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『あの夏を もう一度』
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1:
◆/fmXna4sZY
耳をすませば 今も聞こえてくる
あの日の 波の音
指の隙間から 零れ落ちる砂のように…
いつか、消えてしまうの?2006-05-22 04:35:00 -
16:
◆/fmXna4sZY
あたしの目に映る、一人の人影。太陽の光が反射して…… 良く、見えない。
「あれ…?何?サーフィン?ヤバイ!超カッコイイ」「ほんとだぁ… あ、立った!すごいっ!ひゃ〜ぁ…寒くないのかなぁ。」
キラキラ眩しい光の中、海の中で風をきる君に、目を奪われてしまった――
2006-05-22 14:17:00 -
17:
◆/fmXna4sZY
「あ……れ?ねぇねぇ横にいた女の人がいないよぉ」「あ、海……!!」
体が、勝手に動いてた。気付けば、走って堤防を駆け降りあたしは靴を脱ぎ捨て海に入ってた。バシャッ―…
どんどん遠くに向かって、歩いていく。服が重たくなって、自然とペースが落ちる。だけど、何故だろう…足が止まらない――
2006-05-22 14:30:00 -
18:
◆/fmXna4sZY
バシャバシャッ―… もう少し…もう少しで……バシャ…
「ひゃ・・・あの人、何やってんの?ぶつかるんじゃ…」「あっ…ヤバイ!!」
ザパーン――――ッ ………
2006-05-22 14:39:00 -
19:
◆/fmXna4sZY
「…ッップハァ…!死にてーのか…ッバカヤローっ!!」
え―――… 思わず、目を掠めてしまった。海水で濡れた髪の毛を掻き上げながら叫ぶ、君の顔を見た。 『あ…ごめん…なさい』 「………」
足がすくんで、動けなかった。自分のした行動に、急に恐怖が湧いてくる…2006-05-22 14:52:00 -
20:
◆/fmXna4sZY
足がガクガクする… 震えが止まらない……
「…ケガは?」
『え…』
「ケガはねぇの?」
『あ、大丈夫… っ…』 「何?ケガしてんの?」 裸足で歩いてきたから、石で足を切ったみたい‥‥2006-05-22 14:58:00 -
21:
◆/fmXna4sZY
「……ほら、掴まれ。」 『え…あ、いーですっ。本当に』「…ったく。ほら」『えっ……!!』
信じられない・・・ 『ちょっ本当に、離して…!!大丈夫だから!』
「また、死にてーの?」
2006-05-22 15:11:00 -
22:
◆/fmXna4sZY
『……』
足が痛くて… 恐怖で、動けない…
黙り込むあたしを背負ってそのまま歩き始めた。あたし、何してんだろ… 「ボード引っ張るから、落ちないよーにちゃんと掴まってて」『うん…』
初めて触れた体からは、海の香りがしたんだ――…2006-05-22 15:20:00 -
23:
◆/fmXna4sZY
「で、なんであんなトコにいたの?…俺がいるの見えなかった?」
『見えてた…』
浜辺について、サーフボードに座り込む彼に、濡れた服を絞りながら答える。 「じゃ…なんで?」 溜め息混じりに、また質問を繰り返される。
『体が勝手に…動いてた』
だって、本当の事だから。2006-05-22 15:26:00 -
24:
◆/fmXna4sZY
「…名前は?」『え…?』「アンタの名前。俺は、 瀬名 柊二。」
『あ… あたしは… 泉』 「泉は、海が好きなん?」『好き…海は、落ち着くから。いつも全てを、忘れさせてくれる』
気付けば、太陽は夕日に変わり、夕日は、地平線の向こうで広い海に沈みかけていた。深い紅が、深い青に溶け込んでいく…
なんて情緒溢れるんだろう2006-05-22 15:40:00 -
25:
◆/fmXna4sZY
「あんま、危ねー事すんなよ。命は粗末にするもんじゃないからな。」
『…そうだね。』
「あ、夕日…沈んだ。日暮れると冷えてくるから、気付けて帰れよ。こっから家近いの?」
『ん…近いよ。じゃあ、今日は本当にごめんなさい。じゃあ、また』
あたしは立ち上がり、堤防に向かって歩き始めた。2006-05-22 15:49:00