiNmI6Dxs

    その時は腑に落ちないまま納得したものの、それからというもの頻繁に…彼女の手首には包帯が巻かれる事が増えていった。
    心なしか痩せたような気がする優葉さん。何かおかしい・・・ 


    彼女の傷と痩せた原因が、【リストカット】と【薬】だと気づいたのは    優葉さんが救急車で病院に運ばれたと…彼女の親から電話があった、ある日の夜だった―…。

    2008-11-04 05:15:00
  • 288:

    ◆ACiNmI6Dxs

    そこまで追い詰めていたなんて……隼人は、今になって彼女を悲しませ遊んできた自分を悔やんだ。優葉さんのご両親にも、ひたすら頭を下げたという。      
    「…隼人のせいじゃない」病室のベッドの上で、力なく呟く彼女に涙が零れた。「ごめんな…ごめんな…」隼人は、謝り続けた。  幸い優葉さんが飲んでいた薬は、睡眠薬のキツイものだったらしく…後遺症などはあまり残らなかったみたいだった。

    2008-11-04 05:20:00
  • 289:

    ◆ACiNmI6Dxs

    それからというもの、隼人は毎日病院に通い続けた。大好きだった暴走も、女遊びもやめた。付き合っていた当初のように……優葉さんだけを想い続けた。     
        
    だけど、いつの頃からか…そこにある想いは【愛】では―…なくなっていた。

    2008-11-04 05:25:00
  • 290:

    ◆ACiNmI6Dxs

    もう退院出来るはずなのに、しようとしない彼女。何をしてあげても以前よりもあまり笑わなくなった優葉さんに、隼人は胸が詰まる想いでいっぱいだった。 


    優葉さんはきっと、退院して隼人がまた元に戻ってしまう事を恐れていたんだろう―…・・・。

    2008-11-04 05:29:00
  • 291:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ようやく優葉さんの退院が決まった日、隼人は一つの決心をしていた。今日無事に家に送り届けたら、ちゃんと彼女に言おう―…と。

    その方がきっと、お互いの為だと。だって隼人の心の中では…
    溢れんばかりだった愛は、いつの頃からか悲しみと罪悪感に溢れた情に変わっていたから――…。

    2008-11-04 05:36:00
  • 292:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    もうすぐ家に着く…。もうすぐ――・・        
      
    「……隼人、赤だよ!!」   

    2008-11-04 05:39:00
  • 293:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
      
      
      

    2008-11-04 05:40:00
  • 294:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
       
       
       
    なんて、運命なんだろう…

    2008-11-04 05:41:00
  • 295:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
      
    あたしは気付けば、隼人に抱き付きながら大粒の涙を流して声を上げて…泣いていた。

    2008-11-04 05:43:00
  • 296:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「なんで……お前が泣いてんねん。」

    隼人は苦笑いしながらあたしの頭を撫でていたけど、あたしはあまりにも皮肉な運命に――…しばらく涙が止まらなかった。

    神様は、イジワルだ・・。

    2008-11-04 05:47:00
  • 297:

    ◆ACiNmI6Dxs

    その後、子供がお腹にいる事がすぐに発覚して目の見えなくなった優葉さんは…それでも赤ちゃんを産む事を望んだそうだ。 


    隼人への揺るがない想い。愛の力だった…・・・。   

    2008-11-04 05:51:00
  • 298:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      

    2008-11-04 05:53:00
  • 299:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
       
    ねぇ、隼人…      あたしが泣いていたのは 同情したからじゃないよ     

    2008-11-04 05:56:00
  • 300:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    優葉さんの想いに比べたら   
    あたしや隼人が     お互いを想う気持ちなんてとてつもなく      ちっぽけな気がして……

    2008-11-04 05:57:00
  • 301:

    ◆ACiNmI6Dxs

    すごくすごく・・・     
      
      
    悲しく感じたんだ。       

    2008-11-04 06:01:00
  • 302:

    ◆ACiNmI6Dxs




    2008-11-04 06:01:00
  • 303:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
    これから巻き起こり   知っていく真実に    あたしは
    立ち向かえるだろうか。     

    2008-11-04 06:03:00
  • 304:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    優葉さん…… 
       
    貴女は今、幸せですか―?   

    2008-11-04 06:06:00
  • 305:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
       
       
    【最終章】

    2008-11-04 06:07:00
  • 306:

    名無しさん

    更新ありがとう?
    続き楽しみにしてます?

    2008-11-04 15:33:00
  • 307:

    名無しさん

    意外な展開???

    2008-11-04 16:04:00
  • 308:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ありがとうございます??ラストまで頑張ります?

    2008-11-05 15:35:00
  • 309:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
       
    「でな…レイカ、俺、子供引き取ろうと思ってる。」

    2008-11-05 15:36:00
  • 310:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ・・・え? 
    引き取るって……       
    「彼女との・・子供?」 でも、それって―ー…     

    優葉さんは納得してくれるん――‥?

    2008-11-05 15:39:00
  • 311:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「いくら母親の親権が強くても、優葉みたいに…障害がある場合は異例やねん。今だって子供は……あいつの親が見てくれてる。結婚してなくても、…子供に罪はない。いつまでもあいつの親に迷惑かけるわけにもいかへんし、俺が引き取るのが一番いいと――」     
    「隼人は・・・それでいいん?ほんまにそれを…望んでるん?」

    子供の為に一番いいのは、やっぱり両親が揃って一緒に生活する事だって―   
    隼人だって・・…分かってるはず。だけど…

    2008-11-05 15:48:00
  • 312:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    「望んでるも何も、全ての責任は俺にあるから。  子供のことも、優葉のことも―…お前の事も。」


    隼人は、あたしを見ながら悲しそうに言った。あたしの事―・・?あたしが、隼人を苦しめてる?    あたしが隼人を好きになってしまったから?

    2008-11-05 16:10:00
  • 313:

    ◆ACiNmI6Dxs



       
    「俺は、ほんまにお前に惚れてるから。だから…俺の事だけ信じて。」

    2008-11-05 16:13:00
  • 314:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    あたし達は 
    どうなってしまうんやろう  

    2008-11-05 16:18:00
  • 315:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
       
    …  

    2008-11-05 16:19:00
  • 316:

    ◆ACiNmI6Dxs

    初めて聞いた、ずっと言って欲しかった。隼人の口から出た【信じて】という言葉…
    まさか、こんな形で聞くなんて考えてもみなかった。   
       
    《子供おるんは…ほんまやねん。三年前…お前と知り合う一年前くらいに生まれた。その母親の女がおるんも…ほんま。やけど、結婚はしてないし一緒にも住んでない。子供は女の両親が見てくれてるねん。レイカ、女はな――…》

    2008-11-05 16:45:00
  • 317:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
      
    頭が          ショート寸前…・・・

    2008-11-05 16:46:00
  • 318:

    名無しさん

    おもろい

    2008-11-05 19:52:00
  • 319:

    名無しさん

    更新待ってますo(≧∀≦)o

    2008-11-06 00:57:00
  • 320:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ありがとうございます??頑張ります?

    2008-11-06 14:24:00
  • 321:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    あたしは、どうしたらいいん―ー…? 
     
     

    2008-11-06 14:26:00
  • 322:

    ◆ACiNmI6Dxs

    隼人は仕事があるから、それからすぐ帰って行った。帰りぎわに「―ちゃんとするから。」と、あたしを抱き締めて…。  

    あたしはまだ自分が置かれている状況が飲み込めきれていなくて、その場に座り混んで…―頭を抱えてしまった。

    もう、何もかも分からない。

    2008-11-06 14:29:00
  • 323:

    ◆ACiNmI6Dxs

    今、優葉さんはどこにいるの―?隼人は、彼女に会いに行ってるの―?      
    子供は…隼人と彼女の子供は、 
    今ちゃんと幸せ―ー・・?   
        

    2008-11-06 14:32:00
  • 324:

    ◆ACiNmI6Dxs





    2008-11-06 14:33:00
  • 325:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
      
    夢を見た。         

    2008-11-06 14:34:00
  • 326:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    何もない真っ白な世界に、なぜだかあたしはポツンと佇んでいて… 何も心配ないのに、ただ真っ白なだけなのに、急に不安に襲われて怖くなった。


    振り返ると―…誰かの声が聞こえる。

    2008-11-06 14:39:00
  • 327:

    「………い…で。」     
    え…?誰?       誰かいるの…?     何て言ってるの――…?   
    「…とを………で。」     
       
    怖い―――" " "08/11/06 14:42

    2008-11-06 14:42:00
  • 328:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
      
      
    「隼人を………取らない…で。お願い……」        

    2008-11-06 14:44:00
  • 329:

      
    バッッッ―――…     「はぁ…はぁ…ッッ―…」 目が覚め、あたしは一気に現実の世界に引き戻った。    
    「うぅッッ・・・うわぁぁぁぁ………ッッ」          
       
    とんでもない事をしてしまった。その罪悪感と悲しみで、涙が止まらなかった…。隼人……隼人………―" " "08/11/06 14:52

    2008-11-06 14:52:00
  • 330:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    あたしは…         
    あたしは―………
       

    2008-11-06 14:54:00
  • 331:

    ◆ACiNmI6Dxs





    2008-11-06 14:54:00
  • 332:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
    「レイカー、お前飯食ってるんか?ちゃんと男にええもん食わせてもらえよ(笑)」 
    吉田さんは、今日もあたしを指名でウイスキー片手に笑っている。

    あれから三日間…ろくに食欲も沸かず、ちゃんと食事をとっていなかった。

    2008-11-06 16:28:00
  • 333:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「ダイエット中なんですってー…冬太り対策(笑)」 カラッカラの笑顔で笑う。ちゃんと笑えているかどうかも、もう分からない。   
    吉田さんは多分あたしの異変に気付いていたと思うけど、あえて 
    「ほんまか、まぁ好きなもん飲め。」
    と…何も聞こうとはしなかった。             
    お客さんに気を遣わすようじゃ、ホステス失格なのに。

    2008-11-06 16:33:00
  • 334:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「おー、そういえばなぁ…この間駅でマリ見たわ。」  
    !え……・・
    「マリって…あのマリさん??」
    マリさんが辞めてもう一年半になる―…。       
    「そうや(笑)ちっちゃい赤ん坊連れてあいつもすっかりママの顔になってたわ。」

    2008-11-06 16:42:00
  • 335:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「そっかぁ・・」    マリさん、無事に赤ちゃん生まれたんや―…。良かった。  
    マリさんに、会いたいな…   
      
    「マリがお前に会いたがってたぞ。レイカは元気か?頑張ってるかー…って。あいつはお前可愛がってたからなぁ。」

    2008-11-06 16:45:00
  • 336:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「あたしも…マリさんに会いたい。」       今思えば、あたしはマリさんに憧れて―、マリさんみたいなホステスになりたくて…ここまで上がってこれたんだ。いつまでもあたしが尊敬する、憧れの人。     
    「マリがいつも言ってたわ。レイカは――、自分に似てるって。」      「…え?あたしが?」      
    あたしなんか全然、マリさんに近付けるわけない…。

    2008-11-06 16:50:00
  • 337:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「自分に似てるから、ほっとかれへんって。お前は自分と同じ道を辿るような気がして心配やって。あいつも苦労してきたからな…」  
     
    吉田さんは、DEARのものすごく古いお客さん。マリさんがDEARに入った頃から…マリさんの事を知っている。
    不動のナンバーワンだった彼女が、新人の頃にはとてつもない苦労をしてきたなんてあたしには想像もつかないけど…きっと誰しも努力をしてこそ、この世界はそれが評価されるんだと思う。

    2008-11-06 16:57:00
  • 338:

    ◆ACiNmI6Dxs


    マリさんがどれだけの苦労をして、どれだけの傷を負って今の幸せを掴めたのかなんて― … 

    きっとこの先も、彼女にしか分からないんだろう。

    2008-11-06 16:59:00
  • 339:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
     
     
    ねぇ、隼人…          

    2008-11-06 17:02:00
  • 340:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
    人が幸せになる為には  何かを犠牲にするしかないのかな―?         
    あたしは…       誰も傷つけたくないし  自分だって傷つきたくない   

    2008-11-06 17:05:00
  • 341:

    ◆ACiNmI6Dxs

       
    それはやっぱり        
       
    ただの         偽善者なんかな――‥?    

    2008-11-06 17:08:00
  • 342:

    ◆ACiNmI6Dxs





    2008-11-06 17:09:00
  • 343:

    名無しさん

    ヤバおもろ

    2008-11-06 17:15:00
  • 344:

    名無しさん

    空白多すぎやし駄文に酔いすぎ

    2008-11-06 17:15:00
  • 345:

    ◆ACiNmI6Dxs

    347さん、ありがとうございます? 
    348さん、合間の文?減らしていきます。すいません

    2008-11-06 17:41:00
  • 346:

    名無しさん

    見てます?頑張って?めちゃおもろい?

    2008-11-06 18:50:00
  • 347:

    名無しさん

    ?

    2008-11-08 12:58:00
  • 348:

    名無しさん

    ドキドキ?

    2008-11-13 23:15:00
  • 349:

    名無しさん

    ?

    2008-11-20 00:05:00
  • 350:

    名無しさん

    更新待ってます?

    2008-11-28 14:28:00
  • 351:

    名無しさん

    待ってます?

    2008-12-01 22:54:00
  • 352:

    名無しさん

    待ってます?

    2008-12-01 23:02:00
  • 353:

    名無しさん

    今イッキに読んだけどオモロイ?更新待ってます?頑張って?

    2008-12-02 01:19:00
  • 354:

    ◆ACiNmI6Dxs

    コメント、ありがとうございます?頑張って書いていきます?

    2008-12-03 07:11:00
  • 355:

    ◆ACiNmI6Dxs


     
    隼人… 隼人はなんで  あたしを好きになったの?   

    2008-12-03 07:12:00
  • 356:

    ◆ACiNmI6Dxs

    水商売を始めて、変わった見た目…。明るい巻き髪にマスカラを丹念に塗ったバサバサのまつ毛。昼職をしていた時とは、自分でも驚く程―、あたしは派手になった。


    隼人は、あの日何を思ってあたしに声をかけたの?…

    2008-12-03 07:18:00
  • 357:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
     
    「んでさ……レイカ、この間の話考えてくれたか?」

    2008-12-03 07:23:00
  • 358:

    ◆ACiNmI6Dxs

    送りの車の中で、助手席に座るあたしにリョウ君が聞く。
    …この間の話ってのは―  
     
    “一緒にDEARを辞めてリョウ君が出す新しい店についていくこと” ・・。

    2008-12-03 07:25:00
  • 359:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「ごめん……もうちょっと考えさせて。」     あたしは、前を向いたまま小さく答えた。

    リョウ君も、ハンドルを握りながら「分かった。決まったら言って…」それだけしか、言わなかった。    
     
    ―DEARを辞めたら、隼人とは終わりになってしまう。

    2008-12-03 07:29:00
  • 360:

    ◆ACiNmI6Dxs

    根拠なんてない。ただ、あたしの心の中では…なぜかそうなる気がしてた。    
      
    ━確かめたい━       
    そんな気持ちだって、本当はどこかにあったかも知れない。店を辞めてあたしがホステスでなくなっても、隼人が変わらず好きだと言ってくれる事を…―。

    2008-12-03 07:35:00
  • 361:

    ◆ACiNmI6Dxs

    だけど、あたしにはそんな自信がどこにもない。  安心や確信なんて欲張って求めたりしない…。      
      
    ただ、少しでいいから。   
    ━あなたに愛されている━少しの自信だけが…欲しかった。

    2008-12-03 07:41:00
  • 362:

    ◆ACiNmI6Dxs

      
      
    …そう、伝えれれば良かったのに―。

    2008-12-04 06:35:00
  • 363:

    ◆ACiNmI6Dxs

     
     
    ただ、傍にいたかった。   
      
    「……レイカ…隼人君が…捕まるかも知れへん……」

    2008-12-04 06:39:00
  • 364:

    ◆ACiNmI6Dxs

    「……え?」      あれから1週間後、出勤前に突然かかってきたリョウ君からの電話。あたしには全く理解できなかった。 「リョウ君、今…何て言ったん?隼人が―」      
     
    「……隼人君…ヤバイ事なってるねん。バックと揉めて、まじで警察に捕まるかも知れへん……」

    2008-12-04 06:43:00
  • 365:

    ◆ACiNmI6Dxs

    この世界の裏事情なんて、あたしは良く知らない。    
    ただ…バックという意味はなんとなく分かる。そしてそれが、この世界では当然の危ない人達だという事も―。

    「揉めたって……何を…?隼人は…リョウ君、隼人は今どこにいるん!?」

    2008-12-04 06:48:00
  • 366:

    ◆ACiNmI6Dxs

    あたしは、持っていたマスカラを放り投げて聞いた。不安で、不安で・・   胸が押し潰されそうだった。
    「とりあえず…今……話し合いの最中らしい。今日は、急遽営業停止やから。他の女の子には事情は伏せてる。……レイカには、隼人君から連絡あると思うから。」
    リョウ君は、落ち着かない様子で話していた。     
      
    隼人…・・・      一人にしんとって…。。。

    2008-12-04 06:56:00
  • 367:

    ◆ACiNmI6Dxs

    リョウ君の電話を切った後、リョウ君の言葉通り…あたしは隼人からの連絡をただただ待った。待っている間、震えが止まらなかった。 
     

    ただ、隼人が遠くへ行ってしまうのが…恐かった。

    2008-12-04 07:00:00
  • 368:

    ◆ACiNmI6Dxs

    リョウ君の電話を切った後、リョウ君の言葉通り…あたしは隼人からの連絡をただただ待った。待っている間、震えが止まらなかった。 
     

    ただ、隼人が遠くへ行ってしまうのが…恐かった。

    2008-12-04 07:00:00
  • 369:

    ◆ACiNmI6Dxs

    ↑ミスです。すいません

    2008-12-04 07:01:00
  • 370:

    名無しさん

    まだかぬぁ

    2009-03-02 15:13:00
  • 371:

    名無しさん

    書いてぇ?

    2009-03-10 12:52:00
  • 372:

    ◆.et2waqgrQ

    2009-04-09 15:19:00
  • 373:

    ◆QoIHN1CLio

    2009-04-09 15:23:00
  • 374:

    名無しさん

    2011-09-12 23:47:00
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