小説掲示板平々凡々｡のスレッド詳細｜夜遊びweb関西版

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平々凡々｡

• 1:

  主

  雨の日の放課後｡教室には誰もいない｡　　　　　　『後で行くわー』　　　　相方の言葉はあてにならない事に気がつく｡　　　　　　　　　　　　　　　　『………』　　　　　　　外は鼠色で雨の音以外は何も聞こえない｡　　　　　いつも部活をしている人達の声でにぎわう運動場も水溜まりという大きな地図を描いて静かに雨に打たれていた。　　　　　　　　　『６月』　　　　　　　　ｶﾚﾝﾀﾞｰの絵すらも雨模様｡
  何もかもが真っ暗で
  心までも飲み込まれそうになる気がした｡　　　　　　　　　　　　　　　　　ガラガラ…ｯ
  

  2009-02-18 21:54:00
• 2:

  主

  『ただいまー』　　　　　相方の松尾隼人｡　　　　『遅くない？』　　　　　『んふ』　　　　　　　　隼人は気持ち悪い程の笑みで俺を見ていた｡　　　　『なんやねん』　　　　　ﾋﾗﾋﾗと俺の目の前に紙を差し出した｡

  2009-02-18 22:00:00
• 3:

  主

  『ﾗﾌﾞﾚﾀｰ?』　　　　　　顔を赤らめて話す隼人｡　『誰？』　　　　　　　　『２組の椎名さん！』　　椎名といえば男子の間でよく話題になる女の子｡　　可愛いと評判でもあり､　頭が良いとも評判である｡とにかくもてる｡　　　　　　　　　　　　　　　　『椎名って…』　　　　　『俺付き合うねんｯ☆』　 ｳｲﾝｸでもしでかしそうな輝ききった目はどれだけ幸せかを物語っていた｡

  2009-02-18 22:06:00
• 4:

  主

  『そなんや』　　　　　　鞄に荷物をつめていると急に鞄が没収された｡　　　『態度冷たいｯ！』　　　『女か…』　　　　　　　鞄を取り返すと隼人は俺の肩に掴みかかってきた｡　　　　　　　　　　　　　『だから僕彼女と帰りますんで☆ほなｯ！』　　　　『ありえん』　　　　　　隼人は勢いよく教室を飛び出して行った｡　　　　　告白されて落ち着きが無いのかと思えば､彼女を待たせているから落ち着きが無かったらしい｡

  2009-02-19 17:08:00
• 5:

  主

  仕方無く鞄を持って立ち上がると教室の鍵がｺﾛﾘと机の上から落ちた｡　　　　隼人が鍵を取ってきてくれていたらしい｡　　　　 　(こゆとこは気ぃきくよな)つい普段の隼人と比べてしまった｡　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　教室の電気を全部消して､鍵を閉めて廊下にでる｡　廊下はじめじめとしていて梅雨真っ只中という感じだった｡　
  

  2009-02-19 17:13:00
• 6:

  主

  職員室へ行って鍵を返した後､正面玄関へと向かった｡靴箱の前で靴を履きかえていると玄関の向こうに人の影が一瞬見えた｡　　　　靴箱の横にある傘立てから傘を取り出して玄関に向かうと階段に誰かが座って何かを描いていた｡　　　　　　　　　　　　　　　　玄関からでるとその子はこちらを向いた｡　　　　　一瞬目があったけどどっちも何も言わなかった｡　　　　　　　　　　　　　　(中山か｡)　　　　　　　中山は椎名と同じ２組で､結構おとなしいｲﾒｰｼﾞがある｡中山の座り込んでいる場所には鞄以外に何も無かった｡　　　　　　　　　 (傘忘れたんか？)　　　　黙々と何かを描いているもんで声もかけづらい｡　　第一俺自信女子と喋る機会が無くて女子が苦手だった

  2009-02-19 17:25:00
• 7:

  主

  無視して帰るのが一番良いんだけど何だか可哀想な気がして中々前に進めなかった｡　　　　　　　　　 　(あﾞ?…)　　　　　　　中山の後ろから声をかけてみた｡　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『傘忘れたん？』　　　　俺のしかめっ面が怖かったのか､急に後ろから話かけられて驚いていたのか…
  声が出るまで少し時間がかかった｡　　　　　　　　『あ…うん』　　　　　　少し笑ってやっと声が出た　　　　　　　　　　　　『雨降って無かったしな』朝は雨が降ってなくて急な雨だった｡　　　　　　　『うん』　　　　　　　　『これ使いよ』　　　　　女の子が使うには全く可愛くない真っ黒に近い傘を渡した｡　　　　　　　　　『え？』　　　　　　　　『家近いから』　　　　　お節介かもしれなかったけど､無視するよりもましだろうと思った｡

  2009-02-19 17:37:00
• 8:

  主

  『でも雨すごいしｯ』　　『明日休みやから濡れてもいけるし使いや』　　　　中山の鞄の横に適当に傘を置いて雨の中運動場へと降りた｡　　　　　　　　　『ありがとー』　　　　　『うん』　　　　　　　　何だか雨とは裏腹にすっきりとした気分だった｡

  2009-02-19 17:46:00
• 9:

  主

  『クｼｭｯ…』　　　　　　やっぱり雨で濡れるもんじゃないなと反省した｡　　『お兄ちゃん？』　　　　急に部屋のドアが開いて､妹の歩実が部屋に入ってきた｡　　　　　　　　　　『何？』　　　　　　　　『呼んでんのに』　　　　音楽を聞いたせいで声が聞こえなかったらしい｡　　『ごめん｡で何？』　　　『隼人君来た』　　　　　『はぁ？』　　　　　　　　　　　　　　　　　　　階段を降りると正面に隼人が立っていた｡

  2009-02-19 21:52:00
• 10:

  主

  『よｯ』　　　　　　　　『よｯちゃうわ』　　　　だるそうな顔をして隼人を迎えると隼人は足元からでかい鞄を取り出して俺の目の前へと出した｡　　　　『泊まりきた』　　　　　『急すぎやん』　　　　　まぁいつもの事｡　　　　俺がﾒｰﾙ嫌いなのを知っている隼人はﾒｰﾙをしてこない｡　　　　　　　　　　だけどこーいうのは連絡の１つ位してもらいたい｡

  2009-02-19 21:56:00
• 11:

  主

  『おばさんｯ』　　　　　隼人は俺に荷物を任せてリビングへと入って行った｡階段を登っていると隼人と母さんの声が聞こえた｡　『泊まって良い？』　　　『ええよ！ご飯は？』　　『食べてきたよ』　　　　まるで本物の親子みたいな会話｡　　　　　　　　　さすが昔からの付き合いなだけあるなと感心｡　　　　　　　　　　　　　　　俺はやっぱり人付き合いというか人見知りをするらしく隼人の親にも未だに敬語をつかってたり…｡　　　隼人とは性格が違うからそれもあるんだろうけど｡

  2009-02-19 22:01:00
• 12:

  主

  自分の部屋で音楽を聞いているとやっと隼人が部屋に入ってきた｡　　　　　　『おそ』　　　　　　　　『嫉妬？笑』　　　　　　隼人のちょけ具合にはさっぱりついていく事が出来ない｡

  2009-02-19 22:04:00
• 13:

  主

  『んで何しに来たん』　　『無視？』　　　　　　　さすがにイラｯとして近くにあった雑誌を投げつけた『暴力あかんてｯ！』　　『何しに来てんて！』　　隼人は笑いだした｡　　　　　　　　　　　　　　　『んふふふ』　　　　　　(気持ち悪いなぁこいつ｡)散々１人で笑った後､やっと落ち着いたのか静かになった｡

  2009-02-19 22:47:00
• 14:

  主

  『初ちゅうした。』
  　　　　　　　　　　　　あまりに突然言われたもんでむせ返った｡　　　　　『はぁ！？』　　　　　　隼人は床に正座している｡いつもなら我先にと机の椅子に座るくせに床に座り込んでいる｡　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『はははー』　　　　　　おもいっきり作ったであろう笑い声をあげる｡　　　『てかお前さー』　　　　やっと落ち着いてみてある疑問が浮かびあがった｡

  2009-02-19 22:53:00
• 15:

  主

  『お前もてるし､昔から何人とも付き合ってるやん｡今更初ちゅーて嘘つくな』　　　　　　　　　　　　すると隼人は丸い目をしてﾊﾟﾁﾊﾟﾁと瞬きをした｡　　『俺初めてやで？』　　　『嘘やん』　　　　　　　『本間ほんま』　　　　　(……………)　　　　　　確かにこいつの顔を見れば正直に話をしている事がわかる｡　　　　　　　　　嘘をつくときは必ず口元が笑ってるからすぐにわかる

  2009-02-19 23:01:00
• 16:

  主

  『俺中１でも夢月と付き合ってたけどあん時も俺が嫌やて言うたんやで』　　　隼人は手が早いと有名｡　その分かなりモテる｡　　性格のわりには顔が良いからか…｡　　　　　　　　俺が言うのも何やけど｡　　　　　　　　　　　　　『ほんまかよ』　　　　　『本間やって！俺子供とか出来たら責任もたれへん』(………)　　　　　　　　意外にもしっかりしてるらしい｡　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『でもそんなんで子供は出来へんやろ』　　　　　　『わかってるよ｡でもそゆ雰囲気にはなるやろ？』　結構用心深いらしい｡　　『そやな』　　　　　　　はっきり言えばよくわからんけど適当に返事をした｡

  2009-02-19 23:08:00
• 17:

  主

  『ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ…』　　　　　(誰？)　　　　　　　　　隼人は立ち上がって下へ行こうとしている｡　　　　隼人の服を掴んで後ろに引っ張る｡　　　　　　　　『おまえが行くな』　　　『いや若干居候やし手伝いしなあかんかなｯて』　　『いらん』　　　　　　　隼人は素でこーいう事を言いだすからたちが悪い｡　悪いやつじゃ無い事だけは確かやけど…｡

  2009-02-19 23:12:00