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DEAR…

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  • 1:

    名無しさん


    今思えば
    その時の一瞬が
    すべてだった。

    2010-04-10 14:26:00
  • 2:

    名無しさん

    ゆうとくん。

    転校先のゆうとくん。
    無邪気な笑顔と得意のバスケで、すぐにみんなに打ち解けてたね。
    席が隣で色んな話をして、出会って2年で私はあなたに初恋と言うものをしてしまいました。

    2010-04-10 14:31:00
  • 3:

    名無しさん

    仲良くなって一緒にみんなで帰ったり、家でゲームしたり。
    女の子の中では私が一番仲良いって思ってた。それだけで毎日楽しくて仕方なかった小学6年生。

    明日もあさっても中学生になってもゆうとくんと一緒にいられると信じて止まない小学校6年生

    2010-04-10 14:34:00
  • 4:

    名無しさん

    12歳の私に焦る情報が。

    隣のクラスのさやかちゃんがゆうとくんを好きなんだって。

    さやかちゃん…誰もが好きなさやかちゃん。サラサラのロングヘアーにいつも可愛いワンピース。ちっちゃくて細くて、男の子とサッカーやバスケしてるショートカットの私とは対角線の端と端。

    2010-04-10 14:37:00
  • 5:

    名無しさん

    完結まで頑張って?

    2010-04-10 14:40:00
  • 6:

    名無しさん

    ゆうとくんもさやかちゃんが好きに決まってる。自然にそう思った。勝手に少し距離を感じた。

    冬になって帰り道、ゆうとくんに呼び止められる。

    「何でバスケ来るの止めたん?」

    2010-04-10 14:41:00
  • 7:

    名無しさん

    だってさやかちゃんとゆうとくんはお似合いで。いつまでもゆうとくんにくっついてたら私はただの邪魔物で…なんて言えるわけがない。

    「――――寒いし、飽きた。」

    冬の乾いた空気に自分の声がやけに虚しくはっきり反響する。

    2010-04-10 14:43:00
  • 8:

    名無しさん

    ゆうとくんは一度私と目を合わせると何も言わず、横を通り過ぎて…振り返りもせず私に告げた。

    「卒業式の次の日に引っ越す
    あとちょっと、またバスケしよ」

    2010-04-10 14:47:00
  • 9:

    名無しさん

    たかだか12年しか生きてない子供のくせに、世界の終わりを感じた。
    今思えばそれくらいに純粋にゆうとくんが好きだった。

    何も返答できないまま、二人の背中の距離は開いて行った。
    歩き去るゆうとくんを振り返ることも呼び止めることもできず、視線の先の地面には小さなシミが跡を作り出していた。

    2010-04-10 14:50:00
  • 10:

    名無しさん

    卒業式まであと1ヶ月。
    恋の相談なんてするタイプではないし、誰にも何も言えず一人で泣く日が続いた。
    もちろんバスケにも行かず。

    教室で会うことは毎日なのに話をすることはあの日以来なくなった。

    2010-04-10 14:53:00
  • 11:

    名無しさん

    元気のない私に母は困り果て、毎日大好きなご飯を作ってくれた。

    大丈夫。学校では笑えてるから

    他愛のない会話をとめどなく紡いでくれる母。今思い返してもあなたに心配をかけてばかりだったなあ。あなたの優しさに救われなかったことはありません。

    2010-04-10 14:56:00
  • 12:

    名無しさん

    ある日の夕食後、母が電話を持って部屋に来た。
    「かずくんからよ」

    正直びっくりした。かずきとは幼稚園からの家族ぐるみの友達だけど、電話かけてくることなんて初めてだったから。
    ありがとうと電話を受けとった指先が震えていたのを母は気付いていただろうか?

    2010-04-10 15:00:00
  • 13:

    名無しさん

    なんとなく。

    本当になんとなく。

    話の内容はゆうとくんの事かなって直感で決め付けて、頭が、そうだ!と勝手に処理すると、意味のわからない速さで心臓が動き出して、体が小刻みに震えた。

    2010-04-10 15:05:00
  • 14:

    名無しさん

    幼なじみのかずき相手に受話口に出るまでに、何度も呼吸を整える自分がおかしくなり、勢いで保留を解除した。
    「はいはい?何。」
    精一杯の平静は、自分自身をさらに緊張させた。

    「何?じゃないし!お前、ゆうとが引っ越すって知ってたんだろ?!」

    2010-04-10 15:09:00
  • 15:

    名無しさん

    「…――――うん。だから?」
    「あいつ誰にも言わずに行く気だったって。俺も今日聞いた。ゆうとの引っ越し、俺とお前しか知らん」

    頭がうまくまわらなくて、心臓がとうとう壊れたように鳴り止まずかずきの声が遠くで何かを言い続けた。

    2010-04-10 15:13:00
  • 16:

    名無しさん

    「―――――聞いてる?!」

    かずきの怒鳴り声にも似た声で我に帰る。
    「そ…―なんだ………」
    やっと出た間抜けな声。かずきは何が言いたい?

    2010-04-10 15:17:00
  • 17:

    名無しさん

    「俺とゆうとは親友で!あいつ俺には言わずに行けなかったって。今日話してくれた。でもお前には、俺より先に言ってるってこと意味わかるよな?」

    「―…………わかんない―」
    わかんない。親友とかサクっと言ってしまえるまだまだ青い私達にこの難題を解けるわけがない。

    2010-04-10 15:20:00
  • 18:

    名無しさん

    今にも掌をすり抜けて行きそうな受話器を必死で両手で包み、
    私の頬に理由もわからない涙がいくつも筋を作った。

    「…お前、ゆうと好きじゃん。」
    そりゃバレるよね。かずき以外にも私の気持ちに気付いてる人はいるだろう。

    2010-04-10 15:23:00
  • 19:

    名無しさん

    「……まだ、付き合うとかわかんないし、まだガキだし。でもちゃんとしろ!お前絶対後悔する!北海道なんか俺行ったことないけど、大人になったらいつでも行けるって!俺も今年のお年玉とかまだあるし、お前もあるだろ?…あ!入学祝いとかだってもらえるじゃん!
    ……何とかなるよ。
    何とかしろよ!!!
    ゆうと……泣いてたんだぞ!
    お前も泣いてんじゃん!!」

    2010-04-10 15:33:00
  • 20:

    名無しさん


    そう言いながら
    かずきは泣いていた。

    彼の優しさに私はこれからも幾度となく救われることになる。

    2010-04-10 15:35:00
  • 21:

    名無しさん



    リビングに子機を戻しに行くと、母と目が合い、それだけで折角止めたはずの涙が溢れ出し
    母の胸で声を出してこれでもかって位泣いた。

    2010-04-10 15:39:00
  • 22:

    名無しさん

    次の日、かずきとすれ違ってもいつものかずきで。彼なりに気を遣っているのか、あとは私次第ということなのか。

    ゆうとくんとは挨拶を交わしただけで涙が出そうになった。

    何も聞けなかったから、引っ越し先が北海道なんて知らなかった。3年前、北海道から転校してきたから、また両親の仕事の都合で故郷へ戻るのだろうか?

    2010-04-10 15:43:00
  • 23:

    名無しさん

    卒業式まで五日となった日、私は熱を出して学校を休んだ。

    自慢じゃないが…いや、かなり自慢だが、私はゆうとくんが転校してきてからの三年間一度も学校を休んだことがない。自分自身が気持ちに気づくよりずっと前からゆうとくんは私の特別だったのかな。

    熱で思うように体が動かない私を母は優しく看病してくれて、色んな話をしてくれた。

    2010-04-10 15:51:00
  • 24:

    名無しさん

    父との馴れ初めや、初めて付き合った人のことなんかを私に話す母。
    何か気付いていたのかな?
    小学生の保護者の情報網は侮れないし、何か知ってたのかもしれない。どうであれ、母の優しさには変わりない。

    「明日は学校行けそう?学校から帰ったらクッキー焼こうか」

    2010-04-10 15:55:00
  • 25:

    名無しさん

    それは卒業式3日前の夜のこと。

    もう、ゆうとくんにあと2回しか逢えない。

    2010-04-10 15:56:00
  • 26:

    名無しさん

    「うん。もう行けそう。元気だったらクッキー作る。」


    ―――次の日は晴天でまさに小春日和。
    卒業式前日の六年生たちは卒業アルバムやプロフィール帳にメッセージを貰い合っていた。

    2010-04-10 16:00:00
  • 27:

    名無しさん

    私立に行く子なんてほんの一握りで、中学生になっても8割近くの子達とは、また毎日のように顔を合わせるのに、やっぱり【卒業】って言うイベントには寂しい気持ちになった。

    休んでいた私の机の上にも卒業アルバムがあって、一番後ろのメッセージ欄には既にみんなからの寄せ書きがあった。

    2010-04-10 16:04:00
  • 28:

    名無しさん

    メッセージを貰ってないこに、流れに便乗して空白を埋めてもらった。

    あとは―――
    ゆうとくんだけだ。

    2010-04-10 16:07:00
  • 29:

    名無しさん

    下校時間。
    みんながいなくなってく教室で、一人動けないでいた。
    ゆうとくんは荷物を持って教室を出る。

    今しか…今日しかない。

    2010-04-10 16:10:00
  • 30:

    名無しさん

    ゆうとくんがバッシュを持って行ったから、体育館に寄る自信はあった。
    その自信が私の脈を早くする。

    少し遅れて廊下に出ると、かずきと目が合った。私に気付いたかずきが先を歩くゆうとくんに声をかける。
    「ゆうとー!先行ってて!荷物忘れた!」

    2010-04-10 16:13:00
  • 31:

    名無しさん

    かずきの声にビックリして教室に隠れた。
    「わかった!」ゆうとくんの声が響いて、かずきが教室に入ってくる。

    「俺は10分後に行くから」
    ―かずきはマセガキってやつだったのかもしれない。

    2010-04-10 16:17:00
  • 32:

    名無しさん

    何も言わず教室を飛び出して体育館に向かった。

    今思えば何がそんなに難しかったんだ?って事が、当時はこの世の終わりに思える程、絶望的な試練だった。

    急ぎすぎて、ゆうとくんとほぼ同時に体育館に着いた。

    2010-04-10 16:21:00
  • 33:

    名無しさん

    急に入ってきた私にビックリするゆうとくん。

    目線をバッシュの靴紐に落とすと器用に括り、無言でバスケットボールを手にした。

    広い広い体育館にバスケットボールが跳ねる音とゆうとくんのバッシュの音だけがこだまする。

    2010-04-10 16:24:00
  • 34:

    名無しさん

    何も言葉が出てこなくて、ただただ、シュートの練習をする彼の背中を見つめた。

    もお、かずきが来るな。最後にゆうとくんのバスケやってるとこ見れたしいいじゃん。って弱い自分に言い聞かせてたとき、
    いきなりゆうとくんからパスが回ってきた

    2010-04-10 16:27:00
  • 35:

    名無しさん

    「ずーっとサボって下手になってる??」
    優しい笑顔を向けられたのはあの帰り道以来だった。
    「そんなことないし!」
    「じゃぁシュート決めてみて。俺、その間にアルバムに書いていい?後で俺のにも書いて。」
    ――ビックリするくらい普通に喋ってたな。何も思い詰める程の事ではなかったのかもしれない。ただ12歳の私の器量で受け止められなかっただけ。未知のことを過大視しすぎていただけ。

    2010-04-10 16:34:00
  • 36:

    名無しさん

    やっぱり下手になってたシュートを打っていたが、背中のゆうとくんが気になって仕方ないので隣に行って私もゆうとくんのアルバムにメッセージを残す。
    「明日卒業式終わったら読んで」
    書き終わったゆうとくんが真っ直ぐに私を見てアルバムを渡す。

    一日早い卒業証書授与式みたいだった。

    2010-04-10 16:38:00
  • 37:

    名無しさん

    「わかった。じゃあ私が書いたのも卒業式が終わってから読んでね。」

    そこへ、かずきが入ってきて三人で少し遊んで、誰が言い出すでもなく自然と体育館を後にした。

    2010-04-10 23:32:00
  • 38:

    名無しさん

    「ただいま!お母さん、クッキー作る!」

    リビングに駆け付けると母は既にエプロン姿で道具と材料を準備してくれていた。

    「おかえり。手洗ってエプロンしてね。」

    2010-04-10 23:35:00
  • 39:

    名無しさん

    母は何を聞くでもなくニコニコと笑顔で手伝ってくれた。
    失敗することなく綺麗に焼けた数十枚のクッキーの中から、一番綺麗な何枚かを小さな箱に入れ、用意されたリボンをかける。

    「…できた。」
    「全部おいしそう。頑張ったね。お父さんにもおすそ分けしてあげないと。」

    2010-04-10 23:41:00
  • 40:

    名無しさん

    その日の夕食後、母と父と三人でクッキーを食べながらナゼか私のアルバムを見ていた。
    「お前は、本当に小さいときからやんちゃだったな。」
    ほっぺに絆創膏を貼った3歳くらいの私の写真を見ながら父が微笑む。
    「この頃はお父さんのことが大好きで本当にお父さん子だったのにね。」
    母が笑いながら父を見ると父は、この頃はってなんだよ〜と肩を落としておどけてみせる。

    2010-04-10 23:46:00
  • 41:

    名無しさん

    「中学生になるんだね。早いわね。お父さん、あなたの大事な娘もいつか素敵な恋人を連れてきたりするんですよ。」
    「えっ?!ま、まだまだ先だろ?!なっ??」

    焦って私を振り返る父を可愛く思ったなあ。

    2010-04-10 23:52:00
  • 42:

    名無しさん

    恋人?付き合う?そんなのわかんないけど、離れる淋しさを初めて知った。
    こんな私のことで涙を流してくれたかずきの応援に応えるためにも、後悔しないようにしよう。

    明日はとうとう
    ゆうとくんに逢える最後の日。

    2010-04-10 23:55:00
  • 43:

    名無しさん

    六年間通い慣れた道をかずきと歩く。やっぱりかずきは何も言ってこないけど、いつもの私達だった。
    「春休みって短いよね。」
    「だなー。まぁ宿題とかないしいいじゃん。遊んでたらすぐ入学式だな。」
    「かずきは中学でバスケ部入るの?」
    「んー多分。でも剣道?も興味あるから見てみる」

    2010-04-11 00:02:00
  • 44:

    名無しさん

    「そっか〜。
    あ、これ!!とりあえず腐れ縁は続くけど!泣いてくれたお礼!」

    ぶっきらぼうに小さな袋をかずきに押し付けダッシュで逃げた。物心付いたころには既に一緒だったかずきに今更可愛くなんて無理だけど、今回の件だけでなく心底感謝してるから、ゆうとくんに作ったクッキーをおすそ分け。

    2010-04-11 00:20:00
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