小説掲示板『あの夏を もう一度』のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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『あの夏を もう一度』

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  • 1:

    ◆/fmXna4sZY

    耳をすませば 今も聞こえてくる
    あの日の 波の音
    指の隙間から 零れ落ちる砂のように…

    いつか、消えてしまうの?

    2006-05-22 04:35:00
  • 76:

    ◆/fmXna4sZY

    『あ、そうだ。圭吾、今日うち来るよね?ママが、買い物行きたいから車出して欲しいって……』
    「ははっ、いーよ。なんなら俺、泉と泉ママの専属タクシーになろっかな?」 『何言ってんの…』      
    いつまで、こんな日々が続くんだろう―――

    『あれ…伊織?どしたの?その目の隈……』

    2006-06-08 18:17:00
  • 77:

    ◆/fmXna4sZY

    「あはっ…泉ちんおはよ。あぁコレ?単なる寝不足〜。徹夜でゲームしてた。」『…徹夜でゲーム?あんたも暇人だね〜。伊織ファンが泣くよ。』
    「あはは、俺ってつくづく女泣かせ?笑」
    『馬鹿じゃん……』    
       
    そう言って、泉は呆れたように笑う。俺なんて、きっと彼女にとって今までもこれからも、一生“男友達”でしかないんだ。 .

    2006-06-08 18:31:00
  • 78:

    ◆/fmXna4sZY

    サークルの新歓コンパで泉に初めて会った日、
    《…初めまして。朝倉 泉です。》
    一人一人の挨拶が始まり、俺は何気なく彼女を見た。《朝倉さん美人だね〜。好きなタイプはぁ!?》  遊び人風のノリのいい先輩が、一際目立つ彼女に質問を投げ掛ける。
    《タイプとか…別にないです。興味ないし。》     
    そっけなく答えて、すぐさま席に腰掛ける泉。あまりの無愛想さに“なんだこの女…?”―― 第一印象はそんな感じだった。

    2006-06-08 18:48:00
  • 79:

    ◆/fmXna4sZY

    サークルを通じて次第に仲良くなって、泉は思ってたより話しやすいヤツで… 《あ、伊織!放課後ひま?今日、圭吾とイベント行くんだけど伊織も来てよ!》もともと圭吾と仲の良かった俺と、女の…泉。気付いたら俺らはいつも、三人で行動するようになっていた。週末は毎週三人で、イベントに行ったり飲みに行ったりしてた。


    圭吾と泉が付き合い始めたと聞いたのはそれから半年が過ぎた頃――。俺は、正直信じられなかった。  いや、信じたくなかったんだ… 俺は、自分でも気付かないうちに泉の事を好きになっていた。

    2006-06-08 19:08:00
  • 80:

    ◆/fmXna4sZY

    だけど、泉は圭吾の彼女。圭吾は、俺の親友だから…この気持ちは、伝える事は出来ない。こんな疾しい気持ちは、早く消し去らなきゃいけないんだ…
    《あ、伊織っ…!》
    《……え、泉?どした?》《今日は、圭吾の家に行くらしいから…帰り校門で!また放課後にねっ。》

    全てが、どうでも良くなるんだよ。俺なんて、いない方が二人の為だから‥‥さ.

    2006-06-08 20:39:00
  • 81:

    ◆/fmXna4sZY

    その夜、二人の誘いを断りクラブに行った俺は、先輩からたまたま貰った薬に初めて手を付けた。こんなの自分の弱さから逃げてるだけだよな… だけど、こうするしかなかった。彼女を見るのが辛かった。これ以上、三人でいるのが耐えられなかったんだ―――      

    薬は、全てを忘れさせてくれた…… 

    2006-06-08 20:50:00
  • 82:

    ◆/fmXna4sZY

    《伊織くんって…なんだかお兄ちゃんみたいだね!》  
    俺の運命を変える【実奈】との出会いだった―――    


    実奈と付き合い初めて、俺は救われた。泉に対する想いも、実奈が隣にいてくれるおかげで…実奈を抱いている間だけは…… 思い込まないですんだ。薬の数も減っていった。だけど今考えれば、俺は最低な事をしていたんだ… と思う。

    2006-06-08 21:11:00
  • 83:

    ◆/fmXna4sZY

    実奈は、俺に他に想う女がいる事を、初めから知っていた。それでもいいから傍にいたい――と言った。 俺は、実奈が大切だった。俺を救ってくれた女を、失いたくない…。だけど、それは恋愛とは別の感情。いつの間にか実奈の事を、本当の妹のように……思っていたのかも知れない。   
      
    だから、あの日、実奈から“妊娠した”と告げられた日――。俺は、何も言う事が出来なかった。
    “おめでとう”とも“結婚しよう”とも、 不安げに呟いた彼女の肩を抱く事さえ…… 俺には、出来なかったんだ。

    2006-06-08 21:23:00
  • 84:

    ◆/fmXna4sZY

    圭吾と泉に…全て話そうと、実奈を連れて、初めて二人を誘った。だけど、泉は来なかった。         
    圭吾は、俺の話を黙って聞いていた。――そして、ゆっくりと口を開く。
    「…で、伊織は、どうする気なんだ?結婚するの?」「……結…婚は、俺らまだ付き合って間もないし…」「―――は?じゃあ、子供どーするんだよ?実奈ちゃんのお腹にいるんだろ?」「それ…は、俺も実奈も…そんなつもりじゃなかった……から。」
    バンッッ――――
    「お前いい加減にしろよ!自分の女目の前にして…良くそんな事言えるな。じゃあ、何の為に俺を呼んだんだ?堕ろす金でも貸してって言いにきたのか!?ふざけんなっ…!!」

    2006-06-08 21:36:00
  • 85:

    ◆/fmXna4sZY

    圭吾は、テーブルを思い切り叩きつけると、俺を睨み付け店を出て行った。  「伊織…く…大丈…夫?」「………」


    俺だって、どーしたらいいか分かんねーんだよ。避妊を…してなかったわけじゃないんだ。実奈を、嫌いなワケでもない。ただ、展開が余りに早すぎて…
    ガキな俺は、また弱さに逃げちまいそーなんだよ‥‥。

    2006-06-08 21:43:00
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