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月夜はここで

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  • 1:

    無い物ねだりを繰り返して、最後に私が欲したもの…。

    月が綺麗な夜、決まって思い出すのは、私が捨てたがったもの。

    2010-11-29 02:27:00
  • 2:

    夜のアルバイトを終えた私が部屋に帰って真っ先に向かう場所。
    それはベランダだった。

    『今日は雲ってるから月見えないね』
    そう言って、その日も私はベランダを開けた。

    2010-11-29 02:30:00
  • 3:

    『うん…でも気持ちいいから』
    うらやましい程の長いまつげと通った鼻筋。そんな横顔を空に向けて、タバコ吹かしながら彼は答えた。
    『おかえり舞』
    『月(ユエ)ただいま』

    2010-11-29 02:33:00
  • 4:

    私の名前は舞。
    この頃は、フリーでイラストの仕事をしながら、それだけじゃ生計が立たず夜はラウンジでアルバイトをしていた。

    ユエは私の三つ上で、父親が台湾人、母親が日本人のハーフだった。
    月と書いて“ユエ“と読む。
    ユエは綺麗な声で唄を歌う。そんな彼の夢は歌手になることだった。

    2010-11-29 02:38:00
  • 5:

    『今日のオーディションどうだった?』
    『どうかな?』
    ユエが苦笑いする。きっと手応えがなかったんだろう。今更だからガッカリもしないでいた。
    ただ、早くユエの唄が一人でも多くの人に聞いて貰えたら…それだけで良かった。良かったはずだった。

    2010-11-29 02:42:00
  • 6:

    私は、週に三度のアルバイトの割には良客に恵まれ、夜のアルバイトだけで管理職以上の給料を貰えていた。
    月契約のイラストの収入と合わせると二人でも、そこそこ贅沢な生活が送れた。ユエは、オーディションや路上ライブの傍らレストランでアルバイトをしていた。

    2010-11-29 02:47:00
  • 7:

    ユエのバイト代は、音楽活動で消える。
    生活費は私が出していた。周りが何て言おうが、私はユエが好きで、ユエにはずっと唄っていて欲しかった。
    『舞、お腹空いたでしょ?何か作るね』
    ユエは私が帰ると決まって食事を作ってくれた。
    お風呂を沸かして、私の髪や体を洗ってくれた。

    2010-11-29 02:51:00
  • 8:

    『それでね、山口さんったらアユちゃんにはまっちゃってね〜』
    湯舟に浸かって、私の丸一日をユエに話す。ユエは黙ってソレを聞いては
    『舞はよく喋るね』と笑った。
    『あれ?今のオチ面白くなかった?』
    『ううん。舞が一生懸命話してる姿が面白いよ』
    『あっそ』

    2010-11-29 02:55:00
  • 9:

    何てことない日常が私には心地よくて。何だったらユエの唄が売れなくても、本当は良かったんだ。ただ、ユエさえ側にいてくれたら…それだけで良かったはずだった。

    2010-11-29 02:59:00
  • 10:

    『舞〜そろそろ起きないとイラスト持って行くんでしょ!』
    毎日、お風呂場で一日の出来事を聞いていたユエは私の手帳よりも私のスケジュールを完璧に把握していてくれた。

    2010-11-29 09:23:00
  • 11:

    ―――ねぇユエ、そんなユエに隠し事なんて出来るわけがなかったのにね―――そんな何てことない毎日が音を立てて崩れ出した事を一番に感じたのは、やっぱりそんなユエだった。

    2010-11-29 09:27:00
  • 12:

    その日も湯舟で一日の話をした。すると、珍しくユエが感想を述べた。
    『舞さ〜アユちゃんと何かあったの?』
    私は一瞬、返す言葉が見付からなかった。アユの悪口なんて言ってないし、愚痴ったつもりもなかった。何で分かったんだろう。

    2010-11-29 09:29:00
  • 13:

    『なんで?』
    私は必死に普通を装った。『なんとなく…何かあったのかな〜て』
    いつもの様に笑うユエの勘は当たっていた。

    2010-11-29 09:31:00
  • 14:

    そのアユが密かに思いを寄せる客がいた。その男は店口座で特定の女の子を贔屓したりせず、いわば紳士的に遊ぶ良い客だった。
    その客があろうことか私を口座にしたいと言いだした事に全ては始まった。

    2010-11-29 09:39:00
  • 15:

    吉原という、その男は市内に幾つか飲食店をしていた。店には常連客に連れて来られて以来、頻繁に顔を出してくれていて、定期的に来ては綺麗に飲み、事あるごとに金を落とす吉原は、店側にすると大事な客に違いなかった。
    その吉原が口座を作った。

    2010-11-29 09:44:00
  • 16:

    ママはわかりやすい程、私を吉原の席に着けた。着けたら最後、ちょっとやそっとでは抜かない。
    『ママ〜山本さんの席に挨拶行きたいんですけど』
    『あ〜大丈夫!大丈夫!山本さんは私に任せて』
    吉原の口座になって以来ここ数週間、ろくに自分の客の席に着けないでいた。

    2010-11-29 09:47:00
  • 17:

    『舞、ここ最近アユちゃんの話してないよ?いつもはバイトに行けば必ずアユちゃんの話題が一つはあったのに…喧嘩した?』
    『してないよ』
    ユエはアユを知っている。ユエが夜のアルバイトを許してくれたのは、アユがいたから。

    2010-11-29 09:50:00
  • 18:

    ユエとは付き合って二年になる。付き合い出して一年が経とうとした頃、突然歌を辞めると言い出した。
    『いつまでも夢追ってたって舞を幸せに出来ないから歌は趣味でするよ。今のレストランで就職しようと思う』
    本来なら喜ぶのかもしれない。でも、私は違った。

    2010-11-29 09:53:00
  • 19:

    自分の描いたイラストが初めて雑誌を飾った日。私は心が折れそうだった。私は仕事欲しさに出版社の社長と寝た。
    なかなか採用されないことにうんざりしながら、エレベーター内で自分の絵を眺めていた時に、たまたま社長が乗り合わせた。
    『君、見ない顔やな?うちの社員か?』

    2010-11-29 10:01:00
  • 20:

    もともと大手の広告代理店でイラストを書いていた私が独立をしたのは23歳の時だった。
    出る杭は打たれた。
    会社の説得を半ば強引に辞めた元社員はことごとく、手を回され仕事がなかった。

    2010-11-29 10:05:00
  • 21:

    一度、広告でショーを貰っていた私の事を知っていたらしく、名乗るとすぐにその社員はイラストのサンプルを用意出来ないか?と持ち掛けてくれた。
    『頑張る若者は好きだからな〜』
    独立して丸一年。
    全くと言っていいほど仕事がなかった私はワラをも掴む思いでイラストを描き、社長に連絡をした。

    2010-11-29 10:08:00
  • 22:

    『打ち合わせ場所は…』
    ホテルの部屋番号を言われた時に、私は何故か腹をくくってしまった。
    ホテルの部屋に着くと、暗黙の了解の如くコトが始まった。
    50半ばの、その社長に抱かれながら、ひたすら自分のイラストが表紙になった事を想像した。

    2010-11-29 10:12:00
  • 23:

    コトを済ますと
    『来月のここに使う絵を頼むわ』と、雑誌と構成図を渡された。
    『わかりました』
    それからひと月余りして私のイラストが雑誌を飾った。
    本屋でそれを手に取って私は泣いた。

    2010-11-29 10:16:00
  • 24:

    『久しぶりの力作!良い作品!良い…さく…ひん…何やってんの?私…』
    自然とこぼれ落ちる涙を止めれず、待望の復帰作品を元に戻すと私は逃げる様に本屋を出た。
    すれ違う人が不思議そうに私をみた。それも、そのはず。心斎橋のど真ん中を声こそ出さないまでも号泣しているのは一目瞭然だった。

    2010-11-29 10:21:00
  • 25:

    そんな私に声をかけてくるのは、ホストかスカウト。それも無視して道頓堀の方へ向かう私の耳に留まった声。
    それがユエの歌声だった。ギターを弾きながら歌う姿を私は少し離れた場所で、吸い込まれるように魅入った。

    2010-11-29 10:25:00
  • 26:

    名無しさん

    頑張って?

    2010-11-30 03:28:00
  • 27:

    ありがとうございます?

    2010-11-30 13:50:00
  • 28:

    〜背伸びした足が疲れたなら僕の所でお休みよ?無邪気な子供、強がる仕種が愛おしくて…〜
    なんてことない歌詞だった。私は瞬きを忘れる程、ユエの姿にくぎ付けになった。まるで肩肘を張っていた自分を見透かされている様な気分だった。

    2010-11-30 16:42:00
  • 29:

    ユエが唄い終えると拍手がなった。私は拍手するのも忘れて泣いていた。
    『明日も来て下さいね』
    少し離れた所で聞いていた私にユエがそう叫んだ。
    私は驚いて何も言わず、その場を去った。

    2010-11-30 16:45:00
  • 30:

    その日は何も知らない昔の同僚らから
    【復帰おめでとう!】【さすが!良かったね〜】なんて私の復帰作を祝うメールや電話が引っ切りなしにあった。
    『ありがとう』何にもめでたくなんてなかった。

    2010-11-30 16:48:00
  • 31:

    次の日は夕方まで寝て、部屋にいても落ち着かず自転車でミナミへ向かった。自然とユエの元に急いでいた自分がいた。
    近くに自転車を停めて、昨日の場所に行くとユエが何人かの見物人と話していた。

    2010-11-30 16:51:00
  • 32:

    遠くから様子を伺っていた私に気付くと、ユエはニコリと笑った。
    『八重歯あるんだ…』
    そんな事を思っていると、ユエはギターを持って唄い始めた。

    2010-11-30 16:54:00
  • 33:

    この日、私はユエと初めて会話した。
    毎日の様にしかめっつらをして通る私をユエは何度も見かけていて、一度だけ楽しそうに電話をしているなと思ったことがあったらしく、その次に見た私はビックリするほど泣いていて正直、驚いた。とユエは話してくれた。

    2010-11-30 17:23:00
  • 34:

    それから毎日の様にユエと会った。
    ユエは私が出版社の社長との事を話すと黙って頭をポンと押さえた。
    そんなつかず離れずな距離感が私には心地好くて、どちらともなくルームシェアが始まった。

    2010-11-30 17:31:00
  • 35:

    ユエに会った日以来、社長からの連絡を全て拒否した。そんな中、雑誌を見てくれた広告代理店から仕事の依頼がきた。ユエは自分の事の様に私を抱きしめて喜んでくれた。
    大袈裟かもしれないけど、私はユエにあの日出会ってなかったら自分に嘘をつき続けて生きていたような気がしてならない。だから、ユエの夢を今度は私が応援したいと思ったんだ。

    2010-11-30 17:48:00
  • 36:

    ルームシェアから一年。ユエが歌を辞めると言い出した時、私は泣いた。
    ユエがユエでなくなる気がして、自分の居場所がなくなる気がした。
    『歌は辞めないでよ!お金なんてどうとでもなるから』奇しくも雑誌がきっかけで仕事が軌道に乗り出した私はユエにそう言った。
    それでも何があるか解らないからと私は夜のアルバイトを始めた。

    2010-11-30 17:54:00
  • 37:

    特別贅沢なんてなかったけど、私は十分幸せだった。『それで、吉原さんが舞を口座にしたからアユちゃんが怒ってるの?』
    ユエはふ〜んと言った具合に、そう言いながら私の体を流した。

    2010-11-30 17:57:00
  • 38:

    ―――ねぇユエ。ユエはこの時から気付いてたの?―――『明日のバイト行きたくないな〜』ぼやいた私に、ユエは
    『ごめんね』と、呟いた。『違う!違う!そう言うんじゃないから』

    2010-11-30 18:03:00
  • 39:

    夜、バイトに行き出した私をユエは自転車でミナミまで送ってくれた。
    色を売っていたわけではないけど商売上、男と二人乗りをしている姿は見せられず近くで降ろしてもらう。
    『ありがとう。また帰りに連絡する』ユエは笑顔で頷くと人込みを自転車ですり抜けて行った。

    2010-11-30 21:02:00
  • 40:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 41:

    名無しさん

    ↑冷やかしやめたりや

    2010-12-01 14:47:00
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