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八重歯のきみ

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  • 1:

    マリ

    夜中にこっそり食べてたチョコレートみたいにきみの声をこっそり聞いた。
    聞き上手なきみ。あいにく相づちの言葉しか入ってなくて。
    でもそんな短い言葉が暖かくて懐かしくて涙がでたよ。

    2009-11-30 20:59:00
  • 2:

    マリ

    18歳。
    一通り遊びは経験したつもりだった。
    あたしの隣にはいつもあたしと同じにおいのする誰かがいて。
    何となく足早に何となく過ぎ去っていったあたしの過去。

    2009-11-30 21:13:00
  • 3:

    マリ

    今日も友達と味もわからない酒飲みながらきついタバコをふかす。
    つきない会話。
    ただ何となく話に耳をかす。
    『っっんま!誰やねんこの番号!?』友達のようこがしかめつらで携帯を睨む。

    2009-11-30 21:24:00
  • 4:

    マリ

    事件が好きなあたしは思わず話にのっかった。
    「なになに?どうしたんよ?」『最近この知らん番号から電話があるんやけどほんまに心当たりないんやわ。』携帯をこちらに向けなが困ったような顔をしていた。

    2009-11-30 21:28:00
  • 5:

    マリ

    「どこの誰なん?」『○○のたかひろやって。ほんまに知らんねん。』そういって差し出された携帯のディスプレイに写し出された11桁の番号。
    覚えはないが自分の携帯で検索してみる。
    「うちはないわぁ。調べとくわ。」そういってその話は終わった。

    2009-11-30 21:34:00
  • 6:

    マリ

    翌朝散乱した酎ハイの缶を片付けながらメールをチェックする。
    【まだようこらと飲んでるん?】【おーい?】【寝るわ。】
    彼氏のりくからだった。
    【おはよ☆二日酔いやばい( ´△`)昨日は泊まってまだようこんち。昨日はずっと家いてたん?】
    メールを送信し化粧をなおした。

    2009-11-30 21:42:00
  • 7:

    マリ

    若いからって化粧も落とさず昨日の続きでファンデもシャドウも塗っていく。
    ツケマを方目つけた時携帯がなった。
    【おはよーさん(@_@)二日酔いになるほど飲むなや。昨日はやすと飯行ってそのまま帰って寝たわ。何で?】
    携帯の電源を落としてカバンに放り込んだ。

    2009-11-30 21:47:00
  • 8:

    マリ

    化粧を再開していると髪の毛が絡みまくったなみが起きてきた。『おはよー。りくから連絡あったぁ?』「あったよー。何食わぬ顔して(笑)」
    粉をはたきながら苦笑いを返す。
    『さすがやなぁ(笑)』つられてなみも苦笑いをしてた。

    2009-11-30 21:51:00
  • 9:

    マリ

    りくは浮気してた。
    しかもずっと同じ子しかも元カノ。
    何回も現場を見た友達には聞いてたんやけど「へぇ〜」ってぐらいであんまり気にしてなかった。ご飯食べさせてくれて、カラオケつれてってくれて、あしになってくれてそれだけで十分やった。

    2009-11-30 21:55:00
  • 10:

    マリ

    でも自分で現場を見るとやっぱちょっと辛いね。
    元カノと手繋いであたしと前に一緒に買いにいったブランドの店入って明らかお揃いのものかったやろってわかるようなラッピングされた同じような袋お互いさげてな。
    普通に車の中でチューし照るの見たら気分も落ちるやろ。

    2009-11-30 22:02:00
  • 11:

    名無しさん

    頑張って!!

    2009-12-01 12:15:00
  • 12:

    マリ

    11さんありがとう?

    2009-12-01 19:17:00
  • 13:

    マリ

    りくとの出会いはナンパやった。
    付き合ったのは顔が嫌いじゃないから。
    ださくなかったから。
    車持ってたから。
    ただそれだけ。

    2009-12-01 19:19:00
  • 14:

    マリ

    体を何回重ねてもりくを愛せなくてただ居心地がよかったから長い月日を共にしていた。友達とカップルどうしでご飯食べに行ったりクラブのイベントに行って一緒に笑ったりりくと自分のまわりに流れる雰囲気を楽しんでた。
    もうやめよう。
    りくの浮気を目の当たりにした今、もう私たちにあの心地の良い空気は流れない。

    2009-12-01 19:31:00
  • 15:

    マリ

    『マリー?りくどうするん?』なみが心配そうな顔で尋ねる。「ん〜。着拒して自然消滅かなぁ(笑)」『そかぁ…まぁすぐマリなら次見つかるわ☆また駅一緒に出ようや♪』なみは笑ってそう言った。
    「そやなぁ〜。また拾いにいこか(笑)」あたしも笑って答えた。
    またナンパで新しい男見つけたらまたりくと同じような時間が得られるから。

    2009-12-01 19:44:00
  • 16:

    名無しさん

    何か凄い入り込める?
    楽しみにしてます

    2009-12-02 00:04:00
  • 17:

    マリ

    みんなが起きる前にようこの家を後にした。
    自分の部屋に戻るとカバンに入れっぱなしにしてた携帯の電源を入れた。
    【新着メール20件】
    ため息しかでてこんよ。
    全部りくからだった。

    2009-12-02 15:53:00
  • 18:

    マリ

    メールの内容を確認することなく着信受信拒否に設定した。
    二人でとったプリクラや写真、思い出の品々を全てゴミ箱に捨てた。
    全て片付きタバコに火をつけた瞬間、着信音が部屋に響いた。
    【着信ようこ】「もしも〜し?」やたらハイテンションで電話にでた。『何で先に帰るんよー??なみに聞いたけどあたしも誰か紹介するし☆元気出しや♪』「ありがと☆大丈夫やし気使わんといてな。それより○○のたかひろ?やった?りえ同中やから聞いとくわ♪」『忘れてたしー(笑)りえちゃんに聞いてみて♪誰繋がりであたしの番号知ったんかも知りたいし。』「りょうかーい。また夜に電話するわ☆」ようことの電話を切ると無性に寂しくなった。

    2009-12-02 16:07:00
  • 19:

    マリ

    「もしも〜し?」『久しぶりやん☆生きてたん?(笑)』りえの声を聞いて少し不安が消えた気がした。「ん〜なんとかなぁ。」『りくと仲良くしてるんやろ?』「あぁ…別れた(笑)」『えぇぇぇー!!え??えぇぇー!!なっ、何でよー??』「まぁ落ち着いて(笑)りく、花チャンとまだ切れてなかったんよ。現場見てもたらなぁ(笑)…無理やろ?」『花チャンまだりくに付きまとってたん?うざいししばこうや?』「あぁ、もうええねん。そうゆうの(笑)花チャンだけが悪いんやないしりくがだらしないからこうなってるんやから花チャンにのしつけてあげるわ。」『大人やなぁ。りえやったら即効しばくけどな(笑)』りえは腑に落ちない様子で自分の最近の身の回りの話をしだした。

    2009-12-03 20:23:00
  • 20:

    マリ

    『んでさぁ…ひろこさんに呼び出されて…。』延々と続くりえ話に割り込んで(たかひろ)の事を聞いてみた。「あっ。ひろこさんで思い出したけどりえと同中のたかひろって人知ってる?」『えっ?たかひろ?ん〜。あっ!りえのおないにはおらんかったけどひろこさんらとためにおったわ!!』「えっ?ひろこさんとおない?」『うん。だからまりの二個上やなぁ。りえの一個上やもん。』「へぇ〜。どんな子なん?」『めっちゃ中学校ん時もててたよ☆ひろこさんがずっと好きやったんやで♪』「まじ??ひろこさんと仲ええとかさぶいやん!!」『えっ?まりたかひろさんと知り合いなん?』

    2009-12-03 20:31:00
  • 21:

    まり

    りえに事の成り行きを曖昧に説明し電話を切った。
    りえの言う(たかひろさん)がようこのところに電話をしてきた(たかひろ)と同一人物とわかったわけじゃないけど何故か(たかひろ)に興味を持った。あたし達の中で絶大に恐れられているひろこさんがずっと好きだった(たかひろ)。
    【会ってみたい。】
    そう思った。

    2009-12-03 20:35:00
  • 22:

    まり

    【たかひろ090○○○○△△△△】電話帳に登録した番号を眺めて緊張しながら発信ボタンを押した。
    『プルルルル、プルルルル、プッ…もしもし?』「あっ、もしもし?誰ですか?」『えっ?たかひろやけど自分誰なん?』「いや…着信あったから電話したんやけど…。」『えぇぇー!俺知らんで。』「いやいや着信あったから電話したんやし。」『マジで?覚えないんやけど間違えてかけたんかもやわ。ごめんなぁ。』「そうなんやぁ。わかりました。」『あっ。待って待って切らんで!!よかったらまた電話してもええ?』「えっ?」『これも何かの縁やしたまに電話してもええかなぁ?』「…いいですけど…。」『まじで!!ありがとー☆俺も番号登録しとくから自分も登録しといて♪た、か、ひ、ろやからな。』「たかひろさんですね?わかりました。あたしは…ゆうです。」『ゆうちゃんな。わかった。じゃあまた電話するわぁ☆』「はい。」電話を切った後しばらく胸のざわつきが収まらなかった。

    2009-12-03 20:47:00
  • 23:

    まり

    けんがが強くて有名な人。単車乗るのがうまくて有名な人。上の人との付き合いが広くて有名な人。あたしの周りには一杯そんな人がいた。だからあたしも必死で胸はって肩で風きってバカなことばっかりしてた。大切な親泣かせるようなことばっかり。
    この時のあたしのステイタスって周りの環境しかなくて。
    弱いくせに必死に声枯らして吠えてた。

    2009-12-03 21:04:00
  • 24:

    まり

    たかひろに興味を持ったのもひろこさんがずっと好きだった相手だからってゆうくだらない理由だったのかもしれない。

    2009-12-03 21:19:00
  • 25:

    まり

    その日の夜、ようことゆかりと3人で久しぶりに駅に出た。当時流行ってたお揃いのパレオで派手なメイクしてナンパ待ちなんかしてませんよって顔しながら行き交う男の子達を観察してた。
    『今日不作やなぁ〜。』ゆかりがパレオの結び目を直しながらぼやく。『ほんまやなぁ。知ってる奴ばっかやしな(笑)』ようこは鳴りっぱなしの電話を見ながら化粧直しをしていた。「カラオケでも行きますか?」あたしの提案に2人とも『金なーい(笑)誰か捕まえよか(笑)』そう言いながら人目につきやすいコンビニへ向かった。

    2009-12-03 21:27:00
  • 26:

    まり

    すぐに相手は見つかった。『自分らめっさかわいいやん!!何してんのよ?こんな時間に??』『飲み物買いに来ただけ〜。』ゆかりが答える。『えぇー??何か冷たくない??ちょーどっかいこや。』『ちょっと考えるから待ってて。』そう伝え3人でコンビニに入った。飲み物の前で女3人で内緒話。『別にあれでええやん。』ようこが言う。「あたしもカラオケだけやしええけどなぁ…。」カラオケに行きたくてしょーがない私は誰でもよかった。『ぢゃあ決まりな☆』仲良く3人で外で待つヤンキーだかギャル男だかわからん男達の元へ向かった。

    2009-12-03 21:59:00
  • 27:

    まり

    『みつひこお前やるやんけ♪こんなかわいい子3人もひっかけて☆』あたし達に声をかけてきた男を小突きながら男二人はあたし達をジロジロ見てきた。『こいつみつひこ、俺りょー、んでこのでっかいのかこういちー。そっちは?』『あたしがゆかりでこっちがようこ、んでこの子がまり。どこ連れていってくれるん?』『飲みに行く?』「きゃっかー。」『花火は?』「するー♪」海と花火が大好きなあたしはカラオケの事なんか忘れて夏の夜を楽しんだ。

    2009-12-04 19:01:00
  • 28:

    まり

    「もしもし?」『ゆう?たかひろやけどわかる?』「朝電話したやん(笑)わかるよ。どうしたん?」『いやぁ〜俺今ツレ待ってるんやけどなかなかでてこんくて暇やねん。』「そうなんやぁ。」『んでゆうのこと色々知りたい思ってかけてみた。』「へぇ〜。」『俺○○住みで年は21歳やねん。ゆうもしゃべり方からして近くやろなぁ思ってな。』「○○なんやぁ。友達がいてるわー。あたしは△△の18歳やで。」『まじで??めっちゃ近いやん!!遊んだりできるやん♪俺車あるし迎えに行くで〜。』「まじ(笑)?てか車何乗ってるん?」『ボルボー♪』「ボルボかぁ。かっこいいやん☆」

    2009-12-06 01:09:00
  • 29:

    まり

    みんなすでにはしゃぎすぎて疲れていた。ようことみつひこは肩をよせあい寝ており、ゆかりとやすは番号を交換していた。こういちはと言うと車に戻り爆睡していた。あたしが戻ってきたのを見て『おかえり〜。ぼちぼち解散しよかぁ☆』ゆかりがみんなに声をかけた。

    2009-12-06 01:21:00
  • 30:

    まり

    『ようこっっ!!起きて!!みつひこも!!』2人とも目を擦りながら腰をあげた。『こーいちは?』りょうがまわりを見回す。「あぁ〜車で寝てたよ。」『そうなん?明日あいつ仕事早いからなぁ。車もどろか?』そう言いながら5人で車の元へ戻った。こーいちを起こしみんな家まで送ってもらった。「ありがとう。またみんなで遊ぼうね。」そういって男の子達を見送った。家に戻ると母親が起きていた。あたしの顔を見るなり『はぁぁ〜。そんな格好で外にでんといて。恥ずかしくてお母さん市役所で働かれへん。』「…。」無言で部屋に行こうとすると『お父さん。お父さぁーん!まりが帰ってきたから言うてやって!!』「もうええって!!寝るわ。」『お父さんお父さーん!!!!』ドスドスドス廊下から足音が聞こえた。眠たそうで不機嫌な父。『うるさいんじゃっ。お前が母親なんやからまりの教育ぐらいしろやっっ。』そばにあったペン立てを母親に投げつけた。「いたっ!!あたしだって仕事してるんやで!!あなたも子供にちゃんと言ってよ!!あなたの子供やで!!」「仕事仕事ゆうんやったらやめろや!!$%&@§※£。」「$£※§@&!!!!!!」ガシャーンパリーン
    あたしは耳をふさいで部屋に戻った。

    2009-12-06 01:38:00
  • 31:

    まり

    いつからやったっけ。
    「お父さん」「お母さん」って呼ばなくなったん。
    二人が私を見なくなったのもいつからやったっけ。
    あたしが二人の理想の「あたし」をやめた時からかな。
    下から聞こえる悲鳴と破壊音を聞かないように布団をすっぽりかぶって眠りについた。

    2009-12-07 07:48:00
  • 32:

    まり

    朝目覚めると家には誰もいなかった。台所へ行き遠慮がちにコーヒーをたてた。穴の空いた壁にガラスの割れたドア。小さいときから見慣れた光景過ぎて涙もでとこなかった。
    コーヒーを飲みながら身支度をし学校へ向かった。

    2009-12-07 07:50:00
  • 33:

    まり

    学校に着くが校門には誰もいない。当たり前か。今は午前11時。教室の窓から一際目立つ色の髪のなみが手を降っていた。靴をはきかえていると風紀指導の山本があたしをにらんでいた。『お前今何時や思ってるんや?』「…。」『聞いてるんか?』「…。」『何か言えや!!不良が!!』パシッ分厚い平手があたしの頬にとんだ。「っつっ。…で、何?」山本をにらみつけると『お前口あるんやったら喋れや!!』そう言ってあたしの髪を掴んだ。「やめろや!!先公やったら何してもえんかいや!!」山本は気がすむまであたしに制裁を与え、『授業行け。』そう言って職員室に戻っていった。気に入らなかったらすぐ手をあげる、あたし達を全否定する、あたし達を見下してる、そんな大人ばっかりで悔しくてトイレで涙が出た。簡単に化粧を直して教室に入った。

    2009-12-07 08:03:00
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