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1:
◆tRd/QWYm5M
前作【人造人間】【タイムマシン】を書いていた者です。よろしくお願いいたします。
2008-10-10 17:44:00 -
2:
◆tRd/QWYm5M
※最初に
この作品はフィクションですが、何かしら映画やマンガの影響で何かの作品とかぶるところがあるとは思いますが、オリジナルです。 素人ですので、誤字、脱字があるとは思いますが、温かい気持ちで読んでくださればありがたいです。 では完結までお付き合いください。 著者より。2008-10-10 17:49:00 -
3:
◆tRd/QWYm5M
心…体を抜けてもさ迷い続け 霊…時に凶にもなり、時に幸ともなりうる。 姿を思うがままに変え、自由に飛び回り……この地にさ迷う…
2008-10-10 17:52:00 -
4:
◆tRd/QWYm5M
今宵もあなたの背後に……
2008-10-10 17:53:00 -
5:
◆tRd/QWYm5M
1霊 冬月礼子
2008-10-10 17:54:00 -
6:
◆tRd/QWYm5M
母のお腹の中の記憶をさらに遡ると、自分の前世の最期の瞬間が頭の中で映像になり映し出される。音はなく、モノクロで誰かに刺されたのか私は地面に倒れその視界に映るのは馬が走り去る姿と土埃。 そしてまた、母のお腹の中の映像がうつる。暖かくてせまくて、でも空間はあって、桃色で。
2008-10-10 17:59:00 -
7:
名無しさん
三作目も楽しみにしてます(^^ゞ 頑張って下さい!
2008-10-10 18:01:00 -
8:
名無しさん
タイトルからして良さげですね?頑張って!!!
2008-10-10 18:53:00 -
9:
◆tRd/QWYm5M
私は幼い頃から不思議な体験をよくしてきた。記憶に残っている不思議な体験は、確か幼稚園に行った時あきらかにみんなとは違う体操着を着てる男の子がいて、私は毎日その子を見ていた。会話はなぜかしなくてただぼーっと見ているだけ。 あとは、家に知らない人がよくいる。煙みたいな形をした人と真っ黒な影のような人、1mはある顔だけの人、あとは普通の色をした人。 これが霊だと気づいたのは小学生の頃。テレビで心霊番組が流行り、心霊写真や霊体験が雑誌やらテレビでよく特集されクラスメイトが学校で話題にしていた。
2008-10-10 19:08:00 -
10:
◆tRd/QWYm5M
夏休みに肝試しに誘われたけど、私は断ったりもした。そんなもの行かなくても普段から見える。でも、馬鹿にされそうだしなんとなく言わなかった。 血まみれの霊とかは見たこともなければ、金縛りにあった事もない。ただ人の顔を見ていたらその人の体の周りにさまざまな色が現れ、さらに見ると顔の前に顔が現れ、じぃっと見ると映像が見えどこからか声がして…その人の周りに人が見えたりする。自分が特別だなんて思った事もなければ、別に誰かに話す必要もないだろうという答えが出て私は16年間過ごしてきた。
2008-10-10 19:13:00 -
11:
◆tRd/QWYm5M
人からはこう言われる 【綺麗で天狗】友達なんて呼べる子なんていない。霊視したくなくても目をじぃーっと見れば見えてしまう。本音やその人の過去が。だからあまり人と関わるのが苦手なだけ。話さないから静か。でも本当は寂しいし誰かに分かってもらいたい。 ある意味浮遊霊と私は似てる。天狗になんてなってないのに…
私の名前は冬月礼子。16歳。恋愛は片思いで終わる。本当は恋愛とかしたいけど、怖くてできない。普通の女の子みたいに何も見えなくなりたい…2008-10-11 03:44:00 -
12:
◆tRd/QWYm5M
自分の霊感が特別な意味を持ち、100年に1人の存在だなんて私は知る事さえなかった。この妙な力が自分が思っている以上に凄いという事も…自己紹介はここまで…さぁ物語りの始まり。
2008-10-11 03:47:00 -
13:
◆tRd/QWYm5M
2霊 さ迷い続けた100年の恋人
2008-10-11 03:51:00 -
14:
◆tRd/QWYm5M
「行ってきます」家を出る。セーラー服が私が通う学校の制服。電車のつり革をつかむとお腹がちらっと見えるのが嫌…腰まである黒く長い髪が自慢。まだ履きなれないローファーで小走り。私の地元はとても都会とは言えないけど、私の家は閑静な住宅街にあり、あとは田んぼだらけ。
2008-10-11 03:57:00 -
15:
◆tRd/QWYm5M
バス停にたどり着くと丁度バスが到着。バス停に並ぶ人の後ろに並びバスに乗る。いつもこの時間は座席に座れないくらい学生やサラリーマン、OLが乗っている。
2008-10-11 03:59:00 -
16:
◆tRd/QWYm5M
バスは駅に着き、いつもの電車に乗る。電車はラッシュ時でぎゅうぎゅうの車内を耐える事20分。人を掻き分けながら電車から降りる。ホームに並んでた人が電車に乗り、電車から降りた人がみんな階段を上っていく。今行っても階段は混んでるからベンチにでも座って待っていよう。
2008-10-11 04:22:00 -
17:
◆tRd/QWYm5M
ベンチにはお婆さんが座っていて、私は1つ椅子をはさみ、座る。「私の姿が見えるのかい?」ベンチに座るお婆さんが話し、私は視線を向けるとお婆さんは私を見ていた。
2008-10-11 04:31:00 -
18:
◆tRd/QWYm5M
見えるのかい?って…あぁこの人も霊か…霊の声が聞こえ出したのは15歳の時。ちょうど一年前くらい。霊にも色々で方言を話す霊もいる。考える脳がないのに怒ったり笑ったり言い返してきたり、ちゃんと感情があるんだよね… お婆さんと目が合うとお婆さんは視線を前に向ける。「有難いねぇ…もうずっと私はここにいるんだよ…誰も私の姿に気づいてくれる人なんていなくてね…あんた名前は?」「礼子です…お婆さんはここで何してるの?死んだ事分かってないの?」大抵霊は自分がどうやって亡くなったか分かっていない。姿や形を自由に変える事ができる事さえ分かっていない。
2008-10-11 04:37:00 -
19:
◆tRd/QWYm5M
「分かってるよ?ちゃんと分かってる。でもねぇ、動けないんだよこの場所から。もうかれこれ100年はいるんだここに…私は他の霊達みたいに誰かの背中に乗っかるつもりはないからねぇ…こぉんな婆さんが背中についちゃ迷惑だろうし…お前さんの後ろにも三人くらいついてるねぇ…重くないのかい?お前さん達?この子はやめときなさい痛い目あうよ?」お婆さんが私に話すと背中が急に軽くなった。私は自分を霊視しようとしないから分からない。鏡さえ見るのがしんどくなるから。
2008-10-11 04:45:00 -
20:
◆tRd/QWYm5M
霊視は集中しなきゃならないし、霊視すると自分の中に霊がはいってきて抜けると全身に寒気が走りどっと疲れる。普段霊視しなくても見える霊はそんなにしんどくないけど会話するのは体がどっと疲れてしまうから声が聞こえても無視したりする。
2008-10-11 04:49:00 -
21:
◆tRd/QWYm5M
「お婆さんは、ここで何してるの?」「私はね、ここで待ち合わせをしてるんだよ」「待ち合わせ?その人は来るの?」お婆さんに話すとお婆さんは優しく微笑んだ。「あぁ来るさ…約束したんだから」「約束?ここで?」「昔はここは公園だったんだよ…」「公園?」お婆さんは私に話してくれた。昔この場所は当時のデートする場所によく恋人達が使っていたと…「お前さん?そろそろ行きなさい。学校だろ?」お婆さんに言われ時計を見て慌てて立ち上がる。「お婆さん帰りにまた来るからね」お婆さんは私の話しを聞き姿を消した。
2008-10-11 05:17:00 -
22:
◆tRd/QWYm5M
学校が終わるまで私はお婆さんの事を考えていた。待ち合わせって誰としてたんだろう…やっぱ彼氏とかかなぁ。どんな約束したんだろ…ちゃんと待ってくれてるんかな…学校が終わり急いで駅に向かう。駅に着き改札を抜けて、人と人の間を走ってぬけ、階段をかけおりベンチを見るとベンチにはお婆さんじゃない人が座っている。霊ではなく、電車を待ってる人だ…
2008-10-11 05:26:00 -
23:
◆tRd/QWYm5M
お婆さんの姿は見当たらない。ベンチを見ても、ホームを見てもどこにも居ない。待ち合わせの人と会えたのかな… 「ここにおるよ」階段から声がして私は階段を見ると、お婆さんが階段に立っている。「よかった」私がそう話すとお婆さんは笑った。「変な子だね…普通怖がるだろ?」「なんにも怖くないのに?」「いたずら好きな霊がいるからね仕方ないね…お前さんは人一倍力があるみたいだね… 霊界使いさんかい?」「霊界使い?」私が聞き返すとお婆さんは驚いた。「霊界遣いじゃないのかい?」私はうなずくと、お婆さんがまた笑う。「魂を霊界へと導く方の事だよ。お前さんはそんじょそこらの霊界使いとは力が違うよ修行しなさいな」「修行?修行ってどこで?」「おやまぁ、お前さんほんとになぁんにも知らないのだね…私が生きてた頃とは時代が変わりすぎたのかな…背中に乗ってもいいかい?案内したげよう」お婆さんはそう話すと、私はうなずきお婆さんの姿が消えた。
2008-10-11 05:46:00 -
24:
◆tRd/QWYm5M
更新終わります。
2008-10-11 05:47:00 -
25:
◆tRd/QWYm5M
時間があるので更新します。
2008-10-11 06:19:00 -
26:
◆tRd/QWYm5M
背中が少し温かい。私はお婆さんに言われるがまま歩いていく。階段をのぼり駅を出て、通学路とは違う道を歩き続けると一軒の古い家の前にたどり着いた。昔の日本家屋。門構えがすごくて松の木が見える。「ここだよ」お婆さんの声がした。…ここ?…私はチャイムを鳴らすとインターフォンからこえがする。
2008-10-11 06:23:00 -
27:
名無しさん
おもろい?
2008-10-11 11:20:00 -
28:
◆tRd/QWYm5M
「ここからは入れないからお前さん行ってきなさいな。決壊がはってあるからねここで待っておくから」お婆さんがそう話すとすぐ背中がすーっと軽くなった。 『どちら様?』インターフォンからそう言われる。「えっあの…霊界遣いの修行に…『入ってきなさい』私の話しを最後まで聞かずにそう言われた。私はお婆さんの姿を探すけど何処にもお婆さんの姿はなく、異様な空気が家の周りに漂っている事に気づく。 …何この空気…霊がたくさんいる場所は重たい空気が漂っているけど、それとは違う空気。集中して見ようとしても、何故か何も見えない。
2008-10-11 14:58:00 -
29:
名無しさん
更新ありがとう☆★
2008-10-11 14:59:00 -
30:
◆tRd/QWYm5M
大きな木の門から中に足を踏み入れる。立派な庭が広がり、小さな池がある。地面に埋められた石が家の扉まで続いていて、石を踏む度に変な感覚が足裏から頭の先へと走っていく感じがした。 何…この感覚…
2008-10-11 15:03:00 -
31:
◆tRd/QWYm5M
引き戸を開けると、広い玄関があり戸をゆっくりと閉める。靴だなの上には子供の石像が置かれてある。廊下は広くゆったりしている。 「すいません」私は緊張しながらそう話すと、廊下の一番手前のガラス戸がゆっくりと開き綺麗な女の人が私の前まで歩いてくると正座をして前に指をつけ、頭をいきなり下げた。
2008-10-11 15:10:00 -
32:
◆tRd/QWYm5M
「お待ちしておりました。先生は中にいらっしゃいます。どうぞ御上がり下さい」頭をゆっくりと上げ、スリッパを私の前にすっと置くと女の人はゆっくり立ち上がる。…お待ちしてましたって私を待ってたの?…「あの…私来る事なんて言ってなかったのですが…」「先生は随分前からご存知でしたよ。さぁ中へ」女の人はそれだけ告げて廊下を歩いて行く。 …随分前から…知っていた?… 疑問を残しながら後を着いていく。ガチャ。女の人がドアをゆっくり開ける。「先生、いらっしゃいました」「入りなさい」部屋の中から女性の声がすると私だけ部屋の中へと入りドアが閉められた。
2008-10-11 15:21:00 -
33:
◆tRd/QWYm5M
部屋の中は10畳くらいで、占いでもしてるのだろうか机が1つあり、椅子が2つ。丸い水晶玉が置かれていてタロットや使い古した本がある。 窓からは庭が見え、先生と呼ばれる私の母と同じくらいの年頃の小柄な女の人が椅子に座っていた。「さぁ座りなさい」優しく微笑み先生は私を見ている。普通のおばさんにしか見えない。占いの先生だから先生?と呼ばれているのかな。
2008-10-11 15:38:00 -
34:
◆tRd/QWYm5M
私は向かいの椅子に座り、カバンを床に置いて先生を見る。「あなたが来る事は知ってたけど、まぁまぁ綺麗なお嬢さんだこと。礼子と呼ばせてね」先生はにこやかに私の名前を言ったけど、私名前を言ってないのになんで? 「名前なんで知ってるんですか?」「あら、守護霊様が随分前に挨拶しにいらっしゃったのよ?聞いてない?」「守護霊を私は見てないので…」先生はゆっくりと瞼を閉じ静かになる。私は先生を見ていると、先生の体の周りが金色に光だした。霊視だ…しかも今まで見た中でも比べ物にならない強い光だ。霊はこの光を欲しがるとテレビで見た事がある。
2008-10-11 15:46:00 -
35:
◆tRd/QWYm5M
先生はゆっくり瞼を開くと、また穏やかな表情に戻った。「礼子は、自分の守護霊を知ってる?」「自分の霊視は疲れるのでしないです」「そうね。修行もなにもしてないものね。コントロールすらできないでいるでしょ?礼子を守ってるお方はね、霊界の神。レイカイシンサマよ直直に礼子に着いて守ってらっしゃる」 「霊界神…様?」「えぇ、霊界神様。そうね、その様子じゃ何にも知らずにいるのね。私は霊界神様を初めて見たけど、人間に着く事は異例だと聞いた事がある。人間界と霊界は繋がっているの。動物も植物も元々は人間界に繋がるからね…」
2008-10-11 15:55:00 -
36:
◆tRd/QWYm5M
更新終わります。あまり更新できなくてすいません。書き込みありがとうございます。
2008-10-11 16:13:00 -
37:
◆tRd/QWYm5M
「霊界の神様って事ですか?」「霊界は魂の受け皿みたいな世界でね、天界、地界、生界の下に霊界があって魂を誘導していくの。霊界までは魂の中にまだ感情が残っていて、霊界で浄化して無になり天国と言われる天界へ導き、地界というのは地獄で感情を持ったまま導きを受け、常に痛みを受けながら何度も死を味わい霊界に戻され、生まれ変わりを待ち生界へと誘導される。天界に導かれたら生まれ変わらずに、天界にいれるのよ。私達今、生きてるもの全て地界にいたものなの。ただし、霊界使いは違うの。人間界と霊界への誘導をする大事な使い。私は霊界使いの修行を教えているけど、世界には霊界使いが数えきれない位いて、先生もたくさんいる。あなたの見た前世は霊が見せ続けた映像でしかなく、あなたはこの人間界で初めて生まれてきた方。地球が生まれる前からずっと、霊界にいらっしゃった方なの」
2008-10-11 16:59:00 -
38:
◆tRd/QWYm5M
「あなたは霊界神様の一番弟子だった霊界使い。100年に1人…いえそれ以上の力を持ってる 修行をつめば一気にこの地球上の霊を霊界へと導ける力を持ってる。霊界神様がついてらっしゃるのがその証…ようこそ人間界へ」 先生は私に頭を下げた。
2008-10-11 17:05:00 -
39:
◆tRd/QWYm5M
「そんな事ってあるんですか?」どう考えても自分がそんな力があるようには思えない…
先生は顔をあげると、机の上に置いてある水晶玉を私の前に置く。「持ってみなさい」言われるがまま私は水晶玉をゆっくりと両手で持つ。思った以上に思い。
手のひらに乗っけた水晶玉をじっと見るけど、何も起こらないし何も見えない。「あの…どうなるんですか?」私は先生に尋ねた時、水晶玉の中からひび割れが起こりいきなり、真っ二つに割れ机の上にゴロンと割れた部分が乗った。2008-10-11 17:11:00 -
40:
◆tRd/QWYm5M
・・・えっ・・・ あまりに突然の事で体が固まる。「すっすいません!どっどうしよ…割れたぁ!」焦って立ち上がってしまう。「この石は強い力を持った石でね?あなたは持つだけで割れたのよ。石には力があり、その石より強い力を持つ石を近づけるだけで今みたいに割れたりするの。霊界使いの子は、みんなこの石を割る事ができるけど…こんなに早くは割れないわ」
2008-10-11 17:16:00 -
41:
◆tRd/QWYm5M
机の上にある割れた水晶玉を見る。霊界使いという言葉なんて聞いた事さえなかったし、天界とか生界とかも知らない。自分の前世は幼い頃に見たあの映像だとばかり思っていた。
「明日から修行をしましょう。今日はもうお帰りなさい」2008-10-12 03:58:00 -
42:
◆tRd/QWYm5M
「明日もお待ちしています」女の人に家を出る時に言われ、頭を下げた。門を出ると背中が温かくなる。お婆さんが乗ったのだろう。「どうだった?」「霊界神様がついてるって言われた。明日から修行だって」「霊界神様は私達には見えないからね…そうかお前さんには霊界神様が…どうりで…凄い方に守られているんだね…お前さんのオーラは素晴らしく美しいからね、立派な霊界使いになるんだよ?」お婆さんと話していると何故か優しい気持ちになる。
2008-10-12 04:08:00 -
43:
◆tRd/QWYm5M
駅のホームにつくと背中が軽くなり、お婆さんが姿を現した。「あぁ、また今日もあの人は来なかった…」お婆さんの顔が悲しい表情に変わる。「お婆さんは誰を待ってるの?」「太郎さんだよ」「彼氏?」「あぁ…そうとも言うね。初恋の人で、ハンサムで…気持ちは通じ合っていたのに…親の決めた人と私は結婚してね」「なんで?」「なんでって…太郎さんもそうしたからさ…別れる時ここでいつか会うって約束したんだよ」「いつかって?」「いつかはいつかさ…」
2008-10-12 04:15:00 -
44:
◆tRd/QWYm5M
あまり遅くなると親が心配するので、お婆さんとも別れ私は1人電車に乗り込んだ。外はすっかり暗くなり月が見えている。 電車の中で今日あった出来事を振り替えってみたが疑問だらけだった。霊界使いなんてピンとこないし、霊界神様が守護霊だなんて言葉もピンとこない。
2008-10-12 04:32:00 -
45:
◆tRd/QWYm5M
明日から修行が始まると言われたけど、修行って何?お経とかかな…自分の力が特別だなんて思った事さえないよ? お母さんに話したところで笑われるだろうなぁ。
電車から降り駅前にあるバスターミナルに行くと、既に何人かがバスを待つために並んでいて、その中にあきらか体の色が薄い人を見つけた。年は中年で細く、男性。ただぼーっと立っている。2008-10-12 04:38:00 -
46:
◆tRd/QWYm5M
霊は『足が無い』と何かで知ったが、足はちゃんとある。もちろん全部の霊がそういうのではなくて、でもほとんどの霊にはちゃんと『足』はある。私は立ち止まり男の霊を見ていると、バスがプシューっと音をたてゆっくりと停まる。私が乗る予定のバスだけど何故か行きたくなかった。並んでる人は男の霊に気づく様子はなく、並んでる一番前の人がバスに乗り込むと一歩前に進んで行くが男は立ったまま。
2008-10-12 05:09:00 -
47:
◆tRd/QWYm5M
また次の人がバスに乗り込むと、また並んでる人が一歩足を進める。男の霊の前には20代の女の人が立っている。私は、立ちどまったまま男の霊をじっと見ていたら、男の霊がゆっくり目の前に立っている女の人の背中に乗り、女の人はそれに気づく様子もなくバスに乗り込んだ。
2008-10-12 05:13:00 -
48:
◆tRd/QWYm5M
私は結局バスには乗れないまま、バスはゆっくりと走り去ってしまい、私は一番前に立つ。バスターミナルには人がちらほらいる。「あー最近肩がこるんだよな」背後で声がして視線を向けると、スーツを着た男性が2人私の後ろを通りすぎる。1人が頭を横に曲げた方の肩をあげる後ろで、霊が背中に乗っていた。いわば『おんぶ』。 視線を他へと向けると人がいて、背中に霊が乗っている。
2008-10-12 05:29:00 -
49:
◆tRd/QWYm5M
家に帰る間、さまざまな霊を見た。今までと違い明らかに今まで以上の数。家に帰ってからも私の部屋以外の場所で霊がいる。
翌日、いつもより一時間前に私はお婆さんがいる駅に着くと真っ先にホームにあるベンチまでたどり着いた。早朝すぎて電車も人が少なくて座れたけど、霊がうじゃうじゃいて気分が悪くなってしまった…ベンチにはお婆さんが座っている。2008-10-12 06:40:00 -
50:
◆tRd/QWYm5M
「お婆さんおはよ」ベンチに座りお婆さんを見ると、お婆さんは私に視線を向け微笑む。 なんだか落ち着くなぁ… 「顔色があまりよくないね?」「霊がすっごい見えるようになっちゃって…気分悪すぎる」手で胸をさするとお婆さんは笑いながらうなずいた。 「霊界使いさんは大変だね」「なりたくないよ…これがこれからずっとって考えるだけでゾッとする」ホームにも霊がうじゃうじゃいて、私はうつむいた。「私は、早く太郎さんに会って霊界にいきたいねぇ…その時はお前さんにお願いするよ」 「今日会えたらいいね。でも私は今日から修行だからなぁ…修行って何するんだろ」「さぁ…それは分からないけど…さぁ行ってきなさい」お婆さんにそう言われ立ち上がり、お婆さんを見るとお婆さんは姿を消した。
2008-10-12 06:52:00 -
51:
◆tRd/QWYm5M
更新終わります。
2008-10-12 07:03:00 -
52:
名無しさん
面白いですね(^-^)
更新楽しみにしています?2008-10-12 12:20:00 -
53:
◆tRd/QWYm5M
うつむきながら、階段を上っていく。霊がうじゃうじゃいて吐き気さえしてくる…異様な空気…急にこんなに見えるようになった意味さえ分からない。(痛いよぅ…痛い…)階段の真ん中で小さな女の子の霊が泣いている。無視しようと思い、その横を通りすぎたけどあまりにも気になったので私は女の子の霊の所に戻ってしゃがんだ。 「どうしたの?」霊に話しかけてみる。小さな霊は涙を流しながらゆっくりと私に視線を向ける。左目はえぐれ、頬は皮膚がやけただれて骨が見えてる。 私は目を丸くしながら霊を見ると、霊は涙を流した。(痛いよ…痛い…助けて…助けて…)霊は小さな腕を伸ばし、私の手に触れると体が急に寒くなりはじめ、腕がひどく痛みだした。
2008-10-12 14:09:00 -
54:
◆tRd/QWYm5M
ズキンズキン…女の子が触れた手首あたりに痛みが起こりゆっくりと肘あたりまで痛みがあがっていく。感じた事のない痛みに少しずつ恐怖感が起きていく。(痛い…痛い…ねぇ助けて…)霊が私の体に近づき、私の体の中にゆっくりと入っていく。クラッ…一瞬辺りが暗くなり、私は頭を小刻みに左右にふり瞬きをする。 痛みは次第に体全体に回り、痛みが更に増していく。
2008-10-12 14:15:00 -
55:
◆tRd/QWYm5M
その時、背中が急に温かくなり一瞬物凄い光が私の体からでてきて霊が体から突き飛ばされるようにでてきた。体の痛みがすっとなくなり、私は立ち上がり階段をかけのぼり駅から出る。
2008-10-12 14:19:00 -
56:
◆tRd/QWYm5M
(うぅ…)(動けない…)(ここから出してぇ)走り去りながら聞こえる霊の苦しむ声にならない声。
2008-10-12 14:38:00 -
57:
◆tRd/QWYm5M
今までこんなのなかったのに…何で…
「切り替えができないだけで、すぐに慣れるわ。霊界使いはね最初に自分が霊界使いという使命がある事を知った時から一気に持っていた力が解放され、まず最初に普段生活しやすいように力をコントロールする事を覚えなければならないから。礼子には霊界神様がついてらっしゃるから生まれた時から決壊がはられているから霊がとりつく事はまずないの。最初はみんなとりついたりされて、もっと苦しむのよ?」先生の待つ部屋に入り、理由を知った。あの階段での不思議な出来事は私を守ってる霊界神様がとりつこうとした霊から私を守ったんだ。2008-10-12 14:50:00 -
58:
名無しさん
しおり?
2008-10-12 16:14:00 -
59:
名無しさん
主さんの作品、めっちゃおもしろいです。
2008-10-14 11:28:00 -
60:
◆tRd/QWYm5M
h☆t☆t☆p☆:☆/☆/☆i☆p☆.☆t☆o☆s☆p☆.c☆o☆.j☆p/☆i☆.a☆s☆p?☆I☆=☆i☆love☆you☆0☆3☆1☆5
2008-10-14 15:35:00 -
61:
◆tRd/QWYm5M
ホムペを作成してみました。小説は、このスレで続きを書きますが、ブログやポエムを書いてます。☆マークをぬいてください。
2008-10-14 15:36:00 -
62:
◆tRd/QWYm5M
「これを身に付けてなさい」先生が机の上に置いたのは、黒色の丸い小さな石が1つついているネックレス。光にあたりチェーンがキランと光る。 石というより真珠のようにも見える。
2008-10-14 18:53:00 -
63:
◆tRd/QWYm5M
「でも…また割れたら…」触るのが怖くてネックレスを持つことさえできない。先生は一瞬驚いた後、さっとネックレスを持ち私の手を掴んで、手のひらにネックレスを置いた。 じぃっとネックレスを見るけど、なんにもない。感触もなく冷たくもない。「その石はね、人には見えないわ?」「見えない?」「霊界にある石で、霊界石と呼ばれるものなの」
2008-10-14 19:01:00 -
64:
◆tRd/QWYm5M
「人には見えない…霊界石…」確かに触った感触は不思議で、言葉に言い表せない感触…霊界の石。。「礼子を守ってくれる大事な石だから。。霊界にしか存在しない貴重な石だから…さぁ今日から修行しましょう一ヶ月間あなたの代わりをこの子があなたの姿に代わり修行します」先生がそう話し、先生の隣を指差したが何もない。
2008-10-14 23:22:00 -
65:
◆tRd/QWYm5M
すると制服を着た私が光りと共に目の前に現れた。突然の出来事で、私は目を丸くして固まる。だってこんな事って…「さぁ行きなさい」先生がもう1人の私に話しかけると、一礼し部屋を出ていってしまった。「身代わり霊よ?驚く事ではないわ。さぁ始めましょう」先生は私にそう話して立ち上がった。だけど…なに?なんなの今のは…
2008-10-15 00:01:00 -
66:
◆tRd/QWYm5M
私はそのまま部屋を出る。先生は廊下をはさんで向かいにある扉を開き中へと入る。私は、先生の後に開いてある部屋に足を踏み入れ唖然とした。 そこは部屋というよりも駄々っ広い草原が広がり、その向こうに美しい湖があり、空は青く、見渡す限り建物なんてなく大自然だ。バタン。扉が閉まる音がして振り向いたがそこにはさっきあったはずの扉はなく、草原が広がっている。
2008-10-15 00:07:00 -
67:
◆tRd/QWYm5M
強い風が吹き、髪やスカートがぶわっと揺れた。 「霊界使いは皆、ここで修行するのよ?さぁ急ぎましょう修行している子がいるわ」先生は私にそれだけ話すと草原の中を歩いていく。
2008-10-15 00:10:00 -
68:
◆tRd/QWYm5M
他の霊界使いが?どこにいるの? 見渡す限り何もないし、人なんて1人もいない… 私は、走って先生の後を追いかける。一体この人は…何者なのだろう…
どれくらい歩いただろうか、遠くにあった湖がすぐそこに見えた時、小さな小屋がどこからともなく現れ、小屋の近くで1人の同じ年くらいの女の子が1人ぽつんと立ち、先生に気づいたのか頭を深く下げた。2008-10-15 00:14:00 -
69:
◆tRd/QWYm5M
先生は、その女の子のすぐそばに行くと女の子は顔を上げ、私に視線を向ける。「美雪?あなたの先生は?」「霊界に行ってらっしゃいます…その子は新しい生徒さんですか?」 美雪という名前の女の子はとても綺麗で、どこか覚めたようなそんな女の子。 先生は私を見る。「礼子?こちら美雪という霊界使いの修行をしていてもうじき、霊界使いとなる子よ?」先生に紹介され私は頭を軽く下げた。美雪の胸元にも私と同じネックレスが着いてある。 「あなた…すごいオーラの持ち主ね」いきなり美雪にそう言われる。「霊界神様がついてるのよ?美雪はまだ見たこともないでしょう?私も初めて見たもの」先生が美雪に話すと美雪は方ひざを地面につけた。
2008-10-15 00:22:00 -
70:
◆tRd/QWYm5M
「霊界神様…初めまして美雪と申します…」私は驚きながら先生を見ると先生は私を見てうなずいた。「礼子?後ろをご覧なさい。霊界神様のお姿が見えます」先生にそう言われ私はゆっくり自分の後ろを見る。 そこには黄金のオーラを強くはなつ1人の女性の姿があり、虹色のドレスを着て空中に浮き、髪は空と同じ青色をしている。 「………この人が…」 霊界神様…気づけば私はひざまづき、頭を下げていた。
2008-10-15 00:29:00 -
71:
◆tRd/QWYm5M
(立派な霊界使いになりなさい…私は今から霊界に戻らなければなりません。霊界使いに守護は必要ありません…)天から降り注ぐような声はとても美しく、体の中にすぅっと入り込むような感覚になる。 「はい」私は返事をする。(雪江?)「はい」 霊界神様が先生に話す。いつのまにか先生もひざまづいている。(立派な霊界使いにする事があなたの使命です。霊界で待っていますよ?あなたは使命が終え、霊界までの道案内人を次の仕事です)「はい」(美雪?あなたは、しっかり使命を果たしなさい)「はい。ありがとうございます」 私はゆっくりと顔を上げると霊界神様が私の目の前まですっとやって来て、微笑んでから、強く光り消えていった。
2008-10-15 00:39:00 -
72:
◆tRd/QWYm5M
ひゅうぅぅ。風が強く吹き、セーラー服のスカーフが強く揺れ頬にあたり私は辺りを見渡す。美雪と先生は立ち上がり、私もゆっくり立ち上がった。…あの人が私の守護霊だったんだ…「美雪?礼子に修行の成果を見せてあげて?」先生が美雪に話すと美雪は私に視線を向けてから、靴をぬぎ靴下を脱いで湖にゆっくり足をつけ、浅い部分から徐々に膝くらいまでの深さまで歩きそこで立ち止まる。私は何が何だか分からずに美雪を見ている。美雪は深呼吸をしてからゆっくりと両手を重ねてじっとしている。 瞼をとじ、膝まで水につけ立ったまま動きもしない。「先生?…何をしてるんですか?」私は隣に立っている先生に話すと、先生は私に視線を向けずに美雪に視線を向けたまま。「今から湖に集まった魂を霊界へと送るのよ?」…湖に集まった‥魂を?‥霊界へ送る‥?…私は視線を美雪へと向ける。 しばらくして美雪の周りがキラキラと輝きはじめ、湖の中から丸い虹色の輝きが空中に浮き、美雪がゆっくりと瞼を開け両手を空へと向けて伸ばすと一気に湖の中から現れたいくつもの光りの玉が空に向かって上がりだした。
2008-10-15 02:12:00 -
73:
◆tRd/QWYm5M
「綺麗…」思わず言葉がこぼれる。神秘的な光景。虹色に輝く光りがゆっくりゆっくり空に向かって上がり、美雪が歌を歌いながら湖の中で体を回転させたりジャンプしたりして踊っている。 「あの光りが霊なの。ここは三途の川と呼ばれる場所よ?聞いた事あるでしょ?ここにたどり着いた霊は湖で霊魂になり、霊界使いが一気に霊界へと導くの」
2008-10-15 02:18:00 -
74:
◆tRd/QWYm5M
すいません更新終わります。感想よかったら書き込みしてください。
2008-10-15 02:57:00 -
75:
名無しさん
楽しみにしてます?
2008-10-15 04:03:00 -
76:
◆tRd/QWYm5M
「三途の川?ってことは…私死んだんですか?!」「あなた何も知らないのね!」そう答えたのは美雪。湖から丘の上に上がると、どこから現れたのか先生と同じ年くらいの綺麗なおばさんが立っていてその隣に立つ。 いやな言い方…知らないに決まってるよ! 「雪江さんお久しぶり」「お久しぶりです。素晴らしい生徒に成長なさったんですね美雪は」「その子は新しい生徒さん?」美雪の隣に立つおばさんが私を見る。
2008-10-15 09:08:00 -
77:
◆tRd/QWYm5M
「えぇ。霊界神様がずっと守ってらっしゃった子なんです」 「噂は聞いてました。あなたが…」美雪の隣に立つ女が私に視線を向けると、美雪はこう話した。 「あなたに霊界神様がおつきになってた意味が分からないわ?この場所がどこかさえ分かっていないんでしょ?」 睨みながら私に話す美雪。嫌な感じ… いらっとした。今まで人から何を言われようとも気にさえした事がない私にとってこの感情は不思議なもの。
2008-10-15 12:28:00 -
78:
◆tRd/QWYm5M
ブチッ。ネックレスに付いていた霊界石が割れ、チェーンが切れ、地面に落ちた。 勝手に腕が動き、私は美雪を指差していた。懐かしいような感情が沸き上がる。体内から体外へと風が吹き荒れ、辺りの草が強く揺れる。「礼子!」先生の強い声で私はハッとし、視線を先生へと向けると風がやみ静かになった。「落ち着きなさい」先生は真顔で私に話す。私は視線を美雪に向けると美雪はその場に倒れて、美雪の先生が腰をぬかし私を見ている。「この子は霊界神様の一番弟子だった方です。なぜ人間界に来たか美雪は分かりますか?ここ100年間、霊界使いは霊に喰われ呪われ霊界使い自体霊に体をのっとられていく違例な事態が起きてるからですよ?あなたのさっきの言動は、霊界使いとして考え深い事です。人は人、自分は自分と考え反省し体を清めなさい」先生が美雪に話す。
2008-10-15 12:52:00 -
79:
◆tRd/QWYm5M
美雪は唇を噛みしめ立ち上がり私を睨み付ける。「あなたが一人前の霊界使いになれるとは思えないわね?雪江先生?私の守護霊様を知っていてよくそれが言えますね?」 「分かっていますよ。あなたは以前、地界の門番をしていた事も。守護霊様が地界神様だった事も」「この侮辱、私はあなたを忘れません」そう言って美雪は姿を消し、美雪の先生も姿を消した。 …なんだろうさっきの込み上げる感情は… 私は地面に落ちた霊界石を拾い上げ美雪がいた場所を見ていた。
2008-10-15 13:00:00 -
80:
◆tRd/QWYm5M
「地界の門番だった方が霊界使いになった意味さえ忘れてしまったまま霊界使いになるのは…礼子?あのような言葉を受けても耳を傾けてはいけないわ?あなたの使命は他にあるのだから…さぁ修行を始めましょう」「先生…ネックレスがちぎれてしまいました…」「霊界石は再生します」先生に言われて、視線を手のひらに向けると割れたはずの霊界石が元に戻っていてチェーンもちぎれていない。
2008-10-15 13:05:00 -
81:
◆tRd/QWYm5M
ひゅうぅ。穏やかな風が吹き、長い髪が揺れ私は空を見渡す。ここが三途の川なのか…初めて来た場所なのに何故か来たことがあるように感じる。透き通る湖は不思議な色をしていて、魚などは泳いでない。360度草原がどこまでも続いている。さっきの感情は一体何だったのだろうか…。
2008-10-16 03:37:00 -
82:
◆tRd/QWYm5M
それから私の修行が始まった。この場所に夜はなくいつも天気が変わらない。不思議な事に全く眠くならなく、常に起きていた。いくら動いても体は疲れる事がなく、空腹になる事さえない。 先生は常に私の傍にいる。
始めに習ったのは切り替え。特に何かをするわけでもなく自然と切り替えが出来るようになった。2008-10-16 03:41:00 -
83:
◆tRd/QWYm5M
私の体は私のものではなく、借りた体らしく私の魂がぬけても私の体は違う魂が私の記憶をうけつぎ生きるらしい。霊界使いの記憶や霊視などの記憶は全くなくなるみたいだけど。そこが普通の人間とは違うみたい。私は、冬月礼子という人の姿を借りているだけなのだ。霊界使いは霊界使いになった後、使命を果たすまで人間界にいれるが使命を果たせばまた霊界に戻るという。その時に以前の記憶が戻ると引き換えに人間界での記憶はなくなる。 今の私にはまだその意味が全く分からない。
2008-10-16 03:47:00 -
84:
◆tRd/QWYm5M
修行中も私は駅にいるお婆さんの事が気になっていた。太郎という人に会えたのかな…お婆さんもいつかこの場所に来るのかな…
「2008-10-16 03:54:00 -
85:
◆tRd/QWYm5M
修行最終日を私は迎えた。いつものように私は小屋から出た所で、先生と立っていた。 「礼子は異例の速さで次々に霊界使いとしての技を覚えていきました。今日が修行の最後です。霊界送りを今からしてみなさい」霊界送りとは、湖に集まった魂を一気に霊界へと送る歌と踊り。初めて魂に今日触れる事になった。2008-10-16 15:32:00 -
86:
◆tRd/QWYm5M
湖に足をいれるのも今日が初めて。歌や踊りは草原の上で習ったから、水の中でうまく踊れるか心配。人間界に戻ったら一番にお婆さんに会いに行こう。
私はローファーと靴下を脱ぎ素足でゆっくりと湖に入っていく。水は冷たいが、生暖かい感触が足に時々触れていき私は水に視線を向けると、光の玉がいくつも魚のように湖の中を泳いでいる。2008-10-16 15:39:00 -
87:
◆tRd/QWYm5M
今まで、湖の中は見たことあったけどこんなの見えなかったのに…これが魂…暖かいんだ…
私は先生に視線を向けると先生はゆっくりうなずいた。私はゆっくり息を吸って、すーっと息を吐きまぶたを閉じ、両手を合わせ(切り替え)をした。霊感を解放すると、魂の様々な音がトライアングルの響きのように音を重ね、交わり響いている。2008-10-16 15:44:00 -
88:
◆tRd/QWYm5M
私は、まぶたをゆっくりとあけ指先で水に触れながら体をゆっくり回転させながら霊界歌を歌いながら、跳び跳ねたり爪先で立ったりして霊界送りの踊りを踊っていると湖の中の魂が、強い輝きを放ちながらゆっくりゆっくりと水面にむかってあがってくる。 セーラー服のスカートは水に濡れ少し思い。水の中でうまく動けなくたまによろけてしまう。
2008-10-16 15:48:00 -
89:
◆tRd/QWYm5M
水面からあがってきた魂は、何故か人の姿に変わっていてその数は数えきれない程。みんなキラキラと輝きながら笑顔。(お前さん…)どこからかお婆さんの声がした。私は踊りながら視線を向けるとそこにお婆さんの姿があった。お婆さんは1人みたいで顔は悲しい。…なんで…私は踊りながらもお婆さんに視線を向ける。(無理やりここに連れてこられたんだよ…まだ行きたくない…行きたくない…やめておくれ!戻しておくれ!!)お婆さんの手がするすると私に向かってのびていく。
2008-10-16 15:54:00 -
90:
◆tRd/QWYm5M
「…っ!」お婆さんの手が私の腕をつかみ、私は動けなくなり歌が途切れる。空中に浮いた魂が止まり光りが弱くなっていく。「礼子!止めてはだめ!」先生が声をはりあげ私は、はっとした。でも…手が…(やめておくれ…まだ太郎さんに会ってないんだよ…)お婆さんは涙を流しながら私に語りかける。「お婆さんごめん…今止めてしまう事はできないの…」誰がお婆さんをここに連れてきたのだろう。私は体に決壊をはるとお婆さんの手は弾き飛び、踊りと歌を続けていく。
2008-10-16 16:43:00 -
91:
◆tRd/QWYm5M
(やめておくれぇぇ…あの人に会うまでは行きたくない!)お婆さんの叫び声が響き渡り、胸がきりきりと痛む。
2008-10-16 16:46:00 -
92:
名無しさん
更新ありがとう??
面白いです?2008-10-16 18:47:00 -
93:
◆tRd/QWYm5M
空から強い光が現れ、階段がすぅっとこちらに向かって現れる。少しずつ空中を浮かぶ人が上空へとゆっくり上っていく。1人…また1人…踊りながら、お婆さんへと視線を向け胸が張り裂けそうになる。でも…先生は私に話した事があった。同情してはいけない…と。この魂達は天界とは逝けずに、地界で今から苦しみもがきまた生まれ変わる。(やめてぇぇ…記憶を失いたくない!失いたくない!)お婆さんが姿を変え、若い女性の姿になっていく。キラキラと輝きながら。
2008-10-16 19:21:00 -
94:
◆tRd/QWYm5M
私は自分の長い髪の色が時々青に変わる事に気づいた。透き通る空の色…
2008-10-16 19:23:00 -
95:
◆tRd/QWYm5M
お婆さんは姿を変えながらどんどん空へと上がっていく。(忘れたくない…太郎さんの事を…忘れたくない!)私は、最後に両手を合わせ手に力を集中させると手と手の間から光が現れ、両手を空に向かってあげると一気に光が上空へ上がりお婆さんの姿は見えなくなった。
2008-10-16 20:01:00 -
96:
◆tRd/QWYm5M
「お婆さん!お婆さぁぁん!!」空から現れた階段がすぅっと消え、青空が見え私は湖の中で立ち尽くし、空に向かって叫ぶけど、もうお婆さんの声は聞こえない。髪も元の色に戻っている。
2008-10-16 20:03:00 -
97:
◆tRd/QWYm5M
優しかったお婆さん…私に笑顔を向けてくれた…温かい気持ちになれた。背中に乗ってくれた時、あったかくて安心できた。修行が終わったら一番に会いに行こうと思った…ずっとあの場所で太郎という人を待っていた…あの場所で…お婆さんの涙が甦る。ごめん…ごめんね…ごめん。
2008-10-17 02:13:00 -
98:
◆tRd/QWYm5M
「情を持ってはいけない事を覚えないとだめよ?あなたが迷う事があなたが犠牲になる事もあるのだから。行くべき場所へ礼子が送ってあげるの。霊は霊でしかない」先生が私に話した。私はただ空を見上げていた。
2008-10-17 02:17:00 -
99:
◆tRd/QWYm5M
3霊 番犬
2008-10-17 02:18:00 -
100:
◆tRd/QWYm5M
「これから霊界使いとして使命を果たしなさい」先生はそれだけ言い残し消えていってから1ヶ月。
先生の家も、姿を消した。駅に行っても、お婆さんの姿はもうなくてまるで夢でも見ていたのかと思ったけど、霊界石のネックレスは私の首に付いていて夢ではない事に気づく。2008-10-17 03:19:00 -
101:
◆tRd/QWYm5M
どんっ。背中から誰かがぶつかってきて私は持っていた筆箱を落とした。「あっ、ごっめーん。見えなかったぁ」わざとらしい話し方で私を見るクラスメイト。私は、黙って床に落ちた筆箱を拾い席に座る。ぶつかった女子はクスクスと笑いながら女子達の中に入っていき陰口。くだらない。どうやら私は女子から嫌われているみたい。でも、気にもならない、昔から輪の中に入るのは苦手だから。
2008-10-17 03:49:00 -
102:
◆tRd/QWYm5M
更新終わります。書き込みありがとうございます!本当に嬉しいです!
2008-10-17 04:55:00 -
103:
◆tRd/QWYm5M
【人間界】で生きる人と思い返せばあまり会話をした事なんてない。両親ともあまり話さないし、友達もいない。それもなんか霊界にいたからとかあるのかな…「冬月さん?」私に声をかけてきたのは席が後ろの女子。私は振り向くと彼女は私に本を手渡してきた。何だこれ?小説だよ。「この前借りた本…ありがとうおもしろかった」彼女とは会話した事は一度か二度くらいで、私はこんな本を貸した覚えもなければ持っている記憶もない。真新しい小説は私の手に乗せられる。「何?これ」「この前貸してくれた本だよ?返すの遅くなってごめんね?」
2008-10-17 12:26:00 -
104:
◆tRd/QWYm5M
申し訳なさげに小さな声で話す彼女を見て、私は一応本を受け取りまた前を向いた。手のひらに乗せられた小説。私は小説なんて読まない。買った事さえない。
あっ…ふと思い出した。確か修行の時、身代わり霊が私の代わりに1ヶ月私として生活をしていたんだ。その時だろう。考えれるとすれば。2008-10-17 12:30:00 -
105:
◆tRd/QWYm5M
その日の帰り道。地元の駅で電車を降り歩いてバスターミナルに向かう。霊界使いになってからピタッと霊を見なくなりすごく気が楽になった。生まれて初めて自分が普通になれた気がした。このまま何にも見えないままで過ごしたい。でも、霊界送りをしなきゃならない。先生は教えてくれた。ネックレスの石が霊界送りをしなきゃならない時に光ると。
2008-10-17 12:34:00 -
106:
◆tRd/QWYm5M
走る度に香水の香りがふわっと漂う。強く握られた手は、何故か初めて握った感じがしなくて、でも理解できずに私は立ち止まろうとするが、力がかなわなくて走っている。周りの人が何事かと私と男に視線を向ける。「離して!痛い」「ネックレスを見ろよ!光ってんだろが!霊界使いさんよ!」男は走りながら私に話す。……なんでそれを…誰?…「ネックレス見えるの?誰?!」手をふりほどこうとしても、全く無意味。男は走り続け交差点の信号が赤なのに走り続けている。
2008-10-17 13:46:00 -
107:
◆tRd/QWYm5M
パッパーン!バスがクラクションを鳴らしながらこちらに向かって走ってくる。信号が赤なのに男は止まることなく、横断歩道に足を踏み入れる。周りの人があまりにも突然の光景に目を丸くして見ていた。このまま突っ込めば確実にバスに激突してしまう。
2008-10-17 13:48:00 -
108:
◆tRd/QWYm5M
「ちょっ…ちょっと!!離して!ひかれちゃう!」私がそう叫ぶ。バスが急ブレーキをかけているが、どう考えてもぶつかる!私はまぶたを強く閉じて体に力を入れた。
2008-10-17 13:50:00 -
109:
◆tRd/QWYm5M
ふわっ。一瞬体が浮いた感じがして、どんと体がぶつかった。私はゆっくりまぶたをたを開けると、すごい速さで走るバスの中に乗っていた。「えっ?」バスの一番後ろの座席に乗っていて車内に人は誰もいなく、隣に男が座って足をくんでいる。一体何が起きたのか全く分からない。私は窓の外の景色を見て更に意味が分からなくなった。窓の外は雲が見えバスが斜め上を向いて走っているというか飛んでいる。
2008-10-17 13:56:00 -
110:
◆tRd/QWYm5M
「なっなに?!なんでバスが浮いているの?!」私は窓に両手をあておでこをくっつけて叫ぶ。「お前、霊界バスも知らねぇの?」ばかにした様な言い方に、私はむかっとして男に視線を向けると男はタバコをぷかりと吸いながら煙を私に向かって吐き出し、煙が顔にかかり私は手ではらう。「あんた誰?」そう話すと男は首からネックレスを見せてきた。ネックレスには私と同じ霊界石がくっついていてキランと光っている。
2008-10-17 14:04:00 -
111:
◆tRd/QWYm5M
私は思わず自分のネックレスに手をあてると、男がぷっと笑った。「霊界使いなのに、霊界使いが誰かももしかしてわかんねぇの?どんな修行うけたんだよ(笑)」「分かるわけないし、あなた誰?」「はぁ?もしかしてお前ずっと霊感0の状態にしてんのか?」男に言われてうなずく。「それじゃいつまでたっても霊界に戻れねぇぞ?頭おかしいんじゃねぇの(笑)そりゃ俺が誰か分かるわけねぇよ!お前みたいな奴初めてだ」「いきなり声かけてきていきなり走り出して、バスにつっこんだかと思えばこんな所につれてきといて何?!」
2008-10-17 14:45:00 -
112:
◆tRd/QWYm5M
気づけば見知らぬ男に私は怒鳴っていた。前に会った美雪といい、この男といいなんだか変だ…なんでこんなすぐ感情が出るんだろ…私は座席から立ち上がって男をみおろしていた。ガタッ!バスが揺れ、私は体勢をくずし気づけば男の膝の上に倒れてしまい慌てて隣に座る。「霊界使いのひよっこのひよっこだな(笑)」男はケラケラと笑いながらタバコを吸っていた。なんかイライラする…なんなのこいつ!私は、神経を集中させて霊感を0から元の霊感に戻した。
2008-10-17 15:06:00 -
113:
◆tRd/QWYm5M
霊感を戻した途端、バスの中に人がたくさん乗っていて、私をみんな見ている。さっきまで誰も乗ってなかったのに…私は驚いて男に視線を向けると男の額に「冬月陽」と黒い文字が彫っているのが見えた。「私と同じ名字」「霊界使いはみな同じ名字なんだ」
2008-10-17 15:11:00 -
114:
◆tRd/QWYm5M
「このバスは、三途の川に続いてるバスって事!」「なんで私をのせたの?」「霊界神様からのご指名に決まってんだろ。でなきゃ誰がお前みたいなひよっこと乗るかよ(笑)」「ひよっこひよっこうるさいな!じゃあ1人で行けば?私降りる!」いちいちイライラする!…私は勢いよく立ち上がり、バスの窓を開けると腕を捕まれた。窓からはすごい強い風が吹き、髪やスカートが強く揺れる。
2008-10-17 16:21:00 -
115:
◆tRd/QWYm5M
「危ないって!お前こっから落ちたら命ないぞ!やめろ」私は陽の手をふりはらい、にらむ。「あなたには関係ないでしょ!」そう言ってバスの窓から飛び降りた。
2008-10-17 16:23:00 -
116:
◆tRd/QWYm5M
怖さなんてなくて、何故か大丈夫だという自信があった。じゃないと飛び降りたりなんてできない。バスが空にのぼっていき、私は下にどんどん落ちていく。すごい勢いで。「きゃぁぁぁ」急に大変な事をした事に気付き私は叫んだ。
2008-10-17 16:26:00 -
117:
◆tRd/QWYm5M
ぐいっ。 腕をつかまれた。私はそれどころじゃなくて叫びまくる。「何考えてんだよ!!!」腕をつかんだのは陽。私は視線を向けると陽は私の腕を自分の方へと凄い力で引き寄せる。「落ちるぅぅぅ!!!」「ったく!ばかじゃねぇの?!落ちるじゃなくて落ちてんだろが!」 大声でそう叫ぶ陽。凄い勢いでどんどん落ちていく。「助けてくださいと言え」「いや!」「ふぅん。じゃあ勝手にあばれてろ」そう言って陽は私の手を放すと、私はさらにスピードがあがりどんどん落ちていく。雲から雲へ突き抜け、さらに下に。
2008-10-17 17:31:00 -
118:
◆tRd/QWYm5M
このままじゃほんとに落ちていっちゃう。しゃれになんないなんない!!!「助けてぇぇぇ」もう何が何だか分からず叫んでいた。するといきなり目の前に陽が現れ「バーカ」それだけ言うと私の体を抱きよせた。「空術」陽は自分の霊界石に触れながらそう言う。
2008-10-17 17:36:00 -
119:
名無しさん
毎日更新してくれて嬉しいです?
2008-10-17 19:01:00 -
120:
◆tRd/QWYm5M
落ちていく体がぴたりと止まり、私の体を抱きしめたまま陽は空中に浮いている。びゅん!次はいきなりすごい速さで上空へと体があがっていく。「きゃぁぁ!」思わず叫ぶ私。「まだ空術さえ習ってねえのに、無茶苦茶な事すっからだろ!」「怖い怖い!」じたばた暴れる私を陽はぐっと力を入れて抱きしめたままどんどんのぼっていく。「暴れるなって!急がなきゃ霊界バスがあがっちまうんだよ!聞いた事ねぇよ霊界使いが乗らずに霊魂乗せたバスだけが三途の川に行っちまうなんて!」「なんで飛んでるのよ!怖い怖い!」「だから空…っあぁもぅ!しっかり捕まってろ!」
2008-10-17 19:48:00 -
121:
◆tRd/QWYm5M
すごい速さで、寒くて体が痛くて耳鳴りがひどくして、痛い痛い痛い…おまけに気分さえ悪くなってきた…気づけばしがみついていた陽の背中に回した腕の力がどんどん抜けていき、意識さえふわふわとしはじめる。ただ陽の香水の香りだけが遠ざかる意識を呼び戻す感じがする。
2008-10-18 14:12:00 -
122:
◆tRd/QWYm5M
すいません書き方変えます。
書き込みありがとうございます。表現力がなくて本当にすいません。2008-10-18 16:00:00 -
123:
◆tRd/QWYm5M
(礼…子)どこらかか声が聞こえる…(礼…子…)ほら…また…どこから…
瞼をゆっくりと開けていくと、ぼやけた視界は靄がかっていて瞬きをするたびに少しずつ視界がはっきりしていく。誰かが私の名前を呼んでいる…誰だろう…私はゆっくりと瞬きをしながら声のする方へ視線を向けると、ぼんやりと映る姿が少しずつ少しずつはっきりと見えだした。男の…人だ…誰だろう…。ふわりと香る匂いが風にまぎれて匂う…2008-10-18 16:07:00 -
124:
◆tRd/QWYm5M
「ひよっこ!」
━━━━!!!━━━━━勢いよく上半身だけ起こすと、頭ががんがんと痛み表情をゆがめながら私は陽をみた。どうやら、意識を失ったようで、いつのまにか三途の川にたどり着いていた。修行した草原の上で私は意識を取り戻した。2008-10-18 16:11:00 -
125:
◆tRd/QWYm5M
「ほれ!行くぞ」陽は私の隣にしゃがんで私の顔をじっと見てから、立ち上がり歩きだした。まだぼぉっとする意識の中で私はゆっくり立ち上がったが、立ちくらみと頭痛が全身を襲い、また倒れそうになる。私はどれくらい意識を失ってしまい、どうやってここにたどり着いたのかさえ分からないまま、ただ随分と先を歩く陽の背中だけを歩いて追いかけていく。
2008-10-18 16:18:00 -
126:
◆tRd/QWYm5M
足を一歩ずつ進めながら辺りに視線を向けていくが、霊界バスと呼ばれる乗り物はどこにも見当たらなく、ただ永遠と言っても過言ではない草原が360度広がり、湖と小屋さえ見当たらない。
2008-10-18 16:21:00 -
127:
◆tRd/QWYm5M
陽は、道なき草原の上を来慣れた場所なのか、ただ真っ直ぐ歩いていく。まだふらつく足取りでその後を追いかけるのが精一杯な私は、空術という不思議な術も霊界バスという意味の分からない乗り物も深く考える余裕さえないまま、足を進めていく。
2008-10-18 16:24:00 -
128:
名無しさん
続き楽しみにしてま〜す?表現力あると思いますけど!!!主さんの小説って綺麗ですよね?
2008-10-19 13:56:00 -
129:
◆tRd/QWYm5M
どれ位歩いたのだろう…気づけばふらついていた足も、頭痛もすっかり治っている事に気づいた。青く澄んだ空と青々とした膝あたりまで伸びた草がいつまでも限りなく続いている。東西南北が全くわからないのは、太陽が見えないから。どれだけ歩いても、陽に追い付く事はなく、呼んでも振り向く事もなくただ歩いている。この【三途の川】と呼ばれる場所は、やっぱり不思議だった。疲れがとれ、体がやけに軽くなる。喉も渇かないしお腹も減らない。
2008-10-19 20:02:00 -
130:
◆tRd/QWYm5M
陽が足を止め、ようやく振り向いた。いくら呼んでも振り向かなかったのに。駆け足で陽にようやくたどり着き顔を見る。「一体何?どこまで行くの?」「番犬がいるはずなんだけど…」何の印もない場所で空を見渡しながら何かを探している。一体何を…番犬? 私は草原を見渡しながら犬を探す。けど見えるのは草だけ。
2008-10-19 20:06:00 -
131:
◆tRd/QWYm5M
「っあー。仕方ねぇ」ため息まじりに話し、その場に腰を下ろした陽の隣で私もゆっくりと腰をおろす。何をするわけでもなく、しばらく陽は空を見ていた。「ねぇ番犬って?犬?」「ん?あぁ、そんなもんかな…見たことねぇだろなその様子じゃ」「場所を間違えたんじゃないの?」「間違える訳ない」「なんで?どこも同じ景色だよ?」「これだからひよっこは嫌なんだよな…」面倒に話す顔はあきらかに、うざったい。お荷物。自分がそう思われている事がやけに腹が立つ。私だってこんな軽そうな男となんて一緒に居たくもない。
2008-10-19 20:19:00 -
132:
◆tRd/QWYm5M
私はそれ以上何も言わずに黙っていた。陽の言葉はいちいち腹が立つ。時々吹く強い風に紛れて陽の香水の匂いは、口調とは違いなんだか優しい香り。とてもしずかで夜を知らない場所。雨が降ることもないのに、枯れる事のない草。
2008-10-19 20:22:00 -
133:
◆tRd/QWYm5M
「霊界送りした事は?」ふいに問いかけてきた言葉。「ない」「一度も?」「湖で一度しただけ」「ふぅん」「陽は?」「他の霊界使いが何人かまた体奪われたの知ってる?…って知るわけないか…おれはもう霊界送り何回もしてる。何回しても何回しても、また集まるんだよな…」
2008-10-19 20:27:00 -
134:
◆tRd/QWYm5M
陽は少し寂しそうに私に話す。初めて会ったのに何故か懐かしく感じるこの光景。前にもどこかで…なんかこの光景知ってる。
━━━???━━━━どこからか鈴の音が響いてきて私は話そうとした言葉をのみこみ、急に立ち上がった陽を見上げゆっくり立ち上がった。2008-10-19 20:32:00 -
135:
◆tRd/QWYm5M
鈴の音は少しずつ大きくなり、それは頭上から聞こえている事に気付き空に視線を向ける。 でも、何も見えない。 ただ風に紛れながら響く鈴の音がどんどん大きくなり近づいてきているのが分かる。
2008-10-19 20:35:00 -
136:
◆tRd/QWYm5M
体も顔もライオンにしかみえない。犬というにはあまりにも大きすぎるし、目は左右違う色をしていて、閉じた口からは大きな牙が見えている。一体どこから現れてきたのだろう。あまりの迫力に私は後退りをすると、それに気づいた陽が笑いながら番犬の体に触れる。
2008-10-19 20:43:00 -
137:
◆tRd/QWYm5M
陽は【番犬】の体を撫でると頭を低くして耳を後ろに倒しながら尻尾を左右に振っている。首には大きな鈴がぶらさがっていてさっき聞こえた鈴の音がこの生き物だとようやく理解できた。 「ヘルっていうんだこいつ。まだ子供なんだ」「これで子供?」「ヘルの親はここにはいない。天界と地界の入り口で番をしているんだ。ヘルはこの場所を守ってる」ヘルという名前の生き物は、ゆっくりと頭を上げ大きな足でゆっくり歩き出し私の目の前にやってきて足を止めた。
2008-10-19 23:28:00 -
138:
◆tRd/QWYm5M
大きな鋭い目で私を見てから、いきなりその場にお座りをして頭を下げたまま動かない。「おっ、ヘルお前そいつが気に入ったんか?おいひよっこお前ヘルに気に入られたみたいだな(笑)頭撫でてやれ」陽は口角をくいっと上げ微笑みながら私を見ている。私は恐る恐る手を伸ばしヘルの大きな頭に手を乗せ撫でると、尾を左右にふりながら目を閉じた。
2008-10-19 23:34:00 -
139:
◆tRd/QWYm5M
柔らかい毛並みは触れた時に色が虹色に変わりすぐまた青に戻る。見たこともない綺麗な色をしている…なんだろう…この感触前にも触った事があるような…考えても分からなかった。でもとても懐かしい感じ。
2008-10-19 23:41:00 -
140:
◆tRd/QWYm5M
「見た目は怖いけど可愛いね」ヘルの頭を撫でながら話すと陽はいきなり大きな声で笑う。「可愛いか!はっはっ、ヘル可愛い言われてるぞ?よかったな。はっはっはっ」「可愛いよ!」私がそう話しても陽は笑ったまま私の話しを聞いてるのか聞いてないのか、手を叩いて笑い続ける。
2008-10-19 23:48:00 -
141:
◆tRd/QWYm5M
「何がおかしいの?!」「ちなみに霊界使いの中でヘルに触れた事があるのは俺だけらしいから、お前で2人目だな。そいつ今大人しいけどキレたらやばいから…まぁそれはいいとしてヘル?お前預かってきたんか?」
2008-10-19 23:54:00 -
142:
名無しさん
おもしろい
2008-10-20 00:30:00 -
143:
◆tRd/QWYm5M
ヘルは、いきなり口を大きく開けたまま止まり私は何が起きたのか全く分からないまま陽を見ると、陽はこちらに近づきためらうことなく、手をヘルの口の中に入れた。鋭い牙は刃物そのものと言えるくらいで、私はこんな生き物を可愛いと言った自分がおかしいのではないのか?と問いただしたくなる。
2008-10-20 00:36:00 -
144:
◆tRd/QWYm5M
「あった!サンキュー」口から手を出すとヘルは大きな口を閉じそのまま歩いて行き、ふっと姿を消した。「消えた…」目の前で起きた事に驚く。「霊界神様ヘルに2つ渡したんだなぁ……あぁそれでお前も連れて来いって…ほれ、お前の物だ」ひょいっと何かが飛んできて私はとっさにキャッチ。
2008-10-20 00:44:00 -
145:
◆tRd/QWYm5M
手のひらには、指輪が乗っていた。シンプルなデザインの指輪。これは一体なんだろう。陽は指輪をはめ手を空にかざしながら指輪を見ている。私は手のひらに乗った指輪を掴み、指にはめてみた。サイズは、ぴったり。でも、ただの指輪にしか見えない。これを霊界神様が私と陽にくれたの?
2008-10-20 00:51:00 -
146:
◆tRd/QWYm5M
「これ、何?」「さぁ?知らねえ…御守りみたいなもんじゃねえの?」「ねぇ他の霊界使いもここに普通に来るの?霊界バスはどこに現れてどうやって乗るの?」「他の霊界使いは、たまぁに来るくらいじゃねぇかな…俺も久々来た。霊界バスは霊感0にしてなけりゃいつでも見える。っつうか空術習わなきゃまず乗れないな。常に空走ってるからな。早くおぼえろ」「どうやって?先生はもういない…「霊界送りをしていかなきゃ覚えれない。霊界送りしていくと、天使が現れて教えてくれるんだ。次の霊界送りの場所をな。それである程度までいけば新しい霊界石をもらえる。まぁ、とにかく霊感を常に0にしていちゃなんにも見えねえままだし、ただのバカなままで終わるだろな(笑)」
2008-10-20 01:01:00 -
147:
◆tRd/QWYm5M
不思議だった。やたら色々な事に詳しい陽の事が。でもなんだろう、なんで懐かしいんだろう。この感覚は、霊界にいた時の私のものなのかそれとも違う何かなのか。ぽんっ。私の頭の上に手を置き笑う。「頑張りたまえひよっこ」陽の顔が至近距離にあり、一瞬どきっとしてすぐ顔を私は離した。
2008-10-20 01:36:00 -
148:
◆tRd/QWYm5M
「何赤くなってんだよ(笑)」「なってないし」私が顔を陽からそむける。でも顔は熱いまま。異性をあんな至近距離で見たのは初めてでびっくりしただけ…
2008-10-20 01:40:00 -
149:
名無しさん
更新ありがとう??
2008-10-20 02:13:00 -
150:
◆tRd/QWYm5M
きっと、陽は慣れているんだろう。見た目からして女に苦労しませんって感じがしてならない。だから、至近距離に顔を自然と何の抵抗もなくもってこれる。陽はそんな私の心中など気にする様子もなく、すっと自然な形で私の体に腕を回しいきなり抱き締めた。
2008-10-20 02:49:00 -
151:
◆tRd/QWYm5M
ドキッ。胸がきゅんとした。「空術」陽がそう話すと体が宙にふわりと浮き、思わず陽の脇腹から背中へと腕を回す。「ゆっくり飛ぶから」優しい口調だった。強く閉じた瞼をあけ顔を上げると、陽は、優しく、切なく微笑みを私へと向けていた。「別に怖くないしっ」憎まれ口をたたくとふいに唇に唇が重なる。
2008-10-20 02:55:00 -
152:
◆tRd/QWYm5M
胸が熱くなり、きゅんとした。息が止まり、目は丸く開いたまま。唇が少し離れると陽はまた私へと微笑みを見せる。何がどうなってこうなったのか理解できない。生まれて初めての感触なはずなのに、何故か知ってるこの感触。
2008-10-20 03:02:00 -
153:
◆tRd/QWYm5M
霊界バスが停まっている場所までの間、お互いに会話はなくなぜあんな事をふいにしてきたのか、聞く事もせずにただ陽に抱き締められたまま飛んでいた。
2008-10-20 03:04:00 -
154:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。更新終わります。
2008-10-20 03:05:00 -
155:
◆tRd/QWYm5M
時間まだあるので更新します。
2008-10-20 03:16:00 -
156:
◆tRd/QWYm5M
【人間界】までのバスの中も、降りてからも、結局理由は聞けないまま地元のバスターミナルにやって来た。空はすっかり暗くなっていて、帰宅を急ぐ人達がやって来るバスを待っている。「じゃあな」それだけだった。歩いて去っていく後ろ姿を見つめながらバスを待っている。ふいに重なった唇の感触はまだ残っていて、思い出すだけで胸がきゅんとしてしまう。陽とはもう会う事はないだろう。連絡先も知らなければ、どこにいるかも知らない。知っているのは、冬月陽という名前と霊界使いという事だけ。年も、仕事も、家も、何も知らない。
2008-10-20 03:23:00 -
157:
◆tRd/QWYm5M
4霊 霊界送り
2008-10-20 03:25:00 -
158:
◆tRd/QWYm5M
制服は夏用に代わり、半袖の薄生地のセーラー服になった。 陽が私の前に現れる事はなく、重なった唇の感触を思い出す事さえ困難になり、それでも、何故か、陽を思い出す自分がいる。 ミーンミン、学校や道や公園に生えている木から蝉の声が飛び交っていた。
2008-10-20 03:30:00 -
159:
◆tRd/QWYm5M
【切り替え】をしながら、日々を過ごし始め、未だに気分が悪くなる。【霊】の声も姿も気持ちが悪い。霊界送りは未だにまだしておらず、その時がくるのをなんとか待っている状態。霊感0にするのは簡単な事だけれど、それでは霊界使いの意味がない。霊界石は光ることなく、指輪も何の変化もない。
2008-10-20 03:34:00 -
160:
◆tRd/QWYm5M
━霊界送りは霊界石が光らないとしてはいけない。 修行をしている時、先生が何度か私に話していた。むやみやたらに三途の川に送る事は絶対にしてはならない。人間界で霊界送りをした霊魂が霊界使いの乗った霊界バスに乗り三途の川へと行き霊界へと行く。
2008-10-20 03:37:00 -
161:
◆tRd/QWYm5M
【人間界】にいる全ての霊界使いがむやみやたらに、【霊界送り】をすると三途の川がパンクする事になる。さまよう霊にも順番があるのだから。と、先生は教えてくれた。
2008-10-20 03:45:00 -
162:
◆tRd/QWYm5M
私は、バスターミナルに来ると陽の姿を目で探してしまう。それが恋だという事は、分かっていたけど、自分の中で認めたくなかった。好きになった理由なんて、はっきり言って、分からない。
2008-10-20 03:49:00 -
163:
◆tRd/QWYm5M
私が降りるバス停に着き、降りる。空はすっかり暗くなっていた。ため息まじりに歩きながら家路までの道を、歩いていく。頭上の空に見える月明かりが小さな橋の下を流れる川を照らしていた。「ただいま」「お帰りなさい。お友達来てるわよ?」「友達?」「ついさっき来たばかり。部屋で待ってもらってるから」母との会話も後回しにして階段を駆け上る。友達なんていない私に友達という来客?もしかしたら、陽かもしれない。淡い期待を持ちながら自室のドアを開ける。
2008-10-20 11:05:00 -
164:
◆tRd/QWYm5M
小さなテーブルに置かれた来客用のグラスが1つ、まだ溶けていない氷がカランッと音をたてた。部屋には誰もいない。閉めようとしたドアを再び開け、廊下に出ようとした時、背後に人の気配を感じ振り返る。「よっ?」陽の姿を見つけると同時に部屋の窓から風が吹いてきた。
2008-10-20 11:18:00 -
165:
◆tRd/QWYm5M
胸がきゅんとする。「びっくりした」「ベランダに出てたんだ。お前の家結構でかいんだな。お嬢様?」「まさか。 ねぇ、どうやって私の家知ったの?」「この地区にある冬月は、二件だけ。俺とお前」陽はこの地区に住んでいる事が分かった。窓を閉めると陽はクッションの上に座り、タバコを口にくわえる。「灰皿ないから」さっとタバコを取り上げテーブルに置くと、陽はため息をついた。付けられたばかりのエアコンから冷たい風がふく。
2008-10-20 11:24:00 -
166:
◆tRd/QWYm5M
「何の用?」「明日霊界送りするけどついてくる?あれから霊界送りした?」「まだ」「んじゃ着いて来いよ?明日朝迎えに来るから」ポンポンっと私の肩を叩きドアを開ける。「迎えにってどこに?」「ん?あぁ分からない」「何時?」「適当」そう言って部屋から出ていってしまった。立ち上がり部屋を出て階段を降りた時に、玄関のドアが閉まり玄関にいた母が私に視線を向けた。
2008-10-20 11:32:00 -
167:
◆tRd/QWYm5M
朝5時過ぎに目が覚めた。陽に会えるんだ…。まだ母も父も眠っている家は静かで、脱衣場で顔を洗い歯を磨き部屋に戻り服を着替えた。半分開けていた窓を全開にし、網戸を開けベランダに出る。薄明かるくなりはじめた空を見上げる。
2008-10-20 11:42:00 -
168:
◆tRd/QWYm5M
閑静な住宅街。道にはまだ誰もいなくて、起きたのがやたら早すぎた事に今頃気づいた。ん?胸元が光っている事に気付き視線を向けると、霊界石が強く光っている。え…これって、霊界送りするって事?気を集中させ、0にしていた霊感を戻すと家の前の道に霊がたくさん集まっているのが見える。
2008-10-20 11:48:00 -
169:
◆tRd/QWYm5M
いつも見る霊とはあきらかに違うの気がした。霊が集まるとか聞いた覚えなんてない。あきらかに家の前に集まっていて、家に入ってくるような…集まった霊達がゆっくりとこちらを向き体を浮かせベランダに立っている私の所へと近づいてくる。何かが違う…先生はこんな事言ってなかった。
2008-10-20 11:53:00 -
170:
◆tRd/QWYm5M
動く度に揺れる霊界石は、光りが強くなっていき、私の周りに集まっていく霊達が一体一体少しずつ少しずつ光りだす。
2008-10-20 12:34:00 -
171:
◆tRd/QWYm5M
空は薄明かりから次第に朝に変わっていく。建物を照らす朝日が街を照らす。その光りとはあきらかに違う光りが、体を動かす度、歌を歌う度に少しずつ少しずつ上空へとのぼっていく。 ―あぁ―――――。もがく霊達は光る事を必死に拒んでいる。腕を伸ばし【霊界送り】を止めようとしている。私は、体に【決壊】をはり、踊りをやめなかった。霊達に同情してはならない。霊界送りはやめてはいけない。
2008-10-20 13:02:00 -
172:
◆tRd/QWYm5M
体を回転させた時、足をつかまれた。「?!」歌を止めてしまい視線を足に向けると一体の霊が私の足を掴み爪をたてている。どす黒い影のような霊。爪だけが白く光って見える。決壊をはっていたにも関わらず、霊が足をつかんでいる。足を動かそうとするたびに、爪が皮膚にめり込む感じがして、痛みが体中に走る。
2008-10-20 13:08:00 -
173:
◆tRd/QWYm5M
空に上がりだした霊達が歌を止めたせいで、光りを弱めながら降りてきて、私の体に次々にしがみついてくる。決壊はあっさりと壊され、寒気とうめき声が口から入って、次第に視界が暗くなってきた。
2008-10-20 13:11:00 -
174:
◆tRd/QWYm5M
体は重く立っている事さえ困難になり、膝をつく。―ぁぁぁ―。体の中からうめき声が聞こえ、息があがる。手を動かそうとしても足を動かそうとしても、とてもじゃないけれど動かせない。…陽…うすれゆく意識の中で彼の名前を強く思った。
2008-10-20 13:14:00 -
175:
◆tRd/QWYm5M
感じた事のない恐怖が襲う。【金縛り】とはこの事をいうのか。いつか言っていた霊界使いが体を乗っ取られる。まさに今、私はその状況。霊界石が光ったのは危険を教える為だったのか、それとも私が霊界使いとしてここにいるのが間違えていたのか。
2008-10-20 13:18:00 -
176:
◆tRd/QWYm5M
視界は完全に暗くなった。意識はかろうじてあるが、何も考えれない。立っているのか倒れているのかさえ分からない。
2008-10-20 13:21:00 -
177:
◆tRd/QWYm5M
―あぁぁぁぁ――うめき声がまた聞こえた。強い光りが視界に広がると同時に体が熱くなり、動くようになった。体内に入ってきた霊が次々と空中に弾き飛ばされていく。私は、急いで霊界送りをまた始め痛む足を動かし、手を空へと向けると一気にそこにいた霊達が光りどこからともなく現れた霊界バスが上空にあがった霊達を吸い込みすごい速さで飛んでいってしまった。
2008-10-20 13:27:00 -
178:
◆tRd/QWYm5M
足元を見ると私は少し浮いていた。髪が青くなっていて体が光っている。なぜこうなったかは分からない。息を吐くと同時に浮いていた体がゆっくりとベランダの上に着き、額からは冷や汗が出ていた。
2008-10-20 13:33:00 -
179:
◆tRd/QWYm5M
鳥のさえずりとセミの声が響き、挨拶を交わす近所のおばさんの声が聞こえた。捕まれた時にめり込んだ足元を見ると、赤くなっている。初めての霊界送りは私に恐怖だけを残した。
2008-10-20 13:38:00 -
180:
◆tRd/QWYm5M
「お前よく回避したな」声がした。視線を向けると屋根の上に腰かけながらタバコを吸う陽が私を見ている。「いつからいたの?」「ついさっき。お前空術つかえるんじゃん」「使えないよ」「さっき浮いてた」見てたなら助けてと言いたかったけど、またばかにされると思い言わずに黙った。【空術】をつかいここまで飛んできたのだろう。陽はタバコを屋に押し当て火を消すと、ひょいっとベランダの上に降りてきて私の頭をぽんっと叩く。
2008-10-20 13:45:00 -
181:
◆tRd/QWYm5M
「見に来なくても大丈夫そうだな。俺、1人で行ってくる」「えっ、私は?」飛んで行ってしまいそうな陽は、私の一言で振り向く。一緒に行きたい…「霊界送りちゃんと出来ただろ?別に…「そっか…」最後まで言わせずに私はそう答え、背を向け窓から部屋に入ろうとした。
2008-10-20 14:47:00 -
182:
◆tRd/QWYm5M
風が吹き陽の香りが混じり、ふと振り向くと陽の姿はそこにはなかった。また会えるか聞いておけばよかった…。
2008-10-20 14:52:00 -
183:
◆tRd/QWYm5M
早くに駅に着いた。霊感を解放したままなので、あちこちに霊を見る。駅から出ると頭上には重たい雲が太陽の日差しを隠すように広がり、今すぐにでも雨が降りそうな感じがする。「冬月さん?」呼んだのは担任の先生。いつも小綺麗にしていて学校で人気がある美人教師。肩に大きなカバンをかけ細い腕が折れてしまいそう。「おはようございます」「えらく早いのね?冬月さん部活には入ってないでしょ?」先生と一緒に学校まで行く事になった。2008-10-20 15:01:00 -
184:
◆tRd/QWYm5M
霊界石は霊界使いだけがつけているはず…でも先生の額には名前が浮き上がってきてない。それに【冬月】という名前でもない。一体何で、先生の首に霊界石がついているのだろう。
2008-10-20 15:15:00 -
185:
◆tRd/QWYm5M
ふと気になった事がある。「先生?彼氏いますか?」何故かふいに気になった。先生は突然の質問に少し驚いている。「何?急に(笑)」照れ笑いする先生。「もしかして彼氏さん名字冬月っていいません?」私がそうはなすと、先生は目を丸くして私を見る。
2008-10-20 15:18:00 -
186:
◆tRd/QWYm5M
言わなくてもそれが答えだった。「同じ名字だけど、親戚でもないのは彼に聞いたからなの。最初はびっくりしたけど冬月なんて珍しい名前ではないし」「下の名前は何ていうんですか?」聞いたのは、嫌な予感がしたから。でも、まさか、陽なわけはない。他の霊界使いだろう。
2008-10-20 15:22:00 -
187:
◆tRd/QWYm5M
ふいに胸が痛む。なんだろう‥なんでこんなに痛むのかな…
「冬月…陽っていうの」
先生は少し頬を赤らめ私に話した。紛れもなく、陽という名前を私に話した。誰にも内緒だと口止めをして。2008-10-20 16:36:00 -
188:
◆tRd/QWYm5M
先生の胸に光る霊界石は、見えない御守り。霊界使いが離してはならない大事な石。きっと今、陽がつけているネックレスは新しい物。陽は会ってない時間も先生を守ろうとして…どくん・・・胸が痛い。
2008-10-20 16:38:00 -
189:
◆tRd/QWYm5M
「すいません。私、寄る所があるので」私はそのまま先生から背を向け駆け足で走り出した。先生の言葉を無視して。この時間、車が忙しく走り、歩いてる人はそれぞれの【場所】に向かい、私はその中を1人まるで逆走しているように走る。
2008-10-20 16:41:00 -
190:
◆tRd/QWYm5M
どこへ向かっているのかさえ分からずに、ただ足を進めふいに足を止め息を整える。来たこともない通りに入ると、野良猫が呑気に毛を舐めている。
2008-10-20 16:44:00 -
191:
◆tRd/QWYm5M
細い道は車一台がやっと走れる幅で、お婆さんが杖をつきながら背を丸めゆっくり私の横を通りすぎた。霊感を0にしてゆっくりと歩いていく。
2008-10-20 16:46:00 -
192:
◆tRd/QWYm5M
陽がくれたキスは、ただの挨拶程度でしかなく、陽が私に微笑みを見せたのも頭をぽんと叩いたのも、何の意味ももたないものだった。
2008-10-20 16:48:00 -
193:
◆tRd/QWYm5M
私は、霊界石に手を伸ばしぐっと掴んで力いっぱい引っ張ると、プチッという音と共にネックレスのチェーンがちぎれ、指輪を外し近くに流れている川に投げ捨てた。
2008-10-20 16:52:00 -
194:
◆tRd/QWYm5M
━学校にも行かずに、電車に乗り私が住んでる市で一番都会の駅で降りる。オフィス街が並んでいる為、スーツ姿がやたら多く、足早で行き交う。学校には行く気になんてとてもじゃないけどなれなかった。陽の恋人である女が自分の担任だなんて。霊感を0にしたままオフィス街には不似合いな制服姿で歩いていた。
2008-10-20 18:56:00 -
195:
名無しさん
面白い??
気になるぅ?2008-10-20 18:57:00 -
196:
◆tRd/QWYm5M
どんっ―――。…ぼぉっとしていたせいなのか、前から現れた人にぶつかり鞄がコンクリートでできた道に滑り落ちる。足を止め鞄に手を伸ばそうとすると、軽々と鞄を持つ手が視界にとびこんできた。「何やってんだよ?」見ると、陽だった。
2008-10-20 19:00:00 -
197:
◆tRd/QWYm5M
どくんっ。 胸が締め付けられたように痛む。陽は真顔で私を見ている。「ありがとう」無愛想に話し、陽の手から無理やり自分の鞄を奪い、横を通りすぎた。 ぐいっ。肩をつかまれたせいで立ち止まると、陽は私の前に立ちじっと目を見る。
2008-10-20 19:04:00 -
198:
◆tRd/QWYm5M
忙しく足を動かす中で、ただ私と陽だけが立ち止まっていた。四車線の道路にある信号が赤に変わりゆっくりと車が停まっていく。頭上に広がる黒くどんよりした雲からは、小雨がパラパラと降りだしてきた。
2008-10-20 19:09:00 -
199:
◆tRd/QWYm5M
「何?」つい感情的になり、苛立ちを陽にぶつける。「何?じゃねぇよ。お前が何なんだよ」「何が?」陽の視線が私の首もとでふと止まる。「お前…ネックレスは?」「さぁ知らない。じゃあ」足早にその場から立ち去ろうとする。降ってくる雨が頬にあたり、弾けた。こんな時に会いたくなかった。
2008-10-20 19:13:00 -
200:
◆tRd/QWYm5M
青になるのを待つ車に乗った人や、通りすぎる人が私に視線を向ける。この場所にあきらかに不釣り合いだと思っているんだろう。ぎゅっ。腕を捕まれ気づけば無理やり振り払っていた。「離してよ!」「何があったんだ?」何も知らない陽は、心配そうな顔で私を見ていた。
2008-10-20 19:17:00 -
201:
名無しさん
気になる
2008-10-20 19:46:00 -
202:
◆tRd/QWYm5M
…彼女いるのに何で‥何で…口から飛び出しそうな言葉を飲み込み、私は陽を睨んでいた。━ドクン━ 何も知らない陽は、私を見つめてる。「何なんだよっ?」ポタッ。雨が頬に当たりまた弾ける。陽が視線を私の目から反らし、私の背後に向け目を丸くしていた。
2008-10-20 20:54:00 -
203:
◆tRd/QWYm5M
信号は赤から青へと変わり停まっていた車がゆっくりと動き出した。陽は私の背後を見たまま動かない。「何?」話しかけると陽は、腕を伸ばし私の腕を握り自分の方へと引き寄せた。すごい力で、ふりほどく事が出来ない━。 「痛いっ、離してよ!」「なんだよあれ…」「あれって?」視線を向けても見えるのは普通の風景でしかなく、何の変わりもない人がただ傘をさして歩いているだけ。
2008-10-20 21:01:00 -
204:
◆tRd/QWYm5M
どんっ。後ろから歩いてきた人にぶつかり、視線を向けると眉間にシワをよせながら一瞬私を睨んで通りすぎるサラリーマン。「ねぇ、離してったら」「なんだよあいつら…」陽の顔は完全に焦っている。
2008-10-20 21:04:00 -
205:
名無しさん
主目を丸くしてっての好きやなワラ
2008-10-20 21:05:00 -
206:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。目を丸くしてって表現変えた方がいいですよね。ありがとうございます。こういう読み手さんの書き込みは本当に勉強なります。
2008-10-20 21:11:00 -
207:
◆tRd/QWYm5M
陽の表情があきらかにおかしい。私は【霊感】を解放して視線を向けると、黒い人の形をした大量の影が次々に空から降りてきて、こちらに向かってゾロゾロと近づいてきている。他の人には何も見えていないのが歩いている様子で分かる。動く車や、人に黒い影が次々と飛び乗り散らばっていく。今朝見た黒い影と同じだ。
2008-10-20 21:16:00 -
208:
◆tRd/QWYm5M
陽の霊界石が光っている事に気づく。「光ってる…」ざんっ。という音を私は足から聞いた。黒い影がアスファルトに混じり徐々に私の足に広がる。影。影。
2008-10-20 21:20:00 -
209:
◆tRd/QWYm5M
キーッ。バンッ―。ブレーキ音が鳴り、衝突音と同時に車窓が激しく散らばる。ハンドルを切りすぎたせいで車がビルに突っ込んだのだろう。車は真っ黒な影でおおわれていた。
2008-10-20 21:24:00 -
210:
◆tRd/QWYm5M
じんっ。痛みは次第に足首から脹ら脛に達し、痛みと共にどす黒い影が太ももまであがってくる。冷や汗が落ちてきた雨に混じり頬から胸にかかった髪へと落ちた―。空から降ってきた 黒い影が次々と誰かの背中に乗っていく。傘をさして歩いていく誰か。信号待ちをしている誰か。ビルに突っ込んだ車を見ている誰か。携帯を片手に歩く誰か。
2008-10-20 21:39:00 -
211:
◆tRd/QWYm5M
【空】は【三途の川】を意味している。黒い影は【三途の川】から降りてきた。―あぁぁぁ…―。人には聞こえないうめき声が痛く響く。頭上を見上げると空中で陽が【霊界送り】を始めていた。ふわっ。足全体に広がった影が少しずつ光り私の太ももから脹ら脛に下り、足首からアスファルトへと下がっていき痛みがなくなった。
2008-10-20 21:44:00 -
212:
◆tRd/QWYm5M
陽が体を動かす度に黒い影が光り、少しずつ少しずつ上に上がりはじめた。【誰か】の背中にのしかかる影がゆっくりと剥がれるようにはなれていく。誰も陽が【霊界送り】をしている事に気づいてる様子もなく、黒い影に気づく事もなく、行くべき場所へ歩いていく。
2008-10-20 23:34:00 -
213:
◆tRd/QWYm5M
雨が止むと同時に空から日光が糸状にいくつも差し込み、霊界バスが上空に上がった光りを吸い込み消えていった。陽の体から光りが消え、陽はどこかのビルの屋上へと姿を消してしまった。
2008-10-20 23:38:00 -
214:
◆tRd/QWYm5M
「何してたの?」―家に帰るなり母が私に怒鳴った。学校から連絡があったのだろう。時間を適当につぶし、いつもの時間に帰宅した私は、母にただ理由も言わすに謝る。「理由を聞いてるの」「理由なんてない「進級できなかったらどうするの?休むなら休むで構わないから家にいなさい」母はリビングへと戻り私は部屋へと向かう。
2008-10-20 23:42:00 -
215:
◆tRd/QWYm5M
月光が差し込んだ部屋の灯りをつけ、勉強机の椅子に腰掛け引き出しを開ける。取り出した一本のタバコは昨日陽が吸おうとした時、取り上げた物。(冬月陽というの)今朝先生が照れくさそうに話した姿が甦る。…ズキン…ズキン…陽が私に向けた笑顔、抱き締めた腕、横顔、後ろ姿…考えると胸が痛くなり、手のひらにタバコを乗せ、ぎゅっと握って、おでこに拳を当てた。
2008-10-20 23:51:00 -
216:
◆tRd/QWYm5M
…ふっ…風に紛れて甘い香りがして窓を見る。開けたままの窓から吹き込んだ風が静かにレースのカーテンを揺らしている。
2008-10-20 23:57:00 -
217:
◆tRd/QWYm5M
窓際に行き、網戸を開けた時ベランダの上に光る何かを見つけ素足で出る。そこには、川に投げ捨てたはずのネックレスと指輪がおかれてある。
2008-10-20 23:59:00 -
218:
◆tRd/QWYm5M
拾い上げようと伸ばした手から、タバコがはらっと落ちた。足元に転がり落ちたタバコはぐにゃりと折りまがり、中からこぼれた葉っぱが手のひらにくっついて手で払い除けると風と共に飛んでいく。
2008-10-21 00:02:00 -
219:
◆tRd/QWYm5M
夜なのにセミがまだ少し鳴いていた。拾い上げたネックレスと指輪を見つめ、辺りを見渡す。道、屋根、空隣の家、向かいの家。どこにも誰もいなく、道では、犬の散歩をする人が歩いていた。
2008-10-21 00:05:00 -
220:
◆tRd/QWYm5M
ベランダの手すりに手を置き、そこから見える景色をただ眺める。霊界使いの意味も、霊界送りの意味もまだよく分からない。でも、いつか、いつか分かる時がくるのかな…。陽は…彼は私を好きなわけがない。キスくらい…それくらいきっと何でもない事だったんだ。…じゃあ、なんで、私にわざわざ会いに…霊界神様が呼んだからだ…
2008-10-21 00:09:00 -
221:
☆
読んでまーす(^^)/
2008-10-21 00:12:00 -
222:
◆tRd/QWYm5M
夏休みに入った―。掃除機をかける音と強い日差しで目が覚める日々。母がカーテンをいつも開け、掃除を勝手に始める。エアコンは消され起きるといつも汗でパジャマが肌にひっつき、気色悪い。昼前に起きるとすぐシャワーを浴び濡れた髪にタオルを巻き、リビングでジュースを飲む。二階では母が掃除を忙しくしている。テレビはどのチャンネルもくだらなく、すぐ消してソファーにもたれかかり何をするわけでもなく、エアコンから吹き出す冷風にあたる。「礼子―」いつも呼ばれ、いつも二階へ上がる。2008-10-21 00:21:00 -
223:
◆tRd/QWYm5M
毎日毎日目覚めは最悪。二階に上がれば―女の子なんだから―だの―ちょっとは早く起きて手伝ってちょうだい―だの毎日毎日聞かされる。なんだろう、母の一言一言がうざったくてやる気になんてなれない。その日もいつものように二階へ上がった。
2008-10-21 00:32:00 -
224:
◆tRd/QWYm5M
5霊 恋
2008-10-21 00:40:00 -
225:
◆tRd/QWYm5M
「今日から2日間、お父さんと旅行に行くから礼子1人でも大丈夫でしょ?」寝室で母はボストンバックに服をたたみながら次々と詰めていく。「え?どこに?なんで?」「結婚式があるって前から言ってたでしょ?カレー作ったからそれ食べなさい」忙しく手を動かす母は私を見るわけでもない。そういえば前に結婚式があるとか言っていた。誰のだっけ―。どんな理由にせよこの家に2日も1人だというのが嬉しかった。ゆっくり眠れる。
2008-10-21 00:50:00 -
226:
◆tRd/QWYm5M
父が駅で待ってるからと言い残し、母は私にお金を手渡し家を出ていった。 鍵をかけリビングのソファーに座り、そのまま横になった。1人が好きな私にとって何よりもの贅沢。
2008-10-21 00:52:00 -
227:
◆tRd/QWYm5M
しんとした部屋で、一瞬気がゆるみあの人を思い出した。ふとした時、陽を思いだしかきけすように違う事を考えるのが【癖】になっていた。あれから陽を見る事もなければ陽が家にやって来る事さえない。夏休み前まで、先生を見ると胸が痛くなり、できるだけ見ないようにして過ごしていた。
2008-10-21 00:56:00 -
228:
◆tRd/QWYm5M
【霊界送り】はあれから一度だけした。二度目の霊界送りはあっさりと出来、疲れる事もなかった。いつになったら【天使】が現れ、空術を覚える事ができるのだろう。「交換します」いきなり声がして飛び起きる。目の前に全裸の女が立っていた。透き通る肌に真っ白な髪、体は宙に少し浮いている。
2008-10-21 01:03:00 -
229:
◆tRd/QWYm5M
女は手に霊界石を持っていた。【天使】だろう。それにしても、なんというか…綺麗な人…女は私の胸元に手を当てると、霊界石が少し光り手を離した。「それは空術を使える石です」慌てて石を見る少しだけ石が大きくなっていた。触れてもいないのに天使はいつのまにか替えていた。「あなた様の成長を霊界神様は楽しみにしておられます。空術は石に手を添え、空術と唱えれば浮く事ができます。思った所まで石が誘導してくれます。三途の川には霊界バスを使ってください」それだけ話すと天使はふっと輝き姿を消した。
2008-10-21 01:10:00 -
230:
あかり
コレめちゃめちゃ好き?
主さん頑張って??
続き楽しみ?2008-10-21 02:06:00 -
231:
名無しさん
続き楽しみにしておりますm(_ _)m
2008-10-21 02:31:00 -
232:
◆tRd/QWYm5M
行きたい場所―真っ先に陽の姿が頭に浮かぶ。でも―彼は…陽は先生という彼女が…「はぁ」ため息を吐きながらまた横になり、いつの間にか私は眠っていた。 目が覚めると、外は暗くなっていた。月光が青々と部屋を照らしている。起き上がり電気をつけ、冷蔵庫に入ったカレーの鍋を火にかける。2日分にしてはやたら多い。1人で夕食を済まし、お風呂に入った。
2008-10-21 02:35:00 -
233:
◆tRd/QWYm5M
この季節、髪を乾かさない方が涼しく気持ちがいい。リビングのエアコンを止め二階の部屋へと足を進める。自室に入り電気をつけ、ドアを閉める。―静かだ。なんという心地よさだろう。この時間はエアコンも必要ない。窓から吹く風が丁度いい温度にしてくれる。
2008-10-21 02:39:00 -
234:
◆tRd/QWYm5M
…行きたい所なら…たどり着きたい場所なら…陽の所へ。 気持ち伝えなければ、会うだけならば、話すだけならば― カラカラッ。窓を全開にし、網戸を開けベランダへと出ると、ぶわっと強い風が吹いた。すぐさま屋根を見る。彼の姿はない。【空術】を使い、今すぐにでも……会う理由なんて…なにもない。今頃きっと先生と一緒にいるのかな。
2008-10-21 02:44:00 -
235:
◆tRd/QWYm5M
「あれ?空術使える霊界石じゃん」目の前に陽がいた。ベランダの前に浮いて、手すりに頬杖ついている私のすぐ近くに顔がある。――???――胸の痛みより会えた事と突然現れた事に驚いた。陽は巧みに笑いいきなり私の両手をつかみ、ふわっと上に飛ぶ。…ドキン…体の中があったかくなり胸がきゅんとする。
2008-10-21 02:53:00 -
236:
◆tRd/QWYm5M
屋根の上に降り、腰を下ろす。月光が陽の横顔を青く照らしている。「空術は?試した?」「まだ…今日初めて天使と会った」「お前まだひよっこだからな(笑)でも、まぁよかったじゃん!」ひよっこと言われ、何だか嬉しい。…今は、ただこうやって話しする位なら…先生の顔が浮かび、うつむいた。「ん?」顔を覗き込み目が合い、私は少しだけ顔を離す。陽は、笑う。私は、視線を反らす。胸がドキンとしてむず痒い。
2008-10-21 03:01:00 -
237:
◆tRd/QWYm5M
聞きたい…でも聞くのが怖い…━━先生の事好き?━━私になんでキスしたの?━━なんで会いに来るの?━━━ 口に出してしまえば、陽はどんな顔をして何を話し私はそれに対して冷静な顔をしていられるだろうか。
2008-10-21 03:04:00 -
238:
◆tRd/QWYm5M
陽はタバコを口にくわえ、手で風をよけ火をつける。吐き出した煙の匂いがやけに心地よい。苦手な匂いだったはずなのに。「なぁお前ってさ、彼氏とかいねぇの?」「は?」「ん?彼氏だよ彼氏。いねぇの?」「いないよ」「好きな奴とかも?」━━あんただよ━━頭ん中で答える。「何で?」「いねぇのか?」「いるよ」「そか。まぁ適度に恋はしてもいーけど、本気になんねぇ方がいい。霊界使いは、使命を終えたら魂だけ霊界へと戻るからな。他の魂が記憶と体を受け継ぐけど、何か嫌だろ」
2008-10-21 03:12:00 -
239:
◆tRd/QWYm5M
あっさりと陽が私を想っていない事が分かり、傷つく。あんたが好きだと言えばきっとこの答えなんて出るわけない。「霊界使いに恋した事ない?」「は?あるわけねぇ。っつうか俺霊界使いお前にしか会ってねぇし(笑)お前は可愛い妹みたいな感じだしな(笑)」無邪気に笑わないでよ…
2008-10-21 03:17:00 -
240:
◆tRd/QWYm5M
「ねぇ」「ん?」「なんで…」「ん?」「なんでキスしたの?」「あ?キス?」「前に」「あぁそーいやそんな事したな」「なんで?」「わかんねぇ、したくなったから「したくなったら誰にでもするんだ「は?なんで?「軽いね(笑)彼女が可哀想だよ」 言葉にしながら胸がひどく痛み、泣いてしまいそうになりながら必死に笑った。何でもない【振り】を見せる。
2008-10-21 03:21:00 -
241:
◆tRd/QWYm5M
「心が繋がってるからいいんだよ彼女とは」「いってる事無茶苦茶だね」「何が?「霊界使いは本気にならねぇ方がいいって…それなのに陽は彼女に本気なんだね。本気なのに私にキスしたりして彼女が可哀想じゃん!」「あぁだるい」「何が?!」「お前は違うと思ったのに、結局お前も他の女と同じだな。つまんねぇ」「軽い男なんか大っ嫌い。気持ち悪い」勢いよく立ち上がった。不安定な屋根の上で少しバランスを崩すと、陽が手をつかんだ。
2008-10-21 03:27:00 -
242:
◆tRd/QWYm5M
力いっぱい振りほどき、霊界石を掴み「空術」と唱える。体がゆっくりと浮き私はそのまま、とにかく飛んだ。とにかくここから離れたい。ズタズタに切り裂かれたような感覚は涙に変わり溢れた。
2008-10-21 03:30:00 -
243:
名無しさん
更新されてりゅ??
2008-10-21 03:31:00 -
244:
◆tRd/QWYm5M
…?…この感覚知ってる。でも分からない。「離してよ!」ぐいっ━。陽は体から手を離し、私の体を自分の方へと向け、私の涙を見て驚く。私は顔をそらす。「何泣いてんだよ「泣いてないし「目から涙出てますけど「泣いてないしあんたみたいな軽い男嫌いやし気持ち悪いから今後一切目の前に現れないで!」気づけば怒鳴っていた。怒鳴った後に気持ちとは逆に胸が痛む。
2008-10-21 03:40:00 -
245:
◆tRd/QWYm5M
陽は少しだけ寂しい顔をした。ポンッ。私の頭を軽く叩き「じゃあな」それだけ言うと、すーっとどこかへ飛んで行ってしまった。
2008-10-21 03:43:00 -
246:
◆tRd/QWYm5M
私は家に戻る。髪はいつの間にか乾いていた。悔しくて悲しくて涙がまた溢れる。聞くんじゃなかった…やっぱり陽はキスは何にもない事だった。妹みたいな存在でしかなかったんだね…。なんとなく分かってた。なんとなく感じていた。でも、言葉にされるとこんなにも辛いんだ…。私は、こんなに好きなのに、何で陽は私を好きではないの?どうして先生を大事に想ってんの?
2008-10-21 03:48:00 -
247:
◆tRd/QWYm5M
何も知らない私は、ただ傷つき泣いていた。
2008-10-21 03:50:00 -
248:
◆tRd/QWYm5M
6霊 目の前で消えゆく霊界使い
2008-10-21 03:51:00 -
249:
◆tRd/QWYm5M
肌寒い季節が来た。昨日、体育祭が終わったばかり。今日は休み。彼の事はもう思い出さないようにした。あんな最低な奴、好きでいるだけ情けないもん。新しい恋をしなけりゃ。無理に自分の気持ちを否定していた。先生を見る度に胸が少しだけ痛む。少しだけね。 秋晴れにふさわしい空。珍しく1人で外出。秋服を着てバスに乗り込む。
2008-10-21 04:14:00 -
250:
◆tRd/QWYm5M
海が見たくなった。急に何故か見たくなった。バスターミナルで降りた時、時計台の鐘が12時を教える。昼飯時でターミナル付近に立ち並ぶ飲食店に次々と人が入っていく。私は家で早めの昼食を食べた。昨日の晩御飯の残り物。母は町内会の用事で家を留守にしていた。帰宅は夕方になると、置き手紙がテーブルに置かれていた。祝日なので父は、ゴルフに出掛けた。この季節が一番ゴルフに向いているらしい。
2008-10-21 04:22:00 -
251:
◆tRd/QWYm5M
更新終わります。書き込み本当にありがとうございます。
2008-10-21 04:57:00 -
252:
◆tRd/QWYm5M
プシューッ。電車の扉が閉まり私はあと一歩というところで乗り遅れてしまい、近くにあるベンチで次の電車を待つ事にした。改札へ続く階段に向かう人に視線を向けて背もたれにもたれかかる。「あら?あなた…」階段からホームに辿り着いたばかりの美雪が私に気付いた。【三途の川】以来の再会だった。美雪は流行りの服装をしている。「この街に住んでるの?」美雪は微笑んでいた。頷く私の隣に腰を下ろし、売店で買ったチューイングガムを一粒口に運ぶ。
2008-10-21 09:12:00 -
253:
◆tRd/QWYm5M
「美雪さんは?」「私は、さっき(霊界)送りをしたところで今から海でも見ようかなと…この街は近いけど全然来た事なくて」美雪の答えに驚く。海に行こうという考えが同じだったからだ。美雪は【三途の川】の時よりもどこかしら貫禄ができていた。流行りの服がよく似合う。
2008-10-21 09:16:00 -
254:
◆tRd/QWYm5M
「礼子さんは?」「私も海に行こうと思ってたの」「なら一緒にどう?誰かと待ち合わせとかならいいけど」「私も1人だし、一緒に行こう」ひょんな事から美雪との同行が決まった。
2008-10-21 09:19:00 -
255:
◆tRd/QWYm5M
「霊界送りはどう?」「まだ二回しかできてなくて…やっと夏休みに空術が使える霊界石に変わった」「三途の川へは?」「一度だけ陽という霊界使いと一緒に行った」「陽さんってもうすぐ霊界へ行ける方でしょ?凄い霊界使いなんだってね」どこからそんな情報を仕入れるのか美雪は陽を知っていた。「会った事は?」「私は、会った事ないけど天使から聞いた事がある。基本的に霊界使い同士こうやって会話する事が珍しいと先生に教わった」
2008-10-21 09:55:00 -
256:
名無しさん
モバの小説で書いて欲しい??
絶対ランキング上位行くと思う?
気がむいたらお願いします?2008-10-21 14:04:00 -
257:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。
ここに載せたんですが、ホムペつくったんですね。だからそっちに小説をいつか書けたらな。と思ってます。ランキング上位なんて絶対無理ですよ。。でもありがとうございます。2008-10-21 15:07:00 -
258:
◆tRd/QWYm5M
目的地までの道程、車窓から見える景色よりも気付けば美雪との会話を楽しんでいた。不思議だった。人見知りで、人との会話を苦手とする私が、【霊界使い】とは会話ができる。見えない何かがあるのか、同じ境地に立っているからなのか。美雪が言っていた(陽はもうすぐ霊界に戻る)という言葉がやけに気になった。霊界に戻れば人間界での記憶はなくなり、以前の霊界での記憶だけが戻る。陽の魂と代わり新しい魂が陽の体に入るが、霊界使いでの記憶は、無くなり私と出会った事さえ失われてしまう。逆にその方がいいけど…でも…
2008-10-21 15:53:00 -
259:
◆tRd/QWYm5M
ザブン…。波が砂浜に押し寄せ、引いていく。誰もいない砂浜に波の音と、海近くを走る電車の音が響いていた。美雪と2人でテトラポットまで会話しながら歩き、腰をおろした。吹く風は潮の香りが混ざっていて少しだけべとついている。「綺麗ー」「美雪さんは、不思議に思った事ない?」「何が?」「霊界だの三途の川だの私は人間が作り上げた空想のものだと思っていた。霊は小さい頃から見えてたけど、でもそれが自分が頭の中で勝手に強く想像して、影とかが人の形に見えてるんだと今でもたまに思う」 一隻の釣り船が、遠くの方に見える。
2008-10-21 16:02:00 -
260:
◆tRd/QWYm5M
自動販売機で買ったジュースの蓋を開け、口をつける。「そう思った事もあるけど、先生にお会いして、三途の川で修行を受けて、霊界送りをして…使命とか未だに何なんだろうと思う事もあるし、逃げ出したいと思う事もある。霊界送りなんて、簡単な事じゃないしつかれるし…それでも霊界送りしないと、人は生まれ変われない。私は、また地界に戻る魂だけど…こうやって人間としての楽しみも味わえるんだし、空を飛ぶ事だってできる。初めて空を飛んだ時、怖いどころか楽しかったもの… でも記憶を失う事が何よりも怖い」
2008-10-21 16:08:00 -
261:
◆tRd/QWYm5M
「記憶失うの…私も怖い…知らない魂が私の記憶を受け継ぎ、私として生きていくんだよね?」「寂しいよね…でもまぁ友達なんていないし考えても仕方ないんだけどね(笑)」「初めて美雪さんに会った時、嫌われたと思った」「ごめんね(笑)あの時は(笑)」「うぅん。今日会えてなんだか嬉しかったの。こうやって女の子と会話したの初めてだったから」
美雪は笑っていた。三途の川での美雪とはあきらかに違い、優しい笑顔。2008-10-21 16:13:00 -
262:
◆tRd/QWYm5M
夕焼けの赤色が海を染める。夏とは違い早い。美雪と色んな事を会話した。霊界送りの事、家族の事、恋話も。 女の子との会話はこんなにも楽しいとは知らなかった。普通の女の子になれた気がして、帰るのが嫌にもなる。2008-10-21 16:17:00 -
263:
◆tRd/QWYm5M
「また会える?」家の方向が逆で、改札を入った所で立ち止まる。美雪が私にそう話した。「空術を使って会いに行くよ」「私も時々行ってもいいかな?」「うん。いつでも来て」手を振り合いお互いホームへ続く階段へ足を向ける。2008-10-21 16:21:00 -
264:
◆tRd/QWYm5M
ホームにたどり着くと丁度美雪の乗る電車が走りだし、車窓から美雪が私に笑顔で小さく手を振り、振り返す。
美雪との再会はその後すぐになる事も、別れが待ってる事も知らず浮かれた気分で家路へと続く電車に乗り込んだ。2008-10-21 16:24:00 -
265:
◆tRd/QWYm5M
二日後━。強い光が夢の中から私を目覚めさせた。月光とは違う光は霊界石から。いつもとは違う強い光。体を起こすと、目の前に天使がこちらを向いて立っている。
2008-10-21 16:29:00 -
266:
◆tRd/QWYm5M
さっ…。一瞬強く光り、天使は消えてしまった。霊界石の光りだけで部屋はいつもゆり明るく、これだけ強い光りは初めてで、霊界送りだと私は思い服を着替えベランダへと出る。外気は真冬並みに寒く、着ていた上着では寒さを凌ぐ事ができない。
2008-10-21 16:37:00 -
267:
◆tRd/QWYm5M
静かだ。霊感を解放し辺りを見渡す。霊界石は光りで東をさしている。なんだろう…あっちって事?…私は空術を使い、光りが指す方へと飛んでいく。寒さで手がやけに痛む。
2008-10-21 16:42:00 -
268:
◆tRd/QWYm5M
美雪と来た海を通り越し、光りは更に東を指していた。街は寝静まっていて、電気はちらほらとついているだけ。道路を走る車の数も少ない。
2008-10-21 16:47:00 -
269:
◆tRd/QWYm5M
山を越えた時、ある場所から空に向かってやけに明るい場所が見え、光りはそこを指していた。スピードを上げ飛んでいくと、他校の女子校のグラウンドが見えてきて私は降りようとした。黒い影がグラウンドの真ん中に集まりその隙間から強い光りが糸状にいくつも空へと指している。空を見上げると空からもか細い光りの糸がグラウンドに向けて指している。
2008-10-21 16:52:00 -
270:
◆tRd/QWYm5M
「霊界…送り…」言葉にしたとたんに、霊界石から光りが消えてしまった。どす黒い影が光りに向かって次々とのしかかるようにも見え、私はゆっくりとグラウンドに降りる。
2008-10-21 16:54:00 -
271:
◆tRd/QWYm5M
「あぁっ!」群がる影の中から女の声がした。光りの中から手が見え、影が手に絡み付き黒くなっていく。ふと脳裏に美雪が浮かんだ。「美雪さん!」私は走って影に近づくと群がる影が少しずつこちらに向かい地面から伸びてくる。
2008-10-21 16:58:00 -
272:
◆tRd/QWYm5M
霊界送りしていて、こうなったんだ!
走りながら手を合わせ体に強い決壊をはった。また壊されるかもしれない。それでも助けなきゃ。「空術」霊界石に手を触れると石が光ると同時に一気に体が上空へと浮き始める。空中で私はゆっくりと【霊界送り】を始める。2008-10-21 17:02:00 -
273:
◆tRd/QWYm5M
空中で体を回転させると、黒い影が少しずつ光りだし、ふわっと浮き始める。手を動かすと更に光り、うめき声が少しずつ小さくなる。影は必死に抵抗して、グラウンドの中心から離れようとしない。歌を歌う度空が明るくなり光りの糸と糸が重なり強い光りへと変わっていく。
2008-10-21 17:06:00 -
274:
◆tRd/QWYm5M
黒い影は次々と光りながら上空へとあがり、黒い影から光りの玉へと変化しつづける。上がる度に。地上を見ると黒い影が一体、光る足にのしかかり、一瞬姿が見えた。美雪だった。膝をつきながらも必死に手を動かし、彼女は霊界送りを続けている。
2008-10-21 17:10:00 -
275:
◆tRd/QWYm5M
「…やめて!邪魔しないで!私が最後までするから!」痛々しい声で叫ぶ。美雪は必死だった。私が霊界送りをする事は、美雪にとって邪魔でしかない。でも、このままじゃ美雪自体が黒い影に飲み込まれてしまいかねない…。私は美雪の意見を無視し、手を動かそうとした。バシッ。強く腕を捕まれ視線を向ける。「やめろ」陽だ。頭を左右にふり【霊界送り】を止める。「でもっ「霊界送りは邪魔しちゃならないんだ。黙って見てろ」真顔だった。
2008-10-21 17:17:00 -
276:
◆tRd/QWYm5M
「なんで?!」「決められてんだよ!霊界送りする時は!それ以外で霊界送りはしちゃならねぇって習ったろ!黙って見てろ!」陽の目は言葉とは裏腹に、悲しい目。美雪は必死だった。私が上空へ上げた魂が少しずつ光りを弱めながら地上へと落ちていき、美雪の体にのしかかる。光りがどんどん小さくなり、美雪の体も光りも見えなくなっていく。「離して!」陽は私の手を掴んだまま何も語らない。「離してったら!今いかなきゃ、美雪がっ美雪がっ」陽は私を見たまま何も語らない。
2008-10-21 17:46:00 -
277:
◆tRd/QWYm5M
なんで…なんで…「やだっ!離して!」「あぁぁ」美雪の声が少しずつ弱まっていく。私は、必死に腕を離そうとする。無駄だった。陽の力には叶わない。ぐいっ。腕を自分の方へと強く引き寄せ、私は陽の腕の中へ。美雪の声がどんどん小さくなっていく。「頼むから…」陽はただ一言そう話した。声は悔しさで一杯で、悲しさが震える腕から伝わる。
2008-10-21 17:54:00 -
278:
◆tRd/QWYm5M
陽の腕の中で私は美雪の最後の声を聞いた。腕から離されすぐさま美雪の元へ降りると、黒い影はどこにも見当たらなく、美雪は倒れていた。体を揺すぶるとゆっくりとまぶたを開け、すごい勢いで起き上がり、私を見る。
2008-10-21 17:58:00 -
279:
◆tRd/QWYm5M
「誰?」美雪は驚きながら私を見る。首に霊界石は見当たらない。ただ美雪のオーラが黒く広がっている。「死」のオーラ。 記憶から、私は削除されていた。霊に魂を食われてしまったのだ。美雪は立ち上がり、走ってそのままグラウンドから姿を消した。
2008-10-21 18:01:00 -
280:
◆tRd/QWYm5M
広いグラウンドにぽつんと1人で座り込んでいた。「あの霊界使いは、無になったんだ。魂を食われちまった。一瞬でも怯えたんだろな…」陽は私の隣に立ち冷めたように話す。
2008-10-21 18:04:00 -
281:
◆tRd/QWYm5M
更新終わります。
2008-10-21 18:05:00 -
282:
◆tRd/QWYm5M
振り向くと、陽の姿はなく風がひゅうっと吹き、香水の匂いだけがした。霊界送りを手助けすると手助けされた霊界使いも手助けした霊界使いも魂ごと消えてしまう。後に現れた天使に聞かされた。
2008-10-21 18:56:00 -
283:
◆tRd/QWYm5M
終霊 心霊
2008-10-21 18:57:00 -
284:
◆tRd/QWYm5M
午後から雪がちらついている。どんよりとした雲が街に静かに広がっていた。 霊界バスに乗り込み、三途の川へとたどり着くと、変わらない青空が頭上に見えた。湖に久しぶりに入り、霊界へと魂を送ると、私は草の上に腰を下ろし、そのまま背中を倒した。美雪が消えた日から、ほぼ毎日【霊界送り】をしている。【三途の川】も何度も来た。2008-10-21 19:03:00 -
285:
◆tRd/QWYm5M
【黒い影】の原因は天使が教えてくれた。地界に穴が開きそこから浄化しきっていない魂が、抜け出し【人間界】へ降りている。決壊をはっても、無意味でしかないと。地界の魂を持つ霊体は、強い恨みを霊界使いにもっている。
2008-10-21 19:08:00 -
286:
◆tRd/QWYm5M
チリン…。ヘルの鈴の音だ。体を起こすとどこからともなく現れたヘルが私に体をこすりつけてきた。「ヘル!」尻尾を振りながら草の上に腹を着け、頭を下げる。今ではすっかり仲良し。毎回私の前に現れ尻尾を振る。
2008-10-21 19:34:00 -
287:
◆tRd/QWYm5M
「また母に会いに行ってたの?地界の穴ってふさがんないのかな…」頭を撫でながらヘルに話す。答えはない。まぶたを閉じ気持ちよさそうにしている。チリン!ヘルが頭を上げ遠くを見た。
2008-10-21 19:36:00 -
288:
◆tRd/QWYm5M
「ヘル?」私が話しかけるとすぐ立ち上がり、ヘルはそのまま走っていく。誰かが来たんだ…私は、空術を使いヘルの後を追いかける。
2008-10-21 19:38:00 -
289:
◆tRd/QWYm5M
ヘルが向かった先に陽がいた。いつもの黒いスーツ姿で。ヘルに気付き頭を撫でる。私が降りると、私に気づいた陽が笑顔を向けた。
2008-10-21 20:04:00 -
290:
◆tRd/QWYm5M
「よっ」「どうしたの?霊界バスは?」霊界バスが行ってしまった後なのか辺りに何もない。「変わらないなこの場所は」
2008-10-21 20:06:00 -
291:
◆tRd/QWYm5M
辺りを見渡しながらふとそうこぼした言葉。陽の顔はどこか寂しげ。「お前頑張ってるみたいだな」「まぁね」「まぁね…か(笑)早く霊界に戻れるといいな」「そだね。陽は?まだまだ使命があるの?」私の問いかけに何故か陽が答えない。なんでかな。陽への気持ちは少しずつ冷めているのが分かった。会ってもドキドキもあまりしない。また会える?とも思わない。何でかは分からないけど、多分自分の中で整理がついたのだろう。
2008-10-21 20:10:00 -
292:
◆tRd/QWYm5M
陽の指には私と同じ指輪がはめられていた。霊界神様からの物で未だに何かは分からないまま。陽はその場で背伸びをして、私に近づき頭を軽く叩いてきた。
2008-10-21 20:12:00 -
293:
◆tRd/QWYm5M
ふわっと、陽の香りが風に紛れてる。「ひよっこ…」私に向けた目は何故か悲しげ。なんだろう。「もうひよっこじゃない」私が拗ねると陽はにんまり笑う。何故かむかつきもしない。それどころか寂しさが込み上げる。なんで…。「お前戻らなくていいんか?」陽が私の霊界石を指差しながら話す。霊界石が少し光っている。霊界送りだ。「戻るね」「おぅ」空術を使い私は体を浮かせ、ふと陽とヘルに視線を向けた。
2008-10-21 20:17:00 -
294:
◆tRd/QWYm5M
陽は私を見て手を振っていた。「ばーか」小さく唇を動かし、笑う。なんだよあいつ…私はぷいっと顔をそむけそのまま人間界へと戻った。
2008-10-21 20:19:00 -
295:
☆
更新ありがとう?
2008-10-21 22:43:00 -
296:
名無しさん
楽しみに待ってます??
2008-10-21 23:34:00 -
297:
◆tRd/QWYm5M
その夜夢を見た。真っ白なドレスを着て私は立っていた。髪は青色で足首まである。肌は透き通る程白い。何にもない真っ白な空間。空中に浮かぶ虹色の光りの玉をどこかへ誘導している。誰かに呼ばれ振り向くと、青色の髪をして、目が左右違う色をした真っ白な服を着た男。
2008-10-22 01:42:00 -
298:
◆tRd/QWYm5M
私は彼を知っていた。初めて見るのに何故か知っていた。彼の指には私と同じ指輪をはめている。頭をポンと叩き、私を抱き上げ笑っている。
……パチ………目覚めはよく、何だか体が軽い。ベッドから降りると冷たい床が素足を冷やす。朝日が部屋に差し込み、窓際に立ちカーテンを開ける。「うわっ」外は真っ白。昨日降り続いた雪が積もり光りに反射してキラキラと輝いている。2008-10-22 01:48:00 -
299:
◆tRd/QWYm5M
今日も寒くなりそうだ━。「おはよう」リビングに行くと、母が朝食をテーブルに並べていた。ストーブで手を翳し温める。いつもの朝。だけど、何故か寂しくなった。「おはよう。またパジャマで…早く着替えな学校間に合わないぞ」ネクタイを絞めながら父が私を見る。いつもの朝。でも何かが違う。
2008-10-22 01:53:00 -
300:
◆tRd/QWYm5M
自分の家。自分の両親。いつもの朝。何気ない会話。食べ慣れた朝食。なのに、何か違う。何かが違う。何が…。鏡に映る自分の顔。誰…?自分の顔なのに、何か違う。
不思議な感覚だった。夢を見たから?いいや違う。そうじゃない。そんなんじゃない。2008-10-22 01:56:00 -
301:
◆tRd/QWYm5M
制服に着替えカバンを持つ。カランッ。指にはめていた指輪が床に落ち転がる。今まで滑り落ちた事なんて一度もない。「礼子ー?急がなきゃバス乗り遅れるわよー」母が階段の下から私を呼ぶ。私は指輪を拾い、はめながら階段を駆け降り、慌てて玄関へ向かう。「雪が積もってるから気をつけなさいよ?」何故か母の顔を見て泣きそうになった。でも、何でかは分からないまま。
2008-10-22 02:03:00 -
302:
◆tRd/QWYm5M
足を止めドアを開けるのを何故かためらい、振り向く。母は不思議そうに私を見ていた。「早く行きなさい?」「行ってきます」自分の行動がよく分からないまま、家を出て雪の上を歩く。
2008-10-22 02:06:00 -
303:
◆tRd/QWYm5M
いつものバスに乗り、駅のターミナルで降りた。カバンに入れていたマフラーを歩きながら取りだした時、一緒にカバンの中に入れていたペンケースも落ちた。
2008-10-22 02:10:00 -
304:
◆tRd/QWYm5M
拾おうとして手を伸ばすと、大きな手が私のペンケースを取る。「はい」渡され、視線を相手の顔へとゆっくり向ける。目の前にいたのは、陽だった。私は驚き、陽をじっと見る。よそよそしい笑顔を向けた陽。黒いコートを着ている。
2008-10-22 02:16:00 -
305:
◆tRd/QWYm5M
「ん?」不思議そうに私を見る目は陽だけど何か違う。「…ありがとう」うつむきながら話すと、陽はそのまま歩いていく。風に紛れて香水の香りがした。何であんなに冷たくされなきゃならないんだろ。私はイラッとして陽の後を追いかけ、腕を掴んだ。驚きながら私を見る。「なっ何?!」「何でそんな知らないふりすんの?」「えっ?知らないふりって…初めて会ったし…何が?」陽が私の手をはなした。ふいに見えた指には指輪がない。
2008-10-22 02:22:00 -
306:
◆tRd/QWYm5M
「指輪は?」「指輪?指輪って何が?」迷惑そうに私に話すその表情からは陽を感じ取れない。私は何かがおかしいと思い、霊感を解放して陽の額を見る。陽の額には文字が浮き出ない。何度見ても…。「陽?」「何で俺の名前知ってんの?ごめんどっかで会った?」
2008-10-22 02:27:00 -
307:
◆tRd/QWYm5M
…霊界使いを終えたんだ…頭に浮かんだ言葉。目の前にいるこの人の記憶に、私はいない。
「ごめんなさい。間違いでした」「えっでも名前…」私はその場から走ってバスターミナルに出ると、雪が丁度とけた所で足を滑らし派手に転けた。2008-10-22 02:34:00 -
308:
◆tRd/QWYm5M
歩く人が笑ったり、見てみぬふりをする。カバンの中身が全部濡れたアスファルトに散らばる。雪が溶けた水が足、靴下、スカート、コートに滲む。
2008-10-22 02:37:00 -
309:
◆tRd/QWYm5M
ぐいっ。腕をつかまれ引き上げられ私は立ち上がる。「大丈夫?」陽だった。地面に落ちた物を手際よくカバンへ入れて私にカバンを渡す。「いきなり走りだすからびっくりした(笑)派手に転けるし」こんな表情で笑わない。ひよっこ…どじだな…陽はそうやって頭をポンって…叩くんだよ…
陽は私を見て優しく微笑む。「大丈夫?」心配そうに私を見る。2008-10-22 02:42:00 -
310:
◆tRd/QWYm5M
そこには昨日までの陽はいない。全く知らない人。陽の姿をした、違う人でしかない。「俺、君の事知らないんだけど、ってか覚えてないんだけど、さっき名前…「名前?名前なんて言ってないです…ありがとうって言ったんです」 「あっそうなんだ(笑)ごめんっ。名前呼ばれたんだと…じゃあ」そう言って私に背中を向けて早足で歩いていった。
2008-10-22 02:47:00 -
311:
◆tRd/QWYm5M
転んだ時濡れた足がやけに冷たい。解放したままの霊感。たくさんの霊が辺りにいて、頭上を飛ぶ霊界バスがすごい勢いで飛んでいく。私は空術を使いバスに乗った。
2008-10-22 02:52:00 -
312:
名無しさん
メッチャおもろい(*>ω
2008-10-22 03:04:00 -
313:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。魔法のiランドにホムペつくったのでそちらで、この作品が完結したら小説書いてみます。ホムペのアドはこのスレで載せました。名前は明太子です。新しい小説の名前はまだ決まってません。よかったらのぞいてみてくださいね。
2008-10-22 03:14:00 -
314:
◆tRd/QWYm5M
せっかく書き込みしてくださった方がいますし、モバゲーで小説書いてみたいと思います。魔法のiランドは削除します。
2008-10-22 03:31:00 -
315:
◆tRd/QWYm5M
【三途の川】にたどり着き、草原に降りると霊界使いがバスから湖に流れ込んだ魂を霊界送りしていた。私は、そこから空術でヘルの姿を探す。どこかにいるはず…陽を最後に見たのはこの場所。
2008-10-22 03:36:00 -
316:
◆tRd/QWYm5M
随分来た。ヘルは見えなくて私は降り、草の上で歩く。「ヘルー!」大声で呼ぶと、どこからともなく鈴の音が響き、ヘルが姿を現した。「ヘル?陽は?陽はどこ?」完全に焦っていた。ヘルが言葉を話すわけでもないのに。問いかけても無駄なのに。
2008-10-22 03:43:00 -
317:
◆tRd/QWYm5M
ヘルは頭を低くして私に甘える。頭をさすりながら私はヘルを見る。「ねぇ、陽は?陽はどこ?昨日ここに…」この場所に【昨日】はない。ヘルが言葉を理解できるとも思えない。でも、今、陽を知っているのは私と、ヘルだけ。…霊界使いは霊界には行けない。行けるのは先生と使命を終えた霊界使いの魂だけ。
2008-10-22 03:49:00 -
318:
◆tRd/QWYm5M
何も理解してないヘルは呑気に尻尾を振り、お尻を地面につける。「ヘル、お願い…陽は…陽はどこにいるの?人間界にはもう…もう…」
もう陽の魂はいない。2008-10-22 03:51:00 -
319:
◆tRd/QWYm5M
ひゅうぅ。暖かい風が吹き、陽の香水の香りがほのかに匂った気がして私は辺りを見渡す。草、草、草、空、空、空、どこにも、陽はいない。いない。 …会いたい…会いたいよ…会いたいよ
2008-10-22 03:54:00 -
320:
◆tRd/QWYm5M
私は膝から崩れ落ち、両手で草をつかみ、膝の上に手を置く。指輪がきらっと光り、涙が落ちて静かに弾ける。 どんな嫌味でも意地悪でも、今ならいくらでも聞く。陽が私を好きでなくても、気持ちが通じ合わなくてもそれでもいい。ひよっこってずっと言われてもいい。いいから…いいから…
2008-10-22 03:58:00 -
321:
◆tRd/QWYm5M
チリンッ。ヘルの鈴が鳴り視線を向けると首輪に紙がはさまっている事に気付き、私は抜き取る。いつから挟まれていたのかは分からない。風が吹き紙から陽の香水の香りがしている事に気づいた。
2008-10-22 04:02:00 -
322:
◆tRd/QWYm5M
涙を拭いて、紙を広げる。綺麗な字で書かれた紙。下を見ると【陽より】と書かれてあり、紛れもなく陽からだと分かる。
2008-10-22 04:05:00 -
323:
◆tRd/QWYm5M
ひよっこへ。
手紙とか正直苦手だけど、書くよ。この手紙をちゃんと渡すようにヘルにお願いした。賢い奴だからちゃんとお前が見ると思う。お前を見守るように霊界神様から頼まれて、ずっと見守っていた。でも、俺は最後の使命があって、正直怖い。地界の穴を今から埋めに行くんだ。最初に渡された指輪で防ぐ事ができる。なんで俺が選ばれたかというとよくわからねぇ2008-10-22 04:17:00 -
324:
◆tRd/QWYm5M
そして、お前の最後の使命。人間界に降りた地界の影を霊界送りしろ。いつも通り、霊界送りをすればいい。俺が地界の穴を埋めると霊界神様がお前の守護霊にまた戻るみたいだ。
2008-10-22 04:21:00 -
325:
◆tRd/QWYm5M
大丈夫。お前ならできる。自分を信じてやるんだ。な? 言えなかったけど、本当はお前の事妹なんて思ってなかった。最初は、やっぱ見守るのが仕事だっただけに、焦ったりもしたけど気づけば今頃だけど大事で仕方ないし記憶がなくなるのが正直怖い。新しい魂が俺の体に入った時のために、彼女をつくってきたけど霊界使いの記憶が消えるとお前の記憶も消えてしまう。なんかうまくいえねぇけど、不覚にも最後に心から大事に思える奴に出会って、霊界に戻るのが怖くなった。
2008-10-22 04:27:00 -
326:
◆tRd/QWYm5M
最後に抱き締めたかったし、さよならくらい言えばよかった…でも、お前が俺を好きなわけないしな(笑)いつかまた…なんて俺達にはない。霊界でもし会ったとしても、この記憶はもうない。だからさよならなんだ。たくさんありがとな。 愛してる。 【陽より】
ps、ひよっこなんてばかにしてごめん。2008-10-22 04:32:00 -
327:
◆tRd/QWYm5M
涙で視界が歪む。空を見上げた。風に混じる香り。うつむき、手紙を抱きしめると、もう涙は止まらなく次から次へと情けないくらいにこぼれていく。 「バカ…バカだよ…好きに決まってんじゃん………好きすぎるに決まってんじゃん…なんで今さら…」ヘルが私の顔をペロッと舐める。今の私の顔は不細工。もしここに陽がいたなら、きっと(ぶっさいくな顔してんじゃねぇ!)頭をポンッて叩いて笑う。…でも、もういない。陽はもういない。
2008-10-22 04:40:00 -
328:
◆tRd/QWYm5M
会いたくなかった。出会いたくなかった。…でも、出会えてよかった。楽しかった。腹も立った。悔しくてむかついて何度も突き放そうとした。 でも…陽は気づけばいつもそばにいてくれた。らしくないよ。怖いなんて…
2008-10-22 04:43:00 -
329:
◆tRd/QWYm5M
陽はちゃんと霊界へといった。駅で会った陽は違う魂がはいっていたから。ちゃんと地界の穴うめたんだ。最後の使命…ちゃんと果たした。私もちゃんと使命果たさなきゃ。今この背中には霊界神様がいるんだ。今朝見た夢は霊界神様が見せた私の霊界での姿かな…じゃああの男の人は霊界での陽の姿かな…
2008-10-22 04:47:00 -
330:
◆tRd/QWYm5M
泣いてる場合じゃない事が、霊界石の光りが教えてくれた。私はヘルに抱きつく。空の色をしたヘル。「ヘル?ありがとね」私はそれだけ話し、人間界へと降りた。
2008-10-22 04:49:00 -
331:
◆tRd/QWYm5M
地上に降りることなく、私は街をみおろす。背中がやたら暖かい。霊界神様がついてるからだね。今朝何故か変な感じがしたのは霊界神様が教えてくれたのかな。母と父とのさよならだって。自分の体が変に感じたのもきっと霊界神様が教えてくれたんだろう。
2008-10-22 04:53:00 -
332:
◆tRd/QWYm5M
気をたかめると体が強く光り、髪が青く輝き出す。ふと後ろが気になり視線を向けると霊界神様が姿を現し私に微笑んでいる。「霊界神様…」(力を貸します。霊を一気に霊界へ送りましょう。礼子はここまで霊を上げてください。ここから私が全部霊界へつれていきます。あなたの魂も一緒に)「陽は?陽はもう霊界にいますか?」(えぇ、いますよ。)霊界神様は頷いた。
2008-10-22 04:59:00 -
333:
◆tRd/QWYm5M
「もう記憶はないですか?」(記憶はないですが、あなた達は夫婦ですよ?霊界で彼はあなたを待っていますさぁ、霊界送りをしましょう)霊界神様から言われた言葉に驚いた。私と陽は霊界で夫婦?…だから手を初めて握った時懐かしく感じたの?
2008-10-22 05:03:00 -
334:
◆tRd/QWYm5M
だからキスした時…(時間があまりありません。急いで…地上に降りていくと影があつまる場所が見えます。私のはった決壊は影が触れると光りに変わります)霊界神様は私の体に光りの決壊をはると、体がじわじと熱くなる。感じた事のない温かさが体を包み私はそのまま降りていく。
2008-10-22 05:10:00 -
335:
◆tRd/QWYm5M
しばらく降りていくと、私の地元が見え、どす黒くなっていた。すごい数の影。街が黒く塗りつぶしたみたいに黒い。あそこに降りるの? でも不思議と怖さはないのは、決壊をはっているせいかな。
2008-10-22 05:13:00 -
336:
◆tRd/QWYm5M
地上に降りると辺りは真っ暗。歩いてる人は何も気づいてないみたい。私は手を合わせ気をたかめていく。その間、次々と影が私にのしかかろうと近づくが、決壊に触れると一瞬にして次々と輝きだす。辺りにいる人は私を見ている。何をしているんだろうと思っているんだろう。でも、気にしてはいけない。
2008-10-22 05:17:00 -
337:
◆tRd/QWYm5M
私はゆっくり霊界送りを始めた。体を動かすと自分の体がキラキラと輝き、歌を歌うと髪が青く青くなっていく。影はのしかかるどころか、少しずつ逃げようと私から離れていく。手を動かすと影が一気に浮かび上がり、ジャンプすると更に浮かぶ。
2008-10-22 05:21:00 -
338:
◆tRd/QWYm5M
不思議だった。自分の体から離れていく感じが体を動かすたびにする。体がどんどん軽くなり空術をつかっていないのに、空に上がっていく。私は、瞼を開けると、立っている自分の姿が見えた。体を動かし影を更に上空へとあげると、自分も上がっていく。歌うと体が透き通っていく。…あぁ、私は私自身も霊界送りしているんだ━。
2008-10-22 05:26:00 -
339:
◆tRd/QWYm5M
遥か上で霊界神様が待っているのが見えた。太陽のように光り輝いている。私は霊界送りを続けながら丸い光の玉に変わった影と共に少しずつ少しずつ上へとあがっていく。街は黒から光りに変わり始め、最後に私が両手をあげると一気に霊界神様の所まですごい数の光りが飛んでいき私の体が次第に消えていく。
2008-10-22 05:30:00 -
340:
◆tRd/QWYm5M
手が足が透明になっていく中、空から丸い光りの玉が飛んできて私の体の中にめり込む。違和感はなく、頭の先から爪先までまるで電流が走る感じがした。幼い頃からの記憶が映像で甦り、少しずつ消えていく感じがした。
2008-10-22 05:34:00 -
341:
◆tRd/QWYm5M
それは新しい魂。私に代わり地上にいる私の体に記憶を引き連れ魂が入るんだ。光りの玉が私の体から抜けて下へと降りていく。その時、霊界神様が放つ光りに体が溶け込み辺りがすごい光りに包まれた。
2008-10-22 05:37:00 -
342:
◆tRd/QWYm5M
…私の名前は…
2008-10-22 05:38:00 -
343:
◆tRd/QWYm5M
2008-10-22 05:39:00 -
344:
◆tRd/QWYm5M
「ねえねえ、礼子霊界使いって知ってる?」クラスメイトの美雪が私に話しかける。「知らない何それ(笑)」笑いながら答える。卒業式を終え、今日は私の地元にがやってきた。美雪は三年の時に特待生として転入してきた子。何故かすぐさま仲良くなったけど、美雪は霊が大好きみたい。私は霊感なんて全くないし昔からそういうのは苦手。
2008-10-22 05:46:00 -
345:
◆tRd/QWYm5M
「霊界使いってねー」美雪が私にそう話した時、どんっと私の肩に誰かがぶつかりカバンが落ちる。「あっ、君!」ぶつかった人が私を見る。黒いスーツを着た、無造作ヘアの男。なんだろう…「はい?」「いや、なんでもない」そう言って私を見る。なんなんだろう。何か軽そうな人。苦手なタイプだな…どこかで見たような気がしたけど、見た事ない。不思議な感じがした。「ほら、落ちたよ!」美雪が落ちたカバンを拾い、私に手渡す。「ありがと」美雪にそう言った時、風がふき、男から香水の香りがした。
2008-10-22 05:52:00 -
346:
◆tRd/QWYm5M
視線を向けるとそこには男の姿はなく、辺りを見渡す。なんだろう…匂った事あるような…。「どのバス乗るの?」美雪に聞かれバスターミナルに停まってるバスを見ると、私が乗るバスが丁度到着した所だった。「あっ、あれ!あのバス!いこっ!」そう言って2人で走る。
2008-10-22 05:55:00 -
347:
◆tRd/QWYm5M
この春から私は大学に進学する。
美雪と同じ大学。素敵な出会いがあることを祈らなきゃ。ウキウキしながら窓の外を見ると、ふわっと一瞬光りの玉が見えた気がして瞬きする。気のせいだったのか光りの玉は消えていた。2008-10-22 05:59:00 -
348:
◆tRd/QWYm5M
「霊界送りってねー「そんなのあるわけないじゃん!美雪それよりねー」私は違う話題を美雪に話した。
もうすぐ家があるバス停に着く。今日は私の誕生日。母はケーキを作って待ってるだろう。2008-10-22 06:01:00 -
349:
◆tRd/QWYm5M
完結。
この物語はフィクションです。 モバゲーで次は書きます。クリエイター名は 明太子 です。作品名は時計 です。2008-10-22 06:02:00 -
350:
◆tRd/QWYm5M
完結までお付き合いくださいましてありがとうございました。
明日からモバゲーで作品を公開していきます。2008-10-22 06:04:00 -
351:
名無しさん
感動しました??
完結ありがとうございました?!!2008-10-22 06:16:00 -
352:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。モバゲーでさっそくかきはじめました。今までとは違うリアリティーな物語です。小説大賞に応募してみました。
2008-10-22 07:01:00 -
353:
名無しさん
完結おつかれさま???明太子ね!すぐいくっ
2008-10-22 11:25:00 -
354:
☆
完結おめでとー??
この話しメッチャ良かった??主さんの小説好きです?モバゲーの方も覗かせてもらいますね??お疲れ様でした!!!2008-10-22 14:16:00 -
355:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。 モバゲーは、小説大賞の決まりが告白だという事、読み手さんが10代が多いと思うので、少し幼い小説になります。 賞を取れる自信はないですが、きっかけとして応募しました。完結まで頑張ります。
2008-10-22 15:14:00 -
356:
名無しさん
夜遊び組は明太子さんファン登録しよー!
2008-10-22 16:11:00 -
357:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。せっかくなんですが、ファン登録は作品を読んで気に入ってくださったらしてください。私は本当にまだまだ表現力もない、素人の中の下の下で、ファンなんてとんでもないです。今回の【時計】は、今までの作品と全く違うもので、とにかく完結させようという気持ちだけです。
2008-10-22 16:51:00 -
359:
名無しさん
すいません、モバゲーてよく聞くんですが何ですか?
2008-10-23 03:04:00 -
360:
名無しさん
すいません、モバゲーてよく聞くんですが何ですか?
2008-10-23 03:05:00 -
361:
◆tRd/QWYm5M
メニューでGoogleを検索して、更に「モバゲー」を検索したら、モバゲータウン?かモバゲーサイト?が出てきます。
会員費無料のmixiみたいな感じですよ。
そこでまず会員登録なさいますと、自分のプロフィールや、自分のキャラクター【アバ】を作成して、後はmixiと同じです。9はマイページ。これは自分のページです。ここをブックマークすれば、後々楽です。 小説を読むなら0を押すとトップページにジャンプします。 画面下に 小説 とありますのでそこをクリック。小説のページにジャンプしたら、下に 検索 とありますので 【時計】 と入力してください。 著者名 が 明太子 であれば私の作品です。 タイムマシンに出てくる明太子のキャラクターの写真を私のクリエイターページに載せてます。2008-10-23 04:52:00 -
362:
名無しさん
詳しく説明してくれてありがとうです。
2008-10-23 10:27:00 -
363:
名無しさん
心霊心霊心霊心霊心霊心霊心霊心霊心霊心霊心霊ついについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについについに
2008-10-23 15:21:00 -
364:
名無しさん
さぁみんなで荒らしましょう!さぁみんなで荒らしましょう!
さぁみんなで荒らしましょう!さぁみんなで荒らしましょう!さぁみんなで荒らしましょう!さぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょうさぁみんなで荒らしましょう2008-10-23 15:23:00 -
365:
ファン1号
夜遊び組のファン三人登録してたー!明太子さんがんばってー(*>ω
2008-10-23 15:55:00 -
366:
◆tRd/QWYm5M
今、夜遊び見てびっくりしました。荒らされてますね。 書き込みありがとうございます。モバで、ファン登録してくださった方。ありがとうございます。 【時計】の感想よければこのスレまだ1000までだいぶありますのでここに感想や、こうした方がいいとか、書き込んでもらえたら嬉しいです。 現時点ではまだ全く面白くはないし、ラストは決まってるんですがそれまでの内容がまだしっかり決まってないんです…。締め切りに間に合うかも不安で…。
2008-10-23 16:36:00 -
367:
名無しさん
『時計』読ませてもらってます(^-^)vどんな風な展開になるのか楽しみですね?凄く読みやすいし丁寧に書かれてると思います。締め切りあるみたいですが?あまり焦らない様にね?
2008-10-23 19:04:00 -
368:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。
夜遊びと違って読者さんからの意見や注意がないので本当に不安でした。
読みやすいって書き込み見てほっとしました。2008-10-23 19:46:00 -
369:
名無しさん
時計読んでますよ?やっぱい主さんの小説おもしろい?
2008-10-23 21:49:00 -
370:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。夜遊びはホッとしますね。 書き込みがあるから本当に頑張れます。
2008-10-23 23:41:00 -
371:
◆tRd/QWYm5M
読者様こんにちわ。
【時計】更新いたしております。 温かいコメントありがとうございました。すごい嬉しかったです。少しずつ読者が増えるとモバでは、数字が分かるから嬉しいです。2008-10-24 11:45:00 -
372:
名無しさん
たくさん更新ありがとう?モバのコメントってレビューしかないんかな?夜遊びと行ったり来たりめんどくさい(笑)
2008-10-24 21:41:00 -
373:
@ε@
夜遊びから明太子さんが消えるのもなんだか寂しい??
2008-10-24 23:16:00 -
374:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。コメントは私のトップページの下に書き込みする所があります。2008-10-25 01:46:00 -
375:
名無しさん
明太子キーホルダー欲しい??
2008-10-25 02:11:00 -
376:
◆tRd/QWYm5M
今夜遊び覗きにきたら書き込みが…。ありがとうございます。明太子キーホルダーじゃなくて、ストラップなんです(笑)博多のお土産に隼人が買ってきてくれました。 タイムマシンのモデルになった隼人です。可愛いですよストラップ。 博多のお土産屋に多分あります。誰も買いそうにないから、きっとたくさんありますよ(笑) みんなで着けてたらおもしろいかもしれないですね。
どこかでこのストラップを着けてる女を見つけたら、私…かもです。その時は「明太子さん」と声かけてください(笑)2008-10-25 02:22:00 -
377:
名無しさん
わかった?
2008-10-25 09:16:00 -
378:
名無しさん
明太子ストラップ着けてる人を見掛けたら、声かけてみます??
2008-10-25 11:50:00 -
379:
◆tRd/QWYm5M
書き込みありがとうございます。
直すべきところとかアドバイスあれば教えてください!2008-10-25 18:02:00 -
380:
◆tRd/QWYm5M
急ですが
夜遊びサイトを卒業いたします。
本当に皆さんには感謝してますが、これからはモバで会いましょう。
感想は伝言板に書いてくだされば嬉しいです。
レビューは読んだら採点してください。
ここはもう覗く事がありません。
2008-10-26 08:11:00 -
381:
名無しさん
?
2008-10-29 08:35:00