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ある男の…
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1:
無名◆LW9tDKlR0c
私がその男と出会ったのは数年前。
2010-02-28 00:33:00 -
2:
無名◆LW9tDKlR0c
待ち合わせ場所に到着。辺りを見渡すと1人の男。
「面接の方ですか?」
私の問いかけに彼は小さく頷き、会釈した。
「どうもはじめまして。では店まで案内します。」2010-02-28 00:37:00 -
3:
無名◆LW9tDKlR0c
互いに無言のまま少し歩いて、店に到着。
早めに出勤した私の姿を見て寝そべっていた従業員が立ち上がり慌てて挨拶する。
そんな従業員に軽く舌打ちし、顎で合図をすると素早く私の名刺とお茶が出てきた。
私はニッコリと微笑んで、「はじめまして。私、この店の代表取締役をさせてもらっています無名です。」と彼に名刺を渡した。2010-02-28 00:43:00 -
4:
無名◆LW9tDKlR0c
「月次な質問で申し訳ないのですが、何故ここで働こうと?」
彼は緊張でガタガタ震えながら一生懸命言葉を探していた。
数分後…
ようやく開いた彼の口から出た言葉に驚いた。2010-02-28 00:52:00 -
5:
無名◆LW9tDKlR0c
「…働かせてくれないんです。」
消え入りそうな小さな声で彼は言った。
「何?」と私は聞き返す。「働く気はあるのに…何処も働かせてくれない…。」彼は涙を流しこう言った。2010-02-28 00:56:00 -
6:
無名◆LW9tDKlR0c
「採用。」
私の声に彼はキョトンとしていた。
従業員を呼び寄せ、彼に掃除のやり方を教えるよう伝えた。
彼は何回も何回も「ありがとうございます。」と言っていた。2010-02-28 01:05:00 -
7:
無名◆LW9tDKlR0c
すぐさま私に店長が駆け寄り「大丈夫ですか?」と聞いてきた。
「全責任は俺がとる。」その言葉を聞いて店長は引き下がった。
私はしばらく彼を観察し、ミーティングが終わってから彼を連れ出した。2010-02-28 01:08:00 -
8:
無名◆LW9tDKlR0c
「飯食ったか?」私の問いに彼は首を左右に振る。しばらく歩いていつもの喫茶店。
「好きなもん頼め。」彼はお金がないと苦笑いした。「馬鹿。奢りだ。」
彼は申し訳なさそうに、定食を頼んだ。
2010-02-28 01:11:00 -
9:
無名◆LW9tDKlR0c
食事の間、彼はバイトの面接を何件も受けた事、前に働いてたのは何年も前になる事、工場のバイトで指を切断し無くした事、色々話した。
2010-02-28 01:15:00 -
10:
無名◆LW9tDKlR0c
何故か憎めないその人柄に私はひかれていった。
雇用してから3日目、周りから孤立している彼をまた呼びつけて、飯に誘った。
「続きそうか?」2010-02-28 01:18:00 -
11:
無名◆LW9tDKlR0c
彼は苦笑いして頭をかいた。
「女の子に声かけるの難しいです。」
「そうか…。ならボーイしてみるか?」2010-02-28 01:21:00 -
12:
無名◆LW9tDKlR0c
「ボーイですか?」
「そ。酒運んだり、グラス洗ったり、オーダー聞いたり。時給はお前の働き見てから決める。」
「やります!」
彼は目を輝かせていた。2010-02-28 01:25:00 -
13:
無名◆LW9tDKlR0c
私は次の日からすぐ彼にボーイの仕事を教え始めた。伝票の書き方、カクテルの作り方、グラスの置き場所。彼は物覚えがよく、1週間もすると、完璧に仕事をこなすようになった。
当初ボーイはいらないと言っていた店長も週末の忙しい時、ボーイの重要さに気付いたようだった。2010-02-28 01:30:00 -
14:
無名◆LW9tDKlR0c
1年の時が流れ、彼はこの店になくてはならない存在となった。
担当が席を離れた時、しばらく接客をしたり、閉店後の売り上げ計算をも彼に任せた。
2010-02-28 01:33:00 -
15:
無名◆LW9tDKlR0c
彼と知り合った2年目の冬、私は代表取締役と言っても雇われだったので、その店舗を店長にまかせ、系列店に移動する事になった。
「頑張れよ。」そう言う私に彼は深々と頭を下げた。
その後私は夜の世界を引退し、日々を過ごしていた。2010-02-28 01:37:00 -
16:
無名◆LW9tDKlR0c
今朝、私は知らない番号からの着信で目を覚ます。
「…もしもし。」
それは彼の母からの電話だった。2010-02-28 01:49:00 -
17:
無名◆LW9tDKlR0c
―彼は自殺した。
2010-02-28 01:56:00 -
18:
無名◆LW9tDKlR0c
親御さんは私の名を毎日のように彼から聞いていたので、彼の携帯から番号を調べてかけたらしい。
彼は遺書に私への感謝の言葉を延々と書き綴っていたそうだ。2010-02-28 01:59:00 -
19:
無名◆LW9tDKlR0c
お通夜に参加させてもらいたいと告げると親御さんは電話口でわんわん泣いた。
電話を切ると私は彼と働いてたその土地へ急行した。
新幹線の中で彼を思い出す。2010-02-28 02:05:00 -
20:
無名◆LW9tDKlR0c
到着すると、親御さんが迎えに来てくれていた。
冷たく動かなくなった彼との対面。
2010-02-28 02:09:00 -
21:
無名◆LW9tDKlR0c
「…馬鹿野郎。」
私の第一声はそれだった。涙が頬をつたい、膝から崩れ落ちた。
そっと彼の母親が駆け寄り遺書を見せてくれた。
2010-02-28 02:12:00 -
22:
無名◆LW9tDKlR0c
遺書には世の中に対する不満や、自分の腑甲斐なさ、親への感謝の言葉が書いてあった。
締めくくりの言葉を読んだ私は絶句した。2010-02-28 02:16:00 -
23:
無名◆LW9tDKlR0c
無名さんと一緒なら大丈夫ですよね。
ダカラ
一緒ニ死ンでクださい。2010-02-28 02:20:00 -
24:
無名◆LW9tDKlR0c
「ごメんなサいねェ?」
背後から声がした瞬間頭部に痛みを感じた。
2010-02-28 02:24:00 -
25:
無名◆LW9tDKlR0c
薄れゆく意識の中で見た、彼の遺体はニッコリ微笑んでいた。
終
2010-02-28 02:30:00 -
26:
名無しさん
他にも短編書いて?
2010-02-28 13:15:00 -
27:
無名◆LW9tDKlR0c
No.1の思考。
2010-02-28 17:45:00 -
28:
無名◆LW9tDKlR0c
彼と私が知り合ったのは、3年前。
地方から出て来た彼は、まだ少し訛りがあった。
その時私もまだまだ下っぱ従業員だった。
―その頃の話。2010-02-28 17:47:00 -
29:
無名◆LW9tDKlR0c
当時、ホストと言うのはまだまだ体育会系の職業で、私と彼はいつも顔を腫らしていた。
誰にも教えを乞う事の無い私と、代表に付きっきりで何かを盗もうとする彼。
二人は真逆のタイプだった。2010-02-28 17:51:00 -
30:
無名◆LW9tDKlR0c
その頃の代表は気分屋で、酔ってすぐに暴力をふるう。女の腐ったようなねちっこい性格の代表を私は毛嫌いしていた。
そんな代表に一泡吹かせようと私は毎日毎日客をつかむのに必死だった。2010-02-28 17:55:00 -
31:
名無しさん
あげ
2010-02-28 18:03:00 -
32:
無名◆LW9tDKlR0c
彼と言えば代表に媚を売り度々相談し、何やらメモをとったりしていた。
代表を嫌っていた私は、彼を自然に避けるようになっていた。
―1年後。2010-02-28 18:05:00 -
33:
無名◆LW9tDKlR0c
私と彼は店の二枚看板になっていた。
代表は誇らしげに自分が育てたと社長に言った。
閉店後、帰り支度をしていると、代表が私に「飯でも食いに行くか?」と言った私はいつものように、「申し訳ありません。都合が悪いです。」と断った。2010-02-28 18:09:00 -
34:
無名◆LW9tDKlR0c
代表はそんな私にわざと聞こえるように、「枕ホストは大変だな。」と笑った。
私はいつものようにそれを無視し、帰宅した。
2010-02-28 18:11:00 -
35:
無名◆LW9tDKlR0c
二年後―
社長から新店舗の立ち上げに代表、私、彼が呼び出された。
代表の下でこれ以上働く事など意味が無いと思った私は、「せっかくですが…」と言いかけた時、それを遮る形で代表は「やります。」と言った。2010-02-28 18:14:00 -
36:
無名◆LW9tDKlR0c
社長は嬉しそうに「そうか。これから出店準備に忙しくなるぞ」とその場から離れた。
社長がいなくなった途端、代表は私を殴った。
「誰が育てたと思っている!上からの命令は絶対だ!」
2010-02-28 18:17:00 -
37:
無名◆LW9tDKlR0c
正直限界だった。
それでも「申し訳ありません。」と頭を下げた。
代表は鞄を持ち部屋から出て行った。
その時彼は私の肩を持ち、「もう少し…もう少しです。」と言った。2010-02-28 18:19:00 -
38:
無名◆LW9tDKlR0c
いざ出店の時も代表は何もせず、全てを私と彼に丸投げし、自分の客を住まわせる家を探し呼び寄せた。
私と彼は、準備に追われ客どころではなかった。
オープンの日に誰も客を呼べず、2人見知らぬ土地で1日外に立たされた。
「…もう限界だ。」2010-02-28 18:23:00 -
39:
無名◆LW9tDKlR0c
それまでたまりにたまった鬱憤が爆発し、あろうことか、代表の腰巾着の彼に愚痴を思い付く限り言った。
「笑。同感。」
「―えっ?」2010-02-28 18:27:00 -
40:
無名◆LW9tDKlR0c
「だいたいあれは、代表をはる器じゃないですよ。笑短絡的で幼稚で頭が悪い。あんなのじゃ誰も付いて来ない。」
彼は呆然とする私に続けてこう言った。
2010-02-28 18:30:00 -
41:
無名◆LW9tDKlR0c
「さて、そろそろ下剋上ですね。笑」
「?」
「実は代表の呼び寄せた客、もともと俺の客なんですよね。」
「えっ?」2010-02-28 18:38:00 -
42:
無名◆LW9tDKlR0c
そう言うと彼はどこかに電話をした。
「もしもし。うん。そ。今日仕掛けて。で明日…うん。全部任せる。オッケー。じゃ頼んだよ。」
彼は振り返り私に「代表就任おめでとうございます。」と深々と頭を下げ微笑んだ。2010-02-28 18:55:00 -
43:
無名◆LW9tDKlR0c
わけもわからず立ち尽くす私に彼は続けた。
「僕得意なんですよね…。盗むの。良い所だけ盗めたら後はいらないゴミ。ハハハッ。」
そう言い残して彼はタクシーで去って行った。2010-02-28 19:09:00 -
44:
無名◆LW9tDKlR0c
次の日の営業時間が終わった後、代表が姿をくらませた。
1ヶ月分の売上金とともに。パニックになる店内。私はわけもわからず、外に飛び出し代表を探した。
しばらくすると彼が私の前に現れこう言った。2010-02-28 19:15:00 -
45:
無名◆LW9tDKlR0c
「さ…無名さん。いや代表。ありのままを社長に連絡してください。」
「だって…まだこの辺りにいるかも…」
「ハハハッ!」彼は大笑いした。2010-02-28 19:20:00 -
46:
無名◆LW9tDKlR0c
「下剋上のはじまりはじまり…」彼は低い声でそう言うと左手で電話をかけるジェスチャーをした。
私は言われた通り、社長に電話をした。
「じゃ。戻りますか。」彼は楽しそうにそう言って私の背中を押した。2010-02-28 19:23:00 -
47:
無名◆LW9tDKlR0c
店内に戻ると従業員が掃除を終えて整列していた。私と彼が席に座りミーティングを始める。
「代表が金を持って逃げた。」
彼が発言した。
「俺等が汗水垂らして飲めない酒呑んでゲロにまみれて、抱きたくもない女抱いて、作った金をだ。」2010-02-28 19:28:00 -
48:
無名◆LW9tDKlR0c
「許せるか?」
彼は従業員をまくし立てる許せないと全員一致した時「これからは無名さんが代表だっ!お前等全員あの糞代表探せ!どんな事しても!わかったか!オラ行け!」その声に全員立ち上がり店を飛び出していった。2010-02-28 19:31:00 -
49:
無名◆LW9tDKlR0c
「さてと…。じゃ僕等も行きますか。」
彼はニヤリと笑いタクシーの手配をした。
―新幹線乗場。2010-02-28 19:36:00 -
50:
無名◆LW9tDKlR0c
「!」
私が思わず声をあげそうになる。駅のホームに帽子を深々とかぶった代表がいた。
「シッ!挟み撃ちにしますよ。僕はあっちから回ります。」
かろうじて「うん。」と言った時、彼は走り出していた。2010-02-28 19:39:00 -
51:
無名◆LW9tDKlR0c
「代表!」私の声に驚いた代表はとっさに反対方向に逃げ出そうとした。
その瞬間―。バグッ!!
鈍い音の後代表がこちらに吹っ飛んできた。
「勘弁してくれ!勘弁してくれ!」駅のホームに代表の情けない声が響き渡り騒然となる。2010-02-28 19:43:00 -
52:
無名◆LW9tDKlR0c
「話は店で聞きますよ。」彼は冷たくこう言った。駅のホームから階段を降りる時、代表は全てを諦めたようにうなだれていた。
タクシーに乗り込む時、彼は従業員に電話し、店に集まるよう言った。
「ガッカリですよ。代表さん。」
その言葉に何故か私まで凍り付いた。2010-02-28 19:46:00 -
53:
無名◆LW9tDKlR0c
彼は先程、代表を殴ったと思われる特殊警棒をジッと見つめた後、私に舌を出した。
店に到着し、彼はボーイに金を渡しどこかに買い出しに行かせた後、私に電話のジェスチャーをした。
私はこれまでの経緯を社長に報告した。
社長は怒りに震えた声で「そうか。今新幹線やからまたそっち着いたら連絡する。」と言った。2010-02-28 19:51:00 -
54:
無名◆LW9tDKlR0c
その内容を彼に伝えると彼は大声で笑った後、「お前終わったな」と代表にツバを吐いた。
ボーイが戻って来て彼に何かを手渡した。「結束ぅ〜結束♪」と意味不明な鼻歌を歌った後、代表を後ろ手にして両手両足の親指を縛りあげた。
2010-02-28 19:59:00 -
55:
無名◆LW9tDKlR0c
「社長が来るまで生きてるといいね。」と言った後彼は特殊警棒で思いっきり代表を殴りつけた。
「んぐぅ!んー!んー!」藻掻き苦しむ代表。
「無名さんもどうすか?」彼は警棒を差し出す。
私は首を横に振り代表に質問した。「売上金は?」代表は涙声で「客に持ち逃げされた」と言った。2010-02-28 20:02:00 -
56:
無名◆LW9tDKlR0c
「あぁ?んな訳ねーだろ!」彼はまた代表を数発殴った。それを制止してから、私はまた質問した「持ち逃げした客とは連絡とれないんですか?」
代表は「今日客の家に顔出したら引っ越ししてた…。」とおびえながら言った。
「…。」2010-02-28 21:07:00 -
57:
無名◆LW9tDKlR0c
「金はいつ金庫から持ち出したんですか?」
「…昨日の夕方。」
「じゃ昨日営業終了前ですね…」
「…そうだ。」2010-02-28 21:16:00 -
58:
無名◆LW9tDKlR0c
「夕方客に金を渡して今日の朝一緒に逃げるはずだったんだ。でも朝行ったら…」
「もぬけの殻…」
「本当なんだ信じてくれよ!」
一通り話した後代表はうなだれた。2010-02-28 21:21:00 -
59:
無名◆LW9tDKlR0c
「…。」彼は今にも代表に襲い掛かりそうな感じで代表を無言で見つめている。しばらく気まずい時間が流れた後、従業員がぞろぞろと戻って来た。
従業員皆一様に押し黙り込んでいる。
「お前等?泥棒が目の前でシラを切ってるんだけどさ…。口割らしてくれよ。」彼が言った。2010-03-01 01:29:00 -
60:
無名◆LW9tDKlR0c
「た…助けてくれ!なんでもするから!」代表が叫んだ。
「じゃあとっとと売上金返せや!」彼が代表を殴った拍子に従業員が周りを取り囲み、殴る蹴るを繰り返した。
「ハハハッ。殺すなよ。」代表の顔はみるみるうちに腫れあがり、苦しそうな息が聞こえた。2010-03-01 01:34:00 -
61:
無名◆LW9tDKlR0c
何時間経過しただろう―。不意に私の携帯が鳴る。社長からだった。
「どんな感じや?」私はそのまま伝えた。
「そうか。もう着くからそれまで殺すなよ。」それだけ言うと一方的に電話は切れた。
もう息も絶え絶えの代表だったが、彼の一言で泣き叫んだ。「そろそろトドメさすかな。笑。」2010-03-01 01:39:00 -
62:
無名◆LW9tDKlR0c
「だずげで!ダずげぎだ!」最早言葉にならない声で代表が叫ぶ。
「るせーな。」彼は特殊警棒で代表の目をついた。
「ギャアアアアア!!!」彼はヘラヘラと笑っている。そして従業員に言った。「お前等も…ふざけた真似したらこうなるよ。ハハハッ。わかってんな?」
従業員全員が大声でハイと返事をした。2010-03-01 01:44:00 -
63:
無名◆LW9tDKlR0c
すると突然「おはようございます!」と声がした。社長の到着だった。
「おいおい。やりすぎや。」笑いながら社長は代表の鼻を爪先で蹴り上げた。どす黒い血が流れだす。
「で?売上金は?オラ?」代表は何を言われてもウーウーと呻くだけだった。2010-03-01 01:49:00 -
64:
無名◆LW9tDKlR0c
「話にならんな。ま、取り敢えずコイツ連れて行くわ。お前等の給料はちゃんと出すから心配すんな。」そう言うと社長は専務に顎で合図した。専務は毛布で代表を包み肩に担いだ。
店下には、黒塗りの車が停まっていて、トランクに代表は入れられた。
「お前等、すまんかったな。これで全員飯食わせたれ。」と社長は私に十万を手渡した。2010-03-01 01:54:00 -
65:
無名◆LW9tDKlR0c
「めでたし、めでたし♪」彼の声が背後から聞こえた。そして彼は従業員に十万を渡して、「解散♪」と警棒をふきながら言うと私に「飯行きましょ。」と耳打ちした。
「…。」2010-03-01 01:57:00 -
66:
無名◆LW9tDKlR0c
喫茶店―。
「めちゃ笑えましたね。あの代表のツラ。」彼はそう言いながら飯を食い終わるといきなり紙袋を私の前に出した。
「何これ?」
「無名さんの分♪」中身を見ると札束が入っていた。「―え…」2010-03-01 02:01:00 -
67:
無名◆LW9tDKlR0c
「言ったじゃないスか。代表の客、もともと俺の客だって。」
頭が真っ白になる―。
「じゃ…じゃあコレは…」「正解♪売上金でーす笑」「こ…こんな事して……」「笑。無名さんも共犯ですよ?」2010-03-01 02:04:00 -
68:
無名◆LW9tDKlR0c
「馬鹿な代表に付き合ってあげたんスからこれくらいは貰って当然ですって。」「お前…もしその客が…口滑らせてこの話が社長の耳にでも入ったら…」
「終わりですね。笑」
「お前…。」
「大丈夫ですって!その客殺しましたから。笑」2010-03-01 02:09:00 -
69:
無名◆LW9tDKlR0c
「えっ!?」
「ハハハッ。冗談ですよ。冗談。笑。んーでもまぁ二度と会わないかな。」
「…。」
「で、来月には無名さん代表になりますよね?楽しみだなぁ。」2010-03-01 02:13:00 -
70:
無名◆LW9tDKlR0c
「無名さんからは、ナ・ニ・ガ・ヌ・す・メ・る・か…な。」
彼はそう言うと私の肩をポンと叩き、喫茶店から出て行った。
終2010-03-01 02:17:00 -
71:
名無しさん
めっちゃ面白い!もっと書いてほしいなぁ(゜∀゜;ノ)ノ
2010-03-01 13:17:00 -
72:
無名◆LW9tDKlR0c
【考えてもわからない事】
2010-03-01 14:50:00 -
74:
私は一度もないのである。これは強がりでもなんでもなく、『逢いたい』と言う気持ちが理解できないのだ。
客との営業電話や、客をつなぎ止めておく言葉としてそれを使う事はあっても、私の本心ではない。2010-03-01 14:54:00 -
75:
ある時、店の従業員に聞いてみた。
「なぁ?お前ってさ、誰かに逢いたいって思う事ってあるか?」
「ハァ?―何ですかそれ?」
「…。例えば、彼女に逢いたいとかさ。」2010-03-01 14:57:00 -
76:
「笑。そりゃありますよ」「そうか―。」
「代表はないんですか?」「ない―」
私は待機室を出て、大鏡のある場所に向かった。そこには当日No.1の男が髪をセットしていた。
私は彼にも同じ質問をしてみた。2010-03-01 15:01:00 -
77:
「オス。なぁ?お前誰かに逢いたいって思う事ってあるか?」
「何ですか?いきなり。笑クイズか何かです?」
「―いや。」
「ありますよそりゃ。地元のツレにだって逢いたいし、地元の両親、世話になった人、色々ね。」2010-03-01 15:03:00 -
78:
「―へぇ。」
「え?無名さんは逢いたい人いないんですか?」
「―おう。」
「あいたたた。そりゃダメですね。人間として大事な感情がなくなりました?」「…。」2010-03-01 15:06:00 -
79:
彼は続けた。
「無名さん。例えば、毎日来る客…逢いたいと思います?」
私は首を横に振る。
「やっぱり。笑。無名さんはね、毎日逢える事が当たり前に思ってるから逢いたい人がいないんですよ。」「…。」2010-03-01 15:10:00 -
80:
「極論、僕は明日死ぬかもしれない。毎日来る客だって。ここに来る途中、急に歩道に車が突っ込んだりして。毎日当たり前に逢える存在だった人が、急にいなくなって二度と逢えない。そんな経験あります?」
「いや…。」
「んじゃそん時わかりますよ。」
彼は鏡ごしに私を見て、少し笑った。2010-03-01 15:15:00 -
81:
次の日―。
ミーティングが始まる時間だと言うのにNo.1の姿が見えない。遅刻なんて珍しいななんて思いながらミーティングを始めた。
2010-03-01 15:20:00 -
83:
私は彼の話を聞くなり店を飛び出した。
しばらく走ったその場所には救急車やパトカー、警察、倒れこむ人々の姿があった。
私は担架に乗せられた彼に駆け寄り名前を絶叫した。2010-03-01 15:29:00 -
86:
事故から数週間―。
私は携帯のメールを整理していた。
もうこの世にはいない彼が私に宛てたメールをSDメモリーに移し替えていたのだ。
「え。―」2010-03-01 15:37:00 -
88:
名無しさん
うおッッ(≧ε≦)鳥肌立った(笑)いつもオチが読まれへんから面白い!
2010-03-01 15:49:00 -
90:
毎日ひっきりなしに鳴っていた携帯が鳴らなくなった頃―。
私は独り携帯に保存された画像を見ながら、現役の頃の思い出に酔っていた。
こんな従業員もいたな…。あいつは変わった客だったななどと。2010-03-01 22:17:00 -
91:
今となっては辛かった思い出ほどかえって楽しく思えた。
「さて…。どうしたもんかな。」
私は次に自分が何をすべきかを悩んでいた。2010-03-01 22:22:00 -
92:
ふと、携帯サイトを思い出す。現役の頃、散々誹謗中傷を書きなぐられたあのサイトだ。
「どれどれ。」
久々に覗くと、私が勤めていた店の名があった。2010-03-01 22:27:00 -
93:
スレをクリックし閲覧すると私へのねぎらいの言葉、新体制になった店への不満そんな事が書かれていて誰かがそれを擁護すれば誰かが批判する。
延々それを繰り返していた。
「ハハハッ。相変わらずだな―。」
他にも色々なカテゴリがあったので覗いてみる。2010-03-01 22:33:00 -
95:
どこかで聞いたようなタイトルや実話と書かれたものパロディーや日記…
その中で私はあるタイトルの小説が気になった。
『ある男の…』2010-03-01 22:43:00 -
96:
その小説をクリックし読み出した。
作者は数日前から書き始めたようで、短編でいくつかの話が書いてあった。
どれもハッピーエンドではないその小説に私は惹かれていった。2010-03-01 22:45:00 -
98:
最後はこう締め括られていた。
『これまでくだらない駄文にお付き合い頂きありがとうございました。これからはあなたが無名です。
日々、あなたの頭に浮かんだ小説をお書き下さい。それではまたの機会に…。』2010-03-01 22:56:00 -
101:
名無しさん
今日一気に読んだけどこれってもう書かないって事?
2010-03-01 23:49:00 -
102:
名無しさん
えー!!もっと書いてほしいのにー…(泣)
2010-03-02 05:00:00 -
103:
名無しさん
トリップ晒してあるって事は誰でも無名さんになれるって事?めちゃ斬新やん?
2010-03-02 12:55:00 -
104:
名無しさん
無名さん書いて?
2010-03-05 04:19:00 -
105:
名無しさん
書いて
2010-03-10 05:36:00 -
106:
あ◆LW9tDKlR0c
あ
2010-03-24 17:12:00 -
107:
名無しさん
あげ
2010-04-19 02:40:00 -
109:
名無しさん
次の無名はあなただ!
2010-05-07 02:55:00