小説掲示板『あの夏を もう一度』のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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『あの夏を もう一度』

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  • 1:

    ◆/fmXna4sZY

    耳をすませば 今も聞こえてくる
    あの日の 波の音
    指の隙間から 零れ落ちる砂のように…

    いつか、消えてしまうの?

    2006-05-22 04:35:00
  • 56:

    ◆/fmXna4sZY

    伊織が語りだした、二年前の真実。あたしが何度圭吾に聞いても、彼の口からは告げられなかった…過去。
        
    伊織には、当時、彼女がいた。“実奈ちゃん”といって、あたし達より一つ下の同じ大学の女の子だった。伊織は、こんな性格のくせに意外と照れ屋なトコロがあって… あたし達にすらなかなか彼女である“実奈ちゃん”を紹介してくれなかった。
    初めて彼女を見たのは、学園祭の日――。伊織の横で楽しそうに笑う女の子を見て、一目で実奈ちゃんだと分かった。それから、学校でもちょくちょく彼女を見かけたけど、人一倍…人見知りが激しいあたしは、一回も声をかけれなかった。

    2006-05-30 19:44:00
  • 57:

    ◆/fmXna4sZY

    特別目立つ感じの子では無かったけれど、伊織と一緒にいる時の彼女は、いつもニコニコ笑っていて…女のあたしから見ても、とても可愛いと思ったんだ。


    ある日、圭吾から一本の電話が鳴った。内容は、伊織の彼女と三人で遊ぶから、あたしも来て欲しいという話だった。だけど、あいにく今からバイトに行かないといけなかったあたしは、その誘いを断った――

    2006-05-30 19:55:00
  • 58:

    ◆/fmXna4sZY

    そこから、全ては変わっていってしまったんだ…

    その日、帰ってきた圭吾に電話で伊織の彼女の事を聞いても、圭吾は「ん、まぁ普通だった」としか、言わなかった。あたしも、あえてそれ以上は触れなかった。
    それから、数か月が過ぎた――。ある日の、放課後だった。「泉…!大変!!圭吾と伊織が!!」共通の友人が慌ててあたしの元に、駆け寄ってくる。『えっ…何?どしたの?』「いいから!!早く来て…!!」 ただならぬ様子の友人に無理矢理腕を引っ張られて、あたしはそのまま‥何処かへ連れていかれた。

    2006-05-31 00:34:00
  • 59:

    ◆/fmXna4sZY

    連れていかれた場所は、学校の裏庭。何やら、騒がしい声が聞こえてくる。  え―――…? 
    『ちょ…二人共、何やってんの!?やめなよ!!』 駆け寄るあたしの目に映った光景は、男二人の取っ組み合い。圭吾と伊織…  「…っ前に、何が分かんだよ!!」バシッ――「……前の為に‥言ってんだろ!!!」ガンッ―――
    『やめてってばぁ…!!圭吾!!伊織っ…!!』    

    今考えれば、あの時あたしがバイトを休んで行っていれば。ううん、圭吾に話を聞いていれば… あの日の二人の気持ちを、少しは理解出来たのかな―――…?.

    2006-05-31 00:49:00
  • 60:

    ◆/fmXna4sZY

    そのまま、喧嘩の原因が何か分からないまま…その日は三人別々に帰った。

    伊織が姿を消したのは、その日から三日後の事だった。卒業式までは、すでに一ヵ月をきっていた。
    そのまま音信不通になり居場所も、何をしているのかも、分からなくなった。…風の噂で、彼女とは別れたんだと聞いた。それだけだった。     
    それから圭吾は、毎日自分を責めた。伊織がいなくなったのは、自分のせいだと。あの日の喧嘩が原因――…? あたしには、分からなかったけれど。 .

    2006-05-31 01:02:00
  • 61:

    ◆/fmXna4sZY

    突然いなくなった伊織。 自分を責めてきた、圭吾。理由を知らずに、圭吾の傍に居続けたあたし―。  二年前の真実は…ドコに?    

    「伊…織、お前は悪くねーだろ?だって、お前は…本当はいづ……」「圭吾!」「…え?」「いいから…」「もう、いいから。だから今日、……ココに泉を呼んだんだよ。」         
    『え――?何…?』 
    突然、二人と同時に目が合う。あたし…?

    2006-05-31 01:19:00
  • 62:

    ◆/fmXna4sZY

    「泉……今から、俺が話す事聞いて欲しい。」   伊織が、真剣な表情を浮かべる。緊迫した空気が、その場を張り詰める。
    『…分かった。何?』 

    「泉、“実奈”は…分かるよな?大学ん時に俺が付き合ってた…女。」
    『ん…分かるよ。何度か、一緒にいるトコ見かけたから。』

    2006-05-31 03:32:00
  • 63:

    ◆/fmXna4sZY

    「アイツは…さ、俺が全てを嫌になってた時期に、俺を…救ってくれたんだ。 実奈と……出会ったのは、クラブのイベントだった」   

    「ねぇねぇ、こんなトコで何してんのぉー?」
    「…っえ?私…ですか?」酒にもいい感じに酔ってた俺は、仲間からはぐれて、一人騒がしいフロアをうろついていた。そして、たまたま隅の階段に座り込んでいた一人の女の子に、声をかけた。    
    「そそっ。君だよ〜君。」「あっ……えっと、私…こういう場所に来るの初めてで…?あの、えっと…」

    2006-05-31 03:46:00
  • 64:

    ◆/fmXna4sZY

    真面目そうな女…       
    実奈への第一印象は、こんな感じだった。     それから、少し階段で話し込んでいると、同じ大学だという事が判明。ノリで携帯番号を交換して、俺はその場を離れた。

    【さっきは、話してくれてありがとう…。伊織くんって、なんだかお兄ちゃんみたいだね。 FROM.実奈】  
    その場の社交辞令かと思いきや、意外にも…メールは実奈の方から先にきた。

    2006-05-31 03:53:00
  • 65:

    ◆/fmXna4sZY

    【…お兄ちゃんかぁ。俺は今妹より、慰めてくれる女が欲しいけど(>_

    2006-05-31 04:10:00
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