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ラブレター

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  • 1:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「手紙とかださいから嫌やし!笑」
    あの頃あんなに面倒だった手紙交換。

    なのに不思議だね。。

    君がくれたラブレターは今も、あたしを支えてくれてるよ-

    2009-08-08 01:58:00
  • 2:

    さよ

    中学のとき付き合ってた彼氏は地元ではちょっと有名な人だった。友達のお兄ちゃんで3つ上で、優しくてかっこよくて…みんなの憧れ。あたしの自慢。
    中学生のあたしなんか相手にされないと思ってた。だけど、彼は対等に扱ってくれた。
    好き。ほんとに大好き。
    初めての恋。

    2009-08-09 13:19:00
  • 3:

    さよ

    だけど、恋はあっけなく終わった。彼には新しい彼女が出来た。
    たった半年。
    たった半年しか一緒にいれなかった。だけどそれでも中学生のあたしにとっては永遠のような時間だった。

    2009-08-09 13:30:00
  • 4:

    さよ

    恋なんてもうしない。
    強がってみるけど、やっぱり寂しい。何かを求めてた。
    今を変える何かを。

    2009-08-09 13:35:00
  • 5:

    さよ

    いかにもやんちゃそうな、短髪色黒、はっきりした顔立ちの男の子。筋肉がついた体。
    あたしは細身で髪が長くて色が白くて、すっきりした顔立ちの大人っぽい人が好き。
    全然タイプじゃない。

    2009-08-09 22:19:00
  • 6:

    さよ

    『何であたしなん?紹介するなら他の子にしぃや』
    興味ない人とわざわざ友達になる必要ない。あたしはちょっと冷めていた。
    「あいつ、入学式の日、お前に一目惚れしたらしいねんって!だから頼むわ〜。友達なってくれるだけでええねん!」

    2009-08-09 22:23:00
  • 7:

    さよ

    一目惚れ?
    ありえない。あたしは別にキャピキャピした明るくて可愛いギャルじゃないし、人目を引くとはどうしても思えない。
    だけど必死で話す雅紀の勢いに負けてしまった。
    まぁ別に同級生だし、友達になればいいか。

    2009-08-09 22:31:00
  • 8:

    さよ

    あたしは冷たそうに見えるらしい。
    団体行動とか向いてない。愛想も良くない。友達も沢山いらない。大切な子がいればいい。
    だから話したこともない人にアドレスを教えるなんか今まで無かった。
    ──運命だったって、今はそう思うの。

    2009-08-09 22:48:00
  • 9:

    さよ

    「雅紀からアドレス聞いたんやけど、教えてくれてありがとう!俺、浩太って言うねん。よろしく!」
    その日の夜来た普通のメール。あたしも普通に返す。
    どこの中学だったとか、今彼氏はいるかとか、そんな当たり障りないやりとり。何も感じなかった。何とも思わなかった。

    2009-08-09 23:55:00
  • 10:

    さよ

    だけど、意外にもメールは次の日もその次の日も続いた。人見知りな私でさえ打ち解けてしまうほど、浩太は天真爛漫で、いかつい雰囲気とは違う純粋な人だった。

    彼は汚れを知らなかった。

    2009-08-09 23:58:00
  • 11:

    さよ

    「さよ、浩太君とどうなん!」
    メールしだして一週間。親友の美妃がこんなことをよく聞くようになった。
    『どうって・・・別に何もないし。ただメールしてるだけ。まともに顔見て話したこともないし。』
    「でも明らか向こうはさよのこと好きやん。さよは何も思わんの?」

    2009-08-10 00:01:00
  • 12:

    さよ

    浩太があたしを好き?
    あたしはいまいちそれが信じられないままだった。雅紀の勘違いじゃないの?
    だってあたしは美妃みたいに明るくて可愛くない。明るく染めた髪。明るい色のアイシャドウ。くるんと上がったつけまつげ。どれもあたしには無いものだし、あたしぐらいの年の子は美妃みたいな無邪気な子が好きなはずだと思っていた。

    2009-08-10 00:05:00
  • 13:

    さよ

    『浩太はいいやつやなとは思うけど、別にそれ以上は・・・』
    本音だった。第一全然タイプじゃないし。

    「そっか-。
    ・・・なぁ、もしかしてまだお兄ちゃん引きずってる?」

    2009-08-10 00:08:00
  • 14:

    さよ

    前の彼氏・・・恭平は美妃のお兄ちゃんだった。
    美妃の家に遊びに行ったときに出会い、一目で好きになった。
    毎日一緒にいた。数えきれないキス。何度も愛し合って、何度も愛してると言った。子どもだったけど、子どもなりに愛してた。
    引きずってないと言えば嘘になる。ほんとは今も好きだと思う。だけどあたしはどこか冷めていて何かに執着したり、しがみつくことが出来なかった。諦めてしまう方が楽だった。

    2009-08-10 00:15:00
  • 15:

    さよ

    『お兄ちゃんはモテるし、一人の子と長く付き合うタイプじゃないし、早く忘れた方がいいよ。
    浩太君実は人気あるねんで?先輩からもかわいいとか言われてるし!取られてからじゃ遅いねんから、もっと真剣に考えてあげたらいいのに-。
    あ、そうや!今日の放課後雅紀と4人で遊ぼうや!
    あたし、雅紀に言ってくる!」

    2009-08-10 00:20:00
  • 16:

    さよ

    『ちょ、ちょっと美妃!!』
    あたしが止めるのも聞かず走っていった美妃。
    結局放課後みんなで雅紀の家に行くことになった。
    ・・・めんどくさ。

    2009-08-10 00:26:00
  • 17:

    さよ

    「俺らコンビニ行ってくる〜?」
    放課後、雅紀の家に着いた途端、そう言って雅紀と美妃は出ていった。い、いきなり二人っきり?!なんておせっかいな二人やねん…。
    長い沈黙。困る…。

    2009-08-10 00:29:00
  • 18:

    さよ

    「あのさ・・・」
    ベッドに座ってるあたし。ソファに座る浩太。話し出したのは浩太からだった。
    「知ってると思うねんけど・・・俺、さよちゃんのこと好きやねん・・・」

    2009-08-12 01:13:00
  • 19:

    さよ

    『・・・あたしのこと何も知らんくない?』

    好きと言われて嬉しくないわけじゃなかった。だけど信用出来なくて可愛くないことを言ってしまう。
    浩太はみんなから愛されていた。男からも女からも、後輩からも先輩からも人気があった。そんな浩太と、友達も少なく可愛げの無いあたし。浩太の周りにはかわいいギャルがいっぱいいるのに、何でわざわざあたしなの?

    2009-08-12 01:16:00
  • 20:

    さよ

    ソファにいたはずの浩太はいつの間にか、ベッドに座るあたしの前に座っていた。
    「まぁ正直一目惚れ。
    ほんまにすげークサイこと言うようやねんけどさ・・・」
    頭を掻きながら下を向いていた彼が顔を上げる。
    ・・・──目が合う───

    2009-08-12 01:36:00
  • 21:

    さよ

    ・・・恥ずかしくて目を反らしたくなる。
    ───だけど、
    浩太の大きくまっすぐな瞳がそれを許さない。

    ───汚れを知らない瞳。

    2009-08-12 01:40:00
  • 22:

    さよ



    「お前を初めて見た瞬間、
    ──時間が止まってん。」

    2009-08-12 01:43:00
  • 23:

    さよ

    ──浩太はそう言った。

    意志の強い真っ直ぐな瞳をあたしに向けたまま。

    2009-08-12 01:49:00
  • 24:

    さよ

    普段は無邪気で子どもっぽい浩太。
    なのにそのときの彼は見たことのない人のようで・・・

    あたしは彼が続けて言った「俺の彼女になって」という言葉にいつの間にかうなずいていた───

    2009-08-12 01:52:00
  • 25:

    さよ

    例えば人を好きになるのに理由があるとしたなら。
    見た目が好きとか、性格が優しいとか、色々あると思う。現に、前の彼氏の恭平は見た目がタイプだった。もちろんそれだけじゃないけれど。
    だけど浩太に関してはそんな風に明確に理由を持てたことが一度も無かった。

    あたしは浩太を好きになり始めていた。

    2009-08-12 02:06:00
  • 26:

    さよ

    第一印象は「全然タイプじゃない。」それだけだった。
    でも知っていくうちにどんどん浩太にはまっていく自分がいた。
    浩太と付き合って一週間。
    あたしはそんな自分が嫌だった。

    2009-08-12 02:09:00
  • 27:

    さよ

    『はぁー・・・』
    気が付くと深いため息。
    美妃がそれを聞いて笑う。
    「浩太君とラブラブのくせに何のため息なん!笑」

    2009-08-12 02:13:00
  • 28:

    さよ

    てか誰か読んでる?
    感想くらい書き込みしてや?

    2009-08-12 04:49:00
  • 29:

    さよ◆72WDX/rkgw

    ↑上の書き込み、あたしじゃないです??

    2009-08-12 10:08:00
  • 30:

    名無しさん

    読んでますよ?楽しみにしてます。

    2009-08-12 12:17:00
  • 31:

    さよ◆72WDX/rkgw

    33さん、ありがとうございます!すごく嬉しかったです??下手な文章ですが、これからも読んで頂けると嬉しいです?

    2009-08-12 20:09:00
  • 32:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「美妃の方がラブラブやんか!笑」
    あの日。あたしと浩太が付き合い出した日。美妃と雅紀は二人でコンビニに行ったきり帰ってこなかった。あたしたちに気をきかしたらしいけど、なぜか流れで付き合うことになったらしく・・・一週間たった今では教室でも廊下でも電車でも至るところで人目を気にせずイチャイチャイチャイチャ。
    バカップルの見本みたい。かわいい二人。

    2009-08-12 20:50:00
  • 33:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「で、何が不満なん?」
    美妃は机から身を乗り出す。
    『不満とかはないねんけどさ・・・』

    ほんとに浩太に不満なんかなかった。あたしが嫌なのは自分自身。

    2009-08-12 20:52:00
  • 34:

    さよ◆72WDX/rkgw

    あたしは自分が軽く思えて仕方なかった。
    恭平をあんなに好きだと思ってたのに、別れて2ヶ月でまた他の人を好きになり始めてる自分が、どうしようもなく汚く思えた。

    2009-08-12 21:37:00
  • 35:

    さよ◆72WDX/rkgw

    あたしの中で恭平は特別だった。
    いや恭平を想う気持ちは特別だったって言った方が正しいかもしれない。

    2009-08-12 22:35:00
  • 36:

    さよ◆72WDX/rkgw

    それまで誰と付き合っても何とも思わなかった。付き合うときも別れるときも。誰かを想って苦しくなることも切なくなることも、ずっと側にいたいと願うことも。
    恭平に出会って初めて知った。
    冷めてるあたし。強い意志なんか無いあたし。他人に流されて生きてきたあたし。
    そんなあたしが初めて譲れなかった、自信を持てた、一生変わらないと誓った気持ち。

    2009-08-12 22:39:00
  • 37:

    さよ◆72WDX/rkgw


    ───それがこんなに簡単に崩れさるなんて────

    あたしはやっぱり意志が弱い。

    2009-08-12 22:41:00
  • 38:

    さよ◆72WDX/rkgw

    たった一つ大切にしてた気持ちさえ、守り抜けない。

    あたしはすごいしょうもない人間だな。

    2009-08-12 22:42:00
  • 39:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「そんなもんなんじゃないの?」
    美妃は言う。
    「さよは真面目過ぎるよ。考えすぎだよ。それにお兄ちゃんのこと良く言い過ぎ!あたしから見たら、あたしの友達にまで手出して、女好き過ぎるし、チャラ過ぎる!さよには浩太君とうまくいってほしいし、幸せになってほしいし・・・それを調子いいなんて思わない。
    人はみんな幸せになる為に、歩いてるんだよ。」

    2009-08-12 22:46:00
  • 40:

    さよ◆72WDX/rkgw

    ───人は幸せになる為に 歩いてる────

    よく美妃はそう言ったね。
    あたしもそう思う。あれから随分時間が経ってしまった今も、ずっと自分の幸せを探しながら─
    大切な人の幸せを願いながら人生を歩いてる。

    2009-08-12 22:53:00
  • 41:

    さよ◆72WDX/rkgw

    だけどね、美妃。
    あの頃は幼くて気付けなかったけど、幸せって結局自分の物差しでしか計れないから。
    誰かを幸せにしてあげたくても、相手の幸せが何かなんてわからないし、その為に自分がすべきことすらわからない。

    2009-08-12 22:56:00
  • 42:

    さよ◆72WDX/rkgw

    時間が経って、少しは大人になった今も、あたしはまだ自分の幸せの答えすら見つからないまま。


    今年で24になる───

    2009-08-12 23:01:00
  • 43:

    さよ◆72WDX/rkgw


    2009年。夏。

    2009-08-12 23:08:00
  • 44:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「暑い!暑すぎる!!」

    『しゃーないやん。夏やねんし。』

    夏の太陽はジリジリジリジリ容赦なくあたし達を照らす。コンクリートは熱されて異様な熱気を放ってる。

    2009-08-12 23:15:00
  • 45:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「絶対温暖化進んでるわー。絶対セミ昔より増えてるし!もう嫌ー!
    あっ!愛実ちょっと走らんといてよ!!こけるで!!」
    美妃は昔と変わらず、いや昔よりよく話す。だけど、我が子を追いかける優しい眼差しはやっぱり昔とは違う。

    2009-08-12 23:18:00
  • 46:

    ◆72WDX/rkgw

    地元の駅前のミスドに入り、一息つくなり美妃は話し出す。
    「最近どうなん?」
    美妃それ昔からよく聞くけど・・・
    『別に何もないよ』
    美妃の娘の愛実にドーナツを渡しながら目も合わさずに答える。ドーナツを受け取る愛実の手は小さく、ドーナツを見つめる目はキラキラ輝き、愛しい気持ちで一杯になった。

    2009-08-12 23:23:00
  • 47:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「何もないことないやろー」
    美妃がコーヒーのストローをくるくる回す。のどが乾いてたのか一気に飲み終えたグラスの中で氷がカラカラ言ってる。
    『ほんまやって!あ、まぁ明日またコンパ行くけど。』

    2009-08-12 23:27:00
  • 48:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「まじ!いい人来るといいなー!!
    独身の刺激的な話聞いて、退屈な主婦は妄想して楽しむねんから頑張って土産話持って帰ってきてや!!笑
    あ、もう愛実口からポロポロこぼれてるやんかー」
    美妃は愛実の口元をめんどくさそうに愛しそうに拭く。
    美妃ごめんね。美妃には心配かけてるね。冗談言ってごまかして、あくまであたしに負担がかからないようにしてくれる。気付いてるよ、美妃。いつも気にしてくれてること。美妃がいるだけであたしはすごく救われてる。

    2009-08-12 23:34:00
  • 49:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「そろそろ帰るか!旦那も帰ってくるし!」
    話が盛り上がり気付けば夕方になっていた。愛実は疲れて寝そうになっている。
    『そうやな?旦那さん元気?』

    2009-08-12 23:45:00
  • 50:

    ◆72WDX/rkgw

    「あー元気元気!元気すぎてしんどい!笑」
    『あ、そう?笑』
    「うん笑
    ・・・なぁ、さよ?」
    『んー?』

    2009-08-12 23:59:00
  • 51:

    さよ◆72WDX/rkgw


    「あんたは一人じゃないからね。」

    2009-08-13 00:01:00
  • 52:

    さよ◆72WDX/rkgw

    『きゅ、急に何よ!笑』
    「別にぃ〜?笑
    じゃあまたね!」
    『はいはい、またね!笑』
    昼間あんなに暑かったことが嘘みたいに、涼しくなった夕方の帰り道。歩きながら一人泣いた。何で涙が出るんだろう。年のせいかな。寂しさ。虚しさ。切なさ。色んな想いが葛藤する毎日。毎日を必死に過ごして誰かに想われてること忘れてたのかもしれない。美妃の優しさに、思いやりに、何だかとても泣けた。

    2009-08-13 00:07:00
  • 53:

    さよ◆72WDX/rkgw

    ふと見上げた空は、雨ばっかりの今年の夏には珍しいほど綺麗で、また一粒涙がこぼれた。



    ───もうすぐ今年もまた夜空に花が咲く。

    2009-08-13 00:10:00
  • 54:

    さよ◆72WDX/rkgw

      
      ─────────────────────

    2009-08-13 00:13:00
  • 55:

    ◆72WDX/rkgw

    「さよー!!花火!花火いこー!!!」
    こないだまでくるくる巻いてた長い髪を、夏で暑いとゆう理由とあゆが好きだからとゆう理由だけで、ばっさりあゆショートにした美妃が叫びながら教室に入ってくる。

    2009-08-13 00:24:00
  • 56:

    さよ◆72WDX/rkgw

    あたしは夏の暑さのせいで、より一層重たく感じる長い黒髪をかきあげる。
    前髪まで伸びてセンターわけになり、いい加減暑苦しい。
    あたしにもあんなに潔く髪を切れる、思いきりの良さがあればいいのに。

    2009-08-13 00:27:00
  • 57:

    名無しさん

    頑張ってね?

    2009-08-13 16:25:00
  • 58:

    さよ◆72WDX/rkgw

    61さん、ありがとうございます!すごく嬉しいです?良ければ続きも読んでいただきたいです??

    2009-08-17 00:37:00
  • 59:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「淀川の花火大会、4人でいこ!」
    美妃が言った4人ってゆうのはもちろん、美妃と雅紀、浩太とあたし。浩太と付き合って早くも3ヶ月。夏休みを間近に控えた7月半ば。美妃のテンションは上がりに上がっていた。
    口を開けば「夏休み海行こう」「プール行こう」・・・
    そして次は「花火大会」。

    2009-08-17 01:01:00
  • 60:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「海で水着着て可愛くはしゃいで、花火大会ではしっとり浴衣着て、雅紀またあたしのこと好きになるわー?」
    脳内ピンク色の美妃。でも恋をすると一直線な美妃は輝いてたし、あたしの憧れる女の子像でもあった。
    「さよも絶対浴衣似合うわ!」
    『え、別に全然にあわへんけど?てゆうかあたしも浴衣着るん?』

    2009-08-17 01:09:00
  • 61:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「当たり前やん!
    ・・・てゆうかさよってさ・・・何でそんな自分に自信ないん?せっかく可愛いのに、素直じゃないのはモテへんで」
    美妃は素直。だし、思ったことはズバリ言う、はっきりした性格・・・。
    『いやだって・・・』

    2009-08-17 01:14:00
  • 62:

    さよ◆72WDX/rkgw

    あたし美妃みたいに可愛いギャルじゃないし。それに家庭環境的に、決して自分に自信が持てるような教育をされなかったからだと思う。
    家庭のせいにするなんて良くないけど、親が子供に与える影響は半端じゃないし、少なくともあの頃のあたしはそう感じてた。
    ───だって、ママはあたしを可愛くないって言う。

    2009-08-17 01:18:00
  • 63:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「確かにさよはあたしみたいな可愛いギャルではないけど!・・・」
    口ごもったあたしを見て、あたしの気持ちを見透かすように美妃は言う。
    「でもさよはキレイやん!上原多香子に似てるし!笑
    黒い髪もキレイやし、あたしの自慢の親友やねんからもうちょっと自信持っててよ!笑」

    2009-08-17 01:21:00
  • 64:

    さよ◆72WDX/rkgw

    美妃をほんとにすごいと思う。
    たった15歳で、他人の心を救う言葉を知っている。
    恩着せがましくなく、嘘臭くもなく、プレッシャーを与えず、心を暖かくさせてくれる。
    すぐに自分の中の闇に落ちてしまうあたしをすくい上げてくれる人。

    2009-08-17 01:27:00
  • 65:

    さよ◆72WDX/rkgw

    こんな弱いあたしだけど、ううん、こんな弱いあたしだからかな?
    神様はプレゼントをくれたんだね。
    美妃と浩太。

    何があっても決して汚れることない、強い眼差しを持った人。

    2009-08-17 01:30:00
  • 66:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「とりあえず!花火大会行こうね!浴衣で!!」
    授業の開始を告げるチャイムと同時に美妃は叫んだ。
    あたしはうなずき、カバンから、こないだHEPのディズニーストアで買ったばかりのリトルマーメイドの便箋を一枚抜く。
    数学のおじいちゃん先生と授業開始の礼をしたあと、あたしは教科書を立てて、ノートの下に便箋を隠しながら、こっそり手紙を書く。
    宛名は・・・

    2009-08-17 01:40:00
  • 67:

    さよ◆72WDX/rkgw

    ───Dear→浩太───
    今日も暑いね。今は数学の時間だよー。全然わからんけど。あたしは国語のが好きやわー。
    あ、あとね、雅紀から聞いたかな?美妃が花火大会行こうって!人多そうでちょっと嫌やなー。花火は好きなんやけど。
    夏休みやること多すぎやね!笑 楽しみだね☆じゃあまたね!
    ──From→さよ──

    2009-08-17 01:46:00
  • 68:

    さよ◆72WDX/rkgw

    付き合って一週間。あたしと浩太の距離はなかなか縮まらなかった。恭平と色々経験済なあたしではあったけど、それは恭平に誘導されたからであって、自分から誰かと距離を縮める方法なんて知らなかった。
    それに浩太のことまだ知らないことが多かったし、意外と奥手な浩太とどう接していいか分からなかった。
    それは浩太も同じだったと思う。

    2009-08-17 01:50:00
  • 69:

    さよ◆72WDX/rkgw

    「手紙交換しようや!」
    そう言い出したのは浩太だった。
    「え、手紙交換とかださいから嫌やし!笑」
    中学生みたいな提案に普通に笑えたし、普通にめんどくさかった。ただあたしがそう言ったとき、浩太がすごく寂しそうな目をしたから。
    結局拒否出来ずに、1日2〜3通の手紙交換が3ヶ月たった今も続いてる。

    2009-08-17 01:54:00
  • 70:

    さよ◆72WDX/rkgw

    体育とか、厳しい先生だとか、そうゆう特別な事情がない限り、大体1時間に一通書く。そして浩太に渡しに行く。浩太のクラスは1年生のフロアの一番はしっこ。
    浩太はあたしが来るのを分かっていて、廊下の傘立てに座って待ってる。
    たくさんの友達に囲まれながら。

    2009-08-17 01:58:00
  • 71:

    さよ◆72WDX/rkgw

    ちょっと九州とか沖縄っぽい濃いめの顔。焼けた肌。笑ったときに細くなる目。
    「さよ!!」
    浩太を見つめる女の子の視線の中をすり抜けて浩太の元へ歩く。
    くだらないけど・・・
    あたしは優越感を感じ始めていた。

    2009-08-17 02:04:00
  • 72:

    さよ◆72WDX/rkgw

    ──浩太はさよのモノ──

    そうゆう認識がみんなの中に生まれていたと思う。

    2009-08-17 02:14:00
  • 73:

    ◆72WDX/rkgw

    休憩時間になる度に手紙を持ってお互いのクラスを行き来する。
    最初はバカにしてた手紙交換。
    ちょっと書くのがめんどくさいときもある。
    だけど・・・確実に二人の距離を縮めてくれた。あたし達は思い合ってた。

    2009-08-17 02:22:00
  • 74:

    名無しさん

    続き気になる?

    2009-08-19 01:31:00
  • 75:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    80さん、読んで頂いてありがとうございます?
    すごく嬉しいです!
    今から少し書きますね?

    2009-08-19 18:35:00
  • 76:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    知れば知るほどに浩太とあたしは正反対だった。
    得意な科目も、好きな食べ物も全く違う。
    天真爛漫でみんなに好かれてて沢山の友達がいる。ヤンチャをしたり、度胸がある。真っ直ぐで、嘘をつけない。曲がったことを許さない。

    あたしの瞳にうつる浩太は強い強い人だった。

    2009-08-19 18:42:00
  • 77:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    それに比べてあたしは素直じゃないし強がりだし意地っ張りだし、すぐ卑屈になるし・・・
    度胸もないし、ビビりだし・・・
    もうダメなとこあげたらキリがないくらい。
    すぐに自分の弱さに逃げるズルい人間だった。

    2009-08-19 18:52:00
  • 78:

    さよ◆xJuHzmhtG2


    ・・・恭平は・・・

    2009-08-19 19:06:00
  • 79:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    浩太を好きなのに、浩太と自分のことを考えるとき、どうしても恭平を引き合いに出す自分がいた。
    元カレってそうゆうものなの?
    それともまだ忘れられてないの?
    まだ幼かったあたしにとって、大好きな人が出来たことも別れたことも、また新しい恋愛をすることも。
    全てが初めてでよくわからなかった。

    2009-08-19 19:09:00
  • 80:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    『ただいま-』
    誰もいない部屋に向かってポツリとつぶやく。

    あたしの家族はママしかいない。

    2009-08-19 19:12:00
  • 81:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    パパはいつの間にかいなくなってた。でもそれはすごく自然な出来事で、寂しくもなかったし、違和感もなかった。
    例えば普通の家庭にパパがいるのが当たり前なら、あたしにとってはいないのが当たり前だった。

    もうずっとずっと長い間ママとあたしの二人で生きてきた。

    2009-08-19 20:01:00
  • 82:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    家に帰ってまずすること。
    お米を洗ってごはんを炊く。
    炊いてる間に朝干した洗濯物をとりこんで畳む。

    これはあたしが小学校から続けてる唯一のこと。

    2009-08-19 20:04:00
  • 83:

    ◆xJuHzmhtG2

    8時を回るとママが帰ってくる。
    ママがおかずを用意してくれて、あたしが炊いたごはんを二人で食べる。

    ずっとずっと続けてきたこと。

    2009-08-19 20:06:00
  • 84:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    ママは強い人だけど、その反面すごく弱く脆い一面もあった。
    一人であたしを育て、キャリアウーマンとしてやっていくのは想像以上に苦しいんだと思う。
    いつもキレイなママだけど、寂しさやもどかしさを人一倍抱えて生きてた。

    2009-08-19 20:13:00
  • 85:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    そんなママを笑わせたくて楽しませたくて、家では無駄にはしゃいでくだらないことを言った。言い続けた。
    バカみたいにピーチクパーチク。自分でも何を言ってるかよくわからないほどに。
    何年も続けたけど、ママがやっと返してくれた言葉は「あんたアホなん?鳥みたいにずっと鳴いて。あほちゃうん。こっちは疲れてるねんから!」

    2009-08-19 20:18:00
  • 86:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    機嫌が悪かっただけかもしれない。
    そう思った小学校6年の秋。
    初めてママにストレスをぶつけられたと感じた瞬間だった。

    2009-08-19 20:21:00
  • 87:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    でも一度開いてしまった扉は、閉じることはなかった。
    あたしも閉じる方法を知らなかった。
    いくら家事を手伝っても、いくら勉強をしても、もう無理で。
    ママを癒す方法を、その虚しさや寂しさから救う方法を、あたしは知らなかった。ただただその扉からいつ流れて来るかわからない、負の感情の波に怯えて毎日を過ごすしかなかった。

    2009-08-19 20:27:00
  • 88:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    もう何を言われてるのかすらよくわからない。

    機嫌がいいときはすごく優しくしてくれる。
    なのにいきなり別人のように怒鳴りだす。
    ・・・アタシガワルイノ?

    2009-08-19 20:30:00
  • 89:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    「あんた何でそこにいんの?」「父親そっくり!」「産まんかったらよかった」「きもいねん!」「死ねばいい」「このブス!」「あんたのせいであたしはこんな想いしてんねん!」「何なん、その顔。その怯えた顔がむかつくねん。」「あんた生きてる意味あるん?誰にも必要とされてないやん。」

    「・・・あんたなんか死ねばいいのに。」

    2009-08-19 20:33:00
  • 90:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    ・・・オネガイ、ヤメテ・・・

    ねぇ、ママ、全部冗談だよね?ほんとはそんなこと思ってないよね?疲れてるからちょっとイライラしてるだけだよね?だってママ、あたしのこと愛してるって言ってくれたよね?あたしが学校から帰ってくるのをケーキを焼いて待っててくれたりしたよね?

    2009-08-19 20:36:00
  • 91:

    さよ◆xJuHzmhtG2


    パパがいなくなって、
    一つだけ変わったことがある。

    2009-08-19 20:40:00
  • 92:

    さよ◆xJuHzmhtG2


    あたしはもう何年も、
    ママが本当に笑った顔を見ていない。

    2009-08-19 20:42:00
  • 93:

    さよ◆xJuHzmhtG2


    ママを暗闇から救い上げる人はあたしじゃなかった。

    2009-08-19 20:43:00
  • 94:

    さよ◆xJuHzmhtG2


     ──────────────────

    2009-08-19 20:45:00
  • 95:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    眠い。ひたすら眠い。
    残業続きだった今週。こんな週の週末は真っ直ぐ家に帰りたい。花の金曜日なんてほんとに死語・・・。
    「先輩今日のコンパ行きますよね?
    コンパなんて・・・
    ・・・行くけど・・・

    2009-08-19 22:10:00
  • 96:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    「今日は〇〇広告の人たちですよ?素敵な人いるといいですね?」

    素敵な人・・・
    「ステキ」の基準は人それぞれだけど、あたしの基準なら、未だかつてコンパで素敵な人は見たことがない。いい人ならいるけど。

    2009-08-19 22:13:00
  • 97:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    いい人とは何人か付き合った。
    ほんとにいい人で、だけどやっぱり何も感じなかった。
    そういえば、恭平と付き合う前の自分もこんなんだった。あれから10年も経ってるのにまた元通りになってるなんて・・・バカみたい。

    2009-08-19 22:16:00
  • 98:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    だけどもう幸せが来るのをひたすら待つほど子供じゃないから。
    どんなに疲れててもコンパに顔を出したりする。自分の幸せを自分で掴む為に頑張らなきゃ。
    昔は冷めてて付き合いもよくなかったのに、こんな自分になってるなんて予想もしなかったな。
    何も変わらないようで、やっぱり変わってる。あたしも周りも何もかも。

    2009-08-19 22:19:00
  • 99:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    PM8:00。
    茶屋町のおしゃれなダイニングバー。相手の男の人たちは金曜日だからみんなスーツだけど、手首に光る時計はFRANCK MULLERだったり、CHANELだったり。
    なるほどこれはみんなの食い付きがいいはず。それぞれが思い思いの相手と話す中、あたしは盛り上がれなかった。

    ・・・眠い。

    2009-08-19 22:24:00
  • 100:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    「君は何歳なの?」
    突然話しかけられた言葉にハッとなる。頑張るって決めた合コンに無理して来てるのにボーッとしててどうすんねん?
    『あ、今年で24です?』
    今週一番の笑顔。
    だめだ、表情筋使ってないからつりそう。

    2009-08-19 22:27:00
  • 101:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    「へ〜若いね。落ち着いてるのに。」
    いえ、眠いだけです。疲れてるだけです。他の人より残業してるだけです。
    てゆうか若いって言われて良かった・・・。ここがキャバクラならあたしは完全におばさんだ。だけど世の中はまだあたしに優しいみたい。

    2009-08-19 22:31:00
  • 102:

    ◆xJuHzmhtG2

    今年で31になると話す紳士的な彼。
    そつないおしゃれな会話。
    夏だし、今度よかったらスキューバに行こうとかジェットに行こうとか。
    世の中的には彼のような、優しくて、かっこよくて、おしゃれで、お金を持ってて、仕事が出来て、余裕があって、大人でetc・・・そうゆう人が素敵な人なんだってわかってる。あたしも客観的には素敵だと思うんだよ。
    だけど・・・

    2009-08-19 22:36:00
  • 103:

    さよ◆xJuHzmhtG2


    どうしても熱くなれない。
    心が・・・
    動かない。

    2009-08-19 22:37:00
  • 104:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    綺麗な海でスキューバをするより、ジェットを楽しむより・・・


    ・・・あたしは・・・
    あの頃みんなで行った汚い須磨の海が忘れられない。

    2009-08-19 22:38:00
  • 105:

    さよ◆xJuHzmhtG2



    ・・・おかしいよね。

    2009-08-19 22:39:00
  • 106:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    ・・・
    「・・・この後二人でどっか行かない?」
    みんながいいペースで飲んで、だいぶ調子が良くなった頃。彼はあたしの耳元でそう囁いた。
    何だ、紳士的に見えたけど、頭の中はみんな一緒だね。

    2009-08-19 22:44:00
  • 107:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    『・・・いいよ。』

    あ-今日も恋出来なかったな。でもまぁいいや。ほんとに自分でもバカだと思うけど、今寂しい。誰かに甘えたい。朝になったら今よりもっと虚しいのはわかってるのに。
    今さら誘いを渋って、値打ちこくほどいい女でもないし。かと言って何も考えずに抱かれるほど単純じゃない。・・・しょーもない女。

    2009-08-19 22:50:00
  • 108:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    こんなこと、美妃には言えない。
    あたし自身信じたくない。
    こんな最低な自分なんて。
    強くなったつもりでいたのに、あたしはまた逃げてる。

    2009-08-19 22:52:00
  • 109:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    朝、ホテルの前でさよならした。
    疲れてたのかチェックアウトギリギリまで起きれずに、化粧もほとんどしないまま。
    「また会おうね?」
    優しく微笑む彼。もう二度と会うことはない。

    2009-08-19 22:55:00
  • 110:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    汚い朝の東通をすり抜ける。あ、ROUND1なくなってる。そんなことも知らなかった。全然来てないもんな-。HEPとメンズ館の間の道を抜けて角を曲がろうとした・・・HEPの前にいるのはトサカ頭のホスト達。
    何だ、あの髪型。
    向こうから帰ろう。そう思って方向転換しようとしたときだった。

    2009-08-19 23:44:00
  • 111:

    さよ◆xJuHzmhtG2



    「さよ!!!」

    2009-08-19 23:45:00
  • 112:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    大声で名前を呼ばれて思わず振り向く。
    てゆうか何で・・・あたしの名前・・・


    ・・・あ。

    2009-08-19 23:47:00
  • 113:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    一人のホストが駆け寄ってくる。
    髪はそんなに明るくない、他のホストみたいに盛ってるってゆうよりキムタクみたいな髪型。黒の細身のスーツ。薄い顔立ちだけど印象的な切れ長の瞳。

    他のホストよりはいくらか小綺麗で清潔感のある彼はあたしに笑いかける。

    2009-08-19 23:50:00
  • 114:

    さよ◆xJuHzmhtG2



    「・・・雅紀。」

    2009-08-19 23:51:00
  • 115:

    さよ◆xJuHzmhtG2



     ─────────────────────

    2009-08-19 23:57:00
  • 116:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    「あたし雅紀と結婚する?」
    夏休み1日目。
    早速須磨に遊びに来たあたし達。浩太と雅紀がガチで泳いで勝負してるのを、パラソルの下でかき氷を食べながら待ってるとき、美妃はいきなりそう宣言した。

    ・・・結婚決めるの早くない?笑

    2009-08-20 00:06:00
  • 117:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    『へぇ〜(´ω`)笑』
    「ちょっと!何その顔!笑
    も-あたし真剣やのに!!笑」
    白とピンクの水玉のビキニのスカートをふりふりさせながら、美妃は立ち上がりあたしの前にポーズをつけて立つ。
    「雅紀があたしの運命の人やから!」

    2009-08-20 00:09:00
  • 118:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    『いやそんなポーズして言われても・・・笑』
    ほんとかわいい美妃。あほや。笑
    いそいそとまたあたしの隣に座り直して、あたしに寄りかかり、肩に頭を乗せてくる。甘え上手やな、ほんま。さすが末っ子。
    「だって雅紀のすべてがキラキラして見えるねんもん。かっこよくない?!」

    2009-08-20 00:14:00
  • 119:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    雅紀は中学時代から人気があった。
    薄い顔立ちのわりに、印象的な目元は女の子ウケがよかったんだと思う。
    めっちゃ美形じゃないけど、雰囲気でモテる。
    雅紀はそうゆう子だった。

    2009-08-20 00:59:00
  • 120:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    「あたしが雅紀と結婚したら、さよは浩太と結婚だね!」
    美紀が優しく微笑む。
    そんな…まだそこまで考えてないし…
    でもそうなれば楽しいだろうな。きっと大人になったら、ママのこととか色んなことが解決してて、あたしはあたし自身の人生を歩いてる。そう信じて疑わなかった。

    2009-11-06 22:50:00
  • 121:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    夏休みが始まってから2週間弱。毎日の様に4人で過ごした。ママとの約束のごはんも炊かなかった。洗濯だけはちゃんとしたけど。
    楽しくて仕方なかった。毎日が輝いてくだらないことでバカみたいに笑えた。
    ママも何だか機嫌が良くて、遊びまわっていても何も言われなかった。
    …花火大会の前の日までは。

    2009-11-06 22:55:00
  • 122:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    「明日いよいよ花火大会やなぁ!」ニコニコの美紀。
    「浴衣着るし、さよも着てきてや!?約束やで?」

    『うん、わかってるって笑』
    「もーさよは冷めてるなー。なぁ!浩太もさよの浴衣楽しみやんなぁー?!」

    2009-11-06 23:00:00
  • 123:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    『…あー…おん、そやなぁ…』
    下を向いて答える浩太。
    『『浩太照れてるー!!笑』』
    すかさずつっこむ美紀と雅紀。
    『お前らうるさいわ!!笑』

    2009-11-06 23:05:00
  • 124:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    今思えばなんて若くて生ぬるい会話なんだろう。
    だけどそれはあの頃のあたしの全てだった。

    下を向いて照れる浩太の横顔をたまらなく愛しく感じてた。
    …きっと今でも。

    2009-11-06 23:09:00
  • 125:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    「ただいまー?」
    21時。さっきまでの楽しさが抜けきらないあたしは、家の扉を元気よく開けたけど、部屋の奥から返事は無かった。
    「ママー?」
    真っ暗な部屋。ママまだ帰ってないのかな。

    2009-11-06 23:12:00
  • 126:

    さよ◆xJuHzmhtG2

    リビングにつながるドアを開けると、真っ暗な部屋で電気もつけずソファーに座るママがいた。
    「…ッ!びっくりした!何で電気つけへんのー?」
    ママは黙ったまま。返事はない。その視線はどこか一点を見つめている様で、何も見えてない様でもある。
    「…ママ?」

    2009-11-06 23:16:00
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