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∞ぽん酢∞
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1:
あたしの名前は御浜めい。友達には、マメって呼ばれたり呼ばれなかったり。昭和五十年後半に産声を上げてはや二十年は過ぎました。そんなの私の今までのお話。始まり始まり*。'・゚;*。・。
2005-12-12 17:01:00 -
200:
『大丈夫大丈夫』
『遅刻やん』
『俺が規則やし大丈夫。』
『ん(*゚Д゚)?』
『あれ、言ってへんかったっけや。俺店長』2005-12-21 14:15:00 -
201:
『あ、そ。』
元カレの出世なんかより、また修羅場が始まる事へのウンザリ感でいっぱいの豆。
『俺行くわ』
隆介が背をむけた。2005-12-21 14:17:00 -
202:
『ちょっと、隆チャン…!!』
ハッとして立ち上がり、隆介のスーツを摘む
『俺は雇われホストなんで。遅刻罰金あるんで。』
隆介は冷たい目で豆を見た。
『アイリも帰る!!』2005-12-21 14:20:00 -
203:
立ち上がったアイリが豆の肩にぶつかり、振り向くと豆を見て笑う。
----まるで勝ち誇ったような笑顔に虫酸が走った。
アイリは隆介の後ろにピタリとくっつき玄関へ二人が歩いて行く2005-12-21 14:22:00 -
205:
『行ってもたな』
後ろのソファからコウタが言った。
『…………ちょっ…とォォ』
すするような女の声が部屋に流れる。
『え、泣いてんのメイ。』2005-12-21 14:31:00 -
206:
『泣いてるか。┰Д┰)!!』
『鼻声やん』
『っさい!!!ズッ…』
『あっハッッハ』
『何笑ってん!!コウタがッッ!!コウタのせいやねんで!!』2005-12-21 14:34:00 -
207:
震えっぱなしの、豆のビブラートした声は、鼻水と共に部屋に響く。
『まぁまぁ涙を拭いて』
ティッシュが横からニュッッと出て来た。
『やかましい!!出てけ!!』
払い落とす。2005-12-21 14:37:00 -
212:
『あの元カノは手強いよ』
『ハハッッ。うん。』
『彼氏もキレてたよねー』
『…うん。』
抱きしめてるコウタの腕が、小さく震えてる事に気付いた。不謹慎に輪をかけて不謹慎だが、居心地がよかった。2005-12-21 22:16:00 -
214:
『……………ッッ…。』
『…メイ、俺はほんまにお前すきやし。』
包まれていた温かい腕がほどかれる。
『ま…、考えとけ』
立ち上がり、ジャケットを取ると玄関へと向くコウタ。2005-12-21 22:22:00 -
215:
『…………コウ…』
綺麗にシワひとつない、細めのスーツに甘い香りを纏ったコウタの体が振り向く。
『ん?』
『……あ…、いや何もない…』2005-12-21 22:26:00 -
216:
『ハハ。何やそれ。ほな』
コウタを目で送る。
立ち上がる気力がなくて、座り込んだまま。
『じゃねー☆』
『ん。お疲れ。』2005-12-21 22:30:00 -
217:
…パタンッッ。。。。
隆介と元カノが出て行った時よりも、それはそれは柔らかい音で、
コウタを送り出したドアは部屋に音を響かせた。
『…ッハァァァァ。。。。まじヤバイって。どーしよぉ……』2005-12-21 22:34:00 -
219:
部屋にぽつんと一人。
『ってか寒。』
身震いすると、暖房をつけ、カーテンにくるまり、初春の夜空を見上げた。
『ハーァ。もー…。』
一人で見上げる夜空はあまりに大きくて、真っ暗な世界に一人ぼっちになってしまったかのような孤独が襲いかかってきそうで恐くて慌ててカーテンを閉めた。2005-12-22 01:31:00 -
220:
♪♪♪リンコロ♪♪リンコロ♪♪
『ん?鳴ってる*゚Д゚)?』
ソファに転がっている携帯を手に取る。
-------パカッッ。。。2005-12-22 01:33:00 -
221:
『メールか…。』
-----ピッ!!
『はぅッッ*゚Д゚)!!隆チャンから!!どどどーしよ!!別れるとかかカカカ!?』
-----ピッ!!
『……*゚_゚)ん?』2005-12-22 01:37:00 -
222:
【今日から、しばらくは実家帰るわ☆】
『…………。……こんなん…こんなん明らか修復不可能なんちゃうん…。いきなり実家とか、……ちょっ…と、もーぉ…』2005-12-22 01:41:00 -
225:
それから何日も、
魂がどっか行っちゃったみたいに抜け殻の様になりながら豆は生活をしていた。
バイトへ行き、職務をはたして家に帰る。
何日たったかも振り返らず、気の抜けた生活を送っていた。2005-12-22 14:18:00 -
226:
『は!?』
『だから、終わったって』
『それから隆介くんからの連絡は?』
『ん、ない。』
豆のバイト先に来てアイスティーを飲みながらサリは鏡を見ていた。2005-12-22 14:23:00 -
227:
『あんたは隆介くんに連絡しないん?』
『んー。ねぇ』
『いやいや、大丈夫なん?あんた!?』
『え、大丈夫やん。健康よ』
-----カウンターで向かい合いながら洗いものに集中して、サリの声も上の空。2005-12-22 14:26:00 -
228:
『まぁ、隆チャンは隆チャンなりに考えた結果なんちゃうか』
『他人事やな*゚Д゚)』
『だってねぇー。あたしがバタついても、隆チャンの気持ちはどーにもならんでひょ』
『せやけどやな』
----サリの顔はいつになく困った顔。ボーーっと眺める豆。2005-12-22 14:30:00 -
230:
『え(。゚∀゚。)』
サリは、カウンターの豆と、ドアに立ってる隆介の元カノ、アイリと友達の二人組をなぜか嬉しそうに見合わせる。
『しょっぼい店』
------小さな声でアイリの友達が言った。続けてアイリが鼻で笑う。
『……いらっしゃいませー。』2005-12-22 14:36:00 -
231:
『ご注文は?』
『ドンペリ』
『…アルコールはご提供してないんですよー。』
『じゃあピッチャーでオレンジジュース』
『アイリまじウケるってぇ☆あたしもピッチャーでぇ』2005-12-22 17:54:00 -
232:
ぶっ殺したい気持ちを押さえ、ヒクヒクしながら握る伝票は、今にも半分に割れそうになっていた。
『ってかァァ、ピッチャーもないトカぁ?』
『…………オレンジジュースですね。』
はち切れんばかりの血管が脈打ちながら、豆はカウンターに戻るなり食器棚の1番下を勢いよく開けた。2005-12-22 17:59:00 -
233:
『ってかアイリまじで!?』
無駄にでかい声が狭い店内に充満する。
『まーぁじで☆アイリなぁ隆介とヨリ戻ってぇん☆』
?(`Д´*!!?2005-12-22 18:03:00 -
234:
いち早く反応したのは、カウンターの下にしゃがみ込んでいる豆、
…ではなくカウンターに座っているサリだった。
『ちょっッッ豆っ!!!聞いた今!!?おい豆!!』
カウンターから身を乗り出してサリはしゃがみ込んでいる豆にぼそぼそ話しかける。2005-12-22 18:06:00 -
235:
『聞いた聞いた』
スッと立ち上がると、冷蔵庫から缶のオレンジジュースを両手いっぱい取り出す。
『ん*゚Д゚)豆?ジュース多くない??』
『(。゚∀゚。)いーのだ☆』
そんな中、アイリと、その友達は相変わらずボリュームMAXで会話を続ける。2005-12-22 18:12:00 -
236:
*+*+*スタスタスタスタ
『お待たせしました』
『早!!ピッチャーじゃないとアイリ飲まへんで〜ッッ☆』
『(。゚∀゚。)どーぞ』
━━━━━━━━━ドンッッ!!2005-12-22 18:15:00 -
237:
『ッッハァ!!?ちょっと!!何なんよこれ!!』
アイリと、その友達の前には並々とオレンジジュースの注がれた………花瓶。
『ダッヒャッヒャッヒャーーッッ!!』
サリが笑い出す。2005-12-22 18:18:00 -
238:
『意味不明やし!!あんた客馬鹿にしてんの!!?』
----アイリは黒いヒジキみたいな目で豆を睨み上げる。
『いえ(。゚∀゚。)お客様がピッチャーとオーダーしたんで。たらふく飲みたいのかと。』
----しれっと返答。2005-12-22 18:21:00 -
239:
『なめてんちゃうで!!』
幸い、客の居ない店内で、アイリの友達が怒鳴りながら立ち上がる。
『ダッヒャッヒャッ!!!いやいや!!君らが頼んだんやん☆』
サリがカウンターから立ち上がり近付く。2005-12-22 18:25:00 -
241:
『ほんなら、お前らの糞やかましい恋愛話しこそ聞いてへんしなぁ』
サリは笑いながら睨む。
『んやとコラ』
どうやらアイリの友達はヤンチャ娘みたい。
舌を回しながらサリに啖呵を切る。2005-12-22 18:30:00 -
243:
『………だぁっとったらイチビリやがって。しゃしゃってんちゃうぞゴラァ!!!』
いきなりの豆の怒鳴り声にサリ以外は一瞬びっくり。
サリは笑う。2005-12-22 18:34:00 -
246:
ここまで豆がキレたのはアイリの一言が引き金だった。
『隆介はホストやし〜。何気売れっ子やん☆地元でも昔から目立ってたし。あたしフラれた事なかったしまじ腹立ってなぁ☆まぁちょっと泣いたらホイホイ寄ってきたわ。』
これはアイリの友達がオレンジジュースをサリにぶっかける何分か前のアイリの一言。2005-12-23 13:50:00 -
247:
豆は豆なりに隆介を大切にしていた。
それをこんな女の安っぽい『見栄』と『プライド』に掻き乱されたんだと確信すると、なにかがブチ切れた。
『キャハハ!!まじキレてんのー?ってか顔こわぁッッ』
ブチ切れた。2005-12-23 13:53:00 -
248:
━━━━━━━━━━━━━━━━━
『ってッッ』
『豆かなり暴れたな』
『サリこそ。ッッいてて』
『泣いてたしな。なんやあれ。おもんない』2005-12-23 13:55:00 -
249:
サリの手から吹き出すマキロソが、豆の顔の赤々しい擦り傷にしみる。
『ってか、店これ大丈夫なん?かなり痛々しいで。』
『昨日から店長旅行行ってるしあさってまでに片付けたら何とかいけるやろ。サリこそ、ホステスが顔腫れてるとか大丈夫なん。』
『休み決定やわ』
『ヒャヒャ。ほんまやな。ごめんやで。』2005-12-23 14:00:00 -
250:
『謝んなって』
----このサリの言葉はマキロソより身に染みた。
それから何日かはまた、何にもなく平々凡々に流れて行った。2005-12-23 14:04:00