小説掲示板key〜のスレッド詳細｜夜遊びweb関西版

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key〜

• 1:

  皐月

  色んな感情が渦巻き出す。
  
  胸がこじあけられたように苦しい。苦しくて愛しい。
  
  あいつに逢ってしまった。

  2006-04-23 20:03:00
• 2:

  皐月

  平凡な毎日を送るリオ、23歳。
  今は化粧品会社に勤めるメイクアドバイザー。そのへんに歩いてるお姉ちゃんと代り映えがない。
  そんなリオも何年か前は派手な格好で街に繰り出していた。仕事も夜の仕事には全部手をつけた。恋も失恋もたくさんした。
  ２３年間生きてきて本気で笑って、悩んで、泣いて、愛した男は一人だけ━━━…

  2006-04-23 20:16:00
• 3:

  皐月

  
  
  『もうこれで終わりやな？和輝も私に振り回されたくないやろ？私も振り回されるのは嫌やねん。和輝も私みたいな重荷いなくなったらﾗｸやろ？』今にも涙がこぼれそうな瞳で和輝に微笑む。
  「そやなぁー!リオがいなくなったらせぇせぇするわ!!肩の荷が降りるわ」リオの表情に気付いてないﾌﾘをしながら和輝は言った。
  『今までありがとう。元気でね』だけ言い残しリオは和輝の元から立ち去った。

  2006-04-23 20:27:00
• 4:

  皐月

  和輝からの返答はなし。しばらく歩いて振り返るが和輝はいない。
  『あっけなかったな―…こんなもんか』
  それを機にリオは夜の世界からは足を洗った。
  この街には和輝との想い出が多過ぎる…
  そう思い、引っ越しも就職先も和輝がいる街を外した。

  2006-04-23 20:32:00
• 5:

  皐月

  ２年後―――…
  『懐かしい〜』「ん？何がです〜？」隣で歩いてる後輩のマミが尋ねた。
  『久々にこの街にも来たから懐かしくってさぁ。若い時はここでよく遊んだよ』語尾を上げてリオは言う。
  「そうなんですかぁ〜先輩もしかして夜の仕事なされてたんですかぁ？マミは夜の事はわかんないんですけどぉ〜最近ホストの看板がが目立つとこにありますよね〜？」
  

  2006-04-23 20:43:00
• 6:

  皐月

  「ほら〜？」と言いながらマミが指さす方向に目をやるとホストクラブの宣伝の看板があった。
  『ほんとだね』そこには、売れっ子だろうか、従業員のｸﾗﾋﾞｱがだった。店の名前はリオの知らない店。
  正確にいうとリオがいなくなってから３年経とうとしている。そりゃ、時間は流れてるよなってしみじみ思いながら従業員の顔をチェックしてるとどこで見た事ある顔が…
  

  2006-04-23 20:51:00
• 7:

  皐月

  如月 和輝オーナー。
  
  
  名前を確認するとやはり和輝だった。オーナーになってるねんなと思うと同時に少し胸が締め付けられた。
  『マミちゃん、行こう』そう言いマミの腕を引っ張っり歩き出した。
  「先輩〜…痛いです〜ぅ」マミの言葉で我に返り、腕から手を離した。『あっ!!痛かった？ごめん！』「なんか先輩変ですよ〜？顔も怖いし〜…」

  2006-04-23 20:59:00
• 8:

  皐月

  『そうかな??普通やで』「やっぱり変…」『そんな事ないよ！早く行かないと時間に遅れるよ!!』と言われマミの時計を見て焦る。
  「先輩何してるんですか〜?!早く行きましょうよ〜!!」とぐいぐいリオの腕を引っ張る。『はいはい』と微笑みながらマミの後ろを付いていくリオ。

  2006-04-23 21:06:00
• 9:

  皐月

  リオにとってマミは可愛い後輩だ。時に甘ったるいしゃべり方がｶﾝに触る事もあるけれども仕事もよくこなすし、マミ周りの人間の事を大事にし、人の変化によく気付くｲｲ子だ。気の強いリオにしたらマミの甘い雰囲気というかあほっぽいところに癒されたりする。
  憎めない妹分。マミにはこの言葉がぴったりだ。

  2006-04-23 21:12:00
• 10:

  皐月

  「リオさ〜ん!!お疲れさまでぇす」とﾆｺﾆｺしながら小走りで片付けているリオに近付いてくる。
  『マミちゃんお疲れ様。いつもと違うところで仕事したらやっぱり疲れるよね〜』「そうですよねぇ。マミおなか減っちゃったぁ〜」マミの言葉に相づち時計を見ると９時前だった。
  『どっかゴハンでも行こうかぁ。でも今日はおごらへんよ〜』とﾆﾔﾆﾔしながらリオが言うと「そんなつもりないですよぉ〜」とほっぺを膨ましながらマミはリオの資料の整理を手伝い始めた。

  2006-04-23 21:23:00
• 11:

  皐月

  『手伝ってくれてありがとうな。助かった〜資料めちゃくちゃ多かったからびっくりしたわ』「いえいえ、二人で片付けた方が早いでしょ？」と微笑む。その笑顔を見てほっとした。
  『何食べに行こっか？』「マミ焼肉の気分です」と物凄く嬉しそうに言う。『そうやな。私もなんかがっつり食べたい気分！昔、連れて行ったお店でおいしいとこあるからそこに行く？まだあるかわからんけど』と、いうリオの問い掛けにマミははいと気持ち良く答えた。

  2006-04-23 21:38:00
• 12:

  皐月

  「おいし〜」と本当においしそうにマミは焼肉を食べる。『やろ〜？ここ本当においしいんよ。私も来たん…』と言いかけて止まる。
  「どうしたんですか〜？」マミがリオの顔を覗き込む。
  『ん？どれくらいぶりか計算しててん！もう２年以上も来てないな〜』と笑顔で答える。「じゃ、今の会社で働く前なんですね」『そうなるな。食べよ！取っちゃうよ？』ﾃﾝｼｮﾝを上げてリオは言った。

  2006-04-23 21:47:00
• 13:

  皐月

  マミが焼肉をほうばっている横でリオは思い出していた。
  忘れたくても忘れられない――――…
  
  『リオがこの世界に入らんかったら和輝とも出会わんかったし、迷惑かける事もなかったのに…』

  2006-04-23 21:52:00
• 14:

  皐月

  リオは泣き叫んだ。
  「何でそんな事言うねん!!俺はリオに出会えて救われた部分たくさんあった。頼むから泣かんといてくれ…俺な、お前の笑顔が本間に好きやねん。お前には笑顔でおってほしい」
  リオは和輝の掛けに負けてしまった。和輝はリオの確信を迫る為にかけに出た。もちろん、リオが勝ってくれると思って掛けに出た話だった。

  2006-04-23 21:57:00
• 15:

  皐月

  和輝は恋愛下手。それしか術が思い付かなかった。和輝も信じてたし、それに耐えられなかったリオも弱すぎたのかもしれない。いや、元々純粋なリオには順応しかった世界で限界の位置まできてきた。
  それも承知で和輝は挑んだがそこまでしてでもリオには耐え抜いて強くなってほしいと信じたのだ。だけど、リオは負けた。そして、和輝から離れた。

  2006-04-23 22:02:00
• 16:

  皐月

  傷付いたリオを引き止める事は出来なかった。自分の側に置いとくと純粋なリオを傷付けて、壊してしまいそうで怖かったから…
  

  2006-04-23 22:05:00
• 17:

  皐月

  『和輝…』「先輩??やっぱり今日おかしい…」と言いながら、口をへの字にしている。
  『そやな!この街もこの店も大事な人と過ごしたところやからかなっ』ふっきるような笑顔でリオは言った。
  「先輩、今もその人の事好きなんですね!」『ち、違うよ』と焦るリオを見てマミは口に手を抑えて笑う。

  2006-04-23 22:11:00
• 18:

  皐月

  「リオさんのそういうところマミは好きだなー」と独特の甘ったるい口調で話す。
  リオは後輩に褒められ照れてしまった。
  「ビールおかわりします？」『そやな！あと、適当に盛り合わせも』
  ―――――…

  2006-04-23 22:15:00
• 19:

  皐月

  今日はこのへんにしておきます。初めてなんて意見などあったらｶｷｺお願いします☆

  2006-04-23 22:35:00
• 20:

  皐月

  和輝―…ごめんね。あなたの期待に応えてあげれなくて。あの時私がちゃんとしてたらあんな結果はなかったのかな…？

  2006-04-24 00:59:00
• 21:

  皐月

  『それはもうちょい右！これが上かな〜』と従業員に指導しながら首をかしげる。「和輝さん！今届いたんですけどどこっすか？」『それはステージ横な』とテキパキ指導する和輝。今日この店のイベント。
  『この店も２周年やな。早いな〜…』「何をしみじみ言うてんねん。おっさんか？しかしお前の人使いの粗さは変わらんな！しかもオーナーやねんからゆっくりしろよ」笑いながら言うのは現役から一緒にやってる智貴。

  2006-04-24 01:15:00
• 22:

  皐月

  この二人は現役の時から仲がよくいい意味で刺激しあえる。お互い必要だと感じてる為、和輝が店を出す時に一緒についてきて今は代表。
  「店も安定もしてきて、新規も増えてるし、下がる心配は今のところないな！」『最初は本間に色々あったな。店ん中で派閥出てしまった時はどうしようかと焦ったわ！今じゃ笑い事やな』とガハハハと笑い飛ばす和輝に「もうそろそろ連絡してええんちゃうの？お前が女も作らんとずっといるのって引きずってるんやろ？リオちゃんの事」

  2006-04-24 01:22:00
• 23:

  皐月

  『あ〜ぁ、そやな。別れて独立するって決めた時はそう思ってたな。でも現実になると何年も経ってる訳やし、彼氏出来て結婚してるんちゃうか？って考えたら出来ひんな。あいつも適齢期やろ！』って笑った。「リオちゃん全く姿見なくなったし、風の噂すら聞かんもんな」『やろ？やからどっか違うとこ行ったんちゃうか？俺はあいつが幸せやったらえーねん。あっ！俺行かないとあかんとこあるから行ってくるな！後はよろしく〜』智貴の肩を叩き、和輝は店の外へと出ていった。

  2006-04-24 01:28:00
• 24:

  皐月

  リオ―…
  元気してるか？ちゃんと笑って過ごしてる？それだけが心配でたまんねん。お前の笑顔が好きやったから、笑ってて欲しいねん。
  俺があの時あんな事言わんかったらお前はそばにおったんかな…

  2006-04-24 01:33:00
• 25:

  皐月

  足を止め立ち止まり、ﾈｵﾝで明るい夜空を一度見上げ和輝はまた歩き出した。

  2006-04-24 01:38:00
• 26:

  皐月

  「ありがとうございまーす！」ごちそうさま〜！とリオとマミは口を揃え、店を後にした。
  まだ冷たい春風に当たりながら駅に向かって二人は歩く。おいしかった、また行こうねなどと二人で会話しながら歩いてるとリオが立ち止まった。

  2006-04-24 01:42:00
• 27:

  皐月

  『和輝…？』すれ違った。見間違いかも…でも見間違えるはずがない。そんなにうまい話もない。違う。確かめようと思い振り返るといなかった。
  「せんぱ〜い？」立ち止まったリオを不思議に思い、マミが振り返り戻ってきた。
  その時電話が鳴った。

  2006-04-24 01:48:00
• 28:

  皐月

  「鳴ってますよ!」『あっ、あ…』マミに指摘されやっと鳴っている携帯に出た。
  「リオ番号変えてないねんな。てか電話に出るん遅いわ!!」笑いながら怒る相手は…そう、和輝。
  「先輩！看板の人や!!」と芸能人を見てるかのように言うマミの目線と一緒にしようと思い振り返るといた。本物の和輝が。

  2006-04-24 01:53:00
• 29:

  皐月

  自分達の方に歩いてくる。リオの表情が変わってる事に気付き、マミは和輝の方と目線が行ったり来たりなる。２、３回見た時はマミは空気を呼んだみたいでﾆﾔﾘとした。
  「久しぶりやな。お前ボーっと歩きすぎ！変わってないな〜。あっ、どーも。初めまして」マミも挨拶した。 そして「彼氏と待ち合わせしてるんで帰りますね」と笑顔帰って行った。

  2006-04-24 01:59:00
• 30:

  皐月

  と笑顔でマミは帰って行った。

  2006-04-24 02:01:00
• 31:

  名無しさん

  続き楽しみにしてます??

  2006-04-24 09:22:00
• 32:

  皐月

  >>31さん。ありがとうございます☆初めましてて不慣れながらも頑張って書いてます(>_

  2006-04-24 13:40:00
• 33:

  皐月

  『何で…こんなとこ…おるん…？』「プハッ!!お前相変わらずやな〜!!看板ちゃんと見てるか〜？俺が働いてる街や。その格好見たらちゃんと就職してるみたいやなー」と、違う世界の人みたいに言う。

  2006-04-24 15:37:00
• 34:

  皐月

  そんな風に言わんといてよ…。リオは思わず口に出しそうになったけれど『和輝も頑張ってるみたいね。看板みたよ。独立してるとは思わんかった。和輝が言ってた夢とは違ってたから』
  「まーな…。こんな道のど真ん中で話すのもあれやし、俺の店に来る？」『えっ、、、でも私もうそんなにお金ないで！』焦りながらリオが言うと和輝はバカ笑いし、「あほか！お前から金取るつもりなんかないわ！笑」

  2006-05-01 03:46:00
• 35:

  皐月

  「なっ！行こう！」和輝は強引に手を引っ張る。その行動に思わずﾄﾞｷｯとする自分がいる。
  好きやな…和輝のこういうところ。

  2006-05-01 03:54:00
• 36:

  皐月

  リオが思ってない事を言動を起こしてくれる。一緒にいてて飽きなかった。こんなに飽きない人は初めてだった。だから忘れられないのかも…
  

  2006-05-01 04:04:00
• 37:

  皐月

  そんな事をしみじみ思いながら和輝に着いて行くと、あっという間に店に着いていた。「とりあえずー…あっこ座っててや」と指差すところに座る。
  開店前かぁ。案外キレイな店やなぁ。白と水色が基調の店内。和輝らしいなぁとか考えながらｷｮﾛｷｮﾛしてるとリオの顔が微笑む。
  

  2006-05-01 04:17:00
• 38:

  皐月

  『智貴やん!!ごっつ久しぶり(笑)』びっくりした顔で智貴が近寄って来て前のｿﾌｧｰの座った。「リオちゃんやん!!久々に見たわ〜。てか何でいてるん?!」『約３年ぶりやもんな。後輩とｺﾞﾊﾝ食べてたんやけどその帰りに和輝と逢ってしまったわ(笑)』
  「逢ってしまったって(笑)運命やな!!しかし、あれからリオちゃん見なかったから心配してたんやで？キレイさっぱりいなくなってぇ!」

  2006-05-01 04:28:00
• 39:

  皐月

  
  
  そう。あれから…
  
  
  

  2006-05-01 04:29:00
• 40:

  皐月

  あれから…。
  耐えれなかった。私には限界やってん。和輝から離れたくなかった。でも、私はこれ以上夜の仕事を続けて行くのは無理やった。身体も精神的な事に関しても…
  和輝の事はすごく好きやった。愛してた。

  2006-05-01 04:34:00
• 41:

  皐月

  だから離れてしまった。和輝は仕事なんか関係ないし、お金も関係ないと言ってくれたし、辞めろとも言ってくれた。けれど仕事を辞めてから和輝のそばにいるのは怖かった。いつの間にか嫌いな夜の仕事に依存してる自分が大嫌いやったから。あの時のｶｹもわかってた。私に幻滅してほしくてわかってて負けたんだよ？和輝…。

  2006-05-01 04:40:00
• 42:

  ☆彡

  ↑

  2006-05-01 05:18:00