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『あの夏を もう一度』
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1:
◆/fmXna4sZY
耳をすませば 今も聞こえてくる
あの日の 波の音
指の隙間から 零れ落ちる砂のように…
いつか、消えてしまうの?2006-05-22 04:35:00 -
41:
◆/fmXna4sZY
《いづみち〜ん!家の前に着いたよんっ!》
『はいは〜い!…今出るからちょっと待っててぇ。』流行りの編みあげサンダルを履きながら、慌てて電話を切ると、勢い良く玄関のドアを閉めた。
「ぐっもーにん!相変わらずやる気ねーじゃん!笑」マンションの下に止めてある車に近づくと、伊織がひょこっと顔を出す。
『…なんでやる気出す必要があんの?眠いってば。』2006-05-26 07:10:00 -
42:
◆/fmXna4sZY
「いやいや…その格好でコンビニの前に座ってたら、完全にヤンキぃーだよ君。泉らしいけど。」
『あ…コンビニ行きたい。とりあえずお腹すいたし』「……行くのかよ。笑」
朝早くから急に呼び出されて、気合いなんて入れれるワケがない。伊織と遊ぶ時はたいがいこんな感じ。 スウェットの上下に、足元は常にスニーカー。まぁ、着替えるのが面倒臭かったからだけなんだけど…2006-05-26 07:20:00 -
44:
◆/fmXna4sZY
「んじゃあ、いっちょ行きますか!泉、ちゃんと掴まっとけよ〜!」
『飛ばしたら、即効帰るから。…寝起きにあんたの運転はキツイって』
少しくせのある茶色い髪を手でくしゃくしゃさせながら、悪戯っぽく笑う伊織。チャームポイントの八重歯が、その整った顔立ちに、ギャップを作っている。
伊織と圭吾の間にあった出来事を、あたしが知るのはもう少し先の話―――…2006-05-26 08:54:00 -
45:
名無しさん
?
2006-05-26 14:46:00 -
46:
◆/fmXna4sZY
『…で、どこに向かってるの?』
コンビニに立ち寄って買った菓子パンを頬張りながら、ハンドル片手にタバコを吸う伊織に聞く。
「ん、…懐かしいとこ。」『懐かしい?なに?』 「ま、着いてからのお楽しみじゃん。食べながらいい子にしてなさい。笑」 『……あっそ。』
懐かしい場所?
あたし達の懐かしい場所って言ったらやっぱり――…2006-05-28 16:25:00 -
47:
◆/fmXna4sZY
「はいとうちゃーく!姫、足元にお気を付けてっ。」『…ん?あ、ごめん。ウトウトして……え・・?』
…予想を反する目の前の光景に、ただ驚いた―――
『ココ…って圭吾の家?』なんで………2006-05-28 16:37:00 -
48:
◆/fmXna4sZY
「懐かしいだろ?昔はみんなで…しょっちゅう集まったよな。」
伊織は、遠い記憶を思い出すように――‥反射する太陽の光を、眩しそうに目を細めた。
『…圭吾に会ったの?』 「会ってないよ。」 『そう…』
【伊織と圭吾】。誰よりも仲が良かった二人の間に、修復のきかない━亀裂━が入ってしまったあの日。 あたしはただ悲しくて、 一人で海を眺めていたんだ。2006-05-28 17:35:00 -
49:
◆/fmXna4sZY
…懐かしい場所っていうから、てっきり学校かその近くの遊び場だと思ってたのに。
伊織と圭吾が顔合わすのも二年ぶり。昔は、良く三人でも遊んでたのにな… なんだか今は、自分のいる立場にすごく緊張する。 「んじゃ、呼びますか。」『…え?あぁ、うん…。 ってか、大丈夫なの?』 「何が?」『圭吾の事…』「どしたの?泉が心配しなくてもいいよ。」
伊織は、あたしの頭を軽くポンポンと叩いた。
ピンポーン――2006-05-28 17:55:00 -
50:
◆/fmXna4sZY
ガチャ――
「はい…え……いお…り」この時の圭吾の表情は、きっと忘れられない。伊織を見た時の、圭吾の表情は―
「圭吾、久しぶり」
「…な…んで?ココ……お前今まで何処…に?」
「んーちょっとね。まぁ、色々あって。」2006-05-29 03:30:00