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〜奏命章〜
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1:
主
《ありがとう》 『………ねこちゃん』 《あたしの名は…》 幼かった私の目の前に倒れている黒猫。 はっきりと覚えている。 私の中に流れ込んできたあの黒猫の“声”も。 でも最後の名前だけは… 聞き取れ無かった。
2008-11-06 18:08:00 -
2:
主
『ごめんね?小春』 《気にすんな》 首と足の先と口周りだけ真っ白な正真正銘の雑種犬。小春の首には重たい鎖がつけられている。 『譲!?』 『あッ!はい!』 《早くいかねーとあのババァに叱られんぞ》 『…うん』 私は決めたんだ。 両親が死んだ後に小春に誓った。絶対に小春を幸せにしてやるんだって。 その鎖を外してやると。
2008-11-06 18:18:00 -
3:
主
物心ついた頃から私には動物達の声が聞こえた。 公園の鳩の声も。 散歩中の犬の声も。 事故にあった猫の悲鳴も。 全部私の中に流れ込む。 あの黒猫が死んだ時からその力はさらに強まった。 あの死を見て以来動物が恐くて仕方なかった。 だけど小春は両親が亡くなってすぐに私の目の前にあらわれた。 まだ子犬で幼かった小春は《泣かないで》 と私の手を舐めてくれた。あれから5年がたつ。 私が小春と出会って5年。この家にきて5年。 両親が亡くなって5年。 今では小春だけが私の本当の家族になってしまった。
2008-11-06 18:26:00 -
4:
主
『何ぼけっとしとるん!』伯母さんが机をたたく。 『あ!ごめんなさい!』 今日は両親の命日にも関わらず外には出してもらえない。 『早く!』 もう50をこえた伯母さんは私をいじめる事しかしない。家族がご飯を食べている間も私は掃除をさせられている。 『働かないくせにご飯なんて言うんじゃないよ!』 と、怒られた事がある。 それは私もちゃんとわかっているから文句は言わない。
2008-11-06 18:33:00 -
5:
主
伯母さんのお父さん。 私のお爺さんは凄く優しい人で私に小春のご飯代をくれる。私が伯母さんにぶたれそうになればちゃんと止めてくれる。 お爺さんは恐い人らしくてお爺さんの知らないところでしか私に何も言わない。 お爺さんはたまに小春の散歩にも行ってくれるし本当に大好きな人。
2008-11-06 18:37:00 -
6:
主
お爺さんが寝ているので伯母さんは私に嫌味を言いだした。 『あの犬捨てなさい』 『絶対無理です』 伯母さんの言う事は絶対に聞く私もそれだけは絶対に無理だと言いきってきた。『誰が金払って敬ってやってると思ってんのよ!?父さんにこれ以上迷惑かけないでちょうだいよ! 病気が移るのよ!』 『…………誰に…』 『は?』 『誰から病気が移るって!?小春はそんなんじゃありません!私のせいであの子にも迷惑かけるんなら私はこの家をでていきます!』 『早くいきな!!!』 伯母さんの目は充血していて、心の底から怒りに満ちている顔だった。 私は自分の部屋に戻って荷物をまとめた。
2008-11-06 18:46:00 -
7:
主
寝ているお爺さんの横に座って最後の挨拶をした。 『今まで本当にありがとうございました。いつも守ってくれて嬉しかったです。私のせいで母さんも父さんも亡くなったのに私を唯一かばってくれたお爺ちゃんが大好きでした。 私はもう行きます。 本当にありがとう。』 最後に少しだけほほえんで部屋を去った。 きっと…これでいいんだ。
2008-11-06 22:33:00 -
8:
主
外に出ると小春が空を見上げているのが見えた。 屋根も小屋も何も無い庭で毎日寝ていた小春の事を考えると胸が痛んだ。 『小春?いくよ』 何も説明はいらない。小春はちゃんとわかってた。 《行くあては?》 『無いよ』 《野宿する気か?》 『………』 《まぁいいや》 小春はおとなしく私についてきた。 『鎖…変えるからね』 《気にすんな》 かなりすました顔で道の先をみている。 (何考えてんだろ) 私の頭の中は真っ白。
2008-11-06 22:40:00 -
9:
主
その頃… 『迎えにいくっすよ』 前髪で片目を隠した男が譲に近づいていた。
2008-11-06 22:43:00