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あらっチョとマウ
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1:
大阪太郎
(目覚まし?…電話か…)『はい』夏の暑い日。タケシは寝ぼけた声で電話に出た。全く開く気配のなかった目は一瞬にして見開いた。
2011-07-22 12:50:00 -
2:
大阪太郎
その日は通夜になった。タケシの幼なじみで、親友の嫁で、初恋のサナエの…。『おぅ、タケシ』弱々しい声でタケシに声をかけたのは、幼なじみで、親友で、初恋のサナエの旦那、ヨウスケだった。
2011-07-22 13:00:00 -
3:
大阪太郎
『だいっ…』大丈夫か?とタケシは言いかけたが、言葉を飲み込んだ。一瞬の出来事で、こんな短時間で人は衰弱出来るものなのか?ヨウスケは目を疑う程にやつれていた。
2011-07-22 13:02:00 -
4:
大阪太郎
『即死ですって』通夜に参列する近所のオバ様連中の話が耳に入る。タケシは、親族席にいることさえ辛いのだろうとヨウスケの肩をポンと叩いて焼香に並んだ。
2011-07-22 13:07:00 -
5:
大阪太郎
一人、また一人と焼香を終える度にサナエの遺影がハッキリとタケシの目に入る。『お前、朝っぱらから何やってんだよ』タケシが呟いた。焼香に手を伸ばし、それを摘んだ時だったタケシの目に涙が浮かんだ。
2011-07-22 13:11:00 -
6:
大阪太郎
タケシはサナエを呼び出した。『話あるから放課後、体育館の裏来てくれへん?』サナエはいつもと変わらず笑窪を頬に作って頷いた。
2011-07-22 14:59:00 -
7:
大阪太郎
放課後、体育館の横にある階段でタケシはタバコを吹かしていた。しばらくして『ヤッター!』ヨウスケの雄叫びが聞こえてきた。タケシは口に含んだ煙を出し切り呟いた。『禁煙しよ』
2011-07-22 15:11:00 -
8:
大阪太郎
『あの〜』焼香に並ぶ後ろの人に声をかけられタケシは我に帰った。親族席にサナエの親族は弟だけしかいなかった。そんな事はお構いなしに遺影のサナエは笑窪を作って微笑んでいた。
2011-07-22 15:14:00 -
9:
大阪太郎
『あらっちょ?』焼香をし終え顔を上げたタケシが固まった。―――あらっチョ―――サナエがタケシに付けた、あだ名であった。そう呼ぶのはサナエの他に誰もいない。声のする方にタケシは振り向き、言葉を失った。
2011-07-22 23:28:00 -
10:
大阪太郎
そこに居たのは、間違いなくタケシのよく知るサナエの姿だった。『サナエ?!』思わずタケシは声を上げた。その声に一瞬、辺りはざわめいた。しかし、タケシにはそんなことは耳にも入らなかった。
2011-07-22 23:33:00