-
夜遊び夜遊び
-
お水お水
-
ホストホスト
-
風俗風俗
-
ビューティビューティ
-
ファッションファッション
-
悩み相談悩み相談
-
モデルモデル
-
芸能芸能
-
雑談雑談
-
食べ物・グルメグルメ
-
生活生活
-
恋恋
-
インターネット・ゲームネット・ゲーム
-
ギャンブルギャンブル
-
過去ログ倉庫過去ログ倉庫
-
運営運営
空と風の交じる場所。
-
1:
主
パサリ…パサリ。 今日も何時もの朝が来た。 鼻の奥に広がる珈琲の薫りを嗅ぎながらボタンを一つ一つ留めてゆく。 桜の花弁が散る様を部屋の中から眺める。 『宗志?』 『んー…、どしたの』 新聞を捲る為の手を止め、窓の外を眺める少年の背中へと視線を移す。 珈琲の入ったカップを口元に寄せ、眩しい朝日に目を細めて窓の外の桜吹雪を眺めた。 『綺麗なもんやな』 『あぁ、そうだね』 薄らと染まった髪が朝日に照らされてオレンジ色に染まる。 随分と身長も伸びた。 周りの人間は彼の事を不良だ何だと毛嫌いするけれど、誰も彼自身を知らずにそう語る。 まぁ、人付き合いが苦手である事は認めようか…。 『幸くーん』 新聞へと視線を戻して窓の外を眺めたままの少年へと声を掛ける。 『何?』 『今何時だろうね』 背中を振り返り、呑気に欠伸をする男を睨み付ける。 嫌な予感がする。 時計の針は…。 『この糞ハゲがはよ言えや!!!』
殆んど何も入っていない鞄を鷲掴みにし、珈琲の似合わない畳の上で胡坐をかく男へと怒声を飛ばしながら玄関へと駆けてゆく。 『いってらっしゃーい』 『おーっ!』 今日の空は暖かい。2010-01-15 18:35:00 -
2:
主
『てかお前だれやねん』 玄関から出ると荷物を抱えた小さな子供が立っており、こちらを見上げている。 穢れの無い瞳はあちこちに揺れ動き、抱えた鞄に皺がついてしまう程に力一杯握り絞めている。 『客か?』 その言葉にこ首を傾げたものの、少しの間を置いて小さく頷く子供。 『俺急いどるから勝手に入り。ほなな』 幼い子供の頭へと大きな掌を被せると勢い良く走り去ってしまった。 『…………』 困り果てたものの、荷物は重たく腕が悲鳴を上げている。 何時間も待ったのだ。 いい加減勇気も必要な頃だろう。 子供の身体には大きく見えてしまう引き戸に手を掛けて静かに戸を開いた。2010-01-15 18:50:00 -
3:
主
『お名前は?』 何とも表情の無い男かとも思ったが、玄関から降りて同じ様にしゃがみ込むと笑顔を見せた。 『は…』 『は?』 転げ落ちた衣服を拾いながら男は相槌を打つ。 威圧感を感じさせない様にと地面を見下ろしたままで。 『はる…です』 『春ちゃんかぁ!可愛い名前だねぇ?何処から来たのかな。お母さんは?』 子供をあやす様な話し方にどきまぎとしながら、首を左右に大きく振る。 『迷子じゃないのかい?』 癖のある髪を風に揺らしながら衣服を袋へと詰めていく。 開いた戸の外からは桜の花弁が入ってき、玄関の隅へと溜まってゆく。 『………』 地面へと視線を落としたまま下唇を噛み締める春へと視線を向け、意を決したかの様に勢い良く立ち上がる。 『春ちゃんかぁ』 春を見下ろすと得意気な笑顔を見せて顎で玄関の外を差した。 『この季節と同じだねぇ』 後ろを振り返れば満開の桜が咲き乱れ、ひらりひらりと緩やかな円を描いて舞い踊る。 都会では見る事の出来ない風景だった。2010-01-16 01:12:00