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おかみさん

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  • 1:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    ある相撲部屋のおかみさん真由子の話

    2009-02-11 14:10:00
  • 2:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    あれはわたしが短大を卒業してしばらくした経った頃だった。

    わたしの父はある相撲部屋の後援会に入っていた。相撲界では「タニマチ」と呼ばれ、その相撲部屋を金銭面やその他いろんな面で支えるのがタニマチである。

    わたしは何も知らず父に呼ばれとある居酒屋へと向かった。

    2009-02-11 14:14:00
  • 3:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「おぉ〜真由子、こっちだ!早く早く!」
    と居酒屋の個室から顔を出す父を見付け
    わたしは靴をぬぎその個室に入ろうとした。

    ぷ〜ん

    今まで嗅いだことのない甘い香りがした。
    父の横に座ると、今まで見たことがない人に目が行った。

    髷(まげ)…着物…

    テレビで見たことがある人だった。
    父が後援会に入っている部屋の力士だった。

    2009-02-11 14:20:00
  • 4:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「真由子は初めてだよな、こちらは関脇の瀬戸桜関。」
    と父が紹介した。
    瀬戸桜関は頭を下げながら
    「はじめまして、瀬戸桜です。お父様にはいつもお世話になっています。」

    「どうもはじめまして、娘の真由子です。こちらこそ」

    と挨拶した。
    その次の瞬間、父に肘でつつきながら小声で
    「お父さん、一体どういうこと?なんでわたしを呼んだの?」と言うと
    父は
    「おまえも短大卒業したんだから、たまには一緒に飲みたいと思ってな」と平然と答えた。

    2009-02-11 14:28:00
  • 5:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    わたしは呆気に取られてしまった。いや、びっくりしすぎて呆然としていたと言ったほうが正しいかもしれない。

    なぜなら、わたしは相撲に全く興味がなかったからだ。父がテレビで相撲観戦していても見たことはない。
    むしろ、相撲なんてダサいとまで思っていたからだ。

    2009-02-11 14:42:00
  • 6:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    そんなわたしを父が力士に逢わせたりするわけがない、ましてや頼んだこともなかった。

    相撲と言えば肉肉隆々とした裸の力士がぶつかり合って勝ち負けを決める、スポーツというかあれは国技だ。伝統だと思っていた。

    だからこんな娘を力士に逢わせる父親の気持ちがわからなかった。

    2009-02-11 14:46:00
  • 7:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    相撲に偏見だらけだったわたしは瀬戸桜関をしばらく見とれていた。

    なんてかっこいいんだろう…髷に着物、そしてこの甘い香り、鬢付け油…

    しばらくうっとりしていた。しかし、父の一言で我に帰った。

    2009-02-11 21:53:00
  • 8:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「真由子は相撲観に行ったことないよな!今度国技館に行ってみないか?」

    そう言えばない…野球は好きでマリンスタジアムはよく行くが
    国技館はテレビでしか見たことがない。

    「でもルールもわからないし観に行って大丈夫なもんなんですか?」とわたしは瀬戸桜関に訊ねてみた。

    「いや意外と初めて観に来られる方も多いですよ。大丈夫です」
    と瀬戸桜関は微笑んだ。

    微笑んだ顔も素敵だった。

    2009-02-11 21:58:00
  • 9:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「じゃあ今度是非観にいきます」とわたしも微笑み返しをした。

    「わしが連れて行ってやるよ。娘と相撲観戦したかったんだよな!楽しみだな〜」と言いながら父はビールをグイっと飲み干した。

    宴は数時間に及んだ。瀬戸桜関の付き人も父に気を遣いながら食べたり飲んだり…しかし食べる料も飲む料も半端ない。

    居酒屋とは言えこの店は安くはない、そしてこの人数しかも力士三名…注文も半端なかった。

    宴は終わり、父が会計を済ます。

    表に出ると力士三名が「ごっちゃんです」と勢いよく言った。

    2009-02-11 22:10:00
  • 10:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    その日は深々と挨拶をして別れたのだが

    数日後、わたしの携帯に知らない番号から電話がかかってきた

    「はい?もしもし?」
    「こないだはどうも、瀬戸桜です。ご無沙汰しています」
    ……
    なんと、瀬戸桜関だった!
    だけどなぜわたしの番号を知っているのか?

    「お父様に真由子さんを稽古見学に呼んでやってほしいと頼まれまして…」

    2009-02-12 03:02:00
  • 11:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「あっ、はい。あっ、でも稽古見学って、稽古を見学できるんですか?」
    わたしは少し同様していた。

    「はい!稽古見学は通常みなさん見学できるんですが、後援会の方はあとのちゃんこも召し上がっていただいたり…、もし良かったらちゃんこもいかがかと。相撲観戦の前に見学されたらルールわからなくても楽しいと思います」

    と言われた。
    瀬戸桜関は相撲界でか期待の力士で甘いマスクに鍛えられた体格、そして繰り出される技の宝庫、かなりの人気力士、いやアイドル的存在だと父に聞かされた。

    その瀬戸桜関から直々に部屋に呼んでいただけるとは、ありがたい話である。

    2009-02-12 03:09:00
  • 12:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「わたしのような素人が見学させていただいていいんでしょうか…?」
    「ええ!是非お待ちしています!」
    「わかりました」

    電話を切った。
    父は勝手に番号を教えていたのだ。父の魂胆はきっと、相撲をスポーツと認めていない娘に相撲を好きになってもらって

    自分と一緒に応援したい。多分そうだろう…と思った。

    でも人気力士を使ってまでやるなんて…

    2009-02-12 03:15:00
  • 13:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    約束の日

    朝早くわたしは両国にある部屋に向かった。

    7時前なのにすでにたくさんの一般人が見学をしていた。

    意外に若い女性も多かった。おそらく瀬戸桜関のファンだろうと思った。
    わたしは一緒に行ってくれる人がいなかったので一人で来ていた。

    はじめは若手力士が稽古をしていた。
    シコを踏んだり鉄砲をしたり…

    このシコも鉄砲もその時はわけもわからず見ていた。

    しばらくすると関取たちが現れた。廻しの色が違うのですぐにわかった。
    その中でもオーラを放っていたのは

    瀬戸桜関だった。

    2009-02-12 03:25:00
  • 14:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    わたしの周りの若い女の子たちからどよめきが起こった。

    やっぱりみんな瀬戸桜関のファンだった。

    居酒屋で逢った瀬戸桜関とはまた違って、眉間にシワを寄せぶつかり稽古を関取としていた。あんなに穏やかで優しかった瀬戸桜関が勇ましく見えた。

    髷はだんだんボサボサになってきて、ぶつかる時の音は凄まじく、骨が折れているのではないかと思うくらいだった。

    2009-02-12 04:00:00
  • 15:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    居酒屋で逢ったときもそうだったが
    相撲はダサいと思っていた自分が恥ずかしくなった。こんなにかっこいいとは夢にも思わなかった。

    これは紛れもなくスポーツだ、格闘技だと思った。

    一人一人の真剣な表情はきっとテレビでは伝わらない。

    数時間稽古は続き、ようやく終わった。

    見学していた人たちはパラパラと帰る。若い女の子たちは部屋の外で出待ち?をするようだった。

    わたしはどうすればいいのかわからずにいたら、普通の服を来た青年がそばまでやってきて

    「ちゃんこの用意をしておりますのであちらから奧のお部屋へどうぞ」と言われた。

    きっと瀬戸桜関が呼んでくれたのだろうと思い

    「ありがとうございます」と言い、若い女の子たちを尻目に奧の部屋へ入った。

    2009-02-12 04:08:00
  • 16:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「短大を卒業したと聞いたが、立派なお嬢さんじゃないか〜ハッハッハッ!」
    「わたしが稽古見学に来ることを父から聞いていたんですか?」

    「お父様と瀬戸桜関の両方から聞いていたよ。初稽古見学はどうだったかな?」

    「感動しました!テレビでしか見たことがなかったので直に見れて鳥肌が立ちました!」

    「そうだろう。中でも瀬戸桜関は今期待の力士だからな。今は関脇だが、次の場所で成績が良ければ大関昇進も夢じゃないんだ」


    それは知らなかった。

    2009-02-12 04:21:00
  • 17:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「瀬戸桜は早くに両親を亡くして、中学を卒業しすぐに入門した。東京では真由子君のお父様がいつも可愛がっていたよ。瀬戸桜もまるでお父さんのように…そこまで言うと大袈裟だが慕っているよ」

    それも知らなかった。

    そんなに父と瀬戸桜関が親子のように仲がいいなんて…
    父にしたらずっと応援してきた力士が大関になったら天にも昇る気持ちなんだろうな、いや、きっと娘のわたしなんかどうでもよくなるかもしれない

    わたしは一人で想像しながら笑っていた。

    ちゃんこまでしばらく時間があったので、永田会長から部屋のことや父のことや瀬戸桜関のことなどを聞いていた。

    会長は嬉しそうにひたすら喋ってくれた。

    2009-02-12 04:28:00
  • 18:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    ちゃんこ番をしていた力士がちゃんこの用意をしていた。
    ちゃんこ番でない力士は風呂に入って各々上がってきた。

    しかし、若手力士は座ろうとしない。

    やがて関取衆と親方が席についた。若手力士たちは関取衆と親方の後ろに立ってご飯をついだりしている。

    ちゃんこを食べる順番にも上下関係があるようだ。

    わたしは、瀬戸桜関と親方の近くに座らされた。

    2009-02-13 03:18:00
  • 19:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    親方は三人いたが、部屋の一番偉い親方は物静かな人だった。
    名大関と呼ばれ横綱まであと少しというところで怪我が悪化し引退したのだという。

    他の親方たちは厳しそうだった。

    いずれも名力士だったらしい。

    「ちゃんこのお味はどうですか?」と瀬戸桜関が聞いてきた。

    わたしはまわりをキョロキョロしていてまだちゃんこをちゃんと味わってないことに気付き、あわててほうばる。

    「とっても美味しいです。意外にあっさりしていてヘルシーだし何杯でも食べれそうです」とニコニコしながら言った。

    2009-02-13 03:23:00
  • 20:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    ちゃんこは終始和やかだった。

    食べ終わると、後援会会長と一緒に外へ出た。

    「今度は国技館で逢いましょう」と会長に言われ別れた。

    すると、すぐわたしの携帯に電話がかかってきた。瀬戸桜関だった。

    「真由子さん、瀬戸桜です。真由子さん、今日急いでますか?お時間ありますか?」と聞かれた。

    「いえ、特に用事はありませんよ」と答えると

    「すぐ近くに喫茶店があるんでそこで待っててもらえませんか?すぐ行きます」と言われた。

    …はい…と答えて電話を切った。

    びっくりした。何か話でもあるんだろうかと思い、わたしは喫茶店で待つことにした。

    5分もしないうちに瀬戸桜関が来た。

    瀬戸桜関はわたしの目の前に座り
    アイスコーヒーをたのんだ。

    2009-02-13 03:31:00
  • 21:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    なんだか今まで見た感じではない。リラックスしているようだった。

    「すいません、引き止めてしまって」
    「いえ、帰るだけだったんで大丈夫ですよ」

    「真由子さんのお父様には自分が15のころから息子のようによくしてもらって、いつも真由子さんの話を聞いていたんです」

    「はぁ。父がわたしの話なんてするの想像がつかないんですけど」

    「写真も持ち歩いてましたよ!何回も見せていただいてました。」

    「いつの写真ですか?」

    「幼い写真もあったしつい最近の写真もありましたね」

    顔が赤らんでしまった。恥ずかしい!

    2009-02-13 03:37:00
  • 22:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「息子のように可愛がってもらってたのに、いつのまにか本当の娘さんが羨ましく思えてきたんですよ。自分は幼いころに両親を亡くしてまして、お父様は本当に暖かった。」

    「優しいのは確かです(笑)」

    「それで、いつかお嬢さんに逢わせてくださいとお願いしていたら、短大卒業するまで待ってくれと言われて」

    「はい」

    「今回こうして二人で話が出来て良かったです」
    と瀬戸桜関は満面の笑みをうかべながら言った。

    2009-02-13 03:43:00
  • 23:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    瀬戸桜関は普段お喋りではない、どちらかと言うと無口なタイプだと思う。
    そんな彼が今一生懸命喋っているのがわかった。

    「お父様は真由子さんと一緒に遊びに行ったり出かけたり買い物に行ったりしたかったそうですよ。でも真由子さんは母親にベッタリで俺には入る隙がなかったとも言ってましたね」

    「そんなことまで…」

    「お父様はご自分の自慢話は一切なさらない方なんですが、唯一真由子さんの自慢話はいつも聞いてます」
    「自慢になるようなことなんて何もないですよ」

    本当に恥ずかしくなった。どれだけ顔が赤かっただろうか。

    2009-02-13 03:49:00
  • 24:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    あとはたわいもない話をした。故郷のことや趣味のことや好きな食べ物、よく行くお店など

    わたしたちは話が尽きなかった。まるで本当の兄妹のように思えてきた。

    本当のお兄ちゃんなら敬語で話すのは普通なら違和感があるが

    今はその違和感すら感じなかった。

    なんだろう、この懐かしい感じは…溶け込んで行く…包まれて行く…

    そして、瀬戸桜関が時計を見た。

    2009-02-13 03:53:00
  • 25:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「そろそろ戻らないと…筋トレがあるんですよ」
    「わかりました。大変ですね」
    「自分、次の場所で大関昇進がかかってるんです。絶対国技館観にきてください」と瀬戸桜関は少し真剣な表情で言った。

    「もちろんです!応援なら任せてください!」と笑顔で返した。

    瀬戸桜関は伝票を取るとレジへ向かった。わたしも慌てて席を立った。

    2009-02-13 04:09:00
  • 26:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    「ごちそうさまでした」
    「いえいえ、楽しかったです」

    「わたしもですよ。貴重なお時間をありがとうございました」

    すると瀬戸桜関は一呼吸整えてから

    「あの…また電話してもいいですか?」と言った。

    ドキドキした!わたしより5つは年上の彼がモジモジしていたから

    「あはは、もちろんですよ!電話くださいね」と答えて

    その場は別れた。

    2009-02-13 04:13:00
  • 27:

    真由子◆ifAqoPM8ck

    わたしはどうやって駅に向かったのか覚えていない。なんなんだ、この感情は…まだドキドキしている。

    けど、あのモジモジした瀬戸桜関可愛かったな。あれは絶対土俵上では見れない姿だな

    わたしはにやけながら電車に乗り家へと帰った。

    2009-02-13 04:19:00
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