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僕はただ君に恋をした
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1:
大阪花子
アユ…元気にやってますか?新しい一歩を踏み出すと決めたから、振り返らずに頑張って進みます。ただ時々恋しくなります。勝手気ままで嘘つき…僕の嫌いなモノを寄せ集めたような君の、無邪気な笑顔に癒されていたのだと今更になって実感しました。今日も笑顔で過ごしているなら…それで僕は救われます。
2010-10-29 17:08:00 -
2:
大阪花子
『こら!服着ろよ!』色白の華奢な身体に何もまとわず、テレビを見る僕の目の前を行ったり来たりする女…『アユ!お前もう26だろ?恥じらいを知りなさい』クリクリした大きな目をきょとんと僕に向けニコッと微笑む彼女の名前はアユ。僕の同居人で…正確には僕の彼女。バフッ『おいって!』『寝るの』『裸で寝たら風邪ひくぞ?!』猫も顔向けの気まぐれさ。そのまま布団に入って、ものの数秒で寝てしまった。
2010-10-29 17:15:00 -
3:
大阪花子
『今日は同伴ないもん。夕方まで寝とく〜』『あっそ』呆れてテレビを見ていると布団からひょっこり顔を出し『そだ!明日、カラオケ行こう?で、映画とか見ようよ?たまにはアキちゃんも外出た方がいいよ?』それだけ言うと、また顔を布団に隠した。『…ありがとう』僕がアユのヒモの様な生活を送り出して、もう一年になる。アユと知り合って四年が経っていた。
2010-10-29 17:22:00 -
4:
sage
タイトルパクりみたいだよ
2010-10-29 17:39:00 -
5:
名無しさん
タイトルなんて別に気にしなくて良いと思う。
2010-10-29 22:06:00 -
7:
大阪花子
アユとはミナミのクラブで知り合った。店口座だった僕にオーナーママが『アキちゃんもそろそろ口座作りよ?』と言い出し、宛てがわれたのがアユだった。僕が口座にならなくてもアユにはすでに沢山の客が付いていて、何故ママが僕にアユを宛てがったのはよく解らない。アユは決まって5時半に電話をかけてきた。『こんばんは。昨日はごちそうさまでした』『どういたしまして。アユちゃん今日は?』『もちろん出勤ですよ。アキさんも、お仕事頑張ってね?それじゃあ』何てことない会話をして、アユはさっさと電話を切る。
2010-10-30 11:33:00 -
8:
大阪花子
当時、会社が分岐点を迎えていた僕は社長でもなく、夫でもなく、父親でもない。ただの男になれる場所を探していたのかもしれない。『こんな遅くまで働いてて、よく昼間も働くね?身体大丈夫?』僕がそう聞くと『アキさんだって、遅くまで飲むでしょ?私はまだ若いから一日中働いても大丈夫なの』と言ってアユは笑う。だから決まってアユは5時半以降にしか電話に出なかった。
2010-10-30 11:50:00 -
9:
大阪花子
プルプル…午後4時。アユの携帯がなった。―――この時から僕はさよならを予感していたんだ。だって君は今、仕事をしているはずだろ?客にそう話していたもんね…いつもは。―――携帯の音にアユが布団から顔を出した。『アキちゃん、シーしててね?担当からだから』そう言ってアユは電話を持ち裸のままでトイレに入って行った。二分程して戻って来たアユは『今日ミーティングになったんだって』そう言って再び脱衣所に消えて行った。『晩飯は?』『要らなーい』シャワーの音がした。
2010-10-30 13:26:00 -
10:
大阪花子
小一時間もすると幼い顔のアユは綺麗な女に変わった。『髪型変じゃない?』僕の前をアユがくるくると回る。『セット行かないの?』『うん…そのまま店入るから、開店すぐの客予定あるし、セット行く時間ないや』『そうなんだ。気をつけてね。送ろうか?』『ありがとう。でも、平気』
2010-10-30 13:30:00 -
11:
大阪花子
『自転車じゃ、もう寒いか』苦笑いする僕にミワはニコリと笑い頬にキスをした。『行ってくるね』『はい』扉が閉まると大きなエンジンの音がした。アユは嘘が下手だった。頭がいいのか悪いのか。肝心なところで必ずボロを出す。―――嘘も方便だと教えたのは僕だったね。君は僕の為に嘘つきになっていったの?―――アユの出て行った後の部屋はより一層寒くて、僕は決まって眠ることにしていた。一人だと飯もまずくて、情けないけど時間を感じるのが、この頃とても怖かった。
2010-10-30 13:37:00 -
12:
大阪花子
『神崎頼む!どうにかしてくれ!』依頼を受けて病院の立て直しを手がけて四年目の事だった。病院の売上も右肩上がりに伸び、借金返済もある程度の目処が立っていた。そろそろ、僕の手も要らなくなる。そう思っていた。実質オーナーから決済権の全てを担い、病院の一切を指揮していた。そんなある日、リーマンショックが突然全ての計画を狂わせた。
2010-10-30 13:48:00 -
13:
大阪花子
医療報酬は国に請求をかけてから二ヶ月ほどして病院に支払われる為、赤字病院の多くは間に金融業者を挟む。毎月の売上を金融業者から支払ってもらい、国に請求した医療報酬はその金融業者に支払われると言った仕組みだった。その金融業者がリーマンショックの影響で倒産。僕がみていた病院は向こう二ヶ月の収入を失った。
2010-10-30 13:55:00 -
14:
大阪花子
国からの支払いがやれるまでの間の支払いや手形が落ちない。僕は急いでオーナーに連絡を取った。『預金でとりあえずは賄いましょう』経理とも連絡を取り合い準備に入った。そんな僕の元に連絡があったのは、その直後だった。『神崎くん…もう閉めよう』決済権を貰えても病院はあくまでオーナーの持ち物だった。僕は翌日から倒産の準備に入った。管財人が入る前に少しでも手元に金を残すために。少しでも多くの業者に払いこぼしが出ない様に。そして耳を疑う連絡が入った。
2010-10-30 18:28:00 -
15:
名無しさん
新しいの楽しみにしてました??
2010-10-31 22:06:00 -
16:
大阪花子
ありがとうございます?ゆっくり書いていくので、暇つぶしに読んでくれたら嬉しいです。
2010-11-01 00:47:00 -
17:
大阪花子
『すまん。弁護士に入ってもらったんやけど…やっぱり神崎君にどないかしてほしいねん!頼む!助けてくれ!もう一回やり直せんか?』愕然とした。倒産が翌日に迫った日の夜中だった。『今更…もう皆、次の就職先に手配してます。今日言って、また明日からいつも通りになんて行くわけないです。せめて後、二億あれば…』『二億なら持ってる』『はぁ?!』耳を疑った。二億あれば病院は倒産せずにすんだ。弁護士にいいように使われたオーナーは病院倒産と共に破産した。
2010-11-01 10:59:00 -
18:
大阪花子
そんなやり取りをアユは黙って聞いていた。僕はどこかで気づいていた。確かにあの時嫌な予感を感じながら、見過ごしていた。幸せボケでもしていたのかもしれない。僕の危機感の薄れが病院を終わらせた。その一件で、僕の病院の他に三軒、同じ様な状況で病院が潰れた。『アキちゃん…はい!』アユは手を広げ僕を招く。僕はアユの胸に甘える事で心をリセットしていた。
2010-11-01 11:03:00 -
19:
大阪花子
『アユが今度はアキちゃんの面倒みたるからね』アユはサラっとそんな事を言った。『病院潰れても無職ちゃうわ!』本当はかなり凹んでもいた。ただアユといると、凹んでる自分があほらしくなれた。アユの胸に抱き着く僕のおでこに冷たい感覚が走る。見上げるとアユは泣いていた。『なんで泣くねん?』『アキちゃんが泣きたいから』『あほか』アユは泣けない僕の代わりに泣いていた。
2010-11-01 11:08:00 -
20:
大阪花子
―――あの時、君が泣いてくれたから僕は君に格好悪い姿を見せずに済んだ。本当はさ、怒りと悔しさと哀しさでおかしくなりそうだったんだ。―――その次の日から倒産の手続きやら病院の後始末に僕は手を取られた。そして、アユの店にも顔を出さなくなった。『ただいま〜』それから僕とアユの奇妙な二人暮らしは始まった。
2010-11-01 11:13:00 -
21:
大阪花子
僕には嫁がいた。子供も二人いた。だからアユと付き合い出して、しばらくした頃に僕は部屋を借りた。自分の秘密基地を。アユはなんとなく住み着き、僕は週の半分をそこで暮らした。嫁に不満なんてない。彼女は本当にいい奥さんだった。子供は大好きだった。だから家に帰りたくなかった。子供が僕の顔を見て泣いた。『ママ!パパ怖い!』仕事のストレスとハード過ぎる業務の中で僕の眉間には縦にシワが出来ていた。『あなた、そんな顔で帰ってきたら困るわよ』冗談だったんだろう。その日から僕は決まってクラブで時間を潰す様になった。会社から自宅に帰る間に無駄な時間が欲しかった。
2010-11-01 11:22:00 -
22:
大阪花子
何故クラブだったかというと、意外と医者連中は飲むことが好きで接待として使えるからという理由と、値段に見合うかどうか理解出来ない空間にいる事で、普段の有り難さを実感出来た。そんな話を『なんか面倒だね』と言い放ったのがアユだった。『なんか結婚しても心を和ませてからしか帰れない家とか最悪やわ〜自分の居場所が自分の家じゃないとかしんどいね』その通りだった。僕は変な同調をしないアユの言葉に笑った。
2010-11-01 11:28:00 -
23:
大阪花子
『君、面白いね。僕と付き合ってみない?』僕のその言葉にママは目を丸くして『神崎さんがそんなん言うとか明日は台風やわ』と言ったのを今でも覚えている。そして、アユの返事に更に絶句したことも。『いいよ。その代わり、離婚騒動には巻き込まんでね』綺麗な顔が子供の様な表情に変わる。アユの笑顔に子供を重ねた事は少なくない。
2010-11-01 11:33:00 -
24:
大阪花子
出会った頃のアユは昼間仕事をしていると言っていたが、その夜『あっそうだ!アキさんに言わないとね?アユね、昼間は仕事してないから』そんなことは何となく想像がついていたが『そうなんだ』と僕は返事を返した。『あと、聞きたいことあったら言って?答えるから』そう聞かれて特に聞きたい事があったわけじゃない僕は彼女になったアユに『何型?』と聞いた。
2010-11-01 14:28:00 -
25:
大阪花子
アユは大きな目をキョロリと僕に向け『撫で肩』と言った。この時は気づかないでいたがアユは時々、寒いダジャレを言っては、そんな自分に御満悦になることがあった。『そうなんだ』僕が反応に困っていると『私、A型よ』とアユは答えた。『あっ!そうなんだ』不覚にも驚いたことを今でも覚えている。血液型で人を判断することはないが判断の数ある材料の一つに用いたことはあった。立場上、たいがいの人の血液型、家族構成を当てるのは得意な方だった。僕はアユをB型だと思っていた。
2010-11-01 14:35:00 -
26:
大阪花子
天真爛漫なアユはつき合い出すと頻繁に僕の部屋にくるようになった。
2010-11-01 17:06:00 -
27:
名無しさん
『ただいま〜アキちゃん帰ったよ』合い鍵を渡すと仕事帰りは必ず酔っ払って部屋に来た。『アユちゃん、化粧とらないと!そのままだとダメなんじゃないの?』『取って〜』足の裏は決まって黒かった。『また、裸足になったの?』『だってシャンパンとか飲むもん』アユはシャンパンを飲むとご機嫌になり、送りの車の中で決まって裸足になっていた。アユの足の裏を拭くのは、いつしか僕の日課になっていた。
2010-11-02 17:37:00 -
28:
名無しさん
平日は昼前に仕事に出ていた僕はアユを起こさない様に部屋を出て仕事に行った。夕方には決まってアユから【おはよう】のメールがあり、ない日は寝坊をしているアユを電話で起こした。時間が会えば同伴もした。帰りは決まって僕が先で、アユの帰りを仕事をしながら待った。自宅に戻る日はアユからは一切連絡をしてこなかった。
2010-11-02 17:41:00 -
29:
名無しさん
―――もしも、強がりを言わないでいたら君は今でも僕の隣で鼻歌を唄ってるんだろうか?―――『あっ!アキちゃん!今日はナナちゃんの誕生日でしょ?自宅帰りなよ?』アユは僕と店で交わした会話をきれいに覚えていた。だから子供の名前も各々の誕生日も僕よりも、はっきり覚えていた。『皆にとったらアキちゃんは素敵なお父さんなんだからね』それがアユの口癖だった。
2010-11-02 17:44:00 -
30:
名無しさん
僕にとってアユはうらやましい程に自由で、憧れだったのかもしれない。初めてアユをママから紹介された日、僕はアユに吸い込まれる様な感覚を覚えた。『なぁアユ…君は結婚とか考えないの?』『え?だってまだ22だよ?!早いよ!もし婚期のがしたらアキちゃんに結婚式だけ挙げてもらうからいい』初めてアユを抱いた日にアユは僕にそう話した。
2010-11-02 17:56:00 -
31:
名無しさん
『私ね、お父さんとお母さんいないんやんか〜。小さい時に死んでもうたから。だから、アキちゃんが飲み屋で奥さんとか子供話ししてるん聞いて、羨ましかったんよ。いいお父さんなんや〜て!じゃあ不倫なんてすんなよってね!?ははは』隣で寝転びながら楽しそうに笑うアユに僕は『いいお父さんなんかじゃないな…お父さんみたいだったから僕と付き合ったの?』と冗談めかしに聞いてみると『ん〜…絶対に離婚しないって広言する人だったからかな』そうアユは答えた。
2010-11-02 18:07:00 -
32:
名無しさん
友達みたいに楽しくて、お兄ちゃんみたいに頼れて、いざとなれば父親のように叱ってくれる理想の父親像がそこにはあったのだろう。ただ、アユにとって自分の憧れの人を憧れのままで居させるためには、踏み込めない一線があることをアユは痛い程理解していた。だから、僕はアユの理想の男で在りつづけようと思った。いい父親で、いい彼氏。
2010-11-02 18:11:00 -
33:
大阪花子
僕とアユが交わした約束があった。僕は離婚をしない。僕はアユに彼氏が出来たら消える。僕は家族間の行事には欠席しない。アユは僕に離婚を要求しない。アユは彼氏が出来たら僕の元から居なくなる。アユは僕の家族間の行事に口を挟まない。
2010-11-02 19:13:00 -
34:
大阪花子
アユが言い出したこの約束を僕たちが口にしたのは、約束を交わした日ともう一日だけだった。『無職じゃないんだ』笑いながら僕をからかうアユのおでこにキスをして新しい会社へと僕は向かった。この頃から僕はしだいに自宅へ帰らなくなっていた。家族間の行事を除いては。
2010-11-02 21:10:00 -
35:
大阪花子
会社へは秘密基地からの方がはるかに近かったし、何より朝から終電まで時間に追われる様になっていたからだ。『神崎さん!あの契約なんすけど…あと100万上乗せ出来ないっすか?』『はぁ?またか?何度目だよ?いくらなんでも無理がある』
2010-11-02 21:12:00 -
36:
名無しさん
え笑
僕が嫌いなものを寄せ集めたような笑顔って笑
主の内容キモス2010-11-02 21:55:00 -
37:
名無しさん
本間におもんない。
へたくそ2010-11-03 00:38:00 -
38:
大阪花子
ペンネーム勝手に名乗るの止めて下さい。いくら夜遊びでも、気分よくないです
2010-11-03 03:23:00