小説掲示板【幸福論】のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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【幸福論】

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  • 1:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    金と男とセックスと……後は薬にリストカット。私の人生そんなもん。

    波瀾万丈なんてめんどくさいし、適当に笑って毎日過ごしたい。

    少しの幸福。それだけでいい。

    2008-10-17 22:22:00
  • 2:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    重複スレたててしまいました。すみません。

    2008-10-17 22:28:00
  • 3:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    幸せの基準なんて人それぞれ。例えば美への追求、例えば金銭的余裕。
    結局、見栄とエゴと偽物と……

    幸せ=マスターべーション
    なんて極論と偏見だらけの幸福論。はじまりはじまり。

    2008-10-17 22:37:00
  • 4:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    幸せの基準なんて人それぞれ。例えば美への追求、例えば金銭的余裕。
    結局、見栄とエゴと偽物と……

    幸せ=マスターべーション
    なんて極論と偏見だらけの幸福論。はじまりはじまり。

    2008-10-17 22:37:00
  • 5:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    ━ミーンミーン━
    窓の外で鳴り響くやかましいセミの声。直射日光が眩しくて目を擦った。「あっつー。」叫びながらクーラーのリモコンを手探りでさがす。
    私、青木さやかの朝はいつもこんな感じ。不機嫌に刻まれた眉間のしわは今日も健在。

    2008-10-17 22:47:00
  • 6:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    時計に目をやると時刻は午前8時。
    「…朝やん。」取りあえずカラカラに渇いた口を潤す為に冷蔵庫にある烏龍茶を勢いよく喉に流し込んだ。
    ソファに倒れるように座り当分収まりそうにない頭痛をかかえたコメカミを抑える。と同時に深いため息が零れた。
    「…はあぁ……ダル…」

    2008-10-17 22:56:00
  • 7:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    することもないので、対して見たくもないテレビをつけ、もてあました時間を潰す。
    ブラウン管の向こうで気難しそうな顔をした男が、複雑に並んだ言葉を淡々と読み上げていく。
    理解する気などさらさらないので、ただボーっと画面を見つめながら今日の予定を組んでみた。

    2008-10-17 23:05:00
  • 8:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「仕事もダルイし、かな呼んでパキろ…」かなに電話をかけながらタバコに火をつけた。
    ━只今電話に出……━
    「……………」電話を切りクッションに投げた。
    「ああー、なんかおもろいこと無いかな!」

    2008-10-17 23:15:00
  • 9:

    名無しさん

    青木さやかって…名前変えた方が?

    2008-10-17 23:31:00
  • 10:

    名無しさん

    ↑黙っとれ?

    2008-10-18 00:52:00
  • 11:

    名無しさん

    思った。

    2008-10-18 02:19:00
  • 12:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    >>9>>10>>11さん
    読んで戴きありがとうございます。
    名前、今気付きました?が、このままでいかせてもらいます。

    2008-10-19 06:55:00
  • 13:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    ━ザーッ━

    冷たいシャワーが体の火照りを拭ってくれる。ようやく頭がさえてきた。
    「よし!ひろき呼ぼう!」水が滴るのも気にせず、先刻クッションに投げつけた携帯をひらいた。

    2008-10-19 07:04:00
  • 14:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    電話を切り部屋を見渡す。「……片付けよ。」
    いそいそと片付けながら、この後の事を考えた。
    ━快楽の共有?相手はそこそこタイプだし?深入りせずに軽い関係。悪くないけど、虚しい…?━
    「まあ、いっか。」片付けも程ほどに、タバコ片手にひろきの到着を待った。

    2008-10-19 07:23:00
  • 15:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    身長180センチ。私を軽々持ち上げる二の腕。通った鼻筋。冷たく見下ろす視線が好き。汗ばんだ背中に爪を立てるのが好き。口に入れられた指を甘く噛むのが好き。果てた後、ぐったりのし掛かられる重みが好き。

    「ひろき〜重い〜。」なんていいながら触れ合う体温が心地いい。
    私の頭を軽く撫でてひろきは寝息をたてだした。

    2008-10-19 07:36:00
  • 16:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    ひろきの寝顔をみながら余韻に浸っていると、ひろきの携帯が鳴った。ディスプレイには【瑞希】と表示されている。

    胸の奥の温度が急激に下がった気がした。

    私はただのセックスフレンド。そんなわかりきった事を再確認した。

    2008-10-19 16:20:00
  • 17:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    タバコに火をつけ隣で寝息を立てる男の事を考えてみた。
    ━一般的にいい男だし、優しいし、セックスもいい。一緒にいる時は居心地がいいし、かなり好きな部類だけど、めんどくさい事は嫌い。だから今の関係はなかなか悪くない。…でも……━

    頭に浮かんだ言葉をかき消した。

    2008-10-19 16:33:00
  • 18:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-10-19 16:34:00
  • 19:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    不機嫌そうな男の声で目が覚めた。いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
    『だから違うって!おお。わかったから。かけ直すわ。』受話器の奥から微かに女の声が聞こえた。
    目を覚ました私に気づいたひろきは私の髪に触れ優しくキスをした。
    『おはよ。』先刻の電話とは打って変わって優しい声で話しかけてくる男に少し優越感を感じた。

    2008-10-19 16:43:00
  • 20:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「おはよお。」言いながらひろきの腰に絡みつく。ひろきは、おでこに、頬に、唇に、優しいキスをくれた。
    ディスプレイの女の名前や受話器の向こう側の声には触れないのがルール。知りたくないことは知らなければいい。そっと蓋をして、今という瞬間に没頭する。そうすれば私はピンポイントで幸せだけを感じてられる。

    2008-10-19 16:56:00
  • 21:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-10-20 16:52:00
  • 22:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「じゃあまたね!気をつけてね〜。」『またくるわ!あんまり遊んでばっかりせんと早くいい男つくれよ!』ポンポンと私の頭を軽く撫で、ひろきは帰って行った。

    2008-10-20 16:58:00
  • 23:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    いつからか、信じる事が怖くなった。期待する事を諦めた。人間関係に疲れたのは何故だっけ?
    この街は、素直に生きていける程、綺麗じゃなくて…。
    私は嘘に縋れる程、子供じゃなくて、全てを割り切れる程、大人じゃなくて…。
    何も見ないように、見なくて済むように、目隠しをしたんだ。

    2008-10-20 17:07:00
  • 24:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『さや〜、好き?』私の髪を指に巻きつけながら話す雅人の声が優しくてくすぐったい。「大好きやで。雅人は?」『俺も大好きやで。ずっと一緒におろな。』
    雅人と暮らし始めて2年が経とうとしていた。

    2008-10-21 01:33:00
  • 25:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    雅人と交わすくだらない会話が楽しくて、優しい視線が愛しくて、他愛ないやりとりが幸せで…

    ずっとこんな時間が続くと…

    そう思ってたんだ。

    2008-10-21 01:40:00
  • 26:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『また気分悪いんか?』心配そうに雅人が背中をさすってくれる。この所、私は体調不良が続いていた。
    「うん…ずっと微熱続いてて気持ち悪い。」『大丈夫?横になる?』「うん。せっかく休みやのにごめんな?」『いいよ。ゆっくりしとき。』私の手を握ってくれる雅人の手に安心したのか、いつのまにか眠ってしまっていた。

    2008-10-21 01:51:00
  • 27:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    なんだかふわふわする。目の前には真っ白な空間が広がる。周りには何もなくて…でも不思議と怖くなんてない。懐かしいような、悲しい訳じゃないのに泣きたいような、でも、とても居心地のいい…そんな場所に一人佇んでいた。

    不意に冷たい何かが額に触れて、私は夢から覚めた。
    一つの考えを過ぎらせながら…

    2008-10-21 02:02:00
  • 28:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「雅人?」キッチンに立つ雅人に声をかけた。『あ、起きた?気分悪いのマシになったか?卵粥造ったけど食べれる?』「うん。ありがと。」

    お粥を食べる私を雅人が目を細くして見つめる。『おいしい?』「うん。」

    2008-10-21 02:08:00
  • 29:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「なあ雅人?」『ん?』「やっぱいいわ。」切り出し方に戸惑う私を不思議そうに雅人が見つめる。『何?気になるやん。』「うん…。」
    沈黙が流れる。

    雅人が心配そうに私を見つめる。

    2008-10-21 02:16:00
  • 30:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「多分やねんけどな……赤ちゃんおるわ。」恐る恐る雅人の顔を見る。雅人は一瞬、驚いたような表情を見せた後、柔らかく笑った。
    『名前考えなな!』「まだ早いやろー!」『赤ちゃんの分もしっかり食べて栄養つけなな…ママ?』「うん!これからもっと仕事頑張らなな…パパ?」

    幸せで優しい時間が流れた。

    2008-10-21 02:29:00
  • 31:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『じゃあ仕事行ってくるわな!今年最後の仕事頑張って来ます!』「行ってらっしゃーい!」
    ひろきを送り出し、ひと息ついた。ツワリも少し軽くなり、家事をしながらお腹に話かけるのが日課になっていた。
    「桜子ちゃん、今日はパパの好きなグラタンとサンドイッチ作ろうな〜。その前に大掃除もせなな〜。明日はじぃじ達に会いに行くんやで〜」

    2008-10-21 02:55:00
  • 32:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    妊娠がわかってから、まだ男か女かもわからないお腹の子に雅人が毎日『桜子ちゃん』と話しかけるので、いつのまにかそれが定着してしまっていた。

    私は幸せだった。

    世界で一番と言える程に…

    2008-10-21 03:04:00
  • 33:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    午後6時、掃除も終わり、夕飯の用意もあらかた済ませ、テレビをつける。丁度、夕方のニュースが始まった所だ。

    何気なく見つめた画面に息を呑んだ…

    2008-10-21 03:11:00
  • 34:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    ━環状線トラック横転━
    死者一名
    重軽傷者三名

    重軽傷者の中に見覚えのある名前があった。雅人の同僚だ。死者の身元はまだ不明…

    2008-10-21 03:16:00
  • 35:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    指示された番号に電話を掛けると、身元の分かる物を持って警察まで来てくれと言われた。
    雅人の免許証を握りしめ向かうタクシーの中で祈るように言い聞かせる。
    ━勘違いです。何かの間違いです。神様。私から幸せを奪わないで下さい。何でもします。あの人以外何も望みません。辛くても苦しくても我慢します。だからどうか…━

    2008-10-21 03:36:00
  • 36:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    警察所に着くと個室に案内された。テーブルと2組の脚立のみが置かれた薄暗い部屋だった。
    担当の刑事さんに雅人の名前、実家、私と雅人の関係など一通りの雅人の情報を聞かれた。
    『じゃあ遺体確認していただけますか?』
    ━遺体確認━
    刑事さんの言葉がぐるぐると脳裏を回る。

    2008-10-21 05:33:00
  • 37:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    所内にある霊安室に向かう為の階段を下る…泣き崩れたい衝動を必死で抑える。

    ━何かの間違い。きっと。人違い。雅人が私と桜子を置いていく筈ない。大丈夫、大丈夫…私は世界一幸せなお嫁さんになるのだから…━

    2008-10-21 05:43:00
  • 38:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    霊安室のドアをあけると、むせかえるような線香の匂いに倒れそうになる…
    中に入ると真っ白な顔をした雅人がベッドで眠っていた…
    そっと近づき震える手で触れた貴方は冷たく固い…
    泣き叫ぶ事も怒り狂う事も出来ずに、ただ雅人を見つめた…
    何度も…何度も…

    2008-10-21 05:53:00
  • 39:

    名無しさん

    息がつまるり、視界がぼやける。

    ━嘘…嘘…嘘…誰か嘘だと、言って下さい━

    2008-10-24 02:10:00
  • 40:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-10-24 02:11:00
  • 41:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    激しい腹痛に目が覚めた。カーテンで区切られた狭いベッドに私は寝かされていた。その脇に心配そうな顔で私を見つめる母がいた。
    「お腹…痛い…。」『…うん』「赤ちゃん……どっかいっちゃったんやな。」『…うん』母は唇を震わせながら答えた。
    「雅人も…」目頭が熱くなり静かに涙が流れた。

    2008-10-24 02:24:00
  • 42:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    ━澤田雅人━
    享年26歳

    この時、私の時間は止まったんだ。

    2008-10-24 02:29:00
  • 43:

    名無しさん

    読んでます 泣いてもた…

    2008-10-24 02:51:00
  • 44:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    >>46さん

    読んでくれてありがとうございます。更新おそいですがまた見にきて下さいね(^_^)

    2008-10-24 05:00:00
  • 45:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『さやか、ちょっとでいいから、何かご飯食べなさい。』「いらん。食べたくない。」『でも…』「ほっといてよ!雅人も桜子も食べたくても食べられへんねん!」
    この頃、実家に連れ戻された私は、毎日母に八つ当たりをしていた。
    「家に帰りたい。雅人とさやの家はここと違う。」

    2008-10-24 05:11:00
  • 46:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『辛いのはわかるけどな、お母さん心配やねん。あんたまで…』「何がわかるん?わかるんやったら何とかしてよ!雅人に会わせてよ!桜子返してよ!なあ?さやが何したん?なんでなん?会いたいねん!会いたぃ…ウゥッ…ぃた…ぃょぉ…」泣き崩れる私の背中をさすり、母は部屋を後にした。

    2008-10-24 06:46:00
  • 47:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-10-24 06:47:00
  • 48:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    目が冷めると真っ暗な空間が広がる。対して広くもない部屋なのに、永遠に闇が続いているようで…
    電気をつけると雅人の写真が私を見つめている。私は冷たい壁にもたれかかり、ただただ涙を流した。

    「さとぉ…雅人ぉ…ック…」

    2008-10-24 06:58:00
  • 49:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    ふとペン立てにさしていた剃刀が目に入った。
    「死んだら…会えるかなあ……?そしたら…桜子と三人で暮らせるかな」剃刀を左腕にあてすっとひいてみた。傷口から赤黒い液体が流れ出した。

    2008-10-24 07:09:00
  • 50:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「雅人も桜子も、もっと苦しかったやんな…痛かったやんな…。」流れる落ちる血液を見ながら私は何度も切り続けた。
    こんなもので死ねる訳がない…
    それでも、少しでも雅人と桜子の痛みを、苦しみを、引き受けてあげたかった。

    2008-10-24 07:21:00
  • 51:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    実家を飛び出し、雅人と暮らした家に帰った。雅人の香りのする服やタバコで焦がしたカーペット…。雅人との思い出が蘇る。
    私はダイニングテーブルに置いた紙コップに手を伸ばした。

    2008-10-24 15:39:00
  • 52:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    12月25日、クリスマス。その日も雅人は仕事だった。雅人を送り出してから、お風呂に入った私はシャンプー台の上に置かれている紙コップを見つけた。
    手にとったコップには文字が書かれていて、中のに指輪が入っていた。

    2008-10-24 15:46:00
  • 53:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    さやかへ
    来年のクリスマスは桜子と3人やな。俺、まだまだたよりないけど、絶対に幸せにするから。
    メリークリスマス
    12月24日
    愛を込めて。雅人。

    2008-10-24 15:52:00
  • 54:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「幸せにしてくれるん違うん?桜子もいなくなって、さやどうしたらいい?雅人が悪いんじゃないよ?ッゥ…でも今生きてきた中で一番苦しい…ック助けに来てよぉ…さやもつれてってよぉ……」
    返事が返ってくるはずもなく、静かな部屋に私の声だけが虚しく響いた。

    2008-10-24 15:59:00
  • 55:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-10-24 16:02:00
  • 56:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    沢山の周りの人達が連絡をくれた。『大丈夫?』『元気だして。』『見守ってくれてるよ。』
    大丈夫って何?悲しくないって事?苦しくないって事?辛くないって事?
    それなら私は一生大丈夫なんかになれない。

    2008-10-24 16:15:00
  • 57:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    もう誰も愛さない。
    何も信じない。
    苦しい思いをしなくていいように…
    悲しい涙を流さなくて済むように…
    私は心に鍵を掛けたんだ

    2008-10-24 16:19:00
  • 58:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-10-24 18:43:00
  • 59:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    沢山の男達が心配を理由に近づいてきた。友人達はみな哀れんでくれた。それでも…どんな言葉をもらっても苦しみを抱えるのは私独りで…
    「ありがとう」なんて言いながら嫌悪すらを抱いた。
    結局、私の周りに残ったモノはガラクタだけになっていった。

    2008-10-24 18:50:00
  • 60:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    無数の切り傷と、薬と、欲望に満ちた男達。
    何かに縋りたくて…
    私は堕落した。

    雅人がいなくなって一年半の歳月が過ぎていた。

    2008-10-24 18:54:00
  • 61:

    名無しさん





    2008-10-26 22:34:00
  • 62:

    名無しさん

    「隙や〜誰かおらんかなあ?ひろきは…女やろおしなあ。」
    隙をもてあました私は、リサに電話をかけることにした。

    2008-10-26 22:39:00
  • 63:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    リサとはクラブで知り合った友達。

    価値観が似ていて、軽い感覚で付き合いがてきるから、居心地がいい。

    共有できるモノがあると落ち着く。

    それが、堕落であればあるほどに…

    2008-10-26 23:08:00
  • 64:

    名無しさん

    2008-10-29 08:35:00
  • 65:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「リサ〜何してる?むっさ暇なんやけど!」《今、男友達と遊んでるねんけどぉ…》「まぢで〜?さやも行っていい?」《いいんやけど…》リサは気まずそうに続ける。《和樹もいてるねんかぁ…》

    和樹は雅人が可愛がっていた後輩だ。

    一瞬喉の奥が詰まった気がした。

    2008-10-29 17:25:00
  • 66:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「そっか…。どうしよかな…。」長い沈黙が流れる。

    《さや?何か、和樹が電話代わってって言ってるんやけど…代わる?》「え?あ…うん。」

    2008-10-29 17:32:00
  • 67:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    《さやちゃん久しぶり。》懐かしい、低い声が受話器の奥から聞こえた。
    「久しぶりやね。元気してた?」《うん。…さやちゃんは?》「まあ…それなりかな?」《そっか……。暇してるんやったらさ、おいでよ?久しぶりにゆっくり話そ?》「………用意したら行くわ。」
    精一杯元気な不利をして答えた。

    2008-10-29 17:40:00
  • 68:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-10-30 01:44:00
  • 69:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「お邪魔しま〜す。」ドアを開けるとマリファナの独特な匂いがたちこめる。『さや〜はよこっちおいでや!エクとか赤もあるで〜』笑顔で言うリサの目は虚ろだ。
    見知らぬ2人の男がニヤつきながら何か話している。その後ろで壁にもたれかかる和樹と目が合った。

    2008-10-31 04:33:00
  • 70:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『ひさしぶり。』和樹は優しく笑い掛けてきた。「ひさしぶり。」気まずそうに突っ立っている私に和樹が手招きする。私は従うように和樹の隣に座った。
    「リサ、パキパキやなあ…。」『リサちゃんだけと違うけどな。』和樹は困ったように笑った。

    2008-10-31 04:41:00
  • 71:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「あの人等…和樹の友達なん?」『ああ…、友達ってか知り合い?』「ふ〜ん」空返事をしながらパイプに手を伸ばそうとする私の腕をつかみ和樹が真剣な顔で言う。
    『さやちゃん止めとき。』

    2008-10-31 04:51:00
  • 72:

    名無しさん

    早く読みたい

    2008-10-31 11:40:00
  • 73:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「え…?」『普通にしゃべろ?』そう言って和樹が笑った。
    『最近何してるん?』「ん〜特に何もしてないで?たまに仕事行って、後は遊んでばっかりかな…」『そっか。じゃあ結構暇してるんや?』「そうやなあ。」『んじゃ番号教えてよ?暇な時遊ぼう?』
    こいつもか…何て考えながらも「いいよ〜」なんて返事する自分に少し幻滅した。

    2008-11-02 05:48:00
  • 74:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    >>75さん
    読んでくれてありがとうございますo(^-^)o
    更新遅くてすいません?

    2008-11-02 05:49:00
  • 75:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    結局、対して中身のない世間話をしばらくして、家路についた。

    2008-11-02 05:53:00
  • 76:

    名無しさん

    読んでます?続きまってます

    2008-11-02 12:58:00
  • 77:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    >>79さん
    読んでくれてありがとう?完結させるのでまた読んで下さい?

    2008-11-05 03:21:00
  • 78:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-11-05 03:22:00
  • 79:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『さや?好きやで。ずっと一緒におろな?』真っ白なシーツの上で雅人が笑う。「違うよ雅人。アカンねん…雅人はもうここにおったらアカンねん!」『ごめんな…さや…ごめん。』

    2008-11-05 03:29:00
  • 80:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    目尻から暖かいモノが流れ落ちて目が覚めた。
    久々に見た雅人の夢が苦しくて息ができない。
    「雅人ぉ…ゥッ…さとぉ…ック…会ぃたいょぉ…」
    一人で居たくなくて携帯を握りしめた。

    2008-11-05 03:36:00
  • 81:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    リダイアルの一番上にあった和樹に電話をかける。《もしもし?》電話を掛ければ繋がる、そんな当たり前な事実に安堵した。「今な…ック…夢でな…雅人が…ッゥゥ…めんって…」酷く支離滅裂な私の言葉を和樹はゆっくり聞いてくれた。

    2008-11-05 03:43:00
  • 82:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    《今からちょっと会って話そか?》「さや化粧もボロボロやし…」《俺スッピンやし!近く着いたら電話するわ!》「え…うん。」とにかく1人で居たくなかった。自分が自分じゃなくなりそうで…安定剤を飲み和樹の電話を待った。

    2008-11-05 03:48:00
  • 83:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-11-06 04:27:00
  • 84:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『どこ行きたい?』和樹が顔を覗き込むように聞いてくる。「どこでもいいよ。」ひとしきり落ち着いて今の現状を考えると、浅はかな自分の行動を落ち込まずには居られない。『取りあえず俺ん家くる?』「そやね。」
    決めたのは自分で責任転換する気なんてさらさらないけど、しっかりしろよ!って思いと流されちゃえ!って思いの狭間で揺れる気持ちが心地悪い。

    2008-11-06 04:35:00
  • 85:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    意外と綺麗に整頓された他人の部屋はやはり居心地いいモノではない。
    『適当してて。飲み物もってくるわ。』「うん。」持て余した時間に本棚の脇にあったアルバムを手にとった。

    2008-11-06 04:39:00
  • 86:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    アルバムにはまだ若い、私の知らない雅人の笑顔が並んでいた。
    『雅人君懐かしい?』飲み物を持って和樹が部屋に戻ってきた。
    「何か知らん人みたい。さやの前ではもっと大人な感じやったし…」『そっか…他のも見る?』「ううん。いいや…。」

    長い沈黙が流れた。

    2008-11-06 19:44:00
  • 87:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    和樹がゆっくり話始めた。『最近な、さやちゃんのあんまり良くない噂聞いてな、話したかってん。』「…そっか。」『今のさやちゃん見てたら、雅人君辛いん違うかなって…。』「…じゃあさ、さやどないしたらいいん?この苦しいのずっと耐えたらいいん?逃げたらアカン?なんでさやなん?なんで雅人なんよ!なんで雅人は怒りに来てくれへんのぉ…」言葉と同時に涙が溢れた。
    『辛いんも苦しいんもわかるよ?俺かてむっちゃ好きやった先輩やもん。でも、もし俺が先輩やったらな、さやちゃんに笑ってて欲しい。頑張れなんか思わんけどな、せめて自分を労ってあげよ?』

    そういって和樹は私の頭を撫でてくれた。

    2008-11-06 20:00:00
  • 88:

    名無しさん

    待ってます

    2008-11-09 00:56:00
  • 89:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    >>91さん
    ありがとうございます。更新遅くて申し訳ないです。

    2008-11-09 02:08:00
  • 90:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    私の左腕をそっと握りしめ和樹は続ける。『苦しいよな…でも、この腕見るさやちゃんの周りの人間もめっちゃ苦しいねんで?何もしてあげられへん事が辛いねんで?だから無理に笑わんでいいねんで?』

    2008-11-09 02:13:00
  • 91:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    ━どうして、あなたじゃなきゃ駄目なの?駄目なんだろう。独りきりじゃ乗り越えられぬ夜、あなたの足音は何処にもしないのに…━

    静かな部屋で雅人とよく聞いた懐かしい音楽が流れた。

    2008-11-09 02:17:00
  • 92:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「なんでこんな歌かけるんよぉ。和樹のアホぉ。最悪や。」
    『いっぱい泣いたらいいねん。俺がそれを笑いにかえたるから!なっ?』
    和樹の言葉を1つ1つ浮かべながら、私は思い切り泣いた。
    子供みたいに。

    2008-11-09 02:22:00
  • 93:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    他人との距離感がわからなくなった。
    どこまでが【友達】でどこからが【親友】?
    【愛】って許す事でしょ?それは、ただの押し売り?違うなら【愛】って何?
    わからない事だらけ。
    だから心にストッパーをつけたの…

    2008-11-09 02:32:00
  • 94:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    歯を食いしばって涙を流さないようにする必要なんてないのに…涙を見せるのが、自分の内側をみせる事が怖くなってた。
    独りになりたい。
    独りは寂しい。
    どっちも本音でどっちも嘘。でも…
    私の時間がゆっくりと動き出したんだ。

    2008-11-09 02:34:00
  • 95:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-11-09 02:35:00
  • 96:

    名無しさん

    和樹との連絡等が頻繁になるのに比例して私の携帯のアドレス帳はメモリが減っていった。自分にとって、マイナスにしかならない人はもういらない。傷の舐め合いなんて意味がない。そう考えるようになっていた。

    2008-11-09 12:23:00
  • 97:

    名無しさん

    『さやちゃん?』和樹が難しそうな顔をして私を見る。「ん?」『もうすぐ雅人君の命日やなあ…』「…やなあ。」和樹とよく遊ぶようになって半年もたつのに、お互い無意識に避けてきたからだろう、雅人の話は未だに慣れない。
    『その日お墓参り行こうな。』「うん。」

    2008-11-09 12:30:00
  • 98:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「その前にクリスマスありますけど…?」『ユニバでも行こか?』「行くう〜!」他愛ない会話が楽しくて…
    和樹と過ごす時間が心地良いモノになっていた。

    2008-11-09 12:36:00
  • 99:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-11-09 12:37:00
  • 100:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「寒〜ほんで人多っ!」大声ではしゃぐ私をみながら和樹がクスクス笑う。『なんか帽子みたいなん買ったろか?』「子供違うしいりませ〜ん。」『はいはい。取りあえずカメラ買お!』「うん!」
    楽しそうに笑う和樹を見てると胸の奥が苦しくなる。友達以上恋人未満?こんな関係も悪くない。

    2008-11-09 12:44:00
  • 101:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「嫌やって〜!無理やから!」『いいから行くで!』「ほんま辞めてよぉ」『はいはい。話は後でな。』「怖いって…」『これ乗らな来た意味ないやろ?』「……」ハリウッドマウンテンの前で和樹は私の腕を放さない。どう足掻いても無駄なようなので、観念して列にならんだ。

    2008-11-09 12:49:00
  • 102:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『音楽はやっぱドリカムやんな?』「なんでもいいし」すでに半泣きの私の隣で和樹は楽しそうに曲を設定している。
    嫌な機械音と共に視界が動き出した。バッチリ一番前の席なのでコースターのレールがはっきり見える。「もお無理イィィ〜」音楽を聞く余裕なんてもちろんなく、朦朧とした意識の中ジェットコースターは停止した。

    2008-11-09 12:59:00
  • 103:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『な?案外平気やろ?』「一生乗らん。」笑顔で返した。
    「あ、お土産みていい?」『おお〜見よ!』

    散々悩んだ結果、ピンクパンサーのクッキーと、スヌーピーの耳の付いたカチュ−シャを雅人と桜子に買った。

    2008-11-09 13:05:00
  • 104:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    『そろそろ帰ろか〜』「うん。てか、お土産何買ったん?」『ないしょ』「なんの恥じらいやねん!」『今日、楽しかった?』「ハリウッドマウンテン以外わな。」『また来ような』和樹が優しく言った。「うん。」

    2008-11-14 03:24:00
  • 105:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-11-14 03:24:00
  • 106:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    「じゃあ今日はありがとうね。また電話するわ。」『あ、まって!』
    和樹にユニバの土産袋を渡された。
    『家帰ってからあけてな』「……わかった。」『んじゃね〜』「うん。」

    2008-11-14 03:29:00
  • 107:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    家に入り早速お土産をあけてみた。中には写真立てと雅人の写真、そして1枚の手紙が入っていた。

    2008-11-14 03:31:00
  • 108:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    さやちゃんへ
    最近、さやちゃんが、ちゃんと笑うようになってくれて何か嬉しいわ。
    腕の傷も増えてないみたいやしな。雅人君も喜んでくれてると思う。
    でな、俺はこれからもさやちゃんを支えていきたいって思ってるねん。友達としてじゃなくて、男として。頼りないかもしれんけど、俺なりに頑張るから、考えて欲しい。返事は急がんから。また普通に連絡してきてな。

    2008-11-14 03:39:00
  • 109:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    胸が苦しい。和樹は私をどん底から引き上げてくれた人。一緒にいると楽しくて、落ち着く。きっと幸せにしてくれる。
    でも…

    ねえ雅人?私だけ幸せになってもいいのかな?それは、あなたと桜子を裏切ったことにならない?
    ねえ?答えてよ…

    2008-11-14 03:44:00
  • 110:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-11-14 03:45:00
  • 111:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    その日、雅人の夢をみた。
    『さや、幸せになれよ』
    そう言って、雅人は寂しそうに笑ったんだ。

    2008-11-14 03:48:00
  • 112:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    季節はずれの雨が降っている。
    和樹の優しさに甘えたい私がいるの。
    未もなお雅人を愛してる私がいるの。
    心が揺れる狡い私。和樹に縋って楽になりたい。でも、それは和樹を利用してるだけで…私はやっぱり雅人が大好きで。
    考えれば考える程胸の奥が苦しくなる。久しぶりに涙が流れた。

    2008-11-14 03:58:00
  • 113:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    あなたを愛し続けます。永遠をあなたに誓います。だからどうかこの苦しみを消して下さい。
    どしゃぶりの雨の中傘もささずに祈った。

    「さやは逃げないよ。やっぱり最愛は雅人やもん。だから早く迎えにきてね。」
    雨は一晩中降り続いた。

    2008-11-14 04:04:00
  • 114:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-11-18 07:08:00
  • 115:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    小さな部屋に仰向けになりライトに手をかざす。
    指の隙間から籠れる人工光がまぶしくて、私は今日もここから動けないでいるの。
    何かしないと…
    何もしたくない…
    思考回路はループのようでゴールなどない。こんなにも沢山のモノが溢れ返る世の中に私が一番求めるモノは存在しない。こんなにも求めて止まない貴方はどこにも居ない 。

    2008-11-18 07:16:00
  • 116:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    瞼を閉じると鮮明に甦る記憶 。貴方の笑顔に、貴方の笑い声に一喜一憂する私。
    現実逃避なのかもしれない。
    無音の世界に突如として入り込む生活音。それすらも幸せで、たくさんの思い出が甦る。でも、それは決して辛く苦しいモノぢゃなく、切ないけれど幸せな記憶 。
    今でも大好きで、日に日に好きになる。もう私の世界には居ない雅人。沢山の幸せな時間、思い出を貰ったからやっぱり今でも愛しくて…
    私は携帯に手を伸ばした。

    2008-11-18 07:31:00
  • 117:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    メールの画面を開き

    ━今でも雅人が好き。━
    それだけ和樹にメールを送った。

    2008-11-18 07:36:00
  • 118:

    さやか◆8uRyuTY4eU





    2008-11-18 07:37:00
  • 119:

    さやか◆8uRyuTY4eU

    それ以来和樹を避けるようになり、私の生活はまた堕落していった。

    作り笑いと薬に溺れながら、虚しさを抱えて…

    2008-11-18 07:41:00
  • 120:

    むむ

    続き読みたいなぁ…

    2008-12-09 13:54:00
  • 121:

    名無しさん

    私も読みたいな。。

    2008-12-09 20:25:00
  • 122:

    さやか◆H.JOlfADuk

    >>123さん>>124さん遅くなりごめんなさい?また書きます!

    2009-02-04 03:27:00
  • 123:

    さやか◆H.JOlfADuk

    雅人の命日。快晴の空は私を憂鬱にさせる。
    「雅人、久しぶりやね。さや何してるんやろな?何がしたいんやろ?自分の事やのにわからんねん。雅人がおった時はそんな事考えた事なかったのに…雅人が手を引っ張ってくれてたからやな。そっちはどう?苦しくない?さやもそっちに行ったら楽になれるんかな?そしたら、雅人さやの事怒ってくれる?」お墓に花を供えながら、返ってくるはずない返事を待ち続けた。

    2009-02-04 03:41:00
  • 124:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『ふざけんな』
    急に聞こえた背後からの声に驚き振り返ると和樹が立っていた。
    『雅人君、ちょっとこいつ借りますね!』和樹はお墓にそう告げ、私の腕を掴み歩き出した。

    2009-02-04 03:49:00
  • 125:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「ちょ!どこいくん?手ぇ離してよ。」『…………』「離してって!腕痛いから!」『……………』
    返事する事なく和樹は歩き続け、車の前で私の腕はようやく解放された。
    『乗って。』「えっ?」『車。乗って。』
    普段からは考えられない和樹の低い声に、私はしぶしぶ車に乗った。

    2009-02-04 04:02:00
  • 126:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「……………」
    『……………』
    車内は嫌な沈黙が続いていた。恐る恐る和樹を見ると、不機嫌そうに窓の外を見ている。
    十分程続いた気まずい沈黙は、和樹の声で破られた。

    2009-02-04 04:10:00
  • 127:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『なにしてんの?』「えっ……?」
    質問の意味が、いまいち理解できない。
    『また痩せた?肌もボロボロ、さやちゃん何してんの?』「………。」
    これは理解できる。理解は出来るが、返事が出来なかった。

    2009-02-04 04:17:00
  • 128:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『はぁぁ……』和樹が大きくため息をつく。
    『俺のせい?俺が告ったから?』「ちがっ!!」『じゃあ何で?さやちゃんやめれてたやん?』「…それは…」『それは?』「……とにかく和樹のせいとかじゃないから。」『……とことん話さなあかんみたいやな。』
    そう言って和樹は車を発進させた。

    2009-02-04 04:30:00
  • 129:

    さやか◆H.JOlfADuk





    2009-06-19 03:46:00
  • 130:

    さやか◆H.JOlfADuk

    30分程車を走らせ、付いた場所は海岸沿いの堤防。
    沈黙の中、和樹がタバコに火をつける。
    いくら待っても言葉を発っしようとしない和樹に私のイラつきはピークに達した。

    2009-06-19 03:57:00
  • 131:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「何なん?何で黙ってるん?用ないんやったら帰りたいんやけど!」
    『……………』
    「帰りたいねん!聞いてる?もう、ホンマ意味わからんし!」
    『………………』
    尚も和樹の沈黙は続く。

    2009-06-19 04:05:00
  • 132:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「もういいわ。自分で帰る!」言いながら車をおりようとする私の腕を和樹が掴んだ。
    「ホンマ何なん!帰りたいねん!離してよ!…もう嫌ゃぁ……」言葉と同時に涙がこぼれた。

    『……ごめん…ちゃんと送るから、ちょっと待って?』ようやく和樹は口を開いた。

    2009-06-19 04:17:00
  • 133:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『俺な……雅人先輩の事、めっちゃ好きやってん。』遠くを見つめながら、和樹はゆっくりと話し始めた。
    『あの人ほんまに良い人でさ、普段アホな事ばっか言ってるくせに…連れとか後輩が困ってたら必死で助けてくれたり、相談乗ってくれたり……色んな話よくしたわ。さやちゃんの話してる時とか、めっちゃ楽しそうでさ。あぁ、幸せなんやろなっておもってた………』
    「………ん…。」

    2009-06-19 04:27:00
  • 134:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『俺ら後輩はみんなあの人に助けられたし、憧れてたし、尊敬してた。
    だからあの人が大事にしてたさやちゃんを、支えたいねん。』
    「……………」
    『俺が言った事が、さやちゃんの重荷になったんやったら忘れて欲しい。』
    「………うん。」

    2009-09-12 02:11:00
  • 135:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『それだけ言いたかっただけやから…送るわ。』
    それから私の家の前に到着するまでの間車内は沈黙に包まれた。
    『ぢゃあ、また電話するわ!おやすみ。』
    「…………和樹…あんな…さや、和樹の気持ちはめっちゃ嬉しかったから…おやすみ。」

    2009-09-12 02:22:00
  • 136:

    さやか◆H.JOlfADuk





    2009-09-12 02:25:00
  • 137:

    さやか◆H.JOlfADuk

    雅人への気持ちと和樹への気持ち、揺れる想いに思考回路が追いつかない。

    正しい答えを下さい。私は何がしたい?

    2009-09-12 02:31:00
  • 138:

    さやか◆H.JOlfADuk

    ただ脳裏によぎる言葉は…
    誰に対してなのか、何に対してなのか…
    傷つけて?裏切って?
    ―ごめんなさい―
    心が張り裂けそうな中、涙が止まらなかった。

    2009-09-12 02:37:00
  • 139:

    さやか◆H.JOlfADuk





    2009-09-16 01:10:00
  • 140:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「…ん…今何時やろ?」
    時計の針は夜中の4時を指していた。
    自分が眠ってしまっていたのかすらわからない。
    自分が1人だと痛感させられるこの時間が嫌い。
    でも…和樹には頼れない。私はまた携帯を手とった。

    2009-09-16 01:36:00
  • 141:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「もしもしリサ?」
    《さやか!めっちゃ久しぶりやん!どしたん?》
    「まあ、色々。今暇?」
    《私が忙しい時なんかあると思う?》
    「やんな(笑)ちょい話したいから1時間後いつものBAR来てよ」《はいはい。》

    2009-09-16 01:46:00
  • 142:

    さやか◆H.JOlfADuk





    2009-09-16 01:52:00
  • 143:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「おそい〜。」
    『ごめん!用意に手間取った!まぢごめん!』
    「ここリサの奢りな!」
    『はいはい…。つかあんたどんだけ飲んでん?』
    「今日は飲みたい気分やねん。」

    2009-09-16 01:59:00
  • 144:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『で?話って?』
    「ん〜………。」
    『和樹の事やろ?なんかいい感じみたいやん!』ニヤニヤしながらリサが続ける。
    『結婚デートとかしてたんやれ?あ!付き合った報告?あいついい奴やしな〜。応援するよ』
    「…………ぅった。」

    2009-09-16 02:06:00
  • 145:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『…………は?』
    「だから、振った!!」
    一瞬の沈黙の後、リサの絶叫が店内に響き渡った。
    『なんで?デートしてたんやろ?ユニバとかも行ったんやろ?なに?なんで?』
    「………………。」

    2009-09-16 02:49:00
  • 146:

    さやか◆H.JOlfADuk

    リサは深いため息を吐きながら続けた。
    『雅人君………か』
    頷く事しかできなかった。
    『さやが雅人君が好き。それはわかる。で?一生雅人君を想って1人で生きていくつもり?』
    「…………うん。」

    2009-09-16 03:01:00
  • 147:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『あのさ、さやがそれでいいんやったら何でそんな顔してんの?なんで薬すんの?淋しいからは理由にならんで?本気で雅人君への気持ち貫きたいんやったら応援するわ。でも今のあんた逃げてるだけやん?薬に逃げて、和樹に逃げて、和樹が可哀想やわ。今のあんたちゃんと前見えてる?』
    「リサにはさやの気持ちわからんからそんな事言えるねん!何かに逃げな、縋らなやってられへん!そんな気持ちリサにはわからんやろ?」

    2009-09-16 03:11:00
  • 148:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『わからんよ。わかるわけないやん。だって私はさやじゃないんやから。でもな、さやかて私の気持ちわからんやろ?あんたが苦しんでるのに何も出来ひんかった私の気持ちわからんやろ?皆戸惑ってどうする事もできひんかった時に側で支えてくれたんは誰?和樹やろ?で、淋しい時だけ利用して重くなったら要らないなん?』
    「…がぅ…ッゥ…和樹…こと…ック…要らんなんか…ヒッ…もってない…ゥゥ…」
    『じゃあ何?和樹はさやにとって何なん?都合のいい人?』

    2009-09-16 03:26:00
  • 149:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「…がぅ…ック…」
    沈黙の中リサはタバコに火をつけ一吸いし、口を開いた。
    『さやは和樹の事どう思ってんの?』
    「……………スキ…でも……雅人を裏切れん。」
    『キツい事言うけどな、雅人君はもうおらんねん。でも、あんたは生きてるねん。あんたにはこの先未来があるねん。もう過去から解放されてもいいんちゃう?』涙を拭けと言わんばかりにハンカチを差し出しながらリサは言った。

    2009-09-16 03:42:00
  • 150:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「…………ん。」
    『さや、今はこの瞬間しかないねんで?後悔しても過去には戻られへんねん。わかるやろ?』
    「うん。」
    『さやは今、和樹の事どう思ってる?』
    「…………スキ。」

    2009-09-16 03:50:00
  • 151:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『そっか』言いながらリサはテーブルに置いていた携帯に手をのばし渡してきた。「…………?」訳もわからず携帯を受け取りディスプレイを見ると


    ━通話中━
     和樹

    2009-10-10 16:49:00
  • 152:

    さやか◆H.JOlfADuk

    「えっ?何!?」困惑する私をよそにリサが言葉をつづける。
    『自分の気持ちわかったやろ?ちゃんと伝えな。』
    リサの言葉に背中を押され、恐る恐る携帯を耳に当てた。
    「かず…き?」

    2009-10-10 16:55:00
  • 153:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『うん。さやちゃん元気?』受話器の向こうから和樹の低い声が聞こえた。
    「うん…あの…今リサとおってな…」思考回路が回らなくて上手く言葉が出てこない。
    『うん。聞こえてたよ。さやちゃんの気持ち。苦しかったよな?もう大丈夫やから。俺がその苦しみ半分背負うから。』そう言った和樹の声があまりにも優しくて、喉の奥が苦しくなって、同時に涙が零れた。
    『明日、お墓参り行こう?』
    「…………ん。」その約束をして電話を切った。

    2009-10-10 17:12:00
  • 154:

    さやか◆H.JOlfADuk





    2009-10-10 17:13:00
  • 155:

    さやか◆H.JOlfADuk

    朝、いつも通りに和樹が迎えに来て車に乗り雅人のお墓に向かった。ただ和樹の手はずっと私の手を握っていて、それがなんだか少し照れくさかった。

    2009-10-10 17:21:00
  • 156:

    さやか◆H.JOlfADuk

    雅人のお墓を洗い花を変え、お線香を炊くと、少しの沈黙が流れた。
    「……………」
    『……………』
    その沈黙を破り和樹は雅人に話始めた。

    2009-10-10 17:29:00
  • 157:

    さやか◆H.JOlfADuk

    『雅人君、俺さやちゃんもらいます。今日はその報告に来ました。納得いかないかもしれませんけど、謝るつもりもないです。そのかわり、絶対さやちゃんの事幸せにするって約束します。』言いながら和樹は強く強く私の手を握った。

    2009-10-10 17:35:00
  • 158:

    さやか◆H.JOlfADuk

    雅人より少し大きくて、ごつごつした和樹の手。
    「雅人、さや幸せになるな。和樹と幸せになるから。見守っててな?」
    そう言って私は和樹の手を初めて握り返した。
    繋いだ手が離れないように、強く強く握り返した。

    2009-10-10 17:43:00
  • 159:

    さやか◆H.JOlfADuk





    2009-10-10 21:29:00
  • 160:

    名無しさん

    続き読みたいです

    2009-10-20 18:46:00
  • 161:

    さかや◆H.JOlfADuk

    >>164さん
    ありがとうございます★
    更新遅くてすみません。
    完結させますのでまた読んで下さい。

    2009-10-22 00:08:00
  • 162:

    さかや◆H.JOlfADuk

    和樹と付き合い初めて1ヶ月がたった。
    毎日連絡をくれて、休日には色んな所に連れて行ってくれる。私は今幸せだ。

    でも、和樹は手を繋ぐ以上の事を求めてこない。
    それが苦しくてはがゆくて…不安になる。

    2009-10-22 00:19:00
  • 163:

    さかや◆H.JOlfADuk

    ━何故?━
    ソファに腰掛けて、タバコをふかしながそんなわかりきった事を考える。

    ━サセコ、ヤリマン━
    薬に溺れ、男に逃げていた頃の私を和樹は知っている。乾いた笑いが零れた。

    2009-10-22 00:29:00
  • 164:

    さかや◆H.JOlfADuk

    自業自得。
    過去は消せない。
    私は薬中のヤリマン女。
    そんな汚れた女を本気で抱きたい男なんて居るはずない。
    どれだけ後悔したって意味がない。

    2009-10-22 00:35:00
  • 165:

    さかや◆H.JOlfADuk

    「……はぁ…」
    ため息だけが静かな部屋に響き渡った。

    2009-10-22 00:37:00
  • 166:

    さかや◆H.JOlfADuk

    ━ピリリリ━
    携帯の着信音で目が覚めた。
    ━着信━
    和樹
    「ん〜おはよぉ。」《まだ寝てたんか?もう昼やぞ〜》「ん〜起きるわあ。」《おぅ。明日何処行きたいか考えといて!!俺はもう一頑張りしてくるわ!》「はあい。頑張ってな!さやも今日、店出勤するわ。」《おう!ほな明日迎えに行くわな。》「はあい。」

    2009-10-22 00:55:00
  • 167:

    さかや◆H.JOlfADuk






    2009-10-22 00:59:00
  • 168:

    さかや◆H.JOlfADuk

    ━ピンポーン━

    「はいは〜い!」ドアを開けると和樹が優しく笑う。
    『おはよ。』「おはよ」和樹があまりにも優しく笑うから…胸の奥が少し苦しくなった。
    「ダッシュで髪巻くから上がって適当しといて?」『そんな急がんでいいよ。』言いながら優しく頭を撫でる和樹の手が暖かくて…やっぱり何だかはがゆかった。

    2009-10-22 07:20:00
  • 169:

    さかや◆H.JOlfADuk

    髪を巻きながら鏡越しに和樹を見ると、私の買ったファッション雑誌を真剣に見ている。その姿がなんだか可愛くて、また喉の奥が苦しくなる

    2009-10-22 10:33:00
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