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あの頃。

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  • 1:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    携帯の受信フォルダを開く。あの人からの嬉しいメールは全部保護してある。それを見るたび涙が溢れる。あの人からの指定着信音はもう鳴らない。
    失って初めて気付いた事。
    幸せやった。

    2005-12-21 02:45:00
  • 21:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    ミズキは私になついてきた。「聞いてくださいよぉ〜」って近づいてきてあいつの話をする。うんざり。あいつの事を聞くたび惨めな自分を思い出す。吐き気がする事もあった。何回もミズキに「そいつ色枕趣味の女好きやで」って言いそうになった。ミズキは毎日あいつの店に通っていた。まあエースに近かった。毎日の稼ぎのほとんどを使っていた。愚痴は聞いても私は止めない。ホストにお金を使う女には一貫していた。はまってる時に何を言われても聞かない。私がそうやったから。あいつに狂ってた時期に親友を失った。私は親友が泣いて止めるのも聞かずにあいつに金を使った。それでも愛して欲しかったから。私の純粋な気持ちをあいつは裏切った。受けとめようともしなかった。いつか痛い目にあうやろな。過去は過去。あいつを恨む気持ちも忘れてたある日、ミズキがこう言った。

    2005-12-22 00:05:00
  • 22:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    「彼氏がね、前ここで働いてた元エースの事ばっかり言うんですよ。あいつは凄かったって。俺にあそこまで惚れた女はおらんって。俺のせいであいつはおかしなってん。もっと大切にしとけばよかったわぁって。彼氏、元エースの事好きやったんですよ。多分ね。私、元エースに負けたくないんですよ。別れて1年もたつのに彼氏は元エースの事忘れてないんですよ。むかつくでしょ?ミズキだって頑張ってるってわからせたいんですよ。」
    一瞬、頭が真っ白になった。誰の事かわからんかった。でもあいつのエースでこの店で働いてるのは私だけ。私の事に間違いない。あいつは私の事まだ覚えてる。一生懸命やった事わかってた。久しぶりに動揺した。

    2005-12-22 00:56:00
  • 23:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    プライベートで何があっても客には関係ない。接客は完璧にして当然。今もかわらないポリシー。そのポリシーがあの日は守れそうになかった。こんな状態では仕事したくなかった。何でこんなんなってんねん。あいつの事は忘れたはずやん。ぐちゃぐちゃの頭を整理する為に早退した。予約を全部けった。今なら簡単に答えが出る。まだあいつの事を忘れてなかった。好きやった。完全燃焼してない恋を無理矢理終わりにしてただけやった。あいつと別れて作り上げた偽りの強い自分でいる為にあいつを心の中から消したふりをしついただけやった。

    2005-12-22 01:03:00
  • 24:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    帰った私は酒を浴びた。あいつとの思い出がよぎる。消す為にまた飲む。もう1年もたつのにあいつの顔も声も体もしぐさも鮮明に浮かんでくる。酒を浴びても浴びてもあいつが出てくる。ミズキの入店がきっかけでわかった。きちんとけじめをつけなあかん。何も言わずに消えたんや。あの過去から逃げてたらあいつを完全にはふっきる事ができひん。

    2005-12-22 01:09:00
  • 25:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    私はミズキにメールした。【ミズキの彼氏の店、連れてってや。】酔った勢いもあって私はあいつの前に姿を現わす事にした。
    あいつの好みで伸ばしていたままの長い髪を念入りに巻いた。ロングのストレートが好きなあいつに反発するかのように。あいつが嫌いやったお姉系の服を着る。あいつと離れて買った時計、ブレス、ネック、リングをつける。あいつが嫌いだった香水をつける。バーキンを持つ。あいつが知らない私の姿になる。1年とゆう歳月は私の見た目も変えた。過去と決別するにはちょうどいい。あいつのタイプと正反対の格好。もう迷いはなかった。変わった自分を見せに行く。私はあいつといた時から働いてる店で今はナンバー1と伝えに行く。あんたの客と同じ店と教えてあげる。それから本当に愛してた事を話す。それで頭からあいつを完全消去する。

    2005-12-22 01:22:00
  • 26:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    ミズキとミナミで待ち合わせた。久しぶりにこの街にきた。二度と足を踏み入れる事はないと思った街。御堂筋の左側。ミズキと会ってあいつの店に迎う。ミズキは嬉しそうに場所を説明するけど私は知ってる。何回通ったか。この道を何回通ったか。あいつの店のビルが見えた時深呼吸した。ビルの下でミズキがあいつに電話する。あいつがもうすぐ降りてくる。もう一回深呼吸してナンバー1の〇〇になりきる。エレベーターがあいた。

    2005-12-22 01:28:00
  • 27:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    1年ぶりに会ったあいつはやつれてたように見えた。ミズキが私を紹介する。「ナンバー1の〇〇さんやで。お世話になってんねん。」あいつが私を見る。そして「初めまして」笑いながら言う。私はかけてたサングラスをはずして笑顔でゆった。「初めまして、〇〇です。よろしく。楽しませてね。ホスクラ来るの1年ぶりやから」本名は言わない。今の私には入り込ませない。あいつは目が点になっていた。ギャルだった私の変貌もやけど消えた女の出現にあきらかに動揺していた。だけどあいつもプロ。横には太客のミズキがいる。「こちらこそよろしく。エレベーター乗って下さい」冷静なふりをする。

    2005-12-22 01:36:00
  • 28:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    店に入る。席に座ると懐かしい顔がよってきた。かつて店ぐるみで私のヘルプをしていた子だ。私は初めましてと言う。どっかで見た事あると言われても初めましてで通した。1時間たった時にあいつがミズキを帰そうとした。私に話あるからって合図する。ミズキを帰してあいつは私の横に座った。

    2005-12-22 01:41:00
  • 29:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    「ほんまびっくりしたわぁ。〇〇やろ?マジあん時ごめん。俺ほんまに後悔してん。また会えて嬉しいわ。つーかお前変わったなぁ。きれいになったわ。」「私は変わったよ。あんたのおかげで強くなった。もう昔のきもい私は忘れて。あんな姿、恥以外の何でもないから。あの時はあんたが好きすぎて自分を見失ってたわ。嫌な女やったやろ?しつこくしてごめんな。でも私はあんたがほんまに好きやった。誰よりも愛してた。」目をそらす事なく伝えた。自分でも気付かないうちに強くなってたと再認識した。

    2005-12-22 01:49:00
  • 30:

    ? ◆aNcczJY1pQ

    「俺な、ミズキからナンバー1がなって聞くたびにお前ちゃうんかって思っててん。今日ナンバー1と来るって聞いた時、お前が来るかもって気がしてん。だから俺なりにお前にいわなあかん事整理してた。お前は俺が生きてきた中で一番俺を愛してくれたわ。親よりもな。ホストしてたらいろんな女見るやん。軽がるしく好きゆう奴なんかいっぱいおったわ。確かに俺の為に風俗して金使う女がほとんどやわ。でもお前がくれた以上の愛は感じひんねん。俺あん時バカやったからな、お前傷つけて泣かせてもこいつは俺から離れへんって思っててん。お前の愛情にうぬぼれて勘違いしててんな。お前がおらんなった時、俺初めて気付いてん。お前の存在のでかさや、安心感にな。それとお前が好きって事にな。後悔したわぁ。最後の方なんかお前ガリガリやったやん。苦しめてんなあって。

    2005-12-22 02:00:00
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