小説掲示板タイムマシンのスレッド詳細|夜遊びweb関西版

夜遊びweb掲示板 関西夜遊びweb掲示板 関西
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

タイムマシン

スレッド内検索:
  • 1:

    ◆tRd/QWYm5M

    前作人造人間もよかったら読んでください。

    2008-10-08 03:54:00
  • 2:

    ◆tRd/QWYm5M

    「お疲れさまでした。お先に失礼いたします」21時過ぎに働いているエステサロンから出る。まだサロンに残ってお手入れの練習をしている同僚をおいて、一足先に駅へと向かう。 帰宅ラッシュを少し過ぎた電車は、そこまで混んでなくて座席に座れた。1日立ったままの仕事でパンパンになった足を組み、携帯にイヤフォンをつけ曲を流した。

    2008-10-08 03:59:00
  • 3:

    名無しさん

    人造人間もめっちゃおもしろかった?主さんの話大好きやし応援してます?がんばって下さい?

    2008-10-08 04:39:00
  • 4:

    ◆tRd/QWYm5M

    昼休憩の25分が唯一座れる時で、後は立ったまま。お客様の全身マッサージをする時、中腰になるので最近ヘルニアになりそうで怖い。 エステシャンなんて華やかなようで、力仕事だし全然華やかじゃない。毎朝髪を10分でアップにし、全く不似合いな私服を来てサロンに行き、どこの貴族ですか?と自分につっこみを入れたくなる言葉遣い。 サロンで働く前まで、エステに通うのが夢だったけど、今では全くと言えるくらいエステが苦手になった。

    2008-10-08 05:09:00
  • 5:

    ◆tRd/QWYm5M

    いつもニコニコ笑顔。だからこの時間は無表情になってしまい、唯一落ち着く時間。私は電車を降り改札へ続く階段を降りていく。足はパンパンで階段を一段降りる度に、痛みが走る。早く帰って半身浴をしたい。 イヤフォンからは、大好きな曲が流れていて周りの声なんて聞こえない。仕事が終わったらもう誰とも会話なんてしたくない。 切符を改札に通し、歩いて外に出るとロータリーで帰宅を急ぐ人達がいた。

    2008-10-08 05:15:00
  • 6:

    ◆tRd/QWYm5M

    トンッ。ふいに肩を叩かれ体がびくっと反応する。イヤフォンをつけたまま後ろを向くと、見覚えがある男の人が立っていた。私は慌ててイヤフォンをはずし、記憶をたどりながらその人をまじまじと見る。誰だっけ?


    「久しぶりやなぁ!びっくりしたわ(笑)何しとん?」その笑顔で思い出した。隼人だ。

    2008-10-08 05:19:00
  • 7:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人は学生時代付き合ってた私の人生で一番思い出に残る人。何年ぶりだろう。笑った顔が面影があるけど、なんでこんな所でしかもこんな疲れはてた顔で再会なんよ… 「隼人やん!何しとん?」笑顔で答える私。 私服姿で昔より背が伸びた隼人はすっかり大人になっている。 「彼女迎えに来たねん。お前は?」隼人が何気なく言った言葉に胸が痛む。「仕事帰りやで」「お前結婚とかしてへんの?」隼人は何気なく、こんな言葉を私に吐き捨て笑う。 なんでだろ…胸が痛い。

    2008-10-08 05:26:00
  • 8:

    ◆tRd/QWYm5M

    「してへんよぉ(笑)彼氏すらおらんってば」苦笑いすると隼人も苦笑い。 「俺、来月結婚式すんねん」隼人は少し照れくさそうに笑顔をみせる。

    (結婚しよな)いつか言われた隼人からの言葉が脳裏に甦る。

    「そうなんや!おめでとう」私は笑顔で話す。「あっ、連絡先教えてや!よかったらお前も式に「無理ぃ!私忙しいから(笑)ってか昔の彼女が式に出るとか間違えてるわ」 隼人はポケットから携帯をだそうとした手を止める。 「昔の事やし、俺の彼女そんなん怒らんで?」隼人は普通に話す。その言葉に何故かひどく傷つく自分がいた。 「幸せにね!じゃあいくわ!」「おい!」「バイバイ!」私は走りその場から立ち去った。点滅の信号を渡り、ふと立ち止まり振り返ると隼人が信号の向こう側で、私に手をふり私も手をふってまた私は走り出した。

    2008-10-08 05:47:00
  • 9:

    ◆tRd/QWYm5M

    イヤフォンは肩にぶら下がったまま曲がもれていた。しんどいはずの足で走って一人暮らしのアパートにたどり着き、カバンから鍵を取りだし家へと入る。カバンを床に置くと同時に、涙が溢れこらえきれなくなり私はその場にぺたんと座り泣いた。

    2008-10-08 05:50:00
  • 10:

    ◆tRd/QWYm5M

    ポケットに手を入れ中からキーホルダーを出す。手のひらでコロンと乗った明太子のキャラクターの汚れたキーホルダーを握りしめる。



    私の未練たらたらな気持ちに情けなくなった。

    2008-10-08 05:52:00
  • 11:

    ◆tRd/QWYm5M

    ねぇ いつか2人が ねぇ思い出に変わっても いつの日か 笑顔でまた出会えたらいいね ねぇ いつか笑い合った日の事 悲しい思い出になる時がきても … イヤフォンから漏れる曲がやけに涙を誘う。 あの時、手を離したあの時、いつかまた出会えたらきっと同じ気持ちでいれると思ってた。だからあの時笑顔でさよならしたんだよ…隼人のお嫁さんになれる日がいつかくるかもしれないって、秘かに思ってた。

    2008-10-08 05:57:00
  • 12:

    ◆tRd/QWYm5M

    この物語りを 隼人へ捧げます。

    2008-10-08 05:58:00
  • 13:

    ◆tRd/QWYm5M

    一話 出会い

    2008-10-08 05:59:00
  • 14:

    ◆tRd/QWYm5M

    書き込みありがとうございます。この物語りもフィクションです。

    2008-10-08 13:07:00
  • 15:

    名無しさん

    前作とはまた違ってリアルな感じですね〜?楽しみです?

    2008-10-08 13:15:00
  • 16:

    ◆tRd/QWYm5M

    携帯番号が変わった事すら母にも言えてなく、学生時代の友達にも伝えそびれ、忙しさからおっくうになっていた。 正月に地元に久々に帰ってみようかと思っているので、その時にみんなに教えればいいかな。という考えがあったからで、でも日頃から学生時代の友達とも両親とも連絡なんて取り合っていない。連絡があるかと思えば、地元の誰が結婚しただの最近どうだのそんな話しを交わすくらいで、結局会ったりもしないし週に一度の休みしかない私は、唯一の休みは1人で家で雑誌を読んだり、パジャマ姿のまま夕方までぼーっとしていたい。外に出ればお金がかかるし、月17万の収入じゃ外食なんて贅沢すぎる。 流行りの服なんて全く買えてない。

    2008-10-08 13:43:00
  • 17:

    ◆tRd/QWYm5M

    学生時代の私が今の私を見たらどう思うんだろう。未来を夢みてた頃の私は、今の年で隼人のお嫁さんになっていて子供がいるものだと思い込んでは、未来予想をして隼人に話したっけ…



    でも…隼人は結婚するんだね…幸せそうに照れながら話したあの笑顔は、相変わらずだった。

    2008-10-08 13:47:00
  • 18:

    ◆tRd/QWYm5M

    ポタッ…涙がキーホルダーに落ちはじける。あの日からずっと御守り代わりに常に持っていた。捨ててしまおうとした事もあったけど、結局これだけは捨てれなかった。 写真や手紙は捨てれたのにこれだけは捨てたくなかったんだ。

    2008-10-08 13:50:00
  • 19:

    ◆tRd/QWYm5M

    「そんなに強く握ったらいたいだろっ」………?!…………どこからともなく声がして、私は部屋を見る。あきらかに声は部屋の中からしていた。 もしかして…泥棒?!! 体が緊張から震え自分の家なのに、静かにお風呂やトイレ、クローゼットやベランダを見るけど、誰もいない。 …もっもっもしかしてお化け?!…違う怖さが襲う。

    2008-10-08 13:54:00
  • 20:

    ◆tRd/QWYm5M

    「だから痛いっつってんだろ!このやろう!離しやがれ!」また声がして体がびくつく。モゾモゾ。手の中で何かが動いている事に気づいてあわてて離し、私は跳び跳ねた。「ぎゃあ!ゴキブリ!」部屋の隅に逃げ、ゆっくり視線を向ける。ゴキブリって話したっけ?いやいや話せない。

    2008-10-08 13:57:00
  • 21:

    ◆tRd/QWYm5M

    視線を向けるとそこにはゴキブリ…ではなく、明太子のキャラクターのキーホルダーが床の上に立っていて手と足がはえていた。…………はい?!…………電池式でもなければ押さえたらしゃべるわけでもないはず…なんで立ってんの?なんで手と足がはえてんの?なっなっなんで手で頭かいてんの?! 頭の中が一気にパニックになり、口がぽかんとあく。

    2008-10-08 14:00:00
  • 22:

    ◆tRd/QWYm5M

    「よっ!まいど!」明太子がしゃべりだした。片手をあげて。布の上にかかれたぶさいくな顔が動くわけでもなく手と足だけが動いている。 ………怪奇現象………脳裏にその言葉が浮かぶ。あきらかにありえない。ありえなさすぎる。わけがわからない。なんで明太子が動いているの?っつうかなんでしゃべってんの?!なんなのこれ、なんなの?!

    2008-10-08 14:05:00
  • 23:

    ◆tRd/QWYm5M

    「なにびびってんだよ?お前が俺を呼んだんだろが!」明太子がしゃべってる。手をパタパタさせてしゃべってる。私は頭を左右に何度も小刻みにふって否定する。呼んでないしってか呼ぶってなに? 「しばくぞっこら!俺をよんどいて否定するなっ!俺を誰だと思ってんだ!」「明太子…のお化け…」「はぁぁぁ?!明太子のお化け?!なめとんのかくぅぉるぅぁ!いてまうど!誰が明太子じゃ!目ん玉ついとんのか!」

    2008-10-08 14:11:00
  • 24:

    ◆tRd/QWYm5M

    ほんまに何これ…ほんまに何?!私、霊感とかなくて心霊現象とか心霊体験とかないから分からんけど、これが初心霊体験?こんな感じなん?霊感強い人はこんなのを常に見てるん?そりゃすごいわ…ってか金縛りとか今からあうんかな…この明太子がばかでかくなって… 体が震える。 「ぎゃぁぁぁ」明太子が叫ぶ「きゃぁぁっ!」その声につられて叫びまぶたをつよくとじ両手で耳をふさぐ。

    2008-10-08 14:20:00
  • 25:

    ◆tRd/QWYm5M

    「なんじゃこれぇぇ!明太子やんけ!」まぶたをゆっくりと開けると、玄関にたてかけてある全身を映す鏡の前に明太子は立ち両手をパタパタさせている。 明太子はゆっくり振り返り怯える私を見る。そして体を半分折った。「どうもはずめましてぇおいどんはぁ明太子です…………なんて言うとでも思ったんかぁぁぁ!なぁにぃおびえとんのやぁ!挨拶わぁ!挨拶なしか!!」

    2008-10-08 14:26:00
  • 26:

    ◆tRd/QWYm5M

    「はい!ヒロコです!」明太子の勢いに私は圧倒され自分の名前を名乗る。「ピロ?」「ヒロコ」「ヒヨコ?」「ヒロコ」「ぴろお?」「ヒロコ」「………まぁなんでもええわ…お前なぁもっとこましなもんに願えや…よりによって、こんなぶっさいくなわけのわからん明太子に願うな!こんなの初めてやど……しかもあんなつよく握ったら痛いやんけ………」

    2008-10-08 14:40:00
  • 27:

    ◆tRd/QWYm5M

    「なんにも願ってないです…」なんで敬語で答えてんだろ…明太子はこちらに向かってテクテクと歩いてきて、目の前で両手をあげた。

    2008-10-08 14:43:00
  • 28:

    ◆tRd/QWYm5M

    「やぁ!私は神の使いのヘブンだ。お前の願いをうけてやってきた。ってもまぁ順番待ちだったろうからちょい待っただろうがな(笑) まぁ深い事考えずに私の話しを聞きなさい。

    お前は…ヒロでいいな?ヒロは一途に誰かを思い続け、長年この…明太子のキーホルダーを大事に大事にしていたのだな?でもなんでもっと、こましな物にしなかったんだ………まぁなんにしろ大事にもってたお前にご褒美として願いを叶えてやろう。ただし、生命にかかわることや、無理に人の気持ちを変える事や、貪欲な願いは叶えん。空を飛ぶとか非現実な願いも却下だ」

    2008-10-08 14:55:00
  • 29:

    名無しさん

    面白そう?

    2008-10-08 15:02:00
  • 30:

    ◆tRd/QWYm5M

    一体なにが今起きてるんだろう…こんなわけがわからない明太子が神の使い?というか神なんているの?確かにこのキーホルダーは大切にはしてきたけど……こんな事が現実に起こる訳がないに決まってる。


    ヘブンと名乗る明太子は、目の前で小さな体を上下に動かし踊ってる。私は頭をかしげながらそれを見ていた。

    2008-10-08 15:41:00
  • 31:

    名無しさん

    なんできゅうに話の展開もんなんなったん(´・ω・`)?

    2008-10-08 15:44:00
  • 32:

    ◆tRd/QWYm5M

    「決まったか?」「こんなのありえない」「当たり前だろ!ありえない事が現実で起きてるんだから!普通はな、17歳までの 子供に私が現れるんだ。あ…でもヒロの前の者は82歳だったな…そんな事はどうでもよい。願いを叶えてやるって言ってんだからなんか言え!」ヘブンは私の前でただ手をパタパタさせながら話す。

    2008-10-08 15:47:00
  • 33:

    ◆tRd/QWYm5M

    話しの展開もんなんなったん ってどういう意味ですか??こんなんなったんって意味ですか? 読んでいくうちに分かってもらえるようにしていきますので、よかったらお付き合いください。 文章力は、ないので読みにくいかとは思いますが…

    2008-10-08 15:51:00
  • 34:

    ◆tRd/QWYm5M

    私は疑いながら考える…ふと浮かぶのは隼人の事。隼人と離れてからずっと出会った頃に戻れたらと思っていた。 でもこんな明太子に私の願いをかなえる事ができるのかな…非現実的すぎるかな…どうせこの状況もありえないんだし言ってみよう。

    2008-10-08 15:57:00
  • 35:

    ◆tRd/QWYm5M

    ゴクリ。唾をのみこむ。「16歳の時に戻りたい」「未来を変えたいという事か?」「ただ戻りたい!」ヘブンは体を傾ける。「変な願いだな…まぁよい。分かった。願いを叶えよう」 ヘブンはそう言うと、手をパタパタしてさっきより激しく動き出すと、いきなりすごい光りが私を包み、思わずまぶたを閉じた。

    2008-10-08 16:03:00
  • 36:

    ◆tRd/QWYm5M




    パチッ。まぶたを開けると私は実家のベッドの上でパジャマを着ていた。…へ?なんで?…昔着ていた懐かしいパジャマ。机の上にはカバンが置いてあり、本棚には懐かしいマンガ本や小説が並んである。……え?あれ?何?何?…訳も分からずベッドから降り部屋を見渡すと壁に制服がかかっていて、カレンダーには昔のカレンダーの年が記載されている。

    2008-10-08 16:32:00
  • 37:

    ◆tRd/QWYm5M

    訳もわからずに部屋にある全身鏡に映る自分の姿に固まる。手で顔を触りまくり髪をぐちゃぐちゃにする。「はぁ?!まじで?!」鏡に向かって大声を出す。ぶっとい眉毛におでこににきび。昔の私がいる。。

    2008-10-08 17:02:00
  • 38:

    ◆tRd/QWYm5M

    199x年と記載されている。テレビをつけてチャンネルを次から次へと変えると、昔の番組が流れている。「なっなっなっなんなんこれ?!どーいう事?!」テレビに向かって私がそう話すと父が現れ私が持ってる新聞とリモコンをさっと取り、椅子に座る。

    2008-10-08 17:08:00
  • 39:

    ◆tRd/QWYm5M

    「早く用意しなさいよ?いつまでパジャマでいるの?」呆れた表情をした母が私に話す。 「お前ももう16なんだからな」父が新聞を読みながらそう言った。「ありえへん…ありえへん!なんなんこれ…」私はその場にぺたんと座り込み呆然とすると、母がため息をついた。「早く用意しなさい!」

    2008-10-08 18:31:00
  • 40:

    ◆tRd/QWYm5M

    本気で戻ったんだ…しかも記憶は大人になった私のまま…こんな事って…


    ドンッ。誰かがぶつかり真新しいカバンが地面に落ちる。「すいません!」そう言って同じ制服を着た男子が走り去る。「ぼぉっとしてちゃダメでしょ?」スーツに着替えた母が私に呟く。私はカバンを拾いながら母を見る。 ありえない…なんなんこれ…夢なんかじゃない。ほんとに戻ってる。

    2008-10-08 18:37:00
  • 41:

    ◆tRd/QWYm5M

    確か前に地元に帰ってきた時に新しくできたコンビニがあったはず…コンビニがあった場所は昔のラーメン屋が真新しく開店祝いのスタンドがおいてある。 潰れたはずのスーパーも、ガソリンスタンドもある。

    2008-10-08 18:40:00
  • 42:

    ◆tRd/QWYm5M

    懐かしい通学路を母と歩きながら私は、周りを見渡す。知ってる顔ぶれが真新しい制服姿で、少し緊張した表情をしながらみんな歩いてる。 なんだかみんな幼いな。 あっ、あの子確か入学式の日に暴れて先生殴って学校辞めた子だ。あの時は大人に見えたけど、こんな子供だったなんてなぁ。周りを見ながら歩く。

    2008-10-08 18:44:00
  • 43:

    ◆tRd/QWYm5M

    後ろから追い越してきた女の子に気づく。一番仲良かったリエだ!うわぁ懐かしい!「リエ!」笑顔で私が呼ぶとリエは立ち止まり私を見る。不思議そうな顔で。「知ってる子なの?」母が私に話しかける。「何言ってるんよ(笑)ほらあのできちゃった結婚した…」大声で笑いながら話す私に母の表情がみるみるうちに変わっていき私は両手で口を隠す。 そうだ私は16だった。リエとはまだ仲良くなんてなかった!やばっ。

    2008-10-08 18:48:00
  • 44:

    ◆tRd/QWYm5M

    リエはぷいっと顔をそむけ走っていき、私は母にその場で叱られた。私だけ記憶があるまま16歳なんだ。ってかいつ戻れるんだろ…どうやって戻るんだろ…考えながら歩いていく。学校が姿を現し桜の木がずらりと並ぶ道を通り門へと入った。懐かしすぎる。みんなよそよそしいな。 「じゃあ先に体育館行ってるからね」母はそう言い残し去って行った。私は1人で階段をのぼり教室へと向かう。懐かしい匂いと景色を味わいながら教室のドアを開けると同時に男子とぶつかった。

    2008-10-08 18:55:00
  • 45:

    ◆tRd/QWYm5M

    幼い顔の隼人だ。「わっ、隼人!」「えっ?」びっくりした表情の隼人が私を見る。「あっ、いやっごっごめん」私はそう言って自分の席に座り、ゆっくり視線を隼人へと向けると頭をかしげた隼人と目が合い、私は視線を慌ててそらした。

    2008-10-08 18:57:00
  • 46:

    ◆tRd/QWYm5M

    「なぁんかヒロコって変わってるよなぁ」リエの口癖。いや、昔とはあきらかに違う口癖。昔はなんて言ってたかは思い出せないけど、こんな事言ってなかった。 「別に変わってないわ」「なぁんかたまにおばさんみたいな事言うやん!」ぶっ!飲んでいたジュースを吹き出した。リエはびっくりした顔で私を見る。私は紙でテーブルをふきながらリエを見る。「おっおばさん?」「年ごまかしてんちゃうん?って思うわぁ」「例えばどんなとこ?」 リエに聞くとどうやら親の気持ちを考えなあかんとか私が無意識のうちに言ってるらしい。

    2008-10-08 19:48:00
  • 47:

    ◆tRd/QWYm5M

    昔の私ってどんなだった?頭の中で考えるが結果は同じ。 分からない。 それだけだった。
    流行りの雑誌を見ても、テレビを見ても新鮮さなんてなくて、懐かしい気持ちが込み上げる。 このファーストフードも確か五年前に来た時に、この制服を着た生徒を見て懐かしくなったんだよなぁ。 まさか自分が16歳に戻るなんて思いもしなかった。

    2008-10-08 19:51:00
  • 48:

    ◆tRd/QWYm5M

    学校の授業も思い出しながら受ける。体育も体はしっかり16になっているので楽しくて仕方ない。あんなに面倒に感じていた苦手な授業もやけに新鮮に感じる。先生がやたら若い事に気づいたり、先生の話す言葉に共感できたり。

    2008-10-08 19:55:00
  • 49:

    ◆tRd/QWYm5M




    季節は夏になり、制服も半袖になった。隼人がやたら気になる日々。確か私は隼人に恋したのに気づいたのはこの時期だっけ…何がきっかけた゛ったんかなぁ。 外ではセミがやかましく鳴き交い木々は青々と太陽の光を浴びている。私はいつものようにお弁当をカバンに入れ家を出る。 まだ少し早い。

    2008-10-08 19:59:00
  • 50:

    ◆tRd/QWYm5M

    そういえば隼人は言ってたっけ、もうこの時すでに私を好きになってたって…私は気づかずにただ好きになったんだよなぁ…隣で歩く隼人。なんだか嬉しいような恥ずかしいような気持ちが混じる。

    2008-10-09 02:32:00
  • 51:

    ◆tRd/QWYm5M

    でも……何がきっかけで好きになったっけ………何だった?何かびっくりするような事が…… 点滅信号を2人で歩く。 パッパーン!トラックのやかましいクラクション音が響きわたり、あまりの音に体が固まった。「桜井!あぶなっ!」ぐいっ。固まった腕を隼人がつかみ、力強くひっぱり私はよろめきながら隼人の後ろにいた。目の前をトラックが通りすぎていくのが見える。

    2008-10-09 12:43:00
  • 52:

    ◆tRd/QWYm5M

    一瞬の出来事で何が何だか分からずに私は、その場で目を丸くしてぽかんと口を開けていた。 「あっぶなー!!びっくりするやんけ!!なんやあのトラック!」渡ろうとした横断歩道を戻ると、信号は赤に変わり車が次々と走っていく。…トラックなんてどこから走ってきた?…考えながら歩いてたから?気づかなかった?…………あっ!思い出した!…確か同じ事が前にも……そう…急に現れたトラックにひかれそうになって…でも、当時より私早起きなったし、こんな早い時間にここを歩いた事あったっけ………ただの偶然だよ………

    2008-10-09 12:49:00
  • 53:

    ◆tRd/QWYm5M

    ドキンッ。 胸の奥がキュンとする。…えっ?何?何この感覚?一体どこから?なんで? 眉間にシワをよせてゆっくりと隼人を見ると、隼人は私をじぃーっと難しい表情で見ながら急に笑い出した。「え?どうしたん?」「普通、今みたいな事起きたらそんな顔しんやろ(笑)!なんやねんその顔!はっはっはっ!」隼人はお腹をかかえて大笑い。 私はわけも分からず隼人を見ていた。 ドキンッという感覚が早くなっていく。でも、どこからどうなってこの感覚になるのか理解できない。

    2008-10-09 12:56:00
  • 54:

    ◆tRd/QWYm5M

    「ヒロコ〜!おっはよー!」後ろの方で声が聞こえ振り向くと、走ってくるリエの姿が見え私は手をふって答える。「おはよーリエ早いなぁ」駆け寄ってきたリエに話すとリエは元気よくうなずいた。「うん。早く起きたから早めに家出てん!小林おはよ」リエが隼人に気付き挨拶すると隼人も笑顔で挨拶をして、3人で学校へと向かう。私のいみふめいな鼓動の音はやまずに、隼人を見る度に聞こえた。

    2008-10-09 13:03:00
  • 55:

    ◆tRd/QWYm5M

    この鼓動は、恋してる時に恋してるんだって分かる感覚だよね…?でも、あんな事で私はそんなのになるわけないし…ただ腕つかまれたくらいで…なんでやろ…頭の中は疑問だらけで授業なんて耳に入らないまま一時間目が終わろうとしていた。「桜井!」突然先生から呼ばれ、勢いで立ち上がってしまいその行動に驚いたまま私は椅子に座った。「何やってんだ…ぼーっとしとったらあかんぞ!」先生に注意され私は頭を下げると、みんながクスクスと笑う。

    2008-10-09 13:09:00
  • 56:

    ◆tRd/QWYm5M





    「ねぇリエ?胸がドキンッってわけも分からずした事ある?」お弁当のおかずをパクリと口に入れながら、リエに質問。 机を向かい合わせにひっつけて、カラフルなお弁当を食べる昼休み。食堂に行く生徒や、他の場所で昼食を食べる生徒がいるので、この時間教室の中は数人しかいなくなる。 「は?何それ」眉間にシワをよせながらリエが私を見る。

    2008-10-09 13:16:00
  • 57:

    ◆tRd/QWYm5M

    「あのさぁ…隼…小林おるやん?」「うん」「今日なトラックが急に現れて…」 ドキンッ…ドキンッ…急に顔が熱くなり訳のわからない感覚がまた起きた。…はぁ?何これ…手で胸をさすりながら頭をかしげるとリエはにやにやと笑いながら私を見る。 「どっどないしたん?」リエに聞き返すとリエは二回うなずいた。「なぁんやそーやったんやぁ(笑)」「えっ?何が?」「ふーん」「だから何が?」

    2008-10-09 13:21:00
  • 58:

    ◆tRd/QWYm5M

    リエは身をのりだし私の耳元に唇をちかずけるから、私は右耳をリエに向ける。「小林の事好きなんやろ?誰にも別に言わんから安心しいや」「は?違っ…トラックが現れて「はいはいっ分かった分かった!ってかヒロコってわっかりやっすー(笑)」リエがにやにやしながらお弁当を食べていく。なんでそうなるん?ってか顔が更に熱くなってるし、胸がキュンキュンしてるし…なんで?

    2008-10-09 13:25:00
  • 59:

    ◆tRd/QWYm5M

    この意味不明な鼓動は隼人を見る時、隼人の事を考えてる時に起き始めていた。 確かに隼人の事は好きやけど、それは前からの感情やしなぁ…うーん。 一週間が過ぎ、終業式の日。 この一週間リエは隼人の行動を常に私に教えてきている。どこから仕入れたのか誕生日や、彼女がいない事、血液型や趣味を細々教えてきた。確かこの当時、リエと一緒に調べたっけ。と私は思い返したり。

    2008-10-09 13:42:00
  • 60:

    ◆tRd/QWYm5M

    …あっ…そういえば今日やん隼人と付き合った日って!制服を着てカバンを持った時ふとカレンダーを見て気づいた。 隼人が私に朝告白してきたねん。確かそうやった!通学路で隼人に確か呼び止められて…「ヒロコ?早くしないと遅刻するわよー」階段の下から母が声を張り上げる。私は慌てて家を出て晴れ渡る空の下歩き始めた。

    2008-10-09 13:47:00
  • 61:

    ◆tRd/QWYm5M

    一歩足を進める度に鼓動が早くなるような感覚…別れてから隼人ともう一度やり直したい、この日に戻れたらって何度も思い続けた。でも、まさか、こうやって本当に戻れるなんて…ちょっと待って…もし私が隼人の告白を断ったとしたら…一体どうなるの…変な考えがふと浮かんだ。もし、隼人と付き合わなければこんなに苦しむ事もなければ、あんなに泣く事もない。…でも…それって…未来が変わる…


    歩きながらそんな事を考えていると、隼人が通学路に立ち止まっている姿が遠くで見えた。

    2008-10-09 14:28:00
  • 62:

    ◆tRd/QWYm5M

    足を止め、隼人を見る。通学路に生徒がたくさんいて、みんな隼人の前を通りすぎていく…ドキンッ…胸がきゅぅぅっとした感覚になり、私は手をきゅっと握り一歩歩き出した。隼人は私の姿にまだ気づいていない。確か…横を通りすぎる時に声をかけられるんだよね…確かそうだったはず…

    2008-10-09 14:31:00
  • 63:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人を気にしながら、でも隼人を見ることなく私は隼人に近づいていき、すっと隼人の前を通りすぎた。「桜井」隼人が私の名前を呼び、私は足を止め振り向くと、少し真顔で私を見る。胸がきゅんとする…これは緊張のせいだよね。


    「おはよ。どしたん?」白々しくないように笑顔を向ける私。「ちょっと話しあんねん」そうそう、確かこんな事隼人言ったんだよね。

    2008-10-09 14:36:00
  • 64:

    ◆tRd/QWYm5M

    記憶が鮮明に甦り現実とリンクしていく。なんだか泣きそうになるよ…隼人の手をはなした日からずっと今、この瞬間に戻りたいって泣いたんだもん…何度後悔してきたんだろ…でも、今こうやって戻ってきたんだ…大好きな隼人が今目の前にいるよ…

    2008-10-09 14:39:00
  • 65:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人を好きな理由や好きになったきっかけはよく分からない。でも、密かに女子から憧れられていた。見た目もよくて、いつも笑顔ででも口は悪くって…でも優しいんだよね… 隼人が私を好きになったきっかけって確か…あれ?確か入学式の日にぶつかった時に一目惚れしたって言ってなかった?…そうだ!そんな事言ってたよ!よく私聞いて隼人は、また?って面倒くさそうに話した事あって…トラックにしろ、入学式にしろ偶然たまたま重なっただけやんね…今こうやって隼人が待っていたのは隼人が告白する為やし。これは偶然じゃない。

    2008-10-09 14:45:00
  • 66:

    ◆tRd/QWYm5M

    「話しって何?」こう言うと隼人はここじゃ言いにくいからって違う道に行くんだ。「ここじゃ…話しにくいから…」隼人が話す。…ほらそう言った… 私は隼人の後ろをついていくと、一本北側の細い道にたどり着いた。 胸がドキドキする… 隼人はゆっくり振り向いて、少し照れくさそうに私を見る。

    2008-10-09 14:50:00
  • 67:

    ◆tRd/QWYm5M

    セミが鳴く声が時々止み、静かになったと思えばまた鳴き出す。通学路から一本ずれるだけでまるで景色は違う。私は、隼人のこの表情が好きでわざと照れくさい事言ったりしたっけ…それで隼人はこんな顔したんだよね…


    「あのさぁ…桜井って」 好きな奴とか付き合ってる奴いたりするん?隼人はこう話すんだよ…

    2008-10-09 15:31:00
  • 68:

    ◆tRd/QWYm5M




    ………ポロッ………涙が勝手に頬に流れた。「ごめっ…」慌てて涙をふく。「どっどないしたん?」「いや…ちょっと泣けたねん…(笑)きにしんとって」 私は涙をふいて隼人を見上げると隼人の顔は赤くなっている。「俺のせい?」不安そうに聞く隼人。ある意味あんたのせいだよっと思ったけど笑ってごまかす私。

    2008-10-09 15:38:00
  • 69:

    ◆tRd/QWYm5M

    「話しって?」「あぁ………なんでもない…ってかほんま大丈夫?なんかあったん?俺聞くし」 私は頭を左右にふると隼人は歩き出した。 ちょっちょっちょっと待って…ちょっと待って!ここで、この場所で今告白するんじゃなかった?…いや、するよ!だってそれは覚えてる。好きな人とか彼氏とかおらんの?って聞いてきたもん。でも、隼人、なんで言わずに歩いていくん?

    2008-10-09 15:43:00
  • 70:

    ◆tRd/QWYm5M

    「隼人!」そういうと隼人は足を止め驚いた顔で振り向いた。 気づいた時には名前を叫んでいた。 「好きな人とか彼女おらんの?!」勝手に口が動き勝手に声が出る。しーん。 隼人は目を丸くしている。答えを知ってるのにドキドキが止まらない。足が震える…手から汗も出てる…暑いからじゃないよね?暑いから手から汗が出てるんじゃない。

    2008-10-09 15:47:00
  • 71:

    ◆tRd/QWYm5M

    例えばこれでまた隼人との思い出ができても…喧嘩したり笑い合ったり冗談言い合ったり、手つないだり抱き合ったり……また隼人に抱かれ愛し愛され……また隼人の手を離す日がきても…うぅん、今度は…はなさない。はなさないよ。絶対はなさない… 例えば未来が変わらなくたって、違う形ではなれるとしても



    隼人のそばで笑ってたいって今は思う。

    2008-10-09 15:51:00
  • 72:

    ◆tRd/QWYm5M

    「彼女はおらんけど好きな奴ならおる…」隼人はそう言って私を指差した。 …あの時は私が今の隼人と同じ事したんだ… なんだかおかしくなって笑い出す私。隼人は不思議そな表情で私を見て、ゆっくり私に向かって歩き出して。私の前で立ち止まり、左手を差し出してきた。 ん?なに?私が隼人の差し出してきた手を見ると「よかったら俺と付き合ってください」照れ笑いしながら私に話した。

    2008-10-09 15:56:00
  • 73:

    ◆tRd/QWYm5M

    2話違和感

    2008-10-09 15:57:00
  • 74:

    ◆tRd/QWYm5M

    体は16でも、ってか数ヶ月前まで社会人だった。だから夏休みはかなり長い休み。サロンは休みって言ってもこんな長い連休なんてないもんなぁ。悲しい事におこづかい制度なので、旅行とかに行けないのが唯一落ち込むとこかなぁ。でも洗濯も食事も勝手にできているのがいいよね。 夏休みに入り私は、隼人と毎日のように会っている。懐かしい日々が今現実に起きてるんだよ。。 隼人とはクリスマスに別れたんだよね。。

    2008-10-09 16:48:00
  • 75:

    ◆tRd/QWYm5M

    「ヒロコ〜」隼人が私を呼び、視線を向けると隼人は変な顔をしていた。「何やっとんよー(笑)ほんまにぃ相変わらずやなぁ!」隼人にそう話すと不思議な顔で私を見る。 「ヒロコって俺の事さぁよく分かってるよな?なんで?変顔とか初めてしたし」「へっ?」思わず私は変な顔をしてみる。 ふとした仕草も口癖も私は前から知ってるからついつい相変わらずやなぁとか言ってしまう。それに対して隼人は頭をかしげる。

    2008-10-09 16:55:00
  • 76:

    ◆tRd/QWYm5M

    「好きな食べ物とか飲み物もなんかよく知ってるよなー…俺の部屋とかどこに何があるのかも何か知ってるし…」「なんとなくやん!」私はそう答えて笑うと、隼人は私の隣に座り、肩に腕をまわしてきた。隼人とはまだキスしてなくて、肩に手を回すのが精一杯の2人の進展。確か隼人は私と付き合う前に、2人付き合った事があって経験済みだって分かって喧嘩したっけ…

    2008-10-09 17:01:00
  • 77:

    ◆tRd/QWYm5M

    肩に手を回した隼人は、そのまま歌を口ずさんでいた。私が大好きになった思い出の曲で、別れてからずっと聞くのが怖くて、しばらく聞けなかった曲。テレビで流れたらチャンネル変えたりした。 またこうやって隼人の声で聞くなんて… 胸がいたいけど、ドキドキする変な感覚。別に大した事じゃなくても、隼人の行動にドキドキする感覚はいまだにあって、それは16の私の感覚だと理解しはじめた。肩に手をまわされたくらいで私はドキドキなんてしないもん。

    2008-10-09 17:05:00
  • 78:

    ◆tRd/QWYm5M

    夏休みに入り私は毎日隼人の家に遊びに来ている。隼人は夏休み前、女子から告白を何回か受けたらしいが全て断ったんだって言ってた。外には生徒がいるし、冷やかされたり噂されるのが嫌やし面倒やからって理由で、私はここに毎日いる。 「隼人って、何でもてるんやろなぁ」飲みかけたジュースを口から離して私がふとつぶやくと、隼人と目が合った。 「そんなん知らんがな(笑)別にモテるわけちゃうしや」「なんで私が好きなん?どこが好きなん?」そう言ってジュースをこくりと飲む。 「どこがって…「一目惚れしたくせに」 意地悪そうに私が話すと、隼人の顔は真っ赤になった。私は笑いながら指で隼人の赤くなったほっぺたをつんつん押す。

    2008-10-09 17:13:00
  • 79:

    ◆tRd/QWYm5M

    「なんで知ってるん?!誰から聞いた?!俺そんなん言ってへんし!」 「さぁ〜ねっ。ってか隼人の事やったらなぁんでも知ってるわ!」私はわざと視線をそらし横目でちらっと見ると隼人の顔は更に真っ赤になっていた。「はぁ?まじで怖いし!なんなん?」「夏休み家族で博多行くんも知ってるよー。そこで明太子の変なキーホルダー買ってくるんも知ってる!」「なっなっなっなんで博多行くん知ってるん?朝おかんから聞いたばっかやで?!ってか明太子の変なキーホルダー?お前まじで怖いわ。盗聴機とかつけたりした?」

    2008-10-09 17:18:00
  • 80:

    ◆tRd/QWYm5M

    「つけてるわけないやんか(笑)とにかく博多に行ったらお土産買ってきてよっ!変な明太子のキーホルダー(笑)」 私が笑いながら話すと、隼人は頭をかしげながら不思議な顔をしていた。

    付き合いだしてまだ間もないのに、私が隼人を知っていたせいなのか、妙に落ち着いていた。初めてキスした時とかは全く覚えていないけど確か夏休み中に初めて体が1つになったんだっけ。。いつやったかな…

    2008-10-09 17:55:00
  • 81:

    ◆tRd/QWYm5M

    私はその日の帰り道、自転車

    2008-10-09 18:07:00
  • 82:

    ◆tRd/QWYm5M

    私はその日の帰り道、自転車でいつもの道を走っていた。薄暗い空には星がいくつも見え、細い三日月が辺りを照らしている。見慣れた景色を見ながら自転車のペダルをこいでいく。車のライトが私を照らし私はふと後ろを振り向いた。

    2008-10-09 18:10:00
  • 83:

    ◆tRd/QWYm5M

    キキーッ!ブレーキをかけ足を地面につける。車のライトだと思っていた光がどんどん強くなりこちらに向かって近づいてくる。思わず私は瞼を強くとじた。

    2008-10-09 18:13:00
  • 84:

    名無しさん

    更新ありがとです??
    いつも楽しみにしてます??

    2008-10-10 00:34:00
  • 85:

    ◆tRd/QWYm5M

    強い光が消え瞼をゆっくりとあけると、360度どこを見ても真っ白で、それが狭いのか広いのかどこへどう行けばいいのかさえ分からない。自転車が消え足にはヒールを履いていて服も変わっている。 なんで? 私は怖くなりしゃがみ込む。 …ヒロコ…どこからか声がして響き渡る。隼人の声だ…私は辺りを見渡すけど、隼人の声なんて聞こえない。「隼人〜?!隼人〜?!」名前を叫びながら、辺りを見渡すけど隼人の姿が見えずにいる。…ヒロコ!ヒロコ!…次はお母さんの声。泣きながら叫んでるけど、姿が見えない。

    2008-10-10 01:55:00
  • 86:

    ◆tRd/QWYm5M

    だんだん怖さは増し、涙が溢れる。「お母さん!お母さん!?どこ?!隼人〜!隼…」急に声が出なくなった。どれだけ叫ぼうとしても、声が出ない。体がじわじわと重たくなり、横からすごい衝撃が私の体にぶつかり体から血が溢れていく。痛みなんてなくじわじわと血が溢れ、服が真っ赤に染まっていく。

    2008-10-10 01:59:00
  • 87:

    ◆tRd/QWYm5M





    ぱち…瞼を開けると私は隼人の部屋にいた。慌てて体を見ると制服を着ている。血も出ていない。「どないしたん?」隼人の声がして視線を向けると隼人が制服姿で雑誌を広げていた。「なに今の!ってか私自転車………えっ何!?」辺りをキョロキョロと見渡す。「は?自転車?何が?」「分からん…さっき帰り道で自転車に乗って…確か後ろから光がぶわーってなって…隼人の声が聞こえて…」「なんじゃそりゃ(笑)ずっとここにおったやん(笑)何言ってんねん(笑)」隼人は笑ってから雑誌を読み出した。

    2008-10-10 02:10:00
  • 88:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人はブレザーを着ている事に気付き、自分もブレザーを着ている事に気付き立ち上がる。隼人が目を丸くして私を見る。「びっくりするやんけ!なんやねん!」「なんでブレザー着てるん?!」「はぁ?なんでって…寒いからやろ…ヒロコも着てるやん。ってか何?!」「寒い?まだ8月やろ?」「はぁ?12月やわ!お前はあほか(笑)」隼人が笑った。私は隼人の部屋のカレンダーを見ると12月となっている。

    2008-10-10 02:16:00
  • 89:

    ◆tRd/QWYm5M

    …どういう事…わけがわからない… ゆっくりとしゃがみじぃっと隼人を見ると、隼人は私の視線に気付きこちらを見る。私は訳が分からなくなり、さっきの怖さから涙が溢れた。 「どっどないしてん?!なんで泣くん?!ヒロコ?」私は両手で顔をかくし頭を左右にふる。 ぎゅぅぅ…隼人が私を抱き寄せ頭をなでた。「どないしたん?また不安なったんか?」「そんなんちゃう…怖い…」「大丈夫やってば!俺浮気とかしてへんって」

    2008-10-10 02:22:00
  • 90:

    ◆tRd/QWYm5M

    浮気?何が? 私は隼人の体から体を引き離し、隼人を見る。ドクン…胸がしめつけられるように痛み、不安が押し寄せる。 何…この感覚…「じゃあなんであの子が同じキーホルダーつけとん?」勝手に口が動く。あの子って誰?キーホルダーって何? 「だから知らんって!」隼人が困った顔で答えた。 「もぅいいわ!」言葉が勝手に出てきて体が勝手に動く。私は勢いよく立ち上がり、カバンとコートを持つ。…何が?なんなんこれ…なんで勝手に話してるん?

    2008-10-10 02:28:00
  • 91:

    ◆tRd/QWYm5M

    「ちょっと待てって!なんやねんほんまに!俺浮気とかせんって言ってるやろ?なんで信じてくれへんの?!」隼人のその言葉で、思い出した。この状況知ってる…前に一度あった…確か…ブレザーのポケットに手を入れ何かを掴み、手を出してゆっくりと開くと明太子のキーホルダーに鍵をつけてある…確かただの勘違いだった…これをリエもたまたま夏休みに博多に行って…買ったんだ…私は裏切られたって思い込んでいて…リエが陰で隼人とできてるとかそんな噂が流れて…リエと言い合いしてリエが隼人を好きだって言って…絶交して、卒業間近まで話さなくて、卒業の時にリエから謝られた。

    2008-10-10 02:36:00
  • 92:

    ◆tRd/QWYm5M

    そうだ。それだ!私はキーホルダーを直し隼人に抱きついた。体が自由に動く。「隼人は何にも悪くないやんな!ただリエが隼人を好きなだけ!」 「だから何回もそう言ってるやろ?」「でもな信じんかった私が悪かってん!別れてしばらくしてから気づいたもん!」「ちょぉ待てや…別れてって何?別れたいん?」隼人の声が変わる。ぐいっ。隼人が私の体を引き離した。顔を見たら怒っているのが分かる。「違っ…「何が違うねん?お前今、別れたとかぬかしたやんけ。なんやねん別れたいんかいや!沢田からの告白はちゃんと断っとるし他の奴等が言ってる事なんかなぁぜーんぶ嘘やぞ!」隼人の怒鳴り声が部屋に響く。

    2008-10-10 02:44:00
  • 93:

    ◆tRd/QWYm5M

    違う…違うの…隼人の事大好きやし別れたいなんて考えるわけないやん! そう言いたいのに、声が出ない。胸が痛くて何故か悔しくて悲しくて…涙が次から次へとこぼれ落ちる。涙で視界は歪み、隼人の顔さえよく分からない。「一週間考える…」言葉がまた勝手に出て、体が勝手に動く。隼人は何も言わずにただ私を見ていた。私はそのままコートとカバンを持ち、部屋から出て隼人の家を出る。

    2008-10-10 02:51:00
  • 94:

    ◆tRd/QWYm5M

    ひゅうぅぅ…冷たい風が吹き、コートに腕をとおす。ふと、隼人の部屋がある二階の窓に視線を向けると、悲しそうな表情の隼人と目が合ったけど、すぐさま隼人は姿を消した。

    2008-10-10 03:08:00
  • 95:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人と別れたのは24日のイヴ。一週間距離をおきたいと私は前も言ったから今日は17日だ…確か今、リエとも話してないんだ…一週間考えたけど結局私は隼人を信じれなくなって別れた…確か終業式の朝、たまたま朝早く起きて、教室に行ったら隼人とリエだけが教室にいてその姿を見たんだっけ…あれはただリエが隼人に謝ってたんだよね?隼人が落ち込んでたからって…じゃあ距離おかずに話せばいいんだよ。リエとも仲直りすればいい。

    2008-10-10 03:14:00
  • 96:

    ◆tRd/QWYm5M

    三話過去と未来

    2008-10-10 03:15:00
  • 97:

    ◆tRd/QWYm5M

    「リエおはよう」次の日教室に入って、リエがいるのを見つけて私はコートを着たままリエの席に行き挨拶をした。リエは何も言わずに私に視線を向けずに雑誌を見ている。私はしゃがんでリエを見る。「リエ?」リエに話しかけても無視。「隼人とは何があっても別れる気はないから…」それだけ言って立ち上がると、視線を感じた。視線を向けた先に隼人がいて隼人はすぐさま視線をそらす。 クラスメイト達が私を見ている。

    2008-10-10 03:21:00
  • 98:

    ◆tRd/QWYm5M

    私は窓際に立っている隼人の所まで行き隼人を見上げる。「何?」「昨日ごめん…今日放課後話せる?」「無理」隼人が視線をそらした。私はじっと隼人を見る。「無理じゃないねん。話しあるから。別れるとかちゃうし」真顔で話す。クラスメイトはみんな私を見ているのは分かっていた。でも隼人を見る。確か隼人と付き合ってるのがばれたのが夏休みの祭りの日。隼人をひそかに好きだった女子達から軽いイジメにもあったっけ…

    2008-10-10 03:25:00
  • 99:

    ◆tRd/QWYm5M

    今思えば馬鹿馬鹿しくて仕方ないような事、冷静になれば分かるのにあのとき私は自分が不安になってたし、隼人に全部を求めすぎてたんだよ…今なら大丈夫。別れたりしない。たかがキーホルダーが同じくらいで浮気なんて…なんで隼人を信じてあげれなかったんだろ…勝手に勘ぐって勝手に疑って…どれだけ隼人を傷つけたんだろ…

    2008-10-10 03:34:00
  • 100:

    ◆tRd/QWYm5M

    人にどう思われようが、どう言われようが、気にせずに自分の思った事を、気持ちを貫くべきだ。 噂なんて所詮噂でしかないよ…自分で見たものを信じればいい。いちいち気にする必要なんてない。自分が好きになった人を疑う事は自分を信じれない事。そうだよね…

    2008-10-10 03:38:00
  • 101:

    ◆tRd/QWYm5M

    「無理って言われてるで(笑)」小さな声で話し合う女子。笑って馬鹿にしてる。前は私は聞こえてるのに聞こえないふりした。1人で悔しくてトイレで泣いたりもしたっけ。 「聞こえとるで?何?」大きな声で女子に視線を向けて話すと、女子がびくっとしてから私を見る。「は?何が?」「しらじらしいなぁ?なんか言いたかったら直接1人で言ってきたら?」しーん。教室の中の空気が固まる。

    2008-10-10 03:43:00
  • 102:

    ◆tRd/QWYm5M

    私はこの当時こんなに強い女じゃなかったから、私がこんな事言うなんて誰も思わないもんね…そりゃしんとなるわ…「なんなん?小林君と付き合ってるからって調子に乗り…「いいやん。好きやねんから。あんたらに迷惑なんかかけてへんし隼人が私を好きになってんから!」 「うっわーばりうざい!」女子が私にそう言う。「うざいうざいってこっちが言いたいわ(笑)んま子供やな?1人じゃなぁんもできんくせに」「はぁ?なめとんかいや「うっさいんじゃ!!!」 そう怒鳴ったのは隼人。女子達は悔しそうな表情をみせる。「ちょお黙って?私が話してんねん!」隼人に視線を向けて話すと隼人はびっくりしてる。私は女子に視線を向けると女子は視線をそらした。

    2008-10-10 03:55:00
  • 103:

    ◆tRd/QWYm5M

    「私は隼人が好き!誰がなんと言おうが好きやし別れたりしんから!集団無視とかするんやったら直接1人ずつ言ってきて?それができんのやったらいちいち聞こえるようにこそこそ言うんやめて!」 誰もその言葉に対して言い返さない。 言った後に少し後悔したけど、イジメがひどくなったって別にええわ。という答えが出た。それよりも、スカッとした。

    2008-10-10 04:00:00
  • 104:

    名無しさん

    うわ?続き気になるぅ?

    2008-10-10 04:02:00
  • 105:

    ◆tRd/QWYm5M

    ぴたっ。みんなの動きが止まり私は教室の中を見渡す。みんなまばたきもしなくてピクリとも動かない。廊下から聞こえていた声も聞こえない。私は隼人に視線を向けるけど、隼人は私を見ているのにまばたきもしない。「隼人?」呼び掛けても隼人が答える事はなくて、焦って体を叩く。

    2008-10-10 04:06:00
  • 106:

    ◆tRd/QWYm5M

    …何…?…なんで動かないの? どれだけ叩いても隼人は動かなくて、教室の中の誰もが固まっていて私だけが動いている。何の音も聞こえなくて、不安になり私は走って教室のドアを開けて一歩廊下に出ると、いきなり辺りが眩しくなる。

    2008-10-10 04:10:00
  • 107:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人は涙を流しながら私を見ている。泣いてるのに微笑みながら…周りの人は何も気づかずに到着した電車に乗っていく。どんっ。誰かにぶつかり私の体が勝手に電車の中へと足を進める。隼人は頭を左右に振り唇を動かすけど声が聞こえない。

    …何?何て言ったの?…

    声が出ずに扉がしまる。ホームに立ったままの隼人から私は視線をそらさない。

    2008-10-10 04:30:00
  • 108:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人の唇をじっと見る。 隼人の唇がゆっくりと動く。
    悲しそうな表情をしている。でも隼人は体を動かさないで、ただ立っていた。
    イ カ ナ イ デ…………そう動いた。確かにそう動いた。電車はゆっくりと動き始める。

    2008-10-10 04:35:00
  • 109:

    ◆tRd/QWYm5M

    「隼人!!」急に声が出るようになり叫ぶ。電車はホームを過ぎ景色が動いていく。体も自由に動く。叫んだのに車内の人はまるで私の声が聞こえてないみたいに普通に乗っている。普通こんなに叫んだらびっくりするのに誰も私を見てない。 私は扉から離れ空いてる座席に座りふと前の座席を見ると、そこには私が座っていた。疲れはてた顔でイヤフォンをつけて、ぼぉっとしてる。確かに私だ。しかもあの日の私だ。隼人にばったり会った私だ。

    2008-10-10 04:40:00
  • 110:

    ◆tRd/QWYm5M

    私は制服姿で、16の私。理解できない状況に頭が混乱していく。目の前に私がいる。何で?私は向かいの座席に座っている私を見ていた。三つ目の駅をこえたところで、もう1人の私はゆっくり瞼を閉じ眠りだした。 …ちょっと待って…私あの日は確か寝てない…確か、ちゃんと起きていて…でも買ったばかりの服を着てるってことはやっぱあの日だよ…でもなんで?



    その時、電車がいきなり急ブレーキがかかり窓ガラスが割れていき、電車がゆっくりと変形していき、車内にいた人がゆっくりと浮いていく。私はもう1人の自分に視線を向けるともう1人の自分の体が空中に浮きゆっくりと扉の方へと飛んでいく。

    2008-10-10 04:49:00
  • 111:

    ◆tRd/QWYm5M

    …何これ…何?… 車内の明かりが消え車内がどんどん傾き、私は何故か車内から外に出ていた。衝撃過ぎて理解ができない。どういう事…?


    「ヒロコ?」後ろから声がして振り向くと、景色が一気に変わり私は病室にいる。病室のベッドの上で私は寝ていて点滴を腕につけていて、呼吸する器具をつけている。 身体中に包帯をまかれ、顔はひどく腫れている。お母さんが涙を流しながら私の手を握り名前を呼ぶ。「お母さん?」そう言うけど、お母さんが私の声に答えない。 バンッ!病室のドアが勢いよく開きお父さんが入ってきてそれと同時に看護婦さんや先生が入ってきて私を囲みながら慌ただしく動き回る。「ヒロコ〜!ヒロコ〜!嫌ぁぁぁっ!」お母さんが泣き叫びお父さんが泣きながらお母さんの体を私から引き離すと、お母さんは病室の隅で泣き崩れ私の名前を叫ぶ。

    2008-10-10 05:02:00
  • 112:

    ◆tRd/QWYm5M

    …なに…なにが起きたの?…なんでお母さん泣き叫んでるん?なんでお父さんも泣いてるん?…



    もしかして…私はあの日の事を思いだそうとする。…でも、電車でなんて寝てない…確か駅について改札ぬけて…そうだ隼人に会った。ばったり…そうだよ…会った。結婚するって隼人嬉しそうに話してた…それで家についたら明太子が動き出して…

    2008-10-10 05:06:00
  • 113:

    ◆tRd/QWYm5M

    「ヒロコはあの日に死ぬ」隣から声がして、視線を向けると知らないおじさんが立っていた。白い服を着たおじさん。でも…この声…聞いた事がある……

    2008-10-10 05:10:00
  • 114:

    ◆tRd/QWYm5M

    私はじーっとおじさんを見る。「まさかわしが分からんか?」「すいません…誰ですか?」私がそう話すとおじさんは眉間にシワを寄せる。「ヘブンじゃ!お前さんの明太子の…覚えとるやろ…んな事はどうでもええ。お前さんはあの日、電車の事故に自分があい死ぬ事さえ気づいてないんや…まぁ寝ていたからな。そのまま幽体離脱してもたんやな…器用な奴やのぅ…」「幽体離脱?幽体?「幽体離脱って言葉知ってるやろが!お前さんは幽体離脱したんじゃ。幽体離脱した後事故が起きたんや!あほか!…とにかくまだ生きたいか?死にたくないか?」

    2008-10-10 05:20:00
  • 115:

    ◆tRd/QWYm5M

    「死にたいも生きたいもなにもかも意味が分からない。」「あのなぁ…はぁ情けない…まぁなんせお前さんはこのまま死ぬかどうかってなってるんや。強い未練を残したまま。あの時、好きな男から結婚するって聞いたのはお前が願った未来を勝手にお前が作り上げた隼人という男の姿をお前のその頭で想像したのが形になって、現れたんや。お前、一度でも会いたい。話したい。その時に隼人という男からそう言われたら諦めれるって思った事あるやろ?

    そしてあの時に会ったんや

    見かねたわしが、しゃあなしに現れたんや。あのようすじゃこの事を言ってもお前さんは否定して、魂だけがさ迷う様になるからな…だからわしがお前さんを16の時に戻して満足したらそのまま連れていく予定やったんや」

    2008-10-10 05:29:00
  • 116:

    ◆tRd/QWYm5M

    「ヒロコ〜!」お母さんの泣き叫ぶ声が耳に飛び込んできて私はお母さんの所へ行こうとした。 ぐいっ。ヘブンが私の腕を掴む。視線をヘブンに向ける。



    「最後まで聞かんか!お前とわしの姿は他の奴には見えない。 いいか?今からお前の未来を変える時に戻してやる。そこでのお前さんの行動ひとつで今この状況が変わりお前は死ぬ事がなくなる。つまり未来が変わるんじゃ」「未来を変える事はできないんじゃなかったっけ?」「予定変更の自体が起きた。隼人という男もなあの電車に乗っていて…死んだんや…隼人という男もお前さんの事をどうやらまだ好きみたいでな…お願いされたんや…生まれ変わらなくていいから未来を変えてくれって…分かるか?お前さんが今から戻り決断をその時のままにしたら、隼人は生まれ変わる事ができる。でもお前さんが違う決断をするとお前さんの未来が変わる代わりに隼人は生まれ変われなくなるんじゃ…よく考えて行動するように」

    2008-10-10 05:41:00
  • 117:

    ◆tRd/QWYm5M



    ピカッ!辺りが光に包まれ目があけていられないくらい眩しくなり、私は瞼を閉じ、瞼をあけると私は部屋にいた。

    2008-10-10 05:43:00
  • 118:

    ◆tRd/QWYm5M

    朝の光が部屋に差し込み、外から鳥のさえずりが聞こえる。私はベッドから飛び降り裸足のまま階段をかけおりた。「あら?今日から冬休みなのに早起きね」母からそう言われ私はテーブルに置いてある新聞の日付を見る。 12月24日… 隼人と別れた日だ…未来を変えるって…この日だったんだ… 新聞を持つ指がカタカタと震えた。サッ。父が私から新聞を奪いテーブルに座る。「冬休みだろ?今日から」父は新聞に目を向けながら私に話す。ついさっきまで泣いてた父がリンクして泣きそうになった。

    2008-10-10 05:51:00
  • 119:

    ◆tRd/QWYm5M

    四話 粉雪

    2008-10-10 05:52:00
  • 120:

    ◆tRd/QWYm5M

    テーブルの上に並べられた朝食。今日の決断で、もうこの食事も会話もこの景色とも…さよならするの?…信じがたいヘブンの言葉…でも、実際信じがたい事が今現実に起きてる… 隼人は…もう死んで… 死んでるんだ…



    バタバタ!階段をかけのぼり部屋のドアを勢いよくしめると同時に涙がこぼれ、その場に崩れ落ちる。両手で唇を抑え指を噛み、声を抑えた。

    2008-10-10 05:57:00
  • 121:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人は…隼人は私をずっとずっと好きだった…好きだったなんて…私はなにもかも分からず……ポタッ…涙が落ちてズボンの上ではじける。 生まれ変われないって事さえも構わないから私の未来を変えてと言った…私がもし、違う決断をすれば…その瞬間隼人は永久に生まれ変われずにいるって事になるんだよね…でも私があの時と同じように行動すれば…隼人は生まれ変わる事ができる…

    2008-10-10 06:02:00
  • 122:

    ◆tRd/QWYm5M

    どっちを選んでも、もう隼人には会う事はない…私が死んでも隼人に会う事はない。私が未来を変えていつか死んだら…会えるかもしれないけど隼人は生まれ変われずに永久に生まれ変われずに…私だけが生まれ変わる。

    体がカタカタと震えだし涙が止まらずに次から次へとこぼれ落ちていく。

    2008-10-10 06:07:00
  • 123:

    ◆tRd/QWYm5M

    死にたくない。死にたくないよ…死んだらお母さんもお父さんも…病室で見た両親の姿が甦る。泣き崩れた母の姿と肩を落とした父の姿。

    この年で、まだこれからしたい事がいっぱいある。結婚もしたい子供だって生みたい。

    2008-10-10 06:10:00
  • 124:

    ◆tRd/QWYm5M

    でも…隼人はどうなるの?…頭が混乱する。「隼人…」



    どうしていいか分からないまま、私は用意をした。どちらを選ぶとしても今日が最後になるのだから。隼人の顔を見るのが。だから私は精一杯のお洒落をした。髪を自分なりにセットをして、お母さんのメイクポーチをこっそり使い化粧をする。

    2008-10-10 06:14:00
  • 125:

    ◆tRd/QWYm5M

    鏡に映る私は16歳の私で、化粧をした私は少しだけ大人びて見えた。待ち合わせは昼過ぎ。私はお母さんに無理言ってお小遣いの前借りをした。隼人へのプレゼントを買いたかった。あの日私は渡さなかったけど、今日は渡そう。未来は変わるか変わらないかはこんな事くらいじゃ決まらないから。私が別れを告げるか告げないかで決まる。だから大丈夫。

    2008-10-10 06:18:00
  • 126:

    ◆tRd/QWYm5M

    「行ってきます!」急いで家を出て走る。隼人へのプレゼントを買わなきゃ!せめてプレゼントを買わなきゃ!デパートにたどり着き息を切らしながら、プレゼントを選ぶ。何をあげるかなんて全く決めてもいないくせに。

    2008-10-10 06:22:00
  • 127:

    ◆tRd/QWYm5M

    「クリスマスプレゼントをお探しですか?」スーツを着た男の人が私に話しかけてきた。デパートの中はカップルや、家族が多くて忙しそう。ディスプレイも流れている曲もクリスマス一色。 「はい。彼氏にプレゼントをあげたくて…でも何か迷ってるんです」 私がそう話すと店員さんは、私に隼人の年や好きなものを訪ねてきた。隼人といえばあの歌だなぁと思い私は店員に歌が好きな事を話すと店員は頭をかしげ悩む。

    2008-10-10 06:26:00
  • 128:

    ◆tRd/QWYm5M

    歌って言われても困るよね…「アクセサリーとかはあまり着けない方ですか?」店員さんが訪ねてくる。「アクセサリー?でも予算が…」私がそう答えと店員さんが私の予算を訪ねてきて私は予算を話した。前借りはできたけど、とてもじゃないけどアクセサリーなんて無理だ。

    2008-10-10 06:30:00
  • 129:

    ◆tRd/QWYm5M

    「これならギリギリ大丈夫な値段ですよ!」店員さんが出してきたのはシルバーの指輪。 私はサイズを思いだし店員に告げる。でも…指輪なんて…でもいっか。深い意味はないって言えば。お礼の気持ちやし。 「ありました!このサイズは最後の1つ です!」私は指輪を購入し包装をあえてしともらわず、指輪だけ受け取り、コートのポケットに入れて走ってデパートから出る。

    2008-10-10 06:36:00
  • 130:

    ◆tRd/QWYm5M

    更新終わります。

    2008-10-10 06:37:00
  • 131:

    ◆tRd/QWYm5M

    もう少し更新します

    2008-10-10 06:49:00
  • 132:

    ◆tRd/QWYm5M

    1分でも早く早く隼人に会いたい。例えばこれが最後でも、もう充分。充分だよ…決断はまだ決めれない。でも、どのみち隼人とはこれが最後。一緒に生きてはいけないし、死んでも隼人に会う事はもうない。隼人は…隼人にはもう永久にずっとずっと私と会う事はない。

    2008-10-10 06:52:00
  • 133:

    ◆tRd/QWYm5M

    待ち合わせは、隼人の家だったよね…近道があるからそっちに行こう…近道は信号を渡ったすぐ右の細い道に入るんだよね。信号はタイミングよく青に代わり、車が停まる。私は走って信号を渡って細い道に入った時、遠くから隼人が歩いてくる姿が見えた。

    2008-10-10 06:55:00
  • 134:

    ◆tRd/QWYm5M

    ドクン…隼人を見た時、胸が痛くなる。何故かわからない感覚…でもこれは16の私のこの時の感覚なんだ… でも…なんで隼人が歩いてるん?確か家に行ったはずやのに…私はふと思いだし、時計を見ると会う時間の30分前。 隼人は私に気づいていなくて、私は陰に隠れた。確かクリスマスの日私は別れるつもりだったから、遅れて行ったんや…隼人こんな所でどこに行くつもりなんやろ…

    2008-10-10 06:59:00
  • 135:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人は私に気づかずに前を通りすぎ、私は距離をあけてついていく。隼人の後ろ姿を見るだけで泣きそうになる…最後だもんなぁ…あの時とは違う最後…

    隼人は何故かデパートに入り、さっき私が行った場所で足を止める。私はみえないように近づき隼人の様子を見る。店員が近づき隼人に話した。「プレゼントお探しですか?」「はい。彼女に…」隼人の声が聞こえる。プレゼント?私に?…プレゼントなんてもらってない… でも彼女は私やし…

    2008-10-10 07:05:00
  • 136:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人は店員に私の事を聞かれ答えていく。私の事を話す時、優しい表情になる隼人。 こんな顔見たことない… 隼人が選んだのは、指輪。しかもサイズまでちゃんと覚えてた。 …あぁそうか…私、隼人に別れだけ告げてすぐ家を出た。もしかして…隼人はあの時も指輪を?…止めどなく後悔が押し寄せる。なんにも知らずに私はなんてことをしたんだろ…あの時気づけば…

    2008-10-10 07:10:00
  • 137:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人は私へのプレゼントを大事に持ち、走って家へと帰る。私はおいつけないまま、時間差で隼人の家へとたどり着いた。

    2008-10-10 07:14:00
  • 138:

    ◆tRd/QWYm5M

    後悔だらけだよ…なんにもなぁんにも知らずにいた…どれだけ大事にされてたなんて、疑うばかりで隼人の気持ちなんて考えてさえいなかった。


    チャイムを鳴らす指が震える。寒さのせいじゃない、走ったからとかでもない。

    2008-10-10 07:16:00
  • 139:

    ◆tRd/QWYm5M

    その時、チャイムを押す為に伸ばした手に白いものがふわりと当たる。 いくつもいくつも指や髪や服に。ふと空を見上げると、はらはらと粉雪が舞い落ちている。「ホワイトクリスマスだ…」

    2008-10-10 07:19:00
  • 140:

    ◆tRd/QWYm5M

    チャイムを押し、息を飲み込む。ガチャ。ドアがゆっくりと開き隼人が顔を出した。 ドクン…胸が痛む。でも違う。私の今の心境の痛みに変わってる…あぁそうか…ここから先が私の本当の決断なんだ。

    2008-10-10 07:22:00
  • 141:

    ◆tRd/QWYm5M

    「うわっ、雪やん」隼人が雪に気付きそう呟いた。 「うん」私がそう答え、家にあがり隼人の部屋に行く。

    2008-10-10 07:24:00
  • 142:

    ◆tRd/QWYm5M

    私は隼人の部屋の中を記憶にやきつけたくて、何度も何度も見渡した。 古いテレビ、大きなコンポ、たてかけてあるギター、本棚のマンガ、散らかった勉強机。

    2008-10-10 07:26:00
  • 143:

    ◆tRd/QWYm5M

    お母さん…お父さん…ごめんね?…ごめんねこんな娘で…私は、あなた達の子供に生まれてきた事を誇りに思います。 あなた達より先に死んでしまってごめんなさい…大好きです。愛してます。



    でもね…隼人が大事なんです。 私は隼人と永久にもう会う事はないけど、隼人とはもう会えないけど、これでいいんだ…私はもう充分だよ。

    2008-10-10 07:36:00
  • 144:

    ◆tRd/QWYm5M

    決意をして、隼人を見ると隼人は私を見ていた。 さよならを言わなくちゃならないのに…


    「なぁプレゼントがあるねん」隼人が私に話す。…えっ、ちょっと待って…こんな事言っちゃあかん、あかん!未来が変わる…

    2008-10-10 07:40:00
  • 145:

    ◆tRd/QWYm5M

    私は隼人の腕を掴む。言わなくちゃ。言わなくちゃ。「隼人!あのね、別れ…?!」 隼人の唇が私の唇に重なり、一瞬隼人がふわっと透明になってまた色が戻る。 「隼人別れ「いいから…」私の言葉をさえぎって隼人は私に話す。

    2008-10-10 07:43:00
  • 146:

    ◆tRd/QWYm5M

    私は頭を左右にふり、隼人を見ると隼人は優しい笑顔で私を見つめていた。「はい。プレゼント」私の手に置かれた指輪が入った箱。私は隼人に押し返す。「いらない!」目から涙があふれて、こぼれていく。 受け取りたくない、早く言わなくちゃ。 焦る気持ちと込み上げる隼人への気持ち。 「隼人聞いて、隼人の事は大好き。好きやねん…ほんまに…ほんまに「知ってる(笑)」隼人はいじわるそうに笑って私を見る。 そして手を伸ばし私を抱き締めた。 力一杯抱き締めた。 隼人の香りと温もりが私を包む。

    2008-10-10 07:49:00
  • 147:

    ◆tRd/QWYm5M

    ふわっと隼人が光り、一瞬隼人が透明になりまた体の色を戻す。 あかん…消えてまう…隼人が消えてまう!あかん!あかん! 私は隼人の体を引きはなそうと力を入れるけど、隼人の力にはかなわず、隼人は私を強く抱き締めていた。 「俺の事なんか気にしんでいいから、ヒロコはしっかり生きて好きな奴見つけて…子供生んで、おばさんなって、ばあさんなるねん…な?」隼人は私に言い聞かせるように一言一言ゆっくりと話していく。

    2008-10-10 07:56:00
  • 148:

    ◆tRd/QWYm5M

    「やめて…隼人言わなくちゃあかんことあるから…それ以上は「生まれ変わるとかだるいし!上等やっちゅうねん!」 体が固まる。「なんでそれを…」「あほかお前…ヘブンって奴がほんまにおると思ったんかいや(笑)俺に決まってるやろが(笑)直接神様とやらにお願いしたんじゃ。ってか明太子のキーホルダー持っててくれてありがとうな…まじで嬉しかった」

    2008-10-10 08:04:00
  • 149:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人は私の体を離すと、指輪を箱から出していく。「隼人別れ「しつこい!んまにぃ!んまにしつこい!それ以上言うな!な?ってかなんちゅー顔やねんそれ(笑)」隼人は無邪気に笑い私を見る。 ふわっ…隼人の体がさっきより長い時間薄くなり、私は焦って隼人に抱きつこうと手を伸ばすと、隼人が私の手をつかみ指輪を指に通していく。左の薬指に細い指輪が光る。 ……ドクン…胸が痛む。

    私は、コートに入れてある指輪を急いで出す。「プレゼントあるねん」隼人に話してる時にまた、隼人が透明になる。私を握る隼人の肌の色が透けて私の手が見えた。

    2008-10-10 08:13:00
  • 150:

    ◆tRd/QWYm5M

    「やばっ、あんま時間ないわ(笑)」隼人が笑う。 私は慌て指輪を出して隼人の指に指輪を通した。 「サンキュー!」隼人は無邪気に笑う。私は隼人に抱きつくと隼人は優しく背中をさする。「ヒロコ?俺、ずっとお前の事好きやったで?」隼人が話す度に体温が無くなっていくのが痛い位に分かっていく。肌の感触も…「私も…好き…ずっとずっと「あほか(笑)お前はちゃんと好きな奴見つけなさい(笑)」「いややぁ…」隼人のぬくもりがだんだん分からなくなっていく…怖くなって強く抱き締める。でもだんだん消えていくのがわかる。

    2008-10-10 08:20:00
  • 151:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人はぎゅううっと私を抱き締めた。


    「愛してる…愛してるからな?…じゃあな…ちゃんと生きろよ?」

    2008-10-10 08:22:00
  • 152:

    ◆tRd/QWYm5M

    「はい」


    ほんとはこんな事言いたくなかった。言いたいわけない。言いたくないよ……でも言わなきゃ後悔する気がした…

    2008-10-10 08:24:00
  • 153:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人の体が強く光る。隼人は体を離し私を優しく笑顔で見つめ、キスをした。


    そして粉雪のようにふわっと光りと共に消えていった。

    2008-10-10 08:26:00
  • 154:

    ◆tRd/QWYm5M

    五話タイムマシン

    2008-10-10 08:27:00
  • 155:

    ◆tRd/QWYm5M

    更新終わります。書き込みありがとうございます!

    2008-10-10 08:35:00
  • 156:

    名無しさん

    やばいめっちゃ泣きそう…更新ありがとう?

    2008-10-10 08:42:00
  • 157:

    名無しさん

    泣けますね?
    更新楽しみに待ってます

    2008-10-10 13:23:00
  • 158:

    ◆tRd/QWYm5M

    ふわっ。私の体が少しだけ浮いていく。体が透き通りながら。 何これ…不思議と恐怖感はなくなんだかとても懐かしいような感覚…

    「私、隼人と別れる!」下の方から自分の声がして振り向くと16歳の私がいる。コートを着たままドアの前に立ち隼人を見てる。…隼人… ふわっ 体がさらに浮き天井から屋根の上へとするりとすり抜けていく。どこへ向かってるんだろうという不安は何故か全くなくて、私は帰り道を何故か分かっていた。

    2008-10-10 13:49:00
  • 159:

    ◆tRd/QWYm5M

    …ふと気になり、私は指を見る。 左手の薬指には、さっき確かに隼人がはめてくれた指輪なんてない。 あぁそうか…未来は変わって…えっ?変わってない?確か、変わってなかった!変わってなんてなかった!そうだよ!だって…今わたし別れようって隼人に言ってたやん!

    2008-10-10 13:54:00
  • 160:

    ◆tRd/QWYm5M

    キラキラとどんどん体が光りだし、次第に光りが強くなっていく。まぶたを閉じないように私はこの景色をできる限り見ていたけど、結局まぶたを閉じてしまった。



    パチッ。まぶたをゆっくりと開けると同時に体中が重くて痛みが走る。

    2008-10-10 13:59:00
  • 161:

    ◆tRd/QWYm5M

    「ヒ…ロコ?…ヒロコ!お父さん!ヒロコが!ヒロコが目を覚ましたわよ!」 泣きながら私の手をきゅっと握る母の手はとても温かくて、小さくてずっと握っていた事が分かる。 父も泣きながら私を見て笑顔になり母の手の上に手を重ねる。 体はひどく痛むし、呼吸する器具のせいで話せない。

    2008-10-10 14:05:00
  • 162:

    ◆tRd/QWYm5M

    電車の事故を聞いたのは、三日後だった。私の車両に乗っていた他の人はみんな即死と圧迫死だったらしく私は奇跡的に助かったと言われた。体は自由に動かないし夜中痛みのせいで目が覚めてしまう。 でも、不思議と辛くなかった。それよりも生きているという事を1分過ぎる度にありがたい事だと分かる。

    2008-10-10 14:12:00
  • 163:

    ◆tRd/QWYm5M

    目覚めてから一週間後



    私はこの痛みにもなれ呼吸器具をはずし、いつものようにベッドでテレビを見ていた。どのチャンネルも事故の事が流れている。テレビ局の人が母に私に取材をしたいと直接会いに来たらしいが、母は断っていた。母からは直接言われなくて、私の担当の看護婦さんが教えてくれた。

    2008-10-10 14:35:00
  • 164:

    ◆tRd/QWYm5M

    窓から見える外の景色を見る。青く深い色をした空が見える。私は、まだ入院しなくちゃならないし毎日毎日ベッドの上での生活。 個室の病室にはたくさんの花が届き、それを見ていく。母は一時間前に荷物を取りに私の家に行きそろそろ戻る頃だろう。

    2008-10-10 14:39:00
  • 165:

    ◆tRd/QWYm5M

    ガチャ。ドアがゆっくりと開き視線を向ける。ドアは3センチだけ空いてそれ以上は開かない。…??…「お母さん?」私がドアに視線を向けたままそう話すと。 ひょい! 隙間から明太子だけが見える。…………?!……………「ヒロコッ」明太子が上下に動き女の声がした。

    2008-10-10 14:43:00
  • 166:

    ◆tRd/QWYm5M

    ドアは一気に開き、リエが笑いながら入ってくる。「リエ?!」「久しぶり!!」リエは駆け寄ってきて私に抱きつく。リエは香水の香りがして柔らかい髪が頬に触れる。「びっくりするやん!明太子!」「これやろ?!この前博多に旅行行った時に買ってん(笑)懐かしくてついね(笑)しかもキーホルダーじゃなくてストラップになってた(笑)しかも、手と足もついてます!」わたしに嬉しそうにストラップを見せてくる。

    2008-10-10 14:48:00
  • 167:

    ◆tRd/QWYm5M

    私とリエは、ぷっと笑う。「あっ!私まだ持ってるでぇそのキーホルダー」「はぁ?まだ持ってるん?!」私はベッドの隣にある棚を見る。確かお母さんが、棚に入れてあるとか言ってたもん。「棚あけて?そん中にあるから」「はいはい。あっ、これお見舞い!」リエは私に雑誌やらマンガを退屈しないように大量に買ってきたみたいで机の上に置いた。「わぁ、ありがとう!ってかなんで知ってたん?お母さんから聞いたん?入院しとう事」リエに話すと、リエの笑顔が少し固まりリエはうなずく。何か隠してる…直感でわかった。

    2008-10-10 14:54:00
  • 168:

    ◆tRd/QWYm5M

    隼人の事は母は言わなかった。絶対知ってたはず。多分私が精神状態が落ち着いてから話そうとしてるのは、なんとなく勘づいたけど私から母に聞きにくいところもあったから。きっとリエも知ってるはずだ。連絡がくるはずだもんお通夜とかあるし…

    2008-10-10 14:57:00
  • 169:

    ◆tRd/QWYm5M

    リエは棚を開いて中を見ていく。何かを見つけたのかリエの体が動かなくなり表情が一瞬ゆがむ。「リエ?どないしたん?あった?」私が話すとリエは棚の戸をしめる。手には何も持ってない。「リエ?どないしたん?なかった?」「棚の中とか見た?」リエに聞かれ私は頭を左右にふる。「見てないで?だってまだ動けへんし…今日からトイレに行ったりできるようになったんよ」リエは無理やり笑顔を私に見せる。でも口がくいっと下がったりしてる。

    2008-10-10 15:03:00
  • 170:

    ◆tRd/QWYm5M

    「何よ?!棚に何があるん?!事故で携帯とかつぶれたん知ってるし(笑)ってか無理やり笑顔つくっとんバレバレやで!私な事故ん時寝てたから全く記憶ないしカバンに血とかついとんやったら、全然きにせんから言ってや?」

    2008-10-10 15:06:00
  • 171:

    ◆tRd/QWYm5M

    リエに笑って話すと、リエの目がみるみるうちに涙目になりリエは背中を向けた。「リエ?どーしたん?リエ?」リエは肩を震わせしゃがみこんでしまった。「無理やわ…隠してられへん…」「何がよ?どうしたん?」リエは体をこちらにゆっくり向けて私を抱き締める。

    2008-10-10 15:10:00
  • 172:

    ◆tRd/QWYm5M

    肩を震わせ声を圧し殺しながら泣いてるリエ。 「何?どないしたん?言わな分からんって…「隼人が死んだ…おばさんにはまだヒロコの精神状態が落ち着いてないからっていわれて」

    2008-10-10 15:13:00
  • 173:

    ◆tRd/QWYm5M

    ドクン・・・・



    分かっていた事なのに、いざ聞くとちょっと衝撃が走る…「知ってた」冷静に答えるとリエが体を離し私を見る。「知ってた…?…でも、おばさんは…「同じ電車に乗ってたんやろ?お母さんからは聞いてないけど知ってた」リエを見るとリエの目は丸く開き涙がぽたりと落ちる。「見たの?」「え?隼人が電車に乗ってた事?」リエがうなずく。「見てないけど…知ってたよ?同じ車両とかちゃうかったやろうし…」「ほんまに見てないん?」リエの声は震えていた。 「うん見てないで?なんで?」

    2008-10-10 15:19:00
  • 174:

    ◆tRd/QWYm5M

    「ヒロコが見つかった時、なんでヒロコだけが助かったか分かる?」「え?なんで?全く知らんってか、ほんまに事故が起きてた時寝てたからなぁ…」



    「隼人がヒロコの体を守るように抱き締めてたんだよ?隼人がいなかったらヒロコが死んでたんだよ…」

    2008-10-10 15:22:00
  • 175:

    ◆tRd/QWYm5M

    ドクン・・・ドクン・・・



    視線をリエからそらす。「ごめん…こんな時に思い出させるような事言って…」リエが謝る。私は頭を左右にふりリエにゆっくり目を向けた。…隼人がなんで私を抱き締めてたの…??……どういう事?

    2008-10-10 15:27:00
  • 176:

    ◆tRd/QWYm5M



    未来が…変わった…?


    2008-10-10 15:27:00
  • 177:

    ◆tRd/QWYm5M

    「ヒロコあの日、隼人と一緒に電車乗ったやろ?電話くれたやん私に。今から地元帰るって」リエが話した。「どういう事?」「結婚式がほんまは三日前に行われるはずやったやん」リエのいってる意味が分からない…でも、不思議とパニックにもならない…「リエ…棚ん中に何があった?」リエに話すとリエは棚の戸をゆっくりと開けて中から何かをつかみ、私の目の前で手のひらにのった指輪を見せてきた。

    2008-10-10 15:33:00
  • 178:

    ◆tRd/QWYm5M

    リエの手のひらに乗っていたものは私があの時隼人から指にはめてもらった指輪。



    未来が変わったんだ…

    2008-10-10 15:35:00
  • 179:

    ◆tRd/QWYm5M

    「私エステの仕事…「知ってるで?隼人が駅まで迎えに来てくれたとか言ってたもん。新居はまだ見つけてないけど式だけ挙げようって言ってたやん」 リエの話しを聞いて、理解できた。未来は変わってなくて私と隼人の未来が変わったんだ…それ以外は何も変わってない。

    2008-10-10 15:38:00
  • 180:

    ◆tRd/QWYm5M

    別れずにあのまま私と隼人は付き合ってたんだ…でも、消えていく時に私は見た…別れるって言った自分の姿を…でもこの指輪があるって事は別れてなんてない。 リエに聞くとリエは一度も2人は別れた事ないよ?と不思議な顔で言われた。

    2008-10-10 15:42:00
  • 181:

    ◆tRd/QWYm5M





    それから更に一ヶ月が過ぎ私の退院の日が訪れた。両親が迎えに来てくれて、私は車に乗り自分の住むマンションの前でおろしてもらった。入院してる間こまめに母が私の部屋を掃除したり空気を入れ換えたりしてくれたみたいで、ドアをあけた時、部屋が綺麗になっていた。

    2008-10-10 15:45:00
  • 182:

    ◆tRd/QWYm5M

    自分の部屋なのに、なんだか一年ぶりな気がする。実際は2ヶ月なのに…部屋にある物は何一つ変わっていない。私は部屋の奥へと足を進めていく。太陽の光が部屋にさしこんでいるけど相変わらず日当たりが悪くて薄暗い。

    2008-10-10 15:49:00
  • 183:

    ◆tRd/QWYm5M

    隣の部屋に入り私は思わず口に手をあて、膝がガクンとしてその場にしゃがみ込んだ。視界に入ったのは真っ白なウェディングドレス。

    2008-10-10 15:53:00
  • 184:

    ◆tRd/QWYm5M

    何一つ変わっていないのに、すべてを物語るかのようにウェディングドレスが静かに太陽の光に照らされていた。

    【ヒロコ?愛してる…】隼人の声が甦る。抱き締めながら最後に私に話したあの声…【生まれ変わりなんて上等じゃ】笑いながら私に言った。本当はそんなの嫌に決まってるよ…

    2008-10-10 15:58:00
  • 185:

    ◆tRd/QWYm5M

    【お前は好きな奴ちゃんと見つけて…結婚して子供生め】自分の生まれ変わりよりも私の未来を強く強く望んだくせに…それだけ私を強く愛してくれたくせに…最後まで強がって…ばかやんか。でも…隼人なら言うよね。隼人だから言うよね…



    とめどなく溢れる涙。母の前では見せなかった涙。隼人の死を母から聞いても泣かなかった。一度も泣かなかった。

    2008-10-10 16:03:00
  • 186:

    ◆tRd/QWYm5M

    私は自分の足元に何かある事に気付き手探りで触り掴んだ。目の前に手を持っていきゆっくりと指を開くとそこには、明太子のキーホルダー。 ぶっさいくな顔の明太子。私はそれを抱き締めながら声を出し泣き叫んだ。



    思い出がよみがえりすごい早さで光景が変わっていく。━━初めてぶつかった入学式の日━━声をかけられた時━━腕をつかまれた時━━歌う姿━━ふざけた顔━━照れると真っ赤になるほっぺ━━━怒った時口が悪くなるんだっけ━━窓から私を見た時の目━━体育祭で走る姿━━━クリスマスの日私の事を話す優しい顔━━━

    2008-10-10 16:11:00
  • 187:

    ◆tRd/QWYm5M

    もぅ…会えない…隼人には永久に会えない。会えないんだよね…



    私は、隼人に愛されていた。それが充分過ぎるくらい分かった。ちゃんと幸せになるって約束した。後悔しないように約束した… 隼人は天国にもいない。生まれ変わりがない事が今はどういう事かは分からないけどきっと、消えちゃったんだ…隼人はそれを望んだ。

    2008-10-10 16:15:00
  • 188:

    ◆tRd/QWYm5M

    私はゆっくり立ち上がり、窓を開く。


    ふわっ。一瞬強い風が吹き髪を揺らす。ほのかに隼人の香りがしたような気がした。

    2008-10-10 16:17:00
  • 189:

    ◆tRd/QWYm5M




    完結

    2008-10-10 16:20:00
  • 190:

    ◆tRd/QWYm5M

    ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。無事完結しました。次回作は、まだ作成途中なので作品名が決まり次第作品名を載せます。よかったら感想も書き込みお願いします!

    2008-10-10 16:23:00
  • 191:

    名無しさん

    完結おめでう??
    スムーズな更新ありがとうございましたm(_ _)m前作に続き今回の作品もハマりました!ベタなハッピーエンドにならない主さんの小説は大好きですね??寂しさが残る感じが良いです?
    次の作品も楽しみ待ってます。。

    2008-10-10 16:50:00
  • 192:

    ◆tRd/QWYm5M

    書き込みありがとうございました。

    次回作品は
    心霊 です。

    2008-10-10 17:40:00
  • 193:

    名無しさん

    あかん。めっちゃ泣いてもうた。仕事場で読んだからめっちゃ我慢したけど泣いてもた。せつないけどほんまによかった。こうゆうのを愛ってゆうんやって思った。
    主さんお疲れ様です☆次回作も頑張ってください!

    2008-10-10 19:18:00
  • 194:

    ◆tRd/QWYm5M

    おまけ☆


    気分転換におまけというか勝手な自己満で書きます。スルーしてくれて構わないので読む方だけ読んでください。 もし、博多に行く機会があったらお土産屋さんで、明太子ストラップが販売されているので、探してみてください。 見た目はウインナーみたいな大きさで、ぶさいくな顔に黒い手足がついてます(笑) 隼人からお土産にもらったんですが、かなり笑ってしまいます。隼人は「センス悪いやろ」と自慢気に言ってましたがセンス悪すぎる。 ちなみに作品に出てくる隼人のモデルにした人です。明太子ストラップ見つけた方は幸運が訪れます。(多分) 以上、つまらないおまけでした(笑) 心霊は少しずつ更新していきます。書き込みして下さった方ありがとうございます。

    2008-10-11 06:56:00
  • 195:

    名無しさん

    博多に行く機会が有れば明太子ストラップ探してみたいと思います??
    3作目の【心霊】読ませてもらってます(^-^)v

    2008-10-11 15:21:00
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
タイムマシンを見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。