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あの頃。

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  • 1:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    携帯の受信フォルダを開く。あの人からの嬉しいメールは全部保護してある。それを見るたび涙が溢れる。あの人からの指定着信音はもう鳴らない。
    失って初めて気付いた事。
    幸せやった。

    2005-12-21 02:45:00
  • 11:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    私は言った。「仮面かぶってるだけやで。本名は〇〇。やから本名で呼んでな!」自分でも不思議だった。自然に口から出た本名。いつもと違う感覚だった。私は彼のホストデビュー時代を知っている。あの頃の私は顔出しなんかしてないただの風俗嬢。彼氏はあの人も知ってるホスト。色枕で有名やったホスト。あの人はきっと思ったやろな。本営でがっつりひっぱられてたって。私は近づいた心の距離を一歩離す為に真実を語った。メインホストには絶対に内緒にしてきた事を。この時から私はあの人に恋のかけひきをしてたのかもしれない。私を特別扱いしてよ。私と他の客、一緒にしたらあかんよ。あなたにだけ過去を話すんやから。

    2005-12-21 22:19:00
  • 12:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    私は付き合ってたホストと結婚していた。最初は色彼。むしろ趣味。こいつの女好きは天下一品。寝る暇もおしんで女と会う。やる。その中のひとりだった。だけど私は惚れた。ほんまに惚れた。だから、こいつの女ぐせの悪さには泣かされた。家に行ったら趣味彼がいた事もある。ベットに裸で。あいつがはまってたRPGのゲームをロードしたら登場人物に色彼の名前がついていた。財布の中には色んな女とのプリクラ。キスしてるのは当たり前。結婚します!とかゆうコメントまであった。そのたびに私は発狂した。気が狂ったかのようにキレた。私はあいつにお金を落としてたから。自分よりお金を落としてない女に時間を使うあいつが憎かった。愛は憎しみと紙一重。その意味を19才で知った。あいつとは半同棲。帰ってこない日は色彼の家。色んな嘘をつくけどわかっていた。帰ってきた日はあいつが寝ている間に携帯チェック。ほんま嫌な女。見るたびに怒りで血の気がひく。鳥肌がたつ。こんな偽物の愛が続くはずなかった。

    2005-12-21 22:33:00
  • 13:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    身も心も疲れ果てた。今まで付き合った男はみんな私にはまった。浮気なんかされた事ない。男はいいなり。そう思ってた私が惚れた男にさんざん振り回された。お金と指名は簡単に手に入るのにあいつの愛は手に入れられへん。嫉妬だらけの嫌な女。色に溺れたバカ女。みっともないと思ってきた女の姿に自分がなった。ある日、私は見た。あいつが客でもない女と手をつないで歩いているとこを。我慢してきた心、少しだけ残っていた信じる心が壊れた。

    2005-12-21 22:42:00
  • 14:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    そのまま携帯番号を替えに行った。メルアドも替えた。あいつの荷物は全部捨てた。あいつが大事にしてたアルマーニのスーツもグッチの時計もシャツもベルトも。私が買ったエルメスのネクタイもカバンも。鍵の救急車を呼んで鍵も替えた。あいつのメモリーも受信メールも送信メールも消した。そして私も姿を消した。

    2005-12-21 22:46:00
  • 15:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    人生で初めて味わった挫折。敗北。私は精一杯愛した。言葉、行動、そしてお金。すべてをかけて表現した。それが伝わらなかった。がむしゃらに恋をした半年間の苦しみを痩せ細った体が語っていた。

    2005-12-21 22:50:00
  • 16:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    私は仕事に没頭した。何かに狂ったかのように働いた。信じるのはお金と自分だけ。忘れていた心のゆとりを取り戻した頃、あいつを目にした。風俗雑誌のホストページのグラビアで決め顔のあいつを。[不動のナンバーワン]と書かれていた。相変わらず女騙して、金しぼりとってんやな。あいつは人間じゃない。私から恋愛感情を奪った。あいつへの恨みを踏み台にして生きていた私はあいつのページを破り捨てた。
    私はあいつと離れて充実した生活を送ってた。仕事とクラブと遊びと。ホストなんか興味ない。普通の二十歳の女の子。ただ風俗嬢なだけ。この頃からかもしれない。私が客の前で本当の自分を隠して風俗嬢を演じるのを徹底したのは。客は金にしか見えない。お金さえ払えば夢を見させてあげる。体は売る。だけど心は売らない。作った笑顔。作ったセリフ。作った愛敬。気付いたらナンバー1になっていた。顔出しNGのナンバー1に。

    2005-12-21 23:05:00
  • 17:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    少し優しくすれば客は喜ぶ。泣いたふりすれば優しくしてくれる。週に1回の来店が2回、3回に増えて、客ははまる。風俗嬢の私に惚れる。なかには借金してまで通う客もいた。そんなん関係ない。惚れたら負け。私はあいつに惚れて負けた。惚れた相手の為なら何でもできる。それを知ってる私は強かった。客はつかみようのない私にはまっていく。おもしろいぐらいはまる。『バカ、お金が絡んでるから相手してんねん。』たまに素の自分がつぶやく。だけど私は風俗嬢。自分の体を売って生きてる風俗嬢。心も体も汚い。そんなの知ってる。一回汚れたものは同じ。お金がすべて。自分さえ、本当の自分さえ売らなければそれでいい。

    2005-12-21 23:15:00
  • 18:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    店ではいつも明るい子。バカキャラで送りの車の中ではムードメーカー。ナンバー1やのにつんけんしない。こう言われて店の女の子にも人気があった。やけど店の女の子の前でも風俗嬢〇〇。絶対に素は見せない。女の子達は相談してくる。「どうやったらそんなに指名が取れるんですか?」「ホストの彼氏が冷たいんですよ。他に女いるんですかね?」「○○さん、ホスクラいかないんですか?何の為に風俗してるんですか?」全部におきまりの言葉で答える。私が、ナンバー1の私がホストに色られてたなんか言えるわけがない。冷静でかっこいい女を演じていた。それがくせになっていた。

    2005-12-21 23:24:00
  • 19:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 20:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    ミズキに聞いた。「この店な、自分で選んだん?」ミズキはあっさりと「彼氏にね、ここが稼げるって教えてもらったんですよ。昔の彼氏のエースがここにいたらしいんですけど知ってますぅ?ルックスいいし金は使うけどかなり執着する痛い子やったみたいですけどね。」って言った。ブチ。久々に頭が音をたてるぐらいムカついた。あいつ私の事こんなんゆうてんやな。エースでしたか。そりゃどうも。今はこの店のエースですけどね。頭に血がのぼる。ミズキには「色んな女の子おったしわからんわぁ。ホストと付き合ってる子いっぱいやったし。とりあえず好きな人の為に頑張るなら一生懸命しやなな。」軽く言い放った。バカのミズキに痛い子って言われたし。まあいい。私を抜けるもんなら抜いてみろ。前にも増して私は指名を増やした。《誰にも負けない》

    2005-12-21 23:56:00
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